EOS R8 Mark IIは何が変わった?R8との違いを徹底比較|IBIS・AF・40コマ連写・4K60P
キヤノンは2026年9月16日、フルサイズミラーレスカメラ「EOS R8 Mark II」を発表しました。発売予定日は2026年10月29日で、キヤノンオンラインショップでのボディー価格は275,000円です。初代EOS R8の登場から世代が進み、R8シリーズは単なる小型軽量フルサイズから、より本格的な撮影に対応するカメラへと進化しました。
EOS R8 Mark IIで興味深いのは、画素数や最高連写速度といった目立つ数字を大幅に引き上げたカメラではないことです。有効画素数は初代と同じ約2420万画素で、映像エンジンはDIGIC X、電子シャッターでの最高連写速度も約40コマ/秒です。この部分だけを見ると、「Mark IIになって何が変わったのか」と感じるかもしれません。
実際の進化は、撮影時の使いやすさに集中しています。初代EOS R8にはなかったボディー内5軸手ブレ補正が加わり、AFフレームを動かすマルチコントローラー、最大20コマまでさかのぼって記録するプリ連続撮影、強化された被写体検出AFなどが搭載されました。動画でも6Kオーバーサンプリングによる4K映像、4K/60P、フルHD/180P、Canon Log 3などに対応しています。
その代わり、初代EOS R8の約461gに対してEOS R8 Mark IIは約546gとなり、約85g重くなっています。この85gの中に、手ブレ補正機構や操作性の向上が盛り込まれたと考えると、今回の世代交代の意味が分かりやすくなります。
この記事では、EOS R8 Mark IIとEOS R8の違いを、画質、手ブレ補正、AF、連写、操作性、動画、重量、価格、レンズとの組み合わせまで順番に比較します。
EOS R8 Mark IIの主なスペック
| 項目 | EOS R8 Mark II | EOS R8 |
|---|---|---|
| センサー | 35mmフルサイズCMOS | 35mmフルサイズCMOS |
| 有効画素数 | 最大約2420万画素 | 最大約2420万画素 |
| 映像エンジン | DIGIC X | DIGIC X |
| 常用ISO感度 | ISO100~102400 | ISO100~102400 |
| ボディー内手ブレ補正 | 5軸IBIS搭載 | 非搭載 |
| 手ブレ補正効果 | 最大中央7.5段/周辺7.0段 | - |
| 電子シャッター連写 | 最高約40コマ/秒 | 最高約40コマ/秒 |
| プリ連続撮影 | 最大20コマ | 非搭載 |
| マルチコントローラー | 搭載 | 非搭載 |
| 動画 | 4K/60P、フルHD/180P | 4K/60P、フルHD/180P |
| 記録媒体 | SD/SDHC/SDXC、UHS-II対応 | SD/SDHC/SDXC、UHS-II対応 |
| バッテリー | LP-E17 | LP-E17 |
| サイズ | 約131.4×90.0×79.7mm | 約132.5×86.1×70.0mm |
| 質量 | 約546g | 約461g |
スペック表を見ると、EOS R8 Mark IIの特徴がよく分かります。画素数、映像エンジン、最高連写速度、常用ISO感度といった撮像性能の中心部分は初代EOS R8と近く、ボディー内手ブレ補正、操作性、AF、プリ連続撮影などが重点的に強化されています。
約2420万画素とDIGIC Xを継続した理由
EOS R8 Mark IIの有効画素数は最大約2420万画素です。新型カメラでは画素数が増えることを期待しやすいものですが、今回は初代EOS R8と同じクラスに据え置かれました。記録画像は最大6000×4000ピクセルで、一般的な写真用途から大きめのプリント、Web掲載、トリミングまで幅広く対応できる画素数です。
約2420万画素という数字には、高画素だけを追わない利点もあります。一枚あたりのデータ量を抑えやすく、高速連写時に大量の画像を処理しやすくなります。高感度撮影、連写、動画を一台で扱うカメラでは、画素数だけを増やすよりも全体のバランスが重要です。
映像エンジンにはDIGIC Xを採用し、静止画では常用ISO100~102400、電子シャッターでは最高1/16000秒、高速連写では最高約40コマ/秒に対応しています。EOS R8 Mark IIは「高画素機」へ進むのではなく、約2420万画素を高速かつ柔軟に使う方向を選んだモデルです。
初代EOS R8の基本性能については、EOS R8の魔法的描写が叶えるクリエイティブな世界でも詳しく紹介しています。
約546gになっても小型フルサイズという軸は変わらない
EOS R8 Mark IIのサイズは約131.4×90.0×79.7mm、バッテリーとカードを含む質量は約546gです。初代EOS R8は約132.5×86.1×70.0mm、約461gなので、新型は高さと奥行きが増し、重量では約85g増加しました。
特に奥行きは70.0mmから79.7mmへ増えています。EOS R8 Mark IIではグリップの形状も見直されており、内部へIBISを追加しただけでなく、実際にカメラを握って撮影するときの扱いやすさまで含めてボディーが再設計されています。
約85gの増加は、初代EOS R8の徹底した軽さを重視していた人には明確な違いです。一方で546gという重量自体は、フルサイズセンサーとIBISを搭載するカメラとして十分に軽量です。Mark IIでは「軽さそのもの」から「機能を備えながら軽い」という方向へR8シリーズの性格が変わったと考えられます。
EOS Rシリーズの各モデルがどの位置にあるのかは、EOS Rシリーズの数字の違い|R1・R5・R6・R7・R8・R10・R50・R100の位置づけでも整理しています。
EOS R8 Mark II最大の進化はボディー内手ブレ補正
EOS R8 Mark IIで最も大きな変更点は、ボディー内5軸手ブレ補正機構の搭載です。初代EOS R8はIBISを搭載していなかったため、手ブレ補正を必要とする場面ではレンズ側のISに頼る部分がありました。Mark IIではカメラ本体がセンサーを動かして補正できるため、使用するレンズの自由度が大きく広がっています。
最大中央7.5段・周辺7.0段の補正に対応
EOS R8 Mark IIのボディー内手ブレ補正は、条件を満たした組み合わせで最大中央7.5段、周辺7.0段の補正効果に対応します。補正はYaw、Pitch、Rollなどを含む5軸で行われ、広角から望遠までレンズとボディーの組み合わせに応じて制御されます。
ここで重要なのは、手ブレ補正が単に「暗い場所で写真が撮れる機能」ではないことです。シャッタースピードを落としても手ブレを抑えやすくなるため、夜景、室内、夕方のスナップ、静物、風景などでISO感度を必要以上に上げずに撮影できる可能性が広がります。
また、対応するRFレンズであればレンズ内ISとボディー内ISを協調させることもできます。広角レンズ使用時には画面周辺のブレを抑える周辺協調制御にも対応しており、単に初代EOS R8へIBISを付け足しただけではありません。
IBISを備えるEOS R6系の特徴については、EOS R6 Mark IIは買ってはいけない?後悔しやすい人と買う価値がある人でも詳しく紹介しています。
ISなしの単焦点レンズを使いやすくなった
ボディー内手ブレ補正が大きな意味を持つのは、レンズ内ISを搭載していない単焦点レンズを使う場合です。明るい単焦点レンズは開放F値を小さくすることでシャッタースピードを確保しやすい一方、すべてのレンズに光学式手ブレ補正が入っているわけではありません。
初代EOS R8では、ISを持たないレンズを装着するとカメラ側でも光学的な手ブレ補正は行えませんでした。EOS R8 Mark IIではボディー側で補正できるため、RF45mm F1.2 STMのような明るい単焦点や、マウントアダプターを介して使用するEFレンズでも、組み合わせに応じてIBISを活用できます。
動く人物や野鳥を止めるには十分なシャッタースピードが必要なので、IBISがあれば何でも低速シャッターで撮れるわけではありません。それでも、静止している被写体や撮影者自身の揺れが中心となる場面では、撮影可能なシャッタースピードの範囲を広げる機能になります。
EOS RボディーでEFレンズを活用する方法は、EOS RでEFレンズを使う方法|マウントアダプター・互換性・デメリットを解説で整理しています。
マルチコントローラーの追加で操作性が変わった
初代EOS R8とEOS R8 Mark IIを実際の撮影操作という視点で比較すると、マルチコントローラーの追加も大きな違いです。EOS R8 Mark IIではファインダーを覗きながら、親指で8方向へAFフレームを移動できるようになりました。
被写体認識AFがあってもAF位置を自分で動かす意味はある
現在のEOS Rシリーズは被写体認識AFが進化しているため、「カメラが自動で被写体を見つけるならジョイスティックは必要ない」と考えることもできます。しかし実際の撮影では、画面内に人物や動物が複数いる場合や、手前と奥に複数の被写体がある場合など、撮影者自身が狙う位置をすばやく指定したい場面があります。
EOS R8 Mark IIでは静止画の1点AFとマルチコントローラー使用時に、最大4368ポジションからAF位置を選択できます。小さく写る被写体へ狙いを定めたり、構図を保ったままAF位置だけを移動したりするときに、この操作系が役立ちます。
人物撮影だけでなく、野鳥、動物、鉄道、スポーツなどでは、被写体の位置が瞬間的に変化します。タッチパネルへ指を移動するより、ファインダーを覗いたまま親指でAF位置を動かせる操作は、撮影のテンポに直接影響します。
AFやボタン操作を含むEOSの具体的な設定方法は、EOS R6 Mark IIのおすすめ設定 静止画と動画で迷わない基本と実践も参考になります。
被写体検出AFも人物・動物・乗り物まで広く対応
EOS R8 Mark IIはデュアルピクセルCMOS AF IIを搭載し、人物、動物、乗り物などをカメラ側で検出できます。人物では顔や瞳を追従できるほか、特定の人物を登録して優先的に検出する「登録人物優先」にも対応します。
登録人物優先は、複数の人物が同時に画面へ入る場面で特に有効です。スポーツ、イベント、集合写真などで狙いたい人物をあらかじめ登録しておけば、カメラがその人物を優先して検出できます。動物では犬、猫、鳥、馬に対応し、瞳、顔、全身などを認識します。
野鳥撮影では望遠レンズによって被写界深度が浅くなりやすく、目にピントを合わせる難易度が上がります。鳥の瞳や顔を認識する機能と最高約40コマ/秒の連写を組み合わせることで、小型フルサイズでも本格的な動体撮影へ対応できる構成になっています。
EOS Rシリーズ全体のAFやフルサイズ・APS-Cの違いは、EOS Rシリーズ完全ガイド|現行機種・歴代モデル・RFマウントの選び方で確認できます。
40コマ/秒は同じでも動体撮影能力は同じではない
電子シャッター最高約40コマ/秒という数字は、EOS R8 Mark IIと初代EOS R8で共通しています。そのためスペック表だけを比較すると、連写性能は進化していないように見えます。しかしMark IIにはプリ連続撮影が追加され、AFや操作性も改良されているため、40コマ/秒を実際の撮影で使う方法が変わりました。
電子シャッター最高約40コマ/秒を維持
EOS R8 Mark IIは電子シャッターで最高約40コマ/秒、高速連続撮影では約20コマ/秒、低速連続撮影では約5コマ/秒を選択できます。電子先幕では最高約6コマ/秒です。常に40コマ/秒で撮影する必要はなく、被写体や撮影後の画像整理まで考えて速度を切り替えられます。
40コマ/秒は、1秒間に40枚を記録する速度です。鳥が羽ばたく瞬間、スポーツ選手の表情、動物が走る姿など、人間の目では一瞬に見える動きを細かく分解できます。画素数が約2420万画素なので、高画素機の巨大なデータを40枚ずつ処理する構成よりも、速度とデータ量のバランスを取りやすい設計です。
電子シャッターでは高速に動く被写体やカメラを大きく振る撮影でローリングシャッター歪みが発生する場合があります。最高連写速度だけでシャッター方式を決めるのではなく、被写体に応じて電子シャッターと電子先幕を使い分けることが重要です。
キヤノン各機の連写性能を比較する場合は、キヤノン高速連写ランキングTOP10|歴代EOSを1秒あたりのコマ数で比較も参考になります。
プリ連続撮影は最大20コマ前までさかのぼれる
EOS R8 Mark IIではプリ連続撮影が追加されました。シャッターボタンを半押しした状態から全押しすると、全押しした時点より最大20コマ前までさかのぼって画像を記録できます。RAW、C-RAW、JPEG、HEIFで利用できるため、JPEG専用のおまけ機能ではありません。
最高約40コマ/秒で20コマ前まで記録できるとすると、最大で約0.5秒分をさかのぼれる計算になります。0.5秒という時間は日常生活では短く感じますが、野鳥が枝から飛び立つ瞬間や、昆虫が羽を開いて飛び出す瞬間では非常に大きな差になります。
通常は「鳥が動いた」と人間が認識してから指を動かし、シャッターを押します。その時点ではすでに飛び立った後になっていることがあります。プリ連続撮影は撮影者の反応時間そのものを速くする機能ではなく、シャッターを押す前から画像を一時的に保持することで、人間の反応の遅れを補います。
この機能が加わったことで、EOS R8 Mark IIの40コマ/秒は単に枚数を増やす連写から、決定的瞬間を残すための連写へ一歩進みました。連写速度の考え方については、キヤノン高速連写ランキングTOP10でも詳しく解説しています。
約2420万画素は少ないのか
EOS R8 Mark IIが発表されたとき、画素数が初代と同じ約2420万画素であることを見て、物足りなく感じる人もいるでしょう。現在は4000万画素を超えるカメラも珍しくなく、スマートフォンでも大きな画素数が表示されるため、新型なら画素数も増えると考えやすくなっています。
2420万画素は高速連写と高感度のバランスを取りやすい
約2420万画素では6000×4000ピクセルの画像を記録できます。A4やA3程度のプリント、Web掲載、写真閲覧、一般的なトリミングで困る場面は多くありません。超高精細な風景写真を大幅にトリミングする用途では高画素機が有利ですが、すべての撮影で5000万画素前後が必要になるわけではありません。
画素数を増やせば、一枚の画像が持つ情報量とデータ量も増えます。EOS R8 Mark IIは40コマ/秒の高速連写や4K動画を扱うカメラなので、静止画一枚の最大解像度だけでなく、大量の画像を高速に読み出して処理する性能も重要です。
常用ISO感度はISO100~102400で、拡張ではISO50相当とISO204800相当を選択できます。暗所でシャッタースピードを確保したい人物、動物、イベント撮影などでは、高感度域を広く使えることにも意味があります。
キヤノン機のISO感度を比較する場合は、キヤノン高感度耐性ランキングTOP10|歴代EOSを常用ISO感度で比較でも各モデルを整理しています。
高画素が必要ならR5系という選択肢がある
EOS Rシリーズには複数の機種があり、すべてのモデルへ同じ役割を持たせる必要はありません。R8系は小型軽量と高速性能を重視し、R5系は約4500万画素クラスの高解像度と高速性能を両立する方向へ設計されています。
EOS R8 Mark IIを4000万画素や5000万画素に引き上げれば、R8らしい軽快さやデータ処理とのバランスが変わる可能性があります。約2420万画素を維持し、その代わりにIBIS、プリ連続撮影、AF操作、動画機能などを充実させた今回の変更は、シリーズ内での役割を考えると理解しやすいものです。
高画素機とR8系の違いを考える場合は、EOS R5 Mark IIは買ってはいけない?後悔しやすい人と買う価値がある人も比較材料になります。
動画では6Kオーバーサンプリング4KとフルHD180Pに対応
EOS R8 Mark IIは静止画だけでなく、動画撮影にも力を入れています。動画の基本性能だけを見ると初代EOS R8も高水準でしたが、Mark IIではIBIS、タリーランプ、レビュー用AF、自動水平補正、動画向けのホワイトバランス機能などが組み合わさり、撮影機としての使いやすさが強化されています。
6Kの情報から4Kを作るオーバーサンプリング
EOS R8 Mark IIは、実質6K相当の画像を読み出して4Kへリサイズする6Kオーバーサンプリングに対応します。4Kに必要な画素だけを直接使う方式より多くの情報を利用できるため、細部の解像感や色再現を高めやすい方式です。
4Kでは60Pに対応し、動きのある被写体を滑らかに記録できます。フルHDでは179.8fpsの180Pに対応しており、通常速度の1/6倍に相当するスローモーション表現も可能です。スポーツ、野鳥、動物、水しぶきなど、肉眼では一瞬で終わる動きをゆっくり見せる映像制作に利用できます。
動画クロップを利用すれば、手持ちのレンズでもより望遠寄りの画角で4K撮影を行うことができます。反対に、フルサイズらしい広い画角やボケを重視する場合はクロップなしで撮影するという使い分けができます。
4K60Pや動画AFの基本的な考え方は、EOS R6 Mark II動画撮影設定ガイド 4K60pとAFを安定させる使い方でも詳しく紹介しています。
IBIS・タリーランプ・レビュー用AFで動画機として使いやすくなった
動画撮影でもIBISの追加は大きな変更です。EOS R8 Mark IIはレンズ内ISを搭載していないレンズでもボディー側で手ブレを抑えることができ、対応するRFレンズではレンズ内ISとの協調制御が可能です。さらに動画電子ISを組み合わせられる条件では、歩き撮りや手持ち動画でより強い補正を利用できます。
前面にはタリーランプが搭載され、動画記録中は赤色で点灯します。一人でカメラの前に立って撮影する場合や、離れた位置から操作する場合でも録画状態を確認しやすくなりました。YouTube動画、商品レビュー、Vlog、オンライン配信など、撮影者と出演者が同じ場合にも役立つ機能です。
レビュー用AFでは、通常は人物の顔へピントを合わせ、カメラの前へ商品を出したときには手前の商品へピントを移す使い方ができます。カメラやレンズ、小物を紹介する動画では、撮影のたびに画面をタッチしてAF位置を切り替える必要を減らせます。
Canon Log 3にも対応し、カラーグレーディングを前提とした映像制作が可能です。EOS R8 Mark IIは小型フルサイズという外観から想像する以上に、動画撮影機能を幅広く備えています。EOS Rシリーズの動画機能を含めた位置付けは、EOS Rシリーズ完全ガイドでも確認できます。
RF45mm F1.2 STMキットはEOS R8 Mark IIの性格をよく表している
EOS R8 Mark IIにはボディー単体だけでなく、RF45mm F1.2 STMを組み合わせたレンズキットが用意されています。キヤノンオンラインショップ価格はボディーが275,000円、RF45mm F1.2 STMレンズキットが317,900円、RF24-105mm F4-7.1 IS STMレンズキットが324,500円です。
F1.2とIBISを小型システムで使える
RF45mm F1.2 STMは焦点距離45mm、開放F1.2の大口径標準単焦点レンズで、質量は約346gです。EOS R8 Mark IIの約546gと組み合わせると合計約892gとなり、フルサイズセンサー、F1.2、ボディー内手ブレ補正を備えた構成が1kgを下回ります。
これはEOS R8 Mark IIの方向性を象徴する組み合わせです。高性能化したからといって、ボディーもレンズも巨大にするのではなく、小型のフルサイズボディーと比較的軽量な大口径レンズを組み合わせ、日常的に持ち出せるシステムを作る考え方です。
F1.2では被写界深度を浅くできるため、人物や小物を背景から大きく浮かび上がらせることができます。暗い室内ではF1.2の明るさでシャッタースピードを確保しやすくなり、静止した被写体ではEOS R8 Mark IIのIBISも利用できます。初代EOS R8ではレンズ側にISがない場合に得られなかった組み合わせです。
RF45mm F1.2 STMの画角、ボケ、重量、最短撮影距離については、RF45mm F1.2 STMは日常を大きなボケで写す標準単焦点レンズで詳しく紹介しています。
EFレンズ資産もそのまま切り捨てる必要はない
EOS R8 Mark IIはRFマウントですが、マウントアダプター EF-EOS Rを使用すればEFレンズとEF-Sレンズも装着できます。長年キヤノンの一眼レフを使ってきた人が、所有するEF単焦点やEF望遠レンズを活用しながらボディーだけをEOS Rへ移行することも可能です。
フルサイズ用EFレンズを装着した場合、標準的な光学系を持たないマウントアダプターで焦点距離や開放F値が変わるわけではありません。EF50mm F1.8なら50mm F1.8、EF200mm F2.8なら200mm F2.8として使用できます。
EOS R8 Mark IIにはIBISが搭載されたため、ISを内蔵していない古いEF単焦点レンズを使う場合にも初代EOS R8とは違う利点があります。新しいRFレンズだけでシステムを作る方法と、手持ちのEFレンズを生かす方法の両方を選べます。
RF・RF-S・EF・EF-S・EF-Mの対応関係は、Canonレンズ対応表|RF・RF-S・EF・EF-S・EF-Mはどのカメラで使える?で一覧にしています。
EOS R8とEOS R8 Mark IIはどちらを選ぶべきか
EOS R8 Mark IIが登場しても、初代EOS R8の特徴が消えるわけではありません。むしろMark IIが約85g重くなったことで、初代の徹底した軽量性が改めて分かりやすくなりました。両機は単純に新旧だけで決めるより、何を優先するかで選ぶ方が合理的です。
軽さを最優先するならEOS R8には今も意味がある
EOS R8はバッテリーとカードを含めても約461gです。フルサイズセンサーを搭載するレンズ交換式カメラとして非常に軽量で、旅行、街歩き、長時間の持ち歩きではこの軽さが明確な利点になります。
画素数は約2420万画素、電子シャッターでは最高約40コマ/秒、常用ISO感度はISO100~102400で、基本的な撮像性能が低いカメラではありません。IS付きRFズームを中心に使用する場合や、明るい日中のスナップが中心であれば、ボディー内手ブレ補正がないことの影響が小さい撮影スタイルもあります。
中古価格や販売価格がMark IIより下がれば、初めてフルサイズへ移行する人にとって価格面の魅力が大きくなる可能性もあります。新型が出たから旧型が突然撮れなくなるわけではなく、461gという個性はMark IIにはありません。
初代の特徴を確認する場合は、EOS R8の魔法的描写が叶えるクリエイティブな世界で詳しく紹介しています。
IBIS・操作性・動体撮影を重視するならMark IIの差は大きい
EOS R8 Mark IIを選ぶ意味が大きいのは、ボディー内手ブレ補正を使いたい人、ISなしの単焦点レンズを使う人、野鳥や動物など瞬間的な動きを撮る人、ファインダーを覗いたままAF位置を頻繁に動かす人です。
画素数や最高40コマ/秒という数字だけで比較すると差が小さく見えますが、IBIS、マルチコントローラー、プリ連続撮影は、撮影時の成功率や操作方法そのものに影響する機能です。特に野鳥が飛び出す瞬間のように撮影者の反応速度が問題になる場面では、最大20コマのプリ連続撮影は初代にはない明確な機能差になります。
夜景や室内の静物ではIBIS、人物や野鳥ではAF、動き出しの瞬間ではプリ連続撮影というように、Mark IIの進化点はそれぞれ異なる撮影場面で効果を発揮します。単に「新しいから高性能」という話ではなく、初代EOS R8で省かれていた機能が必要かどうかが選択の中心になります。
R8を含むEOS Rシリーズ各機の位置付けは、EOS Rシリーズの数字の違いでも比較できます。
EOS R6系との距離は以前より近くなった
初代EOS R8は、EOS R6系と近い撮像性能を小型軽量ボディーへまとめながら、ボディー内手ブレ補正や一部の操作系を省くことで違いを作っていました。EOS R8 Mark IIでIBISとマルチコントローラーが加わったことで、従来分かりやすかった差の一部が小さくなっています。
R8が単なる廉価フルサイズとは言いにくくなった
EOS R8 Mark IIのボディー価格は275,000円です。この価格になると、「フルサイズをできるだけ安く買うためのR8」という見方だけでは説明しにくくなります。約2420万画素、IBIS、最高約40コマ/秒、プリ連続撮影、高度な被写体検出AF、4K/60P、フルHD/180Pなどを小型ボディーへまとめた機種として考える必要があります。
R6系はR8系より上位に位置するシリーズであり、ボディー設計や操作系、電源、記録系などを含めて役割が異なります。一方で、初代EOS R8では明確な弱点として見られやすかったIBISがMark IIへ搭載されたことで、「手ブレ補正が必要だからR6」という単純な分け方はしにくくなりました。
今後R8 Mark IIとR6系を比較する場合は、画素数や連写速度だけでなく、ボディーサイズ、重量、操作性、記録方法、使用するレンズ、撮影時間まで含めて選ぶ必要があります。R8 Mark IIは上位機の代用品ではなく、小型軽量という軸を残しながら本格撮影へ近づいた独立したモデルです。
R6系の実際の機能や使い方は、EOS R6 Mark IIは買ってはいけない?後悔しやすい人と買う価値がある人でも整理しています。
EOS R8 Mark IIでキヤノンの小型フルサイズは次の段階へ進んだ
EOS R8 Mark IIは、画素数を増やして分かりやすく世代交代を示したカメラではありません。有効画素数は約2420万画素、映像エンジンはDIGIC X、電子シャッター最高約40コマ/秒、常用ISO感度ISO100~102400という主要な数字は初代EOS R8と近いままです。
それでも実際の撮影機能を見ると、初代からの違いは小さくありません。最大中央7.5段のボディー内5軸手ブレ補正、8方向へ操作できるマルチコントローラー、最大20コマ前までさかのぼれるプリ連続撮影、登録人物優先を含む被写体検出AF、6Kオーバーサンプリング4K、フルHD/180P、タリーランプなどが加わっています。
その結果、重量は初代EOS R8の約461gから約546gへ増えました。初代が「できるだけ軽いフルサイズ」を強く追求したモデルだったとすれば、EOS R8 Mark IIは「小型軽量を維持しながら、撮影で欲しくなる機能をできるだけ残す」方向へ進んだモデルです。
この違いは、約85gという重量差に凝縮されています。初代EOS R8の軽さを取るのか、Mark IIのIBIS、操作性、プリ連続撮影を取るのかによって選択が変わります。画質の数字がほぼ同じだから差がないわけではなく、撮影者がシャッターを押すまでの過程と、撮り逃しを減らすための機能が大きく変わりました。
RF45mm F1.2 STMとの組み合わせも、EOS R8 Mark IIの方向性を分かりやすく示しています。F1.2の大口径標準単焦点を使いながらボディー側のIBISを利用でき、レンズとボディーを合わせても約892gです。高性能化と大型化を必ずしも同じ方向へ進めず、小型システムのまま撮影できる範囲を広げています。
EOS R8 Mark IIは、初代EOS R8を単純に高画素化した後継機ではありません。R8の小型フルサイズという考え方を残し、その弱点だった部分へ手を入れたモデルです。初代から何が変わったのかを見ると、今回のMark IIでキヤノンが重視したのはスペック表の派手な数字より、撮影時の自由度と成功率だったことが見えてきます。
キヤノンの現行・歴代ボディーやRFレンズをまとめて確認する場合は、キヤノン大全もあわせてご覧ください。



