単焦点レンズの魅力と難しさ|ズームとの違い・焦点距離別の選び方・使い方を徹底解説
単焦点レンズは、焦点距離を変えられないレンズです。35mmなら35mm、50mmなら50mmという一つの焦点距離で撮影するため、ズームレンズのようにリングを回して画角を変更することはできません。その不便さを感じながらも、単焦点レンズを好んで使い続ける写真愛好家は少なくありません。
単焦点レンズには、明るい開放F値、大きな背景ボケ、軽量で持ち歩きやすい製品、一つの焦点距離に特化した描写などの魅力があります。さらに、撮影する位置や被写体との距離を自分で考えるようになるため、構図を作る感覚を身につけやすいことも特徴です。
その反面、狭い室内では後ろに下がれず、人物の全身が入らないことがあります。明るいレンズはピント合わせが難しくなる場合があり、高性能な大口径レンズでは価格や重量も問題になります。この記事では、単焦点レンズの魅力と難しさ、ズームレンズとの違い、焦点距離別の特徴、撮影方法、購入時の選び方まで詳しく解説します。
単焦点レンズとは?ズームレンズとの基本的な違い
単焦点レンズとズームレンズの最も大きな違いは、焦点距離を変更できるかどうかです。焦点距離は写る範囲や被写体の大きさに関係するため、この違いは撮影中の操作だけでなく、写真の作り方そのものにも影響します。まずは両者の特徴を整理します。
単焦点レンズは一つの焦点距離だけで撮影する
単焦点レンズは、焦点距離が固定されたレンズです。50mmの単焦点なら、レンズを操作して35mmや85mmに変更することはできません。被写体が画面の中で小さく感じられた場合は近づき、大きすぎる場合は離れて構図を調整します。
24-70mmや24-105mmといったズームレンズは、撮影位置を変えずに焦点距離を変更できます。旅行先の広い風景を撮った直後に人物を大きく写すなど、異なる画角を一つのレンズで使えることが利点です。動く被写体や撮影場所が限られる状況では、この柔軟性が撮影の成功率につながります。
単焦点レンズの価値は、ズーム機構がないことを我慢する点だけではありません。一つの焦点距離に合わせて光学系を設計できるため、明るさや携帯性、描写の個性を追求した製品が数多く存在します。キヤノンRFマウントの単焦点には、小型のスナップ用から大口径のポートレート用まで幅広い種類があります。製品ごとの特徴は、RF単焦点レンズの特徴と活用方法でも紹介しています。
単焦点とズームでは撮影の自由度が異なる
ズームレンズの大きな魅力は、撮影する場所を変えなくても画角を調整できることです。例えば24-70mmを装着していれば、風景を広く写す24mmから、人物の周囲を整理しやすい70mmまで連続して変更できます。撮影中に被写体との距離を変えられない場合には、非常に便利です。
単焦点レンズでは、画角を変更したいときに撮影位置を動かすか、別の焦点距離のレンズへ交換します。35mm、50mm、85mmの3本を持っていれば異なる画角を使えますが、交換には時間がかかります。雨や砂ぼこりの多い場所では、レンズ交換そのものを減らしたい場合もあります。
単焦点は上級者向けで、ズームは初心者向けという区分には意味がありません。撮影場所を自由に動けるスナップや静物では単焦点の特徴を生かしやすく、イベントや旅行ではズームの柔軟性が役立ちます。どちらが優秀かではなく、何をどのような条件で撮影するかが選択の基準です。実際の用途に応じたレンズ選びは、RFレンズおすすめガイドでも詳しく解説しています。
「足でズームする」はズームリングの操作と同じではない
単焦点レンズの使い方として「足でズームする」という表現が使われます。被写体が小さく写るなら近づき、大きすぎれば離れるという意味ですが、撮影位置の移動と焦点距離の変更は同じ効果ではありません。写真の遠近感や背景の見え方に違いが生じます。
撮影位置を変えずに50mmから85mmへズームすると、被写体は大きく写りますが、手前と奥の物体の遠近関係は基本的に変わりません。これに対して35mmで被写体へ近づき、85mmで離れて同じ大きさに写すと、背景の写る範囲や被写体との位置関係が変わります。人物の顔を近距離で撮ると鼻や頬の立体感が強調されるのも、主に撮影距離の影響です。
単焦点レンズを使うときは、被写体を画面に収めることだけを考えず、背景との距離や撮影位置も合わせて決めます。先に人物が自然に見える距離を選び、その場所から使いたい焦点距離を決める方法も有効です。焦点距離と撮影距離の関係は、被写体との距離で写真が変わる理由で詳しく説明しています。
単焦点レンズの魅力は明るさ・ボケ・描写の自由度
単焦点レンズの魅力として、最初に挙げられるのが開放F値の明るさです。さらに、被写体と背景を分離する大きなボケや、製品ごとに異なる描写の特徴も選ばれる理由になっています。単焦点レンズの性能を理解するときは、F値、撮影距離、解像力、収差を分けて考えることが重要です。
F1.4やF1.8の明るさは暗所撮影でも役立つ
単焦点レンズには、F1.2、F1.4、F1.8、F2など、開放F値の小さい製品が多くあります。F値が小さいほど多くの光を取り込めるため、同じ明るさの被写体ならシャッタースピードを速くするか、ISO感度を低く設定できます。背景を大きくぼかすことだけが、大口径単焦点レンズの利点ではありません。
例えば、開放F1.4とF2.8を比較すると、同じ条件で取り込める光の量は約4倍異なります。F2.8では1/125秒が必要な明るさでも、F1.4なら1/500秒を選べる関係です。室内で動く子どもやペットを撮影する場合、この差は被写体ブレを抑えるうえで大きな意味を持ちます。
手ブレ補正はカメラやレンズの揺れを抑える機能ですが、被写体自身が動くことによるブレは止められません。大口径単焦点でシャッタースピードを確保できれば、動く被写体の輪郭を鮮明に写しやすくなります。F値と露出の関係については、F値による明るさとボケのコントロールで詳しく解説しています。
背景ボケの大きさはF値だけでは決まらない
単焦点レンズの代表的な魅力が、被写体の背景を大きくぼかした写真です。F1.4やF1.8で人物や花を撮影すると、ピントを合わせた部分を際立たせながら、背景の情報を柔らかく整理できます。被写体を周囲から浮き上がらせるような表現は、大口径単焦点の得意分野です。
背景ボケの大きさには、F値のほかに焦点距離、被写体までの距離、背景までの距離、センサーサイズなどが関係します。同じF1.8でも、35mmと85mmを同じ位置から使えば、画角や背景の写り方は異なります。また、被写体と背景の距離を大きく取れば、背景をぼかしやすくなります。
ボケが大きければ必ず良い写真になるわけではありません。背景を完全にぼかすより、人物がどこにいるのか分かる程度に情報を残した方が、写真の意図を伝えやすい場面もあります。背景にある明るい看板や枝の位置を調整することも、F値の変更と同じくらい重要です。背景の整理方法は、写真の背景処理テクニックでも紹介しています。
単焦点レンズだから必ず高画質とは限らない
単焦点レンズはズーム機構がないため、特定の焦点距離に合わせて光学設計を最適化しやすい特徴があります。その結果として、高い解像力や明るい開放F値、特徴的なボケを実現した製品が数多く存在します。しかし、単焦点という理由だけで、すべてのズームレンズを上回る画質になるわけではありません。
現在の高性能ズームレンズには、開放から非常に高い解像力を持つ製品があります。安価な古い単焦点と高性能な新しいズームを比較すれば、解像感や周辺画質でズームが優れる場面もあります。比較するときは、同じ焦点距離、同じF値、同じ撮影距離で撮影することが基本です。
単焦点レンズの描写を評価するときは、中央と周辺の解像力だけでなく、色収差、周辺光量、逆光時のフレア、ボケの輪郭なども確認します。開放では柔らかな描写でも、F2.8やF4へ絞ることでシャープさが増すレンズもあります。具体的な描写の違いは、RF35mm F1.8 MACRO IS STMのポートレート撮影でも確認できます。
単焦点レンズが難しいと感じる理由
単焦点レンズは、焦点距離を変更できないことが最大の制約です。さらに、大口径レンズではピントを合わせる範囲が狭くなり、製品によっては大きさや価格も問題になります。購入してから使いにくいと感じる原因を理解しておくと、撮影目的に合うレンズを選びやすくなります。
狭い室内では構図を作れないことがある
単焦点レンズは画角が固定されているため、撮影場所の広さに影響されます。例えば85mmを使って人物の全身を撮影しようとすると、被写体からある程度離れる必要があります。屋外の広場では問題なくても、小さな部屋では壁や家具があるため、必要な距離を確保できません。
50mmでも同じ問題が起こります。フルサイズでは標準域として扱いやすい焦点距離ですが、室内で複数人を一緒に写したい場合には画角が狭く感じられます。ズームなら24mmや35mmへ変更できますが、50mm単焦点ではレンズを交換するか、撮る範囲を変更する必要があります。
購入前には、撮影したい場所で被写体からどのくらい離れられるかを確認します。85mmがポートレートに適していても、撮影環境が狭ければ35mmや50mmの方が使いやすくなります。中望遠単焦点の撮影距離については、85mm単焦点が使いにくい理由で詳しく紹介しています。
大口径レンズはピント合わせが難しくなる
F1.2やF1.4などの大口径レンズは、背景を大きくぼかせる反面、被写界深度が浅くなります。人物を近距離から撮影した場合、片方の目にピントが合っていても、もう片方の目がわずかにぼけることがあります。顔の向きや撮影距離によって、合焦して見える範囲は変わります。
瞳AFが搭載されたカメラでも、ピントを合わせる位置と必要な被写界深度は別の問題です。瞳AFが正確に働いていても、F1.2で人物が少し動けば、目以外の部分が大きくぼける場合があります。複数人を一度に撮影する場合は、F2.8やF4などへ絞ってピントの合う範囲を確保する方法が有効です。
単焦点レンズを使いこなすうえで重要なのは、開放F値を常に使うことではありません。背景を大きくぼかしたいときは開放付近を使い、顔全体や複数人を鮮明に写したいときは絞るという使い分けが必要です。人物撮影に適した焦点距離とF値の考え方は、キヤノンのポートレートレンズ選びで詳しく解説しています。
単焦点でも大きく重いレンズがある
単焦点レンズはズーム機構がないため、小型軽量に設計しやすい製品があります。特にF1.8やF2.8の標準単焦点、薄型のパンケーキレンズでは、カメラ全体をコンパクトにできます。日常的に持ち歩くレンズとしては、この携帯性が大きな魅力です。
しかし、単焦点レンズがすべて軽いわけではありません。F1.2クラスの大口径レンズや高性能な望遠単焦点では、大きなレンズ群や複雑な光学構成が必要になります。製品によっては一般的な標準ズームより大きく、重く、高価になることもあります。
軽さを重視するなら、開放F値が少し大きくても小型の単焦点を選ぶ方法があります。EF40mm F2.8 STMのようなパンケーキレンズは、極端に大きなボケよりも携帯性を重視した設計です。大口径だけが単焦点レンズの魅力ではないことを示す代表例です。詳しい特徴は、EF40mm F2.8 STMの画質と使い勝手で紹介しています。
単焦点レンズは何mmが使いやすい?焦点距離別の特徴
単焦点レンズを選ぶとき、最初に決めたいのが焦点距離です。24mmや28mmは広い範囲を写しやすく、35mmと50mmは日常撮影に使いやすい焦点距離です。85mmや135mmになると画角が狭くなり、人物や背景を整理した撮影に適した性格が強くなります。
24mm・28mm・35mmは風景と日常スナップに向く
24mmと28mmは広角域の単焦点レンズです。街並み、風景、建築、旅行先の室内など、被写体の周囲まで広く記録したい場面に向いています。撮影位置から大きく離れなくても広い範囲を写せるため、狭い場所でも使いやすい焦点距離です。
35mmは、広角の使いやすさと標準域に近い自然な画角を兼ね備えています。人物だけでなく、その人がいる場所や周囲の雰囲気も写真に残したい場合に適しています。料理、散歩、家族、旅行など、一つのレンズで幅広く撮影したいときにも便利です。
広角レンズで人物へ近づきすぎると、顔の立体感や体の遠近関係が強調されます。特に顔のアップでは、鼻や額が大きく見える場合があるため、撮影距離を確保することが重要です。24mm、28mm、35mmは背景を含めた構図を作る楽しさが大きい焦点距離です。28mmの具体的な用途は、28mm単焦点の使い道で詳しく解説しています。
50mmは最初の単焦点レンズとして選びやすい
50mmは、フルサイズカメラで標準域を代表する焦点距離です。広角ほど周囲を大きく取り込まず、中望遠ほど遠くから撮る必要もありません。人物、スナップ、花、料理、小物、旅行など、日常のさまざまな被写体に対応できます。
50mm F1.8には比較的小型で手頃な製品が多く、標準ズームから単焦点を追加するときにも選びやすい焦点距離です。F1.8を使えば、F4クラスのズームとは異なる背景ボケや暗所撮影の自由度を得られます。大きなボケを使わない場面でも、絞りを調整しながら自然な画角を生かせます。
50mmの弱点は、室内で少し狭く感じられることです。特に全身人物や集合写真では、後ろへ下がるための距離が必要になります。人物の上半身や街中の一部分を切り取る撮影には使いやすいため、自分の撮影環境に合うかを確認します。50mm単焦点の使い方は、RF50mm F1.8 STMの特徴と撮影方法で詳しく紹介しています。
85mm・135mmは人物と背景を整理しやすい
85mmは、人物撮影で広く使われる中望遠の焦点距離です。50mmより画角が狭いため、背景に入る範囲を限定しながら人物を大きく写せます。F1.8やF1.4などの明るいレンズを組み合わせれば、背景を大きくぼかしたポートレートを撮影しやすくなります。
135mmは85mmからさらに画角が狭くなり、背景を整理する効果が強まります。公園や街中で背景に建物や看板が多い場合でも、写る範囲を狭くして人物を際立たせられます。背景との距離を十分に確保すれば、滑らかで大きな背景ボケを利用した写真を作れます。
反面、85mmや135mmは撮影距離を必要とします。135mmで人物の全身を撮影するには、屋外の広場など十分な距離が必要です。室内や狭い通路では使いにくいため、人物撮影の場所に合わせて焦点距離を選びます。135mmの新旧レンズの違いは、RF135mm F1.8 LとEF135mm F2Lの比較で詳しく解説しています。
APS-Cとフルサイズでは単焦点レンズの使い方が変わる
同じ単焦点レンズでも、装着するカメラのセンサーサイズによって写る範囲が変わります。特にキヤノンのAPS-Cカメラでは、フルサイズと比べて画角が狭くなる点が重要です。レンズの焦点距離だけでなく、使用するカメラとマウントの組み合わせを確認して選びます。
キヤノンAPS-Cでは約1.6倍相当の画角になる
キヤノンのAPS-Cカメラでは、フルサイズと比べて同じレンズで写る範囲が狭くなります。35mm判換算では、焦点距離に約1.6を掛けた画角に相当します。レンズそのものの焦点距離が変わるわけではなく、センサーが記録する範囲が異なるという意味です。
例えば28mmは約45mm相当、35mmは約56mm相当、50mmは約80mm相当、85mmは約136mm相当の画角になります。フルサイズでは標準域として使いやすい50mmでも、APS-Cでは中望遠に近い画角になります。人物の上半身には便利ですが、狭い室内で全身を撮影する場合は距離が必要です。
APS-Cで日常スナップ用の単焦点を選ぶなら、24mmから35mm前後が扱いやすい選択肢になります。人物を中心に撮る場合には、50mmを約80mm相当の中望遠として使う方法もあります。カメラとレンズの対応関係は、キヤノンのレンズ対応表でも確認できます。
RF・EFマウントの違いも購入前に確認する
キヤノンの単焦点レンズには、RF、EF、EF-S、EF-Mなど、異なるマウントの製品があります。同じ50mm F1.8という名称でも、RF50mm F1.8 STMとEF50mm F1.8 STMでは装着するマウントが異なります。焦点距離やF値だけを見て購入すると、使用するカメラへ直接装着できない場合があります。
RFレンズはEOS Rシリーズ用のレンズです。EFレンズはEFマウントの一眼レフ用ですが、対応するマウントアダプターを使用することでEOS Rシリーズでも利用できます。EF-Sレンズも対応アダプター経由でEOS RシリーズのAPS-C機などに使用でき、フルサイズEOS RシリーズではAPS-Cクロップが関係します。
中古の単焦点レンズを選ぶ場合は、製品名の最初に付いているマウント名を確認します。さらに、AF方式、手ブレ補正、最短撮影距離、発売時期なども比較すると、自分のカメラとの組み合わせを判断しやすくなります。EFマウントの標準単焦点については、キヤノンEF標準単焦点レンズ一覧で詳しく紹介しています。
マクロ対応の単焦点なら近接撮影も楽しめる
単焦点レンズには、人物や風景だけでなく、花や小物を大きく写すマクロ対応レンズもあります。一般的な単焦点レンズでは近づける距離に限界がありますが、マクロ対応製品では被写体へ接近して撮影できることが特徴です。最短撮影距離と最大撮影倍率を確認することで、どの程度大きく写せるかを判断できます。
例えばRF85mm F2 MACRO IS STMは、85mmの中望遠単焦点として人物撮影に使えるだけでなく、最大0.5倍のハーフマクロ撮影に対応します。人物を撮影した後、そのまま花やアクセサリー、料理の細部を撮るといった使い方ができます。通常のポートレート用単焦点と近接撮影用レンズを兼用できることが魅力です。
マクロ対応の単焦点を選ぶときは、最大撮影倍率だけでなく、被写体との距離やAFの動作も確認します。花や昆虫では被写体に近づくほどピントの合う範囲が狭くなるため、F値の調整も重要になります。人物と近接撮影を兼ねるレンズの例は、RF85mm F2 MACRO IS STMの使い方で詳しく解説しています。
単焦点レンズを使いこなす撮影テクニック
単焦点レンズの魅力は、購入するだけで発揮されるものではありません。一つの焦点距離を使い続けることで、撮影距離や背景の選び方、絞りの調整が身についていきます。ズームできない制約を、構図を考えるための特徴として生かすことが重要です。
被写体だけでなく背景から撮影位置を決める
単焦点レンズで人物を撮影するときは、被写体の表情や姿勢だけでなく背景も確認します。背景に明るい看板や電柱、車、人の姿が入ると、大きくぼかしても写真の印象を損なうことがあります。撮影前に背景を整理しておくと、被写体を目立たせやすくなります。
まず背景を見て、写し込みたいものと除外したいものを考えます。その後、被写体との位置関係を調整しながら撮影場所を決めます。単焦点レンズでは画角が固定されているため、左右へ少し移動したり、撮影する高さを変えたりすることが構図の調整につながります。
広角単焦点では、被写体を大きく写しながら背景まで取り込む方法が有効です。人物のいる街並みや、旅行先の風景と一緒に記録する場合に適しています。画角が広いほど不要なものも入りやすくなるため、画面の四隅まで確認することが大切です。広角単焦点の使い方は、キヤノンRF広角単焦点レンズの表現力でも詳しく紹介しています。
ポートレートでは焦点距離と被写体との距離を調整する
人物撮影では、焦点距離によって撮影する距離と背景の見え方が変わります。35mmでは人物と周囲の風景を一緒に写しやすく、50mmでは人物と背景のバランスを取りやすくなります。85mmになると背景に写る範囲が狭くなり、人物を際立たせた構図を作りやすくなります。
顔のアップを撮影するときは、画角だけを理由に被写体へ近づきすぎないようにします。近距離では鼻や頬の立体感が強調され、人物の印象が変わります。ある程度距離を取って撮影したい場合には、85mmなどの中望遠が適しています。
背景を大きくぼかしたい場合でも、必ず開放で撮る必要はありません。目や髪の毛まで鮮明に写したいときは、F2.8やF4へ絞ることも有効です。焦点距離、撮影距離、背景との距離、F値を組み合わせることで人物写真の表現が変わります。85mmの具体的な撮影用途は、85mm単焦点の使い道で紹介しています。
一つの焦点距離だけで撮影する練習が効果的
単焦点レンズに慣れる方法として、一つの焦点距離だけを使って撮影する練習があります。例えば50mmだけを装着して街を歩けば、広い風景も人物も50mmの画角の中で構図を考えることになります。写したい範囲が収まらない場合は、撮影位置や縦横の構図を工夫します。
焦点距離を固定すると、撮影前にどのくらいの範囲が写るかを予測しやすくなります。ファインダーをのぞく前から構図を考えられるようになるため、スナップ撮影では素早く撮影する感覚にもつながります。ズームを使用しているときには意識しにくい、撮影距離と画角の関係を理解しやすくなります。
散歩や旅行で長時間持ち歩く場合は、小型軽量な単焦点が便利です。薄型レンズならカメラ全体をコンパクトにでき、持ち出す機会も増やしやすくなります。小型単焦点の例として、RF28mm F2.8 STMの特徴と使い方も参考になります。
単焦点レンズを購入するときの選び方
単焦点レンズは、焦点距離、F値、重量、価格、撮影用途によって選択肢が大きく変わります。高価な大口径レンズが、すべての撮影者に適しているわけではありません。購入するときは、普段どのような写真を撮っているかを基準にすると、自分に合う一本を選びやすくなります。
普段使っているズームレンズの焦点距離を確認する
最初の単焦点レンズを選ぶときは、普段使用しているズームレンズの撮影データを確認する方法があります。デジタルカメラの写真には、焦点距離やF値などの撮影情報が記録されています。過去の写真を確認すれば、自分が頻繁に使用している焦点距離を把握できます。
24-105mmを使っていて35mm前後の写真が多ければ、35mm単焦点が候補になります。50mm付近で撮影することが多い場合は、50mm F1.8などが使いやすい選択肢です。人物撮影で望遠側を頻繁に使う場合には、85mmの単焦点を検討できます。
レンズを選ぶときは、評判や人気だけでなく、撮影場所も考えます。屋内中心なら広めの画角が便利で、屋外人物撮影なら中望遠が使いやすくなります。キヤノンの単焦点を価格や用途から比較する場合は、キヤノンの単焦点神レンズおすすめで具体的な製品を確認できます。
中古単焦点レンズは光学系と動作を確認する
単焦点レンズは中古市場にも多くの製品が流通しています。特にキヤノンEFマウントでは、古い50mmや85mmなどが比較的手頃な価格で見つかる場合があります。初めて単焦点レンズを試すときに、中古品を選ぶ方法も有効です。
中古レンズでは、前玉と後玉の傷、内部のカビやクモリ、マウント部分の状態を確認します。細かなホコリが入っているだけなら撮影への影響が小さい場合もありますが、広範囲のクモリやカビは逆光時のコントラスト低下につながります。外観がきれいでも、内部の光学状態が良いとは限りません。
AF対応レンズでは、ピント合わせが正常に動くか、異常音がないかを確認します。絞り羽根の動作や、手ブレ補正を搭載した製品では補正機構も確認が必要です。中古市場の特徴と購入時の確認項目は、中古カメラ・レンズ市場を活用する選び方でも詳しく解説しています。
単焦点とズームは組み合わせて使うと便利
単焦点レンズに魅力を感じても、すべての撮影を単焦点だけで行う必要はありません。旅行、イベント、野鳥、スポーツなどでは、被写体の位置が変わるため、ズームレンズの柔軟性が役立ちます。撮影位置を自由に変更できない場合には、画角を瞬時に変えられることが大きな利点になります。
例えば、普段は24-105mmの標準ズームを使用し、室内人物や背景ボケを重視する場面で50mm F1.8を使う組み合わせがあります。人物撮影を中心にするなら、標準ズームと85mm単焦点を組み合わせる方法も便利です。レンズ交換を減らしたい日にはズームを使用し、特定の表現を楽しみたい日に単焦点を選べます。
望遠撮影では、70-200mmなどのズームを利用すると、撮影位置を変えずに構図を調整できます。同じ範囲を複数の単焦点で対応しようとすると、レンズ交換中に撮影機会を逃すことがあります。ズームと単焦点は優劣を競うものではなく、撮影目的に応じて役割を分ける機材です。望遠ズームの実用的な違いは、EF70-200mm F2.8L IS IIIとII型の比較でも解説しています。
まとめ
単焦点レンズは、焦点距離を変えられないという制約を持つレンズです。その代わり、明るい開放F値、大きな背景ボケ、小型軽量な設計、一つの焦点距離に特化した描写など、ズームレンズとは異なる特徴があります。
単焦点レンズの魅力は、単純にズームレンズより高画質という点だけではありません。焦点距離が固定されていることで、撮影する位置や被写体との距離、背景の選び方を考えるようになります。撮影を重ねることで、一つの画角を深く理解できることも大きな価値です。
24mmや28mmは風景や旅行、35mmは日常のスナップ、50mmは人物や小物まで幅広い撮影に向いています。85mmや135mmは背景を整理したポートレートに適しています。APS-Cカメラでは画角が狭くなるため、使用するボディに合わせて焦点距離を選ぶことも重要です。
初めて単焦点レンズを購入する場合は、普段使っているズームレンズの焦点距離を確認すると選びやすくなります。価格や性能だけでなく、撮影場所、重量、最短撮影距離、マウントの対応関係も比較します。ズームレンズと単焦点レンズを使い分けながら、自分の撮影に合った焦点距離を見つけることが、写真表現を広げるための基本です。



