Canon EF24mm F1.4L II USMで星空撮影|F1.4の明るさとコマ収差を解説
Canon EF24mm F1.4L II USMは、24mmの広い画角とF1.4の明るさを両立した大口径広角単焦点レンズです。星空撮影では、広い範囲の夜空を取り込みながら短い露光時間で光を集められるため、天の川、星座、山や建物を含めた星景写真に使いやすいレンズです。
一方、F1.4という明るさだけで星空向けレンズの性能が決まるわけではありません。星景撮影では画面中央だけでなく四隅の星像が重要で、コマ収差、非点収差、周辺光量低下、色収差が実写へ大きく影響します。EF24mm F1.4L II USMは初代から光学性能が改善されていますが、開放F1.4では四隅にコマ収差が残り、現在の星景向けレンズと比較すると世代差も見えます。
それでも、24mm F1.4という組み合わせは星景撮影で大きな意味を持ちます。F2.8レンズより2段明るいため、同じISO感度なら露光時間を大幅に短くでき、同じ露光時間ならISO感度を下げられます。星を点として写すため露光時間を長くしすぎられない星空撮影では、この明るさが大きな武器になります。
この記事ではEF24mm F1.4L II USMを星空撮影で使う場合の画角、F1.4の効果、実写でのコマ収差、周辺描写、ピント合わせ、絞り、シャッタースピード、ISO感度、EOS Rシリーズでの使用、中古購入時の確認点まで詳しく解説します。
- EF24mm F1.4L II USMが星空撮影で注目される理由
- EF24mm F1.4L II USMの基本スペック
- 星空撮影で重要なコマ収差と周辺描写
- F1.4は本当に星空撮影で使えるのか
- EF24mm F1.4L II USMの星空撮影設定
- 星空でのピント合わせ
- フルサイズとAPS-Cで画角は大きく変わる
- EOS Rシリーズで星空撮影に使う
- 夜景撮影でもF1.4は生かせる
- 星空撮影でフィルターは必要か
- 中古でEF24mm F1.4L II USMを選ぶ際の注意点
- 初代EF24mm F1.4L USMとの違い
- EF24mm F1.4L II USMの弱点
- EF24mm F1.4L II USMが向いている星空撮影
- まとめ
EF24mm F1.4L II USMが星空撮影で注目される理由
星空撮影では、レンズの焦点距離と開放F値が写真の成否に大きく影響します。24mmはフルサイズで広い夜空を写しやすく、F1.4は非常に多くの光を取り込めるため、この二つを組み合わせたEF24mm F1.4L II USMは星景撮影と相性の高いレンズです。
24mmは天の川と地上景を同時に入れやすい
フルサイズで24mmを使うと、夜空だけでなく山、湖、建物、木々などの地上景も一緒に構図へ入れやすくなります。14mmや16mmほど極端に広くないため、天の川を小さく写しすぎず、背景と前景のバランスを取りやすい画角です。
天の川を画面の中央から斜めへ通し、下部に山や建築物を配置するような構図では、24mmの広さが使いやすくなります。20mmより少し狭く、35mmより大幅に広いため、星景写真では広さと被写体の大きさを両立しやすい焦点距離です。
24mm単焦点の用途全体については、24mm単焦点の使い道でも、風景、室内、星空、人物撮影まで詳しく解説しています。
F1.4なら露光時間を短くできる
星は地球の自転によって画面内を移動しているため、露光時間を長くしすぎると点ではなく線として写ります。星を点として残したい場合は、焦点距離と画素数に応じて一定時間以内にシャッターを切る必要があります。
F1.4はF2より1段、F2.8より2段明るいため、同じISO感度であればF2.8より大幅に短いシャッタースピードを選べます。例えばF2.8で20秒必要な露出を、理論上はF1.4なら約5秒まで短縮できます。実際には周辺像や露出のバランスからF1.8やF2を使うこともありますが、開放F1.4を持っていること自体が大きな余裕になります。
星空撮影全体の露出設定については、Canonで星空撮影する設定方法で、シャッタースピード、ISO感度、ピント合わせまでまとめています。
EF24mm F1.4L II USMの基本スペック
EF24mm F1.4L II USMは、10群13枚の光学構成を採用するEFマウントのL単焦点レンズです。ガラスモールド非球面レンズ2枚、UDレンズ2枚を使用し、広角大口径レンズで問題になりやすい収差を抑える設計が採用されています。
| 焦点距離 | 24mm |
|---|---|
| 開放F値 | F1.4 |
| 最小絞り | F22 |
| レンズ構成 | 10群13枚 |
| 絞り羽根 | 8枚 |
| 最短撮影距離 | 0.25m |
| 最大撮影倍率 | 0.17倍 |
| フィルター径 | 77mm |
| 最大径×長さ | 約83.5×86.9mm |
| 重量 | 約650g |
| AF | リングUSM |
| 手ブレ補正 | なし |
| マウント | Canon EF |
SWCで斜めから入る光への対策が強化されている
EF24mm F1.4L II USMではSWCと呼ばれる反射防止技術が採用されています。広角レンズでは斜め方向から強い光が入りやすく、街灯、月、車のライトなどが画面内や画面外にあるとフレアやゴーストが発生しやすくなります。
星空撮影では真っ暗な場所だけでなく、街の光や月明かりを構図へ入れることがあります。初代EF24mm F1.4L USMと比べ、II型では逆光耐性が改善され、強い光源を含む夜景や星景でもコントラストを維持しやすくなっています。
ただし、強い光源を真正面から入れればフレアやゴーストが完全に消えるわけではありません。特にフィルターを付けている場合は、レンズとフィルターの間で反射が増えることがあります。星空では不要な保護フィルターを外した方がゴーストを抑えられる場合があります。
EF広角単焦点全体で24mm F1.4L IIの位置を確認する場合は、Canon EF広角単焦点レンズ一覧が参考になります。
星空撮影で重要なコマ収差と周辺描写
星景写真では中央部の解像力だけを見てもレンズの性能を判断できません。画面端にある星が鳥の羽や彗星のように伸びるコマ収差、点が放射状に変形する非点収差、周辺光量低下などが写真全体の印象を左右します。
F1.4では四隅の星像にコマ収差が残る
EF24mm F1.4L II USMは初代よりコマ収差が改善されていますが、フルサイズでF1.4を使うと画面四隅の星は完全な点にはなりません。中央部は比較的安定していますが、周辺へ行くほど星像が広がったり、翼状に変形したりする傾向があります。
これは星空撮影では特に分かりやすい弱点です。昼間の風景では小さな解像差としてしか見えない部分でも、黒い背景に白い点光源が並ぶ星空では収差が強調されます。
F1.4の明るさを優先し、多少の周辺収差を許容する撮り方もあります。Web表示や小さなプリントでは四隅の星像が目立ちにくい場合もあります。一方、画面全体を高解像で見せたい星景写真では、F1.8からF2.8程度まで絞って比較する意味があります。
星景レンズ全体の選び方については、Canon星空撮影用レンズの選び方で広角単焦点やズームを比較しています。
F2からF2.8で周辺像は改善する
一段絞るだけでも周辺像は変化します。F2ではF1.4よりコマ収差と周辺光量低下が改善し、F2.8ではさらに安定します。星像の形を優先する場合にはF2からF2.8が使いやすい範囲です。
一方、絞るほど取り込める光は減ります。F1.4からF2で1段、F2からF2.8でもう1段暗くなるため、同じ明るさを得るにはシャッタースピードを長くするかISO感度を上げる必要があります。
星を点として写す場合はシャッタースピードを無制限に伸ばせないため、ISO感度を上げる場面も増えます。したがって「F1.4は収差があるから使わない」「F2.8が最もシャープだから常にF2.8」という単純な話にはなりません。星像、ノイズ、露光時間の三つを見ながら絞りを決めます。
F値と画質の関係は、F値と解像・ボケ・明るさの関係でも詳しく解説しています。
F1.4は本当に星空撮影で使えるのか
EF24mm F1.4L II USMの最大の特徴はF1.4ですが、星空では開放を使うか少し絞るかで評価が分かれます。星景では解像力だけでなく、光をどれだけ集められるかも重要だからです。
暗い場所ではF1.4の光量が大きな武器になる
人工光がほとんどない暗い場所では、F1.4の光量がそのまま写真へ効いてきます。ISO感度を抑えながら天の川を写したり、シャッタースピードを短くして星の流れを減らしたりできます。
特に高画素機では星が流れたことが分かりやすくなるため、短い露光時間を使えることは重要です。F1.4で5秒から10秒程度を使い、ISO3200前後で露出を調整する方法は、F2.8ズームより自由度があります。
また、オーロラのように動きのある夜空では長時間露光をすると模様がぼやけます。そのような場面でもF1.4でシャッタースピードを稼げることは有利です。
星空撮影の基本設定は、Canonで星空撮影する設定方法で具体的に解説しています。
四隅を重視するならF1.8からF2.8も試したい
天の川を画面中央へ配置し、四隅を暗い山や地上景で埋める構図なら、F1.4の周辺収差がそれほど目立たない場合があります。反対に、画面全体を星で埋める構図では四隅のコマ収差が目につきやすくなります。
そのため、同じ場所でF1.4、F2、F2.8を撮り比べると、このレンズの特性をつかみやすくなります。F1.4の明るさが必要か、F2で星像を改善した方が完成度が上がるかは、夜空の明るさやカメラの高感度性能によって変わります。
星空撮影ではレンズの評価を昼間の解像力だけで決められません。星が点光源であることを考え、実際の夜空で周辺像を確認することが重要です。
同じ24mm帯の広角単焦点を比較する場合は、Canon EF広角単焦点レンズ一覧からF2.8モデルなども確認できます。
EF24mm F1.4L II USMの星空撮影設定
星空撮影では露出をカメラ任せにすると安定しません。夜空の明るさや月齢によって露出計の表示が大きく変わるため、Mモードで絞り、シャッタースピード、ISO感度を固定して撮影する方法が基本になります。
最初はF1.8からF2、10秒前後、ISO3200を基準にする
フルサイズで24mmを使う場合、最初の設定としてF1.8からF2、シャッタースピード8秒から10秒、ISO3200前後から始めると調整しやすくなります。夜空が暗ければISOを上げ、街明かりや月がある場合はISOを下げます。
F1.4を使えばさらにシャッタースピードを短くできます。星の流れをできるだけ抑えたい場合や、高画素カメラを使う場合には5秒から8秒程度まで短くする方法があります。
反対にF2.8まで絞る場合は光量が減るため、ISO6400前後が必要になることもあります。カメラの高感度性能とノイズ処理を見ながら調整します。
シャッタースピード、ISO感度、絞りを具体的に組み立てる方法は、Canonで星空撮影する設定方法で詳しく確認できます。
露光時間を長くしすぎると星が流れる
広角レンズでは長めの露光を使えますが、24mmでも露光時間を長くすれば星は移動します。昔から500ルールなどの簡易計算がありますが、現在の高画素デジタルカメラでは、それより短いシャッタースピードでも星の流れが見える場合があります。
等倍表示で完全な点像を狙うなら、24mmでも10秒以下へ抑えた方が安定しやすくなります。画素数が高いボディほど星の移動が細かく記録されるため、5秒から8秒程度を使う場面もあります。
一方、Web掲載や小さなプリントでは多少の流れが目立たない場合があります。最終的な出力サイズまで考えてシャッタースピードを決めることが重要です。
シャッタースピードの基本は、シャッタースピード設定の考え方も関連します。
星空でのピント合わせ
星空撮影で最も失敗しやすいのがピントです。AFが暗い星を認識できない場合もあり、星空ではMFを使うことが多くなります。
ライブビューで明るい星を拡大して合わせる
ピント合わせでは、明るい星や遠くの街灯をライブビューで拡大表示し、最も小さくシャープに見える位置へフォーカスリングを動かします。レンズの距離指標を無限遠へ合わせるだけでは、温度変化や個体差によって微妙にずれる可能性があります。
一度ピントが合ったら、フォーカスリングへ不用意に触れないようにします。撮影中に構図を変えたあとも、数枚ごとに拡大表示して星がぼけていないか確認すると失敗を減らせます。
EF24mm F1.4L II USMはリングUSMを採用しており、AF後でもフルタイムマニュアルフォーカスを利用できます。星空では最初にAFで遠景へ合わせ、その後MFで微調整する方法も使えます。
AFとMFの使い分けは、AFとMFの違いで基本から解説しています。
フルサイズとAPS-Cで画角は大きく変わる
EF24mm F1.4L II USMはフルサイズ対応EFレンズなので、APS-C一眼レフにも装着できます。ただし、キヤノンAPS-Cでは35mm判換算約38.4mm相当の画角になります。
APS-Cでは星景用広角としては狭くなる
APS-Cで約38mm相当になると、フルサイズ24mmのように広大な天の川と地上景を一枚へ収めるのは難しくなります。星座や天の川の一部分を大きく見せる撮影には使えますが、一般的な星景写真では画角の狭さを感じる場面が増えます。
一方、APS-Cではフルサイズの四隅を使わないため、コマ収差や周辺光量低下が目立ちにくくなります。レンズ中央部の描写を使いやすいことは利点です。
APS-Cで星景を広く撮りたい場合は、より短い焦点距離のレンズを使った方が構図を作りやすくなります。EF24mm F1.4L II USMは、APS-Cでは星空専用というより明るい準標準レンズとしての性格が強まります。
EF広角単焦点の焦点距離による違いは、Canon EF広角単焦点レンズ一覧で比較できます。
EOS Rシリーズで星空撮影に使う
EF24mm F1.4L II USMはEFマウントレンズですが、マウントアダプター EF-EOS Rを使用すればフルサイズEOS Rシリーズでも使えます。標準アダプターには焦点距離を変える光学系がないため、24mm F1.4のまま利用できます。
ミラーレスの拡大表示は星のピント確認と相性が高い
EOS Rシリーズでは電子ファインダーや背面モニターで拡大表示しながら星へピントを合わせられます。暗所では光学ファインダーより星を確認しやすく、MFでの微調整が容易になります。
露出シミュレーションを使えば、撮影前に夜空の明るさをある程度確認できます。ピント拡大、ヒストグラム、電子水準器などを組み合わせると、一眼レフより星空撮影の準備がしやすくなります。
ボディ内手振れ補正を搭載するEOS Rシリーズもありますが、三脚を使用する星空撮影では補正機能を切った方が安定する場合があります。撮影条件に応じて設定を確認します。
EOS RシリーズでEFレンズを使う場合の特徴は、マウントアダプター EF-EOS Rのデメリットでも詳しく扱っています。
夜景撮影でもF1.4は生かせる
EF24mm F1.4L II USMは星空専用レンズではありません。夜の街、イルミネーション、室内、建築物など、暗所でシャッタースピードを確保したい場面でもF1.4が役立ちます。
手持ち夜景ではISO感度を抑えやすい
手持ち夜景では三脚を使えない場所も多く、シャッタースピードを遅くしすぎると手ブレします。F1.4ならF2.8ズームより多くの光を取り込めるため、同じシャッタースピードならISO感度を下げられます。
24mmは50mmや85mmより手ブレの影響を抑えやすく、人物を含む夜のスナップにも使いやすい画角です。F1.4では背景の街灯をぼかしながら人物を写すこともできます。
ただし、建物全体をシャープに写す夜景ではF1.4を使う必要はありません。三脚が使えるならF5.6からF8程度まで絞り、ISO感度を下げて長時間露光を行う方が画面全体を高解像で記録できます。
広角単焦点の用途を星空以外まで含めて考える場合は、EF24mm F1.4L II USMで切り取る光の物語も関連します。
星空撮影でフィルターは必要か
昼間の風景撮影では保護フィルターやPLフィルターを付けることがありますが、星空ではフィルターが反射を増やす場合があります。特に明るい星や街灯が画面内にあると、レンズとフィルターの間でゴーストが発生することがあります。
通常の保護フィルターは外した方が安定しやすい
星空撮影では前玉への物理的な危険が少ない場所で三脚を使うことが多いため、保護フィルターを外して撮る方法があります。余計なガラス面を一枚減らすことで、ゴーストや反射を抑えられる可能性があります。
一方、夜露、砂、強風など環境が厳しい場合には前玉保護を優先する考え方もあります。レンズの状態や撮影場所に応じて使い分けます。
星空専用の光害カットフィルターを使用する場合も、色再現や露出が変化します。都市近郊で光害を抑える効果がある一方、自然な色を重視する場合にはRAW現像で調整する必要があります。
星空撮影で必要な機材全体は、Canon星空撮影用レンズの選び方の記事から確認できます。
中古でEF24mm F1.4L II USMを選ぶ際の注意点
EF24mm F1.4L II USMは現在中古流通が中心となっています。大口径Lレンズで中古価格も安価とは限らないため、外観だけでなく光学系とAFの状態を確認することが重要です。
星空用途では片ボケの確認が特に重要
星空撮影では画面全体へ点光源が広がるため、片ボケが非常に分かりやすくなります。画面左側だけ星が大きく流れ、右側は比較的シャープという個体では、レンズ群の位置ずれなどが考えられます。
昼間の実写でも遠景を撮り、左右の端の解像力を比較すると確認できます。F1.4だけでなくF2.8やF5.6でも左右差が残る場合は、通常の周辺画質とは別に個体状態を疑う必要があります。
星空目的で中古購入するなら、多少の外装傷より光学系の左右均一性を重視する方が実用上重要です。
EFレンズ全体から中古候補を探す場合は、キヤノン大全で24mm、28mm、35mmの各広角単焦点を比較できます。
カビ、クモリ、AF、フォーカスリングも確認する
大口径広角レンズは内部に大きなレンズを使用しているため、クモリやカビがあると逆光性能とコントラストへ影響します。星空では暗い背景に明るい星があるため、わずかなコントラスト低下でも写真へ影響する場合があります。
AFはリングUSMなので、近距離から遠距離まで何度か動かし、異音や停止がないかを確認します。星空ではMF中心でも、通常撮影でAFを使う機会は多いため、正常動作する個体の方が使いやすくなります。
フォーカスリングは星空撮影で頻繁に使います。極端に重い、ガタがある、途中で引っ掛かるといった症状がある個体は避けたいところです。距離指標窓も暗所で無限遠位置を確認する際に役立ちます。
広角単焦点の中古比較は、Canon EF広角単焦点レンズ一覧も参考になります。
初代EF24mm F1.4L USMとの違い
EF24mm F1.4L II USMは初代モデルを基礎にしながら、光学設計、コーティング、周辺描写、防塵防滴への配慮などが強化されています。星空撮影では特に画面端の描写差が重要になります。
II型では周辺描写と逆光性能が改善している
初代EF24mm F1.4L USMも24mm F1.4という基本構成は同じですが、II型では非球面レンズやUDレンズを用いた新しい光学設計により、周辺部の収差が改善されています。
SWCの採用によって逆光性能も強化され、星空と地上の街灯を同時に写すような条件ではII型の利点が出やすくなります。画面端の星像も初代より整っています。
それでもII型のF1.4でコマ収差が完全に消えるわけではありません。星空撮影だけを目的に現在の最新設計レンズと比べると弱点はありますが、初代からの改良幅は大きくなっています。
EF24mmシリーズを含む広角単焦点の世代差は、Canon EF広角単焦点レンズ一覧で整理しています。
EF24mm F1.4L II USMの弱点
F1.4、24mm、Lレンズという特徴は魅力ですが、星空用として万能ではありません。現在の基準で見ると重量、開放周辺像、価格、手ブレ補正なしなど、用途によって気になる部分があります。
650gは星景撮影用単焦点として軽くはない
重量は約650gあります。三脚、カメラ、予備バッテリー、防寒具などを持って夜間に移動する星景撮影では、この重量が負担になる場合があります。
車で撮影地まで移動する場合は問題になりにくい一方、登山や長距離を歩く場合にはレンズ一本の重量差が機材全体へ影響します。F1.4の明るさを優先するのか、軽量なF2.8広角を選ぶのかで機材構成が変わります。
一方、650gという重量には大口径F1.4の光学系と堅牢な鏡筒が含まれています。軽さだけで評価するレンズではありません。
軽量な広角単焦点を含めて比較するなら、Canon EF広角単焦点レンズ一覧から24mm F2.8系も確認できます。
現在の星景向けレンズより開放周辺像は不利になる
EF24mm F1.4L II USMが登場した時代と現在では、広角大口径レンズの設計技術が進んでいます。最新の24mm F1.4クラスでは、開放から四隅のコマ収差をさらに抑えた製品があります。
そのため、星空だけを目的に性能を比較すると、EF24mm F1.4L II USMが最も優れた選択になるとは限りません。特に高画素機で画面四隅まで星を点として残したい場合には、最新設計との差が見えます。
一方、EF一眼レフとEOS Rの両方で使えること、F1.4の明るさ、24mmという画角、Lレンズとしての堅牢性をまとめて考えると、現在でも明確な使い道があります。
星空撮影用レンズ全体の比較は、Canon星空撮影用レンズの選び方で確認できます。
EF24mm F1.4L II USMが向いている星空撮影
このレンズの特徴を生かしやすいのは、単純に夜空だけを撮る場面より、星と風景を一枚にまとめる星景写真です。
天の川と前景を一緒に写す星景写真に向く
24mmは天の川をある程度大きく見せながら、山、木、建物、湖などの前景も同時に入れられます。14mmや16mmでは空が広くなりすぎて天の川が小さく見える場合がありますが、24mmでは星空の存在感を残しやすくなります。
F1.4によって短い露光時間を使えるため、星を点として保ちながら暗い前景も取り込みやすくなります。月明かりがある夜なら地上景にも光が回り、星と風景を一枚でまとめやすくなります。
前景へ岩や草木を大きく入れる場合は、24mmの遠近感を生かせます。カメラを低く構え、近くの物体を大きく、天の川を背景へ配置すると奥行きのある構図になります。
24mmでの構図の作り方は、24mm単焦点の使い道で星空以外の作例も含めて整理しています。
まとめ
Canon EF24mm F1.4L II USMは、24mmの広い画角と開放F1.4を組み合わせた大口径広角単焦点です。星空撮影ではF2.8ズームより2段明るいことで、露光時間を短くしたりISO感度を抑えたりできる点が大きな利点です。
フルサイズでは天の川と地上景を一枚へまとめやすく、14mmや16mmほど広すぎないため、星空の存在感を残した構図を作れます。EOS Rシリーズでもマウントアダプターを介して24mm F1.4のまま使用でき、拡大表示によるMFとの相性も高いレンズです。
一方、F1.4では四隅にコマ収差が残り、現在の最新星景向けレンズほど開放周辺像が整っているわけではありません。画面全体の星像を優先する場合はF1.8からF2.8まで絞り、ISO感度やシャッタースピードとのバランスを見る必要があります。
星空撮影ではF1.4という数字だけを見て評価せず、実際の夜空で中央と四隅を確認することが重要です。暗い場所で短い露光を使いたいならF1.4、周辺の星像を整えたいならF2前後、さらに画面全体を安定させたいならF2.8というように使い分けると、このレンズの性能を引き出しやすくなります。
中古購入ではカビやクモリ、AFだけでなく、星空用途では片ボケの確認が特に重要です。状態の良い個体であれば、EF一眼レフとEOS Rシリーズの両方で使える24mm F1.4として、星景、夜景、風景、建築、スナップまで幅広く活用できます。



