EF85mm F1.8 USM作例|ポートレートから風景・鉄道まで85mmの描写を検証
Canon EF85mm F1.8 USMは、85mmという中望遠の焦点距離とF1.8の明るさを組み合わせたEFマウント用単焦点レンズです。人物撮影で使われることが多いレンズですが、85mmの狭い画角、背景を整理しやすい特性、F1.8の浅い被写界深度を生かせば、街角、鉄道、風景、店舗、花、建築物の一部分など、人物以外の被写体でも使い道があります。
レンズ構成は7群9枚、絞り羽根は8枚、最短撮影距離は0.85m、最大撮影倍率は0.13倍です。フィルター径58mm、最大径約75mm、全長約71.5mm、質量約425gと、85mm F1.8としては持ち歩きやすいサイズにまとまっています。AFにはUSMを採用し、リアフォーカス方式とフルタイムマニュアルフォーカスにも対応しています。手振れ補正は搭載していません。
このレンズの作例を見るときは、「85mmだからポートレート向け」という一点だけで判断すると本来の使い方が見えにくくなります。85mmは写る範囲を狭くできるため、風景の一部分だけを選び取ったり、街中の雑多な背景を整理したり、遠くの山や建物を引き寄せて見せたりする撮影にも向いています。ここでは人物、街角、鉄道、立山、上高地を題材に、EF85mm F1.8 USMでどのような写真表現を狙えるのかを作例とともに整理します。
EF85mm F1.8 USMの基本性能を作例の前に確認する
EF85mm F1.8 USMは、スペックだけを見ると非常にシンプルな中望遠単焦点です。しかし、85mm、F1.8、425g、USMという組み合わせが、このレンズの実用性を支えています。大口径Lレンズほど大型化せず、50mmより背景を整理しやすく、135mmほど撮影距離を必要としない点が扱いやすさにつながります。
85mm F1.8という組み合わせが作る立体感
85mmはフルサイズでは中望遠に分類され、50mmより画角が狭くなります。同じ大きさで人物や物を写そうとすると撮影者は少し後方へ下がるため、背景に写り込む範囲を減らしやすくなります。そこへF1.8の浅い被写界深度を組み合わせると、ピントを合わせた主題と背景の差を大きく見せられます。
立体感は焦点距離だけで生まれるものではありません。被写体と背景の距離、カメラと被写体の距離、背景の明るさや色も大きく影響します。人物を壁の直前へ立たせればF1.8でも背景の形は残りますが、人物から背景を数m以上離せば、85mmの狭い画角とF1.8を生かして柔らかな背景を作りやすくなります。
EF85mm F1.8 USMそのものの基本性能はCanon EF85mm F1.8 USM完全ガイドでも詳しく整理しています。
85mmはポートレート専用の焦点距離ではない
85mmという焦点距離は人物撮影で定番ですが、街角の看板、店舗の商品、鉄道、花、山岳、建築物の一部分などにも使えます。広角レンズのように周囲を全部見せるのではなく、景色の中から必要な部分だけを選び取る感覚が強くなります。
風景写真でも、山並み全体を広く撮るだけが表現ではありません。峰の重なり、残雪、湖面、樹木の一部分などを85mmで切り取ると、広角とは異なる密度のある構図を作れます。街中でも道路全体を撮るのではなく、店先の商品や人の流れの一部分だけを切り取ることで、背景を整理した写真にできます。
85mm、100mm、135mmなど中望遠全体の使い方は中望遠レンズの使い方ガイドで詳しく解説しています。
425gの軽さとUSMが実用性を高める
EF85mm F1.8 USMの質量は約425gです。F1.8という明るさを持ちながら、大型の85mm F1.2クラスほど重くありません。人物撮影で縦位置と横位置を何度も切り替える場合や、旅行で標準ズームと一緒に持ち歩く場合でも負担を抑えやすい重量です。
AFにはUSMを採用し、ピント合わせで鏡筒全長が変化しないリアフォーカス方式です。AFで合わせたあとフォーカスリングを操作できるフルタイムマニュアルフォーカスにも対応するため、浅い被写界深度でピント位置を細かく追い込みたい場面にも対応できます。
Canonの人物撮影向けレンズ全体で85mm F1.8がどこに位置するかはCanonポートレートレンズおすすめで比較しています。
ポートレート作例で見る85mm F1.8の魅力
EF85mm F1.8 USMで最も分かりやすい用途が人物撮影です。85mmでは人物からある程度距離を取りながら顔や上半身を大きく写せるため、背景を整理しやすく、顔の遠近感も穏やかになります。F1.8まで開ければ背景を大きくぼかせますが、人物の両目や髪まで残したい場合はF2.2からF2.8へ少し絞る使い方も有効です。
街角ポートレートでは背景を狭く切り取れる

都会の街角では、看板、通行人、街灯、車、店舗など多くの要素が背景へ入り込みます。広角や標準レンズでは周囲の情報が多くなりやすい一方、85mmなら写る範囲を狭くし、人物の背後へ必要な要素だけを残せます。
作例のように人物を画面の一方へ配置し、背景に店舗や街路を大きくぼかして残すと、場所の雰囲気を消しすぎずに人物を主役として見せられます。F1.8へ開ければ背景はさらに柔らかくなりますが、街の形を少し残したい場合はF2.5からF4程度まで絞る方法もあります。
ポートレートでの85mmの構図、光、背景処理はポートレート撮影完全ガイドで詳しく解説しています。
F1.8では背景の距離でボケが大きく変わる
EF85mm F1.8 USMのボケ量を最大限に使うには、絞り値だけでなく人物と背景の距離を意識する必要があります。人物のすぐ後ろに壁がある場合、F1.8でも壁の模様が分かることがあります。逆に人物から背景を十分に離せば、F2.8でもかなり柔らかい背景にできます。
背景に木漏れ日、街灯、反射光などの点光源がある場合は、ボケそのものを画面構成へ利用できます。8枚羽根の絞りを持つEF85mm F1.8 USMは、開放付近では点光源を比較的丸く見せやすく、人物の周囲へ柔らかな光の要素を置きやすいレンズです。
ボケの質と背景処理の関係は描写力とボケ表現の秘密で詳しく紹介しています。
顔のアップでは瞳へのピントが重要になる
85mm F1.8で顔を大きく写すと、被写界深度はかなり浅くなります。真正面に近い顔なら両目へピントを残しやすいものの、顔を斜めに向けた場合は左右の目とカメラまでの距離が変わるため、手前側の目にピントが合っていても奥側の目が被写界深度から外れることがあります。
一眼レフで使う場合はAFポイントを狙った目へ合わせ、撮影後に拡大して確認することが重要です。EOS Rシリーズへアダプター経由で装着する場合は、対応ボディの人物検出や瞳AFを利用できるため、EFレンズでありながら撮影方法は大きく変わります。
浅い被写界深度でのピント位置やAFとMFの使い分けはピント合わせの基本とコツで詳しく解説しています。
街角・店舗・鉄道の作例で見る85mmの切り取り方
85mmは人を撮らなくても使いやすい焦点距離です。特に街中では広い景色を全部写すのではなく、店先の商品、光が当たった部分、鉄道車両などを選んで切り取る使い方に向いています。画角が狭いことで、背景の不要な要素を画面外へ追い出しやすくなります。
店舗では商品と背景を分離して見せやすい

パン屋やカフェの店頭では、商品、値札、店内、植木、通行人など多くの情報が存在します。85mmなら手前の商品へピントを合わせながら、店内や道路を大きくぼかし、視線を主役へ集中させる構図を作りやすくなります。
F1.8ではピントの合う範囲が狭いため、パンが複数並んでいる場面で全体を見せたいならF2.8からF4へ絞る方が使いやすくなります。一つの商品だけを主役にするなら開放付近が有効です。85mmは最短撮影距離0.85mなので、極端な接写はできませんが、ある程度大きな物を少し離れて撮る用途には向いています。
85mm単焦点を人物以外へ使う具体例は85mm単焦点の使い道で詳しく解説しています。
鉄道では車両と背景の関係を整理しやすい

鉄道撮影では、85mmは超望遠ほど遠くを大きく写す焦点距離ではありませんが、駅や沿線で列車と周囲の風景を適度に組み合わせる用途に向いています。車両全体を画面へ入れつつ、背景の山や駅舎を少し大きく見せられるため、広角より密度のある画面を作れます。
列車が停車している場面ならF4からF8へ絞り、車体の前後や背景まである程度見せる撮り方ができます。走行中なら手振れ補正がないこと以上に被写体ブレが問題になるため、シャッタースピードを十分に確保します。F1.8まで開けられることは、曇天や夕方に高速シャッターを維持したい場合にも有利です。
焦点距離によって画面へ入る範囲がどう変わるかは画角とは?焦点距離との関係で確認できます。
85mmでは遠くの背景を大きく見せやすい
中望遠レンズで人物や鉄道を撮ると、広角や標準レンズより背景が大きく見えることがあります。これはレンズ自体が背景を物理的に近づけるのではなく、同じ大きさの主題を写すため撮影距離が長くなり、主題と遠景の見かけ上の大きさの差が小さくなるためです。
遠くの山、桜並木、建物、駅舎などを主題の背後へ大きく配置したい場合、85mmは扱いやすい焦点距離です。135mmや200mmほど撮影距離を必要とせず、それでも50mmより背景を整理しやすいため、街中や観光地でも使える余地があります。
焦点距離と撮影距離による背景の見え方は望遠レンズの圧縮効果とは?で詳しく解説しています。
風景作例で見る85mm単焦点の使い方
風景写真では広角ズームが使われることが多いものの、85mmだから撮れないわけではありません。広い景色を一枚へ収めるのではなく、山の形、雪渓、湖、川、樹木など、景色の中から必要な要素を選ぶことで中望遠らしい風景写真を作れます。
夏の立山では山肌と残雪を大きく見せる

夏の立山のように山の稜線、残雪、高山植物、湖など複数の要素がある風景では、広角レンズなら全体を一枚へ入れられます。一方、85mmでは湖面と残雪の山、特定の稜線などへ画面を絞り込み、山の形を大きく見せることができます。
遠景ではF1.8の大きなボケを使う必要はありません。山並みや湖面の細部を残すならF5.6からF8程度へ絞り、十分なシャッタースピードを確保します。中望遠では広角よりわずかな手ブレが目立ちやすいため、手振れ補正がないEF85mmでは1/250秒以上を確保すると扱いやすくなります。
中望遠で風景を切り取る考え方は中望遠レンズとは?85mm・100mm・135mmの使い方でも詳しく解説しています。
初夏の上高地では川と山を一部分だけ選ぶ

上高地のように前景の川、中景の樹林、背景の山が重なる場所では、85mmを使うことで三つの距離を圧縮したような構図を作れます。広角では川の広がりが強調されますが、中望遠では山を大きく見せながら川の一部分を前景として残せます。
85mmは単焦点なので、ズームリングで構図を調整できません。必要な範囲が入らなければ撮影者自身が前後へ移動する必要があります。風景写真ではこの制約が逆に構図を考えるきっかけになり、広い景色の中から主題を選ぶ練習にもなります。
人物だけでなく風景や街並みまで含めた中望遠の構図は中望遠レンズの使い方ガイドでも紹介しています。
風景ではF1.8よりF5.6からF8が使いやすい
大口径単焦点だからといって、すべての作例をF1.8で撮る必要はありません。風景では画面全体へピントを残したい場面が多いため、F5.6やF8まで絞る方が適しています。EF85mm F1.8 USMは開放で背景ボケを作るだけでなく、絞ったときの解像感を利用することで風景にも使えます。
F11以上まで絞ると被写界深度は深くなりますが、回折によって細部の解像感が低下する可能性があります。遠景なら無条件に最小絞りへするのではなく、必要な被写界深度とシャッタースピードのバランスを見ながらF5.6からF8付近を基準にすると扱いやすくなります。
F値によってボケ、解像感、被写界深度がどう変わるかはF値を知れば広がるカメラの世界で詳しく解説しています。
F1.8から絞ったときの描写と弱点
EF85mm F1.8 USMは開放から使えるレンズですが、新しいRFレンズのように収差を徹底的に補正した設計ではありません。開放では柔らかさ、周辺光量低下、色にじみが出る場面があり、少し絞ることで描写が変化します。作例を撮るときは「常にF1.8」に固定せず、被写体に合わせて絞りを変える方が使いやすくなります。
F1.8はボケ量と明るさを優先する設定
F1.8では背景を大きくぼかし、暗い環境でも速いシャッタースピードを確保しやすくなります。その代わり被写界深度が浅く、人物の顔や複数の被写体ではピント位置に注意が必要です。周辺部では光量低下も出やすいため、均一な明るさが必要な撮影では補正や絞り込みを考えます。
開放での少し柔らかな描写を人物撮影へ利用する方法もあります。目へピントを置き、肌や背景を柔らかく見せれば、最新レンズのような硬い解像感とは異なる雰囲気を作れます。逆に商品や風景で細部をはっきり見せたい場合は、開放へ固執する必要はありません。
レンズの解像力、周辺光量、ボケなどを総合して見る方法はレンズの光学性能とは?で詳しく解説しています。
F2.8前後まで絞ると描写が安定しやすい
EF85mm F1.8 USMはF2.8付近まで絞ると、開放よりピント面の安定感が増し、人物の顔全体や被写体の細部を残しやすくなります。背景ボケはF1.8より小さくなりますが、85mmという焦点距離自体が背景を整理しやすいため、F2.8でも十分に主題を分離できます。
二人以上を撮る場合、人物が完全に同じ距離へ並ばない限り、F1.8では一方だけが浅い被写界深度から外れる可能性があります。F2.8からF4へ絞り、必要ならISO感度を上げてシャッタースピードを維持した方が成功率は高くなります。
背景ボケとピント面のバランスについてはレンズの描写力とボケ表現でも詳しく紹介しています。
開放では紫や緑の色にじみが出る場面がある
明るい大口径レンズでは、ピント位置の前後へ紫や緑の色が付く軸上色収差が出ることがあります。EF85mm F1.8 USMも、白い服と暗い背景、金属の反射、逆光の枝、強い点光源など高コントラストの被写体を開放で撮ると、輪郭へ色にじみが見える場合があります。
この現象は故障ではなく光学的な収差です。F2.8やF4へ絞ると目立ちにくくなる場合があり、RAW現像でも軽減できます。人物の髪と逆光の空、鉄道車両の金属反射などは確認しやすい場面なので、撮影後に拡大して見るとレンズの傾向をつかみやすくなります。
紫や緑のフリンジが出る理由と補正方法は色収差とは?原因と補正方法で詳しく解説しています。
EOS RシリーズとAPS-Cで使うEF85mm F1.8 USM
EF85mm F1.8 USMはEFマウントのレンズなので、EOS一眼レフでは直接装着できます。EOS Rシリーズではマウントアダプター EF-EOS Rが必要ですが、焦点距離や開放F値を変える光学系は入っていないため、フルサイズEOS Rでは85mm F1.8の性格をそのまま使えます。
フルサイズEOS Rでは85mm本来の画角を使える
EOS R5、R6シリーズ、R8、RPなどのフルサイズEOS Rへ装着した場合、85mmの中望遠画角として使用できます。人物撮影では顔や上半身を自然な距離から撮りやすく、風景では山や街並みの一部分を切り取る用途に使えます。
一眼レフ時代のEF85mm F1.8 USMでも、EOS Rの撮像面AFや人物検出を利用できるため、浅い被写界深度でのピント合わせは大きく変わります。アダプターを挟む分だけ全長は増えますが、425gのレンズ自体が比較的軽いため、大型EFレンズほど重量増加が負担になりにくい組み合わせです。
EFレンズをEOS Rへ装着する方法はEOS RでEFレンズを使う方法で詳しく解説しています。
APS-Cでは約136mm相当の画角になる
EOS 90D、EOS Kissシリーズ、EOS R7、R10、R50などAPS-C機で85mmを使うと、35mm判換算では約136mm相当の画角になります。レンズ自体が136mmへ変化するわけではありませんが、センサーが中央部分を使用するため写る範囲が狭くなります。
ポートレートではフルサイズ85mmより撮影距離が必要になり、狭い室内では扱いにくくなる場合があります。一方、屋外では人物を離れた位置から切り取ったり、舞台やイベント、鉄道などを少し大きく写したりする用途で有利です。背景に入る範囲もさらに狭くなるため、整理された構図を作りやすくなります。
アダプター使用時の焦点距離と画角の考え方はマウントアダプターで画角は変わる?で整理しています。
対応マウントを確認すれば長く使いやすいEFレンズ
EF85mm F1.8 USMはフルサイズ対応のEFレンズなので、EFマウントのフルサイズ一眼レフとAPS-C一眼レフの両方で使用できます。EOS RシリーズではEF-EOS Rを介して使用できるため、ボディを一眼レフからミラーレスへ変更してもレンズを引き継げます。
一方、EF-MとRFは別マウントであり、同じCanonでも直接装着できる組み合わせは異なります。中古でボディとレンズを別々に購入する場合は、EF、EF-S、EF-M、RF、RF-Sを名称だけで判断せず、対応関係を確認する必要があります。
Canon各マウントの組み合わせはCanonレンズ対応表で確認できます。
他の85mmレンズとの違いと中古で選ぶポイント
EF85mm F1.8 USMを選ぶ場合、同じ85mmのF1.2やRF85mm F2との違いを知っておくと位置づけが分かりやすくなります。EF85mm F1.8 USMの特徴は、最も明るいことでも最も新しいことでもなく、85mm F1.8、高速USM、425gという扱いやすさにあります。
EF85mm F1.2L系とは明るさと携帯性が違う
EF85mm F1.2LシリーズはF1.2という非常に明るい開放値を持ち、F1.8よりさらに浅い被写界深度と大きな背景ボケを作れます。その代わり鏡筒は大きく、重量も増えます。撮影テンポや持ち歩きやすさではEF85mm F1.8 USMの方が軽快です。
F1.2が必要な場面は確かにありますが、人物撮影で常にF1.2を使うわけではありません。両目を残すためF2やF2.8まで絞ることも多く、その場合はF1.8レンズでも十分に対応できます。絶対的なボケ量を求めるか、携帯性とAF速度を重視するかで選択が変わります。
Canonの85mm単焦点全体はキヤノン85mm単焦点レンズガイドで比較できます。
RF85mm F2 MACRO IS STMは近接性能とISが強い
RF85mm F2 MACRO IS STMは、EF85mm F1.8 USMより開放F値が1/3段暗いF2ですが、最短撮影距離0.35m、最大撮影倍率0.5倍のハーフマクロ、レンズ内手振れ補正を備えています。花、小物、料理、アクセサリーまで一一本で撮る場合は、近接性能の差が大きくなります。
EF85mm F1.8 USMは最短0.85m、最大0.13倍なので、接写用途は得意ではありません。一方、人物や中距離の被写体を軽快に撮り、高速AFを重視する場合はEF85mmの性格が分かりやすくなります。EOS Rで使う場合はアダプターが必要ですが、中古EFレンズを活用できる点も違いです。
RF85mm F2のポートレートとマクロ性能はRF85mm F2 MACRO IS STMレビューで詳しく解説しています。
中古ではUSM・光学系・絞りを確認する
EF85mm F1.8 USMは発売から長い期間が経過しているため、中古では個体差を考える必要があります。外観がきれいでも、内部のカビやクモリ、USMの動作不良、絞り機構の不調があれば実写へ影響します。前玉と後玉だけでなく、光を通して内部を確認します。
AFは近距離と遠距離へ交互に合わせ、途中で止まらないか、異常な音が出ないかを確認します。絞りは開放だけでなくF8やF11でも撮影し、露出が安定しているかを見ると安心です。フォーカスリング、58mmフィルター枠、マウント部のガタつきも確認対象になります。
古いEFレンズを中古で選ぶ際の基本はCanon EFレンズの特徴と中古選びで詳しく紹介しています。
まとめ
EF85mm F1.8 USMは、85mm F1.8という中望遠単焦点の基本を425gの小型な鏡筒へまとめたレンズです。7群9枚、8枚羽根、最短撮影距離0.85m、最大撮影倍率0.13倍、フィルター径58mmというシンプルな仕様ですが、USMによるAF、リアフォーカス、フルタイムマニュアルフォーカスを備え、人物撮影だけでなく街角、鉄道、風景まで幅広く使えます。
ポートレートでは、85mmの狭い画角によって背景を整理し、F1.8の浅い被写界深度によって人物を浮かび上がらせやすくなります。ただし、大きなボケを作るには人物と背景の距離も重要です。顔を大きく写す場合は被写界深度が非常に浅くなるため、手前側の目へピントを置き、必要ならF2.8程度まで絞ることで成功率を上げられます。
街角や店舗では、広角のように周囲を全部写さず、主題だけを切り取る使い方ができます。鉄道では車両と背景の山や駅舎を適度に組み合わせ、85mmらしい密度のある構図を作れます。立山や上高地のような風景でも、山全体を広く写すのではなく、雪渓、湖、川、稜線など必要な部分だけを選ぶことで、中望遠ならではの風景写真になります。
開放F1.8はボケ量と明るさが魅力ですが、常に開放で使う必要はありません。人物の顔全体を残すならF2.8からF4、風景や鉄道の細部を残すならF5.6からF8と、撮影対象に合わせて絞りを変えることでこのレンズの用途は広がります。高コントラスト部分では開放付近で色にじみが出ることがあるため、必要に応じて絞るか現像時に補正します。
EOS一眼レフでは直接装着でき、EOS Rシリーズではマウントアダプター EF-EOS Rを介して使用できます。フルサイズでは85mm本来の中望遠画角、APS-Cでは約136mm相当の狭い画角になるため、ボディによって撮影距離や構図は変わります。
EF85mm F1.2Lシリーズのような極端な大口径でも、RF85mm F2 MACRO IS STMのようなハーフマクロでもありません。EF85mm F1.8 USMの魅力は、F1.8の明るさ、高速USM、425gの軽さ、85mmらしい背景整理を一つの小型レンズで使えることです。ポートレートだけに限定せず、街、鉄道、山岳、店舗などさまざまな被写体へ向けることで、このレンズの中望遠単焦点としての使いやすさがより明確になります。



