AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDレビュー|105mm F1.4のボケ・画質・ポートレート性能を解説
AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDは、ニコンFマウントの大口径中望遠単焦点レンズです。105mmという焦点距離とF1.4の明るさを組み合わせ、人物を背景から大きく分離したポートレート、自然光を生かした人物撮影、舞台、静物、夜景スナップなどで強い表現力を発揮します。
85mm F1.4よりさらに長い105mmを採用したことで、人物から距離を取りながら背景へ写る範囲を狭めやすく、F1.4の浅い被写界深度と合わせて被写体を立体的に見せられることが特徴です。一方、約985gという重量、82mmフィルター、最短撮影距離1.0mという仕様から、小型軽量なスナップレンズとは性格が大きく異なります。
光学系は9群14枚で、EDレンズ3枚、ナノクリスタルコート、前後玉へのフッ素コートを採用しています。AFはSWMによるAF-S、フォーカシングはIF方式、絞りはEタイプの電磁絞りです。9枚の円形絞りを備え、開放F1.4から高い解像力を狙いながら、背景のボケ方にも重点を置いた設計になっています。
実写レビューでも、開放F1.4から画面中央だけでなく周辺まで高い解像力を示し、ボケも滑らかという評価が多く見られます。ただし、完全無欠なレンズではありません。F1.4からF2付近では軸上色収差が残り、フルサイズでは開放時の周辺光量低下も確認できます。最短撮影距離付近では絞り込みによるわずかなフォーカスシフトが見られるというテストもあり、近距離でF1.4からF4へ絞りながら厳密なピントを求める場合には注意が必要です。
この記事では、AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDの基本スペック、105mm F1.4が人物撮影で生む効果、実写での解像力とボケ、色収差、AF、電磁絞り、手ブレ補正なしでの使い方、DX機やZシリーズでの活用、85mm F1.4やZ 135mm F1.8 S Plenaとの違い、中古購入時の確認点まで詳しく解説します。
- AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDの基本スペック
- 105mmという焦点距離がポートレートで生む効果
- F1.4が作る浅い被写界深度と大きな背景ボケ
- 開放F1.4から使える高い解像力
- 軸上色収差はF1.4で完全には消えない
- 開放時の周辺光量低下と点光源の描写
- ナノクリスタルコートと逆光性能
- AF-SとF1.4の浅い被写界深度
- Eタイプの電磁絞りと対応ボディ
- 手ブレ補正を搭載していない
- 最短撮影距離1.0mと最大撮影倍率0.13倍
- DXボディでは約157.5mm相当の画角になる
- ZシリーズではFTZ・FTZ IIを介して使用できる
- AF-S NIKKOR 85mm f/1.4Gとの違い
- NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaとの違い
- 中古でAF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDを買うときの注意点
- AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDが向いている撮影
- まとめ
AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDの基本スペック
| 焦点距離 | 105mm |
| 開放F値 | F1.4 |
| 最小絞り | F16 |
| 対応フォーマット | FX・DX |
| レンズ構成 | 9群14枚 |
| EDレンズ | 3枚 |
| コーティング | ナノクリスタルコート、フッ素コート |
| 絞り羽根 | 9枚・円形絞り |
| AF | AF-S・SWM |
| フォーカス方式 | IF |
| 最短撮影距離 | 1.0m |
| 最大撮影倍率 | 0.13倍 |
| 手ブレ補正 | 非搭載 |
| フィルター径 | 82mm |
| 最大径×長さ | 約94.5×106mm |
| 質量 | 約985g |
EDレンズ3枚とナノクリスタルコートを採用した大口径設計
105mm F1.4という仕様は、大きな前玉と高度な収差補正を必要とします。AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDでは14枚のうち3枚にEDレンズを使用し、F1.4で問題になりやすい色収差を抑えています。さらにナノクリスタルコートを採用し、斜めから入る強い光によるゴーストやフレアの低減を狙っています。
前玉と後玉にはフッ素コートも施されており、汚れや水滴、油分を拭き取りやすくしています。人物撮影では屋外へ持ち出すことも多く、大口径前玉を清掃しやすい点は実用上の利点です。一方、このレンズについて「フローティング機構を搭載している」と紹介されることがありますが、公式仕様にはその記載がなく、近距離補正用のフローティング機構を前提に語るのは適切ではありません。
レンズコーティングと特殊光学材料が画質へどのように影響するかは、レンズコーティングの仕組みと効果で詳しく解説しています。
105mmという焦点距離がポートレートで生む効果
105mmは85mmと135mmの中間に位置する中望遠です。人物撮影では、85mmより少し距離を取りながら顔や上半身を大きく写せるため、背景へ入る範囲をさらに狭くできます。135mmほど撮影距離を必要としないため、屋外や広めのスタジオでは扱いやすい焦点距離です。
85mmより背景を整理しやすく135mmより距離を取りすぎない
同じ人物を画面内で同じ大きさに写す場合、105mmは85mmより後ろへ下がります。その結果、背景へ写る範囲が狭くなり、人物の背後にある建物、木、看板などを整理しやすくなります。顔のアップやバストアップでは、背景を単純化しながら人物へ視線を集める構図を作れます。
135mmほど長くないため、人物との距離が極端に離れにくいことも特徴です。モデルへ細かく指示を出しながら撮影する場面では、135mmより105mmの方が会話しやすいことがあります。85mm、100mm、135mmの違いについては、中望遠レンズとは?85mm・100mm・135mmの使い方で詳しく整理しています。
人物の見え方を決めるのは焦点距離だけでなく撮影距離
105mmで人物の顔が自然に見えやすい理由を「望遠だから顔が圧縮される」と説明することがありますが、遠近感を大きく左右するのはカメラと人物の距離です。同じ顔の大きさへ写すため105mmでは撮影者が後ろへ下がり、その結果として鼻、耳、頬などの距離差が相対的に小さくなります。
反対に105mmを使っても、人物へ必要以上に近づけば距離差は残ります。焦点距離だけで人物の見え方が決まるわけではないため、まず人物との距離を決め、その位置から必要な画角として105mmを使う考え方が重要です。撮影距離と遠近感の関係は、被写体との距離で写真はどう変わる?で詳しく解説しています。
F1.4が作る浅い被写界深度と大きな背景ボケ
105mmという焦点距離にF1.4を組み合わせることで、人物と背景の分離は非常に大きくなります。特に顔や上半身を撮影し、人物と背景の間に十分な距離を取ると、背景の形を大きく崩しながら人物を浮かび上がらせることができます。
F1.4は背景をぼかすだけでなく前後のつながりを作る
AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDのボケは、単純に量が大きいだけではありません。ピント位置から前景・背景へ移るにつれて輪郭が徐々にほどけ、人物の周囲を自然につなげやすいことが実写で評価されています。特に背景へ細かな枝や葉がある場面でも、二線ボケが強く出にくく、滑らかに整理しやすい傾向があります。
ただし、F1.4を使えば必ず美しいボケになるわけではありません。人物と背景の距離が近ければ背景の形は残り、明るい点光源を画面周辺へ置けば口径食によって玉ボケが猫の目状になります。F1.4を生かすには、絞り値だけでなく背景までの距離と光源の位置まで見る必要があります。F値とボケ量の関係は、F値とボケ・被写界深度の関係で詳しく紹介しています。
9枚円形絞りでF2やF2.8でもボケを保ちやすい
絞り羽根は9枚の円形絞りで、F1.4から少し絞った状態でも点光源の形を円形に保ちやすくなっています。人物の瞳だけへピントを置きたい場合はF1.4が使えますが、顔の両目や髪の一部までピントを残したい場合にはF2からF2.8へ絞る方が安定します。
105mmでは撮影距離を取っても被写界深度が浅く、人物がわずかに前後へ動くだけで瞳からピントが外れる場合があります。背景ボケを少し減らしてもF2やF2.8で人物全体の完成度が上がる場面は多くあります。ポートレートで絞り値、背景、構図をどう組み合わせるかは、ポートレート撮影完全ガイドで詳しく解説しています。
開放F1.4から使える高い解像力
大口径ポートレートレンズでは、開放時に柔らかな描写を残し、絞ると急激にシャープになる設計もあります。AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDは、その中では開放から解像力を高く維持する方向のレンズです。
F1.4でも中央だけでなく周辺まで解像力を保ちやすい
複数の実写テストでは、F1.4から中央部の解像力が非常に高く、フルサイズ周辺部も大きく崩れない結果が確認されています。人物の瞳、まつ毛、髪の毛などを開放から細かく描写しながら、その前後を大きくぼかせるため、「解像とボケを同時に使う」ことがこのレンズの特徴です。
F2へ絞るとコントラストと解像感がさらに安定し、F2.8からF4では画面全体を使う撮影にも対応しやすくなります。風景や遠景では開放から周辺まで高い性能を持っていますが、最高画質だけを求めるならF4前後まで絞るとさらに均一になります。
同じく解像力と背景ボケの両立を重視した現代の中望遠として、NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaとの違いを見ると、Fマウント世代とZマウント世代の方向性を比較できます。
軸上色収差はF1.4で完全には消えない
EDレンズを3枚使用しているため、一般的な大口径レンズより色収差はよく抑えられています。ただしF1.4という極めて明るい光学系なので、ピント面の前後にマゼンタやグリーンの色づきが出る軸上色収差は残ります。
金属反射や逆光の髪ではマゼンタ・グリーンの色づきが出る場合がある
白い文字と黒い背景、金属の反射、逆光を受けた髪、光沢のあるアクセサリーなどでは、F1.4からF2付近でピント面の前後に色づきが見えることがあります。倍率色収差はかなり小さい一方、軸上色収差は開放付近で完全には消えません。
ポートレートでは背景ボケの中に現れる色づきが大きく目立たない場合もありますが、商品撮影や高コントラスト被写体では確認したい部分です。F2.8からF4へ絞るとかなり改善し、通常撮影では扱いやすくなります。同じF1.4の中望遠で世代の違いを比較するなら、AF-S NIKKOR 85mm f/1.4Gも参考になります。
開放時の周辺光量低下と点光源の描写
大口径105mm F1.4では、開放時に周辺光量低下が発生します。フルサイズでF1.4を使うと四隅が中央より暗くなり、絞ることで改善していきます。一方、人物撮影では周辺が暗くなることで中央の人物へ視線が集まり、必ずしも欠点として現れるわけではありません。
F1.4の周辺減光は人物撮影では表現として利用できる
背景が明るく均一な空や白壁では周辺光量低下が分かりやすくなりますが、自然な屋外ポートレートでは四隅が少し暗くなることで人物の存在感が強くなる場合があります。均一な明るさが必要な商品撮影や複写では補正した方が扱いやすくなります。
点光源については、画面中央では滑らかで均質な玉ボケを作りやすい一方、四隅では機械的口径食によって楕円形や猫の目状になります。少し絞れば形は円形へ近づきますが、開放特有の周辺ボケを表現として使うこともできます。中望遠で背景と点光源を整理する考え方は、中望遠レンズの背景ボケと圧縮表現でも詳しく紹介しています。
ナノクリスタルコートと逆光性能
AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDにはナノクリスタルコートが施され、レンズ内部の反射を抑える設計になっています。逆光ポートレートでは太陽や照明を人物の後方へ置くことが多いため、逆光耐性は実用上重要です。
強い逆光ではゴーストが出る場合があり光源位置の調整が重要
実写では高いコントラストを維持する場面が多い一方、強い光源を画面内や画面端へ置いた場合にゴーストやフレアが出る例もあります。ナノクリスタルコートがあるから逆光を無条件で無視できるレンズというわけではありません。
人物の頭や木の枝で太陽を少し隠す、カメラ位置を数センチ変える、付属フードを使うなどでゴーストの形は大きく変わります。フレアを柔らかな表現として使う場合と、コントラストを維持したい場合を分けて考えることが重要です。コーティングと逆光性能については、レンズコーティングの種類と逆光への影響で詳しく解説しています。
AF-SとF1.4の浅い被写界深度
AFにはSWMを使ったAF-Sを採用し、IF方式なのでピント合わせによって鏡筒長は変化しません。作動音は小さく、人物撮影では十分に静かです。一方、F1.4では被写界深度が非常に浅いため、AF速度以上にピント精度が重要になります。
AFは静かで精度も高いがF1.4では人物のわずかな動きが影響する
実写テストではAF精度は高く評価されており、スタジオ撮影でも外す割合は低いとされています。ただし、AF速度については評価が分かれ、最新世代のボディでは十分速いという報告がある一方、古い一眼レフとの組み合わせでは全域を移動するのに時間がかかるというテストもあります。
F1.4で顔を撮る場合、AFが正確でも人物がシャッター直前に数センチ動くだけで瞳からピントが外れることがあります。一眼レフではAF微調整が必要になる個体もあるため、重要な撮影では開放で実写して確認することが大切です。ピント位置と写真表現の関係は、ピントが作品力を左右する理由で詳しく解説しています。
Eタイプの電磁絞りと対応ボディ
レンズ名の「E」は、電磁絞りを採用していることを示します。従来のGタイプではカメラ側の機械レバーで絞りを駆動しますが、Eタイプではレンズ内部の電磁機構によって絞り羽根を制御します。
高速連写時の絞り精度に有利だが古いボディでは使えない
電磁絞りは連続撮影中でも高精度に絞りを制御しやすく、露出を安定させることが目的です。D850、D780、D750、D500、D7500など多くの後期Fマウントデジタル一眼レフでは問題なく使用できます。一部のD3系、D300系、D700、D800系、D600、D7000などは対応ファームウェアが必要です。
さらに古いデジタル一眼レフやフィルム一眼レフではEタイプの電磁絞りを制御できません。そのためFマウントだからすべてのニコン一眼レフへ完全互換というわけではありません。Fマウント各世代とAF-S・Eタイプの互換性は、ニコンFマウントからZマウントまでの歴史と互換性で詳しく解説しています。
手ブレ補正を搭載していない
AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDにはVRがありません。105mmという中望遠で約985gのレンズを手持ちするため、暗所ではF1.4の明るさを積極的にシャッタースピードへ使う必要があります。
F1.4の明るさをISO低下よりシャッタースピード確保へ使う場面も多い
静止した人物でも完全に動かないわけではないため、1/100秒付近までシャッタースピードを落とすと手ブレだけでなく被写体ブレも発生しやすくなります。人物なら1/250秒前後、動きがある場合は1/500秒以上を基準にし、ISO感度で露出を合わせる方が安定します。
F1.4はF2より1段、F2.8より2段明るいため、暗い室内でもシャッタースピードを大きく稼げます。VRがないことだけを見れば弱点ですが、人物撮影では被写体ブレを止める必要があるため、大口径の光量には別の意味があります。低照度撮影で明るいレンズをどう使うかは、低光量環境での撮影機材と設定で詳しく紹介しています。
最短撮影距離1.0mと最大撮影倍率0.13倍
最短撮影距離は1.0m、最大撮影倍率は0.13倍です。105mmという焦点距離から近接撮影にも強そうに見えますが、マクロレンズではありません。小さな花やアクセサリーを画面いっぱいに写す用途には倍率が足りません。
顔のアップには十分だが小物撮影では寄れない場面がある
1mまで寄れるため人物の顔を大きく撮るには十分ですが、料理や小さな商品を大きく撮りたい場合には撮影倍率0.13倍が制約になります。近距離では被写界深度も非常に浅くなり、F1.4ではピント面が薄いため、小物撮影ではF4前後まで絞る場面が増えます。
最短撮影距離付近では絞り込みに伴う小さなフォーカスシフトが確認されたテストもあります。三脚で静物を厳密に撮る場合は、実際に使用するF値へ絞った状態でライブビューやミラーレスの拡大表示を利用すると確実です。撮影距離と被写界深度の関係は、撮影距離・焦点距離・構図の基本で詳しく確認できます。
DXボディでは約157.5mm相当の画角になる
FX対応レンズなので、D500、D7500、D7200などDXフォーマットの対応ボディでも使用できます。DXでは画角が35mm判換算約157.5mm相当となり、105mmとして使う場合よりかなり狭くなります。
DXではポートレートより舞台や遠距離撮影へ向きやすい
約157.5mm相当になると、顔や上半身を撮る場合でも撮影者はかなり後ろへ下がる必要があります。狭いスタジオや室内では長すぎることがあり、屋外ポートレートや舞台、発表会など距離を取れる撮影で使いやすくなります。
一方、DXではフルサイズの四隅を使用しないため、開放F1.4での周辺光量低下や周辺画質の弱点は見えにくくなります。F1.4の明るさ自体は変わらないため、遠くの人物を暗い会場で撮る用途では強みがあります。85mmから135mm以上の中望遠をどのように使い分けるかは、85mm単焦点の使い道も参考になります。
ZシリーズではFTZ・FTZ IIを介して使用できる
AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDはFマウントなので、Zマウントボディへ直接は装着できません。FTZまたはFTZ IIを使用すれば、対応するZシリーズでAF、電磁絞り、撮影距離情報などを利用できます。
Zボディでは瞳検出AFと組み合わせてF1.4を扱いやすくなる
一眼レフではAFポイントの位置やレンズとボディのAF調整が開放撮影の成功率へ大きく影響します。Zシリーズでは撮像面でAFを行い、対応機種では瞳検出AFも使えるため、F1.4の浅い被写界深度を人物撮影で扱いやすくなります。
また、ボディ内手振れ補正を搭載したZボディでは、レンズにVRがない105mm F1.4でもボディ側の補正を利用できます。ただしAF-SのSWM自体がZレンズのステッピングモーターへ変わるわけではなく、重量もFTZ分だけ増えます。FマウントレンズをZシリーズへ移行して使う方法は、FマウントとZマウントの互換性で詳しく解説しています。
AF-S NIKKOR 85mm f/1.4Gとの違い
Fマウントでポートレート用の大口径単焦点を探す場合、AF-S NIKKOR 85mm f/1.4Gは直接の比較対象になります。どちらもF1.4ですが、105mmの方が焦点距離が長く、レンズ構成や特殊レンズ、重量も大きく異なります。
85mmは取り回し、105mmは背景整理と解像性能に特徴がある
85mm F1.4Gは約595gなので、105mm F1.4E EDより約390g軽く、人物との距離も短くできます。室内、街中、狭いスタジオでは85mmの方が構図を作りやすく、長時間の手持ち撮影でも負担が少なくなります。
105mm F1.4E EDは撮影距離をさらに取り、背景へ写る範囲を狭くできます。EDレンズ3枚を使い、開放F1.4から高い解像力を狙っているため、人物の瞳や髪を明確に描きながら背景を大きくぼかす撮影に向いています。85mm側の描写と特徴は、AF-S NIKKOR 85mm f/1.4Gレビューで詳しく紹介しています。
NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaとの違い
Zマウントへ移行した撮影者にとっては、NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaも高級ポートレートレンズとして比較対象になります。焦点距離とF値が異なるため直接の後継ではありませんが、背景ボケと高解像を両立する方向性には共通点があります。
105mm F1.4は明るさと距離、Plenaは135mmの背景整理とZ設計が特徴
105mm F1.4E EDはPlenaより焦点距離が短く、F1.4まで開くため、撮影距離を抑えながら光量を多く取り込めます。Fマウント一眼レフとZシリーズの両方で使えることも、Fマウント資産を残している人には利点です。
Plenaは135mm F1.8で、さらに背景へ写る範囲を絞り込み、周辺部の玉ボケ形状や点像再現まで強く意識したZマウント専用設計です。撮影距離を十分確保でき、Zシステムだけで人物撮影を行うなら、世代の新しさを生かした選択肢になります。Plenaの描写と設計は、NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plenaレビューで詳しく解説しています。
中古でAF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDを買うときの注意点
比較的新しいFマウントレンズですが、重量が約1kgあるため、落下や衝撃を受けた個体では光軸ずれやマウント部への負担を確認する必要があります。中古価格も安価なレンズではないため、外観だけでなく実写での確認が重要です。
F1.4でAF精度・偏芯・色収差の左右差を確認する
購入前にF1.4で文字や人物の瞳へAFを合わせ、狙った位置へ安定してピントが来るか確認します。一眼レフで使う場合は、ボディとの組み合わせによって前ピン・後ピンが発生することもあるため、複数距離で試します。
遠景をF1.4からF2.8で撮影し、左右の周辺部を比較することも重要です。片側だけ極端に甘い場合は偏芯の可能性があります。内部のカビ、くもり、大きな傷、AF異音、フォーカスリングの引っ掛かり、電磁絞りのエラーも確認します。中古レンズを状態と価格の両面から選ぶ考え方は、カメラとレンズの中古市場を活かす機材選びで詳しく紹介しています。
AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDが向いている撮影
このレンズの特徴を最も生かせるのは、人物と背景の関係を積極的に作る撮影です。屋外ポートレート、ウェディング、ファッション、舞台、自然光を使った人物撮影などでは、105mmとF1.4の組み合わせが直接画面へ現れます。
広い撮影場所を確保できるポートレートで強みが出る
人物の全身を105mmで撮るにはかなり後ろへ下がる必要があるため、狭い部屋や小規模スタジオには向きません。公園、広いスタジオ、街中の開けた場所など、人物と撮影者、背景それぞれに距離を取れる場所で使いやすくなります。
反対に、そうした空間が確保できれば、背景を整理しながら人物の存在感を強くできます。F1.4だけを常用する必要はなく、F2、F2.8、F4と絞りながら顔全体のピント範囲と背景の残し方を調整すると、105mmをより幅広く使えます。人物撮影全体の組み立て方は、ポートレート撮影完全ガイドで詳しく解説しています。
まとめ
AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDは、105mm F1.4という独自性の高い仕様を持つFマウントの大口径中望遠単焦点です。9群14枚、EDレンズ3枚、9枚円形絞り、ナノクリスタルコート、フッ素コート、SWM、IF、電磁絞りを採用し、最短撮影距離1.0m、最大撮影倍率0.13倍、82mmフィルター、約985gという構成です。
開放F1.4から高い解像力を持ち、人物の瞳や髪を細かく描写しながら、背景を大きく滑らかにぼかせることが最大の特徴です。85mmより撮影距離を取りやすく、背景へ写る範囲をさらに整理しながら、135mmほど人物から離れずに撮影できます。
一方、F1.4では軸上色収差が完全には消えず、フルサイズでは周辺光量低下も確認できます。最短撮影距離付近ではわずかなフォーカスシフトもあるため、近距離で絞って厳密に撮る場合はピント確認が必要です。手ブレ補正もないため、暗所ではF1.4の明るさを使ってシャッタースピードを確保することが重要です。
Eタイプの電磁絞りを採用しているため、古いFマウントボディでは互換性に制限があります。対応するデジタル一眼レフではAFと電磁絞りを利用でき、FTZまたはFTZ IIを介せばZシリーズでも使用できます。Zボディの瞳検出AFやボディ内手振れ補正を使うことで、F1.4の浅い被写界深度を一眼レフ時代とは違う方法で活用できます。
85mm F1.4Gと比べると大きく重い一方、105mmによる背景整理とEDレンズ3枚を使った高い描写性能が特徴です。Z 135mm F1.8 S Plenaと比べれば設計世代は古くなりますが、F1.4の明るさ、105mmという距離感、FマウントとZマウントの両方で使える柔軟性には現在も独自の意味があります。
AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDは、小型軽量や万能性を求めるレンズではありません。約1kgの重量と長い撮影距離を受け入れ、人物と背景の位置関係を丁寧に作ることで、解像した人物と大きな背景ボケを同時に描ける、Fマウントを代表するポートレート向け大口径単焦点です。



