Canon EF超広角単焦点レンズ一覧|14mm・15mm魚眼・20mmの違いと選び方
CanonのEF超広角単焦点レンズには、14mm、15mm魚眼、20mmという個性の異なる焦点距離があります。
代表的なモデルはEF14mm F2.8L USM、EF14mm F2.8L II USM、EF15mm F2.8 フィッシュアイ、EF20mm F2.8 USMです。いずれもF2.8ですが、写り方は大きく異なります。
14mmと20mmは直線をできるだけ直線として描写する一般的な超広角レンズです。一方、EF15mm F2.8 フィッシュアイは対角線魚眼で、フルサイズでは画面対角線方向に180度という非常に広い範囲を写し、魚眼特有の大きな歪みを表現として利用します。
同じ超広角でも、風景を広く写したいのか、建物の直線を残したいのか、星空を広く入れたいのか、魚眼らしい大胆な写真を撮りたいのかによって適したレンズは変わります。
さらにEOS Rシリーズではマウントアダプター EF-EOS Rを使ってEF超広角単焦点を利用できます。中古価格が下がったモデルもあり、RFレンズとは異なる選択肢として現在でも活用できます。
この記事ではCanon EF超広角単焦点レンズを14mm、15mm魚眼、20mmに分け、画角、歪み、星空、風景、建築、フィルター、中古選び、APS-Cで使った場合の違いまで詳しく整理します。
Canon EF超広角単焦点レンズは14mm・15mm魚眼・20mmで性格が違う
- 14mmは直線を保ちながら非常に広い範囲を写せる
- 15mm魚眼は180度の画角と大きな歪みを表現として利用する
- 20mmは超広角の広さと日常での扱いやすさを両立しやすい
EF14mm F2.8L USMとII型は直線を生かす超広角Lレンズ
EF14mm F2.8L USMとEF14mm F2.8L II USMは、EFマウントの中でも非常に広い画角を持つ超広角単焦点です。
フルサイズでは対角約114度の範囲を写せるため、大きな建築物、狭い室内、広大な風景などを一枚へ収めやすくなります。一般的な24mmや20mmよりさらに広く、カメラのすぐ近くから遠景まで大量の情報を画面へ入れられます。
魚眼レンズとは異なり、直線をできるだけ直線として描写する設計です。建物の壁や柱、水平線などを自然に残したい撮影では、15mm魚眼より14mmの方が用途に合います。
初代EF14mm F2.8L USMは1991年に登場したモデルで、後継のII型では周辺画質や色収差などが改善されています。II型はF2.8の明るさを維持しながら、風景、建築、星空など画面周辺まで描写を求める用途へ対応しやすくなっています。
14mmは非常に広いため、何も考えずに撮ると主役が小さくなりやすい焦点距離です。手前へ岩、花、家具、建物の一部などを配置し、近景から遠景へ視線が続く構図を作ると14mmらしい奥行きを生かせます。
初代モデルの特徴については、EF14mm F2.8L USMの特徴と使い方で詳しく紹介しています。
EF15mm F2.8 フィッシュアイは対角180度の魚眼表現を楽しめる
EF15mm F2.8 フィッシュアイは、一般的な超広角レンズとは別の写り方をする対角線魚眼レンズです。
フルサイズでは画面の対角線方向に180度の範囲を写します。水平線、建物、道路など画面中心を外れた直線は大きく曲がり、魚眼らしい独特の写真になります。
この歪みは欠点として補正するものではなく、魚眼レンズの表現そのものです。建物を画面いっぱいに曲げる、地面へ近づいて空を大きく入れる、人や動物へ接近して鼻や顔を強調するなど、通常の広角では作れない構図を狙えます。
最短撮影距離も短いため、被写体へ大きく近づきながら背景を180度近く取り込むような撮影ができます。小さな被写体を画面中央へ大きく置き、周囲の風景を一緒に写す使い方にも向いています。
一方、建築物を自然な形で記録する用途では魚眼特有の曲線が目立ちます。直線を保った写真が必要なら14mmや20mmを選び、強い歪みを写真表現として使いたい場合に15mm魚眼を選びます。
魚眼ならではの撮影については、EF15mm F2.8 フィッシュアイの特徴で詳しく解説しています。
EF20mm F2.8 USMは超広角の中では扱いやすい画角
EF20mm F2.8 USMは、14mmほど極端に広くなく、24mmより一段広い焦点距離です。
フルサイズでの対角画角は約94度で、風景、建築、室内、旅行、街角など幅広い場面で使えます。超広角らしい奥行きを作りながら、14mmほど周囲の情報が大量に入りすぎないため、主役も比較的大きく見せやすくなります。
F2.8の明るさがあるため、夜景や星空にも利用できます。USMを採用しており、AFを使ったスナップにも対応できます。
20mmの利点は前面へ72mm径のねじ込み式フィルターを装着できることです。14mmや15mm魚眼とはフィルターの扱いが異なり、PLフィルターやNDフィルターなど一般的な円形フィルターを使いやすくなります。
旅行で一本だけ超広角単焦点を持ち歩く場合や、風景と街中の両方を撮る場合には、14mmより20mmの方が構図をまとめやすい場面があります。
EF20mmそのものの特徴は、EF20mm F2.8 USMの特徴と撮影用途で詳しく紹介しています。
EF超広角単焦点は風景・建築・室内で画角の広さを生かす
- 風景では近景を大きく入れると奥行きを強調できる
- 建築ではカメラの水平と垂直を意識して形の崩れを抑える
- 室内では撮影者が後ろへ下がれない場所でも広い範囲を写せる
風景では手前へ近づくことで超広角らしい奥行きが生まれる
超広角レンズで広大な風景を撮るとき、遠くの山や海だけを撮影すると、実際に見た景色より迫力が弱く感じることがあります。
広角レンズでは遠くの物ほど画面内で小さく見えるため、遠景だけで構成すると画面に大きな空白が生まれやすくなります。
そこで、撮影者の近くにある岩、草、花、道路、木、柵などを画面下部へ大きく配置します。手前の物へ近づくほど近景と遠景の大きさの差が広がり、画面の中に強い奥行きが生まれます。
14mmではこの効果が特に強く現れます。20mmなら広さを残しながら主役を少し大きく配置しやすくなります。風景全体を見せたいのか、主役を中心に周囲を見せたいのかで焦点距離を選びます。
超広角の構図を焦点距離別に考える場合は、16mm単焦点の使い道も参考になります。
建築ではレンズの歪曲とカメラを傾けたパースを分けて考える
建築撮影では「広角レンズは建物が歪む」と言われますが、複数の現象を分けて考える必要があります。
レンズそのものが直線を曲げる歪曲収差と、カメラを上へ向けることで縦線が上へ向かって収束する遠近感の変化は別のものです。
14mmのような非常に広いレンズでも、カメラを水平に構えれば建物の垂直線を保ちやすくなります。高い建物全体を入れるためにカメラを大きく上へ向けると、建物上部が細く見える構図になります。
この変化を意図的に利用すれば、高層建築を見上げる迫力ある写真を作れます。記録目的で形を自然に残したい場合は、カメラを水平にして余白を広めに撮り、撮影後にトリミングや補正を行う方法があります。
焦点距離と写る範囲の関係については、画角と焦点距離の違いで詳しく解説しています。
室内では画面の端まで確認して不要な物を外す
狭い室内では、撮影者が後ろへ下がれないため超広角レンズが役立ちます。
部屋全体、家具、天井、床まで一枚へ入れることができ、不動産、インテリア、店舗、ホテルなどの撮影にも使えます。
一方、広く写るほど画面の端へ余計な物も入りやすくなります。カメラバッグ、撮影者の足、照明器具、壁際の小物など、標準レンズでは画面外だった物まで写ることがあります。
シャッターを切る前に画面の四隅を確認し、不要な物が入っていれば撮影位置を数十センチ動かします。超広角では少し位置を変えるだけでも前景と背景の重なり方が大きく変わります。
構図を整理する基本については、写真の構図と視線誘導で詳しく紹介しています。
星空・夜景ではF2.8の明るさと周辺描写を確認する
- 超広角は星を点として写せる露光時間を確保しやすい
- F2.8ならISO感度を極端に上げず光を取り込みやすい
- 星空では中央だけでなく画面周辺の星の形も重要になる
14mmや20mmは星空と地上の風景を一枚へ入れやすい
星空撮影では、星だけでなく地上の山、木、建物、海などを一緒に写すことで撮影場所の雰囲気を残せます。
14mmなら非常に広い空を一枚へ収められ、天の川を大きく横切らせたり、地上の風景を広く残したりできます。20mmでは星空の範囲を少し絞りながら、地上の主役を大きく見せやすくなります。
焦点距離が短いほど、同じ画面上で星の移動量が小さく見えるため、星を点として写せる露光時間を確保しやすくなります。撮影する方向や必要な解像度によって適切な秒数は変わるため、拡大表示で星の流れを確認しながら調整します。
星空の具体的な露出設定については、Canonで星空撮影する設定方法で詳しく解説しています。
星空では開放F2.8の周辺画質もレンズ選びに影響する
星空撮影ではレンズをF2.8開放付近で使うことが多いため、中央の解像力だけでなく画面周辺の描写も重要です。
昼間の風景ならF8やF11まで絞って周辺画質を整えられますが、星空では絞ると取り込める光が減り、ISO感度を上げるか露光時間を長くする必要があります。
そのため開放付近で画面端の星がどのような形に写るかを確認します。サジタルコマフレア、非点収差、色収差などが大きいと、画面中央では点だった星が端では羽を広げたような形に見えることがあります。
初代EF14mm F2.8L USMとII型を中古で比較する場合も、価格差だけでなく開放時の周辺画質をどこまで必要とするかが選択の基準になります。
解像力や画面周辺の見方については、レンズ解像度とシャープネスの違いで詳しく紹介しています。
20mmは星空以外の夜景でも使いやすい
EF20mm F2.8 USMは星空だけでなく、都市夜景やイルミネーションでも使いやすい焦点距離です。
14mmでは建物や光源が小さくなりすぎる場面でも、20mmなら広い景色を残しながら主役を適度な大きさで配置できます。
三脚を使える夜景ならISO感度を低く設定し、F5.6やF8まで絞って数秒から数十秒の長時間露光を行う方法があります。動く人物や車を止めたい場合はF2.8を利用し、必要なシャッタースピードを確保します。
道路の車を長時間露光するとヘッドライトやテールランプが線として残り、20mmの広い画角を利用して道路全体と建物を一緒に構成できます。
20mmの撮影用途については、20mm単焦点レンズの使い道で詳しく紹介しています。
中古EF超広角単焦点をEOS R・APS-Cで使う方法
- EOS RシリーズではEF-EOS Rアダプターで装着できる
- Canon APS-Cでは画角が約1.6倍相当になり超広角らしさが変わる
- 中古では前玉・後玉・AF・フィルター方式まで確認する
EOS RシリーズではEF-EOS Rアダプターでそのまま活用できる
EF14mm、EF15mm、EF20mmはいずれもEFマウントレンズなので、マウントアダプター EF-EOS Rを使用すればEOS Rシリーズへ装着できます。
標準的なEF-EOS Rアダプターには焦点距離を変える光学系が入っていないため、フルサイズEOS Rへ14mmを装着すれば14mmの画角として使用します。
EOS RシリーズではEVFで露出や画面端まで確認できるため、超広角で不要な物が入りやすい撮影でも構図を確認しやすくなります。
一方、アダプター分だけカメラ全体の長さが増えます。20mmのような比較的小型レンズでは、レンズ単体では小さくても装着時の全長が増えるため、RF超広角単焦点との携帯性も比較します。
EFレンズをアダプターで使う場合の注意点は、マウントアダプター EF-EOS Rのデメリットで詳しく整理しています。
Canon APS-Cでは14mmが約22.4mm相当、20mmが約32mm相当になる
Canon APS-CカメラでEF超広角単焦点を使う場合、フルサイズとは写る範囲が変わります。
35mm判換算の画角では、14mmが約22.4mm相当、15mmが約24mm相当、20mmが約32mm相当になります。
14mmはAPS-Cでも広角として使えますが、フルサイズで見られる114度の非常に広い画角とは異なります。20mmは約32mm相当になるため、超広角ではなく街中のスナップにも使いやすい広角に近づきます。
15mm魚眼もセンサー中央部分だけを切り取るため、フルサイズ時の対角180度の魚眼効果をそのまま利用することはできません。魚眼らしい歪みは残りますが、画面へ入る範囲は狭くなります。
焦点距離とセンサーサイズによる変化は、レンズの焦点距離別の使い道まとめで確認できます。
中古では超広角特有の前玉とフィルター方式を確認する
EF超広角単焦点は現在中古で探す機会が多いため、通常のレンズとは少し違う確認項目があります。
14mmや15mm魚眼は前玉が大きく前方へ張り出した形状なので、前玉の傷を確認します。前玉は写真へ直接影響しやすい位置にあり、交換や修理が難しい古いモデルでは状態を重視した方が使いやすくなります。
内部のカビ、クモリ、後玉の傷に加えて、AFが近距離から遠距離まで正常に動くか、絞りが正常に作動するかも確認します。
フィルター方式もレンズごとに異なります。EF20mm F2.8 USMは72mm径の前面フィルターを使用できますが、14mmや15mm魚眼は一般的な前面ねじ込み式とは異なる方式です。
EF14mm初代とII型を比較する場合には、価格だけでなく光学系の世代、周辺画質、最短撮影距離、重量、状態を合わせて確認します。
EFレンズ全体から中古候補を確認する場合は、Canon EFレンズ一覧から焦点距離別に探せます。
Canon EF超広角単焦点レンズ一覧まとめ
Canon EF超広角単焦点レンズには、EF14mm F2.8L USM、EF14mm F2.8L II USM、EF15mm F2.8 フィッシュアイ、EF20mm F2.8 USMがあります。
14mmは直線を保ちながら非常に広い範囲を写せるため、風景、建築、室内、星空などへ向いています。初代とII型では光学設計の世代が異なり、特に画面周辺まで高い描写を求める場合はII型を比較する意味があります。
EF15mm F2.8 フィッシュアイは、フルサイズで対角線方向180度を写せる魚眼レンズです。直線を自然に残すためのレンズではなく、大きな歪みと強い遠近感を利用して通常の超広角では作れない写真を狙うレンズです。
EF20mm F2.8 USMは14mmほど極端ではなく、風景、建築、室内、旅行、夜景、星空まで幅広く使いやすい焦点距離です。72mm径の前面フィルターを使用できることも実用面で大きな違いになります。
星空ではF2.8の明るさだけでなく、開放時の周辺画質も確認します。風景では前景へ近づいて奥行きを作り、建築ではカメラの水平と垂直を意識すると超広角の特徴を生かしやすくなります。
Canon APS-Cでは14mmが約22.4mm相当、15mmが約24mm相当、20mmが約32mm相当の画角になります。フルサイズと同じ超広角表現にはならないため、使用するカメラのセンサーサイズも考えて選びます。
EOS RシリーズでもEF-EOS Rアダプターを利用すればEF超広角単焦点を活用できます。RFレンズへ完全に置き換える必要はなく、中古価格、画角、F値、携帯性、フィルター方式、撮影用途から比較できます。
広大な空間を直線的に写したいなら14mm、魚眼特有の大胆な表現を楽しみたいなら15mmフィッシュアイ、超広角の広さと扱いやすさを両立したいなら20mmという違いを基準にすると、自分の撮影に合うEF超広角単焦点を選びやすくなります。



