写真の撮り方を基本から解説|構図・F値・シャッタースピード・ISO・ピントの使い方
写真を上手く撮るために、高価なカメラやレンズを最初からそろえる必要はありません。
写真の見え方を決めている基本要素を理解し、それぞれを撮影目的に合わせて使えるようになることが重要です。
特に覚えたいのが、構図、F値、シャッタースピード、ISO感度、ピント、焦点距離、撮影距離、光です。
これらは別々の知識に見えますが、実際の撮影ではすべてがつながっています。
人物を撮るなら、どこへ立つかを決め、焦点距離を選び、背景をどこまで入れるか考えます。次にF値で背景の見え方を調整し、シャッタースピードで人物の動きを止め、必要に応じてISO感度を上げます。
風景なら、どの範囲を写すかを決め、構図を整え、必要な被写界深度を考えてF値を選びます。
写真撮影は、カメラに全部任せることもできます。一方で、それぞれの設定が写真へどう影響するのかを理解すると、自分の意図に近い写真を作れるようになります。
この記事では、写真の撮り方を基本から順番に解説します。
写真を撮るときは最初に構図と撮影位置を決める
- 最初に主役を決めて画面内の配置を考える
- 撮影者自身が動くことで背景と被写体の関係が変わる
- 焦点距離を変える前に撮影位置を確認する
写真の主役を一つ決めてから構図を作る
写真を撮るときに最初に考えたいのは、「何を見せたい写真なのか」です。
人物を撮るなら人物が主役です。花を撮るなら花、風景なら山や建物、料理なら皿の上の料理など、画面の中で最も見せたいものを決めます。
主役が決まったら、その周囲に何を残すかを考えます。
背景に不要な看板や車が入っていれば、自分が少し左右へ移動するだけで画面外へ外せることがあります。
人物を画面中央へ置く方法もありますが、左右どちらかへ少し寄せることで背景との関係が見えやすくなる場合もあります。
構図は決められた型へ当てはめる作業ではありません。主役へ視線が集まり、写真の中で何を見せたいのかが伝われば成立します。
三分割構図、日の丸構図、対角線構図などは、そのための考え方として利用できます。
構図を考えるときは、画面の端まで確認します。主役だけを見ていると、端から電柱や人が中途半端に入ることがあります。
写真全体を見ながら整理することが重要です。
焦点距離によって画面へ入る範囲も変わるため、焦点距離と画角の違いも合わせて理解すると構図を作りやすくなります。
撮影者自身が前後左右へ動くと写真が大きく変わる
ズームレンズを使っていると、立った場所からズームリングを回して被写体の大きさを調整しがちです。
それでも写真を大きく変えたい場合は、自分自身が動くことが重要です。
人物へ近づけば人物は大きくなり、後ろへ下がれば背景を含めやすくなります。
左右へ移動すると、人物の後ろにある建物、木、看板などの位置関係が変化します。
数歩移動しただけでも、人物の頭から電柱が生えているように見える構図を避けられることがあります。
風景でも同じです。
手前にある花へ近づけば花を大きく見せながら奥の山を入れられます。少し高い位置から撮れば、手前の障害物を避けられる場合があります。
写真を撮るときは、カメラの設定だけを見るのではなく、自分がどこに立っているかも撮影条件の一つとして考えます。
撮影距離によって被写体と背景がどのように変わるかは、撮影距離で写真がどう変わるかで詳しく解説しています。
焦点距離は被写体の大きさだけで決めない
焦点距離を変えると、写る範囲が変わります。
24mmでは広い範囲が写り、50mmでは狭くなり、200mmでは遠くの一部分を大きく切り取れます。
この違いを単純に「近く写る」「遠く写る」と考えるだけでは、焦点距離を十分に使い分けられません。
広角では周囲の景色を広く入れやすく、被写体と背景の関係を見せる写真に向いています。
望遠では画面へ入る範囲が狭くなり、背景の不要な部分を外しながら主役を強調できます。
人物撮影でも、35mmなら人物と場所を一緒に見せ、85mmなら人物そのものを強く見せるという使い分けができます。
ズームレンズなら、同じ場所で複数の焦点距離を試せます。
24-70mmなどの標準ズームを使う場合には、24-70mmレンズの使い道を見ると、焦点距離による写真の変化を具体的に確認できます。
F値を理解すると背景ぼけとピントの範囲を調整できる
- F値を小さくすると背景をぼかしやすくなる
- F値を大きくすると前後へピントが合う範囲が広がる
- 撮影目的によってF値を使い分ける
F値を小さくすると背景をぼかした写真を作りやすい
F値はレンズからカメラへ入る光の量を調整する数値です。
F1.8、F2.8、F4、F5.6、F8などで表示されます。
数字が小さいほど絞りが開き、多くの光を取り込めます。
F値を小さくすると、ピントが合って見える前後の範囲が狭くなります。
人物の目にはピントが合い、後ろの木や建物がぼける写真を作りやすくなります。
人物、花、料理、小物など、主役を背景から浮き上がらせたい撮影で利用できます。
背景ぼけはF値だけで決まりません。
焦点距離、被写体までの距離、被写体と背景までの距離も影響します。
同じF2.8でも24mmで遠くから撮る場合と、70mmで近づいて撮る場合では背景のぼけ方が変わります。
F値の仕組みと背景ぼけについては、F値とボケの関係で詳しく解説しています。
F値を大きくすると風景などで広い範囲へピントを合わせやすい
F値をF8やF11などへ大きくすると、ピントが合って見える前後の範囲が広がります。
この特徴は風景撮影で役立ちます。
手前の岩から遠くの山まで、画面の広い範囲をはっきり見せたい場合にはF値をある程度大きくします。
建築物、商品撮影、複数人を並べた集合写真などでも、被写体全体へピントを合わせたい場合に利用できます。
F値を大きくするとカメラへ入る光が減ります。
そのためシャッタースピードが遅くなったり、ISO感度が上がったりします。
暗い場所でF11やF16まで絞ると、手持ちでは手ブレしやすくなることがあります。
写真全体をシャープにしたいからといって、常に最大まで絞れば良いわけでもありません。
まずF5.6やF8付近から試し、必要なピント範囲に応じて調整します。
風景撮影全体の考え方は、風景写真の撮り方も参考になります。
人物・風景・スナップでF値を使い分ける
F値は被写体によって使い分けると分かりやすくなります。
人物一人を撮り、背景をぼかしたい場合はF1.8からF2.8付近を試します。
二人以上の人物を撮る場合には、全員の顔へピントが合うようにF4やF5.6へ絞る方法があります。
風景ではF5.6からF11付近を使い、画面全体を見せます。
街中のスナップではF4からF8付近にしておくと、少し前後へ動いた被写体にも対応しやすくなります。
最適なF値は一つに決まりません。
レンズの焦点距離、被写体との距離、背景との距離、必要なシャッタースピードによって変わります。
撮影時には、最初に「背景をぼかしたいのか」「全体を見せたいのか」を決め、その目的に合わせてF値を選びます。
F値を自分で決めながら撮影する場合には、絞り優先Avモードの使い方も覚えておくと便利です。
シャッタースピードで動きを止めるか流すかを決める
- 速いシャッタースピードなら動く被写体を止めやすい
- 遅いシャッタースピードでは動きを写真として表現できる
- 手持ち撮影では手ブレも意識する
動く被写体は速いシャッタースピードで止める
シャッタースピードは、イメージセンサーへ光を当てる時間です。
1/125秒、1/500秒、1/1000秒などで表示されます。
人物が歩いている場面、子ども、動物、スポーツ、鉄道、航空機、飛んでいる鳥など、被写体が動く場合には速いシャッタースピードを使います。
たとえば止まっている人物なら1/125秒程度でも撮影できますが、走っている人物では1/500秒や1/1000秒が必要になることがあります。
鳥の飛翔や高速スポーツではさらに速いシャッタースピードを使う場面もあります。
重要なのは、手ブレ補正があっても被写体の動きは止められないことです。
レンズやボディの手ブレ補正はカメラの揺れを抑える機能です。
被写体が動いている場合はシャッタースピードそのものを速くする必要があります。
具体的な使い分けは、シャッタースピードの基本と使い方で詳しく解説しています。
遅いシャッタースピードを使うと動きを写真へ残せる
シャッタースピードを遅くすると、動いている物が流れて写ります。
滝や川では水が滑らかにつながったように見えます。
夜の道路では車のライトが線として残ります。
鉄道や車を追いながら撮る流し撮りでは、被写体をある程度止めながら背景を流すことができます。
このような写真では、ブレを完全に消すのではなく、動きを表現として利用します。
1/30秒、1/15秒、1秒など、被写体に合わせてシャッタースピードを変えます。
長時間露光では三脚が必要になることもあります。
同じ被写体でも高速シャッターと低速シャッターで撮り比べると、写真の印象が大きく変わります。
動く被写体を撮る方法については、動体撮影の基本テクニックも参考になります。
手持ちでは焦点距離に合わせて手ブレを防ぐ
シャッタースピードは被写体の動きだけでなく、撮影者の手ブレにも関係します。
広角レンズでは多少カメラが動いても画面内で目立ちにくい一方、望遠レンズでは小さな揺れが大きく見えます。
50mmと500mmでは、同じシャッタースピードでも手ブレの出やすさが大きく変わります。
現在のカメラやレンズには強力な手ブレ補正を備えたものがありますが、撮影姿勢も重要です。
カメラを両手で持ち、脇を軽く締め、シャッターを押す瞬間に強く力を入れないようにします。
望遠撮影では一脚や三脚を使う方法もあります。
特に400mm、500mm、600mmと焦点距離が長くなるほど、カメラのわずかな動きが構図へ影響します。
超望遠での撮影方法は、600mmレンズの使い道を見ると、望遠域でのシャッタースピードの考え方を具体的に確認できます。
ISO感度は必要なシャッタースピードを確保するために使う
- ISO感度を上げると暗い場所でも撮影しやすくなる
- ISOを低くすることよりブレを防ぐことを優先する
- ISO AUTOを使えば撮影へ集中しやすい
ISO感度を上げると暗い場所でも速いシャッターを使える
ISO感度は、撮影時の明るさを調整する要素の一つです。
ISO100、200、400、800、1600、3200などで設定します。
明るい屋外ではISO100でも十分なシャッタースピードを確保できます。
夕方や室内になると光量が減り、同じF値ではシャッタースピードが遅くなります。
そこでISO感度を上げます。
ISO100からISO400へ上げれば、同じF値でも速いシャッタースピードを使えるようになります。
人物や動物など動いている被写体では、ISO感度を上げてでもシャッタースピードを確保することが重要です。
ISO感度を上げるとノイズは増えますが、被写体ブレした写真は後から修正しにくくなります。
ISO感度と画質の関係については、ISO感度と露出の基本で詳しく解説しています。
ISOを最低値に固定すると写真がぶれることがある
高画質で撮りたいと考えると、ISO100へ固定したくなることがあります。
明るい場所では問題ありません。
暗い場所ではISO100を維持するためにシャッタースピードが遅くなり、手ブレや被写体ブレが発生することがあります。
人物撮影なら、多少ノイズがあっても目や顔がしっかり止まっている写真の方が使いやすくなります。
写真を見るときに最初に気になるのは、ISOの数字ではなく、ピントが合っているか、ブレていないか、構図がまとまっているかです。
ISO感度は画質を下げる悪い設定ではありません。
必要なシャッタースピードを確保するための撮影設定として使います。
高ISOで発生するノイズをどう考えるかは、ノイズリダクションと画質の関係も参考になります。
ISO AUTOを使えばF値とシャッタースピードへ集中できる
撮影に慣れていない場合はISO AUTOを積極的に使えます。
AvモードならF値を自分で決め、カメラがシャッタースピードとISO感度を調整します。
MモードでもISO AUTOを利用できるカメラなら、F値とシャッタースピードを固定し、明るさの変化をISO感度へ任せる撮影ができます。
野鳥やスポーツのように被写体の動きを止めたい場合には、必要なシャッタースピードを固定してISO AUTOを使う方法が便利です。
風景で三脚を使う場合にはISO100へ固定するなど、撮影目的によって使い分けます。
カメラのモードをどう使えばいいか迷う場合には、カメラの撮影モードの使い分けも合わせて確認すると整理しやすくなります。
ピントは写真の主役へ合わせる
- 人物では目にピントを合わせる
- 止まっている被写体と動く被写体でAFを使い分ける
- AFが難しい場面ではMFも利用できる
人物や動物では目へのピントを優先する
人物や動物を撮る場合、基本的には目へピントを合わせます。
顔全体が写っていても、目のピントが外れていると写真全体がぼんやりした印象になります。
現在のミラーレスカメラには瞳AFや被写体認識AFが搭載されているモデルが多く、人物や動物の目を自動的に追跡できます。
一眼レフや古いカメラでは、撮影者自身が測距点を選び、目の位置へ合わせます。
F1.4やF1.8など開放F値が小さいレンズでは、ピントが合って見える範囲が狭くなります。
顔を斜めから撮る場合には、手前側の目へ合わせる方法が基本です。
AF測距点とピント合わせについては、フォーカスポイントの選び方と使い方も参考になります。
動く被写体では追従AFを使う
止まっている被写体と動いている被写体ではAFの使い方が変わります。
Canonでは、止まっている被写体にはワンショットAF、動く被写体にはサーボAFを使います。
一眼レフではAIサーボAFという名称が使われているモデルもあります。
人物がこちらへ歩いてくる場面、走っている動物、スポーツ、鉄道、航空機、野鳥などでは、被写体との距離が変化し続けます。
サーボAFならシャッターボタンを半押ししている間などにピントを追従できます。
被写体認識AFを備えたカメラでは、人物、動物、乗り物など対象を設定することで追いやすくなります。
野鳥撮影でのAF設定は、EOS R7の野鳥撮影設定を見ると、動体AFの具体例を確認できます。
AFが合わない場面ではMFを使う
AFは便利ですが、すべての場面で確実に合うわけではありません。
暗い場所、コントラストが低い被写体、ガラス越し、金網越し、マクロ撮影などではAFが迷うことがあります。
その場合はMFへ切り替え、自分でピントリングを回します。
ミラーレスカメラでは拡大表示やMFピーキングを使えるモデルがあり、細かいピント合わせをしやすくなっています。
星空や夜景、商品撮影など、カメラと被写体の位置が変わらない場面でもMFが便利です。
一度正確に合わせれば、その後AFが別の場所へ動くことを防げます。
AFとMFの使い分けについては、AFとMFの違いと使い分けも参考になります。
光の方向を見ると同じ被写体でも写真の印象が変わる
- 順光では色や形を分かりやすく写せる
- 斜光では立体感を作りやすい
- 逆光では輪郭や透明感を生かせる
順光は被写体の色や形をはっきり見せやすい
撮影者の後ろから被写体へ光が当たる状態を順光といいます。
被写体全体へ光が当たりやすく、色や形をはっきり写せます。
青空、建物、風景、商品など、被写体そのものを分かりやすく見せたい撮影で使いやすい光です。
一方で、正面から均等に光が当たると陰影が少なくなり、平面的に見えることもあります。
人物では太陽が正面にあるとまぶしくなり、表情が硬くなることがあります。
少し光の方向をずらしたり、日陰を利用したりすると撮りやすくなります。
風景写真で光をどう使うかは、風景写真の撮り方も参考になります。
斜めからの光は人物や物へ立体感を作れる
被写体の斜め前や横から光が当たると、明るい面と暗い面ができます。
人物の顔、建物、料理、商品などへ陰影が生まれ、形を立体的に見せやすくなります。
朝や夕方は太陽の位置が低いため、横方向から光が入りやすくなります。
風景では山や建物へ長い影ができ、昼間とは異なる立体感を作れます。
料理や小物を窓際で撮る場合にも、窓を真後ろではなく横へ置くと陰影を作りやすくなります。
光そのものを写真の構成要素として考えると、同じカメラとレンズでも写真の印象を大きく変えられます。
室内撮影での明るさとF値については、室内ポートレートのF値と撮り方も参考になります。
逆光は人物や花の輪郭を印象的に見せられる
被写体の後ろから光が入る状態が逆光です。
逆光では人物の髪や花びらの輪郭が光り、透明感のある写真を作れます。
夕日の中に人物を置き、背景を明るくする撮影にも使えます。
逆光ではカメラが背景の明るさに影響され、人物の顔が暗く写ることがあります。
その場合は露出補正をプラス側へ調整します。
背景の明るい部分が白く飛びすぎる場合には、露出を少し下げてRAWで撮影し、後から明るさを調整する方法もあります。
光の方向と露出を組み合わせると、単純に被写体を記録するだけでなく、雰囲気のある写真を作れます。
逆光時の明るさ調整を理解するには、測光モードと露出の使い分けも参考になります。
写真は構図・露出・ピント・光を順番に考えると撮りやすい
写真を撮るときに、すべての設定を同時に考える必要はありません。
まず何を撮りたいのかを決めます。
次に撮影位置を決め、焦点距離を選び、画面の中へ主役と背景を配置します。
その後、背景をぼかしたいならF値を小さくし、全体を見せたいならF値を大きくします。
動く被写体なら必要なシャッタースピードを決めます。
明るさが足りなければISO感度を上げます。
最後に主役へピントを合わせて撮影します。
撮影後は背面液晶で写真を確認します。
構図が気になるなら立ち位置を変える。
背景がうるさければ焦点距離を変える。
人物がぶれていればシャッタースピードを速くする。
背景をぼかしたければF値を小さくする。
暗ければISO感度を調整する。
このように一つずつ原因を考えて撮り直すことで、撮影設定の意味が分かるようになります。
写真の上達は、設定値を暗記することではありません。
「この写真をどう見せたいか」を決め、そのために必要な焦点距離、撮影距離、F値、シャッタースピード、ISO感度、ピント、光を選べるようになることです。
最初はAvモードやISO AUTOを使いながら、一つの設定だけを自分で変える方法でも十分です。
慣れてきたらシャッタースピードやISO感度まで自分で決めていけば、撮影できる写真の幅は大きく広がります。
カメラの設定全体を整理したい場合は、撮影モードの基本と使い分けから進めると、今回解説した各設定を実際の撮影へつなげやすくなります。



