Canon D00シリーズ完全ガイド|EOS D30から90Dまで約20年の進化を歴代モデルで徹底解説
キヤノンのD00シリーズは、EOS D30からEOS 90Dまで約20年にわたって続いたAPS-Cデジタル一眼レフの系譜です。2000年のEOS D30から始まり、EOS D60、10D、20D、30D、40D、50D、60D、70D、80D、90Dへと進化してきました。その途中には、天体撮影へ特化したEOS 20DaとEOS 60Daも登場しています。
現在のカメラから見ると、D30の約311万画素と90Dの約3250万画素ではまったく別の時代の製品に見えます。しかし歴代モデルを順番に追うと、単純に画素数が増えただけではありません。AF測距点、高速連写、ライブビュー、動画撮影、バリアングル液晶、タッチ操作、Wi-Fi、デュアルピクセルCMOS AF、4K動画と、デジタル一眼レフそのものの進化がD00シリーズへ凝縮されています。
この記事ではEOS D30からEOS 90Dまでを年代順に振り返り、それぞれの世代で何が変わったのかを整理します。各モデルの詳しい解説は個別記事へ分けているため、D00シリーズ全体の流れを把握するための総合ガイドとしてご覧ください。
- キヤノンD00シリーズとは
- D00シリーズ歴代モデル一覧
- EOS D30|D00シリーズの原点
- EOS D60|約630万画素へ一気に高画素化
- EOS 10D|名称と完成度が大きく変わった世代
- EOS 20D|速度と実用性が一段上がった
- EOS 20Da|D00シリーズ初の天体撮影特化モデル
- EOS 30D|20Dを熟成した完成型
- EOS 40D|ライブビュー時代へ入ったD00シリーズ
- EOS 50D|約1510万画素とDIGIC 4へ進化
- EOS 60D|D00シリーズの方向性が大きく変化
- EOS 60Da|20Daから受け継いだ天体撮影専用モデル
- EOS 70D|デュアルピクセルCMOS AFという大転換
- EOS 80D|ファインダーAFも大幅に強化
- EOS 90D|D00シリーズの進化が到達した最終世代
- D00シリーズで画素数はどう進化したのか
- 連写性能は約3コマ/秒から約10コマ/秒へ
- EFレンズとEF-Sレンズの対応も途中で変化した
- 光学ファインダーからライブビューへ
- 動画機能もD00シリーズの歴史を大きく変えた
- 20Daと60Daという特別な存在
- 現在中古でD00シリーズを選ぶなら何を見るか
- D00シリーズとEOS Rシリーズの違い
- D00シリーズを歴代で見るとキヤノン一眼レフの進化が分かる
- まとめ
キヤノンD00シリーズとは
D00シリーズは、EOS Kissシリーズより本格的な操作性を備えながら、EOS 7Dシリーズのように高速動体撮影へ特化しすぎない、キヤノンAPS-C一眼レフの中核を担ったシリーズです。
初期にはD30、D60という名称でしたが、その後は10D、20D、30Dというように数字の後ろへDを付ける形式へ変わりました。名称こそ途中で変化していますが、歴史的には連続したAPS-C中級一眼レフとして見ることができます。
D30から90Dまで約20年間続いた系譜
EOS D30が登場したのは2000年、EOS 90Dが登場したのは2019年です。この約20年間は、デジタルカメラが急速に進化した時代と重なります。
D30では撮影後に背面液晶で画像を確認できること自体が大きな特徴でしたが、90Dでは約3250万画素、最高約10コマ/秒、ライブビューAF、4K動画まで利用できます。同じAPS-C一眼レフでも、中身は大きく変化しました。
シリーズの出発点となったモデルについては、Canon EOS D30完全ガイドで詳しく紹介しています。
EOS KissとEOS 7Dの間を担った中級シリーズ
EOS Kissシリーズは小型軽量で扱いやすい入門機として発展しました。一方、EOS 7Dと7D Mark IIは高速連写や動体AFを重視したAPS-C上位モデルです。
D00シリーズはその中間に位置し、画質、操作性、AF、連写、動画を幅広く備えるバランス型として発展しました。風景、人物、旅行、鉄道、スポーツ、野鳥、動画など、一つのジャンルへ限定せず使えることがシリーズを通した特徴です。
APS-C一眼レフ全体の位置づけは、Canon APS-C一眼レフが選ばれる理由でもまとめています。
D00シリーズ歴代モデル一覧
| モデル | 登場年 | 有効画素数 | 最高連写 | 大きな特徴 |
|---|---|---|---|---|
| EOS D30 | 2000年 | 約311万画素 | 約3コマ/秒 | 自社開発CMOSを採用した出発点 |
| EOS D60 | 2002年 | 約630万画素 | 約3コマ/秒 | D30から大幅高画素化 |
| EOS 10D | 2003年 | 約630万画素 | 約3コマ/秒 | 操作性と完成度を向上 |
| EOS 20D | 2004年 | 約820万画素 | 約5コマ/秒 | 高速化とEF-S対応 |
| EOS 20Da | 2005年 | 約820万画素 | 約5コマ/秒 | 天体撮影向け特別仕様 |
| EOS 30D | 2006年 | 約820万画素 | 約5コマ/秒 | 20Dを熟成したモデル |
| EOS 40D | 2007年 | 約1010万画素 | 約6.5コマ/秒 | ライブビューを本格採用 |
| EOS 50D | 2008年 | 約1510万画素 | 約6.3コマ/秒 | DIGIC 4と大幅高画素化 |
| EOS 60D | 2010年 | 約1800万画素 | 約5.3コマ/秒 | バリアングル液晶と動画 |
| EOS 60Da | 2012年 | 約1800万画素 | 約5.3コマ/秒 | 天体撮影向け特別仕様 |
| EOS 70D | 2013年 | 約2020万画素 | 約7コマ/秒 | デュアルピクセルCMOS AF |
| EOS 80D | 2016年 | 約2420万画素 | 約7コマ/秒 | 45点AF・フルHD60p |
| EOS 90D | 2019年 | 約3250万画素 | 約10コマ/秒 | 高画素・高速連写・4K動画 |
EOS D30|D00シリーズの原点
EOS D30は2000年に登場したAPS-Cデジタル一眼レフです。有効画素数は約311万画素で、現在では非常に小さな数字ですが、キヤノンが自社開発したCMOSセンサーを採用したことに大きな意味があります。
EFレンズを交換し、CMOSセンサーで撮影し、CFカードへ画像を記録し、JPEGやRAWをパソコンで扱うという基本的な撮影スタイルは、この時代にすでに形になっていました。
現在のEOSへ続くデジタル一眼レフの基礎を作った
D30は3点AF、最高約3コマ/秒、1.8型液晶という現在では非常にシンプルな仕様です。それでも、撮った写真をすぐ確認できることやRAWデータを現像できることは、フィルム一眼レフにはなかった新しい撮影体験でした。
D30はEF-Sレンズには対応しておらず、使用できるのはEFレンズです。後のD00シリーズと比較すると制約も多い一方、デジタルEOSの原点を体験できる一台でもあります。
D30の画質、AF、CFカード、中古で使う場合の注意点は、Canon EOS D30完全ガイドで詳しく解説しています。
EOS D60|約630万画素へ一気に高画素化
EOS D60は2002年に登場し、有効画素数はD30の約311万画素から約630万画素へほぼ倍増しました。
現在の感覚では630万画素も低画素ですが、当時としては大きな進化です。写真をより大きく表示したりプリントしたりする場合の余裕が増え、デジタル一眼レフが本格的な写真制作へ使われる流れがさらに進みました。
D30の基本構成を受け継ぎながら画質を向上
D60はD30と同じくEFマウントを採用し、CFカードへ写真を記録します。AF測距点は3点で、後のモデルほど高度なAFシステムではありません。
重要なのは、D30で始まったキヤノン独自CMOSの流れを継承しながら、画素数を大きく増やしたことです。デジタル一眼レフが「新しいもの」から「写真を本格的に撮る道具」へ移っていく途中を象徴するモデルでした。
D30との違いや現在使う場合の魅力は、Canon EOS D60レビューで詳しく紹介しています。
EOS 10D|名称と完成度が大きく変わった世代
2003年に登場したEOS 10Dから、型番はD30、D60の形式から10D、20D、30Dという現在よく知られる並びへ変わりました。
有効画素数は約630万画素でD60と大きく変わりませんが、ボディ、操作性、AFなどカメラ全体の完成度が高まり、中級デジタル一眼レフとしての形が明確になっていきます。
数字だけでは見えない使いやすさの進化
10Dは画素数だけを見ればD60と近いモデルですが、7点AFや操作性の向上など、撮影する道具としての完成度が高められました。
この世代でもEF-Sレンズには対応していないため、現在中古で使う場合にはレンズ選択に注意が必要です。EF-S対応が始まるのは次の20D世代です。
10DがD00シリーズの中でどのような転換点になったのかは、Canon EOS 10DはD00シリーズの転換点で詳しく解説しています。
EOS 20D|速度と実用性が一段上がった
EOS 20Dは2004年に登場し、有効約820万画素、9点AF、最高約5コマ/秒の連写を備えました。
D30から10Dまでは最高約3コマ/秒でしたが、20Dでは約5コマ/秒へ高速化しています。動く人物、スポーツ、鉄道、動物などを連写で撮影する実用性が大きく高まりました。
EF-Sレンズへ対応したことも大きな変化
20D世代ではEFレンズだけでなくEF-Sレンズを使用できるようになりました。APS-C専用として設計されたEF-Sレンズを使えることで、広角から標準域まで小型軽量なレンズを組み合わせやすくなります。
特にAPS-Cではフルサイズ用広角レンズの画角が狭くなるため、EF-Sレンズへ対応した意味は大きく、以後のD00シリーズではEFとEF-Sの両方を使用するスタイルが定着します。
20Dの約820万画素、9点AF、約5コマ/秒という構成については、EOS 20Dの特徴と魅力で詳しく紹介しています。
EOS 20Da|D00シリーズ初の天体撮影特化モデル
EOS 20DaはEOS 20Dをベースとして、天体撮影へ特化したモデルです。通常モデルとは異なる光学フィルター特性を持ち、星雲などから発せられるHα線を捉えやすくしています。
通常のD00シリーズが幅広い被写体への対応を重視してきた中で、20Daは一つの撮影ジャンルへ明確に特化した特殊な存在です。
後のEOS 60Daへ続く天体撮影専用EOS
20Daでは天体撮影を意識したライブビュー機能も採用されました。通常のD00シリーズへライブビューが本格的に広がる前の時代に、特殊用途のために先行して利用された点も興味深いところです。
この20Daの考え方は後にEOS 60Daへ引き継がれます。通常機とは異なる役割を持つため、D00シリーズを歴史として見る際には外せないモデルです。
天体撮影向けに変更された特徴については、EOS 20Daが描く天体写真の新世界で詳しく紹介しています。
EOS 30D|20Dを熟成した完成型
EOS 30Dは2006年に登場しました。有効画素数は約820万画素、最高約5コマ/秒と、数字だけを見ると20Dから大きく変わっていません。
しかし液晶モニターの大型化や操作性などが改善され、20Dで高められた基本性能をより扱いやすく仕上げたモデルです。
モデルチェンジは画素数だけでは判断できない
D00シリーズを歴代で見ると、新型になるたび画素数が大幅に増えるわけではありません。30Dのように、前モデルの基本性能を受け継ぎながら使い勝手や完成度を高める世代もあります。
この考え方は後のシリーズにも見られます。スペック表の一つの数字だけを見るより、AF、液晶、操作系、連写などカメラ全体の変化を見る方が世代ごとの特徴を理解しやすくなります。
20Dから受け継いだ部分と30D独自の特徴については、EOS 30Dの特徴と魅力で詳しく紹介しています。
EOS 40D|ライブビュー時代へ入ったD00シリーズ
EOS 40Dは2007年に登場し、有効画素数は約1010万画素となりました。D00シリーズとして1000万画素を超えただけでなく、最高約6.5コマ/秒という高速連写も大きな特徴です。
さらにライブビュー撮影へ対応したことで、一眼レフは必ず光学ファインダーを覗いて撮るもの、という従来の撮影方法にも変化が始まりました。
光学ファインダーと背面液晶を使い分ける時代へ
初期のライブビューは、現在のミラーレスほど高速で快適なAFを備えていたわけではありません。それでも背面液晶を見ながら構図を確認できることで、三脚撮影や低い位置からの撮影など、新しい使い方が可能になりました。
このライブビューの進化が、その後の動画撮影やデュアルピクセルCMOS AFへとつながっていきます。D00シリーズの歴史で見ると、40Dはファインダー中心だった撮影方法が変わり始めた重要な世代です。
約1010万画素と最高約6.5コマ/秒を備えた40Dについては、EOS 40Dの特徴と実力で詳しく紹介しています。
EOS 50D|約1510万画素とDIGIC 4へ進化
EOS 50Dは2008年に登場し、有効約1510万画素へ一気に高画素化しました。映像エンジンにはDIGIC 4を採用し、画像処理性能も進化しています。
連写は最高約6.3コマ/秒で、40Dの約6.5コマ/秒とほぼ同水準です。画素数を増やしながら高速連写も維持したことで、解像力と動体対応を両立したモデルになりました。
D00シリーズ前半の高性能路線を象徴するモデル
50DまでのD00シリーズは、比較的堅牢なボディと上面液晶、サブ電子ダイヤルなど、中級一眼レフらしい操作性を重視していました。
次の60Dではボディ設計や操作系の方向性が変わるため、50Dは初期から続いたD00シリーズ前半の一つの完成形として見ることもできます。
約1510万画素CMOSとDIGIC 4を搭載した50Dについては、EOS 50Dの特徴と撮影性能で詳しく紹介しています。
EOS 60D|D00シリーズの方向性が大きく変化
EOS 60Dは2010年に登場し、有効約1800万画素CMOSセンサー、DIGIC 4、最高約5.3コマ/秒を搭載しました。
連写速度だけを見ると50Dより低下していますが、60Dは単なる性能向上型ではありません。バリアングル液晶やフルHD動画などを取り込み、静止画だけでなく新しい撮影方法へ対応する方向へ大きく変化しました。
バリアングル液晶と動画がD00シリーズへ定着
60Dでは背面液晶を横へ開いて自由に角度を変えられるバリアングル方式が採用されました。ローアングル、ハイアングル、三脚撮影などで液晶を見やすい方向へ動かせるため、ライブビューの実用性が高まっています。
さらにフルHD動画へ対応し、一眼レフが写真だけを撮る道具ではなくなっていきました。この方向性は70D、80D、90Dへさらに強く引き継がれます。
現在60Dを使う場合の性能や限界については、EOS 60Dはまだ使える?で詳しく解説しています。
EOS 60Da|20Daから受け継いだ天体撮影専用モデル
EOS 60Daは2012年に登場した天体撮影向けモデルです。EOS 60Dをベースにしながら光学フィルター特性を変更し、天体のHα輝線を通常モデルより捉えやすくしています。
20Da以来となる天体撮影向けEOSであり、通常のD00シリーズとは異なる専門的な役割を担っています。
バリアングル液晶を天体撮影でも活用できる
天体撮影ではカメラを高い角度へ向けることが多く、固定式液晶では画面確認が難しくなる場合があります。60Daでは60D譲りのバリアングル液晶を使えるため、カメラを上空へ向けた状態でも画面を見やすい方向へ調整できます。
20Daから7年を経て登場した60Daを見ると、通常モデルで進化した機能が特殊用途にも生かされていることが分かります。
Hα輝線への対応や通常の60Dとの違いについては、Canon EOS 60Daは天体撮影専用の特別な一眼レフで詳しく紹介しています。
EOS 70D|デュアルピクセルCMOS AFという大転換
EOS 70Dは2013年に登場し、有効約2020万画素、最高約7コマ/秒、19点オールクロスAFを搭載しました。
しかし70DをD00シリーズの歴史で特別な存在にしているのは、画素数や連写速度だけではありません。EOSシリーズで初めてデュアルピクセルCMOS AFを搭載したことが最大の特徴です。
ライブビューと動画のAFを大きく変えた
従来の一眼レフでは、光学ファインダー使用時のAFに比べ、ライブビューでのAFは遅いという弱点がありました。70Dでは撮像面で位相差AFを行うデュアルピクセルCMOS AFにより、背面液晶を使った撮影の実用性が大きく高まりました。
この技術はその後のEOSにも発展しながら受け継がれ、ミラーレスのEOS Rシリーズにもつながっていきます。D00シリーズだけでなくキヤノンのAF技術全体を考えても重要な一台です。
70DのAF、連写、動画性能については、EOS 70Dの特徴とデュアルピクセルCMOS AFで詳しく紹介しています。
EOS 80D|ファインダーAFも大幅に強化
EOS 80Dは2016年に登場し、有効約2420万画素、DIGIC 6、最高約7コマ/秒を搭載しました。
70Dで進化したライブビューAFを引き継ぎながら、光学ファインダー使用時のAFを19点から45点へ大幅に拡大したことが大きな特徴です。
45点AFとフルHD60pで完成度を高めた
80Dでは最大45点のクロス測距に対応し、ファインダー内で被写体を捉えられる範囲が広がりました。スポーツ、鉄道、動物など、移動する被写体を追う撮影でも使いやすくなっています。
動画ではフルHD60pへ対応し、デュアルピクセルCMOS AF、バリアングル液晶、タッチ操作と組み合わせることで、写真だけでなく動画にも本格的に使える一眼レフとなりました。
70Dから80Dで変わった部分については、Canon EOS 80Dの特徴と実力で詳しく紹介しています。
EOS 90D|D00シリーズの進化が到達した最終世代
EOS 90Dは2019年に登場し、有効約3250万画素APS-C CMOSセンサー、DIGIC 8、最高約10コマ/秒の高速連写、45点AF、デュアルピクセルCMOS AF、4K動画を搭載しました。
D30の約311万画素から始まったシリーズは、90Dで約3250万画素へ到達しています。単純計算でも画素数は10倍以上となり、連写速度も約3コマ/秒から約10コマ/秒へ大きく向上しました。
高画素と高速連写を一台で両立
EOS 90Dは高画素機でありながら、光学ファインダー使用時に最高約10コマ/秒の高速連写が可能です。APS-Cによる約1.6倍相当の画角と組み合わせることで、特に野鳥、スポーツ、鉄道、航空機などの望遠撮影で強みを発揮します。
ライブビューへ切り替えればデュアルピクセルCMOS AFを使え、バリアングル液晶とタッチ操作にも対応します。一眼レフとミラーレスに近い撮影方法を一台で使い分けられることも、シリーズ最終世代らしい特徴です。
約3250万画素と高速連写の詳細については、Canon EOS 90Dの実力で詳しく紹介しています。
D00シリーズで画素数はどう進化したのか
D00シリーズの歴史で最も分かりやすい変化の一つが画素数です。
D30は約311万画素、D60と10Dは約630万画素、20Dと30Dは約820万画素、40Dで約1010万画素、50Dで約1510万画素、60Dで約1800万画素、70Dで約2020万画素、80Dで約2420万画素、90Dで約3250万画素まで増えました。
約311万画素から約3250万画素へ
高画素化によって、大きなプリントやトリミングへの余裕が大幅に増えました。特に90Dでは遠くの野鳥などを撮影した後、一部分を切り出しても一定の画素数を残しやすくなっています。
一方、古い低画素モデルにはファイル容量が小さいことや、現在とは異なる描写を楽しめるという側面もあります。D30やD60は最新機と競わせるより、初期デジタル一眼ならではの撮影体験を楽しむカメラとして見る方が魅力を理解しやすくなります。
シリーズ最初の画質を詳しく知りたい場合は、EOS D30完全ガイドから約311万画素時代の特徴を確認できます。
連写性能は約3コマ/秒から約10コマ/秒へ
連写速度もD00シリーズの進化が分かりやすい部分です。D30、D60、10Dでは最高約3コマ/秒でしたが、20Dでは約5コマ/秒へ高速化しました。
40Dでは約6.5コマ/秒、70Dと80Dでは約7コマ/秒となり、最終世代の90Dでは最高約10コマ/秒へ到達しています。
静物中心から本格的な動体撮影まで対応範囲が広がった
連写速度の向上に加え、AF測距点や追従性能も進化したことで、D00シリーズはスポーツや野鳥などの動体撮影にも対応できるシリーズへ変化しました。
特に80Dの45点AFと90Dの約10コマ/秒は、初期モデルと比較すると大きな差があります。約20年間で変わったのは画質だけではなく、撮れる被写体そのものです。
高速連写と高画素を両立した最終世代については、EOS 90Dの高解像度と高速連写で詳しく紹介しています。
EFレンズとEF-Sレンズの対応も途中で変化した
D00シリーズでは、すべての機種でレンズ互換性が同じではありません。D30、D60、10DはEFレンズを使用しますが、EF-Sレンズには対応していません。
20D以降ではEFとEF-Sの両方を使用できるようになり、APS-C専用レンズを含めた幅広いシステムを構築できるようになりました。
20D以降はAPS-C専用EF-Sレンズを活用できる
APS-Cではフルサイズより画角が狭くなるため、広角側では短い焦点距離が必要です。EF-Sには10mm台から始まる広角ズームや、小型の標準ズームなどAPS-Cに合わせたレンズが多数用意されました。
一方、望遠側ではEFレンズも有効です。300mmなら約480mm相当、400mmなら約640mm相当の画角となり、野鳥や航空機などを大きく捉えやすくなります。
EF-SマウントとAPS-Cの関係については、EF-Sマウントの基本と活用方法で詳しく解説しています。
光学ファインダーからライブビューへ
D00シリーズ初期では、背面液晶は撮影後の画像確認や設定表示に使うもので、撮影時は光学ファインダーを覗くことが基本でした。
40Dでライブビューが本格的に導入され、その後60Dではバリアングル液晶、70DではデュアルピクセルCMOS AFが加わったことで、背面液晶を見ながら撮る方法が急速に実用的になりました。
70DのデュアルピクセルCMOS AFが大きな境目
ライブビューの歴史を見ると、70Dは特に重要です。撮像面で位相差AFを行うことで、それまで一眼レフの弱点だったライブビューAFの遅さを大幅に改善しました。
80D、90Dではこの方式がさらに発展し、最終的には一眼レフでありながらライブビューではミラーレスに近い感覚で撮影できるようになりました。
この転換点となった機種については、EOS 70DのデュアルピクセルCMOS AFで詳しく紹介しています。
動画機能もD00シリーズの歴史を大きく変えた
D30から50DまでのD00シリーズは基本的に静止画用カメラでした。60DではフルHD動画を利用できるようになり、D00シリーズの用途が大きく広がります。
70Dでは動画中のAFが実用的になり、80DではフルHD60p、90Dでは4Kへ進化しました。
60Dから90Dまでの約9年間で動画機能が急速に進化
60Dの時代には一眼レフでフルHD動画を撮れること自体が魅力でしたが、90Dでは4K撮影、バリアングル液晶、タッチ操作、デュアルピクセルCMOS AFを組み合わせて動画を撮影できます。
この変化を見ると、D00シリーズ後半は単なる静止画一眼レフではなく、写真と動画を一台で扱うハイブリッドカメラへ近づいていったことが分かります。
写真と動画の両方へ対応した80Dの特徴については、Canon EOS 80Dの特徴と動画性能でも詳しく紹介しています。
20Daと60Daという特別な存在
D00シリーズの歴史では、通常モデルだけでなく20Daと60Daも忘れることができません。
どちらも通常モデルをベースにしながら、天体撮影へ合わせた光学特性を持つ特別仕様です。一般的な風景、人物、スポーツなどを幅広く撮るD00シリーズの中で、明確に専門用途を目指した珍しいモデルです。
二つの天体撮影モデルがシリーズの幅を広げた
20Daから60Daまでには約7年の間があります。その間にライブビュー、液晶、画素数、動画など一眼レフの機能は大きく進歩しました。
60Daではバリアングル液晶を使えるため、天体へ向けたカメラでも画面を確認しやすくなっています。同じ天体撮影専用モデルでも、ベースとなる時代の違いがそのまま機能差へ表れています。
後期の天体撮影モデルについては、Canon EOS 60Daの特徴で詳しく紹介しています。
現在中古でD00シリーズを選ぶなら何を見るか
D00シリーズは最も新しい90Dでも2019年登場であり、それ以前のモデルは中古で探すことが中心になります。
中古では単純に新しいモデルを選ぶだけでなく、何を撮りたいのか、どの世代の操作感を楽しみたいのかによって選択肢が変わります。
レトロデジタルを楽しむならD30・D60・10D
初期デジタル一眼レフそのものを楽しみたいならD30、D60、10Dが候補になります。現在とは大きく異なる低画素、CFカード、シンプルなAF、光学ファインダー中心の撮影を体験できます。
便利さを求めるカメラではありませんが、撮影時に構図や露出を考え、一枚ずつ撮る楽しさがあります。
初期モデルの代表として、Canon EOS D60レビューも確認できます。
一眼レフらしい高速撮影なら40D・50D
光学ファインダーと高速連写を中心に楽しむなら、40Dや50Dも興味深い世代です。40Dは最高約6.5コマ/秒、50Dは約6.3コマ/秒で、現在でも動体を撮る基本的な楽しさがあります。
動画機能を重視せず、写真を撮るための一眼レフとして使う場合には、この世代ならではの操作感があります。
約1510万画素まで高画素化したモデルについては、EOS 50Dの特徴で詳しく紹介しています。
写真と動画を幅広く楽しむなら70D・80D
ライブビューや動画まで含めて使いたい場合には70Dと80Dが大きな境目です。70DからデュアルピクセルCMOS AFが使えるため、背面液晶を使った撮影が大幅に快適になります。
80Dではさらに45点AFとフルHD60pへ進化しており、一眼レフ撮影と動画をバランスよく楽しめます。
80Dの写真と動画の性能については、Canon EOS 80Dの詳細で確認できます。
高画素・高速連写・4Kまで求めるなら90D
D00シリーズの中で性能を重視するなら90Dです。約3250万画素、最高約10コマ/秒、4K動画、デュアルピクセルCMOS AFを備え、シリーズの歴代モデルと比較して大きく性能が向上しています。
特にAPS-Cの画角を利用した野鳥や航空機撮影では、高画素と高速連写を同時に使えることが大きな特徴です。
D00シリーズ最終世代の性能については、Canon EOS 90Dの実力で詳しく紹介しています。
D00シリーズとEOS Rシリーズの違い
D00シリーズは光学ファインダーを備えた一眼レフですが、現在のキヤノンはEOS Rシリーズを中心としたミラーレスへ移行しています。
EOS Rではミラー機構を持たず、撮像素子から得た映像をEVFや背面液晶へ表示します。AF測距エリア、被写体検出、高速連写、動画などでは新しいミラーレスが大きく進歩しています。
D00シリーズには光学ファインダーとEFマウントの魅力が残る
D00シリーズでは光学ファインダーを通して被写体を直接見られます。また20D以降ではEFとEF-Sレンズをアダプターなしで直接装着できます。
現在の性能だけを比較すればEOS Rシリーズが進化している部分は多いものの、EFレンズを一眼レフ本来の形で使い、ミラーとシャッターの動作を感じながら撮ることはD00シリーズならではの楽しみです。
現在のミラーレスまで含めたキヤノンの機種構成は、Canon EOS Rシリーズ大全で詳しく紹介しています。
D00シリーズを歴代で見るとキヤノン一眼レフの進化が分かる
D00シリーズを一台ずつ見ると、それぞれは単なる旧型カメラに見えるかもしれません。しかしD30から90Dまでを連続して見ると、デジタル一眼レフが約20年間でどのように変わったのかがはっきり見えてきます。
約311万画素から約3250万画素へ、約3コマ/秒から約10コマ/秒へ、3点AFから45点AFへ。そして光学ファインダーだけだった撮影方法へライブビュー、動画、タッチ操作、デュアルピクセルCMOS AFが加わりました。
D30と90Dには同じシリーズとは思えないほどの差がある
D30では背面液晶は撮影結果を確認するための小さな画面でした。90Dではバリアングル液晶を見ながらAFを行い、4K動画まで撮影できます。
それでも両機には共通点があります。APS-C CMOSセンサーを使い、交換レンズを装着し、光学ファインダーで撮影し、RAWデータを記録するという基本です。その基本を維持しながら、時代ごとの技術を加え続けたのがD00シリーズでした。
キヤノンの一眼レフからミラーレス、EFレンズ、RFレンズまで全体をたどる場合は、キヤノン大全から各機種の記事へ進めます。
まとめ
キヤノンD00シリーズは、2000年のEOS D30から2019年のEOS 90Dまで約20年間にわたって続いたAPS-Cデジタル一眼レフの系譜です。
D30の約311万画素から始まり、D60、10D、20D、30D、40D、50D、60D、70D、80Dを経て、90Dでは約3250万画素へ到達しました。連写速度も約3コマ/秒から約10コマ/秒へ進化しています。
20DではEF-Sレンズへ対応し、40Dではライブビュー、60Dではバリアングル液晶とフルHD動画、70DではデュアルピクセルCMOS AF、80Dでは45点AFとフルHD60p、90Dでは4K動画が加わりました。
さらに20Daと60Daという天体撮影向けモデルも存在し、一般的な中級一眼レフだけでは終わらない幅広い歴史を持っています。
D00シリーズを順番に見ていくと、キヤノンのデジタル一眼レフが単に高画素化したのではなく、撮れる被写体、撮影方法、写真と動画の関係まで変化してきたことが分かります。
現在ではEOS Rシリーズが中心となりましたが、D00シリーズには光学ファインダー、EF・EF-Sレンズ、機械式シャッターとミラーを使った一眼レフならではの撮影感覚が残っています。D30から90Dまでを一つの歴史として見ることで、キヤノンAPS-C一眼レフの進化をより深く楽しめます。



