Nikon AF DC-NIKKOR 105mm F2Dレビュー|DC機構・ボケ・描写・中古購入の注意点を解説
Nikon AF DC-NIKKOR 105mm F2Dは、単なる大口径中望遠レンズではありません。最大の特徴は、ニコン独自のDefocus-image Control、通称DC機構を搭載し、前ボケと後ボケの描写を意図的に変えられることです。105mm F2という時点でポートレート向きの条件が揃っていますが、このレンズはさらに球面収差の補正量を撮影者が操作できるため、ピント面のシャープさだけでなく、ボケの輪郭や溶け方まで表現として扱えます。
レンズ構成は6群6枚に保護ガラス1枚、最短撮影距離0.9m、最大撮影倍率0.13倍、9枚絞り、フィルター径72mm、質量約640gです。開放F2から使える明るさを持ちながら、105mm単焦点としては比較的扱いやすいサイズに収められています。フルサイズでは105mm、DX機では35mm判換算約157.5mm相当となり、人物のバストアップや顔を大きく切り取る撮影に向きます。
一方、DC機構は回せば必ず劇的な変化が出る機能ではありません。実写レビューでも効果は繊細で、設定を大きくしすぎればピント面のコントラストや解像感まで低下します。さらに、DCリングを動かした後はピント位置が変わるため、操作順序を間違えると狙った位置にピントが合わなくなります。このレンズの難しさは、ボケを調整できることと、簡単に結果を予測できることが同じではない点にあります。
この記事では、AF DC-NIKKOR 105mm F2Dの基本仕様、DCリングの仕組み、RとFの意味、F2開放の描写、ボケ、色収差、AF、ポートレートでの使い方、DX機での画角、NIKKOR 105mm F1.4E EDやAF-S VR Micro-Nikkor 105mm F2.8G IF-EDとの違い、中古購入時の確認点まで詳しく解説します。
AF DC-NIKKOR 105mm F2Dの基本仕様
AF DC-NIKKOR 105mm F2DはニコンFマウントのフルサイズ対応単焦点レンズです。105mmという焦点距離にF2の大口径を組み合わせ、人物撮影を強く意識した設計になっています。
| 焦点距離 | 105mm |
|---|---|
| 最大口径比 | 1:2 |
| レンズ構成 | 6群6枚+保護ガラス1枚 |
| 画角 | FXで23°20′、DXで15°20′ |
| DX換算画角 | 約157.5mm相当 |
| 最短撮影距離 | 0.9m |
| 最大撮影倍率 | 0.13倍 |
| 絞り羽根 | 9枚 |
| 最小絞り | F16 |
| フィルター径 | 72mm |
| 寸法 | 約79×111mm |
| 質量 | 約640g |
| フード | 内蔵式 |
105mm F2という焦点距離と明るさ
105mmは85mmより被写体から距離を取りやすく、135mmほど遠くなりすぎない中望遠です。人物撮影では顔のパースを穏やかに保ちながら背景を整理しやすく、バストアップや肩から上を切り取る構図と相性があります。
開放F2はF2.8より1段明るく、背景ボケだけでなくシャッタースピードの確保にも有利です。屋内や夕方ではISO感度を抑えやすく、人物のわずかな動きを止めるためのシャッタースピードも取りやすくなります。
より新しい105mm大口径レンズとの違いは、NIKKOR 105mm f/1.4E EDの描写とボケで確認できます。
640gで金属感のある旧世代らしい造り
質量は約640gで、現在の大型大口径単焦点と比べると極端に重くありません。鏡筒には旧世代ニッコールらしい金属感があり、フォーカスリング、絞りリング、DCリングがそれぞれ独立しています。
内蔵式フードを引き出して使えるため、フードを別に持ち歩く必要がありません。ただし長期間使われた中古では、内蔵フードが緩くなっている個体もあります。外装状態だけでなく、リング類の動きや内蔵フードの保持感も確認対象です。
105mmクラスの別系統としては、AF-S VR Micro-Nikkor 105mm F2.8G IF-EDもあります。
DCリングとは何か
このレンズを特徴づけるのがDefocus-image Controlです。通常の絞りリングとは別にDCリングがあり、R側とF側へ回すことで球面収差の補正状態を変えます。
Rは後ボケ、Fは前ボケを変える
DCリングをR側へ回すと、主に後ボケを滑らかにする方向へ変化します。F側へ回すと前ボケ側へ影響します。ポートレートでは背景をぼかす場面が多いため、R側を使う機会の方が多くなります。
ただし、Rへ回せば単純に背景が「もっと大きく」ぼけるわけではありません。ボケの縁取りや明るさの分布が変わり、背景の点光源や葉の輪郭がより柔らかく見えるようになります。焦点距離やF値そのものが変わる機能とは異なります。
ニコンのポートレートレンズ全体の方向性は、ニコンはポートレートに不向き?でも歴代レンズを交えて解説しています。
DC値は実際の絞り値に合わせるのが基本
DCリングにはF2、F2.8、F4、F5.6といった目盛りがあります。基本は撮影時の絞り値と同じ値へ合わせる使い方です。F2で撮るならR2またはF2、F2.8ならR2.8またはF2.8という考え方になります。
DC値を実際の絞り値より大きくすると、球面収差の影響が強くなり、ピント面まで柔らかくなるソフトフォーカス的な効果が現れます。意図的に使うことはできますが、シャープな人物写真を狙っているのにDCリングを大きく回しすぎると、単純なピンボケのように見えることがあります。
ボケそのものを重視する単焦点との比較には、AF-S NIKKOR 85mm F1.4Gも参考になります。
DC操作で重要な順序
AF DC-NIKKOR 105mm F2Dは、DCリングを回してからピントを合わせる必要があります。これは操作上かなり重要な点です。
DCを動かした後に必ずピントを合わせ直す
DCリングを回すと光学系の一部が動き、ピント位置も変化します。そのため先にAFでピントを合わせ、その後DCリングを動かすと、被写体がピント面から外れます。
基本の流れは、最初に絞り値を決め、次にDCリングを設定し、その後にAFまたはMFでピントを合わせる順序です。DCを変えたら再度フォーカスを取り直します。
この操作は現在の電子制御レンズにはあまりないため、慣れるまでは意識が必要です。ポートレートで何枚も撮る場合、設定を途中で頻繁に変えるより、R2など一つの設定を決めて撮る方が安定します。
中望遠単焦点の操作性という観点では、NIKKOR 105mm f/1.4E EDとの世代差も大きくあります。
実際のDC効果はどれくらい大きいのか
DCという名称から、ボケ量を大きく変えられると想像しやすいですが、実際の効果はかなり繊細です。
弱い設定では違いは穏やか
R2程度の穏やかな設定では、背景ボケの輪郭が少し柔らかくなり、二線ボケになりやすい背景を落ち着かせる効果が期待できます。しかし、比較画像を並べなければ違いが分かりにくいこともあります。
実写レビューでも、DC機能そのものは有効だが効果は微妙で、被写体と背景の距離や背景の模様によって差が変わるという評価が多く見られます。光点や細かな枝葉など、ボケの形が分かりやすい背景ほど差が出やすくなります。
ボケの滑らかさだけで選ぶ場合は、NIKKOR 105mm f/1.4E EDのように光学設計自体でボケを追求したレンズとの比較も重要です。
強く回しすぎると解像感まで落ちる
DCリングを実際の絞り値より大きく設定すると、背景だけでなくピント面のコントラストや解像感も下がります。これは故障ではなく、球面収差を意図的に残すために起こる変化です。
柔らかな人物描写を狙うなら使える表現ですが、瞳やまつ毛までくっきり残したい場合には不向きです。DCを使うこと自体が目的になると、かえって画質を落とすこともあります。
そのため、通常撮影ではDCをゼロにして使い、必要な場面だけR側へ少し動かすという使い方も現実的です。ゼロ位置では一般的な105mm F2単焦点として機能します。
ポートレートにおけるシャープさと柔らかさの関係は、ニコンはポートレートに不向き?でも詳しく扱っています。
F2開放の描写
DC機構ばかり注目されるレンズですが、通常の105mm F2として見ても光学性能は高い水準にあります。
開放から中央は十分にシャープ
DCをゼロにした状態ではF2開放から中央部の解像力は高く、人物の瞳や髪をしっかり描写できます。F2.8以降へ絞るとコントラストと均一性がさらに上がり、F5.6付近では非常に安定した描写になります。
古い設計だから開放が大きく甘いというタイプではありません。むしろDCをゼロで使えば通常の大口径単焦点として十分に高性能で、DCを使わない撮影でも成立します。
より現代的な高解像105mmとの比較には、NIKKOR 105mm f/1.4E EDが分かりやすい対照になります。
開放では軸上色収差が出やすい
F2開放では、ピント面の前後に紫や緑の色づきが見えることがあります。特に逆光、白い衣服、金属の反射、木漏れ日など、高コントラスト部分で目立ちやすくなります。
少し絞れば改善しますが、現在の最新設計レンズほど色収差を徹底的に抑えたタイプではありません。この色収差も含めて旧世代大口径レンズらしい描写と感じる場合がありますが、商業用途や高解像ボディでは補正前提になることがあります。
同じ105mmでもマクロ系の補正傾向は異なり、AF-S VR Micro-Nikkor 105mm F2.8G IF-EDでは近接性能まで含めた設計になっています。
ボケ描写
AF DC-NIKKOR 105mm F2Dの評価で最も重要なのは、解像力よりボケの質です。F2と105mmという組み合わせだけでも大きな背景ボケが得られます。
通常状態でも背景は柔らかい
DCをゼロにしても、9枚絞りと105mm F2の大口径によって背景は十分に滑らかです。人物と背景の距離を大きく取れば、木々や建物の形を大きく崩し、被写体だけを立体的に浮かせられます。
85mmより背景が狭く切り取られ、135mmより撮影距離を取りすぎないため、105mmは人物撮影で使いやすい中間的な焦点距離です。背景ボケだけでなく、人物との距離感も105mmの魅力です。
85mmとの違いを考えるなら、AF-S NIKKOR 85mm F1.4Gとの比較が分かりやすくなります。
点光源や葉の輪郭を整えるのがDCの本領
DCの効果が見えやすいのは、背景に小さな光点や細かな葉がある場面です。通常状態では輪郭がやや強く見えるボケも、R側へ適切に調整することで縁取りが目立ちにくくなります。
夜のイルミネーションや木漏れ日のように、背景へ円形のボケが多数現れる場面では、DCの違いを確認しやすくなります。一方、背景が一面の壁や空なら、DCを使っても変化が見えにくくなります。
ボケを強く意識した別の中望遠としては、NIKKOR 105mm f/1.4E EDも代表的です。
ポートレートで使うAF DC-NIKKOR 105mm F2D
このレンズの主用途はやはり人物撮影です。105mmという焦点距離、F2、DC機構がすべてポートレートへ向いています。
バストアップで最も使いやすい
105mmはバストアップや胸から上を撮る構図で使いやすい焦点距離です。85mmより少し離れるため、顔の立体感を自然に見せながら背景をさらに整理できます。
200mmほど離れないため、モデルとの会話もしやすく、屋外ポートレートでも扱いやすい距離感です。背景へ木々や街灯を入れてR側DCを使えば、被写体の後ろを柔らかくまとめられます。
ニコンの人物撮影全体については、ニコンはポートレートに不向き?でボディとレンズの関係も含めて解説しています。
全身では十分な距離が必要
105mmで全身を撮る場合は、85mmよりさらに後ろへ下がる必要があります。室内では使いにくく、屋外や広いスタジオ向きです。
撮影距離を取ることで背景も圧縮され、人物の後ろにある花や建物が大きく見えます。背景を選びやすい場所では、85mmとは違う画面構成を作れます。
105mm F1.4との距離感は共通しており、NIKKOR 105mm f/1.4E EDでも105mmポートレートの特徴を確認できます。
AF性能
AF DC-NIKKOR 105mm F2DはAF-Sレンズではなく、レンズ内にAFモーターを持ちません。AF駆動は対応ボディ側のモーターを使用します。
ボディ内モーター対応機ではAF可能
D850、D780、D500などボディ側にAF駆動モーターを備えた一眼レフならAFを利用できます。駆動音はAF-SやAF-Pより大きく、静音性では新しいレンズに劣りますが、ポートレート用途なら十分な速度で使えます。
一方、D3000系やD5000系などボディ内AFモーターを持たない機種ではAFが使えず、MFになります。中古でレンズを選ぶ場合は、ボディ側の対応確認が重要です。
新しいFマウントレンズとのAF方式の違いは、AF-S NIKKOR 300mm F4D IF-EDのようなAF-Sレンズと比べると分かりやすくなります。
DCリングを動かすとAFの再実行が必要
DCリングを動かした後はピント位置が変化するため、その都度AFを取り直します。人物の表情を追いながら連続撮影する場合、撮影中に頻繁にDCを変える操作には向きません。
DC設定を決めてからAFで追う使い方なら通常の望遠単焦点として扱えます。R2程度に固定して人物撮影を続ける方法は、DC機能を生かしながら操作を複雑にしすぎない使い方です。
ポートレート撮影でAFとボケを両立する考え方は、AF-S NIKKOR 85mm F1.4Gとの比較でも見えてきます。
DX機で使うと約157.5mm相当
DXフォーマットの一眼レフへ装着すると画角は35mm判換算で約157.5mm相当になります。フルサイズの105mmより望遠感が強くなります。
顔や上半身を大きく切り取るレンズになる
DXではかなり狭い画角になるため、人物撮影では顔やバストアップ向きです。フルサイズ105mmのつもりで使うと撮影距離が足りなくなることがあります。
一方、舞台や屋内スポーツでは157.5mm相当の画角とF2の明るさを組み合わせられるため、被写体へ近づけない環境で有利です。古いF2単焦点を高速シャッター確保へ使う用途もあります。
105mmの別用途としては、AF-S VR Micro-Nikkor 105mm F2.8G IF-EDのようにDXでも近接撮影へ使えるレンズがあります。
AF DC-NIKKOR 135mm F2Dとの違い
DCレンズには105mmだけでなく135mm F2Dもあります。機構は共通していますが、焦点距離によって撮影距離と背景の見え方が変わります。
105mmの方が人物との距離を取りすぎない
135mmは背景をさらに圧縮しやすく、より大きな背景ボケを作れます。その一方で、室内や狭い場所では撮影距離が必要です。
105mmは人物との距離を保ちながら会話もしやすく、屋外からスタジオまで対応しやすい焦点距離です。DC機構を初めて使う場合にも、135mmより構図の自由度があります。
105mm帯の現代レンズとの違いは、NIKKOR 105mm f/1.4E EDと比較すると理解しやすくなります。
NIKKOR 105mm F1.4E EDとの違い
同じ105mmポートレートレンズでも、F1.4E EDは設計思想が大きく異なります。DCリングを使う105mm F2Dに対し、F1.4E EDはレンズ設計自体で高解像と自然なボケを両立しています。
明るさと解像力はF1.4E EDが有利
F1.4E EDはF2より1段明るく、暗所ではさらに低ISOや高速シャッターを使えます。新しい光学設計によって開放から高い解像力を持ち、色収差や逆光性能も改善されています。
一方、DC F2Dにはボケの特性を撮影者自身が調整できる独自性があります。F1.4E EDは完成された描写をそのまま使うレンズ、DC F2Dは撮影者が描写へ介入するレンズという違いがあります。
F1.4E EDの詳細は、NIKKOR 105mm f/1.4E EDレビューで詳しく解説しています。
AF-S VR Micro-Nikkor 105mm F2.8G IF-EDとの違い
105mmにはマクロレンズという別の選択肢もあります。AF-S VR Micro-Nikkor 105mm F2.8G IF-EDは等倍撮影が可能で、105mm F2Dとは用途が大きく異なります。
近接性能ならMicro、人物の大口径表現ならDC F2D
Micro 105mm F2.8Gは最短撮影距離31.4cmで等倍撮影が可能です。花、昆虫、小物、商品撮影では圧倒的に便利です。VRとAF-Sも備えているため、機能面では新しい世代に属します。
DC 105mm F2Dの最短撮影距離は0.9mで最大撮影倍率0.13倍なので、本格的な接写には向きません。その代わりF2の明るさとDC機構により、人物撮影の背景表現へ特化しています。
マクロ105mmの詳細は、AF-S VR Micro-Nikkor 105mm F2.8G IF-EDレビューで確認できます。
Zシリーズで使う場合
Fマウントレンズなので、Zシリーズではマウントアダプター FTZ系を介して装着できます。ただしAF DC-NIKKOR 105mm F2Dはボディ内モーター駆動のAF-Dレンズです。
Zボディでは基本的にMF運用になる
FTZやFTZ IIにはAF駆動モーターがないため、AF-Dレンズのオートフォーカスは利用できません。露出や撮影自体は可能でも、ピント合わせはMFになります。
その代わり、Zシリーズの拡大表示やピーキングを使えば、DCリングを設定した後に細かくMFを追い込めます。動く人物より、静止したポートレートや作品撮り向きの運用です。
現在のニコンポートレート環境との比較は、ニコンはポートレートに不向き?でZシリーズまで含めて解説しています。
逆光とフレア
AF DC-NIKKOR 105mm F2Dは旧世代設計なので、強い逆光では最新レンズよりフレアやゴーストが出やすい傾向があります。
光源を画面へ入れる場合はコントラスト低下に注意
太陽や強い照明を直接入れると、画面全体が白っぽくなったり、ゴーストが出たりすることがあります。内蔵フードを引き出すことで斜めから入る光をある程度抑えられます。
ポートレートで逆光を積極的に使う場合、少し角度を変えるだけでフレアの出方が大きく変わります。最新レンズのように強い逆光耐性を前提にするより、光を見ながら構図を調整する方がこのレンズには合います。
より新しいコーティングを持つ105mmとしては、NIKKOR 105mm f/1.4E EDがあります。
中古購入時の注意点
AF DC-NIKKOR 105mm F2Dは販売終了後の現在、中古で探すことになります。独自機構があるため、通常の単焦点より確認項目が多くなります。
DCリングの動きとゼロ位置を確認する
DCリングをF側、R側へ回し、クリック感や引っ掛かりが不自然でないかを確認します。ゼロ位置へ戻したときに正確に中央へ収まることも重要です。
DCリングの機構に問題があると、このレンズ最大の特徴を使えません。また、過去に強い衝撃を受けた個体では、DCリングの目盛りと実際の光学位置がずれている可能性も考えられます。
ポートレート単焦点の中古比較対象には、AF-S NIKKOR 85mm F1.4Gもあります。
AF駆動とA-Mリングを確認する
このレンズは旧式のA-M切替リングを備えています。対応一眼レフへ装着してAFが正常に駆動するか、異音や途中停止がないかを確認します。
MFへ切り替えた際にはフォーカスリングが滑らかに動くかも確認対象です。ボディ側AFモーターを利用するため、レンズ側の機構が重くなっているとAF速度や負荷へ影響します。
AF-S世代との違いは、AF-S NIKKOR 300mm F4D IF-EDのようなレンズと比べると明確です。
カビ・クモリ・色収差以上の異常がないか確認する
古い個体ではレンズ内部のカビやクモリを確認します。小さなチリは写りへ影響しにくいですが、クモリは逆光時のコントラストを大きく落とします。
F2開放ではもともと軸上色収差が出ることがありますが、片側だけ極端に解像しない、左右でボケ方が大きく違う場合は光軸ズレも疑う必要があります。
同じ105mmでも新しい設計の比較対象として、NIKKOR 105mm f/1.4E EDがあります。
このレンズが向いている撮影
AF DC-NIKKOR 105mm F2Dは、万能レンズを求める人より、人物写真のボケを細かく追い込みたい人に向いています。
時間をかけて人物を撮る撮影に向く
スタジオや屋外ポートレートで、背景を見ながらDCリングを調整し、ピントを取り直し、何枚か比較しながら仕上げる撮影に適しています。ボケの形まで自分で選べることが、このレンズ最大の魅力です。
反対に、子どもやスポーツのように被写体が常に動き、設定を瞬時に変える撮影ではDC機構を使い切りにくくなります。通常の105mm F2として使うことはできますが、独自性を生かすには撮影時間に余裕がある方が向いています。
ニコンのポートレートレンズ選びは、ニコンはポートレートに不向き?で焦点距離やZシリーズまで含めて整理しています。
まとめ
Nikon AF DC-NIKKOR 105mm F2Dは、105mm F2という大口径中望遠にDefocus-image Controlを組み合わせた独特のポートレートレンズです。レンズ構成は6群6枚+保護ガラス1枚、最短撮影距離0.9m、最大撮影倍率0.13倍、9枚絞り、72mmフィルター、約640gという構成で、旧世代のプロ向け単焦点らしい操作感を持っています。
DCリングはR側で主に後ボケ、F側で前ボケの性質を変えます。絞り値とDC値を同じ程度に設定するのが基本で、実際の絞り値を超えて大きく設定するとソフトフォーカス的な描写になります。DCを動かした後には必ずピントを取り直す必要があります。
DCの効果は派手ではありません。背景の点光源や枝葉など、ボケの輪郭が目立つ場面で違いが見えやすく、R2程度の穏やかな設定では背景が少し滑らかになる程度です。大きく回せば効果は強くなりますが、ピント面の解像感やコントラストも下がります。
通常のレンズとして見てもF2開放から中央の解像力は高く、F2.8以降ではさらに安定します。弱点は開放付近の軸上色収差、逆光耐性、旧式AFです。AF-DレンズなのでAFはボディ内モーター搭載一眼レフに依存し、ZシリーズへFTZ経由で装着した場合はMF運用が基本です。
NIKKOR 105mm F1.4E EDと比べると、明るさ、逆光、高解像、AFの現代性ではF1.4E EDが有利です。一方、AF DC-NIKKOR 105mm F2Dには、撮影者自身が球面収差を調整し、前後のボケの性質へ直接介入できる独自性があります。
AF-S VR Micro-Nikkor 105mm F2.8G IF-EDは等倍マクロとVRを備えた万能型ですが、AF DC-NIKKOR 105mm F2Dは人物撮影のボケ表現へ明確に特化しています。何でも撮れる105mmを求めるレンズではなく、人物と背景の関係をじっくり作るための105mmです。
現在ではDC機構そのものが非常に珍しくなり、同じ105mm F2クラスで同様の操作を楽しめるレンズはほとんどありません。ボケを単なる結果として受け入れるのではなく、撮影時に意図して調整する。その発想こそがAF DC-NIKKOR 105mm F2D最大の特徴です。





