最新カメラなのに撮りにくい?高性能化で変わったカメラの操作性
カメラは新しくなるほど高性能になります。画素数が増え、AFは被写体を自動認識し、動画性能も向上し、スマートフォンとの連携やライブ配信まで一台でこなせる機種が増えました。
ところが、スペックが高くなったからといって、すべての人にとって撮りやすくなるとは限りません。
写真を撮るだけなら、古いカメラの方が操作が単純で使いやすく感じることがあります。反対に、動画撮影や一人での配信では、現在のミラーレスに搭載された新しい機能が大きな力になります。
EOS R50 V、EOS M200、EOS 5D Mark IIのような機種を並べてみると、この違いがよく分かります。発売時期も設計目的も異なりますが、重要なのは新旧の優劣ではありません。
自分が何を撮るのか、そのためにどの操作を頻繁に行うのかによって、「撮りやすいカメラ」は変わります。
この記事では、カメラの高性能化によって操作性がどのように変化したのかを整理しながら、スペック表だけでは分からないカメラ選びについて考えます。
最新カメラほど撮りやすいとは限らない
- 性能と操作性は別の要素として考える
- 機能が増えるほど操作方法も増える
- 撮影目的によって使いやすさは変わる
性能と操作性は別の要素として考える
カメラを比較するときには、画素数、連写速度、AF性能、動画解像度、手ブレ補正などの数字が注目されます。これらは性能を比較するうえで重要ですが、実際に撮影するときの使いやすさをそのまま表すものではありません。
例えば被写体認識AFを搭載したカメラは、人物や動物を自動的に認識して追尾できます。動く被写体を撮る場合には非常に便利です。一方、静止した被写体を中央一点で撮るだけなら、多数のAF設定を使う必要はありません。
機能が多いほど撮影できる範囲は広がりますが、自分が使用しない機能まで増えると、メニュー項目や設定項目も増えていきます。
カメラを選ぶときには「何ができるか」と同時に、「普段使う操作をどれだけ簡単に行えるか」を見る必要があります。
RFマウント機全体の構成については、EOS Rシリーズ(EOS Rシステム、RFマウント)の特長と選び方の完全ガイドで詳しく紹介しています。
機能が増えるほど操作方法も増える
現在のミラーレスカメラでは、一台の中に静止画と動画の両方の機能が搭載されています。
静止画だけでもAF方式、被写体認識、連写、電子シャッター、ホワイトバランス、ピクチャースタイルなど多数の項目があります。動画になると、フレームレート、記録形式、電子手ブレ補正、音声、カラーモードなどが加わります。
これらを使いこなせば撮影の自由度は高くなります。しかし、シャッターを切るまでに必要な操作が多いと感じる人もいます。
特に、以前から一眼レフを使ってきた人の場合、シャッタースピード、絞り、ISO感度、AFという基本操作だけで撮影していたところへ、多数の新しい設定が加わることになります。
カメラの進化は機能を増やす方向にも進んでいるため、「高機能」と「操作が単純」は必ずしも同じ方向には進みません。
基本設定だけで写真を撮る方法については、写真の撮り方を基本から解説|構図・F値・シャッタースピード・ISO・ピントの使い方も参考になります。
撮影目的によって使いやすさは変わる
同じカメラでも、静止画を撮る人と動画を撮る人では評価が変わります。
例えば動画撮影では、自分を撮影しながら録画状態を確認できるタリーランプ、正面から押せる録画ボタン、バリアングル液晶、USB給電などが便利です。
一方、ファインダーをのぞいて静止画を撮る人の場合には、シャッターボタンの近くから絞りやISO感度を変更できることや、AF位置を素早く動かせることの方が重要になります。
旅行で一日持ち歩くなら軽さが重要になり、三脚へ固定してライブ配信するなら重量はほとんど問題になりません。
同じ機能でも、撮影方法が変われば価値が変わります。カメラ選びでは用途を先に決め、その用途で頻繁に使う操作を確認する方が実際の使いやすさを判断できます。
絞りを中心とした静止画撮影については、F値とは?絞りで変わる明るさ・ボケ・被写界深度と設定の目安をわかりやすく解説で詳しく解説しています。
EOS R50 VとEOS M200で見える設計思想の違い
- EOS R50 Vは動画撮影を強く意識した操作系
- EOS M200はシンプルな操作で写真を撮りやすい
- 同じファインダー非搭載でも性格は大きく異なる
EOS R50 Vは動画撮影を強く意識した操作系
EOS R50 Vは、キヤノンが動画クリエイター向けとして操作系そのものを再構築したカメラです。
上面と前面に動画撮影ボタンを備え、動画用のモードダイヤル、パワーズーム対応時に使えるズームレバー、撮影状態を確認できるタリーランプなどを搭載しています。
これらはVlog、自撮り、縦位置動画、ライブ配信といった使い方では非常に合理的です。
つまり、従来のEOSシリーズをそのまま小型化したカメラではありません。撮影者がファインダーをのぞいて静止画を撮ることを中心とした設計から、カメラの前に立つ人や動画を撮る人まで含めた操作体系へ変化しています。
そのため、静止画だけを撮る人が使用すると、一般的な一眼レフやEOS R5などとは操作感が異なります。
EOS R50 Vそのものについては、EOS R50V 小さなボディに詰め込まれた本格撮影の楽しさで詳しく紹介しています。
EOS M200はシンプルな操作で写真を撮りやすい
EOS M200は2019年に登場したAPS-Cミラーレスで、有効約2410万画素のCMOSセンサーを搭載しています。
ボディは約299gと小さく、上方向へ約180度動かせるチルト式液晶を搭載しています。物理ボタンの数も多くなく、背面液晶を見ながら撮影するスタイルが基本です。
高度な操作を大量に割り当てるカメラではありません。そのため、本格的な一眼レフから見ると操作できる項目が少なく感じる一方、日常の静止画では迷う場所が少ないという特徴があります。
撮影モードを決め、必要な場所へタッチでピントを合わせ、シャッターを切る。この流れだけなら非常に単純です。
機能が少ないことが、そのまま欠点になるとは限りません。使用目的が限定されていれば、操作の単純さそのものが使いやすさになります。
EOS M200の特徴については、EOS M200 光と影が織りなす非日常の撮影でも紹介しています。
同じファインダー非搭載でも性格は大きく異なる
EOS R50 VとEOS M200には、どちらも内蔵電子ビューファインダーがありません。背面モニターを中心に撮影するという点だけを見ると似ています。
しかし、設計された時代と目的が違います。
EOS M200は小型軽量で簡単に写真や動画を撮影し、スマートフォンへステップアップしたユーザーにも扱いやすいカメラとして作られました。
EOS R50 Vは動画制作を強く意識し、Vlog、縦位置動画、ライブ配信など現在の映像制作に合わせた機能を多く備えています。
ファインダーがないという一つのスペックだけを見ても、実際の操作感までは分かりません。
静止画用途に絞ったEOS R50 Vについては、EOS R50 Vは静止画でも使える?写真撮影の実力とEOS R50との違いで詳しく整理しています。
一眼レフが今でも撮りやすく感じられる理由
- 撮影に必要な操作が物理ボタンへ整理されている
- 光学ファインダーは撮影前の景色をそのまま見る
- 機能が限定されていることで迷いが減る
撮影に必要な操作が物理ボタンへ整理されている
中級以上の一眼レフでは、撮影中によく変更する設定がボタンやダイヤルへ直接割り当てられています。
ISO感度、AF方式、ドライブモード、測光、露出補正などを変更するときに、毎回メニュー画面の深い場所まで移動する必要がありません。
一度ボタン配置を覚えてしまえば、ファインダーから大きく目を離さずに設定を変更できます。
一眼レフが大きい理由の一つは、ミラーや光学ファインダーを搭載していることですが、大きなボディには多数の操作部を配置できる利点もあります。
小型化されたカメラではボタン数を減らし、タッチパネルやメニューから操作する項目が増えます。持ち運びやすさと操作部の多さは、両立しにくい部分でもあります。
一眼レフ全体の特徴については、Canon APS-C一眼レフが選ばれる理由 軽さと画質の絶妙なバランスも参考になります。
光学ファインダーは撮影前の景色をそのまま見る
一眼レフの光学ファインダーでは、レンズを通った光をミラーとプリズムを使って直接見ることができます。
ミラーレスのEVFはセンサーが取得した映像を電子表示するため、露出やホワイトバランスを撮影前に確認できる大きな利点があります。
一方、光学ファインダーでは電子表示を介さず、その場所の光を直接見ながら構図を決めます。
露出結果を事前に表示してくれる機能はありませんが、写真を撮る前の景色を見ることに集中しやすいという特徴があります。
どちらが使いやすいかは撮影者によって変わります。撮影結果を事前に確認したい場合はEVFが便利で、被写体そのものを見る感覚を重視する場合には光学ファインダーが合います。
フルサイズ一眼レフの撮影感覚については、キヤノンフルサイズ一眼レフで深まる撮影のよろこび 光とともに記録する日常の一瞬でも紹介しています。
機能が限定されていることで迷いが減る
EOS 5D Mark IIは2008年に登場したフルサイズ一眼レフです。約2110万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載し、現在のカメラと比べるとAFや連写などの機能は単純です。
現在のような人物や動物の瞳認識AFはありません。撮影者自身がAF測距点を選び、必要な場所へピントを合わせます。
便利な機能が少ない代わりに、撮影時に考える項目も限定されます。
絞りを決める。シャッタースピードを決める。ISO感度を決める。AF位置を決める。そして構図を決めて撮る。
写真撮影に必要な基本動作が前面に出ているため、現在の多機能機とは別の意味で分かりやすいカメラといえます。
EOS 5D Mark IIについては、EOS 5D Mark II 表現力と信頼感で作品づくりを支えるカメラでも詳しく紹介しています。
高性能AFは撮影を簡単にする一方で設定も増える
- 被写体認識AFによってピント合わせは大きく変わった
- 連写性能が上がるほど撮影方法の選択肢も増える
- 自動化する部分と自分で決める部分を分ける
被写体認識AFによってピント合わせは大きく変わった
ミラーレスカメラの大きな進化の一つがAFです。
人物の顔や瞳を認識し、動いても追尾を続ける機能によって、撮影者が細かなAFポイントを移動し続ける必要は少なくなりました。
野鳥、スポーツ、子ども、ペットなど、位置が変わり続ける被写体では特に大きな効果があります。
その一方で、AFエリア、追尾、被写体認識対象、サーボAFなど、AFに関する設定項目そのものは増えています。
高性能AFを搭載したカメラを使うときには、すべてを細かく変更するより、自分が使う撮影方法に合わせて数種類の設定へ絞る方が扱いやすくなります。
高性能ミラーレスの代表例については、EOS R5とは EFレンズとRFマウントで実力を引き出す高画素フルサイズの使い方で詳しく紹介しています。
連写性能が上がるほど撮影方法の選択肢も増える
一眼レフでは単写と高速連写、低速連写など比較的単純だったドライブモードも、現在のミラーレスでは電子シャッターとの組み合わせによって選択肢が増えています。
高速連写は動く被写体を撮るときに便利ですが、日常の風景や静物撮影で常に高速連写を使う必要はありません。
撮影枚数が増えれば、その後に写真を選ぶ作業も増えます。
性能が高いカメラだから常に最高速で使うのではなく、止まった被写体では単写、動く被写体では連写というように、目的に合わせて単純化すると扱いやすくなります。
カメラの機能は使えること自体に価値があります。必要なときだけ使える状態にしておけばよく、常に最大性能を使う必要はありません。
単写と連写の使い分けについては、ドライブモードとは?単写・連写・セルフタイマーの違いと使い方で詳しく紹介しています。
自動化する部分と自分で決める部分を分ける
現在のカメラでは、多くの操作を自動化できます。
ISO感度をAUTOにし、被写体認識AFを使えば、撮影者は絞りやシャッタースピードと構図に集中できます。
逆にすべてをマニュアルにすると、撮影者が管理する項目は増えます。
重要なのは、自動か手動かのどちらか一方へ統一することではありません。カメラに任せても問題のない部分を自動化し、写真の表現へ直結する部分だけ自分で決める方法があります。
例えばAvモードでF値を固定し、ISO AUTOを使用すれば、背景のボケ方を自分で決めながら明るさの変化へ対応できます。動体ではシャッタースピードを優先し、ISOをカメラへ任せる方法もあります。
シャッタースピードによる表現の違いについては、シャッタースピードの基本と使い方 動きを止めるか流すか自在に操る撮影術で詳しく解説しています。
自分にとって撮りやすいカメラを選ぶ方法
- スペック表より普段使う操作を確認する
- 静止画と動画のどちらを中心にするか決める
- 新旧ではなく撮影方法との相性で選ぶ
スペック表より普段使う操作を確認する
カメラを選ぶときには、最高性能だけを見ると判断を誤りやすくなります。
4500万画素が必要なのか、2400万画素程度で十分なのか。高速連写を使うのか、ほとんど単写なのか。ファインダーを使うのか、背面液晶だけで撮るのか。
普段の撮影で何をしているかを考えると、必要な機能が見えてきます。
特に操作性はスペック表だけでは判断しにくい部分です。ボタンの位置、ダイヤルの数、液晶の動き方、ファインダーの有無、グリップの形などが撮影のしやすさへ直接影響します。
性能を比較した後には、自分が何回その機能を使うのかまで考えると、カメラ選びが具体的になります。
キヤノンのカメラを機種ごとに確認する場合は、キヤノン大全から各シリーズを探せます。
静止画と動画のどちらを中心にするか決める
現在のカメラ選びでは、静止画と動画のどちらを中心にするかが以前より重要になっています。
EOS R50 Vのように動画を強く意識したカメラでは、動画撮影ボタン、タリーランプ、縦位置撮影、バリアングル液晶などが操作性の中心になります。
一眼レフでは光学ファインダー、AF測距点、シャッターボタン周辺のダイヤルなど、静止画を撮るための操作が中心です。
両方を高い水準で行うカメラもありますが、その分だけ機能や設定は増えます。
動画をほとんど撮らない人にとって動画機能の多さは優先順位が低くなり、ライブ配信を行う人にとっては静止画用の光学ファインダーより給電や動画機能の方が重要になります。
レンズまで含めて現在のシステムを考える場合は、RFレンズとEFレンズの違い Canonの互換性と選び方も参考になります。
新旧ではなく撮影方法との相性で選ぶ
新しいカメラには、新しいカメラだからこそ可能になった撮影があります。
高精度な被写体認識AF、高速連写、高画質動画、ライブ配信、スマートフォン連携などは、撮影の可能性を大きく広げています。
古いカメラには、機能が整理されていることによる単純さがあります。写真を一枚ずつ撮る場合には、その単純さが使いやすさにつながることがあります。
EOS R50 V、EOS M200、EOS 5D Mark IIは、単純に性能順へ並べて終わるカメラではありません。
動画制作ならEOS R50 Vの設計が活きます。小型ボディで背面液晶を使って気軽に撮るならEOS M200の単純さが活きます。光学ファインダーを見ながら静止画へ集中するなら、一眼レフの操作体系にも現在とは違う魅力があります。
EFレンズを一眼レフとEOS Rシリーズの両方で活用する方法については、EFレンズをRFマウントで 新たな可能性を引き出すで紹介しています。
まとめ
カメラの性能は確実に進化しています。AFは被写体を認識し、高速連写が可能になり、4K動画やライブ配信、スマートフォン連携まで一台で行えるようになりました。
その進化によって、以前には難しかった撮影が簡単になっています。
一方で、機能が増えれば設定項目も増えます。動画と静止画を一台で扱うカメラでは、ボタンやダイヤルの役割も従来の一眼レフとは変わります。
EOS R50 Vは、動画クリエイターを意識して操作系そのものが設計されています。EOS M200は、小型軽量なボディとタッチ操作を中心に、比較的単純な操作で撮影できます。EOS 5D Mark IIのような一眼レフは、光学ファインダーと物理操作を中心に写真を撮る構成です。
どのカメラが撮りやすいかは、発売年や価格だけでは決まりません。
動画を撮るのか、写真を撮るのか。動く被写体を追うのか、止まった被写体を一枚ずつ撮るのか。ファインダーを使うのか、背面液晶を使うのか。
自分の撮影方法が決まれば、必要な機能も自然に絞られます。
最新機種のすべての機能を使う必要はなく、古いカメラだから不便とも限りません。「自分が撮影するときに必要な操作を、迷わず行えるか」という視点で見ると、スペック表とは違ったカメラの価値が見えてきます。
EOS R50 Vが動画向けに操作系を再設計している点、EOS M200の約2410万画素・約299g、EOS 5D Mark IIの約2110万画素フルサイズについてはキヤノン公式情報で確認しています。



