F値とは?絞りで変わる明るさ・ボケ・被写界深度と設定の目安をわかりやすく解説
F値とは、カメラレンズの絞りの状態を表す数値です。F1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8などと表示され、写真へ取り込む光の量や、ピントが合って見える範囲、背景のぼけ方に大きく関係します。
カメラを使い始めたときに分かりにくいのが、「F値は小さいほど絞りが開き、大きいほど絞りが閉じる」という数字と開口部の関係です。
例えばF2では多くの光を取り込めますが、F8では絞りが小さくなり、同じ時間に取り込める光は少なくなります。その代わり、F値を大きくするとピントが合って見える範囲を広げやすくなります。
人物撮影ではF1.8やF2.8で背景をぼかし、風景ではF5.6からF11付近で広い範囲を鮮明に写すなど、撮影目的によってF値を使い分けます。
一方、背景ボケはF値だけで決まりません。焦点距離、被写体までの距離、被写体と背景との距離なども関係します。また、絞れば絞るほど画質が良くなるわけでもなく、絞りすぎると回折によって細部の解像感が低下することがあります。
この記事では、F値とは何かという基本から、F値と明るさ、被写界深度、背景ボケ、シャッタースピード、ISO感度との関係、ポートレートや風景、夜景での設定目安まで詳しく解説します。
F値とはレンズの絞りを表す数値
- F値が小さいほど絞りが開いて多くの光を取り込める
- F値が大きいほど絞りが閉じて取り込む光が少なくなる
- F値は明るさだけでなく被写界深度にも関係する
F値が小さいほどレンズの絞りは大きく開く
F値は、レンズを通る光の量を調整する絞りを数値で表したものです。
代表的な数値にはF1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16などがあります。
数字だけを見るとF1.8よりF8の方が大きいため、F8の方が大きく開いているように感じるかもしれません。しかし実際には逆で、F値が小さいほど絞りは大きく開きます。
F1.8やF2.8ではレンズ内部の開口部が大きくなり、多くの光を撮像センサーへ届けられます。F8やF11では開口部が小さくなり、通過する光量が減ります。
F値は焦点距離を有効口径で割った値として表されます。そのため、数字が小さいほど焦点距離に対して大きな口径を持つ状態になります。
実際の撮影では計算式を覚える必要はありません。「F値を小さくすると開く」「F値を大きくすると絞る」という関係を覚えておけば十分です。
ISO感度やシャッタースピードを含めた露出全体の関係はISO感度・F値・シャッタースピードの関係でも詳しく解説しています。
開放F値はそのレンズで使用できる最も小さいF値
レンズの商品名には、RF50mm F1.8 STMやEF85mm F1.8 USMのようにF値が記載されています。
このF1.8は、そのレンズで使用できる最も小さいF値を表しており、開放F値と呼ばれます。
開放F1.8のレンズならF1.8まで絞りを開けられ、そこからF2、F2.8、F4、F5.6などへ絞って撮影できます。
F1.2やF1.4のような開放F値が小さいレンズは、多くの光を取り込めるため「明るいレンズ」と呼ばれます。暗い室内や夕方でもシャッタースピードを確保しやすく、背景を大きくぼかした撮影にも使いやすくなります。
開放F値が小さいレンズほど常に優れているという意味ではありません。大口径化するとレンズが大きく重くなりやすく、用途によってはF2.8やF4でも十分です。
自分がどの程度の明るさと背景ボケを必要としているのかを考えることが、レンズ選びでは重要になります。
明るい単焦点レンズの特徴については単焦点レンズの特徴と使い方でも紹介しています。
F値は1段変えると取り込む光量が2倍または半分になる
F値には「段」という考え方があります。
F1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8、F11という並びでは、一つ隣のF値へ変更するごとに光量が半分または2倍になります。
例えばF2.8からF4へ1段絞ると、同じ時間に取り込める光量は半分になります。反対にF4からF2.8へ1段開ければ光量は2倍になります。
写真の明るさを同じに保つ場合、F2.8からF4へ絞って光量が半分になった分を、シャッタースピードやISO感度で補います。
例えばF2.8・1/250秒・ISO100で適正な明るさだった場面をF4へ変更した場合、ISO感度を変えなければシャッタースピードを1/125秒へ遅くすることで同程度の露出を得られます。
現在のカメラでは1/3段刻みでF値を変更できる機種が多いため、実際にはF2.8から突然F4へ移るのではなく、その間の数値も使用できます。
シャッター速度を変えたときの光量の関係はシャッタースピードの基本と使い方でも確認できます。
F値を変えると背景ボケと被写界深度が変わる
- 小さいF値では被写界深度が浅くなりやすい
- 大きいF値ではピントが合って見える範囲が広がる
- 背景ボケはF値以外の条件にも左右される
小さいF値では背景をぼかして主役を目立たせやすい
F値を小さくすると、ピントを合わせた位置の前後で鮮明に見える範囲が狭くなります。
この範囲を被写界深度と呼びます。
例えば人物の目へピントを合わせてF1.8で撮影すると、顔にはピントが合っていても、後ろにある木や建物は大きくぼけることがあります。
背景の情報を弱くすることで、見る人の視線を人物へ集めやすくなります。
花や料理、小物の撮影でも同じです。主役だけを鮮明にし、前後をぼかすことで写真の中で何を見せたいのかを明確にできます。
一方、F値を小さくしすぎると、人物の片方の目にはピントが合っていても、もう片方の目がぼけるほど被写界深度が浅くなる場合があります。
背景をぼかすことだけを目的にせず、主役として見せたい範囲が十分に鮮明になるF値を選ぶことが重要です。
背景そのものをどのように整理するかは背景処理で写真の印象を変える方法でも詳しく解説しています。
F値を大きくすると前後へピントが合って見える範囲が広がる
F値をF5.6、F8、F11と大きくすると、被写界深度は深くなります。
人物一人だけではなく複数人を並べて撮る集合写真や、手前から奥まで見せたい風景写真では、ある程度絞った方が必要な範囲を鮮明にしやすくなります。
例えば人物が前後二列に並んでいる場合、F1.8では前列にピントを合わせると後列がぼけることがあります。その場合はF4やF5.6などへ絞り、前後の人物を被写界深度の中へ入れます。
風景でも手前に花があり、遠くに山がある構図では、開放付近よりF8前後へ絞った方が広い範囲を鮮明に写しやすくなります。
F値だけで被写界深度が決まるわけではないため、すべての場面でF8なら十分という固定した数値はありません。
焦点距離や撮影距離を含めて、必要なピント範囲を確認しながら決めます。
ピントと被写界深度の関係についてはピントが写真表現を変える仕組みでも紹介しています。
背景ボケはF値だけでなく焦点距離と撮影距離でも変わる
背景をぼかしたいときにF値だけを見ると、思ったほどぼけないことがあります。
背景ボケにはF値だけでなく、焦点距離、被写体までの距離、被写体から背景までの距離、画面内での被写体の大きさなどが関係します。
同じF4でも、24mmで遠くから人物を撮る場合と、200mmで人物を大きく撮る場合では背景の見え方が大きく異なります。
また、人物が壁のすぐ前に立っている状態では、F1.8を使っても壁の形が残りやすくなります。人物を壁から数m離すことができれば、同じレンズとF値でも背景を大きくぼかしやすくなります。
花や小物では、被写体へ近づくことでも被写界深度が浅くなります。
背景をぼかしたい場合は「F値を下げる」だけでなく、「被写体へ近づく」「背景を遠ざける」「長い焦点距離を使う」という方法も組み合わせます。
撮影距離が写真へ与える影響については被写体との距離で写真が変わる理由でも詳しく解説しています。
撮影シーンによって使いやすいF値は変わる
- 人物では背景と必要なピント範囲から決める
- 風景ではF5.6からF11付近が使いやすい
- 集合写真や物撮りでは被写体全体へピントを合わせる
ポートレートはF1.8からF4付近を目的に合わせて使う
ポートレートでは、背景をぼかして人物を目立たせたい場合に小さいF値がよく使われます。
F1.4やF1.8のレンズなら、開放付近を使うことで背景を大きくぼかせます。特に上半身や顔を大きく写し、人物と背景との距離を取れる場所では効果が分かりやすくなります。
一方、人物写真だから必ず開放で撮る必要はありません。
顔を斜めから撮る場合や、二人以上を撮影する場合には、F1.8では必要な部分までピントが届かないことがあります。
その場合はF2.8やF4まで絞ることで、人物の顔全体や複数人へピントを合わせやすくなります。
旅行先の人物写真では背景を完全にぼかすより、F4やF5.6で建物や景色をある程度残した方が、その場所で撮影したことが伝わる場合もあります。
ポートレートでは「何mmで撮るか」と同時に、「背景をどこまで残すか」からF値を決めます。
室内で人物を撮るときの具体的な考え方は室内ポートレートでのF値の選び方でも紹介しています。
風景写真はF5.6からF11付近を基準に考えやすい
風景写真では、画面の広い範囲を鮮明に見せたいことが多いため、開放から少し絞ったF値が使いやすくなります。
F5.6からF8付近は、被写界深度とレンズの描写性能のバランスを取りやすい範囲です。
手前から奥まで広い範囲を見せたい場合にはF8やF11へ絞る方法があります。
一方、風景だからF16やF22まで絞ればさらに高画質になるわけではありません。
絞りを小さくしすぎると回折の影響によって細部が柔らかく見える場合があります。必要な被写界深度が得られたところで止めることが基本です。
また、風景でも一部分だけを主役にする場合にはF2.8やF4を使い、前景や背景をぼかす表現もできます。
風景写真に決まったF値があるのではなく、どの範囲まで鮮明に見せたいかによって設定を変えます。
風景全体の構図と設定については風景写真の撮り方も参考になります。
集合写真や商品撮影では被写体全体に必要な被写界深度を確保する
集合写真では、最も前にいる人物と最も後ろにいる人物の両方が鮮明に見えるようにF値を決めます。
一列ならF4程度でも十分な場合がありますが、二列、三列と前後の距離が広がればF5.6やF8などへ絞る必要が出てきます。
人数だけでなく、使用する焦点距離と撮影距離によっても必要なF値は変わります。
商品撮影でも同様です。カメラに対して平面に近い被写体なら比較的小さいF値でも全体へピントを合わせられますが、奥行きのある商品を斜めから撮影すると前後のピント差が生まれます。
時計やカメラ、料理などを斜め方向から撮る場合には、絞って被写界深度を確保する方法があります。
絞ると光量が減るため、静物であれば三脚を使ってシャッタースピードを遅くし、ISO感度を低く保つ方法も使えます。
静止した被写体の設定をまとめて確認する場合は静止画撮影の基本テクニックも参考になります。
F値はシャッタースピードとISO感度を一緒に考える
- 絞ると光量が減るためシャッタースピードが遅くなりやすい
- ISO感度を上げれば速いシャッタースピードを確保できる
- AvモードならF値を決めて撮影しやすい
F値を変えると写真の明るさを保つため別の設定も変わる
写真の露出は、F値だけで決まりません。
絞り、シャッタースピード、ISO感度の組み合わせによって、撮像センサーへ記録される明るさが決まります。
例えばF2.8からF8まで絞れば、レンズを通過する光量は大きく減ります。
ISO感度を固定した状態で写真の明るさを同じに保つには、その分だけシャッタースピードを遅くする必要があります。
風景撮影でF8やF11へ絞ったとき、昼間は問題なくても夕方になるとシャッタースピードが1/30秒や1/15秒まで低下することがあります。
被写体が静止していて三脚が使えるならシャッタースピードを遅くできます。
人物や動物など動く被写体ではシャッタースピードを遅くすると被写体ブレが起こるため、ISO感度を上げて必要なシャッタースピードを確保します。
ISO感度と画質の関係についてはISO感度とノイズの関係でも詳しく解説しています。
動く被写体ではF値より必要なシャッタースピードを優先する場合がある
スポーツ、野鳥、子ども、ペットなどを撮影するときは、被写体を止めるためのシャッタースピードが重要です。
例えばF8なら十分な被写界深度を得られる場面でも、光量不足によってシャッタースピードが遅くなれば、動く被写体そのものがぶれてしまいます。
その場合はF5.6やF4へ開いて光量を増やし、シャッタースピードを速くします。
それでも足りなければISO感度を上げます。
撮影設定は一つの項目だけを理想値へ固定するのではなく、失敗したくない要素から順番に決めると分かりやすくなります。
動体なら必要なシャッタースピードを確保し、そのうえで被写界深度に必要なF値を選び、最後にISO感度で明るさを合わせる方法があります。
静止した風景ならF値を先に決め、必要に応じてシャッタースピードを長くすることができます。
動きを止めるための具体的な考え方はシャッタースピードの使い分けでも確認できます。
CanonではAvモードを使うとF値を自分で決められる
CanonカメラでF値を中心に撮影したい場合には、Avモードが使いやすくなります。
Avは絞り優先AEで、撮影者がF値を決めると、カメラが明るさに合わせてシャッタースピードを調整します。
人物ならF1.8やF2.8、風景ならF8というように、撮影表現に必要な絞りを先に決められます。
ISOオートを組み合わせる場合には、カメラがISO感度も調整しながら露出を決めます。
Avモードで注意したいのは、暗い場所でF値を大きくするとシャッタースピードが想定以上に遅くなる場合があることです。
ファインダーや液晶画面に表示されるシャッタースピードも確認し、手ブレや被写体ブレが起きそうならF値を開くかISO感度を上げます。
F値だけでなくシャッタースピードも自分で固定したい場合にはMモードを使用します。
P・Av・Tv・Mの違いはCanonカメラの撮影モード完全ガイドで詳しく解説しています。
F値を変えるとレンズの描写性能も変化する
- 開放では背景ボケと明るさを最大限に利用できる
- 少し絞ると画面周辺まで描写が整うレンズが多い
- 絞りすぎると回折によって解像感が低下する
開放F値ではそのレンズならではの明るさとボケを使える
開放F値は、そのレンズが持つ最大の明るさを利用できる設定です。
F1.2、F1.4、F1.8などの明るい単焦点では、開放で撮影すること自体がそのレンズを選ぶ理由になる場合があります。
暗い室内でもISO感度を抑えながらシャッタースピードを確保しやすく、背景や前景を大きくぼかした表現もできます。
一方、レンズによっては開放付近で周辺光量低下や色収差、コマ収差などが目立ちやすい場合があります。
これは必ずしも欠点だけではありません。開放特有の柔らかさや周辺光量の変化を人物撮影で利用することもできます。
重要なのは「開放は画質が悪い」「絞れば高画質」と単純に決めないことです。
背景ボケ、必要なシャッタースピード、周辺描写などを見ながら、写真の目的に合うF値を選びます。
レンズの解像力や収差を含めた描写性能についてはレンズの光学性能とは何かでも詳しく紹介しています。
開放から1段から2段絞ると描写が整うレンズが多い
多くのレンズでは、開放から1段から2段程度絞ると、画面中央だけでなく周辺部の描写も整ってきます。
例えば開放F1.8のレンズならF2.8からF4付近、F4のレンズならF5.6からF8付近が一つの比較ポイントになります。
これはすべてのレンズで同じという意味ではありません。
現在の高性能レンズには開放から高い解像力を持つ製品も多く、古いレンズでは数段絞ることで大きく改善する場合もあります。
風景や建築物、商品など細部まで鮮明に残したい撮影では、開放だけで撮らずF4、F5.6、F8などを比較すると、そのレンズの描写特性を把握できます。
逆に人物では最大解像力より背景ボケを優先して、あえて開放を使うことがあります。
レンズには一つだけの「最高のF値」があるわけではなく、撮影目的によって最適な絞りは変化します。
絞りと解像力の関係についてもレンズの光学性能と絞りの関係で詳しく解説しています。
F16やF22まで絞ると回折の影響が大きくなる場合がある
被写界深度を深くしたいときにはF値を大きくしますが、絞れば絞るほど細部が鮮明になるわけではありません。
絞り穴が非常に小さくなると、光が回り込む回折という現象の影響が大きくなり、写真全体の細かな解像感が低下します。
F8からF11程度では必要な被写界深度とのバランスを取りやすくても、F16やF22まで絞ると、カメラやレンズによっては拡大したときに細部が柔らかく見えるようになります。
回折がどのF値から目立つかは、センサーの画素ピッチ、レンズ、出力サイズなどによって異なるため、一つの数値で決めることはできません。
風景で手前から奥まで鮮明にしたい場合も、必要以上に絞るのではなく、ピント位置や撮影距離を調整してF値を抑える方法があります。
F値を大きくする目的が光芒を出すことであれば、画質とのバランスを見ながら意図的にF11やF16を選ぶこともできます。
最小絞りと回折については絞りすぎによる回折と解像力の変化でも解説しています。
レンズによって使えるF値の範囲は異なる
- 単焦点にはF1.2やF1.8など明るいレンズが多い
- ズームにはF2.8通しやF4通しのレンズがある
- 可変F値ズームは焦点距離によって開放F値が変わる
単焦点レンズは小さい開放F値を選びやすい
単焦点レンズは焦点距離を一つに限定して設計するため、F1.2、F1.4、F1.8、F2など開放F値の小さい製品が多くあります。
50mm F1.8や85mm F1.8は、標準ズームより多くの光を取り込めるため、室内や夕方の人物撮影でも使いやすくなります。
また、開放F値が小さいことで被写界深度を浅くでき、人物や花、小物を背景から分離した写真を作れます。
単焦点を使う目的は背景をぼかすことだけではありません。
暗い場所でシャッタースピードを速くしたい場合にも、大きな開口部が役立ちます。
例えば同じISO感度なら、F1.8はF4より多くの光を利用できるため、動いている人物やペットを速いシャッタースピードで撮影しやすくなります。
一方、日中の風景ではF1.8の明るさが必要ないため、F5.6やF8へ絞って使用できます。
単焦点のメリットと使い方については標準単焦点レンズの特徴も参考になります。
F2.8通しやF4通しのズームは焦点距離を変えても開放F値が一定
ズームレンズには、70-200mm F2.8や24-105mm F4のようにズーム全域で同じ開放F値を使える製品があります。
これをF2.8通し、F4通しなどと呼びます。
24mmから70mm、70mmから200mmへ焦点距離を変更しても、開放F値が変わりません。
マニュアル露出で撮影している場合でも、ズームしただけで最大開放時の露出が変化しないため、イベントやスポーツ、人物撮影では扱いやすくなります。
特にF2.8通しの望遠ズームは、望遠側でもF2.8を使えるため、屋内スポーツや舞台など光量の少ない場所でシャッタースピードを確保しやすくなります。
F4通しはF2.8より一段暗くなりますが、サイズや重量を抑えやすく、風景や旅行などでは扱いやすい選択肢になります。
ズームレンズは焦点距離だけでなく、開放F値が一定かどうかまで確認すると性格を判断しやすくなります。
F2.8望遠ズームの使い方は70-200mmレンズの使い道でも紹介しています。
F3.5-5.6などの可変F値ズームは望遠側で開放F値が大きくなる
標準ズームや望遠ズームには、F3.5-5.6、F4-7.1など二つのF値が記載された製品があります。
これはズーム位置によって使用できる最小F値が変化するレンズです。
例えばF3.5-5.6なら、広角端ではF3.5まで開けられますが、望遠端ではF5.6が開放になります。
広角側でF3.5に設定したまま望遠側へズームすると、その焦点距離で使用できる開放F値に合わせてF値が大きくなります。
可変F値ズームは一定F値の大口径ズームより小型軽量に設計しやすく、旅行や日常撮影では持ち運びやすさが大きな利点になります。
日中の屋外でF5.6やF8を中心に使うなら、開放F値が変化することが問題にならない場面も多くあります。
レンズ選びでは数字だけで優劣を判断せず、暗所撮影の頻度、重量、焦点距離、必要な背景ボケを合わせて考えます。
標準ズームの焦点距離とF値を考える場合は24-70mmレンズの使い道も参考になります。
夜景や暗い室内ではF値の使い方が変わる
- 手持ちでは小さいF値でシャッタースピードを確保しやすい
- 三脚では絞っても長時間露光で光量を補える
- 夜景の光芒は絞りを利用して表現できる
手持ちの夜景ではF1.4からF2.8など明るい設定が役立つ
夜の街や薄暗い室内を手持ちで撮影する場合には、小さいF値が役立ちます。
F1.4、F1.8、F2、F2.8などへ絞りを開くと多くの光を取り込めるため、同じISO感度でもシャッタースピードを速くできます。
人物が歩いている夜の街では、手ブレ補正だけでは被写体ブレを防げません。
動いている人物を止めるには十分なシャッタースピードが必要なため、絞りを開き、それでも光量が足りなければISO感度を上げます。
夜景だからISO100に固定する必要はありません。
手持ちではブレた低ISO写真より、必要なISO感度を使って鮮明に写す方が目的に合う場合があります。
一方、F1.4では被写界深度が浅くなるため、複数人や立体的な被写体ではF2.8やF4まで絞る必要があります。
暗所では明るさだけでなく、必要なピント範囲とのバランスでF値を決めます。
夜景での露出調整については暗所・夜景撮影の設定方法も参考になります。
三脚を使う夜景ではF5.6やF8へ絞って撮影できる
カメラを三脚へ固定し、建物や街並みなど動かない夜景を撮影する場合には、手持ちほど速いシャッタースピードを必要としません。
F5.6やF8へ絞って光量が減っても、シャッタースピードを1秒、2秒、数秒と長くすることで必要な露出を確保できます。
そのためISO感度を低く保ちながら、画面全体の描写を重視した撮影ができます。
水面を長時間露光すれば滑らかに写り、道路を走る自動車のライトは光跡として残ります。
三脚撮影では「暗いから開放」という考え方だけではなく、動きをどのように記録したいか、どの範囲までピントを合わせたいかでF値を選べます。
風が強く木や花が動いている場合や、人を止めて写したい場合には長時間露光では被写体がぶれるため、再び絞りやISO感度を調整する必要があります。
夜景でも被写体が動くか静止しているかによって適切な設定は変化します。
露出を意図的に調整する考え方は露出補正の基本と使い方でも詳しく解説しています。
街灯や太陽を光芒として写す場合は絞る方法が使える
点光源を光の筋として写す光芒は、絞り羽根によって起こる回折を利用した表現です。
夜景の街灯やイルミネーション、昼間の太陽をF8、F11、F16などへ絞ると、光源から筋が伸びた形になることがあります。
光芒の本数や形はレンズの絞り羽根の枚数や構造によって異なるため、同じF値でもレンズによって見え方が変わります。
絞るほど光芒が明確になる傾向がありますが、F16やF22まで絞れば必ず良い結果になるわけではありません。
回折による解像感の低下も起こるため、F8、F11、F16などを撮り比べて、光芒と画質のバランスを確認します。
太陽を画面へ入れる場合には白飛びしやすいため、ハイライトの状態も確認します。
夜景ではシャッタースピードを調整して光跡と光芒を組み合わせることもでき、絞りは単なる明るさ調整以上の表現手段になります。
逆光や強い光源を画面へ入れる撮影についてはレンズの逆光性能と光学特性も参考になります。
F値は写真で何を見せたいかを基準に決める
F値とは、レンズの絞りの状態を表す数値です。
F値が小さいほど絞りが開き、多くの光を取り込めます。F値が大きいほど絞りが閉じ、取り込める光量は少なくなります。
同時に、F値は被写界深度にも関係します。
F1.4、F1.8、F2.8など小さいF値ではピントが合って見える範囲が狭くなり、背景をぼかした人物や花の撮影に使いやすくなります。
F5.6、F8、F11などへ絞ると被写界深度が深くなり、風景、建築物、集合写真、商品など広い範囲を鮮明に見せやすくなります。
背景ボケはF値だけで決まりません。焦点距離、被写体までの距離、被写体と背景との距離も大きく影響します。
背景をぼかしたい場合には、F値を小さくするだけでなく、被写体へ近づき、背景との距離を広く取ることも有効です。
F値を変えると取り込む光量も変化するため、シャッタースピードとISO感度も一緒に考えます。
人物やスポーツなど動く被写体では、被写体ブレを防げるシャッタースピードを確保するために絞りを開くことがあります。静止した風景を三脚で撮る場合には、絞って光量が減ってもシャッタースピードを長くできます。
また、レンズの画質もF値によって変化します。
開放では明るさと大きなボケを利用でき、少し絞ると周辺まで描写が整うレンズが多くあります。さらに絞ってF16やF22付近になると、回折によって細部の解像感が低下する場合があります。
そのため「背景をぼかすなら常に開放」「風景なら可能な限り絞る」という固定した使い方ではなく、写真の目的からF値を選ぶことが重要です。
人物の背景をぼかしたいのか、人物と景色を両方見せたいのか、風景全体を鮮明にしたいのか、暗い場所で速いシャッタースピードが必要なのかを先に決めます。
その目的が決まれば、F1.8、F2.8、F4、F5.6、F8、F11という数字が単なる設定値ではなく、写真の見せ方を変えるための道具として使えるようになります。



