Canon EF200mm F2.8L USMレビュー|軽量な200mm F2.8単焦点の描写とI型・II型の違い
Canon EF200mm F2.8L USMは、200mmという本格的な望遠域に開放F2.8を組み合わせながら、比較的小型軽量に仕上げられたEFマウントのLレンズです。現在の200mm F2や300mm F2.8といった大口径望遠単焦点ほど巨大ではなく、70-200mm F2.8クラスのズームよりも軽快に持ち歩けるところに、このレンズならではの魅力があります。
200mmは85mmや135mmより明確に長い焦点距離です。人物を撮れば背景を大きく整理でき、風景では遠くの山や建物を引き寄せたような構図を作れます。スポーツや舞台では撮影者が被写体へ近づけない場所から狙うことができ、F2.8の明るさによってシャッタースピードも確保しやすくなります。
EF200mm F2.8Lには1991年発売のI型と、1996年発売のEF200mm F2.8L II USMがあります。中古市場では両方が流通しているため、単に「EF200mm F2.8L」として探すだけでなく、どちらなのかを確認することも重要です。光学系の基本構成や最短撮影距離などは共通していますが、外観やフード、重量などに違いがあります。
この記事では、EF200mm F2.8L USMの特徴、200mm F2.8ならではの描写、I型とII型の違い、70-200mm F2.8との使い分け、ポートレート・スポーツ・風景での使い方、EOS Rシリーズで使用する方法、中古で選ぶときのポイントまで詳しく解説します。
EF200mm F2.8L USMの基本スペック
| I型 | II型 | |
| 発売 | 1991年12月 | 1996年3月 |
| 焦点距離 | 200mm | 200mm |
| 開放F値 | F2.8 | F2.8 |
| 最小絞り | F32 | F32 |
| レンズ構成 | 7群9枚 | 7群9枚 |
| UDレンズ | 2枚 | 2枚 |
| 絞り羽根 | 8枚 | 8枚 |
| 最短撮影距離 | 1.5m | 1.5m |
| 最大撮影倍率 | 0.16倍 | 0.16倍 |
| フィルター径 | 72mm | 72mm |
| 最大径×長さ | 約83×136.2mm | 約83.2×136.2mm |
| 質量 | 約790g | 約765g |
| AF | USM | リングUSM |
| 手ブレ補正 | なし | なし |
200mm F2.8を790g前後で持ち歩ける
EF200mm F2.8L USMの特徴を理解するうえで重要なのが、200mm F2.8というスペックに対する大きさと重量です。I型は約790g、II型は約765gで、200mmの大口径望遠単焦点としては比較的軽量です。70-200mm F2.8クラスのレンズでは1kgを大きく超えるモデルも珍しくありませんが、このレンズはズーム機構を持たないこともあり、かなりコンパクトにまとまっています。
もちろん800g近いレンズなので、50mm単焦点のような軽快さではありません。それでも200mm F2.8という焦点距離と明るさを考えれば、カメラバッグへ入れて持ち歩きやすい大きさです。スポーツ撮影やイベント、風景撮影で歩く距離が長い場合には、この重量差がそのまま機動力の違いになります。
200mmは中望遠より一段長い望遠域です。焦点距離ごとの特徴を確認する場合は、焦点距離で変わる写真表現も参考になります。
7群9枚にUDレンズ2枚を使用したシンプルな光学系
EF200mm F2.8L USMは7群9枚という比較的シンプルな光学構成で、2枚のUDレンズを使用しています。望遠レンズでは軸上色収差や倍率色収差が目立ちやすく、明るい部分の輪郭へ紫や緑の色付きが現れることがあります。UDレンズはこうした色収差を抑えるために使われています。
現在の高性能ズームレンズは20枚を超える光学系を持つものもありますが、EF200mm F2.8Lは単焦点らしく構成枚数が少なく、200mmだけに最適化されています。その結果、レンズ自体を小型化しながら高い描写性能を実現しています。
ズームできないことは不便でもありますが、200mmという一つの焦点距離を使う撮影では、単焦点らしいシンプルさが大きな魅力になります。EF単焦点レンズ全体については、キヤノン大全から各焦点距離を確認できます。
200mmは中望遠ではなく本格的な望遠域
200mmは85mmや100mm、135mmより長く、被写体との距離を大きく取る焦点距離です。以前の記事では「中望遠」という表現が多く使われていましたが、200mmは一般的には望遠域として考えた方が分かりやすくなります。
フルサイズで200mmを使うと画角はかなり狭くなります。目の前にある景色を広く記録するレンズではなく、広い景色の中から一部分を選び取るためのレンズです。その性格を理解すると、ポートレート、スポーツ、舞台、風景などで200mmを使う理由が明確になります。
遠くの被写体を大きく切り取れる
200mmの基本的な役割は、離れた被写体を大きく写すことです。運動会やスポーツでは競技エリアへ入れなくても選手を大きく捉えられ、舞台撮影では客席から演者を狙えます。動物園や公園でも、一定の距離を保ったまま被写体を画面いっぱいに入れることができます。
一方で、撮影場所によっては200mmが長すぎる場合もあります。室内の人物撮影では十分な後退距離が必要になり、街中のスナップでは画角が狭いため構図を作れる場所が限られます。このレンズは何でも撮れる万能単焦点ではなく、距離を取れる撮影環境で強さを発揮します。
望遠レンズの画角や使い方については、焦点距離で変わる写真表現でも詳しく解説しています。
背景を大きく見せる構図を作りやすい
200mmで人物や風景を撮ると、広角や標準レンズとは背景の見え方が大きく変わります。遠くから狭い画角で切り取るため、被写体の背後にある山、建物、木々などを大きく配置した構図を作りやすくなります。一般に望遠レンズの「圧縮効果」と呼ばれる見え方です。
実際には焦点距離そのものが遠近関係を変えるのではなく、長い焦点距離を使うために撮影者が被写体から離れることで、被写体と背景の相対的な大きさが近づいて見えます。人物の背後に桜や紅葉を大きく配置したいときや、遠くの山並みを重ねたいときには非常に使いやすい表現です。
背景をどこまで残し、どこまで整理するかを考える場合は、背景処理で写真の印象を変える撮影テクニックも参考になります。
F2.8の明るさと200mmが大きなボケを生む
200mmという長い焦点距離にF2.8を組み合わせると、背景を非常に大きくぼかすことができます。50mm F2.8と200mm F2.8は同じF値ですが、同じような構図を作った場合の背景の見え方は大きく異なります。
200mmでは撮影距離を取りながら背景の写る範囲を狭くできるため、複雑な場所でも主題を整理しやすくなります。スポーツ会場や公園、舞台など、背景を自由に選べない場所で特に有効です。
ポートレートでは背景を大きくぼかせる
EF200mm F2.8L USMをポートレートに使うと、人物と背景を強く分離できます。人物から十分な距離を取り、さらに人物と背景の間にも距離があれば、F2.8でも背景は大きくぼけます。85mm F1.2のように極端に明るいレンズとは方法が違いますが、200mmという焦点距離そのものがボケを作りやすくします。
顔のアップでは撮影者とモデルの距離がかなり離れるため、室内より屋外向きです。公園や河川敷、広い庭園などで全身や上半身を撮ると、背景の木々や花を大きくぼかしながら人物を浮かび上がらせることができます。
開放F2.8の使い方については、開放絞りで魅せる写真表現でも詳しく紹介しています。
F2.8は暗い場所でシャッタースピードを確保しやすい
F2.8の明るさは、背景をぼかすためだけのものではありません。スポーツ、舞台、夕方の屋外などでは、被写体の動きを止めるために速いシャッタースピードが必要になります。F4やF5.6の望遠レンズより光を多く取り込めるため、ISO感度を抑えたり、シャッタースピードを上げたりしやすくなります。
特にこのレンズには手ブレ補正がありません。静止した被写体ならカメラをしっかり構えることで対応できますが、スポーツや舞台では被写体自身が動くため、どのみちある程度速いシャッタースピードが必要です。F2.8の明るさは、そうした撮影で直接役立ちます。
F値とシャッタースピードの関係については、F値とは?絞りで変わる明るさ・ボケ・被写界深度も参考になります。
I型とII型は何が違うのか
中古でEF200mm F2.8Lを探すと、I型とII型の両方が見つかります。I型は1991年12月、II型は1996年3月に発売されました。発売時期には約4年の差がありますが、基本的な光学スペックは非常によく似ています。
どちらも7群9枚、UDレンズ2枚、最短撮影距離1.5m、最大撮影倍率0.16倍、フィルター径72mmです。そのため、II型になって焦点距離や明るさ、近接性能が大幅に変化したわけではありません。
I型は内蔵フード、II型は着脱式フード
外観上で分かりやすい違いがフードです。I型は引き出し式のフードをレンズ本体に内蔵しているのに対し、II型では大型の着脱式フードET-83B IIを使用します。I型はフードを忘れることがなく、使いたいときにそのまま引き出せるところが便利です。
II型はフードを外せるため、収納時の自由度があります。またキヤノンはII型でリアフォーカス方式を新設計し、リングUSMによる高速・静粛なAFを特徴としていました。中古で実用品として探す場合にはII型の方が見つけやすい傾向がありますが、I型の内蔵フードを含めた造りを好む人もいます。
歴代EFレンズを年代ごとに見たい場合は、キヤノン大全から確認できます。
重量差は25gで光学スペックはほぼ共通
I型の質量は約790g、II型は約765gで、II型の方が25g軽くなっています。実際に手に持って劇的に違うほどではありませんが、長時間撮影では少しでも軽いことに意味があります。
一方、光学系はどちらも7群9枚で、UDレンズ2枚を採用しています。最短撮影距離と最大撮影倍率も同じなので、「II型だから画角や寄れる距離が大きく改善された」というレンズではありません。
中古価格と個体状態に差があるなら、型だけで決めるより、光学系、AF、外装、付属品などを含めて選ぶ方が実用的です。EFレンズ全体の位置付けは、キヤノン大全でも確認できます。
70-200mm F2.8ズームとの違い
EF200mm F2.8L USMを考えるとき、もっとも比較しやすいのが70-200mm F2.8です。どちらも200mmでF2.8を使えるため、単純に考えれば70-200mmの方がズームできて便利です。それでも200mm単焦点には、ズームとは異なる魅力があります。
最大の違いはサイズと重量です。70-200mm F2.8はズーム機構や複雑な光学系を持つため、どうしても大型化します。200mmだけで撮ると決めているなら、単焦点の方が機材を小さくできます。
200mmしか使わない撮影では単焦点が軽い
体育館の観客席、舞台、屋外スポーツなど、撮影位置と被写体との距離がほぼ決まっていて200mmを多用する場合、ズーム域の大部分を使わないことがあります。そのような撮影では、200mm F2.8単焦点のシンプルさが生きます。
ズームリングを操作する必要がなく、構図は自分の位置や被写体の動きで決めます。慣れるまでは不便に感じますが、焦点距離が固定されていることで構図へ集中しやすい面もあります。
単焦点レンズならではの撮影については、単焦点レンズの魅力と使いこなしも参考になります。
ズームの便利さが必要なら70-200mmが有利
被写体までの距離が頻繁に変わる撮影では、70-200mm F2.8の方が圧倒的に便利です。選手が目の前まで近づいてくるスポーツや、舞台上を演者が広く動く撮影では、200mm固定では被写体が画面からはみ出すことがあります。
70mmまで引けるズームなら、その場から動けなくても構図を変更できます。撮影できる確率を優先するならズーム、200mmという画角を積極的に使い、機材の軽さや単焦点の感覚を楽しむならEF200mm F2.8Lという選択になります。
EF望遠レンズ全体から選ぶ場合は、キヤノン大全で単焦点とズームを比較できます。
ポートレートでEF200mm F2.8Lを使う
200mmはポートレートでも強い個性を持つ焦点距離です。85mmや135mmより撮影距離が必要になりますが、その距離を確保できれば背景を大胆に整理できます。街路樹、花畑、紅葉、イルミネーションなどを背景にすると、遠くにあるものを大きくぼかしながら人物を浮かび上がらせることができます。
撮影者と人物の距離が離れるため、会話しながらテンポ良く撮る用途には向かない場合があります。その一方で、少し離れることで人物がカメラを意識しすぎず、自然な表情を撮りやすくなることもあります。
全身撮影では広い場所が必要になる
200mmで全身を入れるにはかなり後ろへ下がる必要があります。狭いスタジオや室内では扱いにくく、屋外の公園、河川敷、広場などが向いています。撮影場所が確保できれば、人物と背景の距離も取りやすいため、200mm F2.8らしい大きなボケを作れます。
撮影距離を長くすると、背景の中から必要な部分だけを狭い画角で選べるようになります。実際の場所では雑然としていても、200mmで切り取ると背景が整って見えることがあります。
人物と背景の距離を使った撮影については、背景処理で写真の印象を変える撮影テクニックも参考になります。
F2.8だけでなくF4も使いやすい
200mmではF2.8でも被写界深度が浅くなるため、人物の顔を斜めから撮る場合には片方の目だけにピントが合い、もう片方が外れることがあります。背景を大きくぼかしたいからといって、常にF2.8へ固定する必要はありません。
F4まで絞っても200mmなら背景は十分にぼかせます。顔全体や衣服まで必要な範囲にピントを入れたい場合には、F4やF5.6も使いやすい設定です。開放はレンズが持つ選択肢の一つとして考え、写真に必要な被写界深度からF値を決める方が安定します。
絞りによる描写の違いは、F値とは?絞りで変わる明るさ・ボケ・被写界深度で詳しく解説しています。
スポーツや舞台撮影にも向いている
EF200mm F2.8L USMは、スポーツや舞台撮影との相性が良いレンズです。200mmによって離れた位置から被写体を大きく写せるうえ、F2.8の明るさでシャッタースピードを確保しやすいからです。
II型ではリングUSMによる高速AFを採用しており、動く被写体にも対応できます。最新RFレンズと同じAF性能を期待するものではありませんが、EF時代の望遠単焦点としては実用性の高い構成です。
手ブレ補正よりシャッタースピードを優先する場面が多い
このレンズにはISがありません。そのため低速シャッターでは手ブレが起こりやすくなります。しかしスポーツでは、カメラ側のブレだけでなく選手自身の動きを止める必要があります。例えば1/1000秒前後を使う場面では、手ブレ補正がなくてもシャッタースピードそのものがブレを抑えてくれます。
舞台でも演者が動いている場合は同じです。1/30秒まで下げてISで手ブレだけを止めても、演者が動けば被写体ブレになります。F2.8を使って必要なシャッタースピードを確保し、ISO感度で露出を調整する方法が実用的です。
開放F値を生かした撮影については、開放絞りで魅せる写真表現も参考になります。
固定された撮影位置では200mm単焦点が使いやすい
舞台や体育館では撮影者の位置を自由に動かせないことがあります。そこで200mmがちょうど良い距離なら、このレンズは非常に使いやすくなります。焦点距離を変更する操作がないため、被写体の動きとタイミングだけに集中できます。
反対に、被写体が撮影者へ近づいたり遠ざかったりする競技では、200mm固定が難しくなる場面があります。その場合には70-200mmの方が対応しやすくなります。撮影場所と被写体の動きが予測できるかどうかが、単焦点とズームを選ぶ基準の一つになります。
撮影ジャンルごとのレンズ選びは、キヤノン大全から関連するEFレンズを比較できます。
風景撮影では遠景を切り取るレンズになる
風景写真というと広角レンズを思い浮かべやすいですが、200mmだから撮れる風景もあります。広大な景色をすべて入れるのではなく、山肌の一部分、遠くの建物、朝霧の中に浮かぶ木、重なった山並みなど、遠景の中から一部分だけを選び取る撮影です。
望遠では写る範囲が狭いため、画面の中に余計なものが入りにくくなります。広角で撮ると散漫になる景色でも、200mmで一部分を切り取ることで構図を整理できます。
山並みや建物の重なりを強調できる
200mmで遠くの山を撮ると、前後にある複数の山が重なって見えます。朝夕に空気遠近法が出る条件では、手前の山は濃く、奥へ行くほど淡くなり、層が重なったような写真になります。
都市風景でも同じで、離れた建物を重ねて密集感を強調したり、遠くのランドマークを周囲の建物と一緒に大きく見せたりできます。広角でその場所へ近づいて撮る写真とは、まったく異なる見え方になります。
焦点距離による遠近感の変化については、焦点距離で変わる写真表現も参考になります。
三脚を使えばISなしでも風景では困りにくい
静止した風景では、スポーツほど高速シャッターを必要としません。光量が少なくなってシャッタースピードが落ちる場合には、三脚を使用すれば手ブレ補正がなくても対応できます。F8前後まで絞って画面全体の描写を整えたい場合にも三脚は有効です。
手持ちの場合は200mmという焦点距離を意識し、シャッタースピードを十分に確保します。高画素機では小さなブレも見えやすいため、ISO感度を必要以上に下げるより、シャッタースピードを優先した方が結果が安定する場面があります。
風景撮影の構図や露出については、神秘的な風景写真の撮り方も参考になります。
最短撮影距離1.5mと最大撮影倍率0.16倍
EF200mm F2.8L USMの最短撮影距離は1.5m、最大撮影倍率は0.16倍です。マクロレンズのように小さな被写体へ大きく寄れるレンズではありませんが、200mmの望遠単焦点として花などを撮ることはできます。
被写体から一定の距離を取りながら狭い画角で背景を整理できるため、花壇の中へ入れない場所や、被写体へ近づきにくい場所では使いやすくなります。
花を背景から分離する撮影に向いている
最大撮影倍率0.16倍なので、花びらの細部を画面いっぱいにするマクロ撮影には向きません。しかし一輪の花や枝先を切り取り、背景を大きくぼかす撮影では200mm F2.8の特徴を生かせます。
前景にも花や葉を入れてぼかすと、望遠らしい奥行きを作ることができます。接写能力そのものより、遠くから被写体を選び取る使い方に向いています。
本格的な接写を行う場合は、Canon EFマクロレンズ一覧と比較すると違いが分かりやすくなります。
EOS Rシリーズでも使える
EF200mm F2.8L USMはEFマウントレンズなので、EOS 5DシリーズやEOS-1DシリーズなどのEF一眼レフへ直接装着できます。さらにマウントアダプター EF-EOS Rを使えば、EOS R5、R6、R7などのEOS Rシリーズでも使用できます。
アダプターを使用しても焦点距離やF値は変わりません。フルサイズEOS Rなら200mm F2.8としてそのまま使用できます。
ミラーレスでは被写体検出AFを利用できる
対応するEOS Rシリーズでは、人物や動物、乗り物などの被写体検出AFを利用できます。古いEFレンズでも、ピントを判断するカメラ側の機能は新しくなるため、一眼レフ時代とは違った使いやすさがあります。
200mm F2.8は被写界深度が浅いため、人物の瞳や動物の目へAFを追従させられることには大きな意味があります。スポーツや動物撮影でも、被写体検出を利用することで構図へ集中しやすくなります。
EFレンズをEOS Rシリーズで使う方法については、EOS RでEFレンズを使う方法で詳しく解説しています。
APS-CのEOS Rでは約320mm相当の画角になる
EOS R7やR50などのAPS-C機へ装着すると、画角はフルサイズ換算で約320mm相当になります。レンズそのものの焦点距離が300mmになるわけではありませんが、センサーが小さいため写る範囲が狭くなります。
野鳥やスポーツでは、この狭い画角を利用して遠くの被写体を画面内で大きく見せることができます。一方、ポートレートでは撮影距離がさらに必要になるため、かなり広い場所が必要です。
APS-Cとフルサイズで画角が変わる仕組みについては、焦点距離で変わる写真表現も参考になります。
エクステンダーを使って焦点距離を伸ばせる
EF200mm F2.8L II USMはキヤノンのエクステンダーに対応しています。200mmでは足りないスポーツや野鳥撮影で、焦点距離を伸ばせることは単焦点レンズとして大きな利点です。
エクステンダーを使用すると焦点距離が伸びる代わりに開放F値が暗くなり、AFや画質にも影響します。そのため常用するというより、必要なときに撮影範囲を広げる方法として考えると使いやすくなります。
1.4倍なら280mm F4として使える
1.4倍のエクステンダーを使えば、200mmは280mm相当となり、開放F値はF4になります。200mmでは少し短い屋外スポーツや動物撮影で使いやすい組み合わせです。
300mm単焦点を別に持つほどではない場合でも、200mmと280mmを一つのレンズで使い分けられます。レンズ本体が比較的軽いため、エクステンダーを追加しても大口径300mmクラスほど巨大にはなりません。
望遠域の焦点距離を比較する場合は、キヤノン大全から200mm、300mm、400mmのEFレンズを確認できます。
中古でEF200mm F2.8Lを選ぶポイント
EF200mm F2.8L USMはすでに生産を終了しているため、現在購入する場合は中古が中心になります。発売から長い年月が経っているだけに、同じ型でも個体状態にはかなり差があります。
外装の擦れだけで判断せず、レンズ内部、AF、フォーカスリング、絞り、マウント周辺など、撮影へ直接影響する部分を優先して確認したいレンズです。
I型とII型を商品名だけで判断しない
中古販売では「EF200mm F2.8L USM」とだけ記載され、I型とII型が分かりにくい場合があります。I型は内蔵式フード、II型は着脱式フードという外観上の違いが分かりやすい判断材料です。
II型の商品名には正式に「II」が入ります。価格だけを比較して安い方を選ぶのではなく、どの型なのかを確認したうえで状態を比較する必要があります。
EFレンズのモデルを整理する場合は、キヤノン大全から一覧できます。
カビ・曇り・AF動作を優先して確認する
古い望遠レンズでは、保管状態によって内部にカビや曇りが発生している場合があります。小さなチリだけなら実写への影響がほとんどないこともありますが、強い曇りはコントラスト低下につながります。逆光で使う機会があるなら、光学系の透明度は重要です。
AFも確認したい部分です。ピントが近距離から遠距離まで正常に移動するか、異常な音がないか、何度も迷わないかを確認します。200mm F2.8は動体撮影にも使うレンズなので、AFの不調は実用性へ直接影響します。
中古EFレンズをEOS Rでも利用する場合は、EOS RでEFレンズを使う方法も参考になります。
II型ではフードの有無も確認したい
II型は着脱式のET-83B IIを使用するため、中古品ではフードが欠品している場合があります。200mmは画角が狭いため、フードによる遮光効果を得やすく、屋外では前玉の保護にも役立ちます。
I型はフード内蔵なので欠品の心配がありません。II型を選ぶ場合は、レンズ本体だけの価格ではなく、フード、前後キャップ、ケースなどを含めて比較すると実際の価格差が分かりやすくなります。
レンズアクセサリーを含めて機材を整理する場合は、キヤノン大全から各レンズの記事を確認できます。
EF200mm F2.8L USMが向いている人
EF200mm F2.8L USMは、便利さを最優先するレンズではありません。70-200mm F2.8なら構図をその場で変更でき、さらに新しいモデルでは手ブレ補正も使えます。200mm単焦点を選ぶ理由は、焦点距離を固定する代わりに、機材をシンプルにして200mmの撮影へ集中できることです。
特に200mmを多用する撮影者にとっては、ズームレンズの望遠端だけを使い続けるより合理的な場合があります。
200mmの画角が好きな人には魅力が大きい
人物の背景を大きく整理したい、舞台を客席から撮りたい、スポーツを一定距離から狙いたい、風景の一部分を切り取りたいという撮影では200mmが活躍します。そうした用途で焦点距離を変更する必要が少ないなら、EF200mm F2.8Lは非常に分かりやすいレンズです。
単焦点なので撮影者自身が構図を考えて位置を決める必要があります。その制約が不便に感じることもありますが、200mmという画角を覚えれば、カメラを構える前からどの範囲が写るのか予測しやすくなります。
単焦点レンズを使う意味については、単焦点レンズの魅力と使いこなしも参考になります。
軽いF2.8望遠を探している人にも向いている
200mm F2.8が必要でも、大型の70-200mm F2.8を毎回持ち歩きたくない場合があります。EF200mm F2.8L II USMなら約765gなので、望遠F2.8としてはかなり軽量です。
現在のミラーレス用望遠レンズと比較すれば古さはありますが、EF一眼レフとEOS Rシリーズの両方で使用できることも利点です。すでにマウントアダプターを所有しているなら、EFレンズとしての利用範囲はさらに広がります。
EF・RFを含めたキヤノンのレンズシステム全体は、キヤノン大全で確認できます。
まとめ
Canon EF200mm F2.8L USMは、200mmという本格的な望遠域と開放F2.8を、比較的小型軽量な鏡筒へまとめたLレンズです。1991年発売のI型は約790g、1996年発売のII型は約765gで、どちらも7群9枚の光学系にUDレンズ2枚を採用しています。
最短撮影距離は1.5m、最大撮影倍率は0.16倍、フィルター径は72mmです。手ブレ補正はありませんが、F2.8の明るさによってスポーツや舞台で必要なシャッタースピードを確保しやすく、静止した風景では三脚を使うことで対応できます。
200mmをポートレートに使えば、人物から距離を取りながら背景を大きくぼかすことができます。スポーツや舞台では離れた被写体を大きく捉え、風景では遠くの山や建物だけを狭い画角で切り取れます。
I型とII型は光学スペックの多くが共通していますが、I型は内蔵式フード、II型は着脱式フードを採用し、II型は25g軽くなっています。中古で選ぶ場合は、型の違いだけでなく、カビや曇り、AF動作、フードなどの付属品まで含めて個体状態を見ることが重要です。
70-200mm F2.8と比べればズームできないという明確な制約があります。その代わり、200mmしか必要ない撮影では機材を軽くでき、焦点距離を固定して撮影へ集中できます。
EF200mm F2.8L USMは、何でも一本でこなすためのレンズではありません。200mmという画角を積極的に使い、大きな背景ボケ、望遠らしい切り取り、F2.8の明るさを生かしたい人にとって、現在でも個性のはっきりしたEF望遠単焦点です。



