RF400mm F2.8 L IS USMレビュー|画質・AF・手ブレ補正・超望遠の実力
RF400mm F2.8 L IS USMは、400mmという超望遠と開放F2.8を組み合わせた、キヤノンRFマウントの大口径超望遠単焦点レンズです。いわゆる「ヨンニッパ」と呼ばれるクラスで、スポーツ、野鳥、野生動物、モータースポーツなど、遠くの被写体を高速シャッターで捉えながら背景を大きくぼかしたい撮影で強みを発揮します。焦点距離だけなら小型の超望遠ズームにも400mmを含む製品がありますが、F2.8という明るさまで備えることで、同じ400mmでも撮影できる条件と得られる描写は大きく変わります。
光学系は13群17枚で、蛍石レンズ2枚とスーパーUDレンズ1枚を採用しています。ここで重要なのは、RF400mm F2.8 L IS USMがRFマウント化に合わせてまったく新しい光学系を作ったレンズではないことです。キヤノンはEF400mm F2.8L IS III USMの光学系を継承したことを明らかにしており、RFマウントへ直接装着できる構造としながら、EF時代に完成度を高めた光学設計を引き継いでいます。
レンズ単体の手ブレ補正効果は最大5.5段で、ISモードは1・2・3を搭載します。AF駆動にはリングUSMを採用し、フォーカスプリセット、フォーカス距離範囲切り替え、AFストップボタン、パワーフォーカスなど、大口径超望遠を実戦で使うための機能も豊富です。最短撮影距離2.5m、最大撮影倍率0.17倍、全長約367mm、最大径約163mm、質量約2,890gという巨大なレンズですが、400mm F2.8としては重量を抑えた設計になっています。
RF400mm F2.8 L IS USMの基本性能
RF400mm F2.8 L IS USMを評価するときは、単純に「400mmの単焦点」と見るだけでは不十分です。400mmでF2.8を実現するためには巨大な前玉と高度な色収差補正が必要になり、その結果として一般的な望遠ズームとは異なる画質、ボケ、シャッタースピードの自由度が得られます。大きさと価格も含め、性能を最優先したレンズとして考える必要があります。
400mm F2.8だからこそ得られる撮影領域
400mmは遠くの被写体を大きく写せる焦点距離であり、フィールドスポーツ、サーキット、鳥類、野生動物などで使いやすい超望遠域です。100-500mmクラスのズームでも400mmという焦点距離自体は利用できますが、RF400mm F2.8 L IS USMの最大の違いは開放F2.8にあります。F5.6に対して2段、F8に対して3段明るいため、同じISO感度なら大幅に速いシャッタースピードを選べます。
スポーツでは被写体ブレを止めるため1/1000秒以上を使いたい場面が珍しくありません。曇天、夕方、ナイターの競技では光量が減るため、開放F2.8を使えることがISO感度の上昇を抑えることにつながります。手ブレ補正では選手や鳥そのものの動きを止めることはできないため、速いシャッターを確保しやすいF2.8は超望遠撮影で実用上の意味があります。
さらに、400mmという狭い画角とF2.8の浅い被写界深度を組み合わせることで、主役だけを浮き上がらせる描写が可能です。背景に観客席、フェンス、枝葉などがある場面でも、撮影距離と背景までの距離を確保できれば大きくぼかせます。RFマウントの超望遠単焦点全体についてはCanon RF超望遠単焦点レンズの特徴でも紹介しています。
蛍石2枚とスーパーUDレンズ1枚を採用した光学系
光学系は13群17枚で、蛍石レンズ2枚とスーパーUDレンズ1枚を採用しています。400mmのような超望遠レンズでは、波長による屈折率の違いから軸上色収差や倍率色収差が目立ちやすくなります。特にF2.8の大口径では入射する光の量が多く、色収差を抑えながら高い解像力を維持することは容易ではありません。
蛍石は異常分散特性を利用して色収差を強力に補正できる素材で、キヤノンの大口径超望遠Lレンズで長く使われてきました。スーパーUDレンズも色収差補正に寄与し、白いユニフォームと暗い背景、鳥の羽毛と明るい空など、強いコントラストがある境界でも色にじみを抑える設計になっています。高画素のEOS Rシリーズで使用する場合でも、レンズ側に高い解像力があることは細部描写の土台になります。
また、ASCとSSCによるコーティングを採用し、フレアやゴーストの抑制にも配慮されています。400mmでは画角が狭いため超広角ほど太陽が画面内へ入り込む機会は多くありませんが、逆光のスポーツや野鳥撮影では強い光源がフレーム周辺に存在することがあります。光学性能を構成する収差やコーティングについてはレンズの光学性能とは何かでも詳しく解説しています。
開放F2.8から高い解像力と滑らかなボケを両立
RF400mm F2.8 L IS USMは、F2.8を単なる低照度対策として使うレンズではありません。実写評価では開放から画面中央の解像力が非常に高く、被写体の細かな毛並み、羽毛、ユニフォームの繊維、車体の文字などを明瞭に描写できます。絞り込むことでわずかな向上は得られるものの、画質のため常にF4やF5.6へ絞る必要性が小さく、F2.8そのものを積極的に使えることが特徴です。
ボケについても、400mmという焦点距離とF2.8の組み合わせは強力です。同じ位置から同じ被写体を撮るだけで焦点距離そのものが遠近感を変えるわけではありませんが、400mmでは離れた位置から狭い範囲を切り取る撮影が多くなり、背景を大きく引き寄せたような画面構成になります。そのうえ被写界深度が浅いため、背景を大きくぼかして被写体の輪郭を明確にできます。
9枚羽根の円形絞りを採用しているため、点光源やハイライトのボケも自然につながりやすく、スポーツだけでなく屋外ポートレートにも強い描写を得られます。超望遠レンズでは背景の整理そのものが画質の一部になるため、解像力とボケの両方を見ることが重要です。レンズの解像感とボケを含めた描写の考え方はレンズの描写力とボケの見方で詳しく紹介しています。
AF・手ブレ補正・フォーカス操作
大口径超望遠レンズでは、光学性能だけ高くても動く被写体を追えなければ実戦で使いにくくなります。RF400mm F2.8 L IS USMにはリングUSM、3種類のISモード、フォーカスプリセットなど、スポーツや野鳥を継続して追うための機能が多数搭載されています。
リングUSMと3段階のフォーカス距離範囲
AF駆動にはリングタイプのUSMを採用しています。RFレンズではNano USMを採用する製品も多いものの、RF400mm F2.8 L IS USMはリングUSMです。大きなフォーカス群を高速に駆動し、遠距離から近距離へ大きくピント位置が変化する状況でも素早い合焦を狙える構成になっています。
フォーカス距離範囲はFULLの2.5m〜∞、2.5〜7m、7m〜∞の3段階から選択できます。例えばサーキットやフィールドスポーツで近距離へ被写体が来ないことが明確なら7m〜∞へ制限することで、AFが不要な近距離まで探しに行く動きを抑えられます。野鳥撮影で近距離の止まり木も遠方の飛翔も狙う場合はFULLの方が扱いやすくなります。
鏡筒前方にはAFストップボタンも配置されており、AF動作を一時停止したい場面で利用できます。ボディ側のAFカスタマイズと組み合わせれば、被写体追従を続ける撮影でも操作をレンズ側へ分散できます。リングUSMとNano USMなどの違いはキヤノンUSMの種類と特徴で詳しく解説しています。
最大5.5段の光学式手ブレ補正と3つのISモード
レンズ内には最大5.5段の補正効果を持つ光学式手ブレ補正機構を搭載しています。400mmではわずかなカメラの動きでも画面上では大きなブレとして現れるため、手持ち撮影だけでなく一脚使用時や構図を整える段階でもISの効果があります。ただし、ISが補正するのは撮影者側のブレであり、走る選手や飛んでいる鳥の動きを止める機能ではありません。
ISモード1は一般的な静止被写体向けで、全方向の手ブレを補正します。モード2は流し撮りを想定し、カメラを振る方向を判別して、それと直交する方向のブレを補正します。モータースポーツや陸上競技などで被写体の移動に合わせてカメラを振る場合に適しています。
モード3はシャッターを切る瞬間を中心に補正を行う方式で、不規則に動く被写体を追うときにファインダー像へ補正の影響を出しにくいことが特徴です。飛翔する鳥や方向転換を繰り返す競技などでは、撮影者のパンニングを妨げにくくなります。モードごとの使い分けについてはCanonの手ブレ補正機能と使い方でも解説しています。
フォーカスプリセットとパワーフォーカスが実戦で役立つ
フォーカスプリセットは、あらかじめ記憶した距離へ素早くピントを戻す機能です。撮影場所がある程度決まっているスポーツや野鳥では、ゴール付近、止まり木、コーナーなど特定の距離を登録しておき、必要になった瞬間に呼び戻せます。RF400mm F2.8 L IS USMでは1か所だけでなく2か所の距離を登録して使うこともできます。
マニュアルフォーカス時のフォーカスリング操作速度も3段階から選べます。素早く大きく移動させたい場合と、遠距離でわずかなピント位置を追い込みたい場合で操作感を変えられるため、AFだけに頼らない撮影でも扱いやすくなっています。電子式のフォーカスリングですが、超望遠で要求される微調整を考えた機能が用意されています。
さらにパワーフォーカスを利用すれば、フォーカスを一定の速度で移動させる操作が可能です。静止画ではフォーカスプリセットの方が使う機会は多いものの、動画で遠景から近景へ滑らかにピントを移したい場合には有効です。AFとMFをどのように使い分けるかはAFとMFの違いと使い分けで詳しく紹介しています。
スポーツ・野鳥・人物撮影での実力
400mm F2.8は用途が明確なレンズです。旅行へ一本だけ持ち出すような万能性はありませんが、撮影距離があり、速いシャッタースピードと大きなボケが必要な被写体では、一般的な超望遠ズームとの差がはっきり出ます。
スポーツではF2.8がシャッタースピードとISO感度に効く
スポーツ撮影では400mmの画角が被写体を大きく捉えやすく、フィールドの反対側やサーキットの離れた位置からでも選手や車両を切り取れます。日中の明るい場所だけならF5.6やF7.1のズームでも十分なシャッタースピードを得られますが、天候が悪化したり日が傾いたりするとF2.8の優位性が急速に大きくなります。
例えば同じISO感度なら、F5.6で1/500秒になる場面をF2.8では1/2000秒まで速くできます。逆に同じ1/2000秒を維持するなら、F2.8ではISO感度を2段下げられます。実際の露出は照明や被写体によって変わりますが、大口径によって選択肢が増えること自体が重要です。
高速連写と被写体検出AFを備えたEOS Rシリーズと組み合わせると、400mm F2.8の光量を生かしながら連続した動きを追いやすくなります。高速シャッターだけでなく流し撮りではISモード2も利用できます。動体を止めるためのシャッタースピードと撮影方法については動く被写体を止めて撮る方法で詳しく解説しています。
野鳥では明るさとボケが強力だが400mmの距離感を理解したい
野鳥撮影でもRF400mm F2.8 L IS USMは非常に高い性能を持ちます。薄暗い林内や早朝でもF2.8を使えるため、シャッタースピードを維持しながらISO感度を抑えやすく、枝葉の間にいる鳥を背景から分離して写せます。羽毛の細かな描写を狙う場合にも、開放から高い解像力を使えることは大きな利点です。
一方、小型の野鳥を遠距離から大きく写す用途では400mmだけでは短く感じることがあります。被写体まで近づけない場所では500mm、600mm、800mmといった焦点距離が有利で、RF400mm F2.8 L IS USMではエクステンダーを利用して焦点距離を伸ばす選択肢があります。400mm単体では、飛翔する大型の鳥、比較的近距離の止まり物、薄暗い場所などでF2.8の強みが出ます。
また、背景を大きくぼかすには焦点距離だけでなく、被写体と背景の距離も重要です。鳥のすぐ後ろに枝葉が密集している場合はF2.8でも背景の形が残りますが、背景が数十メートル離れれば非常に滑らかなボケを作れます。野鳥を超望遠で撮る基本は野鳥撮影のレンズ選びと撮影方法でも紹介しています。
遠距離ポートレートでは背景を大きく整理できる
400mm F2.8はスポーツや野鳥専用と思われがちですが、十分な撮影距離を取れる場所なら人物撮影でも独特の描写が得られます。画角が極めて狭いため背景から不要な要素を排除しやすく、F2.8では被写体だけを鮮明に残して前後を大きくぼかせます。屋外スポーツ選手のポートレートやステージ撮影などでは特に使いやすい条件があります。
撮影距離が長くなることで、背景の一部分だけを切り取った構図になりやすく、標準や中望遠とは異なる画面構成を作れます。一方、狭い場所では後ろへ下がれず、全身を入れることさえ難しくなります。400mmは人物撮影全般に向く焦点距離ではなく、十分な距離を確保できる環境で初めて特徴を生かせます。
また、F2.8では被写界深度が浅いため、顔にピントが合っていても身体の前後で急速にボケる場合があります。人物の向きや撮影距離に応じてF3.2やF4へ少し絞る判断も必要です。望遠で背景を整理する考え方はポートレート撮影で背景を生かす方法でも解説しています。
エクステンダー・近接撮影・フィルターの使い方
RF400mm F2.8 L IS USMは400mm F2.8だけで使うレンズではなく、RF1.4xとRF2xのエクステンダーに対応しています。560mm F4、800mm F5.6まで焦点距離を伸ばせるため、スポーツから野鳥まで一つのレンズを中心に撮影距離へ対応できます。その一方で、エクステンダーを使用すれば画質やAF条件も変化します。
RF1.4xで560mm F4として使える
EXTENDER RF1.4xを装着すると焦点距離は560mm、開放F値はF4になります。400mmでは少し短い野鳥やフィールド競技でも、1.4倍の焦点距離を得ながらF4を維持できるため、非常に実用的な組み合わせです。600mm F4に近い撮影領域を作りながら、必要なときはエクステンダーを外して400mm F2.8へ戻せます。
エクステンダーを使用するとレンズ枚数が増えるため、単体使用時と完全に同じ解像力を維持するわけではありません。実写テストではRF1.4x装着時に開放の中心部でわずかな解像低下が見られるものの、F5.6へ一段絞ることで改善する傾向が確認されています。元のRF400mm F2.8 L IS USMに十分な解像力があるため、560mm F4でも高い画質を得やすい組み合わせです。
AFや手ブレ補正の連携も維持されるため、単に焦点距離を伸ばすだけのアクセサリーではなく、撮影システムとして利用できます。焦点距離と開放F値がどう変化するかを含め、RFエクステンダーの使い方はRF1.4x・RF2xエクステンダーの使い方で詳しく解説しています。
RF2xなら800mm F5.6まで伸ばせる
EXTENDER RF2xを装着すると800mm F5.6になります。400mm単体の2倍まで焦点距離を伸ばせるため、遠距離の野鳥や野生動物では撮影できる範囲が大きく広がります。800mmクラスの単焦点を別に用意せず、400mm F2.8を基準にして必要なときだけ800mmへ切り替えられる点は大きな利点です。
一方、2倍エクステンダーでは1.4倍より画質への影響が大きくなります。800mm F5.6の開放では単体使用より解像感の低下が分かりやすく、F8へ絞ることで改善する傾向があります。大気の揺らぎの影響も焦点距離が長いほど目立つため、遠くの被写体が甘く見える原因をレンズだけに求めないことも重要です。
800mmでは画角が極端に狭くなり、被写体をファインダーへ導入する難易度も上がります。鳥の飛翔を追う場合は400mmや560mmの方が扱いやすいこともあり、被写体の大きさと距離に応じて使い分ける方が効率的です。600mm以上の超望遠が必要になる場面は600mmレンズが活躍する撮影シーンでも紹介しています。
最短2.5m・最大0.17倍と52mmドロップインフィルター
最短撮影距離は2.5m、最大撮影倍率は0.17倍です。マクロレンズのような高倍率撮影はできませんが、400mmという焦点距離を考えると比較的近い位置までピントを合わせられます。大型の花、昆虫、動物の顔などを離れた位置から切り取る用途では、超望遠ならではの近接表現を作れます。
巨大な前玉を持つため、一般的なねじ込み式フィルターをレンズ前面へ装着する構造ではありません。鏡筒後部へ52mmのドロップインフィルターを挿入する方式を採用しています。前玉に合わせた巨大なフィルターを用意する必要がなく、保護ガラスや偏光フィルターなどをレンズ後部側で扱えます。
最短撮影距離だけを見ると通常のレンズより長く感じますが、被写体へ物理的に近づきにくい野生動物や競技撮影ではワーキングディスタンスを保てることが利点になります。撮影倍率と最短撮影距離の違いはマクロレンズと最大撮影倍率の基本でも詳しく解説しています。
EF400mm F2.8L IS III・RF600mm F4・超望遠ズームとの違い
RF400mm F2.8 L IS USMは単体で非常に完成度の高いレンズですが、選択肢として考える場合はEF400mm F2.8L IS III USM、RF600mm F4 L IS USM、RF100-500mmやRF200-800mmと比較すると特徴が分かりやすくなります。
EF400mm F2.8L IS III USMとは光学系を共有する
RF400mm F2.8 L IS USMとEF400mm F2.8L IS III USMの関係は非常に近く、RF版はEF版の光学系を継承しています。両方とも13群17枚で、蛍石2枚とスーパーUDレンズ1枚を使用しています。RFマウントになったことで新しいショートバックフォーカス専用光学系へ全面変更されたレンズではありません。
EF400mm F2.8L IS III USMは全長約343mm、質量約2,840gで、RF400mm F2.8 L IS USMは全長約367mm、約2,890gです。つまりRF版は約24mm長く、約50g重くなっています。RF化したからレンズ単体が小型軽量になったわけではなく、EF用レンズをEOS Rへマウントアダプター経由で装着する構成に近い全長を、RFレンズとして一体化したものと見ると理解しやすくなります。
RF版の利点はEOS Rシリーズへ直接装着でき、別体のEF-EOS Rアダプターを管理する必要がないことです。光学性能そのものはEF III型がすでに非常に高いため、EF版を所有している場合は単純な画質向上だけを理由にRF版へ変更する性格ではありません。EF版の性能についてはEF400mm F2.8L IS III USMの特徴で詳しく紹介しています。
RF600mm F4 L IS USMは遠距離で有利だがF値は1段暗い
RF600mm F4 L IS USMは600mm F4の超望遠単焦点で、RF400mm F2.8 L IS USMより焦点距離が1.5倍長くなります。小型の野鳥や遠距離の野生動物では600mmの方が被写体を大きく写しやすく、エクステンダーなしで600mmを使えることが利点です。
一方、開放F値はF4で、RF400mm F2.8 L IS USMより1段暗くなります。暗所で同じシャッタースピードを使う場合はISO感度を1段上げる必要があり、背景ボケの作りやすさも撮影距離や構図によって変わります。RF600mm F4 L IS USMは約3,090g、全長約472mmなので、RF400mmより約200g重く、約105mm長くなります。
400mmを中心にスポーツや大型の鳥を追い、必要に応じて560mm F4へ伸ばすならRF400mmが柔軟です。最初から遠距離の小型鳥類が中心なら、ネイティブ600mmのRF600mm F4 L IS USMに利点があります。600mmという焦点距離の特徴は600mmレンズの使い道と向いている被写体でも解説しています。
RF100-500mmやRF200-800mmは機動力と画角変更で有利
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMは約1,370gで、RF400mm F2.8 L IS USMの半分以下の重量です。100mmから500mmまで画角を変えられるため、被写体が近づいてもズームアウトでき、スポーツ、野鳥、航空機、旅行など一本で幅広く対応できます。400mm固定では被写体が近づきすぎると構図を変更できないため、現場での対応力はズームが明確に上です。
RF200-800mm F6.3-9 IS USMは200mmから800mmまでを一本でカバーし、約2,060gに収まります。400mm F2.8より軽いにもかかわらず800mmまで届くため、明るい屋外で遠距離の野鳥を撮る用途では強力です。一方、開放F値はF6.3-9で、RF400mm F2.8 L IS USMとは光量に大きな差があります。薄暗い場所でシャッタースピードを維持したい場合や、背景を大きくぼかしたい場合はRF400mmが優位です。
つまり、RF400mm F2.8 L IS USMは焦点距離の自由度や携帯性を犠牲にし、400mmで最高水準の明るさと描写を求めるレンズです。ズームレンズとの違いを含めたRF超望遠の選び方はCanon RF超望遠レンズの比較でも詳しく紹介しています。
実際に運用するときの重量・ボディ・中古購入の注意点
RF400mm F2.8 L IS USMは400mm F2.8としては軽量化されていますが、一般的なカメラレンズとして見れば約2.9kgの大型レンズです。カメラ本体を加えればシステム全体はさらに重くなり、撮影方法や運搬方法まで含めて考える必要があります。
約2,890gはヨンニッパとして軽いが長時間の手持ちは重い
約2,890gという重量は、歴代の400mm F2.8と比較すれば大幅に軽量化された水準です。大型レンズ群をマウント側へ寄せた設計によって重量バランスにも配慮されており、短時間なら手持ちで撮影することもできます。飛んでいる鳥や不規則な動きをする被写体では、三脚より手持ちの方が素早く方向を変えられる場合があります。
一方、約2.9kgのレンズにボディを加えて数時間構え続けるのは負担が大きく、400mm F2.8として軽いことと、一般的に軽いレンズであることは別です。長時間のスポーツ撮影では一脚、待ち時間の長い野鳥撮影では大型三脚とジンバル雲台を使うことで、腕への負担を減らしながら滑らかに被写体を追えます。
三脚座のフット部分は持ち運び時のハンドルとしても使いやすく、巨大な鏡筒を前後から抱えるより安定します。撮影場所まで歩く距離、公共交通機関を使うか、自動車で近くまで運べるかによっても実用性は大きく変わります。RF単焦点を用途別に整理した記事はRF単焦点レンズの特徴と使い分けで紹介しています。
EOS Rシリーズの被写体検出AFと組み合わせて真価を発揮する
RF400mm F2.8 L IS USMはEOS Rシリーズへ直接装着し、ボディ側の被写体検出AFやサーボAFと組み合わせて使用できます。人物、動物、車両などを認識できるボディでは、400mmの狭い画角の中で被写体の目や顔、車体などを追いやすくなります。レンズ側の高速なリングUSMとボディ側の認識性能が組み合わさることで、動体撮影での成功率を高められます。
設定では、被写体検出だけでなくシャッタースピードの確保が重要です。レンズに5.5段のISがあっても、走る選手や羽ばたく鳥を1/100秒で止められるわけではありません。静止している鳥ならISを利用して低速シャッターを選べますが、飛翔やスポーツでは被写体の動きに合わせて1/1000秒、1/2000秒以上を使う判断が必要になります。
高速連写を多用する場合は、シャッター方式、AF設定、記録メディア、バッファ容量まで含めて撮影システムを考える必要があります。高性能レンズを装着するだけで動体撮影が自動的に成功するわけではなく、ボディ設定との組み合わせが重要です。EOS R5とEF・RFレンズの使い分けについてはEOS R5でレンズ性能を引き出す考え方でも紹介しています。
中古では前玉だけでなくAF・IS・付属品まで確認したい
中古のRF400mm F2.8 L IS USMを選ぶ場合は、前玉の傷、内部のカビやクモリだけでなく、AFとISの動作も確認したいところです。大口径超望遠はプロ用途で長時間使用される個体もあるため、外装がきれいでもAF駆動やスイッチ類、三脚座に使用感が出ている場合があります。フォーカスリングに異常な引っ掛かりがないか、AF時やIS作動時に不自然な音が出ないかも確認項目です。
鏡筒前方のAFストップボタン、フォーカスプリセット、距離範囲切り替え、ISモード切り替えなど、通常のレンズより操作部が多いため、一つずつ動作を確認する価値があります。三脚座が滑らかに回転し、固定時にガタが出ないことも重要です。可能なら遠距離の細かな被写体を撮影し、画面の片側だけ極端に解像しないような異常がないかも確認すると状態を判断しやすくなります。
レンズフード、前後キャップ、ドロップインフィルターホルダー、ケースなど、大型超望遠ならではの付属品も確認対象です。後から純正付属品を揃えると負担が大きくなりやすいため、本体価格だけで判断せずセット内容まで見た方が比較しやすくなります。RFレンズを含むキヤノンシステム全体の位置付けはキヤノン大全から確認できます。
まとめ
RF400mm F2.8 L IS USMは、400mm F2.8という大口径超望遠の性能をRFマウントで直接利用できるプロ向けLレンズです。13群17枚の光学系に蛍石2枚とスーパーUDレンズ1枚を使用し、開放F2.8から高い解像力と大きく滑らかなボケを得られます。ASCやSSCによる逆光対策、9枚羽根の円形絞りなど、単純な焦点距離とF値だけでは表せない光学性能も備えています。
AFはリングUSMで、2.5m〜∞、2.5〜7m、7m〜∞の3段階のフォーカス距離範囲を設定できます。最大5.5段の光学式手ブレ補正、3種類のISモード、AFストップボタン、フォーカスプリセット、3段階のMF速度、パワーフォーカスなど、スポーツや野鳥を長時間追うための機能も充実しています。
400mm F2.8の最大の強みは、超望遠でありながら大量の光を取り込めることです。曇天、夕方、ナイター、薄暗い林内でも速いシャッタースピードを維持しやすく、ISO感度を抑える余地が生まれます。背景を大きくぼかして被写体だけを浮き上がらせる描写も、F5.6やF7.1の超望遠ズームとは大きく異なります。
EXTENDER RF1.4xを使えば560mm F4、RF2xなら800mm F5.6となり、400mmだけでは足りない被写体にも対応できます。1.4倍では画質への影響が比較的小さく、2倍ではより明確な解像低下が見られるため、焦点距離を伸ばす必要性と画質のバランスを考えて使い分けるレンズです。
EF400mm F2.8L IS III USMとは基本的な光学系を共有しており、RFマウント化によって新規光学設計になったレンズではありません。RF版は約2,890g、全長約367mmで、EF III型より約50g重く約24mm長くなっています。その代わりEOS Rシリーズへ直接装着でき、別体のEF-EOS Rアダプターを必要としない一体型のシステムとして使えます。
RF600mm F4 L IS USMはさらに遠距離の被写体を大きく写せますが、F4で1段暗く、より長く重くなります。RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMやRF200-800mm F6.3-9 IS USMは軽量性やズームの自由度で優れますが、暗所でのシャッタースピード、ISO感度、背景ボケではRF400mm F2.8 L IS USMが明確な優位性を持ちます。
約2.9kgという重量は400mm F2.8としては軽量な部類でも、長時間の手持ちでは負担が大きいため、一脚や三脚、ジンバル雲台を組み合わせる場面も多くなります。携帯性や価格よりも、400mmでF2.8を使えること、開放から高い画質を得られること、動体を高速に追えることを優先する撮影者に向いたレンズです。スポーツ、野鳥、野生動物などで撮影条件が厳しくなるほど、RF400mm F2.8 L IS USMの大口径が持つ意味は大きくなります。



