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マクロレンズで動画撮影する方法|ピント・手ブレ・照明とクローズアップ映像のコツ

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マクロレンズで動画撮影する方法|ピント・手ブレ・照明とクローズアップ映像のコツ マクロレンズ

マクロレンズで動画撮影する方法|ピント・手ブレ・照明とクローズアップ映像のコツ

マクロレンズは、小さな被写体を写真で大きく写すだけのレンズではありません。動画撮影では、料理から立ち上がる湯気、時計の針、花びらについた水滴、昆虫の動き、カメラやレンズの操作部分など、通常のレンズでは見せにくい細部を映像として強調できます。

静止画のマクロ撮影では、一瞬だけ正確にピントが合えば写真として成立します。動画では被写体やカメラが少し動いただけでも、ピント位置の変化、手ブレ、画角の揺れ、明るさの変化がそのまま映像に残ります。そのため、同じマクロレンズでも写真と動画では使い方がかなり変わります。

特に注意したいのが被写界深度です。被写体へ近づくほどピントが合って見える範囲は浅くなり、わずかな前後移動でも主役がぼけます。AFを利用するのかMFで固定するのか、カメラを手持ちするのか三脚へ固定するのか、どの程度まで拡大するのかを撮影前に決めることが重要です。

CanonにはRF24mm F1.8 MACRO IS STM、RF35mm F1.8 MACRO IS STM、RF85mm F2 MACRO IS STM、RF100mm F2.8 L MACRO IS USMなど、焦点距離や撮影倍率の異なるマクロレンズがあります。EFマクロレンズもマウントアダプターを利用すればEOS Rシリーズで動画撮影へ活用できます。

この記事では、マクロレンズを動画で使うときのピント、ブレ、シャッタースピード、照明、焦点距離、被写体別の撮影方法まで順番に解説します。

  1. マクロレンズを動画撮影で使う魅力
    1. 細かな動きを大きく見せられることが動画マクロの魅力
    2. 焦点距離によって動画の距離感と背景が変わる
    3. 静止画マクロと動画マクロでは成功条件が違う
  2. マクロ動画ではピント合わせが最も重要になる
    1. 被写体へ近づくほどピントが合う範囲は狭くなる
    2. AFとMFは被写体の動きに合わせて使い分ける
    3. フォーカスブリージングは動画では目立ちやすい
  3. マクロ動画の手ブレと露出を安定させる
    1. 三脚と手ブレ補正を使い分ける
    2. 動画ではフレームレートからシャッタースピードを決める
    3. 露出とホワイトバランスを固定すると映像が安定する
  4. マクロ動画では照明の作り方が画質を左右する
    1. 被写体へ近づくほどレンズの影に注意する
    2. 硬い光と柔らかい光で質感の見え方が変わる
    3. LED照明ではフリッカーが映らないか確認する
  5. 被写体別にマクロレンズの動画撮影方法を変える
    1. 料理と商品動画ではMFと三脚を使いやすい
    2. 花や昆虫では風と動きを考えて撮影する
    3. 人物動画では目・手・アクセサリーのディテールを撮れる
  6. Canonのマクロレンズを動画用途から選ぶ
    1. RF24mm・RF35mmは環境を残したマクロ動画に使いやすい
    2. RF85mmとRF100mmは被写体との距離を取りやすい
    3. EFマクロレンズもEOS Rシリーズの動画撮影で活用できる
  7. まとめ

マクロレンズを動画撮影で使う魅力

  • 通常の動画では見えにくい小さな動きや質感を大きく見せられる
  • 焦点距離によって背景の見え方と撮影距離を変えられる
  • 静止画マクロとは異なり時間の変化そのものを作品へ取り込める

細かな動きを大きく見せられることが動画マクロの魅力

マクロレンズを動画で使う最大の魅力は、小さな被写体そのものではなく、その被写体に起きている小さな変化を大きく見せられることです。静止画なら水滴を一瞬で記録しますが、動画なら水滴がゆっくり流れる様子、花が風で揺れる様子、昆虫が脚を動かす様子まで時間の流れとして記録できます。

料理では、肉の表面から油が浮き上がる瞬間、炭酸飲料の泡、コーヒーへミルクが混ざる様子などが映像になります。商品撮影では、時計の秒針、ダイヤルのクリック、金属表面へ光が移動する様子を見せられます。静止画以上に「質感」が伝わりやすい撮影です。

マクロ動画では画面内に写る範囲が狭いため、背景を大掛かりに用意しなくても映像を作りやすい利点があります。小さな机の上でも、主役と背景の一部分だけを整えれば撮影できます。YouTubeの商品紹介や料理動画で、通常画角の映像の途中にマクロカットを入れると、映像全体へ変化を付けられます。

通常のレンズとの違いや最大撮影倍率の意味は、マクロレンズとは?特徴・選び方・使い方で詳しく紹介しています。

焦点距離によって動画の距離感と背景が変わる

マクロ動画では撮影倍率だけでなく、焦点距離が使いやすさを大きく左右します。24mmや35mmの広角寄りマクロでは、被写体へ近づきながら周囲の環境も映像へ残せます。料理を大きく見せながらテーブルや店内を少し見せる、花へ近づきながら後ろの風景も残すといった撮影に向いています。

85mmや100mmになると画角が狭くなり、背景へ余計な物が入りにくくなります。商品だけを目立たせたり、花や昆虫を背景から分離したりする映像を作りやすくなります。また同じ撮影倍率でも、長い焦点距離の方がレンズ先端と被写体の間へ距離を取りやすくなります。

この距離は動画では特に重要です。被写体へ極端に近づくと、レンズやカメラが照明を遮り、主役へ影を作る場合があります。昆虫では近づいたことで逃げられることもあります。商品撮影でもレンズが被写体へ映り込みやすくなります。

Canonのマクロレンズを焦点距離と撮影倍率から比較する場合は、Canonマクロレンズ一覧でRF・EF・EF-S・EF-Mをまとめて確認できます。

静止画マクロと動画マクロでは成功条件が違う

静止画のマクロ撮影では、シャッターを切る瞬間だけピントとブレを止められれば写真として成立します。動画では数秒から数十秒の間、構図、ピント、明るさ、カメラの動きを安定させ続けなければなりません。

たとえば静止画なら、花が風で少し揺れても高速シャッターで一瞬を止められます。動画で高速シャッターを使いすぎると、一コマ一コマが鋭くなりすぎて動きがぎこちなく見える場合があります。動画では単純にブレを止めればよいわけではなく、自然な動きも残す必要があります。

ピントも同様です。静止画ではAFが一度合えば撮影できますが、動画でAFが被写体の手前と奥を何度も往復すると、その動き自体が記録されます。AFが正確でも、画面上では落ち着かない映像になることがあります。

そのためマクロ動画では「正確さ」だけでなく「動きが滑らかであること」が重要です。ピント、カメラ移動、照明の変化をゆっくり行うと、細部を見せる映像としてまとまりやすくなります。

写真と動画でカメラ性能を見るポイントの違いについては、動画性能で差が出るカメラ選びの基準も参考になります。

マクロ動画ではピント合わせが最も重要になる

  • 撮影倍率が高いほど被写界深度が浅くなる
  • 動く被写体はAF、固定した被写体はMFも使いやすい
  • フォーカス移動による画角変化にも注意する

被写体へ近づくほどピントが合う範囲は狭くなる

マクロ動画で最初に戸惑いやすいのが、ピントの浅さです。被写体へ近づき撮影倍率を高くすると、F5.6やF8まで絞っても、ピントが合って見える範囲は非常に狭くなります。昆虫の目には合っていても胴体がぼける、指輪の手前側は鮮明でも奥側はぼけるといった状態が普通に発生します。

動画では撮影者自身のわずかな前後移動も問題になります。手持ちでカメラを数mm前後させただけでも、ピント位置が大きくずれることがあります。通常距離の動画では気にならない身体の揺れが、マクロ域では大きなフォーカス移動として映ります。

対策として、必要以上に最大撮影倍率へこだわらない方法があります。被写体を画面いっぱいにせず少し余裕を持って撮影し、必要に応じて編集で軽くクロップすると、撮影距離と被写界深度に余裕を作れます。

またF2.8開放だけを使うのではなく、F4、F5.6、F8まで絞って必要な範囲へピントを残します。背景をぼかしたい場合は、F値だけでなく被写体と背景の距離を取ることでボケを作ります。

絞りと被写界深度の関係については、F値とボケ・シャープネスの関係で詳しく解説しています。

AFとMFは被写体の動きに合わせて使い分ける

マクロ動画ではAFとMFのどちらが常に優れているということはありません。撮影する物が動くのか、撮影者がカメラを動かすのかによって適した方法が変わります。

料理や商品を三脚で固定して撮る場合は、MFが非常に使いやすい方法です。映像の主役となる場所へ拡大表示で正確にピントを合わせ、そのまま固定します。カメラが背景や反射部分へ勝手にピントを移動しないため、安定した映像になります。

一方、昆虫、小動物、手で動かす商品などは被写体の位置が変化するため、動画サーボAFを利用する方が撮影しやすい場合があります。EOS Rシリーズの被写体検出AFが利用できる被写体なら、AFに追尾を任せながら構図へ集中できます。

人物の顔から手元のアクセサリーへカメラを動かす場合には、AFで自然に移動させる方法とMFで意図的にピント送りする方法があります。映像作品としてピント位置の変化を見せたいなら、MFで速度を自分で決める方法も効果的です。

AFとMFの基本的な違いは、AFとMFの違いとは?オートフォーカスとマニュアルフォーカスの使い分けで確認できます。

フォーカスブリージングは動画では目立ちやすい

フォーカスブリージングとは、ピント位置を近距離から遠距離へ移動したときに画角が少し変化する現象です。静止画では1枚ごとの構図として見るため気になりにくいのですが、動画ではピントを送るたびに画面がズームしたように動くため目立ちます。

特にマクロレンズは近距離から無限遠まで広い範囲をフォーカスするため、レンズによってはピント位置による画角変化が確認しやすくなります。商品動画でロゴから操作ボタンへピントを移す際、同時に画面全体が伸び縮みすると不自然に見える場合があります。

対策として、撮影前に近距離と遠距離へピントを移し、画角変化を確認します。ブリージングが大きい場合は、大きなフォーカス送りを避け、カットを分けて編集でつなぐ方法があります。

カメラにフォーカスブリージング補正機能があり、使用するレンズが対応している場合は補正を利用できます。補正では画面周囲を少しクロップする場合があるため、撮影前に画角の変化も確認します。

動画向けのAF駆動やレンズ方式については、STMとUSMとVCMの違いも参考になります。

マクロ動画の手ブレと露出を安定させる

  • 三脚を基本にしながら手持ちではISを活用する
  • フレームレートに合わせてシャッタースピードを決める
  • 明るさを固定し露出が途中で変わらないようにする

三脚と手ブレ補正を使い分ける

マクロ撮影では、通常距離の動画より手ブレが大きく見えます。撮影倍率が上がると被写体の細部が画面いっぱいに拡大されるため、カメラのわずかな揺れも映像上では大きな動きになります。

商品、料理、植物など撮影場所を固定できる場合は、三脚を使うのが基本です。カメラを固定するだけで構図とピントが安定し、撮り直しも容易になります。小さな卓上三脚や雲台を使えば、テーブル上のマクロ動画にも対応できます。

手持ちで撮影する場合は、レンズ内ISやボディ内手ブレ補正を利用します。マクロレンズには、角度ブレだけでなく近接撮影で目立ちやすいシフトブレまで考慮したハイブリッドISを搭載するモデルもあります。

手持ちではカメラを完全に止めようとするより、脇を締め、身体全体を使ってゆっくり動かす方が自然な映像になる場合があります。小さなジンバルやスライダーを使用する方法もありますが、マクロ域では大きく動かさず数cm程度の移動でも十分な映像効果を得られます。

補正方式の違いは、電子手ぶれ補正とセンサーシフトの違いでも解説しています。

動画ではフレームレートからシャッタースピードを決める

動画のシャッタースピードは、静止画のように「ブレない最速値」を選ぶだけではありません。自然な動きを残すため、フレームレートとの関係を考えます。

30pで撮影する場合は1/60秒前後、60pなら1/125秒前後を開始値にすると、動きに適度なモーションブラーが残ります。昆虫の羽ばたきや水滴を一コマずつ明確に見せたい場合には、さらに速いシャッタースピードを使うこともできます。

シャッタースピードを速くするとセンサーへ入る光が減るため、絞りを開くかISO感度を上げる必要があります。マクロ動画では被写界深度を確保するためF5.6やF8を使いたい場面も多く、シャッタースピードまで速くするとISO感度が上がりやすくなります。

そのため室内の商品動画では、ISO感度を上げ続けるより照明を追加する方が画質を保ちやすくなります。撮影設定を先に決め、その設定で必要な光量を照明側で作る方法が安定します。

Canonカメラでシャッタースピードを変更する基本は、Canonカメラのシャッタースピードの変え方で詳しく紹介しています。

露出とホワイトバランスを固定すると映像が安定する

マクロ動画では、被写体の中に明るい部分と暗い部分が混在しやすくなります。金属、ガラス、時計、アクセサリーなどを撮ると、カメラを少し動かしただけで反射位置が変わり、自動露出では明るさが上下することがあります。

商品動画ではMモードを使用し、シャッタースピード、F値、ISO感度を固定すると安定します。撮影途中でカメラが勝手に明るさを変更しないため、複数カットを編集でつないだときにも違和感が少なくなります。

ホワイトバランスも固定します。オートホワイトバランスでは、背景へ入る色や被写体の位置によって色温度がわずかに変化する場合があります。数秒の映像内で白い商品が青や黄色へ変化すると目立ちます。

照明の色温度へ合わせて固定するか、カスタムホワイトバランスを使用します。撮影後に色を調整する場合でも、元映像の色が一定であれば編集しやすくなります。

色温度とホワイトバランスの考え方は、ホワイトバランスと色温度の使い方も参考になります。

マクロ動画では照明の作り方が画質を左右する

  • 近距離ではレンズ自身が被写体へ影を作りやすい
  • 柔らかい光で質感を出すと細部を見せやすい
  • LED照明では動画のフリッカーにも注意する

被写体へ近づくほどレンズの影に注意する

広角寄りのマクロレンズで高い撮影倍率を得ようとすると、レンズ先端が被写体へかなり近づく場合があります。このとき正面や斜め前から照明していると、レンズやカメラ本体が光を遮り、被写体へ大きな影を作ることがあります。

静止画ならストロボを一瞬発光させる方法がありますが、動画では撮影中ずっと光を当て続ける必要があります。小型LEDライトを左右や上方へ配置し、レンズの影が主役へ落ちない位置を探します。

料理では斜め後ろから光を入れると、表面のツヤや湯気を見せやすくなります。金属製品では真正面から強い光を当てると反射が白く飛ぶため、大きめのディフューザーを通して柔らかく照らします。

100mm前後のマクロレンズでは被写体との距離を取りやすいため、レンズと被写体の間へ照明を入れやすくなります。焦点距離選びは画角だけでなく、照明スペースを確保する意味でも重要です。

マクロレンズの焦点距離による違いは、Canonマクロレンズ一覧でも用途別に比較しています。

硬い光と柔らかい光で質感の見え方が変わる

マクロ動画では被写体を大きく写すため、光の質も通常以上に目立ちます。小さな傷、表面の凹凸、ホコリ、指紋まで映りやすく、照明方向によって見え方が大きく変わります。

硬い光を横方向から当てると、表面の凹凸へ強い影ができ、質感を強調できます。木材、布、革、食品の表面などを立体的に見せたいときに有効です。一方、光沢製品では反射が強くなりすぎることがあります。

ディフューザーを通した柔らかい光では、影の境界がなだらかになります。アクセサリー、カメラ、レンズ、化粧品などをきれいに見せる商品動画では使いやすい方法です。

映像を撮りながらライトをゆっくり動かすと、商品表面をハイライトが移動し、静止した商品にも動きを付けられます。カメラを動かさなくても光だけを動かせるため、マクロ動画では有効な演出方法です。

撮影で光を扱う基本については、光源制御の基本と応用も参考になります。

LED照明ではフリッカーが映らないか確認する

動画撮影でLED照明を使う場合にはフリッカーにも注意します。人の目では一定に光って見えるLEDでも、電源周波数や調光方式によって高速で明滅している場合があります。

静止画では一枚だけ明るさが変化する程度でも、動画では画面に明暗の帯が流れたり、映像全体が周期的に明るくなったり暗くなったりします。マクロ撮影では画面の大部分を商品が占めるため、この明るさの変化が特に目立ちます。

撮影前に数秒録画して再生し、画面へ縞や明るさの脈動がないことを確認します。症状が出た場合はシャッタースピードを変更するか、動画撮影対応のフリッカーレスLED照明を利用します。

LEDの明るさを極端に下げるとPWM調光による点滅が出やすい製品もあります。ライトをある程度高い出力で使用し、ディフューザーや距離で明るさを調整する方法もあります。

電子シャッターや人工照明で起こる縞との関係は、Canonカメラのシャッタースピード設定でも確認できます。

被写体別にマクロレンズの動画撮影方法を変える

  • 料理や商品ではカメラと被写体を固定して完成度を上げる
  • 花や昆虫では風と被写体の動きを見ながらAFを選ぶ
  • 人物ではディテールカットとしてマクロ動画を組み込める

料理と商品動画ではMFと三脚を使いやすい

料理や商品のマクロ動画は、被写体の位置をコントロールしやすいため、マクロ動画を始める被写体として向いています。まずカメラを三脚へ固定し、Mモードで露出とホワイトバランスを固定します。

商品自体が動かない場合はMFでピントを決めます。時計ならロゴや文字盤、カメラならダイヤルや刻印、料理なら最も見せたい具材など、映像の主役になる部分へ合わせます。

映像に動きを加える場合は、商品を回転台でゆっくり動かす方法があります。カメラとピントを固定したまま被写体だけを回転させれば、ピントが不安定になりにくくなります。

また通常画角の動画とマクロ動画を組み合わせると、一本の動画の中で情報量を増やせます。商品の全体像を見せたあと、スイッチ、素材、端子などをマクロで見せると、視聴者が構造を理解しやすくなります。

被写体へ極端に近づきすぎず、少し広めに撮影して編集時に切り取る余裕を残しておくと、字幕やテロップを配置するときにも使いやすくなります。

商品の細部を撮る際のマクロレンズ選びは、マクロレンズの特徴と使い方も参考になります。

花や昆虫では風と動きを考えて撮影する

花や昆虫は、商品撮影と違って完全には固定できません。屋外ではわずかな風でも花が前後へ揺れ、ピント位置から外れます。撮影倍率が高いほど、この揺れは大きく見えます。

花を撮る場合は風が弱い時間帯を選び、必要以上の高倍率を避けます。カメラを三脚へ固定していても、花そのものが動けばピントは外れます。少し絞って被写界深度を確保し、AFで追尾する方法もあります。

昆虫では被写体の動きを止められないため、動画サーボAFが便利です。止まっている昆虫ならMFで目へ合わせ、行動を待つ方法もあります。飛び立つ瞬間まで狙う場合には、少し広めの構図にして画面外へ出にくくします。

100mm前後のマクロは被写体との距離を確保しやすいため、昆虫へ接近しすぎず撮影できます。24mmや35mmでは周囲の環境まで映し込めるため、昆虫そのものだけでなく「どこにいるのか」を見せる映像にも向いています。

Canonの焦点距離別マクロレンズは、Canonマクロレンズ一覧で比較できます。

人物動画では目・手・アクセサリーのディテールを撮れる

人物動画でもマクロレンズは活用できます。人物全体をマクロ域で撮る必要はありません。通常のポートレート映像の間へ、瞳、手元、アクセサリー、時計、衣服の素材などを大きく写した短いカットを入れる使い方が効果的です。

85mmや100mm前後のマクロレンズなら通常距離では中望遠の人物レンズとして使い、そのまま細部へ寄れます。レンズ交換せずに人物とディテールの両方を撮影できるため、少人数で動画を制作するときにも便利です。

目をクローズアップするときは、被写界深度が浅すぎるとまつ毛だけにピントが合い、瞳がぼける場合があります。少し絞り、人物には大きく前後へ動かないよう協力してもらいます。

指輪や時計などを撮影するときは、商品撮影と同様に光の反射を確認します。人物の肌を同時に写す場合には、硬い照明より柔らかい光を使うと自然に仕上がります。

人物撮影とマクロレンズの相性については、マクロレンズで人物撮影するメリットと注意点で詳しく紹介しています。

Canonのマクロレンズを動画用途から選ぶ

  • 24mm・35mmは周囲まで入れたクローズアップ動画に使いやすい
  • 85mm・100mmは背景整理と撮影距離を確保しやすい
  • EFマクロレンズもEOS Rシリーズで動画へ活用できる

RF24mm・RF35mmは環境を残したマクロ動画に使いやすい

RF24mm F1.8 MACRO IS STMとRF35mm F1.8 MACRO IS STMは、最大撮影倍率0.5倍に対応するハーフマクロレンズです。本格的な等倍マクロではありませんが、動画では必ずしも最大倍率が必要とは限らないため、非常に使いやすいレンズです。

24mmでは被写体へ近づきながら背景を広く残せます。料理をアップで写しながらキッチンの雰囲気を見せる、花を大きく入れながら周囲の景色も写すといった映像に向いています。

35mmは24mmより背景が整理しやすく、料理、商品、日常の小物などを自然な遠近感で撮りやすい焦点距離です。通常撮影でもスナップや人物へ使えるため、動画撮影全体を1本で進めやすくなります。

どちらもSTMを採用しているため、静止画と動画を兼用しやすい構成です。AF駆動音については使用するマイク位置や撮影環境によって聞こえ方が変わるため、重要な音声を同時収録する場合は外部マイクも活用します。

RFマクロレンズ全体の位置付けは、Canon RFマクロレンズの特徴でも紹介しています。

RF85mmとRF100mmは被写体との距離を取りやすい

RF85mm F2 MACRO IS STMは最大0.5倍のハーフマクロで、人物撮影との兼用に向いています。商品や料理の細部へ寄ったあと、そのまま人物の上半身や顔を撮影できるため、人物を含む動画制作では便利です。

RF100mm F2.8 L MACRO IS USMは最大撮影倍率1.4倍まで対応し、さらに小さな被写体を大きく見せられます。昆虫、時計、アクセサリー、精密部品など、本格的な拡大動画を撮る場合はこちらが有力です。

焦点距離が長いため背景へ写る範囲を狭くしやすく、撮影場所が多少雑然としていても主役を整理できます。被写体とレンズの間にも距離を確保しやすいため、照明を配置する自由度も高くなります。

高倍率になるほど被写界深度は浅くなるので、1.4倍を常用する必要はありません。見せたい部分に合わせ、0.5倍程度から徐々に倍率を上げる方が安定した動画を撮りやすくなります。

RF100mmの特徴については、RF100mm F2.8 L MACRO IS USMの特徴で詳しく紹介しています。

EFマクロレンズもEOS Rシリーズの動画撮影で活用できる

EOS Rシリーズを使用していても、動画用マクロレンズをRFだけに限定する必要はありません。マウントアダプターEF-EOS Rを使用すれば、多くのEFマクロレンズをEOS Rシリーズへ装着できます。

EF100mm F2.8 マクロ USMやEF100mm F2.8L マクロ IS USMなどをすでに所有している場合、マクロ動画のためだけにRFレンズへ買い替えなくても撮影できます。

動画ではAFの速度だけでなく、動作の滑らかさや音も重要です。古いEFマクロレンズでは、最新RFレンズとAFの動き方が異なる場合があります。商品撮影のようにMFで固定する用途なら、この違いは問題になりにくくなります。

またEFマクロレンズは中古市場の選択肢が多く、低予算でマクロ動画を始めたい場合にも候補になります。動画専用として購入する場合は、光学状態だけでなくAF駆動音、フォーカスリングの操作感、IS搭載モデルなら補正機構の状態も確認します。

EOS RシリーズでEFレンズを使うときの注意点は、EF-EOS Rマウントアダプターのメリットと注意点も参考になります。

まとめ

マクロレンズは静止画の接写だけでなく、動画でも非常に強い表現力を持っています。料理の表面、商品の質感、花びらの動き、昆虫、人物の瞳やアクセサリーなど、通常の動画では見落としやすい細部を画面いっぱいに見せられます。

動画で最も重要になるのはピントです。被写体へ近づくほど被写界深度が浅くなるため、必要以上に最大撮影倍率へこだわらず、少し余裕のある距離から撮る方が安定します。固定した商品や料理ではMF、動く昆虫や人物ではAFを利用するなど、被写体に合わせて使い分けます。

カメラのわずかな動きも大きな手ブレになるため、固定できる撮影では三脚が有効です。手持ちではレンズ内ISやボディ内手ブレ補正を利用します。30pなら1/60秒前後、60pなら1/125秒前後を開始値とし、被写体の動きに合わせて調整します。

マクロ動画では照明も重要です。近づきすぎるとレンズが被写体へ影を作るため、ライトの位置を工夫します。商品の表面を柔らかく見せるならディフューザーを使い、凹凸を強調したい場合は横方向から光を入れます。LEDを使用するときはフリッカーが映っていないことも確認します。

Canon RFマウントでは、周囲まで入れたいならRF24mm F1.8 MACRO IS STMやRF35mm F1.8 MACRO IS STM、人物との兼用ならRF85mm F2 MACRO IS STM、本格的な拡大動画ならRF100mm F2.8 L MACRO IS USMが候補になります。

EFマクロレンズもマウントアダプターを利用すればEOS Rシリーズで活用できます。商品動画などMF中心で撮る場合は、古いEFマクロレンズも現在でも十分利用できます。

マクロ動画では、大きく動かす必要はありません。数cmのカメラ移動、小さなピント送り、光の変化だけでも、通常の動画とは異なる強い映像になります。小さな世界を時間の流れまで含めて見せられることが、マクロレンズを動画撮影へ使う最大の魅力です。

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