EOS RPで星空撮影する設定方法 ISO感度・F値・シャッタースピードを解説
EOS RPで星空を撮影するときは、昼間の撮影とは設定の考え方が大きく変わります。暗いからシャッタースピードを長くすれば明るく写せますが、長くしすぎると地球の自転によって星が線になります。ISO感度を上げれば短時間で星を写せますが、上げすぎればノイズが増えます。F値を小さくすれば光を多く取り込めますが、レンズによっては画面周辺の星が崩れることがあります。
EOS RPは約2620万画素のフルサイズセンサーを搭載し、常用ISO感度はISO100~40000に対応しています。約485gという軽量ボディなので、カメラ、広角レンズ、三脚を持って移動する星景撮影にも組み合わせやすい機種です。
星空撮影で重要なのは、一つの万能設定を覚えることではありません。最初の設定を決め、撮影した画像を拡大して、星の流れ、ピント、明るさ、ノイズを確認しながら数値を調整することです。
この記事ではEOS RPで星空を点として鮮明に撮影することを中心に、Mモードの設定、シャッタースピード、ISO感度、F値、MF、三脚、RAW、ホワイトバランス、レンズ選び、天の川や月明かりのある夜の撮り方まで詳しく解説します。Canonのカメラ全般で使える設定についてはCanonで星空撮影する設定方法でも紹介しています。
EOS RPで星空撮影するときの基本設定
- MモードでISO3200・F2.8・10秒から撮影を始める
- 焦点距離に合わせてシャッタースピードを決める
- ISO感度とF値で星空の明るさを調整する
MモードでISO3200・F2.8・10秒から撮影を始める
EOS RPで星空を撮影する場合、最初はMモードに設定すると露出を管理しやすくなります。星空は画面の大部分が暗いため、カメラに露出を任せると必要以上にシャッタースピードが長くなる場合があります。星を点として止めたい撮影では、シャッタースピードを撮影者が決める必要があるため、Mモードとの相性が良好です。
初めて撮影するときは、広角レンズを使用して「ISO3200、F2.8、10秒」を最初の一枚にすると調整しやすくなります。24mm前後なら10秒、16mm前後なら15秒程度まで延ばしても星を点として写せる場合があります。撮影後に画像を拡大し、星が流れていなければ少し長くし、星が線になっていれば短くします。
撮影モードはM、記録画質はRAWまたはRAW+JPEG、フォーカスはMF、ドライブモードは2秒セルフタイマーを基本にします。ホワイトバランスは3500~4000K前後から始めると、夜空を確認しやすい色になります。
| 設定項目 | 最初の目安 |
|---|---|
| 撮影モード | M |
| ISO感度 | ISO3200 |
| F値 | F2.8前後 |
| シャッタースピード | 10秒 |
| フォーカス | MF |
| 記録画質 | RAWまたはRAW+JPEG |
| ホワイトバランス | 3500~4000K前後 |
| ドライブモード | 2秒セルフタイマー |
一枚目を撮った後は、全部の数値を同時に変更しません。星が流れたらシャッタースピード、暗ければISO感度、周辺の星が崩れたらF値という形で、原因に対応する設定だけを変更します。EOS RPの通常撮影を含めた設定方法はEOS RPのおすすめ設定でも詳しく解説しています。
焦点距離に合わせてシャッタースピードを決める
星を点として撮影する場合、シャッタースピードは写真の明るさだけで決められません。星は地球の自転によって常に画面内を移動しているため、露光時間が長くなるほど星が横方向へ伸びます。広角レンズでは移動が目立ちにくく、焦点距離が長くなるほど短いシャッタースピードが必要です。
星空撮影では以前から「500÷焦点距離」で露光時間を決める500ルールが使われてきました。24mmなら約21秒になります。しかし、EOS RPの画像を等倍近くまで拡大して星を点として見せたい場合、500ルールでは星の移動が目立つことがあります。
最初は「300÷焦点距離」を目安にすると、500ルールより短い露光時間から撮影できます。16mmなら約19秒、24mmなら約13秒、35mmなら約9秒、50mmなら6秒です。
| 焦点距離 | 300ルールの目安 | 最初に試しやすい設定 |
|---|---|---|
| 16mm | 約19秒 | 15秒 |
| 20mm | 15秒 | 13~15秒 |
| 24mm | 約13秒 | 10~13秒 |
| 28mm | 約11秒 | 8~10秒 |
| 35mm | 約9秒 | 6~8秒 |
| 50mm | 6秒 | 4~6秒 |
この数値も絶対ではありません。画面の中央と周辺では星の流れ方が異なり、撮影する方向によっても見え方が変わります。最終的には撮影画像を拡大し、星が丸い点に見えるかを確認します。
EOS RPでシャッタースピードを変更する操作や、シャッタースピードが写真へ与える影響はEOS RPのシャッタースピード設定とCanonカメラのシャッタースピードの変え方でも確認できます。
ISO感度とF値で星空の明るさを調整する
星を点として写すシャッタースピードを決めたら、写真の明るさはF値とISO感度で調整します。星が流れるから10秒より長くできないという状況で写真が暗ければ、シャッタースピードを延ばすのではなく、F値を小さくするかISO感度を上げます。
F2.8のレンズならF2.8、F1.8のレンズならF1.8~F2.2程度から撮影します。明るい単焦点レンズではF1.4やF1.8を利用できるため、同じ10秒でもF4のズームレンズより多くの光を取り込めます。ISO3200で暗ければISO6400へ上げ、明るすぎればISO1600へ下げます。
星空撮影ではISOを低くすること自体が目的ではありません。ISO800に下げた結果、露光時間を30秒へ延ばして星が線になれば、点像を撮るという目的から外れます。まず星を止められるシャッタースピードを確保し、その条件で必要なISO感度を選びます。
EOS RPは常用ISO100~40000に対応していますが、星空ではISO1600~6400付近を中心に使いやすくなります。空が暗くF2.8で10秒ならISO3200、月明かりが強ければISO800~1600、F4のズームレンズならISO6400というように撮影条件で変えます。
EOS RPのISO設定についてはEOS RPのISO感度設定、F値と写真の明るさや被写界深度の関係はF値を知れば広がるカメラの世界で詳しく解説しています。
EOS RPで星空に正確にピントを合わせる方法
- MFに切り替えて明るい星を拡大表示する
- 無限遠の端で固定せず最も星が小さくなる位置を探す
- 撮影中も中央と周辺の星を拡大して確認する
MFに切り替えて明るい星を拡大表示する
星空撮影ではピントのずれが非常に目立ちます。星そのものが小さな点光源なので、わずかにピントが外れただけでも星が膨らみ、写真全体が眠い印象になります。暗い夜空ではAFが狙った星を捉えられない場合があるため、EOS RPをMFへ切り替えて手動で追い込みます。
最初に月、金星のような明るい天体、明るい恒星、遠くの街灯などを画面へ入れます。背面モニターやEVFで表示を拡大し、フォーカスリングを少しずつ動かします。ピントが外れていると星は大きな丸に見え、合焦位置へ近づくほど小さくなります。最も小さく、輪郭が締まって見える位置を探します。
ピントを合わせたら、実際に一枚撮影します。撮影前のライブビューだけで決めず、記録された画像を再生して拡大確認します。撮影画像で星が小さな点になっていれば、その位置を基準に撮影を続けます。
EOS RPにはバリアングルモニターがあるため、三脚を低い位置へ設置して上向きに構えてもモニター角度を変えて確認できます。地面近くから木や建物を前景に入れる星景写真では、この構造も使いやすい部分です。
AFとMFの使い分けや暗所でMFを利用する理由はAFとMFの違いをわかりやすく解説でも詳しく紹介しています。
無限遠の端で固定せず最も星が小さくなる位置を探す
星は非常に遠くにあるため、ピント位置は無限遠付近になります。しかし、レンズのフォーカスリングを無限遠方向へ最後まで回せば星にピントが合うとは限りません。レンズには無限遠の合焦位置を越えて動く余裕が設けられているものがあり、リング端まで回すと星がぼける場合があります。
RFレンズの多くはフォーカス・バイ・ワイヤ方式なので、リングを回した量とレンズ内部の移動量が機械的に一対一で決まる構造でもありません。撮影時は「∞」という表示やリングの端だけを信用せず、実際の星を拡大して確認します。
ピント位置を探すときは、一方向へ回して終わらせず、合いそうな位置を一度通り過ぎます。星が小さくなり、その後再び大きくなったことを確認してから少し戻すと、最小になる位置を探しやすくなります。
レンズを交換した場合、ズームレンズの焦点距離を変更した場合、気温が大きく変化した場合は再確認します。撮影中にフォーカスリングへ触れてしまった場合も、数秒で確認できるからと省略せず、もう一度星を拡大します。
星空撮影に使用するレンズではAF速度よりMF時の操作性が重要になる場面があります。星空向けレンズ全般の選び方は星空撮影 レンズ Canon入門でも解説しています。
撮影中も中央と周辺の星を拡大して確認する
ピント確認では画面中央だけを見ると、レンズ周辺部の問題を見逃します。星空は画面全体に細かな点光源が広がるため、周辺部のコマ収差や非点収差が非常に目立ちやすい被写体です。中央は鋭い点なのに、四隅の星だけが翼を広げたように伸びることがあります。
最初の試し撮りでは、中央の星を拡大した後、画面四隅も確認します。開放F1.8で周辺像の崩れが大きければF2.2やF2.5へ、F2.8ならF3.2やF3.5へ少し絞って比較します。F値を一段階変えただけで周辺の星が大きく改善するレンズもあります。
絞ると取り込める光は減るため、F値を変更した分はISO感度で補います。F2.8・ISO3200からF4へ変更した場合、同じシャッタースピードならISO6400が露出を合わせる一つの目安です。ここでシャッタースピードを20秒へ延ばすと星が流れる場合があるため、先に決めた露光時間を維持します。
星が全体的に大きい場合はピント、一定方向へ伸びている場合は星の移動、画面四隅だけ変形している場合はレンズの収差というように、写り方から原因を切り分けると調整しやすくなります。
EOS RPで手ブレ・色・ノイズを抑える設定
- 三脚と2秒セルフタイマーでシャッター操作の振動を防ぐ
- RAWと固定ホワイトバランスで夜空の色を整える
- 長秒時露光ノイズ低減と高感度ノイズ低減を使い分ける
三脚と2秒セルフタイマーでシャッター操作の振動を防ぐ
星空撮影では数秒から十数秒の露光を行うため、EOS RPは三脚へ固定します。シャッタースピードが10秒なら、露光中の10秒間にカメラが動かないことが必要です。手持ちで姿勢を固める方法やレンズの手ブレ補正で代用できる撮影ではありません。
三脚へ固定した後も、シャッターボタンを直接押した瞬間にはカメラへ振動が伝わります。EOS RPの2秒セルフタイマーを使えば、ボタンから指を離した後に露光が始まるため追加機材なしで振動を減らせます。スマートフォンからリモート撮影する方法やリモートスイッチを使う方法もあります。
EOS RPには静止画用のボディ内手ブレ補正がありません。IS付きレンズを三脚へ固定して長時間露光する場合は、ISをOFFにした状態でも一枚確認します。安定した三脚では補正動作そのものが必要ありません。
三脚は脚を必要以上に細い段まで伸ばさず、センターポールも高く上げすぎない方が安定します。風が強い場所ではストラップが風を受けて揺れる場合もあるため、カメラ本体だけを見ず、三脚やストラップを含めて動いていないか確認します。
星空と夜景では三脚を使う理由が共通しています。長時間露光の基本については夜景撮影で広げる幻想的な世界の魅力も参考になります。
RAWと固定ホワイトバランスで夜空の色を整える
EOS RPで星空を撮影する場合は、RAWまたはRAW+JPEGで記録すると撮影後の調整幅を確保できます。星空ではISO感度を高くするためノイズ調整を行う機会が多く、夜空の色も街灯、月明かり、薄雲などによって大きく変化します。RAWならホワイトバランスや明るさを撮影後に調整しやすくなります。
撮影時のホワイトバランスは3500~4000K前後から始めると確認しやすくなります。街灯によるオレンジ色が強い場合は色温度を下げ、夜空が青くなりすぎた場合は上げます。天の川を撮る場合も、青くすれば星空らしくなるという考えで極端に下げず、地上風景との色のつながりを見ます。
AWBでも撮影できますが、同じ場所で何十枚も撮影すると画像ごとに色が変化する場合があります。比較明合成やタイムラプス用に連続撮影する場合は、色温度を固定しておくと後処理を揃えやすくなります。
RAWであれば後から変えられるとしても、撮影現場のモニター表示が大きくずれていると露出や空の状態を判断しにくくなります。撮影時にも不自然に見えない色へ合わせ、そのうえで仕上げをRAW現像で行います。
色温度、AWB、プリセットの違いはホワイトバランス 幻想的な写真を生み出す方法で詳しく解説しています。
長秒時露光ノイズ低減と高感度ノイズ低減を使い分ける
星空撮影では高ISO感度と長時間露光を同時に使うため、ノイズへの対処も必要です。ISO3200や6400では粒状の高感度ノイズが増え、長秒露光ではセンサーの熱などによる輝点が目立つ場合があります。撮影時の設定とRAW現像の両方を使って整えます。
一枚の星景写真をじっくり撮る場合は、長秒時露光ノイズ低減を利用する方法があります。カメラが撮影後にノイズ成分を補正するため、長時間露光特有の輝点を減らせます。一方、撮影後の処理に時間が必要になるため、流星群や比較明合成のように撮影間隔を空けたくない場合には不向きです。
連続撮影ではカメラ内処理で撮影を止めず、RAWを連続して保存し、後からノイズを調整する方法が使いやすくなります。星空では細かな星とノイズの形が似ているため、強いノイズリダクションをかけすぎると暗い星まで消えることがあります。
ISO感度を無理に低くすることも解決にはなりません。ISO1600へ下げるためにシャッタースピードを20秒へ延ばして星を流すより、ISO3200で10秒にして星を点として残し、RAW現像でノイズを整えた方が目的に合う場合があります。EOS RPの暗所撮影についてはEOS RPの暗所撮影でも詳しく解説しています。
EOS RPの星空撮影に使うレンズの選び方
- RF16mm F2.8 STMは広い空を写しやすく露光時間も確保できる
- 24mm前後の明るい単焦点は天の川と地上風景を両立しやすい
- マウントアダプターでEF広角レンズも星空撮影に活用できる
RF16mm F2.8 STMは広い空を写しやすく露光時間も確保できる
EOS RPで星空撮影を始めるときに扱いやすい焦点距離の一つが16mmです。フルサイズの16mmは非常に広い範囲を写せるため、天の川だけを画面へ入れるのではなく、山、海、木、建物など地上の風景まで一枚に収めやすくなります。
16mmには星を点として写せる露光時間を長めに確保しやすい利点もあります。300ルールなら約19秒なので、最初は15秒程度から撮影できます。24mmで10秒しか使えない条件でも、16mmなら15秒まで延ばせる場合があり、その5秒分だけ光を多く集められます。
RF16mm F2.8 STMはEOS RPへアダプターなしで直接装着でき、開放F2.8を使えます。F1.4の大口径レンズほど明るくありませんが、16mmという短い焦点距離を利用して露光時間を確保できるため、ISO感度との組み合わせで星空を撮影できます。
構図では空を広く入れるだけでは画面が単調になる場合があります。手前に岩、木、道路、建物などを大きく置き、その奥に星空を広げると16mmらしい遠近感を利用できます。
RF16mm F2.8 STMの画角やレンズそのものの特徴はRF16mm F2.8 STM 広角の特徴と使い方で詳しく紹介しています。
24mm前後の明るい単焦点は天の川と地上風景を両立しやすい
16mmでは空が広く写る反面、天の川そのものは小さくなります。天の川の存在感を強くしながら地上風景も入れたい場合は、20mmから24mm前後が使いやすくなります。16mmより画角が狭くなるため、天の川の中心部を大きく見せながら山や木を組み合わせられます。
24mmでは星を点として保てる露光時間が10~13秒程度になるため、レンズの明るさが重要です。F4のズームレンズでISO6400が必要な場面でも、F2ならISO3200程度、F1.4ならさらにISO感度を下げる余地が生まれます。
一方、開放F1.4だから必ずF1.4で撮る必要はありません。レンズによっては開放で周辺の星が崩れ、F1.8やF2へ少し絞った方が画面全体の星が整う場合があります。実際にF1.4、F1.8、F2、F2.8と撮り比べ、中央と四隅を拡大して使うF値を決めます。
24mm単焦点は星空専用ではなく、風景、旅行、スナップ、室内などでも利用しやすい焦点距離です。星空のためだけにレンズを追加する場合でも、昼間の用途まで考えると使用頻度を高められます。
明るい広角単焦点による星空撮影の例はEF24mm F1.4L II USMで星空を撮影する方法でも詳しく解説しています。
マウントアダプターでEF広角レンズも星空撮影に活用できる
EOS RPはRFマウントのカメラですが、マウントアダプター EF-EOS Rを使用するとEFレンズを装着できます。すでにEF16-35mm、EF24mm、EF35mmなどの広角レンズや明るい単焦点を持っている場合は、RFレンズを新たに揃えなくても星空撮影を始められます。
マウントアダプターはレンズとボディの間に入るため全長と重量は増えます。手持ちスナップでは取り回しに影響しますが、星空撮影では三脚へ固定して使う時間が長いため、すでに持っているEFレンズを活用できる利点も大きくなります。
特にEF時代にはF2.8の広角ズームやF1.4の広角単焦点が多数あります。星空では最新のAF性能を必要とせずMFでピントを合わせることが多いため、古いEFレンズでも光学性能と明るさが撮影条件に合えば活用できます。
中古レンズを選ぶ場合は焦点距離とF値だけで決めず、周辺の星像、コマ収差、逆光時のゴースト、フォーカスリングの操作性も確認します。通常の風景撮影では気づきにくい周辺の収差が、星空でははっきり現れることがあります。
EOS RPに合うレンズ全般はEOS RPのおすすめレンズガイド、EF-EOS Rを使う際の機材バランスはCanonマウントアダプターのデメリットで詳しく解説しています。
EOS RPで天の川・月夜・星の軌跡を撮り分ける方法
- 天の川は月明かりの少ない夜に広角レンズで狙う
- 月明かりがある夜は地上風景を生かして撮影する
- 星の軌跡は点像撮影と設定を分けて長時間記録する
天の川は月明かりの少ない夜に広角レンズで狙う
天の川をはっきり撮影したい場合は、カメラ設定だけでなく撮影する日時と場所が重要です。空が明るい都市部では淡い星が街明かりに埋もれやすいため、街灯や住宅地から離れた場所の方が撮影しやすくなります。月が明るい夜も空全体が明るくなるため、淡い天の川を狙う場合は月明かりの少ない時間帯が適しています。
設定は16~24mm程度の広角レンズ、F1.8~F2.8、ISO3200、8~15秒付近から始めます。撮影後に天の川が薄ければISO感度を上げます。星が流れていなければシャッタースピードを少し長くする方法もあります。
天の川だけを画面いっぱいに入れると撮影場所が分からない写真になりやすいため、地上風景も意識します。山の稜線、一本の木、湖面、海岸、建物などを画面下部へ入れると、星空の大きさを感じやすくなります。
夜間は肉眼で構図を確認しにくいため、最初はISO感度を高くして短時間のテスト撮影を行い、構図を決めてから本番のISO感度へ戻す方法も使えます。何度も10秒や15秒を待たずに位置を確認できるため、現場で構図を作りやすくなります。
天体撮影に特化したEOSシリーズとの違いや星景撮影の考え方はCanon EOS Raの天体撮影も参考になります。
月明かりがある夜は地上風景を生かして撮影する
満月に近い夜は天の川の撮影には不利になりますが、星空撮影ができないわけではありません。月明かりは地上の山、木、建物、岩などを照らす自然の照明として利用できます。肉眼では真っ暗に見える風景でも、数秒間露光すると地上部分の形や色が写ります。
月明かりが強い場合はISO3200では空が明るくなりすぎることがあります。ISO800~1600程度へ下げ、シャッタースピードも星が流れない範囲で調整します。月そのものを画面に入れる場合は、月が非常に明るいため星との明暗差が大きくなります。
月を画面外に置き、横や後方から地上風景へ光が当たる構図にすると、山や木の立体感を作りやすくなります。月が低い位置にある時間帯では影も長くなり、昼間とは異なる風景を撮影できます。
街明かりについても同じ考え方ができます。完全に排除することだけを考えず、遠くの街の明かりを地平線へ入れたり、建物の灯りを前景として使ったりすると、その場所らしい星景写真になります。
明るい月や人工光を画面へ入れる場合は白飛びも確認します。ヒストグラムやハイライト警告の見方はカメラの白飛びを防ぐ設定と直し方で解説しています。
星の軌跡は点像撮影と設定を分けて長時間記録する
星を点で写す写真と星を線として写す写真は、同じ星空撮影でも考え方が反対です。点像では地球の自転が目立つ前に露光を終えますが、星の軌跡を撮る場合は星が動いた距離そのものを写真へ記録します。
一枚の長時間露光で軌跡を作る方法と、20秒や30秒程度の写真を何十枚、何百枚と撮影して後から比較明合成する方法があります。後者なら一枚の失敗で全体を失う可能性を減らせ、飛行機や車の光が入ったコマだけを除外することもできます。
連続撮影する場合はホワイトバランス、F値、ISO感度を固定し、途中で露出が変化しないようにします。MFでピントを合わせた後はフォーカスリングへ触れません。撮影間隔が長く空くと軌跡に切れ目が生じるため、カメラ内の長秒時露光ノイズ低減はOFFにして連続性を優先する方法があります。
北の空を向いて北極星付近を中心にすると星が円を描き、東や西を向くと斜め方向へ流れる軌跡になります。露光時間だけでなく撮影方向によって完成した写真の形が大きく変わるため、撮影前に構図を決めます。
EOS RPの星空撮影で失敗したときの直し方
- 星が暗いときはシャッタースピードを延ばす前に露出条件を確認する
- 星が流れる・ぼける場合は原因を分けて設定を直す
- ノイズ・結露・バッテリー消耗は長時間撮影の前に対策する
星が暗いときはシャッタースピードを延ばす前に露出条件を確認する
撮影した星が暗い場合、最初にシャッタースピードを長くしたくなります。しかし、10秒で星が点になっていて、15秒で流れるレンズなら、露光時間を延ばす方法は使えません。星を止めたまま明るくするには、F値とISO感度から確認します。
F4で撮影しているならF2.8へ開けられないか確認します。F2.8が開放のレンズならISO1600を3200へ、3200を6400へ上げます。ISO感度を上げるとノイズは増えますが、暗いRAWデータを現像で大きく持ち上げてもノイズは目立つため、撮影段階で必要な露出を確保します。
星がほとんど写らない場合は、設定以外に薄雲、月明かり、街明かりの影響も確認します。肉眼では晴れているように見えても薄い雲があると星の光が弱くなり、街明かりが雲へ反射して空全体が白っぽくなることがあります。
レンズ前面の曇りも確認します。撮影開始時には鮮明だった星が徐々に弱くなった場合は、気温低下によって前玉へ露が付いている可能性があります。設定を大きく変更する前に、撮影画像の変化とレンズの状態を確認します。
星が流れる・ぼける場合は原因を分けて設定を直す
星が鮮明に写らないときは、「星が流れている」のか「ピントが外れている」のか「カメラが動いた」のかを分けて考えます。原因が違えば直す設定も変わります。
星が一定方向へ短い線になっている場合は、露光時間が長すぎる可能性があります。10秒を8秒、8秒を6秒へ短くし、その分ISO感度を上げます。すべての星が同じ方向へ動いていれば地球の自転による星の移動を疑います。
星が丸く膨らんでいる場合はピントを確認します。明るい星を拡大し、MFで最小になる位置へ合わせ直します。画面全体が同じ方向へぶれている場合は、三脚の揺れやシャッター操作による振動を確認します。
中央は点で四隅だけ鳥の羽のように伸びている場合は、レンズ周辺部の収差が原因として考えられます。この場合はシャッタースピードを短くしても改善しにくいため、F値を少し絞る方法を試します。
星空では「ぼけた」という一つの見え方に複数の原因があります。MF、シャッタースピード、三脚、F値を順番に確認すれば、必要のない設定変更を減らせます。
ノイズ・結露・バッテリー消耗は長時間撮影の前に対策する
星空撮影を長時間続けると、撮影設定以外の問題も起こります。特に注意したいのがバッテリー、レンズの結露、気温低下です。EOS RPはLP-E17を使用するため、何時間もライブビュー表示と長時間露光を繰り返す場合は予備バッテリーを用意しておくと撮影を続けやすくなります。
夜間に気温が下がるとレンズ前面へ露が付き、写真全体が徐々に柔らかくなります。最初は星が鮮明だったのに30分後から光がにじんできた場合、ピントを何度合わせ直しても改善しないことがあります。定期的に前玉を目で確認し、長時間撮影ではレンズヒーターを使用する方法があります。
寒い場所から暖かい車内や室内へカメラを急に持ち込むと、本体やレンズに結露が発生する場合もあります。撮影終了後の機材管理まで考えておくと、次回の撮影へ影響を残しにくくなります。
ノイズについては、一枚の画像を見てISO感度だけを下げるのではなく、星を点に保てるシャッタースピード、レンズの明るさ、RAW現像を含めて考えます。EOS RPの高感度性能を利用し、必要なISO感度を使いながら星そのものを鮮明に記録することを優先します。
まとめ
EOS RPで星空を撮影する場合は、最初にMモード、ISO3200、F2.8、10秒、MF、RAW、2秒セルフタイマーを設定すると撮影を始めやすくなります。16mmなら15秒前後、24mmなら10秒前後、35mmなら6~8秒前後を最初のシャッタースピードとして試し、撮影後に星を拡大して流れていないか確認します。
星を点として写す場合は、写真が暗いからと無条件に露光時間を延ばしません。焦点距離からシャッタースピードを決め、その時間の中でF値を開き、最後にISO感度で明るさを調整します。星が流れればシャッタースピード、丸く膨らめばMF、四隅だけ崩れればF値というように、写真の状態から変更する設定を選びます。
レンズは16~24mm前後の明るい広角レンズが使いやすく、EOS RPではRFレンズを直接装着できるほか、マウントアダプター EF-EOS Rを使用してEFレンズも活用できます。すでに明るいEF広角レンズを持っている場合は、そのレンズから星空撮影を始める方法もあります。
天の川、月明かりのある星景、星の軌跡では必要な設定が変わります。一枚目の設定を固定した後、撮影画像を拡大しながら一項目ずつ調整していけば、EOS RPで星を鮮明に写すための設定を撮影場所ごとに見つけられます。



