RF20mm F1.4 L VCMレビュー|20mm超広角・F1.4・VCMの特徴と使い方
RF20mm F1.4 L VCMは、キヤノンRFマウント用のフルサイズ対応超広角単焦点レンズです。20mmという広い画角と開放F1.4を組み合わせ、風景、星景、建築、室内、スナップ、動画まで幅広い撮影に対応します。
従来の「超広角=風景を広く写すレンズ」という使い方だけでなく、F1.4を生かして前景へ近づき、主役を浮かび上がらせながら広い背景を残す撮影ができることが大きな特徴です。高速・静粛なVCMによるAF、動画を意識したフォーカスブリージング抑制、アイリスリング、前後2系統のフィルター対応など、静止画と動画の両方を意識した設計になっています。
一方、レンズ内手ブレ補正は搭載されておらず、20mmという焦点距離も撮影者を選びます。24mmや35mmより広いため、何となく構えて撮るだけでは画面内に不要なものが入りやすく、被写体との距離や前景の使い方が重要になります。
この記事では、RF20mm F1.4 L VCMのスペック、画質、F1.4の効果、VCM、動画性能、星景撮影、風景撮影、近接撮影、手ブレ補正、フィルター、注意点まで整理します。
RF20mm F1.4 L VCMの基本スペック
| 項目 | RF20mm F1.4 L VCM |
|---|---|
| 対応マウント | キヤノンRFマウント |
| 対応フォーマット | フルサイズ |
| 焦点距離 | 20mm |
| 開放F値 | F1.4 |
| 最小絞り | F16 |
| レンズ構成 | 11群15枚 |
| 絞り羽根 | 11枚 |
| 最短撮影距離 | 0.20m |
| 最大撮影倍率 | 0.19倍 |
| AF駆動 | VCM |
| レンズ内手ブレ補正 | なし |
| フィルター径 | 67mm |
| 最大径 | 約76.5mm |
| 全長 | 約99.3mm |
| 質量 | 約519g |
| 防塵・防滴 | 対応 |
20mm F1.4という組み合わせが最大の特徴
20mmはフルサイズでは明確な超広角です。24mmよりさらに広く、画面の対角画角は94度に達します。広大な風景や大きな建物を収めるだけでなく、被写体へ近づくことで手前を大きく、奥を小さく見せる強い遠近感も作れます。
そこへF1.4という大口径を組み合わせているため、一般的な超広角ズームとは撮影方法が変わります。暗い場所でシャッタースピードを確保しやすくなるほか、近距離では20mmでも背景をぼかせます。
さらに14mmほど極端な超広角ではないため、画面全体を管理しながら超広角らしいパースを生かしたい場合にも扱いやすい焦点距離です。
RF14mm F1.4 L VCMとの焦点距離の違いはこちら
約519gに抑えられたF1.4超広角単焦点
RF20mm F1.4 L VCMは約519g、全長約99.3mmです。F1.4のL単焦点でありながら、極端な大型レンズにはなっていません。
RFのF1.4 L VCMシリーズは外装寸法や操作系を揃える方向で設計されており、複数レンズを動画撮影で交換するときにも扱いやすくなっています。ジンバル撮影では、レンズ交換のたびに重量バランスが大きく変わらないことにも意味があります。
一方、一般的な小型広角単焦点と比べれば519gは軽量とはいえません。F1.4の明るさ、Lレンズとしての光学系、VCM、操作系を含めた重量として考える必要があります。
RF20mm F1.4 L VCMの画質
超広角レンズでは中央だけでなく、画面周辺までどこまで像を整えられるかが重要です。風景や星景では四隅まで被写体が存在するため、周辺部の解像、色収差、点光源の形、逆光耐性が画質へ直接影響します。
スーパーUD・UD・BR光学素子で色収差を補正
光学系は11群15枚で、スーパーUDレンズ1枚、UDレンズ2枚、BR光学素子、非球面レンズを組み合わせています。
大口径広角では、画面周辺や高コントラスト部分で色収差が目立ちやすくなります。RF20mm F1.4 L VCMでは複数の特殊光学材料を使い、F1.4と20mmを両立しながら色にじみや像面の乱れを抑える設計になっています。
星景では明るい星の周囲、夜景では照明と暗部の境界、昼間では逆光の枝や建物の輪郭など、色収差が目立ちやすい状況があります。こうした条件ほどレンズ設計の差が現れます。
SWCとASCで超広角の逆光に対応する
20mmでは太陽や照明が画面内へ入りやすく、広い画角そのものが逆光条件を増やします。RF20mm F1.4 L VCMではSWCとASCを採用し、フレアやゴーストを抑えることを重視しています。
風景では太陽を構図へ入れたい場面があり、室内では窓から強い光が入ることもあります。夜景では街灯や車のライトなど多数の点光源が存在します。このような場面では単純な解像力だけでなく、不要な反射をどこまで抑えられるかも重要です。
逆光耐性が高くても、強い光源の位置によってはゴーストが発生します。ファインダーや背面モニターで画面全体を確認し、わずかに撮影位置を変えて最も影響の少ない位置を探す使い方が有効です。
F1.4を20mmで使う意味
20mmとF1.4の組み合わせには、単に「明るい広角レンズ」という以上の意味があります。超広角でボケを作るには被写体へ近づく必要があり、その撮影距離が独特の立体感を生みます。
暗所でシャッタースピードを確保しやすい
F1.4は、F2.8と比べると2段明るい開放値です。同じISO感度ならシャッタースピードを速くでき、同じシャッタースピードならISO感度を下げられます。
星景では星の流れを抑えるために露光時間を長くしすぎたくない場面があります。室内や夜のスナップでは、被写体が動くため手ブレ補正だけでは解決できないこともあります。
F1.4を使えることで、シャッタースピード、ISO感度、被写界深度の選択範囲が広がります。必ずF1.4で撮る必要はありませんが、必要なときにF1.4を選択できることが大口径レンズの価値です。
超広角でも背景をぼかせる
20mmは被写界深度が深くなりやすいため、離れた被写体を撮ればF1.4でも背景はそれほど大きくぼけません。しかし最短撮影距離に近い位置まで寄ると、手前の被写体と背景との距離を大きく取りやすくなり、超広角でも明確なボケを作れます。
花、料理、小物、人物の手元などを画面手前へ大きく配置し、背景に周囲の環境を残す撮り方は20mm F1.4ならではです。中望遠で背景を切り取るポートレートとは逆に、「背景を見せながら主役を浮かび上がらせる」表現になります。
広角レンズでボケを作る場合にはF値だけでなく、カメラと主役の距離、主役と背景の距離が重要です。
最短撮影距離0.20mの使い方
被写体へ寄って遠近感を強調できる
RF20mm F1.4 L VCMの最短撮影距離は0.20m、最大撮影倍率は0.19倍です。本格的なマクロレンズほど大きく写せませんが、20mmとしてはかなり近い位置から撮影できます。
超広角で接近すると、近くの被写体が非常に大きく、背景が小さく見えます。たとえば花を大きく入れながら背後に山や空を広く写したり、テーブル上の物を手前に置きながら店内全体を背景へ入れたりできます。
「広いものを遠くから写す」だけでなく、「主役へ寄って周囲まで写す」と考えると、20mmの用途が大きく広がります。
VCMによるオートフォーカス
大口径レンズ群を高速かつ滑らかに駆動する
RF20mm F1.4 L VCMでは、AF駆動にVCM(Voice Coil Motor)を採用しています。磁場とコイルを利用してフォーカスレンズ群を直線的に動かす方式で、大口径レンズの比較的重いフォーカスユニットを高速かつ滑らかに駆動することを狙っています。
静止画では合焦までの速さと精度、動画ではピント位置を移動したときの滑らかさや静粛性が重要です。RF20mm F1.4 L VCMは静止画専用の広角単焦点というより、動画まで含めたハイブリッドレンズとして設計されています。
VCMは電源によってフォーカスユニットの位置を保持する構造のため、レンズをカメラから外した状態や電源を切った状態で内部がわずかに動く感触が出る場合があります。故障とは限らないため、通常のレンズと異なる構造であることを知っておくと扱いやすくなります。
動画撮影を強く意識した20mm単焦点
フォーカスブリージングを光学設計で抑えている
動画では、ピント位置を手前から奥へ動かしたときに画角が変わるフォーカスブリージングが目立つことがあります。静止画ではほとんど気にならなくても、動画では構図全体が拡大・縮小したように見えるため重要な問題です。
RF20mm F1.4 L VCMは、フォーカスブリージングを抑えることを意識した光学設計になっています。人物から背景へピントを送る場面や、商品撮影で前後の対象へフォーカスを移す場面でも構図変化を抑えやすくなります。
対応するカメラでは電子的なフォーカスブリージング補正も利用できるため、光学設計とボディ側補正を組み合わせることもできます。
アイリスリングで動画中の絞りを操作できる
レンズ鏡筒にはアイリスリングが搭載されています。動画撮影ではリングを回して絞り値を細かく変更でき、明るさや被写界深度を撮影しながら調整できます。
写真用レンズの絞りダイヤルを操作する場合と比べ、映像制作で求められる滑らかな操作を意識した構造です。F1.4から絞り込んで背景情報を増やす、といった変化を一つのカット内で行うこともできます。
静止画撮影時にアイリスリングを使ってF値を設定できるかどうかはEOS Rシリーズの機種によって異なります。レンズ側にリングがあるから、すべてのEOS Rボディで静止画時にも同じ操作ができるわけではありません。
手ブレ補正はレンズ内に搭載されていない
IBIS搭載ボディとの組み合わせを考える
RF20mm F1.4 L VCMにはレンズ内光学式手ブレ補正は搭載されていません。そのためEOS RPやEOS R8などボディ内手ブレ補正を持たないカメラでは、静止画撮影時に光学式手ブレ補正を利用できません。
一方、ボディ内手ブレ補正を備える対応EOS Rシリーズでは、広角レンズの画面周辺まで考慮した補正を利用できます。20mmは焦点距離そのものが短いため望遠ほど手ブレが拡大されませんが、夜景や室内で低速シャッターを使う場合にはIBISの有無が撮影方法へ影響します。
ただし被写体が動いている場合、手ブレ補正では被写体ブレを止められません。人物、ペット、乗り物などではF1.4の明るさを生かしてシャッタースピードを確保する方が重要です。
前面67mmフィルターとリアフィルターに対応
一般的なねじ込み式フィルターを前面に装着できる
超広角レンズには前玉が大きく張り出し、通常の円形フィルターを付けられない製品があります。RF20mm F1.4 L VCMは前面に67mmのフィルターネジを備えているため、一般的なPL、ND、保護フィルターなどを利用できます。
風景ではPLフィルター、長時間露光ではNDフィルター、動画ではシャッタースピードを一定に保つためのNDフィルターなど、67mm径を利用できる意味は大きくなります。
F1.4 L VCMシリーズで同じ67mm径のレンズを併用する場合、フィルターを共用しやすいことも撮影機材を組むうえでの利点です。
レンズ後部にもシートタイプのフィルターを装着できる
RF20mm F1.4 L VCMにはリアフィルターホルダーも用意され、レンズ後部へシートタイプのフィルターを装着できます。
前面フィルターとリアフィルターを用途によって使い分けられるため、星景や映像制作など特殊なフィルターを使う撮影にも対応しやすくなっています。
リアフィルターを使用しない場合にはホルダーを装着したままにせず、必要なときだけ使用する運用が基本です。超広角では斜めから強い光が入りやすいため、余計な反射面を増やさないことも画質維持につながります。
RF20mm F1.4 L VCMで撮りたい被写体
風景では前景を入れると20mmらしさが出る
山や海をただ広く収めるだけでも20mmは使えますが、それだけでは画面が散漫になることがあります。超広角では手前に岩、草木、道、建物などを配置すると遠近感が強くなり、奥へ続く空間を表現しやすくなります。
カメラを低く構えて前景へ近づけば、肉眼とは異なる強いパースを作れます。20mmは背景を圧縮する望遠レンズとは逆に、手前と奥の距離感を強調する焦点距離です。
中央の主題だけを見るのではなく、四隅に何が入っているかまで確認して構図を組むことが重要です。
星景では20mmとF1.4の組み合わせを生かしやすい
星景撮影はRF20mm F1.4 L VCMと特に相性のよい用途です。20mmなら空を広く取り込みながら地上の風景も残しやすく、F1.4によって露光時間を必要以上に長くせず光量を確保できます。
星を点として写したい場合には、地球の自転による星の流れを考えてシャッタースピードを決めます。F1.4を利用できればISO感度を抑える選択肢も増えます。
ただし開放F1.4が常に最適とは限りません。四隅の星像、被写界深度、前景とのピント位置を確認し、F1.8やF2付近へ少し絞る方が目的に合う場合もあります。
建築・室内では広さを生かせるが傾きに注意する
20mmは後ろへ下がれない室内や、大きな建築物を近距離から撮る場面でも有効です。狭い部屋でも空間全体を写しやすく、建物の高さを強調した構図も作れます。
一方、カメラを上下へ傾けると垂直線が収束し、建物が上へ細くなるように写ります。これは広角レンズ特有の欠陥というより、撮影位置とカメラの向きによって生じる遠近感です。
建築物を正確な形に近づけたい場合には、できるだけカメラを水平に保ち、必要に応じて撮影後に構図を整える方法があります。
環境を含めた人物撮影にも使える
20mmで人物を撮る場合、中望遠ポートレートとは考え方が大きく異なります。人物だけを切り取るのではなく、その人がいる場所まで含めて一枚の写真にできます。
店舗、街並み、作業場、旅行先など、周囲の情報そのものに意味がある人物撮影に向いています。F1.4なら暗い室内でもシャッタースピードを確保しやすく、人物へ近づけば背景を適度にぼかすこともできます。
ただし人物を画面端へ配置して近距離から撮ると、顔や体が大きく引き伸ばされたように見えることがあります。人物の自然な形を優先するなら中央付近を利用し、距離を詰めすぎないことが重要です。
APS-CのEOS Rシリーズで使う場合
約32mm相当の画角になり超広角ではなくなる
EOS R7、EOS R10、EOS R50などAPS-CセンサーのEOS Rシリーズへ装着すると、35mm判換算では約32mm相当の画角になります。
20mmという焦点距離自体が変化するわけではありませんが、センサーが中央部分を使用するため写る範囲が狭くなります。その結果、フルサイズで使ったときの超広角レンズという性格から、広角スナップに使いやすい画角へ変わります。
F1.4の明るさはそのままなので、室内、夜景、動画、環境ポートレートなどでは使いやすい組み合わせです。一方、20mm本来の広い画角を目的に購入するならフルサイズEOS Rシリーズとの組み合わせが基本になります。
RF20mm F1.4 L VCMの注意点
20mmは何でも入るため構図が難しい
超広角レンズは広く写ること自体が利点ですが、広く写るほど不要なものも入り込みます。電柱、看板、撮影者の影、足元、天井など、標準レンズなら画面外だったものまで写る可能性があります。
また、遠くの被写体は非常に小さく写ります。山を大きく見せたいのに20mmを使うと、肉眼で感じた迫力より小さく見えることがあります。
20mmでは「何を入れるか」だけでなく、「何を画面から外すか」が重要です。主役へ近づく、撮影位置を低くする、前景を作るといった操作によって超広角の広さを構図へ変える必要があります。
レンズ内ISが必要なら別の選択肢も考える
RF20mm F1.4 L VCMはF1.4の明るさを優先した設計で、レンズ内ISを搭載していません。IBIS非搭載ボディで夜景を手持ち撮影し、低速シャッターを積極的に使いたい場合には注意が必要です。
反対に星景や人物では、手ブレ補正よりF1.4の明るさによってシャッタースピードを確保できることの方が重要になる場合があります。動画では電子手ブレ補正やジンバルを利用する方法もあります。
「ISがないから不利」と一括りにせず、自分が撮る被写体でF1.4とISのどちらを重視するかを考える必要があります。
20mm・24mm・35mmをどう使い分けるか
20mmは画面全体で空間を表現したい人に向く
20mm、24mm、35mmはいずれも広角ですが、使ったときの印象は大きく異なります。35mmは人物やスナップで自然な距離感を作りやすく、24mmは広角らしい広がりを持ちながら比較的扱いやすい焦点距離です。
20mmになると、手前と奥の大きさの差がさらに強調されます。前景へ近づけば強い立体感を出せる反面、何も考えず遠くから撮ると主役が小さくなります。
RF20mm F1.4 L VCMは万能標準レンズを一本だけ欲しい人より、広角の遠近感そのものを撮影表現として使いたい人に適したレンズです。
RF20mm F1.4 L VCMが向いている人
星景・風景・動画を一本の広角単焦点で撮りたい人
RF20mm F1.4 L VCMが特に生きるのは、20mmの広さとF1.4の明るさを同時に必要とする撮影です。星景では光量、風景では広い画角、動画ではVCMとブリージング抑制、近接撮影では0.20mという最短撮影距離を活用できます。
前面67mmフィルターとリアフィルターの両方を使えるため、静止画と映像でフィルター運用を重視する人にも使いやすい構成です。
反対に、広角レンズは旅行で時々しか使わず、F1.4も必要ない場合には、より小型なレンズや広角ズームの方が機材全体をまとめやすくなります。
まとめ
RF20mm F1.4 L VCMは、20mmの超広角とF1.4の大口径を組み合わせたRF L単焦点です。風景を広く収めるだけでなく、被写体へ接近して前景を大きく見せたり、F1.4で背景をぼかしたりできるため、一般的な超広角ズームとは違う写真を作れます。
レンズ構成は11群15枚、絞り羽根は11枚。最短撮影距離0.20m、最大撮影倍率0.19倍、フィルター径67mm、質量約519gという仕様です。従来記事で記載していた最短撮影距離0.25m、重量約630gという数値ではありません。
AFにはVCMを採用し、高速・滑らか・静粛なフォーカス駆動を狙っています。動画ではフォーカスブリージングを抑えた設計とアイリスリングがあり、静止画用広角レンズだけでなく映像制作まで意識されています。
レンズ内手ブレ補正はありませんが、対応するIBIS搭載ボディではボディ側の補正を利用できます。人物や星景など被写体ブレが問題になる場面では、F1.4の明るさを使ってシャッタースピードを確保できることが強みになります。
風景では前景、星景ではF1.4、建築では広い画角、人物では周囲の環境、動画ではVCMとブリージング抑制というように、用途ごとに20mmの性格が変わります。
ただ広く写すだけでは20mmを生かし切れません。主役へ近づき、前景と背景の距離を意識し、広角特有の遠近感を積極的に構図へ取り込むことで、RF20mm F1.4 L VCMの特徴が最もはっきり現れます。



