電子手ぶれ補正とセンサーシフト式の違い|ボディ内手振れ補正・レンズ内ISまで解説
電子手ぶれ補正とセンサーシフト式のボディ内手振れ補正は、どちらもカメラの揺れを抑えるための機能ですが、仕組みはまったく異なります。電子手ぶれ補正は、撮影した映像の一部を切り出し、フレームごとに位置をずらすなどの画像処理によって揺れを目立ちにくくする方式です。一方、センサーシフト式は、撮像センサーそのものを物理的に動かし、カメラの揺れとは逆方向へ補正することで像の位置を安定させます。
違いが最も分かりやすく表れるのは動画撮影です。電子手ぶれ補正では補正用の余白を確保するため画角が狭くなりやすく、設定によっては映像が拡大されたように見えます。センサーシフト式なら、センサー自体を動かして補正するため、電子補正だけを使う場合のような大きなクロップを必要としません。ただし、歩き撮影や大きな揺れまで完全に吸収できるわけではなく、動画では電子補正とセンサーシフト、さらにレンズ内手振れ補正を組み合わせるカメラもあります。
静止画では事情が異なります。センサーシフト式のボディ内手振れ補正は、低速シャッター、夜景、望遠、手振れ補正を持たない単焦点レンズなどで利用できます。一方、一般的なレンズ交換式カメラの電子手ぶれ補正は動画向けの機能として使われることが多く、静止画で低速シャッターを使えるようにする機能とは考えない方が分かりやすくなります。
さらに手振れ補正には、レンズ内部の一部の光学系を動かすレンズ内手振れ補正もあります。つまり、現在のカメラでは「電子式」「センサーシフト式」「レンズ内光学式」の3種類を分けて考える必要があります。この記事では、それぞれが何を動かし、何を補正し、画角や画質へどのような影響を与えるのかを、静止画と動画に分けて詳しく解説します。
電子手ぶれ補正とセンサーシフトは何が違うのか
両者の違いを一言で整理すると、電子手ぶれ補正は画像を動かし、センサーシフト式は撮像センサーを動かします。名前が似ているため同じ機能の強弱のように見えますが、補正する場所そのものが異なります。
電子手ぶれ補正は映像を切り出して位置を調整する
電子手ぶれ補正では、センサーが記録した映像の全領域をそのまま最終映像として使わず、周囲に補正用の余白を持たせます。カメラが右へ揺れれば映像を左へずらし、上へ揺れれば下へずらすようにフレーム位置を演算して調整し、完成映像では被写体が大きく動いて見えないようにします。
この方式では、最終的に使える映像領域がセンサーから読み出した範囲より狭くなるため、補正を有効にすると画角が狭くなることがあります。補正を強くするモードほど余白を多く必要とし、クロップ量が大きくなる機種もあります。24mmの広角レンズを装着していても、電子補正を強くすると撮影時の見え方が28mmやそれ以上に近い感覚になる場合があります。
電子補正の仕組みと動画性能全体の関係は動画性能で差が出る カメラ選びの基準でも詳しく解説しています。
センサーシフト式は撮像センサー自体を物理的に動かす
センサーシフト式のボディ内手振れ補正では、ジャイロセンサーなどでカメラの揺れを検出し、撮像センサーを逆方向へ物理的に移動させます。レンズから入ってきた像がカメラの揺れによってセンサー上で動こうとしたとき、その移動を相殺する方向へセンサーを動かすことで、露光中の像の位置を安定させます。
多くのミラーレスカメラでは、上下左右の角度ブレだけでなく、水平・垂直方向の移動や回転方向まで含めた複数軸の補正を行います。レンズ側に手振れ補正機構がない場合でも、カメラ側で補正できることが大きな特徴です。
Canonでのレンズ内IS、ボディ内手振れ補正、協調制御の違いはCanonの手ブレ補正を徹底解説で整理しています。
同じ「手ぶれ補正」でも補正する対象が異なる
電子手ぶれ補正は撮影された映像データを処理し、センサーシフト式は撮影中に光を受けるセンサー位置そのものを調整します。この違いによって、画角、画質、静止画への効果、対応レンズ、動画での見え方が変わります。
電子補正はソフトウェア処理の割合が大きいため、物理的な大型補正機構を搭載しにくい小型カメラやスマートフォンでも採用しやすい方式です。センサーシフト式ではセンサーを高速かつ精密に動かす機構が必要になるため、カメラ内部のスペース、制御、電力、放熱なども設計へ関係します。
センサーシフト式を搭載したEOS R5の特徴はCanon EOS R5の性能とボディ内手振れ補正でも確認できます。
電子手ぶれ補正のメリットと弱点
電子手ぶれ補正は、特に動画撮影で使いやすい機能です。物理補正だけでは吸収しきれない歩行時の揺れなどを画像処理で抑えられる一方、クロップや映像の変形といった特徴もあります。
歩き撮影やVlogでは揺れを小さく見せやすい
動画では、静止画では気にならない小さな揺れが連続して記録されます。立ち止まってカメラを構えるだけなら補正の負担は小さいものの、歩きながら撮影すると上下動、左右動、回転などが連続して発生します。電子補正はこうしたフレーム間の位置変化を解析し、映像をずらしながら揺れを小さく見せます。
旅行動画、家族動画、街歩き、短いVlogなどでは、ジンバルを使わなくても見やすい映像に近づけられることがあります。特に小型カメラでは、補正機構を大型化せずに動画の安定感を高められることが利点です。
動画撮影でAFや補正を組み合わせる方法はEOS R6 Mark II動画撮影設定ガイドでも詳しく解説しています。
クロップによって画角が狭くなる
電子手ぶれ補正の分かりやすい弱点が画角の変化です。映像をフレーム内で動かすには周囲に余白が必要になるため、センサーから読み出した映像の中央付近だけを最終映像として使用します。その結果、補正をOFFにした状態より写る範囲が狭くなります。
広角レンズではこの違いが大きな問題になる場合があります。室内、自撮り、建築、狭い道路などでは、あと少し広く写したい場面で電子補正によるクロップが構図を制限します。動画用に24mmを選んだのに、電子補正を使うと期待したほど広くないということもあります。
ボディ内手振れ補正を持たないEOS RPで動画電子手ぶれ補正を使う場合の特徴はEOS RPの手ブレ補正設定で詳しく紹介しています。
補正が強すぎると映像が不自然になることがある
電子補正では、映像を単純に平行移動させるだけでなく、機種によってはジャイロ情報や画像解析を利用して複雑な補正を行います。歩行時の大きな揺れや、広角レンズで画面端の形が大きく変化する条件では、補正によって画面周辺が伸び縮みして見えたり、背景が波打つように感じたりする場合があります。
パンニングなど撮影者が意図的にカメラを動かしている場合も、補正がその動きを揺れと判断すると動き始めや停止時に違和感が出ることがあります。すべての撮影で最強設定にするより、固定撮影、ゆっくりしたパン、歩き撮影など撮影方法ごとに補正強度を変える方が自然な映像になります。
動画で画像処理が果たす役割については映像エンジンと動画画質でも解説しています。
センサーシフト式のボディ内手振れ補正の特徴
センサーシフト式は静止画と動画の両方で利用できることが大きな特徴です。特に静止画では、低速シャッターを使った手持ち撮影や、手振れ補正を持たないレンズを使う場合に効果を発揮します。
手振れ補正を持たないレンズでもカメラ側で補正できる
レンズ内手振れ補正では、補正機構を搭載したレンズだけが対象になります。センサーシフト式ならカメラ本体側でセンサーを動かすため、手振れ補正機構を持たない単焦点レンズでも補正できます。明るい単焦点、古いEFレンズ、条件によってはマニュアルフォーカスレンズなどでも利用できることがあります。
これはレンズ交換式カメラでは大きな利点です。複数のレンズを所有していても、ボディ側に補正機構があれば、それぞれのレンズへ個別に光学式手振れ補正を搭載する必要がありません。
手振れ補正を搭載しないRF50mm F1.8 STMをボディ側補正と組み合わせる考え方はRF50mm F1.8 STMで手ブレを防ぐ方法で具体的に解説しています。
静止した被写体なら低速シャッターを使いやすくなる
夜景、建築、室内、静物など被写体そのものが動かない場合、手振れ補正によって通常より遅いシャッタースピードを使える可能性があります。例えば、手振れ補正なしでは1/100秒が必要だった場面で、それより遅いシャッターを使えれば、ISO感度を下げたり、絞りを変更したりする余地が生まれます。
ただし、カタログに記載される補正段数は、すべての焦点距離、姿勢、撮影距離、撮影者で同じ結果になる保証ではありません。1秒を確実に止められる、何段だから必ず成功すると考えるのではなく、同じ構図を複数枚撮影して成功率を見る方が実用的です。
夜景で低速シャッターと手振れ補正を使う考え方は夜景撮影のISO感度・シャッター速度・手持ち設定でも詳しく紹介しています。
高画素カメラでは小さなブレも確認しやすくなる
高画素カメラでは、細部を大きく記録できる一方、撮影後に等倍表示すると小さな手ブレも目立ちやすくなります。同じサイズへ縮小して見る場合は差が小さくても、野鳥や風景を大きくトリミングする場合にはわずかなブレが解像感へ影響します。
センサーシフト式はこのような高解像度撮影でも役立ちますが、手振れ補正があるからシャッタースピードを無制限に遅くできるわけではありません。高画素機ほど、手振れ補正、ピント精度、シャッタースピード、レンズ性能を一緒に考える必要があります。
高画素と手振れの関係については超高画素カメラは本当に必要?でも詳しく解説しています。
レンズ内手振れ補正との違いも理解しておく
電子式とセンサーシフト式だけを比較すると、現在のカメラシステム全体を理解しにくくなります。望遠ズームやマクロレンズなどには、レンズ内部の一部の光学系を動かして補正するレンズ内手振れ補正が多く採用されています。
レンズ内手振れ補正は光学系を動かして像を補正する
レンズ内手振れ補正では、ジャイロセンサーなどで揺れを検知し、レンズ内部の補正用光学系を動かしてセンサー上の像を安定させます。CanonではISと呼ばれる方式です。電子手ぶれ補正のように映像を切り出す方式ではなく、撮影前の光学像そのものを動かして補正します。
望遠レンズでは小さなカメラの動きが大きく見えるため、レンズ側の補正は構図を安定させる意味でも重要です。ファインダー像が落ち着けば、野鳥の目や車両など小さな被写体を画面内に維持しやすくなります。
望遠域で手振れ補正が重要になる理由は100-400mmレンズの使い道と手ブレ対策で詳しく紹介しています。
レンズ内ISとボディ内手振れ補正を協調させる機種もある
対応するボディとレンズの組み合わせでは、レンズ内補正とセンサーシフト式のボディ内補正を協調して制御します。それぞれが別々に最大量を動かすのではなく、焦点距離やブレの種類に応じて役割を分担しながら補正します。
一般に望遠側ではレンズ内補正が有利なブレがあり、回転方向などセンサーシフト側で対応しやすいブレもあります。両者を組み合わせることで、どちらか一方だけでは補正しにくい揺れへ対応できます。
EOS R7でのボディ内手振れ補正と対応レンズの協調制御についてはEOS R7の性能と手ブレ補正で詳しく解説しています。
マクロ撮影では通常撮影と異なるブレが問題になる
被写体へ大きく近づくマクロ撮影では、通常の撮影で問題になりやすい角度ブレだけでなく、カメラが上下左右へ平行移動するシフトブレの影響も大きくなります。等倍付近では数mmカメラが動くだけでも構図やピント位置が大きく変化します。
そのため、一部のマクロレンズではシフトブレも考慮した補正機構を採用しています。さらに前後方向へ身体が動くとピント面から被写体が外れるため、手振れ補正だけですべてを解決できません。接写では撮影姿勢、シャッタースピード、連写、ピント合わせまで含めて安定させる必要があります。
マクロ動画で手ブレやピント変化を抑える方法はマクロレンズで動画撮影する方法で詳しく紹介しています。
静止画では電子式よりシャッタースピードとの関係が重要
静止画撮影では、電子手ぶれ補正とセンサーシフト式を単純に比較するより、手ブレ補正で止められるものと止められないものを理解する方が重要です。手振れ補正はカメラの揺れを抑える機能であり、被写体の動きそのものを止める機能ではありません。
手ブレと被写体ブレは別の現象
手ブレは撮影中にカメラが動いて画像全体が揺れる現象です。一方、被写体ブレはシャッターが開いている間に被写体が移動することで発生します。人物が歩く、鳥が飛ぶ、車が走るといった動きは、どれだけ強力な手振れ補正を使っても止まりません。
例えばボディ内手振れ補正によって1/30秒を手持ちできても、歩いている人物は1/30秒ではぶれる可能性があります。この場合はISO感度を上げてでも1/250秒や1/500秒へシャッタースピードを上げる必要があります。
シャッタースピードと被写体の動きの関係は写真の撮り方を基本から解説で詳しく説明しています。
焦点距離が長いほど手ブレは目立ちやすい
同じ角度だけカメラが揺れても、広角レンズより望遠レンズの方が画面上では被写体が大きく移動します。そのため手振れ補正なしで撮る場合、焦点距離が長くなるほど速いシャッタースピードが必要になります。
昔から目安として使われるのが、フルサイズなら「1/焦点距離秒」前後です。50mmなら1/50秒前後、200mmなら1/200秒前後が一つの出発点になります。高画素機、APS-C、高倍率でのトリミングではさらに速いシャッターを使いたい場面もあります。
焦点距離別のシャッタースピードの考え方はCanonカメラのシャッタースピードの変え方で詳しく解説しています。
三脚使用時は手振れ補正より固定方法が重要になる
夜景、商品撮影、長時間露光などで三脚を使う場合、カメラそのものが安定しているため、手振れ補正の役割は小さくなります。機種やレンズによっては三脚を自動判別するものもありますが、長時間露光では補正機構が不要な動きをしない設定を確認する方が確実です。
シャッターボタンを押したときの振動を減らすには、2秒セルフタイマー、リモート撮影、電子シャッターなどを使う方法があります。強風時には三脚へ固定していてもカメラや望遠レンズが揺れるため、三脚を使えば必ずブレないというわけでもありません。
セルフタイマーや連写を含めた撮影方法はドライブモードとは?単写・連写・セルフタイマーの使い方で詳しく解説しています。
動画では補正方式を組み合わせて考える
動画では、センサーシフト式、レンズ内手振れ補正、電子補正のどれか一つだけで決めるより、撮影方法に合わせて組み合わせることが重要です。三脚固定、手持ち固定、ゆっくりしたパン、歩き撮影では必要な補正が異なります。
固定した手持ち動画なら物理補正だけで十分な場面もある
立ち止まってカメラを構え、人物や風景を撮る程度なら、ボディ内手振れ補正やレンズ内手振れ補正だけでも十分に安定する場合があります。この条件で電子補正まで強くすると、画角だけが狭くなり、映像のメリットが少なくなることもあります。
特に広角で風景や室内を撮る場合は、電子補正OFFとONを比較し、必要な画角を残せる設定を選ぶ方が使いやすくなります。手持ちだから必ず電子補正をONにするのではなく、映像の揺れ方を見て判断します。
RFマウントのボディとレンズで補正機能を考える基本はRFマウントとEFマウントの違いでも紹介しています。
歩き撮影では電子補正を加える意味が大きい
歩行時には、上下方向へ周期的に大きな揺れが生じます。センサーシフト式やレンズ内補正だけでは補正ストロークを超えることがあり、完全に滑らかな映像にはなりません。ここで電子補正を加えると、残った揺れをフレーム位置の調整でさらに小さくできます。
一方で、歩き方そのものが荒ければ電子補正だけでジンバル撮影と同じ状態にはなりません。膝を柔らかく使い、上下動を抑えて歩き、両手でカメラを保持したうえで補正を使う方が自然な映像になります。
カメラを移動させながら動画を撮る場合の基本は動画撮影で重要なカメラ性能でも確認できます。
補正を強くするほど良いとは限らない
動画では補正が強いほど揺れが小さく見える一方、画角のクロップ、不自然な動き、パン開始時の引っ掛かりなどが増える可能性があります。三脚撮影や意図的なパンでは補正を弱めるかOFFにした方が自然な場合もあります。
動画撮影では「手持ちだから最大補正」「三脚だから必ずOFF」と固定せず、撮影方法と使用機材で判断します。ボディ内手振れ補正、レンズ内IS、電子補正がそれぞれ独立して設定できる機種では、同じ場所で撮り比べると違いを把握しやすくなります。
動画で手振れ補正とAFを安定させる方法はEOS R6 Mark II動画撮影設定ガイドでも詳しく解説しています。
電子手ぶれ補正とセンサーシフトを選ぶ基準
カメラを選ぶときに重要なのは、電子補正とセンサーシフトのどちらが「上」かを決めることではありません。静止画中心か動画中心か、使うレンズ、撮影する焦点距離、夜景の頻度、歩き撮影の有無によって必要な機能は変わります。
静止画中心ならセンサーシフト式の有無を重視する
夜景、室内、風景、静物、手振れ補正のない単焦点レンズを多く使う場合、ボディ内手振れ補正の有無は撮影自由度へ大きく影響します。特に静止した被写体では低速シャッターを使いやすくなり、ISO感度を抑えられる場面が増えます。
望遠撮影でもファインダー像の安定や手ブレ低減に役立ちます。ただし、野鳥やスポーツのように被写体が高速で動く場合は、手振れ補正より高速シャッターを優先する場面が多くなります。
EOS R7で静止画と望遠撮影にボディ内手振れ補正を使う方法はEOS R7の性能と魅力で詳しく解説しています。
動画中心なら電子補正によるクロップ量まで確認する
動画を中心にカメラを選ぶ場合は、「電子手ぶれ補正あり」という仕様だけでは判断できません。補正OFF、通常補正、強補正で画角がどの程度変わるのか、4KとフルHDで補正方法が変わらないか、広角レンズと組み合わせたときに必要な画角を確保できるかまで確認する必要があります。
特に自撮りや室内では、補正後の画角が重要です。フルサイズで24mmを使用していても、強いクロップが入れば自撮りには狭く感じる場合があります。動画性能は解像度やフレームレートだけでなく、補正時の画角まで含めて見る必要があります。
動画用カメラを選ぶ基準は動画性能で差が出る 撮影を成功させるカメラ選びで詳しく紹介しています。
静止画と動画を両方撮るなら3方式の連携を見る
写真も動画も撮る場合は、センサーシフト式のボディ内手振れ補正、レンズ内手振れ補正、電子手ぶれ補正をそれぞれ持っているかではなく、どの組み合わせで利用できるかを見ることが重要です。ボディ内補正とレンズ内補正を協調できる機種でも、動画電子補正を加えた場合にはさらに画角が変わることがあります。
静止画ではボディ内補正を利用し、動画の固定撮影では物理補正だけ、歩き撮影では電子補正も加えるというように、用途に応じて設定を切り替えられるカメラは撮影範囲が広くなります。
Canonのボディ内手振れ補正、レンズ内IS、協調制御をまとめて確認するならCanonの手ブレ補正を徹底解説が参考になります。
まとめ
電子手ぶれ補正とセンサーシフト式のボディ内手振れ補正は、どちらもカメラの揺れを抑えるための機能ですが、補正する仕組みが根本的に異なります。電子手ぶれ補正は撮影した映像の一部を切り出し、フレーム位置を画像処理で動かすことで映像を安定させます。センサーシフト式は撮像センサーそのものを物理的に動かし、ブレによる像の移動を打ち消します。
電子補正は動画で特に有効で、歩き撮影や小型カメラでも揺れを目立ちにくくできます。一方、補正用の余白が必要になるため画角が狭くなりやすく、強い補正では画面周辺の形や動きが不自然になる場合があります。広角動画、自撮り、室内撮影では、補正時のクロップ量を確認することが重要です。
センサーシフト式は静止画でも動画でも利用でき、レンズ側に手振れ補正がなくてもカメラ本体で補正できることが大きな利点です。夜景、建築、風景、静物など動かない被写体では低速シャッターを使いやすくなり、高画素機で細部を残したい場合にも役立ちます。
さらに、現在のレンズ交換式カメラではレンズ内手振れ補正も重要です。望遠やマクロではレンズ側の補正が有効な場面が多く、対応ボディではセンサーシフト式と協調して補正します。動画ではそこへ電子補正を加え、物理補正で残った大きな揺れをさらに抑える構成もあります。
手振れ補正で忘れてはいけないのが、被写体ブレは止められないことです。ボディ内手振れ補正が強力でも、走る人物、飛ぶ鳥、動く車を低速シャッターで止めることはできません。動体ではシャッタースピードを上げ、手振れ補正はカメラ側の揺れを抑える機能として使います。
静止画中心ならセンサーシフト式の有無、動画中心なら電子補正の強さとクロップ量、写真と動画の両方を撮るならセンサーシフト、レンズ内補正、電子補正の連携まで見ると、自分の撮影方法に合ったカメラを選びやすくなります。単純に補正段数や「手ぶれ補正あり」という表示だけを見るのではなく、何を動かして、どの場面で、どのように揺れを抑えるのかを理解することが重要です。



