キヤノンRF70-200mm F2 L IS級の特許公開|50-80mm F1.4級の光学設計と製品化の可能性
2026年10月16日に公開されたキヤノンの特許出願「特開2026-168807」に、70-200mm F2級と50-80mm F1.4級という非常に明るいズームレンズの光学設計が含まれていることが分かりました。なかでも71.65~194.00mm・F2.06の実施例は、従来の70-200mm F2.8から開放F値をほぼ1段明るくする設計で、室内スポーツや舞台、ポートレートの撮影に関心がある人にとって注目に値します。51.50~82.52mm・F1.46の設計例も、ズームレンズで単焦点レンズに迫る明るさを目指す点が特徴です。ただし「RF70-200mm F2 L IS USM」などは現時点で正式な製品名ではなく、RFマウント、Lレンズ、手ブレ補正、AF駆動方式、価格、発売日が決定したという発表もありません。本記事では公開公報に基づく数値と製品化に関する推測を分け、既存のRF70-200mm F2.8シリーズやRF28-70mm F2 L USMとの違い、撮影で生まれる可能性を整理します。
公開された特許で何が分かったのか
特開2026-168807の公開日・出願日・発明の目的
今回の対象となる公開番号は「特開2026-168807」、発明の名称は「ズームレンズおよび撮像装置」です。出願人はキヤノン株式会社で、2025年4月4日に出願され、2026年10月16日に公開されました。ニュースとして紹介されたのは10月16~19日ですが、光学設計がその間に急に考案されたという意味ではありません。公開された技術資料と、将来の商品発売に関する情報は最初から区別する必要があります。
特許の狙いとして示されているのは、小型化と高い光学性能の両立です。明るいズームレンズは光学系やピント合わせの仕組みが大きくなりやすく、とりわけ望遠側でF2級の明るさを維持する設計には厳しい条件があります。複数のフォーカス群を動かす構成などを検討することで、レンズの寸法と収差補正を両立しようとしています。特許に詳細な実施例があることは技術上の裏付けですが、販売のための開発完了を意味しません。
新しい光学設計が公報に掲載されても、採用する外装やAFモーター、手ブレ補正機構まですべてが確定しているとは限りません。とりわけ現段階で語られている「RF70-200mm F2 L IS」という名称は、既存の製品体系から想像された呼び方として理解するのが適切です。実際に販売されている70-200mmの種類と役割は、Canon 70-200mmレンズのEF・RF比較で確認できます。
70-200mm F2級の具体的な設計値
最も話題になっている実施例9の焦点距離は71.65~194.00mm、開放F値はF2.06です。公報の値を一般的な製品表記へ丸めると、70-200mm F2級の望遠ズームと呼ぶことができます。像高は21.64mmで、35mm判フルサイズの対角線方向に相当する設計です。現行製品のように厳密に70.0~200.0mmであると読み替えたり、常用時の透過光量をそのまま示す数字と考えたりするのは正確ではありません。
実施例9に記された光学系の全長は240.16mm、バックフォーカスは16.24mmです。ここでの全長は光学設計の基準となる寸法であり、製品の鏡筒長をそのまま表したものではありません。前玉から撮像面までの距離と、マウント面からレンズ先端までの外形寸法は測定位置が異なります。そのため240.16mmを現行のRF70-200mm F2.8の収納時全長146mmと単純に引き算して、製品の長さが確定したように扱うことはできません。
この特許には同じ望遠域を想定したF2.50の実施例10や、F2.3級の実施例11も含まれています。複数のF値を並行して検討していることは、明るさだけでなく光学的な制約や大きさの折り合いを探っていることを示します。製品になる場合も公報の中で最も明るい実施例がそのまま採用されるとは限りません。既存のレンズとの比較には、RF70-200mm F2.8 L IS USMの性能と描写が参考になります。
50-80mm F1.4級など11の実施例
もう一つの注目例は実施例1で、51.50~82.52mmの焦点距離とF1.46の明るさが示されています。広角側51.50mm、望遠側82.52mmという範囲は、一般的には50-80mm F1.4級の標準から中望遠ズームとして紹介できます。像高は21.64mm、全長はズーム位置に応じて約196.75~198.27mmです。これは50mmと85mmの単焦点レンズを頻繁に交換する撮り方を、一つのズーム機構へまとめるという発想を連想させます。
同じ公報には36.06~82.52mm・F1.46、36.50~48.44mm・F1.46などの設計例もあります。F1.46級の標準域ズームが8例、70-200mmに近い望遠ズームが3例という構成で、単一の商品案だけに絞り込まれた資料ではありません。焦点距離の幅が狭い設計と比較的広い設計が混在する点からも、設計上の複数の選択肢を試していることがうかがえます。50-80mm F1.4という商品がすでに発表されたという意味ではありません。
50mmから中望遠を高い明るさで使える光学系は、人物撮影や舞台の近距離撮影などで大きな意味を持ちます。一方で、50-80mmだけでは広角の風景や狭い室内には不足しやすく、画角の自由度だけなら28-70mmや24-105mmに利点があります。実際の撮影用途を考える際には、現行の明るい標準ズームが何を優先しているかが比較の出発点になります。現行のF2ズームが優先している描写と使い方は、RF28-70mm F2 L USMの特徴でも紹介しています。
70-200mm F2級は撮影をどう変えるのか
F2とF2.8の差は暗い体育館で意味がある
F2とF2.8は開放F値で約1段の差があり、同じ明るさの場面でF2を使うと約2倍の光量を利用できます。例えばF2.8でISO6400、1/500秒が適正露出に近い条件なら、F2ではおおむねISO3200、1/500秒にするか、ISO6400のまま1/1000秒へ速める選択ができます。実施例のF2.06とF2.8を厳密に比較すると光量比は約1.85倍で、約0.89段の差になります。単純な「ちょうど1段」と公報のF2.06を混同しないことが重要です。
屋内バスケットボールやバレーボール、体育館での発表会などでは、手ブレ以上に動く被写体のブレを防ぐ必要があります。レンズ内手ブレ補正やボディ内手ブレ補正は、カメラの揺れには効果を発揮しますが、走る選手や手足の動きを直接止めるものではありません。F2なら絞りを開くことでシャッタースピードを上げる余地が生まれ、被写体ブレへの対応に役立ちます。もちろん利用できるシャッタースピードは会場の照明条件と被写体の動きによって変わります。
現行RF70-200mm F2.8 L IS USMは、室内スポーツでも十分に明るい望遠ズームとして評価できるレンズです。F2級が実用化されれば、画角を維持したままさらに明るいレンズを使える可能性があります。しかし1段分の明るさと引き換えに重量や価格が大きく上がるなら、軽快に追従する撮影では従来のF2.8が有利な場合もあります。既存レンズの明るさと重量の選び方は、70-200mmレンズのF2.8・F4比較でも比較しています。
200mm F2の背景ボケとポートレート表現
同じ200mm、同じ撮影距離で比べる場合、F2はF2.8より被写界深度を浅くできるため、人物を背景から分離する表現に向いています。望遠側では背景にある点光源や樹木、建物の輪郭が大きくぼけやすく、被写体へ視線を集める構図を作りやすくなります。ただし背景ボケの大きさはF値だけで決まらず、被写体との距離、背景との距離、焦点距離、光学収差の補正などによって変化します。開放F2という数字から実際のボケ味まで断定することはできません。
200mm F2の単焦点は、かつてキヤノンがEF200mm F2L IS USMとして製品化していた領域です。固定焦点距離で成立させていた明るさを70-200mmのズーム全域へ広げるなら、光学設計の難しさは格段に増します。ズームによって人物の上半身から全身へ瞬時に構図を切り替えられることは、式典やコンサート、屋外イベントなどで魅力になるでしょう。単焦点レンズとの使い分けという視点も欠かせません。
一方、F2で撮影した写真が常にF2.8より優れているわけではありません。複数人を同じピント面へ収めたい集合写真では適度に絞る必要があり、衣服や髪の細部を安定して描写するためF2.8やF4を選ぶ場面もあります。望遠の大きなボケをどう使うか考えるには、135mm単焦点とF値の関係が参考になります。焦点距離と絞りの組み合わせは、キヤノン135mm単焦点レンズの比較でも詳しく扱っています。
AF性能とフォーカスブリージングの課題
F2級で開放から高い解像性能を得るには、ピント位置が正確であることが重要です。被写界深度が浅いぶん、人物の瞳や競技者の顔など狙った位置からピントがずれると結果に影響します。公報では複数のフォーカス群を動かして収差を補正する構成が説明されており、単にレンズを明るくする以上の技術的な狙いがあります。しかし公報の説明だけでAFの速度、静粛性、被写体追従性能が決まるわけではありません。
現行RFレンズにはデュアルナノUSMなど、複数のフォーカス群を高速に制御する技術が採用されています。今回の設計が将来製品化される場合も、フォーカス群をどのようなモーターで駆動し、カメラ側のAFとどう連携するかが大きな課題になります。動画ではピント移動に伴う画角の変化、いわゆるフォーカスブリージングの抑制も重要です。設計上のフォーカス群の数と、実機のブリージング量や動作音を直接結び付けることはできません。
RF70-200mm F2.8 L IS USM Zは、動画制作も意識してズーム時の全長が変わらない構造などを採用した既存製品です。このような実在の仕様と新特許の技術を比べることで、キヤノンが大口径望遠ズームに求める方向を理解しやすくなります。製品化されるならAFの種類だけでなく、操作リング、パワーズーム対応、動画時のピント移動にも注目したいところです。現行の望遠ズームが持つ動画向け機能は、RF70-200mm F2.8 Zを含む中望遠ズームの解説が参考になります。
F2級の光学設計が難しい理由
200mm F2には大きな有効口径が必要
レンズのF値は、焦点距離を入射瞳の直径で割った値として表されます。200mm F2なら入射瞳の直径は理論上100mm、200mm F2.8なら約71.4mmとなり、明るい方では大きな光の束を通す必要があります。実施例9の望遠端は194mm・F2.06なので、入射瞳の直径は概算で約94mmに達します。この値はフィルター径や鏡筒の外径をそのまま決めるものではありませんが、超大口径化による物理的な制約を示す目安になります。
入射瞳が大きくなるほど、レンズの前群や光学部品の寸法、収差補正の自由度が重要になります。特に望遠ズームでは焦点距離を変化させる機構とピントを合わせる機構が同時に必要になり、単焦点より構造が複雑です。F2級で高い画質を求めるなら、色収差、球面収差、コマ収差、口径食などをズーム全域で抑える設計が求められます。高価な特殊ガラスの利用を推測することはできますが、量産版で使われる素材や枚数は未発表です。
キヤノンはRF28-70mm F2 L USMで、F2通しの標準ズームを実際に製品化しています。このレンズの質量は約1,430gで、F2の明るさと高い光学性能の両立には相応の大きさが必要であることを示します。ただし28-70mmと70-200mmでは望遠側の焦点距離も光学構成も大きく異なり、単純に重量を比例計算して新レンズの質量を予測することはできません。既存のF2ズームの描写については、RF28-70mm F2 L USMの作例と描写で確認できます。
3つ以上のフォーカス群を使う狙い
今回の出願では、ピント合わせのために複数の光学群を移動させる構成が注目されています。一般にフォーカス機構は、被写体との距離が変わるときにピントだけでなく球面収差や画角などにも影響を与えます。異なる役割を持つ群を組み合わせて動かせば、近距離から遠距離まで画質を維持するための調整が可能になります。一方、独立した群が増えるほど位置制御や機械構造の設計は難しくなります。
公報で検討されているのは、ズームレンズの全長を抑えながら良好な光学性能を得るための具体的な構成です。複数のフォーカス群という言葉からモーターが必ず3個搭載されると断言することはできず、群の移動を実際にどう駆動するかは製品設計の問題です。ピント合わせの距離範囲、近接撮影時の最大倍率、耐久性なども光学設計だけで決まりません。発表済みレンズの駆動方式と比較すると、技術資料が示すことと示さないことを区別しやすくなります。
既存のRF100-300mm F2.8 L IS USMは、明るい望遠ズームで広い焦点距離範囲を得たキヤノンの代表的な製品です。同じ望遠ズームでも70-200mm F2級とは優先する範囲や口径が異なります。こうした実在の製品と設計例を並べると、特許を単純な新製品予告ではなく、設計の選択肢として理解できます。実際に製品化されている高性能ズームは、RF100-300mm F2.8 L IS USMの詳細で紹介しています。
インナーズームと実際の大きさは別問題
実施例9では焦点距離が変わっても光学全長が240.16mmと示されており、光学系の基本的な全長を維持する設計として説明されています。一般にズーム操作でレンズの外側の長さが変わらない構造は、持ち替えたときのバランスや動画リグへの搭載などで利点があります。しかし光学全長が一定だからといって、完成品の外装やズームリングの寸法、重量まで決まったわけではありません。新製品がインナーズームになると決まったという発表もありません。
現行RF70-200mm F2.8 L IS USMは、収納時に全長約146mmとなる繰り出し式ズームです。これに対してRF70-200mm F2.8 L IS USM Zは、全長約199mmを維持する方式を採用しています。持ち運び時の短さと撮影中の全長固定にはそれぞれ利点があるため、同じ70-200mm F2.8でもどちらが適するかは用途次第です。F2級が登場する場合も携帯性と操作性の両立が重要になるでしょう。
予想される重量についても、F2.8の1,070gや約1,110gという既存の数値を出発点にしても確かな値にはなりません。大型レンズでは三脚座の有無や取り外しの可否、重心位置、ボディとの組み合わせが実際の運用を左右します。正確な重量と外形が分かるまでは、大きなレンズだから手持ち撮影が難しいと断定することも、小型化に成功したと評価することも早計です。既存のRF望遠ズームの外形や役割については、キヤノンRF望遠ズームのラインアップも参考になります。
50-80mm F1.4級と現行F2ズームを比べる
F1.4ズームなら単焦点の使い分けが変わる
50-80mm F1.4級の実施例は、明るい50mmと中望遠の80mm前後を一つのズーム機構で扱うという独特の設計です。一般的な50mm F1.4単焦点は、日常の人物や小物、街角の撮影で使われます。80mm前後までズームできれば、人物から少し離れて顔を大きく写したい場面にも対応しやすくなります。一つのレンズで構図を変えられることは、被写体が動く撮影現場では単焦点にない利点です。
F1.4級という明るさは、F2通しの標準ズームより理論上おおむね1段分多くの光を利用できることを意味します。実施例1のF1.46を使った計算ではF2との光量差は約1.88倍であり、公表された設計値と一般的なF1.4という呼称には小さな差があります。背景を大きくぼかすだけでなく、暗い室内でISO感度を下げる余地を確保できる点も魅力です。しかし人物の目と耳の両方を十分に鮮明にしたいときは、絞りを開放から変える判断も必要になります。
RF85mm F1.2 L USMのような単焦点は、非常に明るい絞りとその焦点距離に最適化した光学設計を追求しています。50-80mm F1.4が製品化されても、画角が変えられることとF1.2の明るさを同時に得られるわけではありません。ズームを重視するか、さらに浅い被写界深度や単焦点の描写を重視するかで選択は分かれます。大口径単焦点における明るさとボケの違いは、RF85mm F1.2通常型とDS型の比較で整理しています。
RF28-70mm F2 L USMとの画角と明るさの違い
現行のRF28-70mm F2 L USMは28mmから70mmまでをF2通しでカバーする大口径標準ズームです。これに対して特許の51.50~82.52mm・F1.46は、広角側を大きく削って明るさと中望遠側の焦点距離を重視する設計です。28mmは室内の全景や風景で便利ですが、50mm始まりでは撮影位置を後ろへ下げられない場所で使いづらくなります。一方、人物の顔を中心に撮る用途なら中望遠まで到達する利点が生まれます。
RF28-70mm F2 L USMにはレンズ内手ブレ補正機構がなく、質量は約1,430gです。光学性能と開放F2を重視した設計である一方、一般的な小型標準ズームのように軽量ではありません。F1.4級の50-80mmも、開放F値だけでコンパクトな鏡筒を期待できるとは限りません。公報の全長約197~198mmは設計値であり、完成品の外形や重量を確定する数字ではないことにも注意が必要です。
仮に製品化されれば、RF28-70mm F2と50-80mm F1.4では撮影対象に合わせた役割の違いが明確になるでしょう。日常から風景、取材まで幅広く使うなら28mmを含むレンズが便利で、人物や舞台で明るさを優先するなら50-80mmの設計に魅力があります。撮影で必要な画角がどちらに多いかを先に考えれば、F値の差だけに振り回されずに選べます。28mmから70mmまでの使い方については、RF28-70mm F2 L USMの撮影例で確認できます。
35-80mm F1.4級の実施例にも注目
公報には36.06~82.52mm・F1.46という、より広い画角を持つ実施例4も示されています。この設計は、50mmからのズームよりも日常の使いやすさを意識した標準域に近づいており、35mm級から80mm級までを高い明るさで使う光学系です。同じF1.46で設計されていても、レンズの全長や内部構成、光学的な制約は51.50~82.52mmの例とは異なります。数値上は注目に値しますが、どちらかを優先して製品化するという情報は確認されていません。
35mm付近が使えると、室内で複数人を写したり、街並みと人物を組み合わせたりする際に画角を確保しやすくなります。82mmまで伸ばせれば、離れた位置から人物の表情を狙うこともできます。F1.4級を維持できるなら用途の幅は広がりますが、撮影範囲を増やすために鏡筒や重量がどれだけ変わるかが実用上の焦点です。特許の数値は、その技術上の課題を知る手掛かりとして読むべきでしょう。
35-80mm級の明るいズームを考えるときには、現行RF24-105mm F2.8 L IS USM Zとの違いも参考になります。24-105mmはF2.8でも広角から中望遠まで広くカバーし、動画運用に向けた機構を備えています。明るさを高める代わりにズーム範囲を狭くすることは、レンズ設計の方向性が異なることを意味します。既存の標準ズームが得意とする用途は、RF24-105mm F2.8 L IS USM Zの特徴も参考になります。
製品化を考える際に確認したいこと
RFマウントやL・ISの名称は未確定
今回の特許は35mm判フルサイズ相当の光学系を検討していると読み取れますが、製品化された場合の販売マウントが正式発表された資料ではありません。「RF70-200mm F2 L IS USM」という名称は分かりやすい呼び方であって、公報に記載された確定商品名ではありません。Lレンズとしての販売、ISの内蔵、USMやVCMといったAF駆動方式も未発表です。特許の技術的な存在と、製品の機能一覧を結び付けてはいけません。
とりわけ手ブレ補正は、大口径の長い光学系に追加する場合に重量や構造の設計へ影響します。動画向けの運用、パワーズームアダプター、テレコンバーターとの互換性なども同様に確認が必要です。現行のRF70-200mm F2.8 L IS USM ZではエクステンダーRFへの対応がありますが、新しいF2級にその機能が引き継がれるとは限りません。正式なレンズ構成、絞り羽根枚数、最短撮影距離なども未確認です。
キヤノンのRFレンズにはEOS Rシリーズへ直接装着できる規格がありますが、EFレンズやEF-Sレンズは別の扱いになります。新製品の正式な型番が決まるまでは、将来の仕様を前提に購入計画を変更する必要はありません。製品化された際はメーカーが示すマウントと対応機種を確認することが基本になります。現行のマウントの扱いについては、CanonのRF・EFレンズ対応表で一覧にしています。
価格と重量は過去のレンズから断定できない
200mm F2級でズーム全域の高画質を維持するには大きな光学系が必要になるため、価格と重量は特に注目される項目です。かつてのEF200mm F2L IS USMは単焦点であっても重量級の製品で、F2望遠の開発が簡単ではないことを示す実例です。しかし昔の単焦点と未発売のズームでは材料、加工技術、光学設計、製造工程が異なり、重量や価格を単純に比較して推定することはできません。海外の予想価格はメーカーの発表価格として扱わないことが大切です。
購入時の負担はレンズ単体の価格に限られません。望遠レンズの場合は持ち運ぶバッグ、支える三脚や一脚、必要なフィルター、フードや三脚座も撮影環境へ影響します。とくにスタジアムで長時間構える場合は、明るさによる画質上の利点と機材を支え続ける負担を比較する必要があります。重量が発表されるまで、F2がF2.8より優れた撮影体験を必ず提供すると考えることはできません。
現行RF100-300mm F2.8 L IS USMは約2.59kgの大口径望遠ズームで、望遠側300mmまで伸ばせる設計です。70-200mm F2級が仮に登場した場合も、300mmまで必要なのか、F2の明るさが必要なのかで用途が分かれます。発売を仮定した価格比較をするより、既存レンズが対応できる撮影条件を整理する方が現実的です。焦点距離とレンズ構成の選択については、RF100-300mmと300mm単焦点の比較も参考になります。
特許は発表予告なのか、将来への技術研究なのか
特許出願は、発明の技術内容を公開し、権利化を目指すための手続きです。カメラメーカーは量産される製品に関連する技術だけでなく、将来の選択肢を広げる設計についても出願します。今回のように11の実施例が含まれている場合も、それぞれが別製品として発売予定であるという意味ではありません。製品化率や発売時期を特許番号だけから割り出すこともできません。
70-200mm F2級は非常に魅力的な仕様ですが、量産コスト、重量、AF、レンズ内補正、耐久性などの条件をすべて満たす必要があります。明るいレンズであっても、実際の使用条件に対してサイズや価格が大きすぎれば商品としての成立は難しくなります。逆に、設計の一部だけが将来の別のレンズに採用される可能性もあります。今回の公報を読む価値は、発売予定を当てることだけでなく、キヤノンがどのような光学課題に取り組んでいるかを知るところにもあります。
現行70-200mm F2.8シリーズを検討する人にとっては、出願を理由に購入を無期限に見送る必要はありません。これからの撮影で必要な焦点距離、開放F値、画角、軽さを基準にすれば、既存の選択肢でも判断できます。発売後に中古を検討する場合も、焦点距離の広さと重量の違いは大切です。既存製品の購入判断については、70-200mmレンズの選び方と中古比較にまとめています。
まとめ
キヤノンが2026年10月16日に公開した特開2026-168807には、71.65~194.00mm・F2.06の望遠ズームと、51.50~82.52mm・F1.46の明るい標準~中望遠ズームなど、合計11の光学設計例が含まれています。前者は一般に70-200mm F2級、後者は50-80mm F1.4級と呼べる設計ですが、数字は公報上の実施例であり、確定した製品仕様ではありません。公開資料から読み取れるのは、複数のフォーカス群を使い、小型化と光学性能を両立しようとする技術的な方向性です。
70-200mm F2級が実現すれば、室内スポーツや舞台、ポートレートでF2.8より約1段明るい撮影を選べる可能性があります。50-80mm F1.4級も、標準から中望遠で単焦点に近い明るさを維持するという独自の魅力があります。しかし「RF70-200mm F2 L IS USM」という製品の発売は発表されておらず、マウント、手ブレ補正、AF方式、鏡筒の重量、価格、発売日は未定です。既存のRF70-200mm F2.8シリーズやRF28-70mm F2と比較する際は、光学設計の数値と、購入できる製品の仕様を区別して考えることが重要です。



