RF-Sレンズ完全ガイド|純正ラインアップとAPS-C用RFレンズの選び方
キヤノンのRF-Sレンズは、EOS R7、EOS R10、EOS R50 V、EOS R50、EOS R100など、APS-Cセンサーを搭載したEOS Rシリーズに合わせて設計されたレンズです。RFマウントをそのまま使用するためマウントアダプターは不要で、小型軽量なAPS-Cボディと組み合わせて携帯性の高い撮影システムを作れます。
RF-Sレンズが登場した当初は、標準ズームと高倍率ズームを中心とした小規模な構成でした。その後、超広角ズーム、望遠ズーム、動画向けの電動ズーム、VR・3D撮影用の特殊レンズが加わり、純正RF-Sだけでも撮影領域は大きく広がりました。さらにSIGMAやTAMRONからRFマウントAPS-C用レンズが登場し、F1.4単焦点、F2.8ズーム、高倍率ズームなど、純正だけでは不足していた選択肢も増えています。
一方、純正RF-Sレンズには明確な方向性があります。フルサイズ用RFレンズのように大口径F2.8ズームやF1.2、F1.4クラスの単焦点を多数並べる構成ではなく、小型、軽量、手ブレ補正、動画との相性を重視したズームレンズが中心です。そのためRF-Sを評価するときは、「レンズ本数が多いか」だけを見るより、APS-C EOS Rをどのような用途で使うのかまで考える必要があります。
この記事では、純正RF-Sレンズの現行ラインアップを整理し、それぞれの焦点距離、サイズ、画質、弱点、動画での使いやすさを確認します。さらに、RFレンズやサードパーティ製APS-Cレンズとの使い分け、EOS R7やR50 Vなどボディごとの組み合わせまで含め、現在のキヤノンAPS-C RFシステムを実用面から見ていきます。
RF-Sレンズとは何か
RF-Sは、キヤノンのRFマウントを採用しながら、主にAPS-Cセンサーで使用することを前提に設計されたレンズです。マウント自体はフルサイズRFレンズと共通なので、APS-CのEOS RシリーズにはRF-Sレンズだけでなくフルサイズ用RFレンズも直接装着できます。
APS-C専用設計によって小型軽量化しやすい
フルサイズセンサーはAPS-Cより撮像面積が大きいため、レンズ側も広いイメージサークルを確保する必要があります。RF-SレンズはAPS-Cで必要な範囲に合わせて光学系を設計できるため、同じような焦点域のフルサイズ用レンズと比べて、小型軽量化しやすい特徴があります。
代表例がRF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STMです。質量は約130gで、収納時の全長も約44.3mmに抑えられています。EOS R50のような小型ボディへ装着してもレンズ側が大きく張り出さず、旅行や日常撮影で持ち歩きやすい構成になります。
APS-Cでは焦点距離表記に約1.6倍を掛けた画角になるため、18mmは約29mm相当、45mmは約72mm相当です。焦点距離そのものが変化するわけではありませんが、フルサイズより狭い範囲を記録するため、見える範囲が約1.6倍相当になります。RF-Sレンズの基本とRFレンズとの違いはRF-Sレンズとは?一覧・RFレンズとの違い・対応機種を解説で詳しく整理しています。
RF-Sだけに限定する必要はない
APS-CのEOS Rシリーズでは、RF-Sレンズだけを使わなければならないわけではありません。フルサイズ対応RFレンズもそのまま装着できます。たとえばRF50mm F1.8 STMなら約80mm相当の画角になり、人物撮影に使いやすい中望遠として利用できます。RF100-400mm F5.6-8 IS USMなら望遠側は約640mm相当の画角になり、野鳥や航空機など遠距離の被写体へ強くなります。
EF-EOS Rマウントアダプターを使用すれば、EFレンズやEF-Sレンズも使えます。すでに一眼レフ時代のレンズを持っている場合、最初からRF-Sだけで全焦点域をそろえる必要はありません。
反対に、フルサイズEOS RへRF-Sレンズを装着した場合はAPS-C相当の範囲を使用して撮影します。そのため装着はできますが、フルサイズセンサー全体を使う撮影にはなりません。APS-C EOS Rの各ボディとレンズ構成の違いはEOS RシリーズAPS-C機を比較|R7・R10・R50 V・R50・R100の違いと選び方で確認できます。
純正RF-Sの通常撮影用ズームは5本
通常の写真・動画撮影に使うキヤノン純正RF-Sズームは、超広角から望遠まで5本で構成されています。RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM、RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZ、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、RF-S55-210mm F5-7.1 IS STMです。
焦点距離だけを見ると重複がありますが、それぞれの役割はかなり違います。18-45mmは小型軽量、18-150mmは一本で広範囲、55-210mmは望遠、10-18mmは超広角、14-30mmは動画と電動ズームが中心です。
RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STMは最小構成を作りやすい
RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STMは、35mm判換算約29-72mm相当をカバーする標準ズームです。質量約130gという軽さが最大の特徴で、EOS R50やR100など小型ボディとの組み合わせでは、交換レンズ式カメラとして非常に軽い構成を作れます。
広角側29mm相当は、風景、旅行、家族写真、街歩きなどに使いやすく、望遠側72mm相当まで伸ばせば人物や小物も切り取りやすくなります。18-150mmほど焦点距離は広くありませんが、その分レンズが短く軽く、カメラを持ち出す負担を減らせます。
画質は高価な大口径ズームを目指した性格ではありません。実写では中央部は十分な解像感があり、通常の撮影では使いやすい一方、広角側では歪曲収差をデジタル補正へ大きく依存しています。補正後の写真を前提に小型化した現代的な設計であり、RAWを補正なしで見たときの形だけで評価すると、このレンズの設計意図を見誤ります。
開放F値はF4.5-6.3と暗めなので、人物を大きくぼかしたい撮影や暗所で動く被写体には向きません。日中の旅行、スナップ、家族写真を軽い機材で撮る用途が中心です。個別の特徴はRF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STMで詳しく紹介しています。
RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMは16mm相当から使える超広角
RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMは、35mm判換算約16-29mm相当をカバーする超広角ズームです。APS-Cでは広角側の画角が狭くなりやすいため、10mmという焦点距離には大きな意味があります。18mm始まりの標準ズームでは収まりきらない室内、建築、広い風景、自撮り動画などに対応できます。
質量は約150gで、超広角ズームとして非常に軽量です。収納時の全長も約44.9mmに抑えられているため、小型のEOS R50やR50 Vへ装着してもシステムが大きくなりにくく、旅行やVlogで持ち歩きやすい構成になります。
AF時の最短撮影距離はズーム全域で0.14m、MFでは10mm時に0.086mまで近づけます。超広角で被写体へ接近すると、手前の物を大きく見せながら背景を広く入れる構図を作れるため、単純な風景用レンズだけではありません。
一方、F4.5-6.3なので星景写真や暗い室内でシャッタースピードを上げたい用途では明るさに余裕がありません。風景、建築、Vlog、旅行といった、小型軽量と広い画角を優先する用途で特に扱いやすいレンズです。詳しい使い方はRF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMで広がる魅惑の超広角世界で解説しています。
RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZは動画を強く意識した標準ズーム
RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZは、約22-48mm相当の画角をカバーする広角寄りの標準ズームです。大きな特徴は電動ズームをレンズ本体へ内蔵していることで、一定速度で滑らかにズームしやすく、動画撮影との相性が高くなっています。
14mm始まりなので、18mm始まりのRF-S18-45mmより広い範囲を写せます。自撮り、Vlog、室内撮影ではこの4mm差が大きく、カメラと人物の距離を十分取れない場所でも構図を作りやすくなります。一方、望遠側は30mmなので約48mm相当までです。人物を望遠寄りで大きく切り取る用途より、広角から標準域を使う動画向けの性格が強くなっています。
質量は約181gです。旧記事では別レンズの重量と混同しやすい部分ですが、18-150mmの約310gよりかなり軽く、R50 Vとの組み合わせを意識したサイズです。最短撮影距離は0.15mで、30mm時には最大撮影倍率0.38倍まで寄れるため、商品紹介やテーブル上の小物を大きく見せる撮影にも利用できます。
実写では中心から周辺まで価格とサイズを考えると良好な解像感があります。一方、広角側では大きな樽型歪曲をカメラ内処理や現像時のプロファイルで補正する設計です。補正を含めた完成画像を基準に考える必要があります。詳細はRF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZ 軽くて広くてよく撮れるズームレンズで確認できます。
RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMは一本で29-240mm相当をカバーする
RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMは、約29-240mm相当を一本でカバーする高倍率ズームです。旅行、イベント、屋外撮影など、レンズ交換をできるだけ減らしたい場合に最も分かりやすい選択肢です。
広角側では風景、建物、集合写真、旅行記録を撮影でき、望遠側では人物、動物、ステージ、少し離れた被写体まで対応します。RF-S18-45mmとRF-S55-210mmの焦点域を一本で大きく重ねるため、画角の柔軟性を優先するなら非常に便利です。
質量は約310gです。18-45mmの約130gと比べれば重くなりますが、240mm相当までカバーするズームとして考えると携帯性は高く、R7やR10ともバランスを取りやすい大きさです。AF時は18-35mmで最短撮影距離0.17m、50mm時には最大撮影倍率0.44倍まで対応するため、小物や花などへもかなり寄れます。
画質は広角から望遠まで完全に同じではありません。実写では18mm側の中央部は開放から高い解像感があり、周辺は少し絞ることで整いやすくなります。高倍率ズームなので単焦点や短倍率ズームと比べれば設計上の妥協はありますが、一本で撮れる範囲の広さが大きな価値です。詳しくはRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMで紹介しています。
RF-S55-210mm F5-7.1 IS STMは336mm相当まで伸ばせる軽量望遠
RF-S55-210mm F5-7.1 IS STMは、約88-336mm相当をカバーする望遠ズームです。質量は約270gで、APS-C用望遠ズームとしてかなり軽く、運動会、動物園、鉄道、飛行機、屋外スポーツ、近距離の野鳥などへ使いやすい構成です。
APS-Cの約1.6倍相当の画角を生かせるため、210mmでもフルサイズ336mm相当の範囲を写せます。フルサイズで300mmを超える画角を得る望遠レンズと比べて小型軽量なため、望遠撮影を初めて試す場合にも扱いやすくなっています。
210mm時の最短撮影距離は0.73m、最大撮影倍率は0.28倍です。望遠側で被写体を大きく写せるため、花や小物など近距離の撮影でも背景を整理しやすくなります。手ブレ補正を搭載しているため、ボディ内手振れ補正を持たないR10やR50などでも望遠撮影を支えます。
弱点はF5-7.1という開放F値です。特に望遠側はF7.1になるため、曇天のスポーツや夕方の野鳥など、速いシャッタースピードが必要な暗い条件ではISO感度が上がりやすくなります。実写でも210mm側は広角側より少し柔らかくなりますが、軽さと価格を考えると実用性の高い望遠ズームです。撮影例と設定はRF-S55-210mm F5-7.1 IS STMレビューで詳しく扱っています。
RF-SにはVR・3D撮影専用の特殊レンズもある
純正RF-Sには、一般的な写真用ズームとは用途がまったく異なる2本のデュアルレンズがあります。RF-S3.9mm F3.5 STM DUAL FISHEYEとRF-S7.8mm F4 STM DUALです。これらを通常の超広角単焦点として考えると用途を誤ります。左右2つの光学系を一つの鏡筒へまとめ、立体映像やVRコンテンツを撮影するためのレンズです。
RF-S3.9mm F3.5 STM DUAL FISHEYEは144度の3D VR撮影用
RF-S3.9mm F3.5 STM DUAL FISHEYEは、左右に2つの魚眼光学系を持つ特殊レンズです。対応するAPS-C EOS Rとの組み合わせで、144度の画角を持つ3D VR映像を一台のカメラで撮影できます。
重要なのは、一般的な「180度の全天周魚眼を2つ記録するレンズ」と同じ扱いをしないことです。このレンズの画角は144度で、キヤノンのEOS VRシステムの中でも小型APS-Cボディを利用してVR制作を始めやすくする方向へ設計されています。
質量は約290gで、一般的なRF-Sズームより特殊な構造を持ちながら、複数カメラを組み合わせたVRリグより簡潔な構成を作れます。AFにはSTMを採用しており、対応ボディやファームウェアには条件があるため、通常のRF-Sレンズと同じようにすべてのAPS-C EOS Rで自由に使えると考えないことが重要です。
VR制作の仕組みや用途はRF-S3.9mm F3.5 STM DUAL FISHEYEで広がるリアルなVR映像体験で詳しく紹介しています。
RF-S7.8mm F4 STM DUALは約60度の3D映像を撮る
RF-S7.8mm F4 STM DUALは、RF-S3.9mmとは目的が異なります。画角は約60度で、人間が対象を見る感覚に近い範囲を立体映像として記録する方向へ設計されています。人物、料理、ペット、手芸、商品など、目の前にある対象を立体的に見せる用途へ向いています。
質量は約131gで、デュアルレンズとして非常に軽量です。RF-S3.9mmの約290gとは大きく違うため、両者を同じ重量として扱わないよう注意が必要です。最短撮影距離は0.15mで、近距離の被写体を立体的に記録しやすくなっています。
対応カメラと組み合わせて撮影した映像は、専用ソフトを使って3D映像や空間ビデオ向けの形式へ変換できます。通常の写真用交換レンズとは撮影後のワークフローまで異なり、レンズ単体だけで完結する製品ではありません。
RF-S3.9mmが広い視野を使ったVR方向、RF-S7.8mmが身近な対象を立体的に見せる3D方向と考えると、2本の違いを理解しやすくなります。RF-S7.8mmの特徴はCanon RF-S7.8mm F4 STM DUAL はじめての3D映像をやさしく撮れる広角レンズで解説しています。
純正RF-Sの弱点は明るいレンズが少ないこと
通常撮影用の純正RF-Sレンズ5本を見ると、すべてズームレンズで、開放F値もF4前後からF7.1程度の小型軽量設計です。旅行、日常、動画、望遠を軽い機材で撮る用途には合理的ですが、背景を大きくぼかす人物撮影や暗所、高速シャッターが必要な室内スポーツなどでは明るさが不足しやすくなります。
純正だけを見るとF1.4単焦点やF2.8標準ズームがない
フルサイズRFには大口径単焦点やF2.8ズームがありますが、純正RF-Sには一般撮影用のF1.4単焦点やF2.8通し標準ズームがありません。そのためEOS R7やR10で明るいAPS-C専用レンズを使いたい場合、以前はフルサイズRFレンズを使うか、EF・EF-Sレンズをアダプター経由で使う方法が中心でした。
現在は状況が大きく変わっています。SIGMAからはF1.4単焦点、10-18mm F2.8、18-50mm F2.8、17-40mm F1.8、高倍率ズームなどAPS-C用RFマウントレンズが展開されています。TAMRONからも11-20mm F2.8、17-70mm F2.8、18-300mmなどが加わり、純正RF-Sの不足部分を補えるようになりました。
これらはキヤノンの「RF-S」という製品名ではありませんが、RFマウントAPS-C用としてR7、R10、R50系などへ直接装着できます。純正RF-Sだけの本数を見て「APS-C RFはレンズが少ない」と判断する状況からは変化しています。現在選べるサードパーティ製品はRF-Sレンズのサードパーティ一覧|SIGMA・TAMRONの対応製品と選び方でまとめています。
小型軽量を取るか明るさを取るかで選択が分かれる
純正RF-SとサードパーティAPS-Cレンズの違いは、単純な画質の優劣だけではありません。純正RF-S18-45mmは約130gですが、F2.8通しやF1.8通しのズームにするとレンズは大きく重くなります。明るさを得る代わりに、APS-Cシステム本来の軽快さが少し失われます。
EOS R50へ小型ズームを付けて日常的に持ち歩くなら、純正RF-Sのサイズには大きな意味があります。EOS R7で人物、イベント、作品撮影まで行うなら、F2.8やF1.4のサードパーティレンズを使うことで撮影領域を広げられます。
同じAPS-Cでも、ボディの位置付けによってレンズ選びは変わります。軽さを優先するR50系では純正RF-Sが自然で、R7の性能を積極的に使うなら明るいAPS-C専用レンズやフルサイズRFレンズも候補になります。RFマウント全体のサードパーティ事情はRFマウント サードパーティレンズおすすめ SIGMA・TAMRON・Voigtländerの選び方で確認できます。
RF-Sレンズの画質はデジタル補正を含めて考える
RF-Sレンズには、小型化のため光学系だけですべての収差を完全に補正するのではなく、カメラ内処理やRAW現像時の補正を積極的に利用する製品があります。特に広角側の歪曲収差は、この考え方が分かりやすく現れる部分です。
補正前のRAWだけを見て画質を決めると実用評価とずれる
RF-S18-45mmやRF-S14-30mmなどでは、広角側の歪曲収差が大きく、補正後の画角と形を前提に製品が設計されています。補正前のRAWを対応していないソフトで開くと、直線が大きく曲がって見えたり、本来の完成画像より広い範囲が写っていたりする場合があります。
デジタル補正には代償もあります。歪みを直すために画像周辺を引き伸ばすため、補正量が大きいほど周辺部では解像感や画角へ影響が出ます。一方、その方法を使うことでレンズを小さく、軽く、安価にしながら、完成画像として実用的な画質へまとめることができます。
そのためRF-Sの画質比較では、補正前RAWだけを見る方法と、実際にカメラや現像ソフトが補正した完成画像を見る方法を分ける必要があります。APS-Cの高画素機ではレンズ性能も見えやすくなりますが、小型軽量とのバランスを含めて判断することが重要です。APS-Cセンサーの特徴はAPS-Cセンサー 小型軽量で広がる撮影世界の魅力で詳しく解説しています。
STMとISは純正RF-Sの共通した実用性につながっている
通常撮影用の純正RF-SズームはSTMを採用し、静止画だけでなく動画での滑らかなAFも意識しています。また、各ズームにはレンズ内手ブレ補正が搭載されており、ボディ内手振れ補正を持たないEOS R10、R50、R50 V、R100でも手持ち撮影を支えます。
特に望遠のRF-S55-210mmや動画向けRF-S14-30mmでは、手ブレ補正の有無が実際の使いやすさへ直結します。小型ボディは軽い分、望遠撮影時にはわずかな揺れも画面上で大きく見えるため、レンズ内補正の意味は大きくなります。
STMは完全無音を意味する名称ではありませんが、細かなフォーカス移動を制御しやすく、動画AFと相性の良い方式です。RF-Sで動画対応が重視されていることは、STMを中心としたラインアップからも読み取れます。AF駆動方式の違いはSTMとUSMとVCMの違いとは?AF速度・静音性・動画で比較で確認できます。
EOS R7・R10・R50・R50 V・R100でレンズの意味が変わる
同じRF-Sレンズでも、装着するボディによって使い方は変わります。APS-C EOS Rはセンサーサイズこそ共通していますが、画素数、連写、ボディ内手振れ補正、ファインダー、動画機能、操作性が異なるためです。
R7では望遠と明るいサードパーティレンズを生かしやすい
EOS R7はAPS-C EOS Rの中で高画素、高速連写、ボディ内手振れ補正を備えた上位機です。RF-S55-210mmを装着すれば軽量な望遠システムになりますが、野鳥やスポーツを本格的に撮る場合はRF100-400mmやさらに長いRF望遠レンズも候補になります。
人物、室内、イベントなどでは、F1.4単焦点やF2.8ズームを組み合わせることでR7の高画素センサーをより幅広い条件で使えます。純正RF-Sだけにこだわるより、撮影目的に合わせてRF、SIGMA、TAMRONまで含めて組む方がR7の用途は広がります。
R10はR7より軽く、ボディ内手振れ補正を持たないため、IS搭載の純正RF-Sとの組み合わせが使いやすくなります。18-150mm一本で旅行から望遠まで対応する構成は、R10の機動性と相性があります。APS-C EOS R各機種の役割はEOS Rシリーズ完全ガイド|現行機種・歴代モデル・RFマウントの選び方で整理しています。
R50系では小型RF-Sの価値が最も分かりやすい
EOS R50は小型軽量ボディなので、RF-S18-45mmやRF-S10-18mmのような軽いレンズを装着すると、システム全体の携帯性を生かせます。旅行、家族写真、日常スナップでは、大きなF2.8ズームを付けるより純正RF-Sの方がカメラを持ち出しやすい場合があります。
EOS R50 Vでは動画中心の設計が強いため、RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZの意味がさらに大きくなります。14mmの広角、電動ズーム、STM、手ブレ補正という構成は、自撮り、YouTube、商品紹介、ライブ配信などへつなげやすくなっています。
一方、背景を大きくぼかした動画や暗所撮影を行うなら、SIGMAのF1.4単焦点やF2.8ズームなどを使う方法があります。ボディが小さいからレンズも必ず小さくする必要はなく、撮影目的に応じて選べることが現在のAPS-C RFシステムの強みです。R50の小型軽量性についてはEOS R50 軽量コンパクトなデザインが生む撮影の楽しさで詳しく紹介しています。
撮影目的からRF-Sレンズを選ぶ
RF-Sレンズは本数だけで選ぶと違いが分かりにくいため、何を撮るのかから逆算すると整理しやすくなります。日常撮影なら18-45mm、旅行なら18-150mm、超広角なら10-18mm、動画なら14-30mm PZ、望遠なら55-210mmという役割が基本です。
旅行や日常撮影は18-45mmと18-150mmで考える
荷物を最小限にしたい日常撮影ではRF-S18-45mmが扱いやすくなります。約130gなので、小型ボディへ装着したままバッグへ入れても負担が少なく、写真を撮る予定がない外出でも持ち出しやすい組み合わせです。
旅行中に風景、人物、建築、遠くの対象まで一本で撮りたい場合は18-150mmが便利です。約29-240mm相当をカバーするため、レンズ交換の回数を大きく減らせます。310gになるものの、複数レンズを持つことを考えればシステム全体は軽くできます。
「軽さ」を最優先するなら18-45mm、「一本で撮れる範囲」を優先するなら18-150mmという違いが明確です。APS-C EOS Rとレンズの組み合わせ全体を確認する場合はキヤノン大全から各機種・レンズの記事をたどれます。
風景・室内・Vlogでは10-18mmと14-30mmの違いを見る
広さを最優先するならRF-S10-18mmです。約16mm相当まで使えるため、大きな風景、狭い室内、建築、カメラを近くに置く自撮りなどで有利です。静止画用の超広角ズームとしても使いやすく、150gという軽さも大きな利点です。
RF-S14-30mmは約22mm相当からなので、10-18mmほど広くありません。その代わり30mm側で約48mm相当まで伸ばせるため、動画では広角から自然な標準画角まで一本で移動できます。さらに電動ズームを使えるため、撮影中に一定速度で画角を変えたい場合に向いています。
静止画中心で最大限広い画角が欲しいなら10-18mm、動画中心で電動ズームと標準域までのつながりを重視するなら14-30mmという違いになります。
運動会・動物園・鉄道では55-210mmが軽さを生かせる
RF-S55-210mmは336mm相当まで使えるため、標準ズームでは届かない被写体を大きく写せます。運動会で校庭の反対側にいる人物、動物園の動物、鉄道、飛行機など、距離を詰められない撮影で使いやすい焦点域です。
270gという軽さは、長時間持ち歩く用途で大きな意味があります。大型望遠レンズほど背景を大きくぼかしたり暗所で速いシャッタースピードを確保したりすることはできませんが、日中の屋外で望遠を楽しむ場合にはバランスが取れています。
野鳥を本格的に撮る場合、210mmでは足りない場面もあります。その場合はRF100-400mmなどフルサイズ用RF望遠をAPS-Cへ装着する方法があります。RF-Sだけでシステムを閉じる必要はありません。
RF-Sシステムは純正だけを見ると小さく、RFマウント全体では大きくなった
純正RF-Sだけを見ると、通常撮影用ズーム5本とVR・3D用2本という構成です。大口径単焦点やプロ向けF2.8ズームが純正RF-Sに並んでいるわけではないため、ラインアップだけを見ればフルサイズRFより小規模です。
しかし、APS-C EOS Rで実際に使えるレンズという視点では状況が違います。フルサイズRFレンズを直接使用でき、EF・EF-Sレンズもアダプター経由で使えます。さらにSIGMAとTAMRONのAPS-C用RFマウントレンズが増え、明るい単焦点、F2.8ズーム、高倍率ズームまで選択できるようになりました。
純正RF-Sの役割は、すべての撮影ジャンルを単独で埋めることより、APS-Cボディの小型軽量性を生かすことにあります。18-45mm、10-18mm、55-210mmなどは、フルサイズ用レンズで同じ画角を構成するより軽量にまとめやすく、旅行や日常撮影でAPS-Cを選ぶ理由につながります。
一方、画質、明るさ、ボケ、高速シャッターを優先する撮影では、RFやサードパーティの大口径レンズを組み合わせればよく、現在のEOS R APS-Cは「RF-Sの本数だけ」で撮影範囲が決まるシステムではありません。
RF-S18-45mmで最小構成を作り、必要に応じて10-18mmや55-210mmを追加する方法もあれば、18-150mm一本でほとんどの旅行撮影を済ませる方法もあります。R7へF2.8ズームやF1.4単焦点を付けて本格的な作品撮影へ使うこともできます。R50 Vと14-30mm PZで動画を中心に組むこともできます。
RF-Sレンズの価値は、単にAPS-C専用で価格を抑えたレンズという点にはありません。小さなボディへ小さなレンズを組み合わせられること、必要になれば同じRFマウントのより大きなレンズへそのまま拡張できることにあります。純正RF-S、フルサイズRF、サードパーティAPS-C、EF・EF-Sという複数の選択肢を目的ごとに使い分けることで、EOS RシリーズのAPS-C機は入門用から望遠、動画、本格的な撮影まで幅広く構成できるシステムになっています。



