ニコン9月25日に新製品は出る?Z70・Z90発表説と最新動向を整理
ニコンが9月25日に何らかの新製品を発表するのではないかという見方が強まっています。
きっかけとなったのは、英国で9月25日に予定されているニコンの製品プレゼンテーションです。イベントでは製品についての説明だけでなく、モデルを使った実演や実機を手に取る時間まで用意されるとされています。
さらに、未発表の「Nikon Z70」という名称がAppleのProRes関連製品リストに一時掲載され、その後削除されたことや、ニコンの未発表カメラとみられる複数の機器登録も確認されています。
これだけを見ると、9月25日に新型Zシリーズが登場すると考えたくなります。
一方で、その後に判明した情報を加えると、状況はそれほど単純ではありません。9月25日から米国でもNikon Tourが始まり、これまで新製品発表の根拠の一つとされていたニコン関係者のスケジュールにも別の説明がつくようになりました。
そこでこの記事では、「9月25日に何が確認されているのか」「Z70やZ90とは何なのか」「新型APS-C機は本当に近いのか」「別の製品が主役になる可能性はあるのか」を、確認できている情報と噂を分けながら整理します。
9月25日にニコンの製品イベントが予定されている
英国では製品説明だけでなく実演とハンズオンまで予定
まず確認できているのが、9月25日に英国でニコンの製品プレゼンテーションが予定されていることです。
イベントの案内では、ニコンUKのBruno Murari氏による製品プレゼンテーションに加えて、モデルを使った製品の実演、その後には参加者が製品を実際に手に取るハンズオンが予定されています。
ここで重要なのは、単なる講演会ではないことです。
製品の特徴を説明し、撮影する様子を実演し、さらに参加者自身が操作するところまで予定されています。カメラやレンズを紹介するイベントとしては、かなり実機体験を重視した内容です。
ニコンは長い一眼レフの歴史を持ちながら、現在はZマウントを中心としたシステムへ移行しています。その流れについてはニコンの進化と継承 写真文化を支えてきた技術と信頼のすべてでも詳しく紹介しています。
こうしたイベント内容から、新しいカメラやレンズが登場するのではないかという期待が生まれたのは自然な流れです。
「最新製品」と書かれているが「新製品」とは断定されていない
9月25日のイベントを見るうえで注意したいのが、案内で使われている表現です。
紹介されるのは「最新製品のハイライト」とされています。
つまり、まだ発表されていない新製品を9月25日に発表すると明記されているわけではありません。
すでに発表されている比較的新しい製品を詳しく紹介するイベントでも、この表現は成立します。
モデルを使った実演が予定されていることから、静止画撮影を重視したカメラまたはレンズを想像することもできますが、それだけで未発表カメラの存在を証明することはできません。
ニコンの現在のカメラシステムはZマウントを中心に構成されています。FマウントからZマウントへの変化についてはニコンのマウントの歴史と特徴でも整理しています。
現段階では「9月25日に製品イベントがある」という部分と、「9月25日に新製品が発表される」という部分を分けて考える必要があります。
最大の注目はNikon Z70と呼ばれる未発表カメラ
AppleのProRes製品リストに「Nikon Z70」が一時掲載
9月25日のイベントと結び付けて注目されているのが、Nikon Z70という名称です。
Z70はニコンが正式発表した製品ではありません。
ところがAppleが公開しているProResおよびProRes RAW関連の製品リストに、一時「Nikon Z70」という名称が掲載されました。
既存のZ6III、Z8、Z9、ZRなどと並ぶ形でZ70が記載され、その後、この名称はリストから削除されています。
単純な入力ミスだった可能性を完全に排除することはできません。しかし、ニコンにZ70という既存製品はなく、しかもProRes関連の製品一覧に掲載されたことから、未発表製品の名称が誤って公開されたのではないかという見方が広がりました。
名称から考えると、現在のニコンZシリーズでは二桁型番がDXフォーマット、つまりAPS-C機に使われています。
Z30、Z50、Z50IIという流れを考えれば、Z70が実在する場合、Z50IIより上位に置かれるAPS-C機と考える余地があります。
APS-Cそのものの特徴についてはAPS-Cセンサー 小型軽量で広がる撮影世界の魅力で詳しく解説しています。
Appleの掲載だけで仕様までは分かりませんが、少なくとも「Z70」という名称が単なる噂サイトの予想だけから生まれたものではない点は注目できます。
Z70だけでなくZ90という名称も出ている
さらに情報を複雑にしているのが、噂されている高性能APS-C機について「Z90」という別の名称も出ていることです。
海外ではZ70、Z80、Z90、さらにはD500の後継機に近い存在としてさまざまな名称が使われてきました。
このうち、現時点で最も具体的な痕跡が残っているのはZ70です。Appleの製品リストに実際に名称が現れたためです。
Z90については、情報源がその名称を使ったという段階であり、ニコンが正式に使用した名称ではありません。
したがって、今後高性能DX機が登場したとしても、最終的な製品名がZ70になるとは限りません。
重要なのは型番そのものより、ニコンがZ50IIより上に位置する高性能APS-C機を用意しているのかという点です。
現在のカメラは静止画と動画の両方を大きく強化する方向に進んでいます。この傾向については動画、録ってる?いま待たれる「スチル専用機」でも取り上げています。
仮にZ70がProResに対応する製品なら、単なる静止画向けDX機ではなく、動画性能も大きく強化されたモデルになる可能性があります。
噂される高性能APS-C機は「D500後継」の位置になるのか
ニコンZシリーズには高性能DX機の空席が残っている
現在のニコンDXミラーレスにはZ30、Z50系などがありますが、かつてのD500のように高速撮影や動体撮影を前面に押し出した最上位APS-C機は存在していません。
D500はAPS-Cでありながら、高速連写、高性能AF、堅牢なボディーなどを備え、野鳥、航空機、鉄道、スポーツなどで支持されたカメラでした。
APS-Cでは、同じレンズを使用した場合にフルサイズより狭い画角になるため、望遠撮影では被写体を画面内に大きく収めやすくなります。
そのため、高性能APS-C機と高速AF、高速連写を組み合わせたカメラには現在でも明確な需要があります。
ニコンがここへ新型機を投入すれば、Z50IIとZ8の間に存在する大きな性能差を埋めることもできます。
APS-Cがフルサイズより単純に下位というわけではなく、撮影対象によって強みが変わります。センサーサイズによる違いはAPS-Cセンサーの特徴を解説した記事でも確認できます。
このため、高性能DX機という製品そのものには十分な意味があります。
「4500万画素・積層型センサー」という噂はまだ確定情報ではない
Z70またはZ90と呼ばれているカメラについては、約4500万画素の積層型センサー、高速連写、強力なAF、Z9やZRを小型化したような性格になるという情報も出ています。
ここは現時点で確認済みの仕様として扱わない方が安全です。
4500万画素APS-Cとなれば画素密度はかなり高くなります。野鳥や航空機などでは被写体を細かく記録できる一方、高感度性能、読み出し速度、発熱、データ量などとのバランスが重要になります。
さらに積層型センサーを採用するのであれば、高速読み出しによって電子シャッターの弱点を抑え、高速連写や動画性能を伸ばす方向が考えられます。
これはZ9やZ8でニコンが進めてきた方向とも一致します。
しかし、現在確認できているZ70の痕跡は名称とProRes関連の掲載が中心です。4500万画素や積層型センサーについてニコンから発表されたわけではありません。
高画素化そのものがどのような意味を持つのかについては超高画素カメラは本当に必要?でも詳しく取り上げています。
Z70という名称の存在と、ネット上で流れている詳細仕様は、現段階では分けて見る必要があります。
9月発表説の根拠だった「関係者の予定」には別の説明が出てきた
9月25日から米国でもNikon Tourが始まる
少し前まで、ニコン関係者やアンバサダーの予定が9月中旬から下旬にかけて空いていることも、新製品発表説を補強する材料として見られていました。
ところが、その後ニコンUSAが秋のNikon Tourの日程を発表しました。
最初の開催地はダラスで、日程は9月25日から27日です。
つまり英国で製品プレゼンテーションが行われる9月25日と同じ日に、米国では大規模なニコンの撮影イベントが始まります。
このツアーにはニコンのアンバサダーやクリエイターが参加します。
そのため、「9月下旬に関係者の予定が空いているから新製品の内覧会があるのではないか」という推測については、Nikon Tour参加のために予定が確保されていたという説明も成り立つようになりました。
これは9月25日に新製品が出ないことを意味するものではありません。
新製品発表説を支えていた材料の一つが、以前ほど強い根拠ではなくなったということです。
現在のZシリーズ全体を理解するにはニコンの製品進化とZシリーズの流れも参考になります。
それでも新型カメラが近いと考えられる材料は残っている
未発表とみられるカメラが3機種登録されている
9月25日説が弱まったからといって、ニコンの新型カメラそのものが遠のいたとは限りません。
海外の認証情報では、N2324、N2527、N2528という3つの内部型番を持つカメラが確認されています。
このうちN2528は8月下旬に中国で登録された比較的新しいものです。
認証情報から分かるのは、無線通信機能を持つ製品が登録されたというところまでです。
製品名やセンサーサイズ、画素数、連写速度などは分かりません。
それでも3つの未発表機器が存在することは、ニコンが今後複数のカメラを投入する可能性を考えるうえで重要な材料です。
すべてが近い時期に発表されるとは限らず、Z70がこの3機種のどれに該当するかも分かっていません。
ニコンはFマウント時代から、用途の異なる複数のカメラを細かく展開してきました。その歴史についてはニコンの進化と継承でも紹介しています。
9月25日だけに注目するより、この3機種が今後どのような形で表に出てくるのかを見る方が、ニコンの次の動きを把握しやすいでしょう。
APS-Cを意識したボディ内手ぶれ補正の特許も確認されている
さらに、ニコンが出願したボディ内手ぶれ補正に関する技術にもAPS-Cとの関連を想像させる内容があります。
この技術では、装着するレンズや撮像面サイズなどに応じて、撮像素子を動かす範囲を制御する考え方が示されています。
実施例にはAPS-Cサイズの撮像素子とフルサイズ用レンズを組み合わせた場合についての説明も含まれています。
特許がそのまま次期製品へ搭載されるとは限りません。
メーカーは実際に製品化しない技術についても多くの特許を出願するため、「この特許があるからZ70にはIBISが搭載される」と断定することはできません。
それでも、ニコンがAPS-Cボディとボディ内手ぶれ補正を組み合わせた技術を検討していることを考える材料にはなります。
高性能APS-C機を作る場合、ボディ内手ぶれ補正は競争力を高める要素になります。APS-Cの小型性と望遠効果についてはAPS-Cセンサーの記事でも詳しく説明しています。
9月25日に登場する可能性がある製品を整理
候補1 高性能APS-Cミラーレス
最も注目されている候補は、Z70またはZ90と呼ばれている高性能APS-Cミラーレスです。
AppleのProRes関連ページにZ70という名称が現れたこと、以前から高性能DX機の噂が続いていること、複数の未発表カメラが認証機関へ登録されていることを合わせると、何らかの新型カメラが準備されている可能性は考えられます。
製品として成立するなら、Z50IIより上位で、動体撮影と動画性能を強化したモデルという位置づけが自然です。
D500ユーザーの移行先として高速撮影性能を重視する方向も考えられます。
一方で、ProResとの関連が本当なら、静止画だけではなく動画をかなり強く意識した製品になる可能性もあります。
現在のカメラで静止画と動画機能がどのように共存しているかについては写真だけに特化したカメラは復活するかでも考察しています。
9月25日に発表されるかどうかとは別に、今後のニコンで注目度が高いカメラ候補であることは変わりません。
候補2 NIKKOR Z 120-300mm f/2.8 TC VR S
もう一つ忘れてはいけないのが、すでに開発発表されているNIKKOR Z 120-300mm f/2.8 TC VR Sです。
このレンズは1.4倍テレコンバーターを内蔵し、通常時は120-300mm F2.8、テレコンバーター使用時には420mmまで焦点距離を伸ばせるプロ向け望遠ズームです。
すでに製品の存在自体は公式に発表されていますが、発売時期や価格など、正式発売に向けた情報が残っています。
9月25日のイベントが「最新製品」の紹介であることを考えれば、新型カメラではなく、このような開発発表済み製品の正式な紹介が中心となる可能性も考えておく必要があります。
特にスポーツや野鳥など動体撮影を意識したレンズであり、高性能カメラと組み合わせて実演しやすい製品です。
望遠撮影でAPS-Cが持つ特徴についてはAPS-Cセンサーの撮影特性でも紹介しています。
候補3 ZRとZ CINEMA関連製品
ニコンは9月に入り、映像分野でも大きな動きを見せています。
フルサイズセンサーを搭載するZR向けのファームウェアVer.2.00を開発していることを発表し、同時にNIKKOR Z CINEMA T1.9 VVシリーズ9本の開発も明らかにしました。
Z CINEMA T1.9 VVシリーズはシネマ制作を意識したレンズ群で、50mm T1.9 VVを含む9本で構成される予定です。
ニコンがREDを傘下に加えて以降、静止画用カメラメーカーとしてだけでなく、映像制作システム全体へ踏み込む姿勢が明確になっています。
9月25日のプレゼンテーションで、こうした最新の映像関連製品を詳しく紹介する可能性もあります。
Zシリーズの基盤となるZマウントについてはニコンのマウントの歴史と特徴で詳しく解説しています。
「製品プレゼンテーション」というイベント名だけでZ70に絞ってしまうと、現在のニコンが進めているZ CINEMAの動きを見落とすことになります。
9月25日そのものより前後の動きが重要
新製品ならイベント前に正式発表される可能性もある
9月25日に実機を使ったハンズオンが行われる場合、新製品が存在するとしても、その日に初めて発表されるとは限りません。
一般向けイベントで参加者が実機を操作できるのであれば、その前に製品が正式発表されている可能性もあります。
つまり注目すべき期間は9月25日だけではありません。
イベント直前にニコンの公式サイトへ新製品ページが追加され、25日はすでに発表された製品の詳しいプレゼンテーションと実機体験になる展開も考えられます。
反対に、25日になっても既存製品しか登場しない可能性もあります。
このため、「9月25日=発表日」と固定して考えるより、「9月25日前後が次の製品動向を確認する期間」と見る方が実態に合っています。
ミラーレスカメラ全体の現在の流れについてはミラーレス関連記事一覧から確認できます。
Z70が出るとしても「写真専用D500後継」と決めつけない方がよい
高性能APS-C機と聞くと、多くの人がD500のミラーレス版を想像します。
野鳥、スポーツ、航空機、鉄道などを高速連写で撮るカメラです。
もちろん、その方向は十分考えられます。
一方で、AppleのProRes関連ページにZ70という名称が掲載されたことが事実なら、動画性能も製品の重要な柱になる可能性があります。
ニコンは現在、ZRやZ CINEMAを通じて動画・シネマ分野を強化しています。
その技術や設計思想をAPS-Cへ持ち込めば、小型の高速静止画機であると同時に、高性能動画機としても使えるモデルが成立します。
そうなると、Z70は単純なD500の置き換えではありません。
D500が担当していた高速APS-Cという役割と、現在のニコンが強化している映像機能を融合した新しい位置づけになる可能性があります。
写真と動画を一台へ集約する現在のカメラについては動画、録ってる?いま待たれる「スチル専用機」でも取り上げています。
まとめ
9月25日にニコン関連の大きな動きがある可能性は残っています。
英国では製品プレゼンテーション、モデルを使った実演、ハンズオンが予定されており、通常のセミナーより製品そのものを強く意識したイベントになっています。
一方、「9月25日に未発表の新製品を発表する」とニコンが告知しているわけではありません。
また、9月下旬のニコン関係者のスケジュールを新製品発表と結び付ける見方についても、米国で9月25日からNikon Tourが始まることが判明し、以前ほど強い材料ではなくなりました。
それでも、未発表のNikon Z70という名称がAppleのProRes関連ページに一時掲載されたこと、未発表とみられるカメラが複数登録されていること、高性能APS-C機の噂が継続していることなど、新しいカメラを想像させる材料は残っています。
現時点で最も注目されるのは、Z70またはZ90と呼ばれている高性能APS-C機です。
その一方で、開発発表済みのNIKKOR Z 120-300mm f/2.8 TC VR Sや、ZR、Z CINEMA関連製品が9月25日の主役になる可能性もあります。
したがって、9月25日については「Z70の発表日」と断定する段階ではなく、「ニコンが次に何を前面へ出すのかが分かる重要な日」と見るのが現状に合っています。
Z70が姿を現すのか。別の未発表カメラなのか。新しいNIKKOR Zレンズなのか。それともZRとZ CINEMAを中心としたイベントなのか。
9月25日だけでなく、その直前に行われる公式発表まで含めて注目したいところです。



