EOS R5 Cは買ってはいけない?後悔する7つの理由とEOS R5・R5 Mark IIとの違い
EOS R5 Cを買ってはいけない人は、動画より写真を多く撮る人、カメラ一台で手持ち撮影を軽快に済ませたい人、そして8K RAWに必要な電源・記録メディア・編集環境まで用意する予定がない人です。反対に、冷却ファンを備えたCinema EOSの動画機能、タイムコード、Cinema RAW Light、PHOTOとVIDEOで独立した操作体系を必要とする人には、EOS R5 Cを選ぶ理由があります。約4500万画素の静止画性能が不足しているから避ける機種ではありません。購入後に後悔するかどうかは、写真と動画の比率、撮影方法、完成映像までの制作環境で決まります。
EOS R5 CはEOS R5を基にした単純な動画強化版ではありません。写真向けのEOSシステムと映像制作向けのCinema EOSシステムを一つのボディにまとめたカメラです。発売当初と比べてLP-E6Pへの対応など、ファームウェアで運用条件が変化した部分もあります。そのため、古いレビューの「8K60Pには必ず外部電源が必要」という情報を購入判断へそのまま当てはめることも適切ではありません。
この記事ではEOS R5 Cで後悔しやすい7つの理由を具体的な撮影状況に分け、EOS R5、EOS R5 Mark IIとの違いを確認します。さらに8K動画の容量、外部電源、冷却、手ブレ対策、映像制作に向く人、そして中古購入で確認したい項目まで整理します。実機を使ったという前提の評価や、確認できていない中古相場の断定は行わず、公式仕様と撮影条件から購入の適否を考えます。
EOS R5 Cを買ってはいけないと言われる7つの理由
理由1・2:ボディ内手ブレ補正がなく、手持ち撮影と取り回しに制約がある
最初の理由は、EOS R5 Cに静止画用のボディ内手ブレ補正が搭載されていないことです。EOS R5やEOS R5 Mark IIにはセンサーを動かす補正機構がありますが、R5 Cではレンズの光学式IS、動画電子IS、三脚やジンバルなどを使い分けます。手ブレ補正を備えたRFレンズなら一定の対策ができます。ただし、レンズ内ISとボディ内ISの協調制御を利用することはできません。手ブレ補正のない明るい単焦点レンズで室内人物や夜景を手持ち撮影する場合、シャッタースピードを上げたりISO感度を調整したりする必要があります。
二つ目は携帯性です。キヤノン公表の本体重量はEOS R5 Cが約680g、EOS R5 Mark IIが約656gで、数値だけを見ると大差がないように感じられます。しかしR5 Cのボディは約142×101×111mmと奥行きがあり、冷却構造を含む背面側の張り出しが特徴です。EOS R5 Mark IIの約138.5×101.2×93.5mmと比較すれば、バッグへ収めるときやリグを組むときの形状の違いが分かります。携行時の印象は装着レンズや周辺機材によっても変わるため、ボディ単体の重さだけで決めないことが大切です。
三脚に固定して商品や風景を撮るなら、ボディ内手ブレ補正がないことの影響は小さくできます。一方、歩きながらの動画、夜のスナップ、望遠の手持ちなどでは補正機構の違いが購入理由を左右します。同じくボディ内手ブレ補正を備えないEOS RPの実用的な対策は、EOS RPの手ブレ補正設定と撮影方法でも整理されています。
理由3・4:動画の電池消費と8K60P RAWの電源条件を理解する必要がある
三つ目は、動画撮影中の電源管理です。EOS R5 Cは8Kセンサーの読み出し、映像処理、AF、記録、冷却などの機能を連続動作させるため、写真を数枚撮るときとはバッテリー消費の考え方が異なります。キヤノンが公表するVIDEOモードの目安では、LP-E6P使用時の8K RAW 59.94Pが約45分、8K RAW 29.97Pが約70分です。これは一定条件下での目安であり、現場で必ず同じ時間を撮れるという意味ではありません。長い取材やイベントでは撮影に必要な実時間を見積もり、バッテリー交換や給電方法も含めて準備する必要があります。
四つ目は8K60P RAWの電源条件です。EOS R5 Cは発売当初、8K60P RAWを安定して使用する際に外部給電が重要な条件でした。しかし2025年のファームウェアVersion 1.1.0.1ではLP-E6Pへの対応が追加され、LP-E6Pを使用して59.94PのRAW LT記録を行えるようになりました。キヤノンの製品案内でも、LP-E6Pまたは外部電源による給電で8K RAW最大60Pの記録が可能とされています。古いバッテリーと新しいバッテリーを同じ条件で扱うことはできません。装着するレンズやアクセサリーによる負荷もあるため、目的の記録設定で動作するかは実際の電源構成で確認します。
長時間の固定撮影で外部電源を使う場合は、USB-PD給電や対応するDCカプラーなど、キヤノンが指定する電源構成を確認します。モバイルバッテリーなら何でも同じように動くというものではなく、給電能力やケーブル、ほかのアクセサリーとの組み合わせに注意が必要です。EOS Rシリーズのバッテリー世代による使用制限は、EOS R5 Mark IIのLP-E6P・LP-E6NH比較でも解説しています。
理由5・6・7:PHOTOとVIDEOの違い、8Kデータ量、他機種との費用対効果
五つ目は、PHOTOモードとVIDEOモードの操作体系が独立していることです。EOS R5 Cは電源スイッチで写真と動画を切り換えると、それぞれのシステムで起動します。写真側では通常のEOS Rシリーズに近いメニューやAF操作を使いますが、動画側はCinema EOSの設定体系となり、記録方式、ガンマ、波形モニター、音声、タイムコードなどが重視されます。写真を撮った直後に同じ操作感で動画を始めたい人には、モード切り換えと再設定が負担になる可能性があります。逆に写真と動画を明確に分けて制作する人には、設定の独立性が利点になります。
六つ目は記録データの大きさです。8K60PのCinema RAW Lightでは、仕様上、数Gbps規模のビットレートになります。高い画質を残せる半面、CFexpressカードの容量を短時間で消費します。撮影後も高速なカードリーダー、保存用ストレージ、バックアップ先、編集パソコンが必要です。4Kの圧縮記録で十分な作品なら、8K RAWを常用することが必ずしも完成映像の質に結びつきません。
七つ目は機種選択の問題です。EOS R5 Cの冷却やCinema RAW Light、タイムコードなどを使わないなら、初代EOS R5やEOS R5 Mark IIの方が便利な場合があります。特にボディ内手ブレ補正と写真から動画への切り換えを重視する場合、R5 Cの独特な構成は必ずしも利点になりません。動画撮影の具体的な初期設定を確認したい場合は、EOS R5 Cのおすすめ設定完全ガイドが関連します。
EOS R5 CとEOS R5・R5 Mark IIの違いを購入目的で比較する
静止画が中心なら約4500万画素以外の違いを見る
EOS R5 C、EOS R5、EOS R5 Mark IIはいずれも有効約4500万画素のフルサイズカメラです。作品を大きく印刷する、風景の細部を残す、撮影後にトリミングするといった用途では、どの機種も高い画素数を備えています。したがって、単純に画素数だけを比べても購入判断は進みません。静止画を中心にするなら、手ブレ補正、被写体検出AF、連写時の読み出し、カメラの持ちやすさ、操作系、バッテリーを使った撮影可能時間の方が重要です。
EOS R5はボディ内手ブレ補正を備え、約4500万画素の静止画と8K動画を扱える機種です。EOS R5 Mark IIでは画像処理系やAFが新しくなり、積層型センサー、被写体検出・追尾機能、静止画と動画の機能が強化されています。動く人物、野鳥、スポーツで被写体を追い続ける用途では、AFの世代差が実写の成功率へ関わる可能性があります。ただし撮影者の設定、レンズ、被写体の動きによって結果は変わるため、どちらが常に優れて写ると断言することはできません。
EOS R5 Cの静止画画質が低いわけではありません。三脚やストロボを使う商品撮影、落ち着いた人物撮影、風景の撮影では高画素を活用できます。しかし動画用機能が不要なら、その機能のためにボディ内手ブレ補正や軽快な操作を手放す必要があるか考えることになります。初代モデルの現在の価値と制約は、EOS R5は買ってはいけない?高画素機としての実力で確認できます。
8K・4K動画は対応解像度だけで優劣を決められない
EOS R5 Cが強いのは、Cinema RAW Lightを本体内で記録し、フルサイズ8KからSuper 35mm、Super 16mmのセンサーモードまで選べる映像制作向けの構成です。放熱ファンを備え、動画の設定体系には映像制作者が必要とする項目が揃っています。撮影素材の色を編集で追い込む、複数カメラの時間情報を管理する、高ビットレート素材と編集用の軽い素材を使い分けるといった仕事では、この構成に意味があります。
一方、EOS R5 Mark IIも8K60P RAW内部記録に対応します。単に「R5 Cだけが8K60Pを撮れる」と考えるのは正しくありません。R5 Mark IIにはボディ内手ブレ補正があり、静止画と動画を横断するハイブリッド機としての使いやすさがあります。動画の熱対策では対応するクーリングファン付きグリップを追加する方式も利用できます。R5 Cの内蔵ファンとはシステム構成が異なるため、本体だけで使う場合と周辺機材を装着する場合に分けて比較する必要があります。
8K RAWの存在は、4K動画やフルHD動画を主に納品する人にとって絶対条件ではありません。高い解像度からの切り出し、画像処理、VFX、細かな色調整などが実際の仕事で必要かが分かれ目です。高性能な機種を選べば自動的に映像がよくなるわけではなく、収録設定と編集工程を使いこなせることが前提になります。EOS R5 Mark IIの動画と写真の設定体系は、EOS R5 Mark IIのおすすめ設定で整理しています。
使う機能と総費用でR5 C・R5・R5 Mark IIを選ぶ
中古のEOS R5 Cが魅力的な価格で見つかったとしても、購入価格だけで判断すると後悔につながります。8K RAWを使うなら対応CFexpress、予備バッテリー、外部給電、ストレージなどが必要です。写真中心なら交換レンズの費用を確保した方が撮影結果に直結する場合もあります。EOS R5 Mark IIはボディ価格が高くなりやすい一方、最新のAFやボディ内手ブレ補正を必要とする撮影者には別の価値があります。中古価格は日々変動するため、この記事では特定の販売価格が長期間続くものとして扱いません。
比較するときは、撮影日数、1回の撮影時間、動画の納品解像度、静止画の比率、編集環境、所有レンズを書き出すと判断しやすくなります。たとえば週末の旅行で写真を中心に撮り、ときどき短い4K動画も撮る人なら、R5 Cのシネマ機能を十分に使わない可能性があります。逆に三脚固定で長いインタビューを撮り、RAW素材を編集して納品する人は、電源と記録媒体を整える前提でR5 Cの機能を活かせます。
EOS R5 Mark IIの高度な機能も、すべて使わなければ購入価値がないというものではありません。求める撮影の成功率と作業時間をどれだけ改善できるかで考えることが重要です。上位機の費用対効果については、EOS R5 Mark IIは買ってはいけない?の記事でも比較できます。
EOS R5 Cが映像制作で強みを発揮する条件
CFexpressと8K RAWの記録容量を先に計算する
EOS R5 CはCFexpress Type BとSDカードのデュアルスロットを搭載します。動画の記録方式によって使える媒体や記録先が異なり、Cinema RAW Lightなど高ビットレートの素材はCFexpressへの記録を前提に考えます。8K RAWの高いビットレートは、撮影時間を容量へ換算したときに大きな差となります。たとえば約2570Mbpsの記録では、理論上1秒当たり約321MB、1分間に約19GBのデータが発生します。実際のファイルサイズや収録可能時間は記録形式、フレームレート、メディアの容量表記などで変わります。
仮に一日で計60分の8K RAW素材を収録するなら、単純計算では約1.16TBに達する規模です。編集用とバックアップ用の保存先を別々に用意すれば、必要な記憶容量はさらに増えます。短い作品でも撮り直しが多ければ撮影素材は納品尺の何倍にもなります。撮影現場でカードがいっぱいになることに加え、帰宅後にコピーが終わらない、編集ソフトで再生が滑らかでない、保管場所が足りないといった問題まで考えておく必要があります。
一方で、EOS R5 Cには圧縮形式や低いデータ量のRAWモード、用途に応じたプロキシ記録など、ワークフローを調整する方法があります。撮影の目的が4K納品なら、8Kを使う場面だけ高解像度で収録する構成も可能です。高画素の静止画と動画を一緒に扱う場合の記録媒体の考え方は、EOS R5の高画素・記録メディアの特徴とも関連します。
冷却ファンは大きな利点だが撮影停止が絶対に起きない保証ではない
EOS R5 Cには放熱ファンが内蔵され、高いデータ量の動画を連続記録する用途を想定しています。撮影中に生じる熱を外へ逃がす仕組みがあることは、長いインタビューや舞台収録、8K動画を扱う制作現場で大きなメリットです。静止画中心のカメラと比較すると、放熱の設計思想が異なります。ただし、冷却ファンがあるからあらゆる外気温や設定で停止しないと保証できるものではありません。使用可能温度、直射日光、記録設定、電源、メディアなど複数の条件が動作に影響します。
冷却ファンを使うカメラでは、吸気口や排気口をふさがない取り付け方も必要です。ケージ、リグ、バッグ、雨よけカバーなどを使用する場合は、放熱用の空間を確保します。埃や水分の多い環境でファンを使うことにも配慮が必要です。また静かな室内で音を収録する際は、カメラとマイクの位置やファンの音を事前に確認すると、後処理の負担を減らせます。ファン自体の作動を確認できない中古個体は慎重に判断します。
長時間撮影に必要なのは冷却だけではありません。電源を安定させ、メディアの残容量を管理し、撮影中の映像が正しく記録できていることを確認する必要があります。定点撮影やライブ配信の運用では、EOS R5でYouTubeライブ配信する方法にある給電・録画・監視の考え方も参考になります。
Canon Log 3・タイムコード・業務向け音声機能が必要なら評価は変わる
EOS R5 Cを積極的に選ぶ理由には、シネマカメラとしての設定の細かさがあります。Cinema RAW Lightを使えば、撮影後に映像の調整を幅広く行うための素材を残せます。Canon Log 3などのガンマ設定では、撮影後の色調整を前提とした記録ができます。ただし、Log映像はそのままではコントラストや彩度が低く見えるため、カラーグレーディングが必要です。動画を撮ってすぐに公開したい用途では、通常の色設定と圧縮記録を使う方が作業時間を短縮できます。
タイムコード端子があることも、複数のカメラや外部録音機を組み合わせる制作で意味があります。タイムコードは映像と音声の時間情報を揃えるために利用しますが、機材を接続しただけで自動的にすべてが同期するわけではありません。対応する外部機器、ケーブル、フレームレート、同期方法を確認する必要があります。またEOS R5 Cは対応するXLRマイクアダプターを利用でき、業務用マイクを使った音声収録の選択肢もあります。映像の美しさだけでなく、録音と同期の精度が必要な仕事ではこれらの機能が重要になります。
このような動画制作機能を使いこなす前提なら、EOS R5 Cは単に古くなったEOS R5系の一台という評価には収まりません。逆に撮影データをスマホへ移し、簡単な編集だけで公開する用途なら、作業が複雑になる可能性があります。Canon Log 3で撮る目的と編集工程については、EOS R6 Mark IIのCanon Log 3と動画性能でも基本を確認できます。
EOS R5 Cを買うと後悔しやすい撮影スタイルと向いている用途
旅行・野鳥・風景など静止画中心ならR5系のボディ内手ブレ補正を重視する
EOS R5 Cは約4500万画素の高精細な静止画を撮れるため、風景や野鳥を撮影できないわけではありません。しかし、旅行で一日中カメラを持ち歩く、暗い寺社や室内で手持ち撮影する、望遠レンズを使って野鳥を撮るといった用途では、動画用の機能より撮影姿勢、シャッタースピード、AFの動作、レンズとボディの総重量が問題になります。ボディ内手ブレ補正を利用できるEOS R5やR5 Mark IIの方が撮影の負担を減らせる状況があります。被写体が動いている場合は手ブレ補正だけでは動きを止められず、シャッタースピードとAFの選択が必要です。
静かな場所で三脚を使い、風景の細部を低感度で写すなら、R5 Cの高画素センサーを利用できます。スタジオで人物を撮る場合も、ストロボや一定の照明、三脚があるならボディ内手ブレ補正の優先度は下がります。したがって「静止画用途だからR5 Cは絶対に使えない」という結論にはなりません。写真が主目的の人が購入前に考えるべきなのは、Cinema EOSの追加機能に見合うメリットがあるかどうかです。
EOS R5 Mark IIのような上位機種に目を向ける場合も、最新機能がすべて必要かという問題は残ります。初代R5で足りる撮影、より軽い機種で足りる撮影もあります。自分が撮る被写体と操作条件からEOS Rシリーズを見渡すには、EOS Rシリーズの機種比較と特徴が関連します。
手持ちVlogや短い動画なら手ブレ対策と簡単な操作が優先される
一人で歩きながらVlogを撮る場合、機材の大きさと手ブレ対策は映像の見やすさに直結します。EOS R5 Cにボディ内手ブレ補正はありませんが、レンズ内ISや動画電子ISを利用できる場合があります。ただし動画電子ISを使うと撮影範囲が狭くなることがあり、室内や狭い通路、自撮りでは想定した広さを確保できない場合があります。歩き撮りを重視するなら、使用する広角レンズの焦点距離と補正後の画角まで考えることが重要です。
また、撮影した映像を編集せずそのまま使うなら、8K RAWや複雑なLog設定が必須になるわけではありません。EOS R5 Cにも簡単に扱える記録方式はありますが、動画側の設定体系は一般的なEOSの写真モードとは異なります。4K30Pで人物を記録し、音声を整えて公開するだけの用途なら、操作が統一されたEOS Rシリーズのハイブリッド機が扱いやすい場合があります。カメラの基本画質だけでなく、録画開始までの時間、撮り直しのしやすさ、手持ちの安定性で比較します。
レンズ選びでも違いが出ます。レンズ内ISを備えたRF標準ズームを使うのか、明るい単焦点にジンバルを組み合わせるのかで、必要な装備と携行重量が変わります。EFレンズを利用する場合の対応と操作上の注意点は、RFレンズとEFレンズの違い・互換性でも確認できます。
長いインタビュー・複数台収録・8K制作ならR5 Cを選ぶ理由がある
EOS R5 Cの価値が明確になるのは、撮影前に映像仕様が決まっている仕事です。たとえば三脚に固定して長いインタビューを収録する、複数カメラのタイムコードを管理する、編集で色を追い込むためにCinema RAW LightやCanon Log 3を使うといった制作です。冷却ファン、タイムコード端子、映像向けの表示・操作機能が撮影フローに組み込まれ、必要なレンズと電源を決めて現場へ持ち込む場合、写真中心の機種では得られないメリットがあります。
ただしシネマ機能が多いからといって、追加機材なしで業務撮影が完成するわけではありません。音声を別録りするなら同期方法、XLRマイクを使うなら対応アクセサリー、照明を使うなら電源容量、長時間収録では保存媒体とバックアップを考える必要があります。仕事で大切なのは最高画質の設定を選ぶことだけではなく、予定した時間の撮影を最後まで実施し、素材を編集して納品できることです。
動画制作でEOS R5 Cを使いたい人にとっては、PHOTOとVIDEOを分けた設計も利点になり得ます。収録方法を統一してカメラごとに設定を固定する現場では、写真を撮る感覚から動画設定を変更しない方が便利な場合があります。このカメラが何を優先したモデルかを詳しく確認するには、EOS R5 Cの映像制作向け機能と静止画性能も参考になります。
中古EOS R5 Cで失敗しないための購入前チェック
ファームウェアとLP-E6P対応を確認し、古い評価を鵜呑みにしない
中古のEOS R5 Cでは、最初にファームウェアのバージョンを確認したいところです。EOS R5 Cは2025年1月公開のVersion 1.1.0.1でLP-E6Pに対応し、対応バッテリー使用時にRAW LTの59.94P記録を利用できるようになりました。発売当初の条件を説明したレビューでは、8K60Pの運用に外部電源が必要と記載されていることがあります。その説明が書かれた時点と、中古品に適用されているファームウェア・電池の種類を照合することが重要です。さらにその後もファームウェア更新が公開されているため、正確な最新情報はキヤノンの公開内容で判断します。
LP-E6Pの対応といっても、すべての旧型電池で同じ動画設定を使えるという意味ではありません。販売店のセットに付属する電池がLP-E6NHなのかLP-E6Pなのか、純正充電器が付いているか、劣化した電池の交換費用が必要かを確認します。可能なら、購入予定のボディと電池を組み合わせ、利用したい解像度・フレームレートで記録できるか試します。カメラの電源が入るだけでは、高負荷の動画記録が安定することまで判断できません。
ファームウェア更新では設定が初期化される場合があるため、購入後に撮影設定を整える時間も見込む必要があります。中古で買ってすぐ8Kの仕事に使う計画なら、記録媒体や電源を含めた動作確認が大切です。EOS Rシリーズを中古で選ぶ際の基本的な見方は、EOS R6 Mark IIの動画設定と安定運用にも関連する確認事項があります。
CFexpress・HDMI・タイムコード・冷却ファン・AFを実際に動作確認する
中古EOS R5 Cの外観がきれいでも、撮影で重要な部分に不具合がないとは限りません。CFexpressとSDカードの双方で記録・再生できるか、USB端子やHDMI端子の接続が安定しているか、マイクとヘッドホンの入出力が正常かを確認します。EOS R5 CのHDMI端子はマイクロHDMIのタイプDであり、EOS R5 Mark IIのタイプA端子と物理形状が違います。外部モニターやレコーダーを使う予定がある場合は、既存ケーブルを流用できるかも購入前に確認します。
タイムコード端子を仕事で使う場合は、対応するケーブルと機器で入出力を試せると確実です。キヤノンは端子に合わないプラグのリリース部形状について注意を案内しているため、無理な抜き差しは避ける必要があります。冷却ファンは設定どおり作動するか、異常な音や動作の不安定さがないかを確認します。PHOTOとVIDEOの両方で起動し、各モードのメニューを操作できることも確認したい項目です。動画AFが目的なら、人物を写した状態でAFが動作するか、静止画側と動画側を分けて試します。
レンズも中古なら、ISやAFの動作、接点の状態を同時に調べます。EFレンズをマウントアダプター経由で使う場合は、対応レンズで絞り、AF、動画撮影ができるか確認します。一般的なEF-EOS Rアダプターの構成と互換性については、EOS RでEFレンズを使う方法で整理しています。
中古の本体価格にレンズ・電源・カード・編集環境の費用を加える
中古価格が安く見える場合でも、EOS R5 Cを何に使うかによって総費用は変わります。静止画中心なら、撮りたい焦点距離のRFレンズと予備電池があれば実用を始められる場合があります。しかし動画で8K RAWを使うなら、高速なCFexpressカード、カードリーダー、バックアップ用ストレージ、編集ソフトとパソコンの性能を含めて見積もります。三脚、外部モニター、マイク、NDフィルター、ケージ、電源ケーブルも用途によって必要です。本体だけ安く購入しても、撮影を完成させるまでに予算が大きく増えることがあります。
また中古の保証内容を確認します。メーカー修理の受付状況や部品供給は変化する可能性があるため、購入前に販売店の保証期間、初期不良対応、修理時の取り扱いを確認することが重要です。仕事で使う機材なら、故障した際に撮影を延期せずに済むよう、代替機を確保できるかも費用に含まれます。ファームウェアが古い個体、電源や記録に不安がある個体を価格だけで選ぶと、結果的に安い買い物にならない場合があります。
初代EOS R5やEOS R5 Mark IIと最後に比較する際は、ボディだけの差額に加え、撮影したい動画の記録方式と、すでに持っているレンズを活かせるかを見ます。たとえばEFの標準ズームを使うならアダプター代や作動音を考え、RFのIS付きズームへ揃えるならレンズ費用まで考えます。レンズを長期間使用する観点については、EF24-105mm F4L IS USMの実用性と中古選びも関連します。
まとめ
EOS R5 Cを買ってはいけないと感じやすいのは、動画用の特別な機能を使わず、静止画の手持ち撮影や短い動画の機動性を優先する人です。ボディ内手ブレ補正がなく、PHOTOとVIDEOで操作体系が独立していること、8K RAWでは電池・記録媒体・編集機材まで準備が必要なことは、購入前に理解したいポイントです。一方で約4500万画素の静止画性能、放熱ファン、Cinema RAW Light、タイムコードなどを必要とする映像制作者には、EOS R5 Cならではの価値があります。
8K60P RAWの電源条件は発売当初から変化しており、LP-E6Pと対応ファームウェアの組み合わせは古いレビューと区別して考える必要があります。EOS R5、EOS R5 Mark IIとの比較では、画素数や8Kという文字だけに注目せず、ボディ内手ブレ補正、AF、動画操作、冷却、外部機器への対応、そして中古を含む総費用から選ぶことが大切です。高性能だから誰にでも向く機種とは限りませんが、制作内容と必要な機能が一致するなら、EOS R5 Cを避ける理由ばかりが残るわけでもありません。


