Canon EF16-35mm F2.8L III USMレビュー|画質・星景・建築・II型との違いを徹底解説
Canon EF16-35mm F2.8L III USMは、フルサイズ対応EFマウントの大口径超広角ズームレンズです。16mmという強い広角から35mmまでをカバーし、ズーム全域で開放F2.8を維持します。風景、建築、室内、星景、夜景、イベントなど、広い画角と明るさを同時に必要とする撮影へ対応できることが大きな特徴です。
レンズ構成は11群16枚で、大口径ガラスモールド両面非球面レンズ2枚、研削非球面レンズ1枚、UDレンズ2枚を採用しています。先代EF16-35mm F2.8L II USMから特に画面周辺部の描写を改善する方向で設計が見直され、倍率色収差、歪曲収差、像面湾曲、非点収差などを抑えています。さらにSWCとASCという2種類の反射防止コーティングを使い、広角レンズで問題になりやすいフレアやゴーストも低減しています。
最短撮影距離はズーム全域0.28m、最大撮影倍率は35mm時0.25倍、絞り羽根は9枚の円形絞りです。最大径は約88.5mm、全長約127.5mm、フィルター径82mm、質量約790gで、手ブレ補正機構は搭載していません。AFにはリングUSMを採用し、インナーフォーカスとフルタイムマニュアルフォーカスに対応します。大きさと重量はありますが、F2.8通しと周辺画質を優先したEF広角Lズームとして現在でも特徴が明確な一本です。
EF16-35mm F2.8L III USMの基本性能
EF16-35mm F2.8L III USMを見るときは、「16-35mm」「F2.8」「Lレンズ」という三つの要素を分けて考えると性格を理解しやすくなります。16mmはフルサイズで強い超広角表現が可能な焦点距離で、35mmまで伸ばせば日常的な広角スナップにも使えます。その全域でF2.8を維持し、さらに高い周辺描写を狙った光学系を組み合わせています。
16mmから35mmまでをF2.8通しで使える
広角端16mmでは対角線画角が非常に広く、狭い室内、大きな建築物、雄大な風景を一枚へ収めやすくなります。24mm付近までズームすると超広角特有の強さが少し落ち着き、風景、旅行、ドキュメンタリー撮影で使いやすい自然な広角へ変化します。35mmでは背景を適度に残した人物や街中のスナップにも対応できます。
焦点距離を変えても開放F値はF2.8のままなので、16mmで設定した露出を35mmへズームしただけで開放F値が暗くなることはありません。室内や夕方のイベントでマニュアル露出を使う場合にも扱いやすく、F4ズームより1段多く光を取り込めることは、シャッタースピードやISO感度を決めるうえで大きな違いになります。
EFマウントには11-24mm、16-35mm、17-40mmなど複数の広角ズームがあります。それぞれの焦点距離と明るさの位置付けは、Canon EF広角ズームレンズ一覧で比較できます。
11群16枚と5枚の特殊レンズで収差を補正する
光学系は11群16枚です。その中に大口径ガラスモールド両面非球面レンズ2枚、研削非球面レンズ1枚、UDレンズ2枚を配置しています。非球面レンズは広角ズームで発生しやすい歪曲収差、像面湾曲、非点収差などを補正するために使われ、UDレンズは色にじみの原因になる倍率色収差の低減を担当します。
重要なのは、特殊レンズを何枚使っているかだけではなく、それによって16mm側の周辺部をどこまで整えられるかです。超広角では画面中央と四隅で光線条件が大きく変わるため、中心だけシャープでも風景や建築では十分とはいえません。III型は先代II型よりも周辺部まで画質を引き上げることを大きな目的として設計されています。
解像力、色収差、歪曲、MTFなどを総合してレンズ性能を見る方法は、レンズの光学性能とは?解像力・MTF・色収差・ボケの見方で詳しく整理しています。
9枚円形絞りとリングUSMを採用する
絞り羽根は9枚の円形絞りです。超広角ズームは背景を大きくぼかす用途が中心ではありませんが、35mm側で被写体へ近づいてF2.8を使えば背景を整理できます。点光源をぼかしたときも、旧世代の7枚絞りより円形に近い形を維持しやすくなっています。
AFにはリングUSMを採用し、インナーフォーカスなのでピント合わせでレンズ全長が変化しません。AF後にフォーカスリングを回してピントを微調整できるフルタイムマニュアルにも対応しています。星景や建築でMFへ追い込みたい場合にも扱いやすい構成です。
F2.8が露出、被写界深度、ボケへどのように影響するかは、F値とは?絞りで変わる明るさ・ボケ・被写界深度で詳しく解説しています。
画質はIII型で何が変わったのか
EF16-35mm F2.8L III USMの最大の改良点は、単なるAF速度や外装の変更ではなく光学性能です。特に16mm側の四隅、開放F2.8での描写、倍率色収差、逆光性能が重要な改良部分です。風景や建築で画面全体を使う撮影では、中央だけを見るより周辺まで含めて評価する必要があります。
中央だけでなく四隅まで高い解像を狙った
開放F2.8から中央部は高い解像感を得やすく、細かな建築物、樹木、岩肌、室内のディテールを捉えられます。III型ではさらに、超広角ズームで弱くなりやすい画面周辺の像を整えることに重点が置かれています。先代II型から買い替える理由として、周辺画質の改善を重視する撮影者が多かったのもこのためです。
風景ではF5.6からF8付近まで絞ると画面全体の均一性をさらに高めやすくなります。F11も被写界深度が必要な場面では有効ですが、F16やF22まで絞れば必ず解像感が上がるわけではありません。高画素ボディでは回折による細部低下も見えやすくなるため、必要な被写界深度に合わせて絞りを決める方が合理的です。
MTFの10本/mmと30本/mmが何を示すのかは、MTFの10本/mmと30本/mmの違いで詳しく確認できます。
歪曲と倍率色収差を抑えて建築でも使いやすい
16mmの超広角では、樽型歪曲や画面端の倍率色収差が目立ちやすくなります。III型では大口径非球面レンズとUDレンズを組み合わせ、こうした収差を先代より強く抑えています。建物の外壁、窓枠、柱、水平線など直線が多い被写体では、歪曲の少なさが構図の整えやすさへ直結します。
一方、建物を見上げて撮影したとき上部がすぼまる現象は、レンズの歪曲収差だけが原因ではありません。カメラを上向きにしたことで生まれるパースも関係します。16mmを使えば撮影者が後ろへ下がれない場所でも全体を入れやすくなりますが、建築物を自然な形で見せるにはカメラの高さや角度も重要です。
広角レンズでの建築撮影とパースの扱いは、建築写真で表現する空間と感性で詳しく紹介しています。
SWCとASCで逆光時のフレアとゴーストを抑える
EF16-35mm F2.8L III USMでは、SWCとASCという2種類の特殊コーティングを採用しています。SWCは斜めから入る光に対する反射防止に効果を発揮し、ASCは空気を含む特殊な構造によって不要反射を抑えます。超広角では太陽や街灯が画面内へ入りやすいため、逆光性能は実写で重要です。
フレアやゴーストが完全になくなるわけではありませんが、強い光源を構図へ入れる風景、夕景、夜景、イベントでコントラストを維持しやすくなっています。また前後のレンズ面には汚れを拭き取りやすくするフッ素コーティングが施されており、屋外撮影後のメンテナンスにも配慮されています。
フレアとゴーストの違いや、レンズコーティングだけでは防げない条件については、フレアとは?ゴーストとの違い・防ぎ方・活かし方で詳しく解説しています。
16mmから35mmをどう使い分けるか
EF16-35mm F2.8L III USMは、ズーム比だけを見ると約2.2倍しかありません。しかし16mmと35mmでは画角が大きく異なり、同じ場所から撮っても写真の情報量や主役の大きさが大きく変わります。ズームリングで単に被写体を大きくするのではなく、撮影位置と焦点距離を組み合わせることが重要です。
16mmでは前景を大きく入れて奥行きを作る
16mmでは非常に広い範囲が写ります。遠くの山だけをそのまま撮ると、肉眼では大きく感じた山が写真では小さく見えることがあります。そこで効果的なのが、手前の岩、花、道路、水面などへ近づき、画面前方へ大きく配置する方法です。
近い被写体は大きく、遠い被写体は小さく見えるため、前景から遠景まで強い奥行きを作れます。広角らしい迫力は焦点距離だけで自動的に生まれるものではなく、撮影者が被写体へ近づいた結果として強く現れます。
前景、遠近感、画面整理など超広角の基本は、広角レンズの撮影テクニックで詳しく紹介しています。
24mm前後は風景と旅行で扱いやすい
24mm前後までズームすると、16mmほど極端に広くならず、画面内の主役をある程度大きく残しやすくなります。雄大な風景をすべて16mmで撮るより、24mmで不要な部分を切りながら主題を明確にした方がまとまる場面もあります。
旅行や街歩きでも24mm前後は扱いやすく、建物、人物、道路、店内などを一枚へ収められます。超広角特有の端部の引き伸ばしも16mmより穏やかになるため、人物を含むスナップにも使いやすくなります。
広角撮影では焦点距離と撮影位置を一緒に考える必要があります。被写体との距離によって写真がどう変化するかは、被写体との距離で写真はどう変わる?で詳しく整理しています。
35mmではスナップや人物まで対応できる
35mmまでズームすると、超広角という印象はかなり弱まり、日常スナップや人物に使いやすい自然な広角になります。人と周囲の環境を一緒に残す撮影では、50mmより背景を広く入れながら16mmほど極端な遠近感を出さずにまとめられます。
さらに最短撮影距離0.28mと最大撮影倍率0.25倍は35mm側で活用しやすく、花、料理、小物、手元などへ近づいて撮ることもできます。F2.8まで開き、被写体へ近づき、背景との距離を取れば、広角ズームでも背景をある程度ぼかせます。
焦点距離ごとに広角から標準へ写真の見え方がどう変わるかは、画角とは?焦点距離との関係と広角・標準・望遠の違いで確認できます。
風景・星景・建築でF2.8を生かす
このレンズのF2.8は、背景をぼかすためだけの仕様ではありません。広角ズームでF2.8を維持できる最大の利点は、暗所でシャッタースピードを確保しやすいことです。手ブレ補正を持たないレンズなので、星景や人が動く室内では光学式ISよりF2.8そのものが重要になります。
風景ではF5.6からF8を中心に使いやすい
明るい屋外の風景では、F2.8を常用する必要はありません。手前から遠くまでピントを合わせたい場合はF5.6からF8付近が使いやすく、必要に応じてF11まで絞ります。III型は周辺画質が改善されているため、画面の四隅へ木々や建物など細かな要素を入れる構図でも生かしやすいレンズです。
超広角では画面に入る情報量が多くなるため、レンズ性能以上に構図整理が重要です。手前に主役を置くのか、遠景を主役にするのか、空をどこまで入れるのかを決めないと、ただ広く写っただけの写真になりやすくなります。
広角レンズを風景で使う構図と設定については、広角レンズの撮影テクニックで詳しく解説しています。
星景では16mm F2.8の組み合わせが強い
星景写真では、広い空と地上の風景を同時に入れながら、星が流れすぎる前に露光を終える必要があります。16mmは広い空を入れやすく、F2.8ならF4より1段多く光を取り込めるため、シャッタースピードを短くしたりISO感度を抑えたりできます。
星を撮る場合は中央部だけでなく四隅の星像も重要です。周辺で点光源が大きく変形すると、天の川や星座を広く写したときに目立ちます。III型が先代から周辺画質を強化したことは、星景撮影でも意味があります。
キヤノン機での星空設定やF2.8広角レンズの使い方は、Canonで星空撮影する設定方法で詳しく紹介しています。
建築と室内では16mmの広さと歪曲の管理が重要になる
室内撮影では、撮影者が壁より後ろへ下がれないため16mmの画角が大きな武器になります。ホテル、住宅、寺社、店舗、イベント会場など、24mmでは空間全体が入り切らない場所でも16mmなら収められる場合があります。
一方、16mmでは画面端へ近づくほど人物や物体が引き伸ばされたように見えやすくなります。建築ではカメラを大きく上下へ傾けると垂直線が収束するため、必要以上に広角へ頼らず、撮影位置やカメラ高さを調整することも重要です。
建築写真で直線、パース、広角レンズを使い分ける考え方は、建築写真で表現する空間と感性で詳しく解説しています。
手ブレ補正なし・790g・82mmという実用面
EF16-35mm F2.8L III USMは高性能ですが、軽量な旅行ズームではありません。約790gあり、光学式手ブレ補正も搭載していません。F2.8、周辺画質、堅牢性を優先した結果として、携帯性には明確な負担があります。購入時には画質だけでなく、実際の撮影スタイルへ合うかを考える必要があります。
手ブレ補正はないのでF2.8と撮影姿勢を使う
EF16-35mm F2.8L III USMにはレンズ内手ブレ補正がありません。一眼レフで手持ち夜景を撮る場合、F2.8、ISO感度、シャッタースピードを使ってブレを抑えることになります。広角は望遠より手ブレが目立ちにくいものの、低速シャッターでは当然ブレが発生します。
静止した夜景なら三脚を使う方法がありますが、人物やイベントでは三脚を使っても被写体の動きは止まりません。その場合はF2.8によってシャッタースピードを確保する意味が大きくなります。手ブレ補正を持つF4ズームと、F2.8でシャッタースピードを稼ぐ本レンズは、暗所でも得意な対象が異なります。
EF16-35mm F4L IS USMの手ブレ補正とF4の性格は、EF16-35mm F4L IS USMで詳しく比較できます。
82mmフィルターでPLやNDを使える
フィルター径は82mmです。前玉が大きいF2.8広角ズームですが、EF11-24mm F4L USMのような突出した前玉ではないため、一般的なねじ込み式フィルターを使えます。風景ではPLフィルターで水面や葉の反射を調整し、NDフィルターで滝や雲の動きを長時間露光することができます。
超広角で厚みのあるフィルター枠を使用すると、条件によっては画面端へ影響が出る可能性があります。またPLフィルターは16mmのような広い画角で青空へ使うと、偏光効果の差によって空の濃さが不均一に見える場合があります。広角だからこそフィルターの効果も画面全体で確認する必要があります。
PL、ND、保護、可変NDの使い分けは、カメラ用レンズフィルター完全ガイドで詳しく紹介しています。
Lレンズらしい防塵・防滴とフッ素コーティングを備える
鏡筒は防塵・防滴に配慮した構造で、屋外の風景、報道、イベントなど天候を選べない撮影を想定しています。防水を意味する仕様ではありませんが、一般的な低価格ズームより環境変化へ対応しやすい設計です。
前後のレンズ面にはフッ素コーティングを採用し、油分や水滴などを拭き取りやすくしています。超広角では前玉へ雨粒や指紋が付くと逆光時に写りへ影響しやすいため、屋外撮影でのメンテナンス性も実用品として重要です。
EFレンズの中でLレンズがどのような位置付けなのかは、Canon EFレンズ一覧から広角ズームを含めて確認できます。
II型・F4L IS・RF15-35mmとの違い
EF16-35mm F2.8L III USMを中古で検討する場合、最も比較しやすいのが先代II型、EF16-35mm F4L IS USM、RF15-35mm F2.8 L IS USMです。それぞれ焦点距離が近くても、明るさ、重量、手ブレ補正、周辺画質、使用するマウントが異なります。
II型からは周辺画質と逆光性能が大きな改良点
EF16-35mm F2.8L II USMは12群16枚、7枚円形絞り、最短撮影距離0.28m、最大撮影倍率0.22倍、質量約640gです。III型は11群16枚、9枚円形絞り、最大撮影倍率0.25倍、質量約790gとなり、約150g重く、全長も長くなっています。
III型の利点は小型軽量化ではありません。大口径ガラスモールド両面非球面レンズ、研削非球面レンズ、UDレンズ、SWC、ASCを組み合わせ、特に広角側の周辺描写、色収差、歪曲、逆光性能を高めています。価格や軽さを優先するならII型にも意味がありますが、四隅までの画質を優先するならIII型の設計が有利です。
先代の特徴は、EF16-35mm F2.8L II USMで詳しく紹介しています。
EF16-35mm F4L IS USMは175g軽く4段ISを持つ
EF16-35mm F4L IS USMは質量約615gなので、III型の790gより約175g軽量です。さらに約4段分の光学式手ブレ補正を搭載し、静止した風景や建築、夜景を手持ちで撮る場合に有利です。フィルター径も77mmで、82mmのIII型よりアクセサリーを小さくできます。
一方、開放F値はF4なのでIII型より1段暗くなります。星景や人物を含む暗所、イベントなど被写体自身が動く場面では、手ブレ補正よりF2.8でシャッタースピードを上げられる方が役立つことがあります。静止した被写体中心ならF4 IS、F2.8が必要な暗所や星景ならIII型という違いが明確です。
F4L ISの画質や手ブレ補正については、EF16-35mm F4L IS USMを徹底解説で詳しく比較できます。
RF15-35mm F2.8 L IS USMは15mmとISを追加したRF世代
RF15-35mm F2.8 L IS USMは、RFマウント専用として15mmから35mmまでをF2.8でカバーします。EF16-35mm IIIより広角端が1mm広く、レンズ内手ブレ補正を搭載し、AFにはナノUSMを使用します。質量は約840gなので、レンズ単体ではEF16-35mm IIIより約50g重くなります。
EOS Rシリーズだけで使うなら、アダプター不要、15mm、ISという点でRF15-35mmが扱いやすくなります。一方、EF16-35mm IIIはEOS一眼レフでも使え、マウントアダプターを介してEOS Rシリーズでも利用できます。中古価格を含めて考えると、高性能なF2.8広角ズームをEFとRFの両方で使いたい場合にIII型の価値が残ります。
RF世代の広角ズームとの位置付けは、Canon RF広角ズームで描く風景で確認できます。
EOS Rシリーズで使う場合のポイント
EF16-35mm F2.8L III USMはEFマウントなので、EOS Rシリーズへ直接装着することはできません。マウントアダプター EF-EOS Rを介して使用します。光学系を持たない標準アダプターなら焦点距離や開放F値は変化せず、EFレンズとしての16-35mm F2.8を維持できます。
フルサイズEOS Rでは16-35mm F2.8のまま使える
フルサイズのEOS Rシリーズへ装着した場合、16mmは16mm、35mmは35mmとして本来の画角を利用できます。マウントアダプターが焦点距離を伸ばしたりF値を暗くしたりすることはありません。AFや絞りなどの電子通信もアダプターを介して行われます。
一眼レフで長く使用してきたEF16-35mm IIIを、ボディだけEOS Rシリーズへ変更して継続利用できることは大きな利点です。RF15-35mmへ買い替える前に手持ちのEFレンズを活用する方法としても成立します。
EFレンズをEOS Rで利用する基本構造は、EOS RでEFレンズを使う方法で詳しく解説しています。
APS-C EOS Rでは約26-56mm相当の画角になる
EOS R7、R10、R50、R50 V、R100などキヤノンAPS-C機で使用すると、35mm判換算でおよそ26-56mm相当の画角になります。レンズ自体の焦点距離は16-35mmのままですが、APS-Cセンサーではフルサイズより狭い範囲を記録します。
そのため16mm側でも超広角にはならず、約26mm相当の一般的な広角から始まります。35mm側は約56mm相当なので、広角から標準までのF2.8ズームとして使えます。APS-Cでは本来の16mm超広角を生かせない一方、標準ズームに近い画角になるため用途そのものが変わります。
マウントアダプターを使ったときの焦点距離と画角の考え方は、マウントアダプターで画角は変わる?で詳しく整理しています。
EFとRFをまたいで使えることが中古EFの強みになる
EF16-35mm F2.8L III USMは、一眼レフ用レンズとして完成度が高いだけでなく、EOS Rシリーズへ移行した後も使用できます。この互換性があるため、中古EFレンズは一眼レフ専用の過去の資産に限定されません。
一方、EOS Rシリーズだけを今後使い続ける場合は、RF15-35mmやRF14-35mmなどRF専用レンズの方がアダプター不要でシステムを簡潔にできます。EF16-35mm IIIを選ぶ意味は、高い光学性能、中古価格、EF一眼レフとの共用、F2.8という条件をどこまで重視するかで決まります。
キヤノンのEF系とRF系をまとめて確認する場合は、キヤノン大全から広角ズームの各記事へたどれます。
中古で購入するときに確認したいポイント
EF16-35mm F2.8L III USMは高価なLレンズだったため、中古で狙う価値があります。一方、風景、報道、イベントなど現場で酷使された個体も存在するため、外装のきれいさだけでは判断できません。光学系、AF、ズーム、片ボケ、フィルター枠まで確認したいレンズです。
カビ・クモリ・傷だけでなく片ボケも見る
前玉や後玉に大きな傷がないか、内部にカビやクモリがないかを確認します。多少のチリは撮影へ影響しない場合がありますが、広範囲のクモリは逆光時のコントラスト低下へつながります。超広角では前玉の状態も画質へ影響しやすいため、強い光を当てた確認が重要です。
さらに風景や建築で使うなら、画面の左右や四隅で解像感が大きく違わないかも確認したい部分です。平面の建物や遠景を正面から撮影し、同じ距離にある左右の細部を比較すれば片ボケを見つけやすくなります。
古いEFレンズを中古で選ぶ際の基本的な確認項目は、Canon EFマウントの安い神レンズおすすめでも紹介しています。
リングUSM・ズームリング・絞りの動作を確認する
AFは近距離と遠距離を何度か往復させ、迷い、異音、停止がないかを確認します。リングUSMは本来スムーズで高速な駆動が特徴なので、不自然な作動音や途中停止がある個体は避けたい部分です。AF後にフォーカスリングを回し、フルタイムマニュアルが自然に操作できることも確認します。
ズームリングは16mmから35mmまで引っ掛かりなく動くか、鏡筒に大きなガタがないかを確認します。F2.8だけでなくF8やF16でも撮影し、絞りが正常に動作することも見ておくと安心です。
EF16-35mm以前の大口径広角ズームがどのような構造だったかは、EF17-35mm F2.8L USMレビューでも確認できます。
82mmフィルター枠と外装の使用歴も見る
広角風景でPLやNDを頻繁に使用した個体では、82mmのフィルター枠に傷や変形がある場合があります。フィルターをねじ込めないほど枠が変形していると、風景用途では大きな問題になります。前枠の打痕やフード取り付け部の破損も確認したい部分です。
外装の擦れだけなら実写性能へ直結しない場合がありますが、強い衝撃を受けた痕跡がある個体は光軸ずれも確認したいところです。Lレンズの防塵・防滴構造も経年や使用状況によって新品時と同じ状態が保証されるわけではないため、中古では過度に期待しない方が現実的です。
EF17-40mmなど他の中古広角Lズームとの価格や用途の違いは、EF17-40mm F4L USMの実力を引き出すコツでも比較できます。
まとめ
Canon EF16-35mm F2.8L III USMは、16mmから35mmまでをズーム全域F2.8でカバーするフルサイズ対応の大口径超広角Lズームです。11群16枚の光学系に、大口径ガラスモールド両面非球面レンズ2枚、研削非球面レンズ1枚、UDレンズ2枚を採用し、先代II型で課題になりやすかった広角側の周辺描写や収差を大きく改善しています。
SWCとASCを組み合わせた反射防止コーティングによって、太陽や照明が画面へ入りやすい超広角撮影でフレアやゴーストを抑えています。絞り羽根は9枚、最短撮影距離はズーム全域0.28m、最大撮影倍率は35mm時0.25倍なので、風景や建築だけでなく近距離の被写体を背景ごと写す広角クローズアップにも利用できます。
16mmでは前景を大きく入れた強い遠近感、24mm前後では風景や旅行に使いやすい自然な広角、35mmではスナップや人物というように、一つのレンズで表現を変えられます。特にF2.8の明るさは、星景、夜景、イベント、室内など光量が不足する場所で重要です。
一方、約790gあり、レンズ内手ブレ補正はありません。軽さと手ブレ補正を優先するなら約615gで4段ISを搭載するEF16-35mm F4L IS USMがあり、EOS Rシリーズ専用なら15mm始まりでISを搭載するRF15-35mm F2.8 L IS USMがあります。EF16-35mm F2.8L III USMは、F2.8とEFマウント互換性、周辺までの画質を重視する場合に性格が明確です。
先代EF16-35mm F2.8L II USMと比べると、III型は約150g重くなっていますが、周辺画質、倍率色収差、歪曲、逆光性能が大きな改良点です。フィルター径82mmと最短撮影距離0.28mは共通ですが、III型では9枚円形絞り、最大撮影倍率0.25倍となり、近接性能も向上しています。
マウントアダプター EF-EOS Rを使えば、EOS Rシリーズでも焦点距離や開放F値を変えずに利用できます。フルサイズでは本来の16-35mm、APS-Cでは約26-56mm相当の画角となります。一眼レフとミラーレスの双方で使えるため、高性能な中古EF広角ズームを探す場合にも候補として残ります。
中古購入ではカビ、クモリ、傷だけでなく、片ボケ、リングUSM、ズームリング、絞り、82mmフィルター枠の状態まで確認することが重要です。携帯性だけを求めるレンズではありませんが、超広角16mm、F2.8、画面周辺までの高い描写力、強い逆光への対応力を一つにまとめたEF広角ズームとして、風景、建築、星景、室内撮影で現在も使い道のはっきりした一本です。



