EOS RPでポートレートを撮るコツ|作例で見るレンズ・ボケ・瞳AF・撮影設定
EOS RPは、約2620万画素のフルサイズCMOSセンサーを搭載しながら、バッテリーとカードを含めても約485gという軽さを実現したRFマウントのフルサイズミラーレスです。現在のEOS Rシリーズと比べるとAFや連写性能は世代差がありますが、ポートレートでは高速連写よりも、人物との距離、光、背景、レンズ選び、瞳への正確なピント合わせが写真の仕上がりを大きく左右します。そのためEOS RPは、人物をじっくり撮る用途では今でも十分に特徴を生かせます。
この記事に掲載している作例では、RF35mm F1.8 MACRO IS STM、RF50mm F1.8 STM、RF24-105mm F4-7.1 IS STMを使用しています。同じEOS RPでも、35mmでは人物と周囲の空間を一緒に残しやすく、50mmでは人物へ視線を集めやすくなり、標準ズームでは撮影距離を変えずに構図を調整できます。作例の設定を見ると、F1.8からF5.0、1/100秒から1/500秒、ISO100からISO400まで幅があり、開放F値だけに頼らず、人物の動きや背景に合わせて設定を変えていることも分かります。
EOS RPでポートレートを撮る場合、重要なのは「フルサイズだから自動的に背景が大きくぼける」と考えることではありません。焦点距離、撮影距離、人物と背景の距離、F値、背景の明るさを組み合わせることで写真の見え方が変わります。ここでは実際の作例設定を基準に、EOS RPで人物を撮るときの画角、ボケ、AF、シャッタースピード、光の使い方、レンズ選びまで詳しく見ていきます。
EOS RPのポートレート作例から分かる基本的な特徴
掲載している作例は、RF35mm F1.8 MACRO IS STMでF2.0やF2.8、RF50mm F1.8 STMでF1.8からF2.5、RF24-105mm F4-7.1 IS STMでF4.0からF5.0を使用しています。ISO感度は100から400の範囲に収まり、シャッタースピードも人物の動きに応じて1/100秒から1/500秒まで使い分けています。
この設定を見ると、EOS RPでポートレートを撮るときに重要なのは、常に開放F値を使うことではないと分かります。背景を大きくぼかしたいときはF1.8やF2.0を使い、顔の向きや人物の動きに余裕を持たせたい場合はF2.5やF2.8へ絞り、標準ズームではF4からF5程度を利用しています。背景との距離を取れば、F4でも人物を十分に分離できます。
約2620万画素は人物の細部を記録するには十分な解像度
EOS RPの有効画素数は約2620万画素です。顔全体を写したポートレートなら、瞳、まつ毛、髪、衣服などの細部を記録するには十分な画素数があります。現在の高画素機と比べれば大きなトリミング耐性では差がありますが、撮影時に構図をある程度完成させる使い方なら不足を感じにくい画素数です。
ポートレートでは高画素化によって細部が増えれば写真が必ず魅力的になるわけでもありません。人物の表情、光の方向、背景との距離、レンズによるボケなどの方が写真全体の印象を大きく変えます。EOS RPは約2620万画素という扱いやすい解像度を持ちながら、RAWやC-RAWも記録できるため、撮影後に肌の明るさやホワイトバランスを整える余地もあります。
EOS RP本体の基本性能や位置付けについてはEOS RPの特徴と基本性能でも詳しく紹介しています。
485gの軽さは人物との距離を変えながら撮るときに生きる
EOS RPはバッテリーとカードを含めて約485g、本体のみなら約440gです。ポートレートでは一か所に立ったまま撮り続けるより、少し近づく、少し下がる、しゃがむ、人物の横へ回るなど、自分の位置を変えることで写真の印象を調整します。軽いカメラは、この移動を繰り返す撮影と相性があります。
特にRF50mm F1.8 STMのような小型単焦点と組み合わせれば、システム全体をかなり軽くできます。長時間の撮影でもカメラを構え続けやすく、人物と会話しながらシャッターを切るような撮影にも向いています。大型ボディと大口径ズームを使った場合とは機材の存在感も異なり、日常的な人物撮影ではEOS RPの小ささ自体が撮影スタイルにつながります。
小型ボディと軽量レンズを組み合わせる考え方は軽量コンパクトなカメラとレンズがもたらす撮影の違いでも取り上げています。
RF35mm F1.8 MACRO IS STMの作例から見る35mmポートレート
掲載作例には、RF35mm F1.8 MACRO IS STMを使い、F2.0・1/320秒・ISO200、F2.8・1/250秒・ISO200、F2.0・1/400秒・ISO320で撮影したものがあります。35mmは人物だけを大きく切り取る中望遠とは性格が異なり、人物と背景を一緒に写す環境ポートレートに向いた焦点距離です。
35mmでは背景が広く入るため、場所の選び方が写真へ強く反映されます。公園なら木々や道、街中なら建物や看板、室内なら家具や窓まで構図へ入りやすくなります。背景を完全に消すより、その人物がどこにいるのかまで一枚の写真で表現する使い方が得意です。
F2.0前後でも撮影距離と背景距離でボケは作れる
35mmは85mmほど背景を大きくぼかしやすい焦点距離ではありません。それでもF2.0前後まで開き、人物へ適度に近づき、人物と背景の距離を広く取ると十分なボケを作れます。重要なのはF値だけを見ることではなく、人物と背景の位置関係を整えることです。
例えば人物のすぐ後ろに壁がある場合、F1.8を使っても背景は比較的はっきり残ります。一方、人物から背景まで数メートルの距離があれば、F2.8でも背景を柔らかくできます。この違いを理解すると、35mmを使ったポートレートで背景を整理しやすくなります。
RF35mm F1.8 MACRO IS STMを人物撮影で使う方法はRF35mm F1.8 MACRO IS STMでポートレートを撮る方法でさらに詳しく解説しています。
35mmで顔へ近づきすぎると遠近感が強くなる
35mmで顔を画面いっぱいに写そうとすると、撮影者が人物へかなり近づく必要があります。撮影距離が短くなると、カメラに近い鼻や頬と、耳や後頭部との距離差が相対的に大きくなり、顔の中央部分が強調されて見えます。
これはレンズが人物を変形させているという単純な問題ではなく、撮影距離による遠近感の変化です。35mmで自然な人物写真を撮るなら、顔だけを大きく切り取るより、上半身や全身を含めて少し距離を取り、背景も写真の一部として使う方が特徴を生かせます。
RF35mm F1.8 MACRO IS STMそのものの特徴についてはRF35mm F1.8 MACRO IS STMの特徴と使い方で確認できます。
RF50mm F1.8 STMの作例は人物を中心に見せやすい
RF50mm F1.8 STMを使った作例では、F1.8・1/160秒・ISO100、F2.2・1/320秒・ISO400、F2.5・1/200秒・ISO250という設定を使用しています。50mmは35mmより画角が狭くなるため、同じ人物を同じ大きさで撮る場合には撮影距離を少し取れます。その結果、顔の遠近感も自然に見えやすく、背景へ写る範囲も整理しやすくなります。
EOS RPとRF50mm F1.8 STMの組み合わせは、どちらも小型軽量で、日常的な人物撮影へ持ち出しやすい構成です。開放F1.8を利用すれば背景を大きくぼかしやすく、F2.2やF2.5へ少し絞ればピントの余裕を増やしながらボケも残せます。
F1.8は大きなボケを作れる一方でピント面は薄くなる
作例のF1.8では、背景を大きくぼかして人物へ視線を集められます。その一方で、撮影距離が短くなるほど被写界深度は浅くなります。顔を斜めから撮る場合、手前の瞳へ正確にピントが合っていても、奥側の瞳は少し外れることがあります。
両目をはっきり見せたい場合や、人物が前後へ少し動く場合には、F2.2やF2.8へ絞ることで成功率を上げやすくなります。背景のボケ量はF値だけで決まるわけではないため、人物と背景の距離を確保できれば、少し絞っても十分な分離感を作れます。
50mmで人物を撮るときの構図やボケの作り方はRF50mm F1.8 STMで魅せるポートレート撮影で詳しく紹介しています。
50mmは上半身から全身まで対応しやすい
50mmは人物撮影で非常に扱いやすい焦点距離です。顔だけを大きく撮るには85mmの方が距離を確保しやすいものの、50mmなら上半身、腰上、全身まで幅広く対応できます。背景も35mmほど広く入りすぎないため、人物を主役として見せながら場所の雰囲気も残せます。
室内では85mmだと後ろへ下がる場所が足りないことがありますが、50mmなら比較的使いやすくなります。屋外でも人物との会話ができる程度の距離を維持しやすく、撮影者と被写体の関係が離れすぎません。EOS RPで初めて人物用単焦点を一本選ぶ場合にも、50mmは撮影範囲の広い焦点距離です。
EOS RPで使う単焦点やズームをまとめて比較する場合はEOS RPのおすすめレンズガイドも参考になります。
RF24-105mm F4-7.1 IS STMの作例から分かるズームの強み
RF24-105mm F4-7.1 IS STMを使った作例では、35mm・F4.5・1/500秒・ISO250、50mm・F5.0・1/100秒・ISO160、40mm・F4.0・1/160秒・ISO200という設定を使用しています。単焦点ほど開放F値は小さくありませんが、ズームレンズには撮影者が大きく移動せず構図を調整できる利点があります。
人物の表情が変わる一瞬を撮りたい場面では、レンズ交換や大きな移動をせず、ズームリングだけで全身から上半身まで切り替えられることが撮影テンポにつながります。背景を大きくぼかすことだけを目的にすると単焦点が有利ですが、ポートレート撮影全体の扱いやすさでは標準ズームにも大きな価値があります。
F4からF5でも背景との距離を取れば人物を分離できる
F4やF5ではF1.8ほど被写界深度を浅くできません。それでも望遠側へズームし、人物と背景の距離を取れば、背景を十分に整理できます。例えば50mmで人物を少し大きく写し、背景を遠くへ配置すれば、F5でも人物と背景の間に奥行きを作れます。
ポートレートでは「F値が小さいほど完成度が高い」と考えると撮影の幅が狭くなります。背景に意味がある場面では、少し絞って場所の情報を残す方が写真として伝わりやすい場合もあります。人物、背景、光をどの程度見せるのかによってF値を決めることが重要です。
レンズによる解像感やボケの違いを考える場合は描写力とボケ表現の違いでも詳しく解説しています。
ズームなら人物との距離を保ったまま構図を変えられる
人物撮影では、撮影者が急に近づいたり離れたりすると、被写体の表情が変わることがあります。RF24-105mm F4-7.1 IS STMなら立ち位置を大きく変えず、35mm、50mm、70mmなどへ画角を変えられるため、人物との距離感を維持しやすくなります。
ポーズを作り込んだ撮影よりも、会話しながら自然な表情を撮る場合には、この使いやすさが大きくなります。単焦点で撮影者自身が移動して構図を作る方法と、ズームでその場から画角を変える方法には、それぞれ違った撮影テンポがあります。
EOS RPでRFレンズとEFレンズを含めて選ぶ場合はキヤノン大全から各レンズの記事を確認できます。
EOS RPの瞳AFはポートレートでどう使うか
EOS RPの静止画AFにはデュアルピクセルCMOS AFが採用され、顔+追尾優先AFや瞳AFを利用できます。現在のEOS Rシリーズのような高度な被写体認識とは世代が異なりますが、人物撮影では瞳へ直接ピントを合わせられること自体が大きな利点です。
特にF1.8やF2.0で撮影すると、被写界深度が浅くなるため、顔のどこにピントが合うかが重要になります。鼻や眉に合って瞳が外れると、写真全体がわずかに甘く見えます。瞳AFを使うことで、構図を作りながら重要な目元へピントを置きやすくなります。
静止した人物ならワンショットAFでも撮りやすい
ポーズを取った人物がほとんど動かない場面では、ワンショットAFで瞳へピントを合わせ、一枚ずつ表情を見ながら撮る方法が使えます。EOS RPは最高約5コマ/秒の連写ですが、静止したポートレートでは高速連写そのものが必要になる場面は多くありません。
撮影者が人物の表情を確認し、タイミングを見ながらシャッターを切る撮り方では、連写性能よりピント位置とシャッタータイミングの方が重要になります。EOS RPの性格は、このような撮影方法と合っています。
EOS RPのAF設定を含む基本操作はEOS RPの使い方とAF設定で詳しく整理しています。
歩く人物や自然な動きにはサーボAFを使う
人物がこちらへ歩いてくる、座った状態から立つ、顔を前後へ動かすといった場面では、撮影距離が変わるためサーボAFが使いやすくなります。EOS RPの瞳AFはサーボAFにも対応しているため、人物の動きを追いながら瞳を狙えます。
一方、EOS RPのサーボAF時の連写速度は最高約4コマ/秒です。スポーツのような高速な動きには新しいEOS Rシリーズの方が向きますが、歩く人物やポーズを変える程度の動きならポートレート撮影で利用できます。EOS RPでは動体性能を過大評価せず、被写体の動きに合わせて撮影方法を選ぶ方が扱いやすくなります。
人物撮影を仕事用途まで含めて考えた場合の特徴はEOS RPはプロ用途で使えるのかでも紹介しています。
ポートレートではシャッタースピードを軽視しない
背景ボケを考えるとF値へ意識が向きやすいものの、人物撮影ではシャッタースピードも重要です。EOS RPにはボディ内手振れ補正がないため、手振れ補正のないRF50mm F1.8 STMを使う場合は特にシャッタースピードを確認する必要があります。
さらにレンズやカメラの手振れ補正があっても、人物自身が動くことで発生する被写体ブレは止められません。表情を変える、髪が動く、手を動かす、歩くといった動作を止めるには、被写体に合わせたシャッタースピードが必要です。
静止した人物でも1/125秒前後を意識すると安定しやすい
人物がポーズを取っていても、完全に静止しているわけではありません。呼吸や顔の動き、髪の揺れがあります。50mm前後のレンズで撮る場合、1/125秒程度を確保しておくと、カメラ側と人物側の両方のブレを抑えやすくなります。
掲載作例でもRF50mm F1.8 STMは1/160秒、1/200秒、1/320秒を使っており、RF35mm F1.8 MACRO IS STMでは1/250秒から1/400秒を使用しています。ISO100へ固定してシャッタースピードを無理に遅くするより、必要に応じてISO200や400へ上げて人物の動きを止める方が実用的です。
EOS RPを実際の撮影ジャンルごとに使い分ける考え方はEOS RPの実践的な使用例と適した撮影ジャンルでも紹介しています。
歩く人物なら1/250秒から1/500秒を目安に考える
人物が歩いている場合は、静止したポートレートより速いシャッタースピードが必要です。ゆっくりした歩行なら1/250秒前後、腕や髪の動きまで止めたい場合には1/500秒程度を使うと安定しやすくなります。
作例のRF24-105mm F4-7.1 IS STMでは1/500秒・ISO250の設定も使われています。F4.5と単焦点より暗い条件でも、ISO感度を少し上げればシャッタースピードを確保できます。現在のカメラではISO100へ固執するより、必要なシャッター速度を先に確保する方が撮影成功率を上げやすくなります。
EOS RPの基本設定から人物撮影まで一通り確認する場合はEOS RP初心者向け設定ガイドが参考になります。
自然光を使うとEOS RPのポートレートを作りやすい
ポートレートでは光の方向が顔の立体感を大きく変えます。直射日光を正面から当てると、顔の影が強くなり、人物がまぶしそうな表情になることがあります。一方、日陰や窓辺の柔らかい光を利用すると、肌の明暗差を抑えながら立体感を作れます。
EOS RPは電子ビューファインダーとバリアングル液晶を備えているため、撮影前に明るさを確認しながら構図を調整できます。人物撮影では露出を完全にカメラ任せにせず、顔が暗く見える場合は露出補正を利用すると仕上がりを整えやすくなります。
逆光では顔の明るさと背景のハイライトを両方見る
逆光は髪の輪郭へ光が入り、人物を背景から分離しやすい撮影方法です。一方で背景が非常に明るくなるため、人物の顔に露出を合わせると空や背景が白く飛びやすくなります。
EOS RPのRAWデータは現在の最新フルサイズ機ほど大きなシャドー持ち上げ耐性を期待する機種ではないため、極端に暗く撮って後から何段も持ち上げるより、撮影時に人物の顔と背景の両方を確認して露出を決める方が扱いやすくなります。ハイライトを守りつつ人物が暗くなりすぎない位置へ移動するだけでも、仕上がりは大きく変わります。
ボケや階調を含む写真の描写については解像度とボケが作る描写表現でも詳しく解説しています。
日陰や窓辺では肌の明暗差を抑えやすい
晴天の直射日光では、鼻や目の下へ強い影が出やすくなります。建物の影や木陰へ移動すると、光が拡散されて顔全体を柔らかく照らしやすくなります。室内なら大きな窓の横に人物を置くことで、片側から自然な光を当てられます。
背景が暗い場所を選び、人物だけに明るい光が当たる位置を探すと、F値を大きく開かなくても人物を目立たせられます。背景ボケだけで人物を分離するのではなく、明るさの差を利用する方法もポートレートでは重要です。
EOS RPと単焦点レンズの組み合わせを含めた人物撮影向けレンズはEOS RPのおすすめレンズでまとめています。
EOS RPでポートレートを撮るときのレンズ選び
EOS RPはRFマウントを採用しているためRFレンズを直接装着でき、マウントアダプター EF-EOS Rを使えばEFレンズも使用できます。人物撮影では35mm、50mm、85mmが使いやすく、それぞれ写真の方向性が異なります。
35mmは人物と場所を一緒に残し、50mmは人物と背景のバランスを取りやすく、85mmは背景を整理して人物を大きく切り取りやすくなります。どの焦点距離が上位というものではなく、どのような人物写真を撮りたいかで選びます。
35mmは環境、50mmは標準、85mmは人物中心
旅行先の風景や街並みと人物を一緒に残すなら35mmが使いやすくなります。人物の上半身から全身まで幅広く撮るなら50mm、顔や上半身を中心に背景を整理するなら85mmが扱いやすくなります。
EOS RPは軽量ボディなので、小型単焦点と組み合わせることで機動力を維持できます。RF35mm F1.8 MACRO IS STM、RF50mm F1.8 STM、RF85mm F2 MACRO IS STMなどは、焦点距離による違いがはっきりしており、撮りたい写真に合わせて選びやすいレンズです。
焦点距離ごとの選び方を含めたEOS RP向けレンズはEOS RPのおすすめレンズガイドで詳しく比較しています。
EFレンズを使うと選択肢をさらに広げられる
マウントアダプター EF-EOS Rを装着すれば、EF50mm F1.8 STM、EF85mm F1.8 USM、EF85mm F1.2Lシリーズ、EF135mm F2L USMなど、一眼レフ時代のEFレンズもEOS RPで使用できます。標準タイプのアダプターには撮影用の光学系がないため、EFレンズ本来の焦点距離を維持したまま使えます。
EOS RPにはボディ内手振れ補正がないため、手振れ補正を持たないEF単焦点ではシャッタースピードへの注意が必要です。その一方、中古市場を含めるとRFレンズだけでは得られない価格帯や描写のレンズを選べるため、人物撮影用のシステムを広げられます。
RFとEFを含むキヤノンのカメラ・レンズ全体はキヤノン大全から確認できます。
EOS RPの弱点も理解してポートレートへ使う
EOS RPはポートレートで使いやすい部分がある一方、現在のEOS Rシリーズと比べれば世代差もあります。最高約5コマ/秒、サーボAF時は最高約4コマ/秒なので、走る人物を大量の連写から選ぶような撮影には向きません。被写体認識AFも現在の上位機種ほど多機能ではありません。
また、ボディ内手振れ補正を搭載していないため、手振れ補正を持たない単焦点では撮影者自身のブレをシャッタースピードで抑える必要があります。バッテリーもLP-E17を使用し、公称撮影可能枚数は約250枚です。長時間の人物撮影では予備バッテリーを考えた運用が向いています。
高速な人物撮影より表情を見ながら一枚ずつ撮る方が合う
EOS RPの連写速度を考えると、スポーツやダンスのように激しく動く人物を高速連写するカメラとして選ぶ機種ではありません。反対に、ポーズを変えてもらいながら表情を確認し、一枚ずつ撮るポートレートでは連写速度の低さが大きな問題になりにくくなります。
被写体と会話しながら姿勢や顔の向きを調整し、光が整った瞬間に一枚撮る。この撮影方法なら、約2620万画素のフルサイズセンサー、瞳AF、小型軽量ボディというEOS RPの特徴を生かせます。
EOS RPを人物撮影や仕事撮影へ使った場合の実用性はEOS RPのプロ用途での使い方でも詳しく取り上げています。
ダイナミックレンジは撮影時の露出を丁寧に決めたい
EOS RPのRAWは一定の調整余地を持っていますが、低ISOで大きく露出不足にした画像を後から強く持ち上げると、シャドー部のノイズが目立ちやすくなります。逆光ポートレートでは「RAWだから後で何とかなる」と考えて暗く撮りすぎず、撮影時に人物の顔を確認することが重要です。
露出を丁寧に決め、必要ならレフ板、窓からの光、日陰などを利用して人物と背景の明暗差を小さくすると、EOS RPでも階調を整えやすくなります。ポートレートではセンサーの性能だけに頼るより、光を整えることの効果が大きくなります。
EOS RPを初心者向けの設定から使い込む方法まで確認する場合はEOS RPの使い方を徹底解説も参考になります。
作例から考えるEOS RPポートレートの実践設定
人物撮影では撮影条件によって設定を変える必要がありますが、EOS RPなら絞り優先AEとISOオートを組み合わせる方法が使いやすくなります。背景をぼかしたい場合はF1.8からF2.8、人物と背景の両方を見せたい場合はF4前後を出発点にできます。
そのうえでシャッタースピードが遅くなりすぎていないかを確認します。静止した人物なら1/125秒前後、自然な仕草があるなら1/250秒前後、歩行なら1/500秒前後まで上げると失敗を減らしやすくなります。暗くなる場合はISO感度を上げます。
一人の人物ならF1.8からF2.8を使い分ける
一人の人物を撮る場合、背景を大きくぼかすならF1.8からF2.0が使いやすくなります。人物が斜めを向いたり、少し前後へ動いたりする場合はF2.5からF2.8へ絞ると、瞳周辺のピントに余裕が出ます。
掲載作例でもF1.8、F2.0、F2.2、F2.5、F2.8と細かく使い分けています。開放だけを使い続けるより、人物の向き、背景、距離に応じて半段から1段程度絞ることで、背景ボケを保ちながら人物全体の安定感を上げられます。
EOS RPで人物を撮る基本設定はEOS RPの人物撮影設定でも詳しく紹介しています。
背景を残したいならF4前後も積極的に使える
人物のいる場所も写真の一部として残したい場合は、F4前後まで絞る方法があります。旅行、家族写真、店舗、街角などでは、背景を完全にぼかすと場所の情報が失われることがあります。
RF24-105mm F4-7.1 IS STMの作例ではF4.0からF5.0を使用しています。人物と背景の距離が十分にあれば、このF値でも人物を分離できます。背景を少し見せることで、一枚の写真から場所や時間帯まで伝えられるため、ポートレート表現の幅が広がります。
フルサイズとレンズの組み合わせによる人物撮影の特徴はEOS RPのフルサイズ画質と扱いやすさでも紹介しています。
まとめ
EOS RPは約2620万画素のフルサイズCMOSセンサー、デュアルピクセルCMOS AF、瞳AF、バリアングル液晶を備え、約485gという軽さを持つフルサイズミラーレスです。現在のEOS Rシリーズと比べれば連写や被写体認識には世代差がありますが、人物をじっくり撮るポートレートでは現在も使い方がはっきりしています。
掲載作例からも、RF35mm F1.8 MACRO IS STMでは人物と背景を一緒に見せる35mmらしい構図、RF50mm F1.8 STMでは背景をぼかして人物へ視線を集める構図、RF24-105mm F4-7.1 IS STMではズームを利用して撮影距離を維持しながら構図を変える方法が確認できます。
背景ボケを作る場合はF値だけを見るのではなく、焦点距離、人物との撮影距離、人物と背景の距離を組み合わせることが重要です。35mmでも背景との距離を取ればボケを作れ、50mmでも少し絞れば人物全体のピントを安定させられます。F4からF5程度でも、背景を遠ざければ人物を十分に分離できます。
シャッタースピードもポートレートでは重要です。静止した人物なら1/125秒前後、自然な動きなら1/250秒、歩く人物なら1/500秒前後まで上げ、必要に応じてISO感度を上げる方が撮影成功率を高めやすくなります。EOS RPにはボディ内手振れ補正がないため、特に手振れ補正を持たない単焦点ではシャッタースピードを確認する必要があります。
EOS RPのポートレートは、最新機種の高速連写や高度な被写体認識を利用して大量に撮る方向より、人物との距離を考え、光と背景を選び、一枚ずつ表情を見ながら撮るスタイルと相性があります。小型軽量なフルサイズボディと35mm、50mm、85mmなどのレンズを組み合わせることで、日常の人物撮影から本格的なポートレートまで幅広く楽しめます。



