Canon EF180mm F3.5L Macro USMレビュー|180mm中望遠で等倍マクロを撮る使い方
Canon EF180mm F3.5L Macro USMは、180mmという長い焦点距離で最大撮影倍率1.0倍の等倍撮影ができるEFマウント用Lマクロレンズです。1996年4月に発売され、100mm前後のマクロレンズとは異なる長い撮影距離を生かして、昆虫、花、小動物、商品などを離れた位置から大きく撮影できます。
180mmという焦点距離は、camecame.jpでは中望遠として扱います。画角が狭いため背景を整理しやすく、被写体の後ろへ十分な距離を確保すると、大きく滑らかな背景ボケを作れます。被写体へ極端に接近しなくても等倍撮影できるため、近づくと逃げやすい昆虫や、レンズで光を遮りたくない花の撮影に向いています。
レンズ構成は12群14枚、絞り羽根は8枚、最短撮影距離は0.48m、最大撮影倍率は1.0倍、フィルター径は72mmです。最大径は82.5mm、全長186.6mm、質量は三脚座を除いて約1,090gあります。リングタイプUSM、インナーフォーカス、フルタイムマニュアルフォーカスにも対応しています。
一方、レンズ内手ブレ補正は搭載されていません。また、キヤノンの仕様では防塵・防滴は非対応です。旧世代の大型Lマクロとして、現在のRFマクロとは撮影方法がかなり異なります。
この記事では、EF180mm F3.5L Macro USMの正確な仕様、180mmで等倍マクロを撮るメリット、昆虫や花を撮る実践的な設定、AFとMFの使い分け、三脚座の活用、EOS Rシリーズでの使用方法、中古で確認したいポイントまで詳しく解説します。
EF180mm F3.5L Macro USMをEFシステム全体の中で確認したい場合は、Canon EFとは?EFレンズ・EF-Sとの違い・対応カメラ・EOS Rでの使い方を徹底解説で、EFマウントの仕組み、EF-Sとの違い、対応カメラ、EOS Rでの使い方までまとめています。
EF180mm F3.5L Macro USMの基本性能
- 180mmの中望遠で最大1.0倍の等倍撮影ができる
- 12群14枚・約1,090gの大型Lマクロレンズ
- 最短撮影距離0.48mで被写体との距離を取りやすい
180mmの中望遠で最大1.0倍の等倍撮影ができる
EF180mm F3.5L Macro USMの最大の特徴は、180mmという長い焦点距離で最大撮影倍率1.0倍まで撮影できることです。
等倍とは、被写体を撮像面上へ実物と同じ大きさで投影することを意味します。小さな昆虫、花の雄しべ、時計の部品、アクセサリーなどを大きく写し、肉眼では見落としやすい細部まで記録できます。
100mm前後のマクロでも等倍撮影はできますが、180mmでは同じ等倍でも被写体からより離れた位置へカメラを置けます。この違いは昆虫撮影で大きく、レンズを急に近づけることで被写体を逃がす可能性を減らせます。
さらに被写体とレンズの間へ空間を作りやすいため、自然光を遮りにくく、レフ板や小型ライトなども配置しやすくなります。
等倍だから常に最短撮影距離から撮る必要はありません。花全体なら倍率を下げ、昆虫の一部分を大きく見せたい場合に等倍を使います。
Canonのマクロレンズ全体を比較する場合は、Canonマクロレンズ一覧も参考になります。
12群14枚・約1,090gの大型Lマクロレンズ
EF180mm F3.5L Macro USMは12群14枚の光学系を採用し、色収差を抑えるためのUDレンズも使用しています。
絞り羽根は8枚、最小絞りはF32です。フィルター径は72mm、最大径82.5mm、全長186.6mm、質量は三脚座を除いて約1,090gあります。
現在の小型RF単焦点と比較するとかなり大きく、カメラへ装着した状態ではレンズ側へ重量が集中します。
手持ちでも撮影できますが、長時間の昆虫観察や花の撮影では左手でレンズをしっかり支えます。カメラボディだけを握ってレンズを支えるより、レンズ下部へ左手を添えた方が安定します。
三脚や一脚を使う場合は、カメラ側の三脚穴だけで支えるより、レンズの三脚座を利用すると重量バランスを取りやすくなります。
マクロレンズの焦点距離や重量を含めた選び方は、マクロレンズとは?特徴・選び方・使い方も参考になります。
最短撮影距離0.48mで被写体との距離を取りやすい
最短撮影距離は0.48mです。この数値はレンズ前面から被写体まで48cmという意味ではありません。カメラ内部の撮像面から被写体までの距離です。
レンズ自体の全長が約18.7cmあり、さらにカメラボディの厚みもあるため、実際のレンズ先端から被写体までのワーキングディスタンスは0.48mより短くなります。
それでも短焦点マクロと比較すれば、被写体との間へ十分な空間を確保しやすい設計です。
昆虫では被写体へレンズを近づけすぎずに済みます。花ではカメラやレンズが自然光を遮りにくくなります。商品撮影では被写体との間へライトやレフ板を置きやすくなります。
この「離れて等倍を撮れること」が、180mmマクロを選ぶ大きな理由です。
撮影距離とワーキングディスタンスの違いについては、被写体との距離で写真はどう変わる?も参考になります。
180mmマクロならではの背景表現
- 狭い画角で背景を整理しやすい
- 被写体と背景を離して大きなボケを作れる
- 撮影位置を変えて背景そのものを選ぶ
狭い画角で背景を整理しやすい
180mmでは35mmや50mmより画角が大幅に狭くなります。
花を撮る場合、周囲に別の花、枝、看板、建物などがあっても、狭い画角を利用して必要な部分だけを切り取りやすくなります。
100mmマクロよりさらに背景へ入る範囲が狭くなるため、一輪の花や一匹の昆虫を画面の中で明確な主役にできます。
重要なのは、焦点距離だけで背景が整理されるわけではないことです。カメラ位置を左右へ移動すると、狭い画角の中へ入る背景が大きく変わります。
花の後ろに明るい空を入れる、暗い木陰を入れる、別の花をぼかして色だけ残すなど、撮影位置を数十cm変えながら背景を探します。
180mmでは画角が狭いからこそ、わずかな位置変更で背景の内容を選びやすくなります。
画角と構図の関係については、画角の違いが変える写真の世界も参考になります。
被写体と背景を離して大きなボケを作れる
EF180mm F3.5L Macro USMの開放F値はF3.5です。F1.4やF2の大口径単焦点と比べれば数値は大きいものの、180mmという長い焦点距離と近距離撮影を組み合わせることで背景を大きくぼかせます。
花を撮る場合は、花そのものを背景から離します。背景が花のすぐ後ろにあると形が残りやすくなりますが、数m離れた木や草を背景にすると柔らかくぼかせます。
昆虫でも同様です。被写体のすぐ後ろに葉がある場所より、遠くまで抜けた場所の方が背景を単純化できます。
等倍付近では被写界深度そのものが非常に浅くなるため、F3.5でも主役の前後は大きくぼけます。
ボケを増やすために開放だけを使うのではなく、被写体と背景の距離を作ることが重要です。
焦点距離と背景の見え方については、焦点距離で変わる写真表現も参考になります。
撮影位置を変えて背景そのものを選ぶ
マクロ撮影では被写体へ集中しすぎて、背景を確認しないままシャッターを切ることがあります。
180mmでは背景が大きくぼけても、明るい部分や強い色は残ります。昆虫の後ろに白く明るい部分があれば視線を引き、花の後ろに複数の明るい丸ボケがあれば主役と競合する場合があります。
撮影前にファインダー全体を見て、背景の明るさと色を確認します。
カメラを少し低くすれば空が背景になり、高くすれば地面が背景になります。左右へ動けば木陰や別の花を選べます。
長い焦点距離では背景を大きく動かす必要はありません。撮影者がわずかに位置を変えるだけで、主役の後ろへ重なるものを変更できます。
構図を整える基本については、構図が創る写真世界も参考になります。
昆虫を等倍で撮る実践的な方法
- 最初から最短撮影距離まで近づかない
- シャッタースピードを先に確保する
- 目や頭部へピントを合わせる
最初から最短撮影距離まで近づかない
昆虫撮影では、最大撮影倍率1.0倍を使えるからといって、最初から被写体へ等倍距離まで近づく必要はありません。
まず少し離れた位置から昆虫をファインダーへ入れます。その状態で一枚撮影し、被写体が落ち着いていることを確認しながら少しずつ近づきます。
急にレンズを近づける、レンズ前面を上下左右へ大きく動かすと、昆虫が警戒して飛び去る場合があります。
180mmは被写体との距離を取りやすいため、このような被写体へ有利です。
昆虫全体を見せたいなら等倍まで近づく必要がない場合もあります。羽根、目、触角など一部分を大きく写したい場合に最大倍率を使います。
倍率を先に決めるのではなく、被写体の大きさと見せたい範囲から撮影距離を調整します。
等倍マクロの基本については、EF100mm F2.8 マクロで描く接写世界も参考になります。
シャッタースピードを先に確保する
EF180mm F3.5L Macro USMにはレンズ内ISがありません。さらに180mmという長い焦点距離なので、手持ちではカメラの揺れが目立ちやすくなります。
昆虫が静止していても、手持ちなら1/500秒程度から始めると撮影しやすくなります。
触角や脚が動いている場合、風で葉が揺れている場合は1/800秒から1/1000秒以上へ上げます。
F値はF5.6からF8程度を基準にし、光量が不足する場合はISO感度を上げます。
ISO100へ固定したままシャッタースピードを落とすより、ISO800や1600へ上げてブレを止めた方が細部を残せる場面があります。
三脚を使っても昆虫そのものが動けば被写体ブレになるため、動く被写体では三脚使用時もシャッタースピードを確保します。
手ブレ補正と被写体ブレの違いについては、Canonの手ブレ補正を徹底解説も参考になります。
目や頭部へピントを合わせる
昆虫を撮る場合は、基本的に目や頭部を最優先してピントを合わせます。
等倍付近では被写界深度が非常に浅くなるため、羽根にピントが合っていても目がぼけていれば、写真全体がぼけたように見えることがあります。
AFで大まかに目へ合わせ、その後フォーカスリングで微調整する方法が使えます。
さらに高倍率では、ピントリングだけでなく身体ごとわずかに前後して調整する方法も有効です。
連写を使いながら数mmずつ前後すると、ピント位置が少しずつ異なる写真を残せます。その中から目に最も正確に合った一枚を選びます。
EF180mm F3.5L Macro USMはフルタイムマニュアルフォーカスに対応しているため、AF後の微調整を行いやすい設計です。
AF後にMFで追い込む方法については、フルタイムマニュアルフォーカスで直感操作も参考になります。
花を撮るときの設定と構図
- F3.5からF5.6では一部分を強調する
- F8からF11では花の形を残しやすい
- 風がある日は絞りよりシャッタースピードを優先する
F3.5からF5.6では一部分を強調する
花を近距離から撮影すると、F3.5でも被写界深度は非常に浅くなります。
花全体ではなく雄しべ、花びらの先端、水滴など一部分へ視線を集めたい場合はF3.5からF5.6が使いやすくなります。
雄しべへピントを合わせ、背景側の花びらを大きくぼかすと、花そのものを抽象的に見せることができます。
180mmなので背景へ写る範囲も狭く、遠くの草木を柔らかな色として利用できます。
開放では狙った部分以外が大きくぼけます。花の形そのものを見せたい写真なら、少し絞った方が扱いやすくなります。
撮影後は背面モニターで拡大し、ピントを置いた位置とボケの広がりを確認します。
絞りによる写真の変化については、F値で変わるボケと解像感も参考になります。
F8からF11では花の形を残しやすい
花全体の形や複数の花びらをある程度鮮明に見せたい場合は、F8からF11程度まで絞ります。
マクロ域では通常撮影より被写界深度が浅いため、F8へ絞っても背景まで完全に鮮明になるわけではありません。
そのため「ボケがなくなるから絞れない」と考える必要はなく、花の奥行きをどこまで見せたいかで絞りを決めます。
さらに被写界深度が必要ならF16以上も選択できますが、絞るほど回折の影響が大きくなります。
細部をできるだけ高い解像感で写したいなら、必要以上にF22やF32へ絞らず、被写界深度とのバランスを確認します。
三脚を使える静かな花なら、F8からF11、低ISOでじっくりピントを追い込む撮影にも向いています。
マクロレンズの使い分けについては、マクロレンズの特徴・選び方・使い方も参考になります。
風がある日は絞りよりシャッタースピードを優先する
屋外の花では、カメラの手ブレ以上に風による被写体ブレが問題になります。
F8へ絞って被写界深度を確保しても、シャッタースピードが1/30秒になれば、花が少し揺れただけで細部がぶれます。
風がある日は1/500秒程度から始め、揺れが大きければ1/800秒以上へ上げます。
そのためにISO感度が上がっても、まず花の動きを止めます。
風が弱くなる瞬間を待つことも重要です。ずっと連写するより、花の動きを観察し、風が止まった瞬間に数枚撮影します。
180mmでは少し離れた位置から花を撮れるため、撮影者自身が花へ触れたり空気を動かしたりする可能性も減らせます。
被写体との適切な距離については、被写体との距離で写真はどう変わる?も参考になります。
AF・MF・フォーカスリミッターを使い分ける
- リングタイプUSMでAFを使える
- フォーカスリミッターでAF範囲を限定する
- 等倍付近ではフルタイムMFで微調整する
リングタイプUSMでAFを使える
EF180mm F3.5L Macro USMはリングタイプUSMを搭載しています。
1996年発売のレンズですが、AFに対応しているため、昆虫や花を素早く捉える場面でも利用できます。
マクロレンズは最短撮影距離から無限遠までフォーカス移動量が大きく、近距離から遠距離へ一気にピントを移す場面では時間がかかります。
被写体を大きく外して背景へAFが抜けると、レンズが広い範囲を探しに行くことがあります。
そのため「USMだから常に瞬時に合う」と考えるより、撮影距離をある程度限定しながら使う方が効率的です。
AFでおおまかな位置まで合わせ、最後はMFを使う方法もマクロでは有効です。
USMの基本については、USMの種類と仕組みも参考になります。
フォーカスリミッターでAF範囲を限定する
EF180mm F3.5L Macro USMにはフォーカス距離範囲を切り替える機能があります。
0.48mから無限遠までの全域と、1.5mから無限遠の範囲を切り替えられます。
マクロ域を使う場合は全域を選びます。遠くの花や人物など1.5m以上の被写体だけを撮る場合は遠距離側へ限定することで、AFが近接域まで探しに行く動作を減らせます。
マクロ撮影ではピント移動量が非常に大きいため、フォーカスリミッターを正しく使うことがAF速度の体感に大きく影響します。
遠距離だけを撮るのに全域へ設定したままだと、AFが外れた際に最短側まで探す可能性があります。
撮影を始める前に、その日の被写体までの距離を考えて設定します。
EFマクロレンズ全体の特徴は、Canonマクロレンズ一覧から比較できます。
等倍付近ではフルタイムMFで微調整する
EF180mm F3.5L Macro USMはフルタイムマニュアルフォーカスに対応しています。
AFでピントを合わせた後、AF/MFスイッチを切り替えずにフォーカスリングを回して微調整できます。
等倍付近では数mmのピント差が写真へ大きく現れるため、この機能が役立ちます。
昆虫の頭部へAFを合わせた後、リングを少し動かして目へ正確に合わせます。
花では雄しべ、花びら、水滴のどこへピントを置くかをMFで微調整できます。
三脚使用時にはライブビューやEOS Rシリーズの拡大表示を使うと、さらに細かなピント位置を確認しやすくなります。
AFとMFを切り離して考えず、AFで素早く近づけてMFで最後を整える方法が180mmマクロでは使いやすくなります。
詳しい操作方法は、フルタイムマニュアルフォーカスで直感操作も参考になります。
手持ちと三脚を使い分ける
- 手持ちでは高速シャッターを基本にする
- 三脚座を利用して重心を安定させる
- 縦位置と横位置を三脚座で切り替える
手持ちでは高速シャッターを基本にする
EF180mm F3.5L Macro USMにはレンズ内ISがありません。
一眼レフで手持ち撮影する場合は、180mmという焦点距離と約1,090gの重量を考え、十分なシャッタースピードを確保します。
通常距離なら1/320秒程度以上、マクロ域では1/500秒以上を一つの出発点にできます。
昆虫や風で揺れる花ならさらに高速化します。
左手をレンズ下部へ添え、肘を身体へ寄せ、シャッターを押す瞬間にカメラを大きく動かさないようにします。
一脚を使用すれば上下方向の揺れを抑えながら、昆虫を追って左右へ動く自由も残せます。
IS非搭載だから手持ちできないわけではありませんが、現在のIS付きマクロよりシャッタースピードと構え方を意識する必要があります。
手ブレ対策の基本は、Canonの手ブレ補正を徹底解説も参考になります。
三脚座を利用して重心を安定させる
三脚を使う場合は、レンズに備わる三脚座を利用します。
約1kgを超える長いレンズをカメラ側の三脚穴だけで支えると、重心が前へ移りやすくなります。レンズ側の三脚座で固定すれば、カメラとレンズの重量バランスを取りやすくなります。
静物、標本、商品、風のない花など、構図とピントを細かく追い込みたい撮影では特に有効です。
三脚を使用したら、まず構図を決めます。その後、拡大表示を使ってピントを調整し、絞りを決めます。
被写体が動かない場合はISO感度を下げ、必要に応じて低速シャッターを利用できます。
マクロではカメラを数mm移動するだけでも構図が変わるため、三脚使用時は雲台を強く動かさず小さく調整します。
マクロレンズの三脚運用を含む基本は、マクロレンズの特徴と使い方も参考になります。
縦位置と横位置を三脚座で切り替える
EF180mm F3.5L Macro USMの三脚座は回転させることができ、三脚へ固定した状態でもカメラを縦位置と横位置へ切り替えられます。
通常のレンズでカメラ側を雲台から90度倒すと、光軸の位置が横へ移動し、構図を作り直す必要が生じることがあります。
レンズの三脚座を中心に回転させれば、光軸の位置を大きく変えずに縦横を切り替えられます。
花の縦長構図、昆虫の横長構図、商品撮影などで便利です。
三脚座のロックを緩めて回転させ、構図が決まったら確実に締めます。ロックを緩めたままカメラから手を離さないようにします。
マクロでは構図のわずかな変化が大きく見えるため、回転式三脚座は実用性の高い機構です。
構図の基本については、構図が創る写真世界も参考になります。
EOS RシリーズでEF180mm F3.5L Macro USMを使う
- マウントアダプター EF-EOS Rを使用する
- 拡大表示や被写体検出をピント合わせに利用できる
- APS-Cでは約288mm相当の画角になる
マウントアダプター EF-EOS Rを使用する
EF180mm F3.5L Macro USMはEFマウントなので、EOS Rシリーズへ直接装着することはできません。
マウントアダプター EF-EOS Rをカメラとレンズの間へ装着します。
標準タイプのアダプターには焦点距離を変える光学系がないため、フルサイズEOS Rでは180mm F3.5として使用できます。
AF、電子絞り、レンズ情報などの電子通信も行われます。
アダプターの分だけ全長と重量が増えます。もともと約1,090gあるレンズなので、小型EOS Rへ装着するとレンズ側の重量を強く感じます。
カメラを持ってレンズをぶら下げるより、移動時もレンズ側を手で支える方が扱いやすくなります。
装着方法については、EOS RでEFレンズを使う方法も参考になります。
拡大表示や被写体検出をピント合わせに利用できる
EOS Rシリーズへ装着すると、電子ビューファインダーや背面モニターの拡大表示を使って細かなピントを確認できます。
三脚を使った花や商品撮影では、狙った部分を拡大してMFで合わせると等倍撮影のピントを追い込みやすくなります。
対応するEOS Rでは被写体検出AFも利用できますが、古いレンズそのもののフォーカス機構が新しいRFレンズへ変わるわけではありません。
EOS R側の新しいAF機能を利用しながら、EF180mmのリングUSMと長いフォーカス移動量を理解して使います。
マクロ域でAFが迷う場合は無理にAFだけで追わず、AFで大まかに合わせたあとMFへ移ります。
EOS Rへ替えることで、この古い180mmマクロでもピント確認の方法を増やせます。
EFレンズをEOS Rで活用する考え方は、EFレンズは今後も使える?も参考になります。
APS-Cでは約288mm相当の画角になる
EOS R7、R10、R50などAPS-CのEOS RシリーズへEF180mm F3.5L Macro USMを装着すると、35mm判換算で約288mm相当の画角になります。
レンズそのものの焦点距離が180mmから変化するわけではありません。APS-Cセンサーがフルサイズより狭い範囲を記録するため、画角が狭くなります。
小さな昆虫や花を画面内へ大きく配置しやすくなりますが、被写体を探す際の画角も狭くなるため、動く昆虫を追う難度は上がります。
三脚使用時は特に構図の微調整が細かくなります。
最大撮影倍率そのものはレンズの0.5倍や1.0倍という光学的な値からセンサーサイズだけで変化するわけではありませんが、記録範囲が狭いため、画面いっぱいに被写体を配置しやすく感じます。
APS-Cとフルサイズで画角が変わる仕組みは、マウントアダプターで画角は変わる?も参考になります。
EF100mm・RF100mmマクロとの違い
- 180mmは被写体との距離を確保しやすい
- EF100mmクラスは機動力を確保しやすい
- RF100mmは1.4倍とISを利用できる
180mmは被写体との距離を確保しやすい
EF180mm F3.5L Macro USMを100mmクラスのマクロと比較したとき、最大の違いは焦点距離です。
等倍撮影という結果が同じでも、180mmでは被写体からより離れた位置から撮影できます。
そのため近づくと逃げる昆虫、触れたくない植物、照明を被写体の周囲へ配置したい商品撮影などで有利です。
さらに画角が狭いため、背景の不要な部分を外しやすくなります。
一方、180mmは大きく重く、手ブレの影響も大きくなります。狭い室内では撮影距離を確保しにくい場合もあります。
180mmは「100mmより数字が大きいから優れている」というものではなく、必要な撮影距離が長い被写体に向くマクロです。
Canonの焦点距離別マクロを比較する場合は、Canonマクロレンズ一覧も参考になります。
EF100mmクラスは機動力を確保しやすい
100mmマクロは180mmより短く軽いモデルが多く、手持ち撮影や移動の多い撮影で使いやすくなります。
室内の商品撮影でも、180mmほど大きく後ろへ下がらずに構図を作れます。
花や昆虫を撮る場合も、警戒されない程度まで近づける被写体なら100mmで十分なことがあります。
一方、EF180mmは被写体へ近づきにくい状況で強みを発揮します。
庭の花を気軽に撮る、散歩へ一本だけ持ち出すといった用途では100mm前後が扱いやすく、本格的に昆虫を離れた位置から狙う場合は180mmが候補になります。
撮影倍率だけではなく、必要な撮影距離、重量、撮影場所の広さまで含めて焦点距離を選びます。
100mm等倍マクロについては、EF100mm F2.8 マクロで描く接写世界も参考になります。
RF100mmは1.4倍とISを利用できる
RF100mm F2.8 L MACRO IS USMは最大撮影倍率1.4倍まで対応し、EF180mmの1.0倍を超える拡大撮影ができます。
さらにレンズ内ISを搭載し、対応するEOS Rとの組み合わせでは新しい手ブレ補正機能も利用できます。
一方、焦点距離は100mmなので、被写体との距離を長く確保したい用途では180mmの性格が異なります。
非常に小さな部品や昆虫の細部をさらに拡大したい場合はRF100mmの1.4倍、被写体へ近づかず等倍を撮りたい場合はEF180mmという違いがあります。
EF180mmは1996年発売の設計なので、手ブレ補正や現代的な操作性ではRF100mmと世代差があります。それでも180mm等倍という焦点距離には現在でも独自性があります。
RF100mmについては、RF100mm F2.8 L MACRO IS USMレビューも参考になります。
中古EF180mm F3.5L Macro USMを選ぶ方法
- AFとフルタイムMFを近距離で確認する
- 光学系のカビ・曇り・偏りを確認する
- 三脚座とフォーカスリミッターも確認する
AFとフルタイムMFを近距離で確認する
EF180mm F3.5L Macro USMは1996年発売のレンズなので、中古では個体ごとの状態差が大きくなります。
AFは遠景だけで確認せず、最短撮影距離付近まで動かします。
無限遠から近距離、近距離から無限遠へ数回動かし、途中で止まらないか、異常音がないかを確認します。
フォーカスリングも回し、引っ掛かりや不自然な重さがないか見ます。
フルタイムMFも確認し、AF後にフォーカスリングで正常に微調整できるか試します。
マクロレンズは近距離で使う時間が長いため、遠くの壁へ一度AFを合わせただけでは十分な動作確認になりません。
フルタイムMFの仕組みは、フルタイムマニュアルフォーカスで直感操作も参考になります。
光学系のカビ・曇り・偏りを確認する
中古では前玉と後玉だけでなく、内部のカビや曇りも確認します。
強い曇りがあればコントラスト低下へつながり、逆光時に白っぽく見える場合があります。
小さなホコリだけなら写りへ影響しないことも多いですが、カビ、強い曇り、大きな傷は避けたい状態です。
可能なら実写し、F5.6からF8程度で平面的な被写体を撮影します。
画面の片側だけ極端に甘くないか、ピント位置が不自然に偏っていないか確認します。
マクロでは細部を見る用途が多いため、外観の小傷より実際の光学状態と動作を優先して確認します。
レンズの解像感を見る考え方については、レンズ解像度とは?解像力とシャープネスの違いも参考になります。
三脚座とフォーカスリミッターも確認する
EF180mm F3.5L Macro USMでは三脚座も実用上重要な部品です。
三脚座を回転させ、ロックつまみで確実に固定できるか確認します。緩みが大きい個体では三脚撮影時に構図が動く可能性があります。
フォーカスリミッターも切り替え、0.48mから無限遠、1.5mから無限遠のそれぞれでAFが正常に動くか確認します。
フードを使う場合は付属状況や取り付け部分の状態も見ます。
また、このレンズは防塵・防滴非対応です。外観がLレンズだからといって、現行の防塵防滴対応レンズと同じ扱いを前提にしない方が安全です。
中古個体では発売から長い年月が経過しているため、外観のきれいさだけでなく、光学系、AF、MF、三脚座、各スイッチを一通り確認します。
まとめ
Canon EF180mm F3.5L Macro USMは、180mmという長い焦点距離で最大撮影倍率1.0倍の等倍撮影ができるEFマウント用Lマクロレンズです。
1996年4月に発売され、レンズ構成は12群14枚、絞り羽根は8枚、最短撮影距離は0.48m、フィルター径72mm、最大径82.5mm、全長186.6mm、質量は三脚座を除いて約1,090gです。
最大の特徴は、100mm前後のマクロより被写体との距離を確保しながら等倍撮影しやすいことです。昆虫へレンズを急に近づけずに済み、花の撮影では自然光を遮りにくくなります。商品撮影でもレンズと被写体の間へ照明を配置しやすくなります。
180mmの狭い画角によって背景へ写る範囲を限定しやすく、被写体と背景を離せばF3.5でも大きな背景ボケを作れます。
昆虫撮影では、最初から最大倍率まで近づかず、離れた位置で被写体を捉えてから徐々に近づきます。手持ちなら1/500秒程度以上を一つの出発点とし、昆虫や花が動く場合はさらに高速シャッターを使用します。
花ではF3.5からF5.6で一部分を強調し、F8からF11では花全体の形を残しやすくなります。必要以上にF22やF32まで絞るのではなく、必要な被写界深度と解像感のバランスを確認します。
AFにはリングタイプUSMを採用し、フルタイムマニュアルフォーカスにも対応しています。AFで大まかに合わせ、等倍付近ではMFで最後のピントを追い込む使い方ができます。
フォーカス距離範囲は全域と1.5mから無限遠を切り替えられるため、遠距離撮影ではフォーカスリミッターを使うことで不要なAF移動を減らせます。
一方、レンズ内手ブレ補正は搭載されていません。約1,090gという重量もあるため、手持ちでは十分なシャッタースピードを確保し、静物や商品などでは三脚座を利用した三脚撮影が有効です。
三脚座を回転させれば、三脚に固定した状態で縦位置と横位置を切り替えられます。マクロ撮影で構図を細かく作る際にも使いやすい機構です。
EOS Rシリーズでもマウントアダプター EF-EOS Rを使用すれば装着できます。フルサイズEOS Rでは180mmの画角を維持し、APS-CのEOS Rシリーズでは35mm判換算約288mm相当の狭い画角になります。
RF100mm F2.8 L MACRO IS USMのような新しいマクロには1.4倍撮影やISがありますが、EF180mm F3.5L Macro USMには「180mmで距離を取りながら等倍を撮る」という明確な特徴があります。
中古ではAF、フルタイムMF、光学系、フォーカスリミッター、三脚座を実際に確認することが重要です。また、キヤノンの仕様では防塵・防滴非対応なので、屋外では雨や砂埃への配慮が必要です。
EF180mm F3.5L Macro USMは、軽量な日常用マクロとは性格が異なります。昆虫や花を離れた位置から等倍で狙い、狭い画角と大きな背景ボケを使って主役を明確に切り取るための、180mm中望遠ならではのマクロレンズです。



