EOS Rのおすすめ設定完全ガイド|AF・Fvモード・タッチ&ドラッグ・動画を解説
2018年発売の初代Canon EOS Rは、約3030万画素のフルサイズセンサーを搭載したRFマウント最初のミラーレスカメラです。Fv(フレキシブルAE)モード、タッチ&ドラッグAF、マルチファンクションバーなど、後のEOS Rシリーズとも異なる操作方法を持っています。中古で購入した人や、以前から使っている人が設定を見直す場合、最新のEOS R5やR6と同じ機能があると思って操作すると、目的の項目が見つからないことがあります。
最初に整えたいのは、記録画質をC-RAWまたはRAW+JPEGにするか、静止した被写体にはワンショットAF、動く被写体にはサーボAFを使うか、露出をAvやFvで調整するかという基本です。人物には顔+追尾優先AFと瞳AF、風景にはAvモードと低ISO、動きのある被写体にはTvまたはMモードとISOオートが出発点になります。撮影中にAF位置を移すタッチ&ドラッグAF、設定の呼び出しに使うマルチファンクションバーも、自分の操作に合わせて整理すると扱いやすくなります。
この記事では初代EOS Rだけを対象に、購入直後の設定、AF方式、露出、ボタンとバーのカスタマイズ、人物・風景・野鳥・乗り物の設定、4K・フルHD動画、C1~C3への登録まで順番に解説します。撮影数値は開始時の目安であり、光量、焦点距離、動きに合わせて調整することを前提としています。初代EOS Rに搭載されていない動物瞳AF、乗り物認識AF、ボディ内手ブレ補正、4K/60Pなどを設定項目として紹介することはありません。
EOS Rを使い始めるときの基本設定
ファームウェアを確認して瞳AFの対応状況を把握する
最初にカメラのファームウェアを確認します。中古で購入したEOS Rには古いバージョンが残っている場合があり、瞳AFやレンズの対応状況が異なる可能性があります。キヤノンはVer.1.2.0で静止画の瞳AFとサーボAFの併用に対応し、Ver.1.4.0で小さく写る人物の瞳検出や動く被写体への追従性能を改善しました。Ver.1.8.0ではRF50mm F1.8 STM装着時のカラーバランス精度も改善しています。メニューの機能設定からファームウェアの表示を確認し、必要な場合は機種専用の正式な更新手順に沿って対応します。
更新時は十分に充電したバッテリーを使い、処理中に電源を切らないことが重要です。ファームウェアを新しくしても、EOS R5 Mark IIなどの新しい機種にある動物・鳥・乗り物の専用検出メニューが追加されるわけではありません。初代EOS Rでは人物の顔と瞳の検出、1点AF、ゾーンAF、ラージゾーンAFなどを撮影対象によって使い分けます。機種固有の基本仕様は初代Canon EOS Rの機能と特徴でも確認できます。
写真の記録画質はC-RAWとJPEGを基準に考える
撮影後に明るさやホワイトバランスを調整するなら、C-RAWまたはRAWを基準にします。初代EOS Rは約3030万画素のフルサイズセンサーを使い、RAWとC-RAWのどちらでも記録画素数を維持できます。C-RAWは通常のRAWよりファイル容量を抑える方式で、旅行やスナップなど撮影枚数が増える用途に向いています。ただし圧縮方式が異なるため、画像を大きく調整する可能性がある重要な撮影では通常のRAWを選ぶ考え方もあります。撮って出しをすぐ利用するならJPEGを同時記録する方法が便利です。
RAW+JPEGを使うと保存容量とカードへの書き込み量が増えます。逆にJPEGだけでは、撮影後にホワイトバランスや階調を大幅に調整できる余地がRAWより小さくなります。DPRAWも利用できますが、ファイル容量や連写速度への影響があるため、最初から常時有効にする必要はありません。撮影と現像の流れを考え、通常はC-RAW、重要な作品はRAW、すぐ共有する写真はJPEG同時記録という区別が実用的です。機種の記録性能はEOS Rの約3030万画素センサーと画質でも解説しています。
カード・日時・画像確認とレンズ補正を整える
初代EOS RのカードスロットはSDカード一つで、UHS-IIに対応しています。撮影前にカードをカメラで初期化する場合は、必要なデータが保存されていないことを確認します。シングルスロットなので同時に二枚へバックアップ記録することはできません。重要な撮影では、撮影後に別の保存先へ早めに複製する運用が必要です。日時とタイムゾーンを合わせ、再生時の拡大表示や情報表示も、自分が写真を確認しやすい状態に整えます。
周辺光量補正、色収差補正、歪曲収差補正、デジタルレンズオプティマイザなどは、装着レンズの対応状況と記録形式に応じて働き方が変わります。JPEG中心なら補正の効果を確認し、RAW中心なら現像ソフト側で調整する余地を残す方法があります。自動補正をすべて最大にすることより、同じ条件で撮影して自分の好みを確認することが大切です。装着可能なRF・EFレンズはCanonレンズの対応表が参考になります。
EOS RのAFおすすめ設定
静止した被写体はワンショットAFと1点AFから始める
風景、建物、商品、小物など、ピントを合わせた場所がほとんど動かない撮影ではワンショットAFが基本です。AF方式は1点AFを選ぶと、人物の顔以外の小さな被写体や背景の特定位置へ、撮影者の意図でピントを合わせられます。窓枠越しの風景や枝の間の花を撮る場合、広いAFエリアへ任せると近くの障害物に合焦することがあるため、AFフレームを小さくして位置を指定する方法が適しています。
ピントを合わせた後で大きくカメラを振ると、特に明るい単焦点レンズではピント位置が変わってしまう場合があります。ミラーレスの利点は画面の広い範囲へAF位置を移せることなので、構図を決めてから被写体の位置へAFフレームを移す方法が向いています。三脚で商品を撮る場合は拡大表示で結果を確認し、必要ならMFへ切り替えます。初代のAFエリアの特徴はEOS RのデュアルピクセルCMOS AFでも紹介しています。
人物には顔+追尾優先AFと瞳AFを組み合わせる
人物撮影ではAF方式を顔+追尾優先AFにし、瞳AFを利用する設定が起点になります。ファームウェアVer.1.2.0以降では静止画の瞳AFとサーボAFを併用できるため、人物がゆっくり前後へ動くポートレートでも追い続けられます。ただし瞳が小さく写る、横顔になる、前髪で隠れる、逆光で顔が暗いといった条件では、瞳を認識できない場合があります。瞳AFの枠が表示されているかを確認し、検出できないときは1点AFなどへ切り替えることが必要です。
85mm F1.2のような大口径レンズでは、手前の目にピントが合っていても奥の目が大きくぼけることがあります。瞳AFを使っても被写界深度は深くならないため、両目をある程度鮮明に写したい場合はF2.8などへ絞る方法があります。複数人がいる場面では誰を優先するかを撮影者が指定する操作も重要です。初代EOS Rの人物AFとボケの関係はRF35mm F1.8によるポートレート撮影も参考になります。
動く被写体にはサーボAFとゾーンAFを使い分ける
歩く人物、走る子ども、乗り物など距離が変わる被写体はサーボAFが基本です。被写体を一定の範囲に捉えられるならゾーンAFやラージゾーンAFが役立ちます。背景に複数の被写体がある場合は、1点AFや領域拡大AFで狙う位置を指定する方法もあります。初代EOS Rには新しいEOS Rシリーズの鳥認識AFや車両認識AFがないため、AFエリアを自分で合わせる操作の重要性が高くなります。
最高連写速度の約8コマ/秒はワンショットAFなどの条件付きで、サーボAFでは速度優先の場合に最高約5コマ/秒となります。さらに追従優先の設定では最高約3コマ/秒が目安です。初代EOS Rを動体用として使う場合、この違いを知らずに最高速度だけを期待すると撮影感覚が変わります。まず短い連写でピントを確認し、AFエリアとシャッタースピードを調整すると状況を整理できます。新旧EOS Rの動体性能の位置付けはEOS Rシリーズ完全ガイドでも比較できます。
タッチ&ドラッグAFとマルチファンクションバーの設定
タッチ&ドラッグAFは右側の部分領域から試す
初代EOS Rではファインダーを覗きながら背面液晶を指でなぞり、AFフレームの位置を移動できます。専用のAFスティックがない機種なので、タッチ&ドラッグAFは操作性を左右する重要な機能です。最初はタッチ領域を背面液晶の右側などへ限定し、位置指定方法を相対位置にしてみると、指を置いた場所を起点としてAF枠を動かせます。顔が液晶へ触れて意図せずAF位置が変わる場合も、反応する範囲を狭める方法があります。
絶対位置では触れた場所に応じてAF枠が移動し、相対位置では指を動かした方向と量に応じて位置が変わります。どちらが使いやすいかはファインダーの覗き方と右目・左目の使い分けによります。画面を広く利用した方が便利な人もいれば、部分領域の方が誤操作を防ぎやすい人もいます。まず一つの方式を使い、被写体を追いながら動かせるかで調整します。初代EOS Rの独特な操作系はEOS Rの操作とカスタマイズでも解説しています。
マルチファンクションバーは誤操作しにくい用途を割り当てる
初代EOS Rのマルチファンクションバーは、指でタップしたりスライドしたりして設定を変える独自の操作部です。感度が高いと意図しない変更が生じる場合があるため、最初から露出に直結する項目をいくつも操作するより、撮影中に変更頻度の高い機能を一つ選んで設定する方が慣れやすくなります。例えばISO感度やホワイトバランスなどの変更を割り当て、ファインダーから目を離さず操作できるかを確認します。
誤操作が気になる場合はバーの操作ロックや解除方法を使い、撮影中に不用意な値の変更が起きないようにします。バーを使わず、前後のダイヤルとRFレンズのコントロールリングを中心に操作する運用もできます。重要なのは独自機能を必ず活用することより、露出やAFが自分の意図どおり変えられることです。RFレンズ側の操作リングと役割を分けたい人にはCanonのコントロールリング設定も参考になります。
親指AFとRFレンズのコントロールリングを整理する
親指AFは、シャッターボタンを半押ししたときのAF開始機能を別のボタンへ分け、親指のボタンで合焦を操作する方法です。EOS RにはAF-ONボタンがあるため、ボタンカスタマイズを利用してこの方式へ変更できます。ピントを合わせたまま何枚も構図を調整したい場面や、AFを一時的に止めて撮影したい場面に向きます。ただし設定変更後はシャッターボタンを半押ししても従来どおりにAFが動かない場合があるため、撮影前に動作を確認する必要があります。
RFレンズにコントロールリングがあれば、ISO感度や露出補正など使用頻度の高い項目を割り当てられます。EFレンズを装着する場合もコントロールリングマウントアダプター EF-EOS Rを使えば同様の操作部を追加できます。AF-ON、マルチファンクションバー、コントロールリングに同じ機能を重複して割り当てる必要はありません。撮影中の指の動きに合わせて役割を分担すると操作を覚えやすくなります。具体例はRFレンズとマウントアダプターのコントロールリング活用でも確認できます。
Fv・Av・Tv・Mモードのおすすめ露出設定
Fvモードは絞り・シャッター・ISOの自動と手動を混在できる
EOS RのFvはフレキシブルAEモードで、シャッタースピード、絞り、ISO感度をそれぞれ自動または手動で設定できる機能です。例えば絞りをF2.8に固定し、シャッタースピードとISOを自動にすればAvモードに近い使い方になります。シャッタースピードを1/1000秒に固定して絞りとISOを自動にすれば、動体撮影の出発点にもできます。一つのモードのまま、撮影状況に合わせて優先する項目を変更できる点が特徴です。
Fvが便利でも、操作に慣れていない間は意図せずISOやシャッタースピードを固定してしまう可能性があります。撮影画面で各項目がAUTOか任意設定かを確認し、露出が極端に変わったときは固定値を見直すことが重要です。初めて使う場合は絞りだけを手動にする設定から始め、次にシャッタースピードやISOを切り替えると仕組みを理解しやすくなります。初代EOS R独自の撮影操作はEOS RのFvモードと操作性でも紹介しています。
風景と人物はAvモードで絞りを先に決める
絞り優先AEのAvモードは、背景をどの程度ぼかすか、画面全体をどの程度鮮明にするかを先に決めたい撮影に向いています。ポートレートならF1.8からF2.8前後、風景ならF5.6からF8前後を開始の目安にします。被写体と背景の距離やレンズの焦点距離によってボケ方は変わるため、決まったF値だけで撮る必要はありません。絞りを固定したら、表示されるシャッタースピードが被写体に合っているかを確認します。
明るい屋外で背景をぼかす場合はシャッタースピードが速くなり、暗い室内では遅くなりやすくなります。ISOオートを使えば明るさに対応しやすくなりますが、希望より低速になる場合はISOの上限や低速限界設定も検討できます。肌や白い服のハイライトが飛ぶ場合には露出補正で調整します。レンズの絞りと人物描写の関係はRF35mmで撮る人物と背景のボケも参考になります。
動体はTvかM+ISOオートで速度を優先する
走る子ども、飛行機、野鳥など動く被写体では、シャッタースピードを先に決める方が失敗を減らしやすくなります。Tvモードで1/500秒から1/1000秒程度を選び、動きが速い場合は1/1600秒以上へ上げる方法があります。MモードとISOオートを組み合わせれば、シャッタースピードと絞りを固定したまま、明るさの変化へISOで対応できます。例えば飛行機は1/1000秒、F5.6、ISOオートという設定から始め、天候に応じて調整できます。
ただしF値が暗い望遠レンズで速い速度を選ぶと、ISOが大きく上がります。高ISOノイズを避けて速度を落としすぎると被写体ブレが増えるため、記録したい動きに応じて優先順位を決める必要があります。プロペラ機では回転の動感を残すため、意図的に速度を落とす撮影もあります。撮影距離とレンズの画角を考える場合には300mmと400mmの違いも関連します。
人物・スナップ・風景に適したEOS Rの設定
人物は瞳AF・F1.8~F2.8・1/125秒以上を出発点にする
人物を撮るときは、顔+追尾優先AFと瞳AFを使い、ゆっくり動く人物にはサーボAFを選びます。85mm単焦点や50mm単焦点ならF1.8からF2.8程度を出発点にすると、背景をぼかしながら顔の表情を残せます。ただし近距離のF1.2など極端に浅い被写界深度では、手前の瞳だけが合焦して奥の瞳が大きくぼける場合があります。両目の鮮明さを重視するならF2.8からF4へ絞ることも考えられます。
静止した人物なら1/125秒前後、歩いている人物なら1/250秒から1/500秒程度を目安にし、必要に応じてISOを上げます。人物の肌を明るく見せたい場合は、顔の白飛びを確認してから露出補正を調整します。ピクチャースタイルはポートレートなどから試し、RAWであれば後から色味を細かく整えられます。35mmで背景の雰囲気まで残したい場合はRF35mm F1.8のポートレート設定も参考になります。
街歩きはFvまたはAvとISOオートを使いやすく整える
スナップでは歩きながら明るさや被写体までの距離が変わるため、すべてを毎回手動で設定すると撮影機会を逃すことがあります。FvまたはAvを選び、F4からF5.6前後、ISOオートを基準にすると、人物と街並みを適度な被写界深度で写しやすくなります。動く人が多い街ではシャッタースピードが1/125秒より遅くなっていないか確認し、必要ならTvやFvで速度を固定します。
AFは静止した看板や建物ならワンショットAFと1点AF、歩く人物ならサーボAFと顔+追尾優先AFという使い分けができます。RF35mm F1.8 MACRO IS STMなら環境を入れたスナップと近接撮影を一本でこなせ、レンズ内ISも使えます。EOS R本体には静止画用のボディ内手ブレ補正がないため、暗い場所でISのないレンズを使う場合はシャッタースピードに注意します。レンズとの関係はRF35mm F1.8 MACRO IS STMの撮り方で確認できます。
風景はISO100・F8前後とヒストグラムを基準にする
風景撮影ではAvモードでF8前後、ISO100から始めると露出と被写界深度を整理しやすくなります。広い景色では画面中央だけでなく四隅の描写も気になるため、レンズの性能に合わせてF5.6やF11を選ぶ場合もあります。絞りをF16やF22まで極端に小さくすると回折で細部の解像感が落ちる場合があり、絞り込むほどよいわけではありません。空が明るい場面ではヒストグラムや再生時のハイライトを確認します。
三脚を使用できる場合は低ISOで落ち着いて構図を作れます。手持ちでシャッタースピードが遅くなれば、レンズ内ISを使うかISOを上げる方法があります。EOS Rの約3030万画素を生かすには、レンズの解像力、正確なピント、ブレの少なさを組み合わせることが重要です。風景と夜景における補正方式の考え方はCanonの手ブレ補正の仕組みでも解説しています。
夜景・マクロ・手動ピント合わせの設定
三脚夜景はMモード・ISO100・2秒セルフタイマーを使う
静止した街並みや建築物を三脚で撮るなら、MモードでISO100、F8、シャッタースピード2秒前後から始める方法があります。撮影画像が暗ければ4秒、8秒へ延ばし、明るければ短くして調整します。シャッターボタンを押したときの振動を避けるには2秒セルフタイマーやリモート撮影が便利です。車の光跡を残したい場合は数秒以上の露光を試せますが、車の数や速度によって表現は変わります。
EOS Rは静止画のボディ内手ブレ補正を搭載していません。三脚に固定した場合、レンズ内ISは製品の説明に従って設定を判断します。レンズによっては三脚使用を検知しますが、古いEFレンズなどで動作が異なる可能性があります。夜景ではAFが迷う場合もあるため、明るい看板や建物の輪郭へ1点AFで合わせ、必要なら拡大表示とMFを併用します。手持ちと三脚の補正の違いは手ブレ補正と三脚撮影の使い分けも参考になります。
手持ち夜景はIS付きレンズと適切な速度を組み合わせる
三脚が使えない場所では、レンズの焦点距離に応じて最低限のシャッタースピードを確保することが重要です。35mmなら1/60秒から1/125秒程度を出発点にし、歩く人物を入れる場合はさらに速くします。RF35mm F1.8 MACRO IS STMのようなレンズ内ISを備えた製品では、止まった建物などを低速で写す余地があります。ただし手ブレ補正は歩く人や車の動きを止められません。
RF50mm F1.8 STMのようにレンズ内ISがない場合、EOS R本体にも静止画用補正がないため、ISOを上げて十分な速度を確保する方法が重要です。ISO3200や6400を使った写真でも、ブレを避けられれば作品として利用できる場合があります。暗所の高感度ノイズと手ブレを比較し、必要なディテールを残せる設定を選びます。RF50mmでの具体的な手ブレ対策はRF50mm F1.8 STMの手ブレ対策にまとめています。
マクロは拡大表示・MFピーキング・フォーカスガイドを活用する
花やアクセサリー、小物などへ近づいて撮ると、AFが背景へ移動したり、ピントが狙った位置から外れたりする場合があります。EOS RではMFピーキングとフォーカスガイドが利用できるため、対応するレンズと設定でピントの状態を確認しながら撮影できます。MFピーキングはピントが合った部分の輪郭を色で示す補助機能ですが、表示される範囲がすべて厳密な合焦面になるわけではありません。必要に応じて5倍や10倍の拡大表示で確認します。
RF35mm F1.8 MACRO IS STMは最大撮影倍率0.5倍のハーフマクロに対応し、EOS Rでも利用できます。最短付近では被写界深度が浅くなるため、F5.6からF8程度へ絞る選択もあります。被写体が風で揺れている場合、補正機構だけでは止められないため、速度を確保する必要があります。近接撮影では自分の影が被写体へ落ちることにも注意が必要です。RF35mmのマクロ特性はRF35mm F1.8 MACRO IS STMのハーフマクロ撮影で解説しています。
野鳥・鉄道・航空機など動体撮影の設定
動く被写体はサーボAFと短い連写を組み合わせる
初代EOS Rで野鳥やスポーツを撮る場合、サーボAFとAFエリアの選択が中心になります。枝に止まる鳥なら1点AF、飛んでいる鳥ならゾーンAFやラージゾーンAFなど、背景と被写体の大きさに応じて変更します。最新のEOS Rシリーズにある鳥の瞳や飛行機を自動で選ぶ専用機能は搭載していません。カメラへ被写体を見つけさせることより、撮影者がファインダー内で捉えてAFエリアを合わせる操作が必要です。
最高約8コマ/秒という公称連写値はワンショットAFなどの条件によるもので、サーボAFでは最高約5コマ/秒または追従優先の約3コマ/秒が目安です。無理に長く連写するより、撮りたい瞬間を観察して短く撮る方が、写真の選別やカードの書き込み負荷を抑えられます。動体用の高性能機との違いを調べる場合はEOS Rシリーズ各機のAF・連写比較が参考になります。
野鳥は1/1000秒前後から動きに応じて速度を調整する
止まっている小鳥なら1/500秒から1/1000秒程度を基準にし、首を素早く動かす鳥や飛翔する鳥では1/1600秒から1/2500秒程度まで上げる方法があります。これらは固定の正解ではなく、鳥の種類、動き、光の量、焦点距離で変わります。Mモードで絞りとシャッタースピードを決めてISOオートを利用すれば、鳥が日なたと日陰を移動しても明るさに対応しやすくなります。
望遠レンズを使うと、わずかな手ブレやAF位置のズレが拡大して見えます。IS付きレンズならファインダー像の揺れを抑えられますが、羽ばたきによる被写体ブレは止められません。鳥の体がファインダー内で小さすぎる場合は、さらに長い望遠だけを考える前に撮影位置や時間帯も検討します。焦点距離と撮れる大きさの関係は400mmレンズの野鳥撮影でも紹介しています。
飛行機・鉄道は画角と動く方向を見ながら追う
旅客機や鉄道車両は、距離が変わると画面内を横切る速さも変わります。最初は1/1000秒前後、サーボAF、ISOオートを基準にし、被写体を追える範囲の焦点距離から始めます。400mmなどの望遠端へ固定すると、近づいてきた機体や車両が画面からはみ出す場合があります。ズームを短い側へ戻して被写体を見つけ、構図に余裕を残しながら追う方法が有効です。
列車や飛行機の動きをあえて流す写真では、シャッタースピードを落としてカメラを動きに合わせて振ります。低速にするほど背景の流れを強調できますが、被写体そのものもブレやすくなります。プロペラ機なら回転を止めすぎない速度を選ぶなど、止めて写す写真とは異なる設定を使います。レンズの使い分けについては300mmと400mmの航空機・鉄道撮影比較も参考になります。
EOS Rの動画おすすめ設定
4Kは29.97Pまでで大きなクロップを考慮する
初代EOS Rの4K動画は最大29.97Pで、4K/60Pには対応していません。また4K撮影ではフルサイズ静止画より大きく画角が狭まります。例えば広い室内を撮影したいとき、24mmの広角レンズでも静止画と同じ範囲を写せないため、撮影位置やレンズ選びが重要です。4Kの画質だけを見て設定を決めると、撮りたい範囲が画面へ収まらない可能性があります。
4Kを選ぶ目的は、編集で解像度を維持したい、細部を記録したい、4K納品を求められるなどの場合です。一方、広い画角や滑らかな60Pを優先する日常動画ではフルHDを選ぶ理由があります。動画電子ISを併用すると画角がさらに狭くなる場合があるため、どの補正方式を使うかも含めて撮影前に確認します。後のEOS Rシリーズとの動画仕様の違いはEOS Rシリーズの動画性能比較で確認できます。
フルHDは59.94Pと動画サーボAFを基準にする
歩く人物や旅行の記録など、動きの滑らかさを重視するならフルHD/59.94Pが使いやすい設定です。動画では動画サーボAFを有効にし、人物を撮る場合は顔の検出、狙った位置でピントを固定したい商品撮影では1点AFやMFを使い分けます。AF速度を急にするとピントの移動が目立つため、作品の雰囲気に合わせて動画サーボAFの速度と追従特性を調整します。
露出を手動で管理する場合、29.97Pでは1/60秒、59.94Pでは1/125秒前後を目安にすると動きの見え方を整理しやすくなります。ただしLED照明や蛍光灯の条件によってフリッカーが出る場合があり、地域の電源周波数と照明方式を考慮する必要があります。ホワイトバランスを固定すればシーン内の色変化を抑えやすくなります。RF35mmを動画へ利用する場合のレンズ動作はRF35mm F1.8の動画撮影とAFも参考になります。
Canon Logと動画電子ISは撮影目的を決めて使う
EOS RはCanon Logによる動画撮影に対応します。撮影後に階調と色を調整して仕上げる場合は選択肢になりますが、撮って出しをそのまま公開する用途では通常の仕上がり設定の方が編集工程を簡単にできます。Logは記録しただけで自動的にきれいな映像になる方式ではなく、露出管理と適切な色補正が必要です。動画編集に使うパソコンやソフト、納品形式も考えて選びます。
EOS Rには静止画用のボディ内手ブレ補正がありませんが、動画では動画電子ISを使えます。電子的な補正は撮影範囲が切り取られることがあるため、4Kクロップと組み合わさると広角側の余裕がさらに減ります。IS付きのRF・EFレンズや三脚、固定撮影の方法と組み合わせて選ぶことが重要です。レンズ内ISと電子補正の違いはCanonの手ブレ補正方式の比較で詳しく説明しています。
カスタム撮影モードとレンズ設定で使いやすくする
C1・C2・C3に風景・人物・動体の設定を登録する
初代EOS RはC1・C2・C3のカスタム撮影モードに、よく使う撮影設定を登録できます。例えばC1を風景用としてAv、F8、ISO100、ワンショットAF、1点AF、C2を人物用としてAv、F2.8、ISOオート、顔+追尾優先AF、C3を動体用としてM、1/1000秒、開放付近の絞り、ISOオート、サーボAFという分け方が考えられます。いずれも撮影開始時の一例で、レンズや光の条件に合わせた変更が必要です。
撮影モードと設定を整えたら、カメラのカスタム撮影モードへの登録メニューで保存します。登録した設定を撮影中に一時的に変更した場合、次に呼び出したときの動作は登録内容と自動更新の設定に左右されます。意図しない上書きがないよう、登録後に実際の呼び出しを確認することが大切です。Fvの柔軟性とC1~C3の即時呼び出しを組み合わせれば、撮影内容が変わるときの操作を整理できます。EOS R固有の機能はEOS Rのカスタム撮影モードでも紹介しています。
RFレンズとEFレンズで手ブレ補正と操作が変わる
初代EOS RはRFレンズを直接装着でき、EF・EF-Sレンズは対応するマウントアダプターを介して使えます。EF-Sレンズを装着するとAPS-C相当のクロップになるため、約3030万画素のセンサー全体を使うフルサイズ撮影とは記録される範囲が異なります。EF-MレンズはEOS Rへ装着できません。中古レンズを選ぶときは、RF、RF-S、EF、EF-S、EF-Mを混同しないことが重要です。
レンズ内ISがある場合はその補正を利用できますが、ISのないレンズを付けた場合にEOS R本体から静止画用のボディ内手ブレ補正を追加することはできません。RFレンズのコントロールリングや、コントロールリング付きアダプターの操作設定も組み合わせ次第で変わります。所有するEFレンズを生かしたい場合にはEOS RでEFレンズを使う方法が参考になります。
設定がうまく動かないときはAF・露出・補正を分けて確認する
撮影結果が思いどおりにならないときは、一度に多くの設定を変更しないことが重要です。ピントが合わない場合はAF動作がワンショットかサーボか、AF方式が1点か顔+追尾優先か、レンズのAF・MF切り替えが正しいかを確認します。暗く写る場合は露出補正とFvで固定した項目、ISOの上限を確認します。手ブレが目立つ場合は、レンズ内ISの有無とシャッタースピード、被写体そのものの動きを切り分けて考えます。
撮影モードによって選べる設定が異なることもあります。また、初代EOS Rでは新型機の鳥認識やボディ内手ブレ補正を探してもメニューには存在しません。ファームウェアを確認し、メニュー項目の意味を理解したうえで、自分が利用する設定だけを残す方が実用的です。EOS Rと後継機の機能差を整理したい場合にはEOS Rシリーズの機種別機能一覧も役立ちます。
まとめ
初代Canon EOS Rのおすすめ設定は、記録画質をC-RAWまたはRAW+JPEGから選び、静止した被写体にはワンショットAF、人物には顔+追尾優先AFと瞳AF、動体にはサーボAFを組み合わせることが基本です。Fvモードではシャッタースピード、絞り、ISO感度を自動と手動で自由に組み合わせられます。撮影目的に応じてAv、Tv、Mを使い分け、タッチ&ドラッグAFやマルチファンクションバーを自分の操作に合わせて調整することで、初代EOS Rの独特な操作系を活用できます。
人物はF1.8~F2.8前後、風景はF8前後、三脚夜景はISO100と長秒露光、飛行機や野鳥は速いシャッタースピードとサーボAFが出発点です。ただし画角、光量、被写体の動きによって設定は変わります。EOS Rは約3030万画素のフルサイズ機ですが、静止画用のボディ内手ブレ補正はなく、サーボAFでの連写速度や動画4Kの画角にも制約があります。最新機種の設定を流用するより、初代に実在する機能から撮影に必要なものを選ぶことが大切です。
よく使う設定はC1・C2・C3へ登録し、EFレンズを利用するときはマウントアダプター、レンズ内IS、クロップの有無を確認します。ファームウェア更新で瞳AFや追従性能が改善された経緯もあるため、手元のEOS Rのバージョンを把握すると設定の違いを理解しやすくなります。画質、AF、露出、操作方法を一つずつ整理すれば、発売から時間が経過した初代EOS Rでも、人物、旅行、風景、夜景、動体、動画まで目的に応じた撮影ができます。


