RF-Sレンズとは?一覧・RFレンズとの違い・対応機種を解説
RF-Sレンズは、キヤノンのEOS Rシリーズに採用されているRFマウントのうち、APS-Cサイズの撮像センサーに合わせて設計されたレンズです。
EOS R7、EOS R10、EOS R50 V、EOS R50、EOS R100などに直接装着でき、小型軽量な撮影システムを組みやすい点が特徴です。RFレンズも同じカメラに装着できますが、対応するセンサーサイズ、レンズの大きさ、価格、将来フルサイズ機へ移行した際の使い方が異なります。
現在はキヤノン純正のRF-Sレンズに加え、SIGMAやTAMRONから明るいズームレンズや単焦点レンズが発売され、RFマウントのAPS-C機で選べるレンズが大幅に増えています。
この記事では、RF-Sレンズの意味、RFレンズとの違い、対応機種、現行レンズ一覧、撮影目的に合った選び方を解説します。
RF-Sレンズとは何か
- RF-SレンズはAPS-Cサイズ用に設計されている
- RFレンズとは対応する撮像範囲が異なる
- APS-CのEOS Rシリーズに直接装着できる
RF-SレンズはAPS-Cサイズ用に設計されている
RF-Sレンズとは、キヤノンのRFマウントを採用し、APS-Cサイズの撮像センサーに合わせて設計された交換レンズです。レンズ名の先頭に「RF-S」と記載されているため、RFレンズとの区別ができます。
APS-Cサイズはフルサイズより撮像範囲が小さく、キヤノンのEOS Rシリーズでは35mm判換算の画角が焦点距離の約1.6倍になります。RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STMをAPS-C機に装着した場合、画角は約29-72mm相当です。
18mmの広角側は風景、室内、旅行、日常の記録に使いやすく、45mmの望遠側は人物や料理、小物の撮影に対応します。レンズに表示された焦点距離そのものが変わるわけではありません。撮像範囲が狭くなることで、フルサイズ機に装着した場合と比べて写る範囲が狭くなります。
RF-SレンズはAPS-Cサイズを覆うイメージサークルで設計できるため、フルサイズ対応のRFレンズと比べて小型軽量にしやすい特徴があります。EOS R50やEOS R100のような小型ボディとの重量バランスも取りやすく、カメラを日常的に持ち歩く用途に向いています。
RFレンズとは対応する撮像範囲が異なる
RFレンズとRF-Sレンズは、どちらもRFマウントを採用しています。APS-C機のEOS R7、EOS R10、EOS R50 V、EOS R50、EOS R100には、RFレンズとRF-Sレンズの両方をアダプターなしで装着できます。
| 比較項目 | RF-Sレンズ | RFレンズ |
|---|---|---|
| 主な対応センサー | APS-Cサイズ | フルサイズ・APS-Cサイズ |
| 採用マウント | RFマウント | RFマウント |
| APS-C機への装着 | 可能 | 可能 |
| フルサイズ機への装着 | APS-C相当にクロップ | フルサイズ全域を使用 |
| 設計上の特徴 | 小型軽量にしやすい | 高性能レンズを含む種類が多い |
| 主な用途 | 軽量装備、旅行、日常撮影 | 画質重視、フルサイズとの共用 |
RFレンズをAPS-C機に装着した場合も、画角は焦点距離の約1.6倍相当になります。RF50mm F1.8 STMをEOS R50に装着すると約80mm相当となり、人物撮影に使いやすい中望遠の画角になります。
APS-C機から将来フルサイズ機へ移行する予定がある場合、RFレンズを選ぶと新しいボディでも撮像範囲をフルに使えます。現在の小型軽量性を優先する場合は、RF-Sレンズが扱いやすい選択です。
APS-CのEOS Rシリーズに直接装着できる
RF-Sレンズとの組み合わせに適しているカメラは、APS-Cサイズの撮像センサーを搭載したEOS Rシリーズです。
- EOS R7
- EOS R10
- EOS R50 V
- EOS R50
- EOS R100
これらのカメラにはRF-Sレンズを直接装着できます。マウントアダプターは必要ありません。RFレンズも直接装着できるため、小型のRF-Sズームと明るいRF単焦点を組み合わせる構成も可能です。
RF-SレンズはフルサイズのEOS Rシリーズにも装着できます。装着するとカメラがAPS-C相当の範囲を使用し、撮影画面の中央部分を記録します。画角は約1.6倍相当になり、記録画素数はカメラが持つフルサイズ時の画素数から減少します。
フルサイズ機でも使用できるため、RF-Sレンズが装着自体できなくなるわけではありません。フルサイズセンサー全体を使った撮影を目的とする場合は、RFレンズを使用します。
キヤノン純正RF-Sレンズ一覧と選び方
- 一般撮影用の純正RF-Sレンズは5本ある
- 撮影目的から必要な焦点距離を選ぶ
- VR撮影用RF-Sレンズは用途が異なる
一般撮影用の純正RF-Sレンズは5本ある
キヤノン純正の一般撮影用RF-Sレンズは、超広角、動画向け広角、標準、高倍率、望遠の5種類に分かれています。
| レンズ名 | 35mm判換算 | 主な用途 |
|---|---|---|
| RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM | 約16-29mm相当 | 風景、建築、室内、Vlog |
| RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZ | 約22-48mm相当 | 動画、Vlog、日常撮影 |
| RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM | 約29-72mm相当 | 日常、旅行、人物、料理 |
| RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM | 約29-240mm相当 | 旅行、運動会、風景、望遠撮影 |
| RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM | 約88-336mm相当 | 運動会、動物、野鳥、スポーツ |
RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STMは、小型軽量な標準ズームです。カメラと一緒に販売されることも多く、初めてEOS Rシリーズを使う人が基本的な画角を覚えるレンズとして適しています。
RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMは、広角から望遠まで1本で対応します。レンズ交換の回数を減らせるため、旅行、屋外行事、子どもの撮影などで使いやすいレンズです。
RF-S55-210mm F5-7.1 IS STMは望遠撮影を担当します。RF-S18-45mmと組み合わせると、約29mm相当から336mm相当までの画角を2本でカバーできます。
撮影目的から必要な焦点距離を選ぶ
広い範囲を写したい場合はRF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMが適しています。広角端は約16mm相当となり、狭い室内、建築物、広い風景、自分を画面に入れるVlog撮影で使いやすい画角です。
動画撮影を中心に使う場合はRF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZが候補になります。PZはパワーズームを示しており、電動で滑らかなズーム操作ができます。約22-48mm相当をカバーするため、広角撮影を中心に日常的な画角まで対応します。
カメラを購入した直後の最初の1本には、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STMが扱いやすいレンズです。撮影範囲を広げたい場合は、RF-S55-210mm F5-7.1 IS STMを追加すると望遠撮影が可能になります。
レンズ交換を減らしたい場合はRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMが適しています。標準ズームと望遠ズームの範囲を1本で広くカバーするため、荷物を少なくしたい旅行や屋外行事で便利です。
室内撮影、夜景、大きな背景ボケを重視する場合は、純正RF-Sズームだけで決める必要はありません。明るいRF単焦点レンズや、SIGMAのF1.4単焦点、F2.8ズームも候補になります。
VR撮影用RF-Sレンズは用途が異なる
キヤノンのRF-Sレンズには、一般的な写真や動画を撮影するレンズのほかに、VR映像を制作するための特殊なレンズがあります。
- RF-S3.9mm F3.5 STM DUAL FISHEYE
- RF-S7.8mm F4 STM DUAL
RF-S3.9mm F3.5 STM DUAL FISHEYEは、左右2つの魚眼レンズを備えたVR撮影用レンズです。180度VR映像の制作を目的としており、風景や人物を一般的な写真として撮るレンズとは構造も使い方も異なります。
RF-S7.8mm F4 STM DUALも左右2つの光学系を使用し、立体感のある映像を記録するためのレンズです。対応するカメラや撮影条件が決められているため、所有しているEOS Rシリーズへ装着できるかを事前に確認する必要があります。
「RF-Sレンズ一覧」を確認する際は、一般撮影用の5本とVR撮影用の2本を分けて考えると選びやすくなります。日常撮影、旅行、人物、野鳥などが目的であれば、一般撮影用のズームレンズから選びます。
サードパーティ製レンズで選択肢が広がった
- SIGMAから明るい単焦点とズームが発売されている
- TAMRON 17-70mm F2.8が標準ズームの選択肢になる
- 小型軽量か明るさかでレンズを選ぶ
SIGMAから明るい単焦点とズームが発売されている
SIGMAは、キヤノンRFマウント用のAPS-Cレンズを複数展開しています。製品名には「RF-S」と記載されませんが、「DC」または「DC DN」と記載された製品はAPS-Cサイズに対応するレンズです。
単焦点レンズには、12mm F1.4、15mm F1.4、16mm F1.4、23mm F1.4、30mm F1.4、56mm F1.4などがあります。広角撮影から人物撮影まで、焦点距離ごとにF1.4の明るさを選べます。
16mm F1.4は約26mm相当となり、風景、室内、動画撮影に使いやすい画角です。23mm F1.4は約37mm相当で、日常のスナップ撮影に対応します。30mm F1.4は約48mm相当となり、肉眼に近い感覚で撮影できます。
56mm F1.4は約90mm相当の中望遠となり、人物、花、小物、動物など、背景を整理して被写体を目立たせたい撮影に向いています。
ズームレンズには、10-18mm F2.8、18-50mm F2.8、16-300mm F3.5-6.7、17-40mm F1.8などがあります。純正RF-Sズームで不足しやすかった明るさ、高倍率、広角域を補える構成になっています。
TAMRON 17-70mm F2.8が標準ズームの選択肢になる
TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDのキヤノンRFマウント用は、2026年7月2日に発売されました。APS-C機では約27-112mm相当となり、広角から中望遠までをF2.8の明るさでカバーします。
広角側では風景、室内、旅行、集合写真に対応し、望遠側では人物、料理、商品、小物の撮影に使えます。ズーム全域で開放F2.8を使用できるため、室内や夕方でもシャッター速度を確保しやすく、背景をぼかした撮影にも対応します。
レンズ内手ブレ補正のVCを搭載しているため、ボディ内手ブレ補正を搭載していないEOS R10、EOS R50、EOS R100などでも、手持ち撮影を安定させやすくなります。
RF-S18-45mmは小型軽量性を重視した標準ズームです。TAMRON 17-70mm F2.8は、明るさ、望遠側の範囲、撮影表現を重視した標準ズームです。持ち運びやすさを優先するか、1本で幅広い撮影に対応するかで選択が変わります。
小型軽量か明るさかでレンズを選ぶ
純正RF-Sレンズの主な魅力は、小型軽量でカメラとのバランスを取りやすいことです。EOS R50やEOS R100と組み合わせれば、日常的に持ち歩きやすい撮影セットを作れます。
室内撮影、夜景、人物撮影、背景ボケを重視する場合は、SIGMAのF1.4単焦点やF2.8ズームが適しています。レンズは純正RF-Sズームより大きくなる場合がありますが、明るさによって撮影できる場面が増えます。
旅行や屋外行事でレンズ交換を減らしたい場合は、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMやSIGMA 16-300mm F3.5-6.7 DC OSが候補です。携帯性を優先する場合はRF-S18-150mm、望遠域を広く確保したい場合は16-300mmが選びやすくなります。
TAMRON 17-70mm F2.8は、単焦点レンズに近い明るさと標準ズームの使いやすさを両立したい場合に適しています。
SIGMA、TAMRONを含む製品ごとの特徴は、次の記事で詳しく紹介しています。
RF-Sレンズを選ぶ前に確認したいこと
- 焦点距離は約1.6倍相当の画角になる
- フルサイズ機へ移行する予定も考える
- EF-Sレンズはアダプターで使用できる
焦点距離は約1.6倍相当の画角になる
キヤノンのAPS-C機では、レンズに表示されている焦点距離を約1.6倍した画角になります。レンズを選ぶ際は、焦点距離の数字と実際に写る範囲を確認します。
| レンズの焦点距離 | APS-C機での画角 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 10mm | 約16mm相当 | 超広角、風景、室内 |
| 18mm | 約29mm相当 | 風景、旅行、日常 |
| 23mm | 約37mm相当 | スナップ、日常撮影 |
| 30mm | 約48mm相当 | 標準、料理、小物 |
| 50mm | 約80mm相当 | 人物、花、背景ボケ |
| 210mm | 約336mm相当 | 運動会、動物、野鳥 |
室内や自撮りでは、焦点距離が長すぎると画面に必要な範囲が入りません。人物や野鳥では、焦点距離が短すぎると被写体を大きく写せません。撮影する場所の広さと被写体までの距離から焦点距離を決めます。
フルサイズ機へ移行する予定も考える
APS-C機を長く使う予定で、小型軽量な装備を重視する場合はRF-Sレンズが適しています。カメラとレンズを合わせた重量を抑えやすく、旅行や日常撮影で持ち出す回数を増やせます。
将来EOS R5シリーズ、EOS R6シリーズ、EOS R8などのフルサイズ機へ移行する予定がある場合は、RFレンズを選ぶ方法もあります。RFレンズはAPS-C機でも使用でき、フルサイズ機へ移行した後はセンサー全体を使って撮影できます。
RF-Sレンズもフルサイズ機へ装着できますが、記録範囲はAPS-C相当にクロップされます。フルサイズ機の画素数を広く使いたい場合は、RFレンズが必要です。
現在の携帯性を重視するか、将来のボディとの共用を重視するかを決めると、RF-SレンズとRFレンズを選びやすくなります。
EF-Sレンズはアダプターで使用できる
一眼レフ用のEFレンズとEF-Sレンズは、マウントアダプター EF-EOS Rを使用するとEOS Rシリーズへ装着できます。過去に使用していたEF-Sレンズを所有している場合は、RF-Sレンズを購入する前に活用できるレンズを確認する方法があります。
EF-S10-18mm、EF-S24mm F2.8、EF-S55-250mmなどを所有している場合、マウントアダプターを追加することでEOS Rシリーズでも使用できます。レンズとアダプターを合わせた全長と重量は増えますが、所有している機材を生かせます。
EOS Mシリーズ用のEF-Mレンズは、EOS Rシリーズへ装着できません。EF-MマウントとRFマウントは構造が異なり、変換アダプターを使った実用的な運用もできません。
RFマウントとEFマウントの互換性については、次の記事で詳しく解説しています。
まとめ
RF-Sレンズは、キヤノンのRFマウントを採用し、APS-Cサイズの撮像センサーに合わせて設計されたレンズです。EOS R7、EOS R10、EOS R50 V、EOS R50、EOS R100へ直接装着できます。
純正の一般撮影用レンズには、RF-S10-18mm、RF-S14-30mm、RF-S18-45mm、RF-S18-150mm、RF-S55-210mmがあります。広角、標準、高倍率、望遠という基本的な撮影範囲をカバーしています。
明るいレンズが必要な場合は、SIGMAのF1.4単焦点やF2.8ズーム、TAMRON 17-70mm F2.8も選べます。現在のRFマウントAPS-Cシステムは、純正RF-Sレンズのみで考える必要がなく、撮影目的に応じた構成を作れる状態になっています。
携帯性を重視する場合は純正RF-Sレンズ、室内撮影や背景ボケを重視する場合は明るいサードパーティ製レンズ、将来フルサイズ機と共用する場合はRFレンズが選択肢になります。



