初代EF50mm F1.8レビュー|II・STMとの違い・描写・中古で使う魅力を解説
Canon EF50mm F1.8は、1987年3月に発売されたEFマウント初期の標準単焦点レンズです。現在「EF50mm F1.8」と検索すると、1990年登場のEF50mm F1.8 IIや2015年登場のEF50mm F1.8 STMと混同されやすいですが、初代EF50mm F1.8は仕様も外装も異なる独立したモデルです。
初代EF50mm F1.8の正しい仕様は、5群6枚、絞り羽根5枚、最短撮影距離0.45m、最大撮影倍率0.15倍、フィルター径52mm、最大径67.4mm、全長42.5mm、質量190gです。AFにはマイクロモーターを採用し、距離目盛窓と実用的なマニュアルフォーカスリングを備えています。
後継のEF50mm F1.8 IIも5群6枚、最短0.45m、最大0.15倍、52mmフィルターという基本光学系を継承しましたが、外装を簡略化して約130gまで軽量化しました。さらに2015年のEF50mm F1.8 STMでは最短0.35m、最大0.21倍、49mmフィルター、7枚円形絞り、STM、金属マウントへ進化しています。
そのため初代EF50mm F1.8を「160g」「最短35cm」「最大0.21倍」「49mmフィルター」「7枚絞り」「STM搭載」と説明するのは誤りです。それらはEF50mm F1.8 STMの仕様です。初代を知るには、II型やSTMとの違いを分けて見る必要があります。
この記事では1987年発売の初代EF50mm F1.8に絞り、正しいスペック、光学設計、AFとMF、50mm F1.8の描写、ポートレートやスナップでの使い方、EF50mm F1.8 II・STMとの違い、フルサイズとAPS-Cでの画角、EOS Rシリーズで使う方法、中古で選ぶ際の確認点まで詳しく解説します。
初代EF50mm F1.8とはどんなレンズか
EF50mm F1.8はキヤノンがEFマウントをスタートさせた1987年に登場した初期EFレンズの一つです。50mm F1.8という伝統的な標準レンズの仕様を、新しい完全電子制御のEFマウントへ移したモデルでもあります。後年のII型やSTMへつながる原点として見ると、このレンズの位置付けが分かりやすくなります。
1987年登場の初代EF50mm F1.8
初代EF50mm F1.8の発売は1987年3月です。EFマウントとEOSシステムが始まった時期に投入され、50mmの標準画角とF1.8の大口径を小型な鏡筒へまとめています。
レンズ構成は5群6枚です。この基本的な光学構成は後継のEF50mm F1.8 IIにも受け継がれました。複雑な特殊レンズを多数使用する現在の大口径50mmとは方向が異なり、シンプルな光学系で標準レンズとして必要な画質と小型化を両立しています。
初代の特徴として重要なのが、距離目盛窓を備えていることです。鏡筒上から撮影距離を確認でき、マニュアルフォーカスリングもII型よりしっかりした構造になっています。後継II型ではこの部分が簡略化されたため、操作感や外装では初代を好む理由が残っています。
後継モデルの仕様と違いを確認する場合は、EF50mm F1.8 IIの特徴と描写でII型を詳しく紹介しています。
正しいスペックは190g・最短0.45m・52mmフィルター
初代EF50mm F1.8の焦点距離は50mm、開放F値はF1.8、最小絞りはF22です。レンズ構成は5群6枚、絞り羽根は5枚となっています。
最短撮影距離は0.45m、最大撮影倍率は0.15倍です。花や小物へある程度近づくことはできますが、マクロ的に大きく写すレンズではありません。50mmの自然な画角とF1.8によるボケを利用しながら、人物、スナップ、日常撮影を行う使い方が中心になります。
フィルター径は52mm、最大径は67.4mm、全長42.5mm、質量190gです。後継II型より約60g重いものの、標準単焦点としては十分コンパクトです。
2015年発売のSTMモデルは160g、0.35m、0.21倍、49mmフィルターなので、初代とは数字がはっきり異なります。STMモデルの正しい仕様については、EF50mm F1.8 STMの特徴と使い方で詳しく解説しています。
AFはSTMではなくマイクロモーターを採用する
初代EF50mm F1.8のAF駆動はマイクロモーターです。名称にSTMやUSMは付きません。AF駆動音や速度は新しいSTMレンズとは性格が異なり、1980年代のEFレンズらしいモーター駆動です。
EFマウントはボディとレンズを電子接点で接続し、絞りやAFを電子制御するシステムとして始まりました。初代EF50mm F1.8もその初期世代に属し、AF標準レンズとしてEOSフィルム一眼レフで使われました。
マニュアルフォーカスでは鏡筒前部のフォーカスリングを利用できます。後継II型ではマニュアルフォーカス部分が簡略化されているため、初代は古いEF50mm F1.8の中でもMF操作を行いやすい構造です。
AFとMFの基本的な違いや撮影場面ごとの使い分けは、AFとMFの違いとは?オートフォーカスとマニュアルフォーカスの使い分けで詳しく紹介しています。
EF50mm F1.8の50mmとF1.8をどう生かすか
初代EF50mm F1.8の中心にあるのは、50mmという標準焦点距離とF1.8という明るさです。現在では50mm F1.2やF1.4などさらに明るいレンズもありますが、F1.8でも一般的な標準ズームより大幅に明るく、単焦点らしい背景ボケや暗所撮影を楽しめます。
フルサイズでは50mmの標準画角になる
フルサイズEOSで使うと、レンズ表記そのままの50mmとして使用できます。広角のように周囲を大きく取り込まず、望遠のように狭く切り取らないため、日常の光景を自然な感覚で構成しやすい焦点距離です。
スナップでは撮影者自身が前後へ動きながら構図を決めることになります。ズームリングで画角を変えられないため、人物へ近づく、少し離れて背景を加えるといった動きがそのまま写真の構成につながります。
人物撮影でも50mmは使いやすく、全身や半身なら周囲の雰囲気を残しながら撮影できます。85mmや135mmほど背景を狭く整理する焦点距離ではありませんが、人物がいる場所まで含めて写したいポートレートに向いています。
50mmと85mmなど人物撮影用レンズの画角を比べる場合は、Canonポートレートレンズおすすめ|50mm・85mm・135mm・200mmをRF・EFで比較で詳しく整理しています。
F1.8なら暗所でシャッタースピードを確保しやすい
開放F1.8は、F4やF5.6の標準ズームと比べると多くの光を取り込めます。室内、夕方、夜の街などでISO感度を抑えたり、シャッタースピードを速くしたりできるため、手ブレや被写体ブレへの対応幅が広がります。
初代EF50mm F1.8には光学式手ブレ補正機構がありません。一眼レフで使用する場合はシャッタースピード、ISO感度、撮影姿勢によって手ブレを抑えることになります。F1.8の明るさは、このような手ブレ補正を持たないレンズでシャッタースピードを確保するためにも有効です。
F1.8開放では被写界深度も浅くなるため、人物の目へピントを合わせたときに背景をぼかしやすくなります。一方、人物との距離が近い場合はピント面が薄くなるため、開放だけに固定せずF2.8やF4へ絞ることで安定した撮影ができます。
絞り値と背景ボケ、シャッタースピード、被写界深度の関係は、F値を知れば広がるカメラの世界 撮影表現を変える明るさとボケのコントロール術で詳しく解説しています。
5枚絞りはSTMの7枚円形絞りとはボケの形が異なる
初代EF50mm F1.8の絞り羽根は5枚です。後継のEF50mm F1.8 IIも5枚ですが、EF50mm F1.8 STMでは7枚の円形絞りへ変更されています。
開放F1.8では絞り羽根の形状がボケへ現れにくい一方、少し絞ると初代では点光源のボケが多角形になりやすくなります。STMは円形絞りによって、絞った状態でも比較的丸いボケを維持しやすい設計です。
初代の5枚絞りを現代レンズと同じ滑らかな円形ボケとして説明するのは適切ではありません。古い標準単焦点らしい絞り形状も含めて描写の特徴として扱う方が、初代EF50mm F1.8を正しく理解できます。
50mmでさらに大きなボケを求める場合は、EF50mm F1.2L USMの開放描写とボケでF1.2レンズとの違いを確認できます。
初代EF50mm F1.8の描写と撮影用途
初代EF50mm F1.8は、5群6枚というシンプルな光学系を持つ標準単焦点です。最新レンズのように開放から画面全域を均一に高解像化することだけを追求した製品ではありません。開放F1.8と絞った状態の変化を使い分けることで、古いEF単焦点らしい撮影を楽しめます。
開放F1.8では被写体と背景を分離しやすい
F1.8を使うと被写界深度を浅くでき、人物や小物を背景から分離しやすくなります。50mmは85mmほど望遠効果が強くないため、背景の場所や光を残しながら主題を目立たせる撮影に向いています。
人物と背景の距離を大きくすると、F1.8でも背景を大きくぼかせます。反対に人物を壁の直前へ立たせると、F1.8でも背景は比較的形を残します。ボケ量はF値だけで決まらず、焦点距離、撮影距離、被写体と背景の距離が関係します。
初代の5枚絞りはSTM世代とはボケの形が異なりますが、開放付近では50mm F1.8らしい浅い被写界深度を利用できます。人物だけでなく、花、料理、日用品、ペットなどでも主役を明確にできます。
50mmを人物撮影へ使う方法は、50mm F1.8を使ったポートレート撮影と背景の考え方でも詳しく紹介しています。
少し絞ると標準単焦点として扱いやすくなる
開放F1.8だけがこのレンズの使い方ではありません。F2.8、F4、F5.6へ絞ることで被写界深度が深くなり、人物の顔全体、複数人、街並み、風景などでピントを合わせやすくなります。
古い大口径単焦点では、開放時と少し絞った状態で描写の印象が変化します。開放の柔らかさを利用する撮り方もあれば、F4前後まで絞って解像感やコントラストを重視する撮り方もあります。
50mm単焦点はズームができないため、絞りと撮影距離を変えることが表現を作る重要な操作になります。F1.8で主題だけを浮かせ、F5.6で背景まで見せるという変化を同じレンズで使えます。
より明るい50mmを比較する場合は、EF50mm F1.4 USMの描写とF1.4の特徴でF1.8との違いを確認できます。
最短0.45m・0.15倍なので接写はSTMより弱い
初代EF50mm F1.8の最短撮影距離は0.45m、最大撮影倍率は0.15倍です。料理やある程度大きな小物なら撮影できますが、小さな被写体を画面いっぱいに写す用途には向きません。
後継II型も0.45m・0.15倍なので、近接性能は基本的に同じです。STMでは0.35m・0.21倍へ改善され、被写体へ10cm近く寄れるようになりました。この違いは花やテーブルフォトで体感しやすい部分です。
さらに近接撮影を重視するなら、同じ50mmでもEF50mm F2.5 Compact Macroという別の選択肢があります。標準50mmとマクロ50mmは用途が異なり、初代EF50mm F1.8はF1.8の明るさと標準画角を重視したレンズです。
50mmで近接撮影まで重視する場合は、EF50mm F2.5 Compact Macroの特徴と近接撮影で違いを確認できます。
EF50mm F1.8 II・STMとの違い
初代EF50mm F1.8を理解するときに最も重要なのが、後継2モデルとの区別です。3本とも50mm F1.8なので名称が非常によく似ていますが、初代とII型は基本光学系を共有しながら外装が異なり、STMでは近接性能、絞り、AF、マウントなどが更新されています。
初代とII型は光学系が近く外装と重量が大きく違う
初代とEF50mm F1.8 IIは、どちらも5群6枚、絞り羽根5枚、最短0.45m、最大0.15倍、フィルター径52mmです。このため基本的な光学スペックは非常に近い関係にあります。
大きく変わったのが外装です。初代は190gで距離目盛窓とマニュアルフォーカスリングを備えています。II型では外装を簡略化し、質量を約130gまで軽量化しました。距離目盛窓も省略されています。
中古で両方を見つけた場合、単純に古い初代がII型より劣るとは限りません。軽量性ではII型が有利ですが、フォーカスリングや距離表示を含む外装では初代に独自の魅力があります。
II型の仕様と使用感については、EF50mm F1.8 IIの魔法的な魅力で詳しく紹介しています。
STMでは最短0.35m・0.21倍・7枚円形絞りへ進化した
EF50mm F1.8 STMになると変更点が増えます。レンズ構成は5群6枚を継承していますが、最短撮影距離は0.45mから0.35mへ短縮され、最大撮影倍率は0.15倍から0.21倍へ向上しました。
絞り羽根も5枚から7枚円形絞りへ変更され、少し絞ったときのボケ形状が改善されています。フィルター径は52mmから49mmへ変更され、質量は160gです。
マウントも金属製となり、AFにはギアタイプのSTMを採用しています。初代やII型より静かなAFを実現し、ワンショットAF合焦後にマニュアルで微調整できる機能も備えています。
初代の記事へ160g、0.35m、0.21倍、49mm、7枚円形絞り、STMという仕様を入れると、実質的にSTMの記事になってしまいます。両者は明確に分ける必要があります。
STMモデルを詳しく確認する場合は、EF50mm F1.8 STM 撒き餌レンズの真価で紹介しています。
F1.8・F1.4・F1.2・F1.0で50mmの性格は変わる
EFマウントには50mm F1.8だけでなく、EF50mm F1.4 USM、EF50mm F1.2L USM、さらにEF50mm F1.0L USMも存在しました。
初代EF50mm F1.8は190gの小型レンズですが、開放F値を大きくするほどレンズは大型化しやすくなります。F1.4、F1.2、F1.0では背景ボケや暗所性能の自由度が増える一方、サイズ、重量、価格も大きく変わります。
F1.8の価値は50mmの自然な画角と大口径を小型な鏡筒で得られることです。極端なボケ量や特殊な描写を狙うレンズではありませんが、気軽に持ち歩ける明るい標準単焦点という役割を確立しました。
EF50mmシリーズの最も極端な存在については、Canon EF50mm F1.0L USMレビューでF1.0の描写と特徴を詳しく紹介しています。
初代EF50mm F1.8を現在のカメラで使う
EF50mm F1.8はフィルムEOS時代に登場したレンズですが、EFマウントを採用するデジタル一眼レフでも使用できます。さらにEF-EOS Rマウントアダプターを使えばEOS Rシリーズでも活用できます。フルサイズとAPS-Cでは画角が変わるため、装着するボディによってレンズの役割も変化します。
フルサイズ一眼レフでは50mm標準レンズとして使える
EOS 5DシリーズやEOS 6DシリーズなどEFマウントのフルサイズ一眼レフでは、初代EF50mm F1.8を50mmの標準単焦点として直接装着できます。
EOS 5D Mark IIのような中古フルサイズ一眼レフと組み合わせると、ボディとレンズの両方を古いEFシステムで揃えられます。ズームを使わず50mm一本で街を歩くと、撮影者自身が距離を調整して構図を作る単焦点らしい撮影になります。
レンズ内手ブレ補正はありませんが、F1.8の明るさによって夕方や室内でもシャッタースピードを確保しやすくなります。絞り優先やマニュアル露出を使い、F1.8からF8まで撮影意図に応じて変えることで50mmの表現を幅広く使えます。
古いEF単焦点をフルサイズ一眼レフで楽しむ方法は、EOS 5D Mark IIを今あえて使う理由でも詳しく紹介しています。
APS-C一眼レフでは約80mm相当の中望遠になる
EOS 40Dや50DなどCanon APS-C一眼レフへ装着すると、50mmは35mm判換算約80mm相当の画角になります。フルサイズでの標準レンズという役割から、中望遠ポートレートに近い画角へ変化します。
人物を少し離れた位置から撮りやすくなり、背景へ写る範囲も狭くなります。F1.8を利用すれば被写体を背景から分離しやすく、低価格な中古APS-C一眼レフで人物撮影を楽しむ組み合わせとしても使えます。
反対に室内では約80mm相当が狭く感じる場合があります。全身を撮るには後ろへ下がる必要があり、小さな部屋では構図を作りにくくなります。APS-Cで標準画角が必要なら30mm前後や35mm前後のレンズが使いやすくなります。
EOS 40DでEF50mmを使った場合の約80mm相当の画角については、Canon EOS 40DはD00シリーズを大きく進化させた名機でも詳しく紹介しています。
EOS RシリーズではEF-EOS Rアダプターを使用する
EOS R5、R6、R8、RPなどRFマウントのカメラには、EF50mm F1.8を直接装着できません。EF-EOS Rマウントアダプターを間に入れることで使用できます。
EFマウントのフランジバックに必要な距離をアダプターで確保する仕組みなので、レンズの焦点距離や基本的な光学特性が変わるものではありません。フルサイズEOS Rなら50mm、APS-CのEOS R7・R10・R50なら約80mm相当として使用します。
ボディ内手振れ補正を搭載するEOS R5、R6系、R7などでは、レンズ自体にISがないEF50mm F1.8でもカメラ側の補正を利用できる構成があります。古いEFレンズを新しいボディで使うことで、レンズの描写を残しながらカメラ側の新しい機能を利用できます。
接続方法やEFレンズの扱いについては、EOS RでEFレンズを使う方法|マウントアダプター・互換性・デメリットを解説で詳しく整理しています。
中古の初代EF50mm F1.8を選ぶときの確認点
初代EF50mm F1.8は1987年発売なので、中古で流通する個体は長期間使用されています。光学系が単純でコンパクトなレンズですが、購入時にはレンズの曇りやカビだけでなく、AF、絞り、フォーカスリング、電子接点なども確認対象になります。
初代・II・STMを外観と仕様で区別する
中古品を探すときは「EF50mm F1.8」という表記だけで判断しにくいことがあります。初代、II型、STMはすべて50mm F1.8ですが、外観と仕様が異なります。
初代は距離目盛窓を備え、190g、52mmフィルターです。II型は外装が簡略化され約130gですが、52mmフィルター、0.45m、0.15倍という基本仕様は初代と共通しています。STMは160g、49mmフィルター、0.35m、0.21倍、7枚円形絞り、金属マウントです。
初代を探している場合、商品説明に「STM」「49mm」「最短35cm」と記載されていれば初代の仕様とは一致しません。型名だけでなく外観とスペックを照合することで取り違えを避けられます。
EFマウントと現在のRFマウントの違いまで含めて確認する場合は、RFマウントとEFマウントの違いは?互換性とレンズの使い方を解説で詳しく紹介しています。
AF・絞り・フォーカスリング・電子接点を確認する
古いEFレンズでは光学系だけが正常でも、電子制御部分に問題があれば実用性が落ちます。AFが正常に動くか、ピント位置が近距離から無限遠まで移動するか、絞りが設定値に応じて動作するかが重要です。
初代にはマニュアルフォーカスリングがあるため、リングの動きも確認対象になります。極端に重い、引っ掛かる、空転するといった症状があるとMF撮影で扱いにくくなります。
電子接点の汚れやマウント周辺の傷、ガタつきも確認したい部分です。EOSボディへ装着して正常に認識し、F値表示とAFが動作する個体なら、古いレンズでも実際の撮影へ使えます。
古いEFレンズをデジタル一眼レフで活用する例として、EOS 6D Mark IIレビュー|画質・AF・EFレンズとの相性・中古選びでもEFレンズとの組み合わせを紹介しています。
カビ・曇り・傷は実写への影響まで考える
発売から長期間経過したレンズでは、内部のチリだけでなくカビや曇りが発生している個体があります。小さなチリは写真へほとんど影響しない場合もありますが、広範囲の曇りやカビは逆光時のコントラスト低下、フレア、解像感低下につながります。
前玉や後玉の傷も状態によって影響が異なります。小さな表面傷だけで直ちに撮影不能になるわけではありませんが、後玉の大きな傷やコーティング損傷は慎重に見る必要があります。
初代EF50mm F1.8は現在の新品レンズとスペックだけを競う対象ではなく、1987年から続くEFシステム初期の標準単焦点を現在のEOSで楽しめることに価値があります。状態の良い個体なら、F1.8と50mmの基本的な撮影を現在でも体験できます。
さらに明るい歴代EF50mmの描写や中古ならではの楽しみ方は、EF50mm F1.2L USM レンズの実力とは 開放描写と高画質のすべてでも詳しく紹介しています。
まとめ
Canon EF50mm F1.8は1987年3月に発売された、EFマウント初期の標準単焦点レンズです。焦点距離50mm、開放F1.8、5群6枚というシンプルな光学系を採用し、EF50mm F1.8 IIやEF50mm F1.8 STMへ続く50mm F1.8シリーズの原点となりました。
初代の正しい仕様は、絞り羽根5枚、最短撮影距離0.45m、最大撮影倍率0.15倍、フィルター径52mm、最大径67.4mm、全長42.5mm、質量190gです。AFにはマイクロモーターを採用し、距離目盛窓とマニュアルフォーカスリングを備えています。
EF50mm F1.8 STMの160g、最短0.35m、最大0.21倍、49mmフィルター、7枚円形絞り、STMという仕様とは異なります。初代EF50mm F1.8の記事を読む際には、STMの仕様が混ざっていないかを区別することが重要です。
後継EF50mm F1.8 IIは初代と同じ5群6枚、5枚絞り、0.45m、0.15倍、52mmフィルターという基本仕様を受け継ぎながら、外装を簡略化して約130gへ軽量化しました。初代には距離目盛窓と扱いやすいマニュアルフォーカスリングが残っており、外装ではII型より充実しています。
フルサイズEOSでは50mmの標準単焦点として、スナップ、人物、日常撮影、室内、夕方など幅広く利用できます。F1.8を使えば背景をぼかしやすく、暗所でもシャッタースピードを確保しやすくなります。
Canon APS-C一眼レフでは約80mm相当となり、標準レンズから中望遠に近い画角へ変化します。EOS 40Dや50Dなどへ装着すれば、F1.8の明るさを生かした人物撮影用レンズとして使えます。
EOS RシリーズでもEF-EOS Rマウントアダプターを介して使用できます。EFレンズの光学特性を残したまま、新しいEOS RボディのAFや、対応機ではボディ内手振れ補正を利用できるため、1987年のレンズを現在のミラーレスシステムへ組み込むこともできます。
初代EF50mm F1.8を中古で選ぶ場合には、初代・II型・STMを混同せず、距離目盛窓、フィルター径、重量、最短撮影距離などからモデルを確認することが重要です。さらにAF、絞り、フォーカスリング、電子接点、カビ、曇り、傷など、長期間使用されたレンズとしての状態も実用性を左右します。
最新の50mmレンズと比べればAF、近接性能、ボケ形状などで世代差があります。それでもEFマウントが始まった1987年から存在する50mm F1.8を現在のEOSで使えることは、EFシステムの長い歴史を実際の撮影で体験できる魅力につながります。



