今のカメラ業界は6カテゴリーで分かる|ミラーレス・一眼レフ・コンデジ・Vlog・アクション・フィルム
現在のカメラ業界を見渡すと、非常に多くの製品があります。フルサイズ、APS-C、中判、レンズ交換式、レンズ一体型、静止画向け、動画向けなど、分類しようとすればいくらでも細かく分けることができます。
しかし、カメラを使う側から見れば、そこまで細かく分けなくても現在の市場は理解できます。大きく「ミラーレス」「一眼レフ」「コンパクトデジタルカメラ」「動画・Vlog向けカメラ」「アクションカメラ」「フィルムカメラ」の6カテゴリーに分けると、全体像がかなり見えやすくなります。
この6つは完全に独立しているわけではありません。たとえば動画撮影を重視したEOS R50 Vは構造としてはミラーレスですが、製品の性格としては動画・Vlog向けカメラでもあります。それでも「何のために作られているカメラなのか」という視点で見ると、この6分類は現在のカメラ業界を整理するうえで分かりやすい方法です。
スマートフォンによって日常の記録を専用カメラで撮る必要性が小さくなった現在、カメラは「写真を撮るために誰もが持つ機械」から、「スマートフォンでは得にくい写真や映像、撮影体験を得るための専用機」へと役割を変えています。
その変化によって、それぞれのカテゴリーが存在する理由も以前よりはっきりしてきました。
- 現在のカメラ業界を6カテゴリーに分ける
- ミラーレス|現在のレンズ交換式カメラの中心
- 一眼レフ|新製品の中心ではなくても巨大な資産が残る
- コンパクトデジタルカメラ|スマートフォン時代だから役割が変わった
- 動画・Vlog向けカメラ|写真機とは別の方向へ進むカメラ
- アクションカメラ|普通のカメラでは撮れない場所を撮る
- フィルムカメラ|性能競争とは別の場所で残り続ける
- スマートフォンは第7のカテゴリーなのか
- 6カテゴリーは競争しているようで役割が違う
- 一眼レフからミラーレスへの移行はカメラ業界最大の変化
- かつてより市場は小さくてもカメラの役割は明確になった
- センサーサイズだけで分けると現在のカメラ業界は見えにくい
- まとめ|現在のカメラ業界は6カテゴリーで見ると分かりやすい
現在のカメラ業界を6カテゴリーに分ける
| カテゴリー | 主な特徴 | 得意な用途 |
|---|---|---|
| ミラーレス | レンズ交換式・電子ファインダー・最新AF | 写真全般、野鳥、スポーツ、作品撮影、動画 |
| 一眼レフ | 光学ファインダー・ミラー機構・豊富な中古資産 | 写真撮影、一眼レフ独自の撮影体験 |
| コンパクトデジタルカメラ | レンズ一体型・小型・持ち歩きやすい | スナップ、旅行、日常、高倍率撮影 |
| 動画・Vlog向けカメラ | 動画撮影、配信、自撮りを重視 | YouTube、ライブ配信、Vlog、映像制作 |
| アクションカメラ | 小型・広角・強力な手ブレ補正・耐候性 | スポーツ、車載、アウトドア、POV撮影 |
| フィルムカメラ | フィルムへ記録し現像して写真を作る | 作品撮影、趣味、撮影体験そのものを楽しむ |
現在のデジタルカメラ市場の中心にあるのはミラーレスです。一方で、一眼レフが消えたわけではなく、中古市場には膨大なボディと交換レンズが存在します。コンパクトデジタルカメラもスマートフォンの普及によって大きく縮小しましたが、高級コンパクトや高倍率モデルなど、専用機ならではの特徴を持つ製品が残っています。
さらにYouTube、Vlog、ライブ配信などの普及によって、写真より動画を中心に考えたカメラが一つのカテゴリーを形成しました。その外側には、身体や乗り物へ取り付けて撮影するアクションカメラがあります。
そしてデジタルとはまったく異なる撮影体験を持つフィルムカメラも現在まで残っています。
キヤノンの現行カメラから歴代一眼レフ、RF・EFレンズまでまとめて確認する場合は、キヤノン大全から各カテゴリーへたどることができます。
ミラーレス|現在のレンズ交換式カメラの中心
現在のカメラ業界で中心的な存在となっているのがミラーレスです。
一眼レフにあったミラーと光学ファインダーをなくし、撮像センサーが捉えた映像を背面モニターや電子ビューファインダーへ表示します。構造が変わったことで、単にカメラを薄くできるようになっただけではありません。
撮像センサーそのものをAFに利用できるため、画面の広い範囲で被写体を捉えられるようになりました。人物の顔や瞳だけでなく、動物、鳥、車、鉄道、飛行機などをカメラが認識し、追尾する機能も一般的になっています。
一眼レフでは撮影者が測距点を選び、その測距点を被写体へ重ね続ける技術が重要でした。現在のミラーレスでは、カメラが被写体そのものを認識し、画面内を移動しても追い続ける方向へ進化しています。
電子シャッターによる高速連写もミラーレスの大きな特徴です。ミラーを上下させる必要がないため、高速なセンサー読み出しと組み合わせることで、一眼レフ時代には難しかった連写速度を実現できるようになりました。
ミラーレスの発展をキヤノンで見ると、2018年にEOS Rシステムが登場し、EFマウントからRFマウントへ大きな転換が行われました。EOS Rから現在のR1、R5、R6、R7、R8、R10、R50などへラインアップが広がった流れは、EOS Rシリーズで広がる撮影表現 ミラーレスに最適なフルサイズの選び方でも詳しく紹介しています。
現在のミラーレスというカテゴリーが非常に広いことも重要です。
初心者向けの小型APS-C機から、野鳥やスポーツに適した高速機、高画素フルサイズ、中判カメラ、プロ向けフラッグシップまで、同じミラーレスという構造の中にさまざまなカメラが存在します。
そのため「ミラーレスか一眼レフか」という比較だけでは、現在のカメラ選びを十分に説明できなくなっています。
同じミラーレスでもEOS R50とEOS R5 Mark IIでは価格も性能も想定用途も大きく異なります。EOS Rシリーズの各数字がどのような位置づけになっているのかは、EOS Rシリーズの数字の違い|R1・R5・R6・R7・R8・R10・R50・R100の位置づけで整理しています。
それでも、レンズを交換しながら本格的な写真や動画を撮影する現在のカメラを代表するカテゴリーとして、ミラーレスが中心にあることは変わりません。
一眼レフ|新製品の中心ではなくても巨大な資産が残る
ミラーレス以前のデジタルカメラ市場で中心だったのが一眼レフです。
レンズから入った光をミラーで反射し、プリズムなどを通して光学ファインダーへ届けます。シャッターを切る瞬間にミラーが跳ね上がり、その奥にある撮像センサーへ光が届く仕組みです。
一眼レフ最大の特徴は、撮影する風景を電子映像へ変換せず、レンズを通った光そのものとしてファインダーで確認できることです。
EVFのような表示遅延や解像度という概念がなく、電源を入れていなくてもファインダーを覗けます。露出結果を撮影前に確認できない代わりに、目の前の光景をそのまま見ながら撮る感覚があります。
ミラーレスが主流となったことで、新しい一眼レフが次々に発売される時代は終わりました。しかし一眼レフというカテゴリーそのものが消えたわけではありません。
長い一眼レフ時代に販売された膨大なボディと交換レンズが中古市場に残っています。
キヤノンだけでもEOS-1D系、EOS 5D系、EOS 6D系、EOS 7D系、二桁D、EOS Kissなど非常に多くの機種があります。EFレンズとEF-Sレンズについても、広角から超望遠、大口径単焦点、マクロまで膨大な種類が存在します。
現在だからこそ、かつて高価だった上級機や大口径レンズを中古で楽しめるようになったという側面もあります。
たとえば2008年発売のEOS 5D Mark IIは、最新ミラーレスと比べればAFや連写、動画機能には大きな差があります。それでも約2110万画素のフルサイズセンサーと光学ファインダー、EFレンズを組み合わせて写真を撮ることはできます。
古い一眼レフを現在使う意味については、EOS 5D Mark IIを今あえて使う理由|最新ミラーレスにはない撮影の楽しさで詳しく紹介しています。
もう一つ、一眼レフが現在も残り続ける大きな理由がレンズ資産です。
キヤノンEFレンズはEOS一眼レフで使用できるだけでなく、マウントアダプターを使えばEOS Rシリーズでも活用できます。つまり一眼レフ時代に作られたレンズが、ミラーレス時代になったからといってすべて使えなくなったわけではありません。
RF、RF-S、EF、EF-S、EF-Mの対応関係については、Canonレンズ対応表|RF・RF-S・EF・EF-S・EF-Mはどのカメラで使える?で整理しています。
最新性能だけを求めればミラーレスが中心になりますが、光学ファインダーで撮る感覚や中古機材の豊富さまで含めると、一眼レフは現在も独立したカテゴリーとして扱う意味があります。
コンパクトデジタルカメラ|スマートフォン時代だから役割が変わった
かつてデジタルカメラ市場の大部分を占めていたのがコンパクトデジタルカメラ、いわゆるコンデジです。
レンズ交換を行わず、ボディとレンズが一体になっていることが基本です。小型軽量で持ち歩きやすく、電源を入れればすぐ撮影できる手軽さから、家庭用カメラとして広く普及しました。
旅行へ行けばコンデジを持ち、子どもの行事でもコンデジを使い、日常の記録もコンデジで残す時代がありました。
この市場を大きく変えたのがスマートフォンです。
スマートフォンのカメラ性能が向上すると、日常写真を撮るためだけのコンデジを別に持つ必要性が急速に小さくなりました。撮影後、そのままSNSやメッセージで共有できる利便性でもスマートフォンが圧倒的に有利です。
その結果、現在のコンパクトデジタルカメラは以前より目的が明確になっています。
一つは大型センサーや明るいレンズを搭載し、スマートフォンとは異なる高画質を狙う高級コンパクトです。レンズ交換をしない代わりに、そのセンサーとレンズの組み合わせを一台の完成形として設計します。
もう一つは、スマートフォンでは難しい高倍率ズームや超望遠を備えるタイプです。
スマートフォンには複数のカメラを搭載して画角を切り替える製品がありますが、小型ボディの中へ本格的な光学ズームを搭載した専用カメラには別の強みがあります。
さらに、高級コンパクトでは高画素化も進んでいます。固定レンズと高画素センサーを組み合わせ、撮影後のクロップまで利用する考え方については、超高画素カメラは本当に必要?6000万画素・1億画素の現在でも高級コンデジを含めて紹介しています。
コンパクトデジタルカメラは「安くて小さいデジカメ」というカテゴリーではなくなりつつあります。
スマートフォンで十分な用途がスマートフォンへ移ったことで、専用機として残るコンデジには明確な特徴が必要になりました。
その結果、「レンズ交換はしたくないが画質にはこだわりたい」「一台で広角から望遠まで撮りたい」「小型カメラを常に持ち歩きたい」といった用途に応えるカテゴリーへ変化しています。
動画・Vlog向けカメラ|写真機とは別の方向へ進むカメラ
現在のカメラ業界を考えるうえで外せないのが、動画・Vlog向けカメラです。
デジタルカメラは長い間、写真撮影を中心に発展してきました。そこへ動画機能が加わり、現在では写真と動画を同じ一台で高い水準に扱えるカメラが多数あります。
さらにYouTube、Vlog、ライブ配信、SNS動画の普及によって、写真よりも動画を主目的としてカメラを購入する人が増えました。
そのため、単に「動画も撮れる写真用カメラ」ではなく、最初から動画撮影を強く意識した製品が増えています。
動画向けカメラでは、写真の画質だけではなく、自撮りのしやすさ、長時間録画、マイク入力、ヘッドホン出力、USB接続、ライブ配信、縦位置動画、動画撮影中のAF、熱対策などが重要になります。
キヤノンのEOS R50 Vは、その変化を分かりやすく示す一台です。
構造はAPS-Cセンサーを搭載するレンズ交換式ミラーレスですが、通常のEOS R50とは異なり、動画撮影を強く意識した操作系とボディデザインを採用しています。
一方で写真撮影ができないわけではありません。EOS R50 Vを写真用カメラとして見た場合の特徴については、EOS R50 Vは静止画でも使える?写真撮影の実力とEOS R50との違いで詳しく紹介しています。
ここから分かるのは、「ミラーレス」と「動画・Vlog向け」は分類の基準が違うことです。
ミラーレスはカメラの構造による分類です。動画・Vlog向けは、カメラの使用目的による分類です。
そのため一台のカメラが両方に属することがあります。
現在は静止画と動画の両方を高い水準で扱うハイブリッド機と、動画へ明確に重点を置くモデルの両方が存在しています。
ミラーレス、アクションカメラ、スマートフォンを動画制作でどのように使い分けるかについては、夢を描く動画制作:ミラーレス一眼からスマホまでの魔法的アプローチでも詳しく紹介しています。
今後のカメラ市場では、「写真用カメラに動画機能が付いている」という考え方だけでなく、「動画を撮るためにカメラを選ぶ」という流れがさらに重要になっていくでしょう。
アクションカメラ|普通のカメラでは撮れない場所を撮る
アクションカメラは、ミラーレスやコンパクトデジタルカメラとは異なる方向から発展してきたカテゴリーです。
最大の特徴は、小型軽量であること、非常に広い画角を持つこと、強力な電子手ブレ補正を備えること、身体や乗り物などへ取り付けて撮影できることです。
一般的なカメラでは、撮影者がカメラを手に持ち、ファインダーやモニターを見ながら被写体を撮影します。
アクションカメラでは、自転車、オートバイ、自動車、ヘルメット、胸部などへカメラを取り付け、撮影者自身が動きながら映像を記録できます。
この用途で重要なのは、大型センサーによる背景ボケではありません。
広い範囲へピントが合うこと、激しい振動があっても映像を安定させられること、小型で邪魔にならないこと、雨や水しぶきなどの環境でも使えることが重要になります。
つまり、ミラーレスとは評価基準そのものが異なります。
野鳥撮影であれば大きな望遠レンズが必要になりますが、サイクリング中の自分の視点を記録するために大型ミラーレスをヘルメットへ取り付けることは現実的ではありません。
そこでアクションカメラの小型さが決定的な強みになります。
撮影者の視点に近いPOV映像や、普通のカメラでは設置できない場所からの映像を作れることが、このカテゴリーの存在理由です。
現在では360度カメラも近い領域にあります。撮影時に一方向だけを記録するのではなく、周囲全体を記録しておき、編集時に見せる方向を選ぶという撮影方法です。
アクションカメラをミラーレスやスマートフォンと組み合わせて動画制作へ使う方法は、ミラーレス一眼・アクションカメラ・スマホを使った動画制作でも紹介しています。
アクションカメラは「小さな普通のカメラ」ではありません。
普通のカメラでは撮影しにくい場所や視点を記録するために、小型化、広角化、耐久性、手ブレ補正を優先して発展した専用カテゴリーです。
フィルムカメラ|性能競争とは別の場所で残り続ける
デジタルカメラが当たり前になった現在でも、フィルムカメラはなくなっていません。
フィルムカメラは撮像センサーではなく、フィルムへ光を記録します。撮影直後に背面モニターで結果を見ることはできません。
撮影したフィルムを現像し、初めて写真を見ることができます。
利便性だけを比較すれば、デジタルカメラが圧倒的です。
デジタルなら撮影枚数をほとんど意識する必要がなく、撮影直後に写真を確認し、失敗していれば撮り直せます。ISO感度も一枚ごとに変更でき、パソコンやスマートフォンへすぐ取り込めます。
フィルムでは、装填したフィルムによって撮影枚数もISO感度も決まります。
それでもフィルムカメラが残っている理由は、便利さとは別の価値があるからです。
撮影枚数が限られているため、一枚を撮る前に考える時間が生まれます。撮影後すぐ確認できないため、露出、ピント、構図を撮影前に決めなければなりません。
そして撮影から現像まで時間が空くこと自体も、デジタルにはない体験になります。
フィルムの種類によって色や粒状感も変わります。
デジタルカメラでもフィルム調の画像を作ることはできますが、光が実際のフィルムへ記録され、現像工程を経て写真になる仕組みそのものを楽しむことはフィルムカメラ独自のものです。
キヤノンにも長いフィルムカメラの歴史があります。EFマウント以前にはFDマウントが主力として使われ、F-1、AE-1、A-1、New F-1、T90など数多くの一眼レフが登場しました。
その時代のカメラとレンズについては、Canon FDマウントとは?フィルムカメラとFDレンズの選び方・使い方で詳しく紹介しています。
フィルムカメラは最新デジタルカメラとAF速度や連写速度を競うカテゴリーではありません。
性能競争から離れ、撮影する過程そのものを楽しむ道具として現在も残っています。
スマートフォンは第7のカテゴリーなのか
現在の写真市場を考えれば、スマートフォンを無視することはできません。
日常的に撮影される写真の多くはスマートフォンで撮られています。家族、食事、旅行、メモ、SNSなど、かつてコンパクトデジタルカメラが担当していた用途の多くをスマートフォンが引き受けています。
それならスマートフォンもカメラ業界の第7カテゴリーとして扱えばよいように見えます。
しかし、ここではカメラ専用機の市場を整理するため、スマートフォンは別に考えます。
スマートフォンはカメラ機能を持つ情報端末であり、専用カメラとは商品としての目的が異なります。
一方で、専用カメラが現在どの方向へ進んでいるのかを理解するには、スマートフォンの存在が欠かせません。
スマートフォンで十分な撮影はスマートフォンへ移りました。
その結果、専用カメラにはスマートフォンでは難しいことが以前より強く求められるようになっています。
大型センサー、大口径レンズ、超望遠、高速連写、高度な被写体追尾、本格的な動画撮影、身体へ固定できる小型ボディ、フィルムによる撮影体験などです。
スマートフォンが専用カメラをすべて置き換えたのではなく、専用カメラが何のために存在するのかを明確にしたと見ることもできます。
6カテゴリーは競争しているようで役割が違う
この6カテゴリーをすべて同じ基準で比較すると、カメラ市場が分かりにくくなります。
ミラーレスと一眼レフを比較すれば、AF、連写、動画、電子シャッターなど最新性能ではミラーレスが中心です。しかし一眼レフには光学ファインダー、豊富な中古ボディ、膨大な交換レンズがあります。
コンパクトデジタルカメラとスマートフォンを比較すれば、日常撮影ではスマートフォンが圧倒的に便利です。それでも大型センサー、高倍率ズーム、専用操作系を備えたコンデジには専用機としての意味があります。
動画・Vlog向けカメラはミラーレスと構造的に重なる部分がありますが、長時間動画、自撮り、マイク、配信、縦動画など、静止画カメラとは異なる部分を重視します。
アクションカメラは画質だけを競うものではなく、普通のカメラを設置できない場所へ置けること自体が価値です。
フィルムカメラは性能競争そのものから離れ、撮影する過程を楽しむカテゴリーとして存在しています。
つまり、6カテゴリーの中から一つだけが最後まで生き残るという関係ではありません。
撮影目的が違うため、それぞれのカテゴリーが異なる場所で共存しています。
一眼レフからミラーレスへの移行はカメラ業界最大の変化
6カテゴリーの中でも、デジタルカメラ市場の大きな変化として分かりやすいのが、一眼レフからミラーレスへの移行です。
これは単にミラーがなくなったというだけではありません。
レンズマウント、AF方式、ファインダー、シャッター、手ブレ補正、動画撮影、ボディ設計まで、カメラシステム全体が変わりました。
キヤノンの場合は、一眼レフ時代のEFマウントからミラーレス時代のRFマウントへ移行しています。
両者の違いについては、RFマウントとEFマウントの違いが作り出す写真世界で詳しく紹介しています。
一方で、すべてが完全に切り替わったわけではありません。
EFレンズをEOS Rシリーズへ装着することもできるため、一眼レフ時代の機材を活かしながらミラーレスへ移行することもできます。
現在のカメラ業界は、新旧のシステムが完全に断絶しているのではなく、過去の機材資産を残しながら新しいシステムへ移っている途中ともいえます。
かつてより市場は小さくてもカメラの役割は明確になった
デジタルカメラが急速に普及した時代には、多くの人が単純に「写真を撮るための道具」としてカメラを購入していました。
現在、その役割の大部分はスマートフォンが担っています。
そのため専用カメラ市場を、スマートフォン以前と同じ考え方で見ることはできません。
現在カメラを購入する人は、「ただ写真を撮りたい」だけではなく、「野鳥を撮りたい」「大きなボケを使いたい」「YouTubeを撮りたい」「ライブ配信したい」「車載映像を残したい」「光学ファインダーで撮りたい」「フィルムで撮りたい」といった、より明確な目的を持つようになっています。
目的が細分化されたことで、カメラそのものも役割ごとに分かれてきました。
一台で写真と動画を高い水準でこなすミラーレスがある一方で、動画へ重点を置いたカメラ、極端に小さなアクションカメラ、レンズ交換をしない高級コンデジ、写真だけをじっくり楽しむフィルムカメラも存在します。
スマートフォンによって専用カメラの必要性が下がったからこそ、「専用カメラで何をするのか」が以前よりはっきりしたのです。
センサーサイズだけで分けると現在のカメラ業界は見えにくい
カメラを分類するとき、フルサイズ、APS-C、マイクロフォーサーズ、中判といったセンサーサイズで分ける方法もあります。
カメラ選びでは重要な違いです。
しかし、カメラ業界全体を見渡すときにはセンサーサイズだけでは現在の市場構造が見えにくくなります。
フルサイズにも高画素機、高速機、動画重視機、高級コンパクトがあります。APS-Cにも小型入門機、高速撮影機、Vlog機があります。
同じセンサーサイズでも、製品の目的はまったく違います。
そこで「何をするためのカメラなのか」という視点から見ると、現在のカメラ業界はかなり分かりやすくなります。
本格的なレンズ交換式カメラとして中心にいるミラーレス。
光学ファインダーと豊富な中古資産を持つ一眼レフ。
小型で一台完結するコンパクトデジタルカメラ。
映像制作や配信を中心に考えた動画・Vlog向けカメラ。
激しい動きや特殊な場所を撮影するアクションカメラ。
撮影する過程そのものを楽しめるフィルムカメラ。
この6つで考えると、現在販売されている製品だけでなく、中古市場を含めた現在のカメラ文化全体も整理できます。
まとめ|現在のカメラ業界は6カテゴリーで見ると分かりやすい
現在のカメラ業界は、機種数が多く、センサーサイズや価格帯まで含めると複雑に見えます。
しかし大きな役割で分ければ、「ミラーレス」「一眼レフ」「コンパクトデジタルカメラ」「動画・Vlog向けカメラ」「アクションカメラ」「フィルムカメラ」の6カテゴリーで捉えることができます。
ミラーレスは現在のレンズ交換式カメラの中心となり、一眼レフは長年築かれたボディとレンズの資産を中古市場へ残しています。
コンパクトデジタルカメラはスマートフォンとの差別化を進め、動画・Vlog向けカメラは映像を発信する時代に合わせて独自の市場を形成しました。
アクションカメラは普通のカメラでは撮れない場所や視点を記録し、フィルムカメラはデジタルの性能競争から離れた撮影体験を提供しています。
スマートフォンの登場によって「写真を撮るだけ」の専用カメラは必要とされにくくなりました。
その一方で、専用カメラだからこそできることは以前より明確になっています。
高画質で撮る。遠くを撮る。高速で動くものを追う。本格的な映像を作る。身体や乗り物へ取り付けて撮る。フィルムへ一枚を残す。
現在のカメラ業界は、一つの巨大な市場というより、異なる撮影目的を持つ複数の市場が共存する形へ変わっています。
カメラ全体をさらに機種別に確認する場合は、キヤノン大全からEOS Rシリーズ、一眼レフ、RFレンズ、EFレンズへ進むことができます。
現在のカメラがどこへ向かっているのかを見る入口として、この6カテゴリーを押さえておくと、各メーカーの新製品や中古カメラを見るときにも、その製品が何を目的として作られているのかを理解しやすくなります。



