EOS 9000D入門機に見えて本格派まで満たす魔法のような一眼レフ
Canon EOS 9000Dは、2017年4月に発売されたAPS-Cサイズのデジタル一眼レフカメラです。EOS Kissシリーズに近い小型軽量ボディを採用しながら、上面液晶パネル、サブ電子ダイヤル、AF-ONボタンなどを備え、上位機に近い操作性を持たせたことが大きな特徴です。
発売から年月が経過した現在では、ミラーレスのEOS Rシリーズがキヤノンの中心になっています。それでもEOS 9000Dには、有効約2420万画素、最高約6コマ/秒、45点オールクロスAF、デュアルピクセルCMOS AF、バリアングル液晶といった写真撮影に必要な機能が揃っています。
中古でEF・EF-Sレンズを使いたい人、光学ファインダーで撮影したい人、一眼レフらしい操作感を楽しみたい人にとって、EOS 9000Dは現在でも検討する意味のあるモデルです。この記事ではEOS 9000Dの性能、EOS Kiss X9iとの違い、対応レンズ、弱点、中古で選ぶ際のポイントまで詳しく解説します。
EOS 9000Dとはどんなカメラなのか
EOS 9000Dは、EOS 8000Dの後継として登場した「プレミアムエントリー」と呼べる位置づけの一眼レフです。同時期に登場したEOS Kiss X9iと撮影性能の多くを共有しながら、操作系を上位モデルに近づけています。
初心者向け一眼レフという枠に収めるより、「小型軽量なAPS-C一眼レフに本格的な操作系を組み込んだカメラ」と考えた方がEOS 9000Dの性格を理解しやすくなります。
| 発売時期 | 2017年4月 |
|---|---|
| 撮像素子 | APS-C CMOSセンサー |
| 有効画素数 | 約2420万画素 |
| 映像エンジン | DIGIC 7 |
| 常用ISO感度 | ISO100~25600 |
| 拡張ISO感度 | ISO51200相当 |
| ファインダーAF | 最大45点・最大45点クロス測距 |
| ライブビューAF | デュアルピクセルCMOS AF |
| 最高連写速度 | 約6コマ/秒 |
| 最高シャッター速度 | 1/4000秒 |
| 動画 | フルHD 60p |
| 液晶 | 3.0型・約104万ドット・バリアングル・タッチ対応 |
| 記録媒体 | SD/SDHC/SDXC・UHS-I対応 |
| 対応レンズ | EFレンズ・EF-Sレンズ |
| 本体質量 | 約493g |
| バッテリー・カード込み | 約540g |
EOS 9000Dはキヤノン一眼レフの中でどこに位置するのか
EOS 9000DはEOS Kiss X9iと非常に近い性能を持っていますが、上面液晶やサブ電子ダイヤルを搭載することで、EOS 80Dなどの中級機に近い操作感を持たせています。
撮影を始めたばかりの段階ではオート撮影を使い、慣れてきたら絞り優先AE、シャッター優先AE、マニュアル露出へ移行するという使い方ができます。カメラ任せの撮影から自分で露出を決める撮影へ進んでも、買い替えずに使い続けられるところがEOS 9000Dの魅力です。
キヤノンの一眼レフやミラーレスを世代別に確認したい場合は、キヤノン大全もあわせてご覧ください。
EOS 9000Dの画質
約2420万画素APS-Cセンサーは現在でも十分な解像力がある
EOS 9000Dは約22.3×14.9mmのAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載し、有効画素数は約2420万画素です。最大記録サイズは6000×4000ピクセルとなり、一般的な写真撮影には十分な情報量があります。
現在では3000万画素を超えるAPS-C機もありますが、写真の画質は画素数だけで決まるものではありません。約2420万画素あれば、風景、ポートレート、スナップ、鉄道、航空機、動物、商品撮影など幅広い用途に対応できます。
APS-Cでは装着したレンズの画角が35mm判換算で約1.6倍相当になります。200mmなら約320mm相当、300mmなら約480mm相当の画角になるため、望遠撮影ではフルサイズより被写体を大きく捉えやすいという特徴があります。
APS-C一眼レフの特徴については、Canon APS-C一眼レフが選ばれる理由で詳しく解説しています。
DIGIC 7とISO100~25600で幅広い撮影環境に対応する
映像エンジンにはDIGIC 7を採用しています。常用ISO感度はISO100~25600で、必要に応じてISO51200相当まで拡張できます。
明るい屋外ではISO100を基本に高画質を狙い、室内や夕方ではISO800~3200程度まで上げてシャッタースピードを確保できます。現代の最新ミラーレスと高感度性能だけを比較すれば世代差はありますが、適切な露出で撮影する限り、EOS 9000Dは現在でも十分実用的です。
RAW記録にも対応しているため、撮影後にホワイトバランス、露出、シャドウ、ハイライトなどを調整できます。JPEG撮って出しだけでなく、RAW現像を覚えたい人にも使いやすいカメラです。
RAWとJPEGの違いについては、RAWとJPEGの違いと使い分けで詳しく紹介しています。
EOS 9000DのAF性能
ファインダー撮影では45点オールクロスAFを搭載する
EOS 9000Dの大きな特徴が、最大45点のAF測距点です。最大45点すべてがクロス測距に対応し、中央測距点は対応レンズ使用時にF2.8対応デュアルクロス測距となります。
前モデルEOS 8000Dの19点AFから大きく進化しており、画面中央だけでなく広い範囲で被写体を捉えられます。
ワンショットAFだけでなくAIサーボAFにも対応しているため、走る子ども、ペット、スポーツ、鉄道など、カメラとの距離が変化する被写体にも対応できます。
現在のEOS Rシリーズのような高度な人物・動物・車両認識AFはありません。その代わり、測距点を自分で選択して被写体を追う一眼レフらしい撮影方法を学べます。
AFとMFの使い分けについては、AFとMFの違いと使い分けも参考になります。
ライブビューではデュアルピクセルCMOS AFが使える
EOS 9000Dは、背面液晶を見ながら撮影するライブビューでも高速なデュアルピクセルCMOS AFを利用できます。
一眼レフのライブビューというとAFが遅い機種もありますが、EOS 9000Dでは撮像面位相差AFによってスムーズにピントを合わせられます。タッチパネルにも対応しているため、画面上の被写体をタッチしてAF位置を指定できます。
ローアングルやハイアングルでは光学ファインダーをのぞくことが難しいため、バリアングル液晶とデュアルピクセルCMOS AFの組み合わせが役立ちます。
液晶モニターの方式については、バリアングル・チルト・固定式液晶の違いで比較しています。
約6コマ/秒の連写性能
運動会や鉄道などの動体撮影にも使える
EOS 9000Dの高速連続撮影は最高約6コマ/秒です。現在の高速ミラーレスと比較すれば控えめな数字ですが、人物、子ども、ペット、鉄道、一般的なスポーツなどでは十分に実用的な速度です。
ファインダー撮影ではAIサーボAFと45点AFを組み合わせることで、被写体を追いながら連続撮影できます。
JPEGラージ/ファインでは条件によってカード容量いっぱいまで連写でき、RAWでは約21枚、UHS-I対応カード使用時には約27枚が目安とされています。短い連写を繰り返す使い方なら扱いやすい性能です。
動体撮影では連写速度だけでなく、シャッタースピードとAF設定が重要です。詳しい設定は、Canonカメラの連写設定で紹介しています。
EOS 9000D最大の特徴は操作性
上面液晶とサブ電子ダイヤルがEOS Kiss X9iとの大きな違い
EOS 9000DとEOS Kiss X9iは、有効約2420万画素、DIGIC 7、45点AF、デュアルピクセルCMOS AF、約6コマ/秒連写など主要な撮影性能が非常に近い兄弟機です。
大きく異なるのが操作系です。EOS 9000Dにはボディ上面右側に液晶表示パネルがあります。シャッタースピード、絞り、ISO感度、残り撮影枚数などを確認する際に背面液晶を表示する必要がありません。
さらに背面にはサブ電子ダイヤルがあります。絞りや露出補正などをダイヤルで直接変更できるため、撮影しながら頻繁に設定を変える場合に大きな差が出ます。
AF-ONボタンも装備されているため、シャッターボタン半押しAFとAF作動を分離する「親指AF」も使えます。
初心者向け一眼レフから始めても、撮影技術が上がるにつれて操作系が不足しにくいことがEOS 9000Dの重要な長所です。キヤノンのAPS-C一眼レフ全体については、Canon APS-C一眼レフの特徴でも解説しています。
光学ファインダーで写真を撮る楽しさ
EVFとは異なる一眼レフならではの見え方がある
EOS 9000Dのファインダーはペンタダハミラー方式で、視野率は上下左右とも約95%、倍率は約0.82倍です。
ミラーレスのEVFは露出やホワイトバランスを撮影前に確認できる利点がありますが、一眼レフの光学ファインダーには遅延がなく、レンズを通った光をそのまま見ることができるという特徴があります。
電源を入れた瞬間から自然な像を確認でき、シャッターを切る際にはミラーの動きと機械式シャッターの感触があります。スペックだけでは表現できない一眼レフ特有の撮影体験です。
一眼レフを含む歴代EOSを確認する場合は、キヤノン大全から各モデルの記事をたどれます。
EFレンズとEF-Sレンズをそのまま使える
中古レンズが豊富なのはEOS 9000Dの大きな魅力
EOS 9000DはキヤノンEFマウントを採用し、EFレンズとEF-Sレンズの両方を装着できます。EF-MレンズとRFレンズは使用できません。
EFレンズには1987年以降に発売された非常に多くのレンズがあり、単焦点、標準ズーム、広角ズーム、望遠ズーム、超望遠、マクロなど選択肢が豊富です。
EF-SレンズはAPS-C一眼レフ向けに設計されており、小型軽量なモデルが多いことが特徴です。EOS 9000Dの軽いボディとの相性も良く、旅行や日常撮影ではEF-Sレンズを中心に組むと携帯性を維持できます。
一方、EF50mm F1.8などのフルサイズ対応EF単焦点を装着すると、EOS 9000Dでは約80mm相当の画角になり、人物撮影に使いやすい中望遠として利用できます。
EFレンズを焦点距離別に探したい場合は、Canon EFレンズ一覧から確認できます。
EFとEF-Sの違いを理解するとレンズ選びが楽になる
EFレンズはキヤノンEFマウントのフルサイズ一眼レフとAPS-C一眼レフの両方で使用できます。EF-SレンズはAPS-C一眼レフ向けで、EOS 9000Dでは問題なく使用できます。
中古でEOS 9000Dを購入する場合、ボディだけを安く購入し、中古のEF-S標準ズームや単焦点レンズを組み合わせる方法もあります。
将来的にフルサイズ一眼レフへ移行する可能性があるならEFレンズを中心に揃える方法があります。一方、EOS 9000DをAPS-C機として長く使うなら、小型軽量なEF-Sレンズにも大きな価値があります。
マウントと対応関係については、EFレンズとEF-Sレンズの違いで詳しく解説しています。
バリアングル液晶と動画撮影
フルHD60pと動画電子ISに対応する
EOS 9000Dは4K動画には対応していません。最高記録解像度はフルHDの1920×1080で、59.94p/50pまで記録できます。
4Kが当たり前になった現在では動画仕様に古さがありますが、フルHDで十分な用途であれば現在でも使用できます。
動画撮影ではデュアルピクセルCMOS AFが使用でき、顔+追尾優先AF、スムーズゾーンAF、ライブ1点AFに対応します。被写体が動いた場合でも比較的滑らかなピント移動が可能です。
動画電子ISも搭載されています。これはセンサー自体を物理的に動かすボディ内手ブレ補正ではなく、映像を電子的に処理して手ブレを軽減する方式です。
3.5mmステレオミニジャックの外部マイク入力も備えているため、内蔵マイクより音質を重視した撮影もできます。
バリアングル液晶の特徴については、撮影が変わる液晶スタイルの選び方も参考になります。
EOS 9000Dの携帯性とバッテリー
約540gで一眼レフとしては比較的軽い
EOS 9000Dの本体質量は約493g、LP-E17バッテリーとSDカードを含めても約540gです。大きさは約131.0×99.9×76.2mmで、本格的な操作系を備える一眼レフとしては比較的小型です。
ファインダー撮影時の撮影可能枚数は常温で約600枚が目安です。ライブビューでは約270枚となるため、バッテリーを長く持たせたい場合には光学ファインダー中心の撮影が向いています。
ミラーレスはセンサーやEVFを常時作動させる必要がありますが、一眼レフでは光学ファインダーを使用できるため、長時間の写真撮影では現在でも大きな利点があります。
APS-C一眼レフの携帯性については、Canon APS-C一眼レフが選ばれる理由でも紹介しています。
Wi-Fi・NFC・Bluetoothに対応
古い一眼レフでもスマートフォン連携ができる
EOS 9000DはWi-Fi、NFC、Bluetoothに対応しています。2010年代前半の一眼レフでは無線機能を持たないモデルも多いため、この世代のEOSとしては扱いやすい部分です。
スマートフォンと連携すれば画像転送やリモート撮影ができます。撮影した写真をパソコンへ取り込んでからスマートフォンへ送る必要がなく、その場で写真を確認したい場合にも便利です。
最新機種と比べれば通信速度やアプリ連携には世代差がありますが、「一眼レフで撮影した画像をスマートフォンへ送る」という基本的な用途には対応しています。
EOS 9000Dを含むキヤノンの歴代機種については、キヤノン大全から確認できます。
EOS 9000Dの弱点
4K動画・ボディ内手ブレ補正・最新被写体認識AFはない
EOS 9000Dを現在選ぶ場合、発売時期による機能差は理解しておく必要があります。
動画はフルHD60pまでで4Kには対応していません。ボディ内手ブレ補正も搭載されておらず、静止画の手ブレ補正はISを搭載したレンズに依存します。
現在のEOS Rシリーズで利用できる人物の瞳検出、動物検出、鳥検出、車両検出などの高度な被写体認識AFもありません。
光学ファインダーの視野率は約95%なので、撮影画像にはファインダーで見えていなかった周辺部分がわずかに写ることがあります。上位一眼レフの視野率約100%と比べると差があります。
最高シャッター速度も1/4000秒です。晴天下でF1.4やF1.2などの大口径レンズを開放で使う場合には、ISO100でも露出オーバーになることがあります。
一方、こうした弱点は静止画中心で使用する限り致命的とは限りません。EFレンズを使った写真撮影が目的なら、必要な基本性能は揃っています。EFレンズの特徴については、Canon EFレンズの特徴と魅力で詳しく紹介しています。
EOS 9000Dは現在どんな人に向いているのか
中古EFレンズと一眼レフ撮影を楽しみたい人に向いている
EOS 9000Dは最新性能を求める人よりも、EFマウント一眼レフを手頃に楽しみたい人に適しています。
特に相性が良いのは、EF・EF-Sレンズをすでに持っている人です。マウントアダプターを使わず直接装着でき、光学ファインダーを使った一眼レフ本来の撮影を楽しめます。
中古市場にはEFレンズが大量に存在するため、ボディとレンズを組み合わせながらさまざまな焦点距離を試す楽しみもあります。
また、EOS Kissシリーズより上位機に近い操作系を持つため、絞り、シャッタースピード、ISO感度、露出補正を自分で操作しながら写真を覚えたい人にも適しています。
中古EFレンズを探す場合は、Canon EFレンズ一覧から焦点距離別に確認できます。
EOS 9000Dを中古で買うときに確認したいポイント
ボディの状態だけでなく操作系と液晶も確認する
EOS 9000Dは中古で購入することになるため、価格だけで判断せず状態を確認することが重要です。
まず確認したいのはシャッター、メイン電子ダイヤル、サブ電子ダイヤル、各ボタンの動作です。EOS 9000Dは操作系の多さが魅力なので、ダイヤルの空転やボタンの反応不良がある個体では長所が失われます。
バリアングル液晶は開閉と回転を繰り返す部分なので、ヒンジの緩み、表示不良、タッチ操作も確認したいところです。
光学ファインダー内の大きなゴミや曇り、センサーの汚れ、SDカードスロット、バッテリー室も確認します。
付属するLP-E17は消耗品です。古い個体ではバッテリーが劣化している可能性があるため、ボディの状態が良ければバッテリーは交換を前提に考える方法もあります。
キヤノンの一眼レフをほかの機種と比較したい場合は、キヤノン大全から各モデルを確認できます。
EOS 9000Dは一眼レフからミラーレスへ移る直前の完成度が魅力
写真撮影を中心に考えると現在でも使える一台
EOS 9000Dは2017年のカメラなので、4K動画や高度な被写体認識AFといった現在の機能を求めれば古さはあります。
一方で、有効約2420万画素APS-Cセンサー、DIGIC 7、45点オールクロスAF、デュアルピクセルCMOS AF、約6コマ/秒連写、バリアングル液晶、上面液晶、サブ電子ダイヤル、Wi-Fi、Bluetoothなど、静止画撮影に必要な機能はかなり充実しています。
特にEOS Kiss X9iとほぼ同等の撮影性能を持ちながら、上面液晶とサブ電子ダイヤルを備えている点がEOS 9000Dらしさです。初心者向けの扱いやすさと、撮影に慣れてから必要になる操作性を一台にまとめています。
ミラーレスへ移行する直前の世代だからこそ、一眼レフとして成熟した機能とライブビューの使いやすさが共存しています。
EFレンズを直接装着し、光学ファインダーをのぞき、自分で露出やAF位置を操作して写真を撮る。その一眼レフらしい使い方を手頃なボディで楽しみたいのであれば、EOS 9000Dは現在でも存在価値のあるAPS-C一眼レフです。
EOS 9000D以外のキヤノン一眼レフやEOS Rシリーズまで含めて探す場合は、キヤノン大全から各機種の記事をご覧ください。



