M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROを徹底解説|ボケ・解像力・AF・ポートレート・中古選びまで
M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROは、マイクロフォーサーズで35mm判換算90mm相当となる大口径中望遠単焦点レンズです。ポートレートで使いやすい画角にF1.2の明るさを組み合わせながら、開放から高い解像力と滑らかな背景ボケを両立することを狙ったPROシリーズの一本です。人物の瞳や髪を細かく描きながら、ピント面から外れた部分を急激に崩すのではなく、なだらかに溶かしていく描写が大きな特徴です。
焦点距離は45mmですが、マイクロフォーサーズでは画角が35mm判換算90mm相当になるため、実際の撮影感覚はフルサイズの85mmから90mm前後の中望遠に近くなります。人物へ近づきすぎずにバストアップや顔を中心とした構図を作りやすく、背景に入る範囲も整理しやすいため、ポートレート向けとして分かりやすい性格を持っています。
一方、マイクロフォーサーズだから小型軽量という印象だけで見ると、このレンズはかなり本格的です。レンズ構成は10群14枚、質量は約410g、最大径は約70mm、全長は約84.9mmです。F1.2の大口径、特殊レンズ、PROシリーズの防塵・防滴、耐低温性、マニュアルフォーカスクラッチ、L-Fnボタンまで備えているため、単純な小型ポートレートレンズではありません。
45mm F1.2 PROにはレンズ内手ブレ補正はありません。OM-DやOM SYSTEMのボディ側5軸手ぶれ補正と組み合わせることを前提とした構成で、低照度ではF1.2の明るさとボディ側補正を同時に利用できます。ただし人物が動く場面では、手ぶれ補正よりシャッタースピードの確保が重要になります。
この記事では、M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROの解像力、ボケ、F1.2の使い方、90mm相当の画角、AF、操作性、防塵・防滴、近接性能、暗所、M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8や75mm F1.8との違い、中古購入時の注意点まで詳しく解説します。
M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROの基本性能と光学設計
このレンズは、単に45mm F1.2という明るい単焦点を作るだけでなく、開放から高い解像力を確保しつつ、背景を滑らかにぼかすことを重視して設計されています。マイクロフォーサーズではF1.2でも被写界深度を比較的扱いやすく、ピント面の高い描写と大きな背景ボケを両立しやすい点が特徴です。
レンズ構成は10群14枚で、EDレンズ1枚、HRレンズ4枚、非球面レンズ1枚を採用しています。9枚羽根の円形絞り、62mmのフィルター径、0.5mの最短撮影距離を備え、大口径中望遠として実用性まで考えられた構成です。
10群14枚の光学系でF1.2開放から解像力を確保する
M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROでは、F1.2という大口径で発生しやすい球面収差、コマ収差、色収差を抑えるために複数の特殊レンズが使われています。特に人物の目や髪、まつ毛のような細部は、絞り開放でも輪郭を失いにくく、主役を明確に見せやすい描写です。
大口径単焦点には、開放で柔らかく、少し絞ると急激にシャープになるタイプもあります。45mm F1.2 PROはその方向とは異なり、F1.2から解像を確保したうえで背景を滑らかに処理する設計です。そのため、開放を単なる特殊効果としてではなく、通常の撮影で積極的に使いやすくなっています。
人物撮影では、目にピントを合わせたときに肌の細部までかなり写るため、光の硬さや現像時のシャープネスによって印象が変わります。レンズ性能をそのまま生かすだけでなく、柔らかい自然光や逆光を使って人物の質感を調整することも重要です。
レンズの解像力とシャープネスの考え方はレンズ解像度とは?解像力・シャープネスとの違いと画質を引き出す撮影方法で詳しく解説しています。45mm F1.2 PROは高解像レンズですが、最終的な写真はピント、手ぶれ、光、現像まで含めて決まります。
F1.2の明るさはボケと低照度の両方に効く
F1.2の大きな特徴は、背景をぼかせることだけではありません。多くの光を取り込めるため、室内や夕方でもシャッタースピードを確保しやすくなります。人物が少し動く場面では、ISO感度を極端に上げずに1/250秒や1/500秒を狙える状況が増えます。
ボケについては、マイクロフォーサーズのF1.2はフルサイズのF1.2と同じ被写界深度にはなりません。画角と構図を揃えた場合、フルサイズよりピントが合って見える範囲を確保しやすい一方、45mmという実焦点距離とF1.2の大口径によって背景は十分に大きくぼかせます。人物の両目を比較的残しながら背景を整理しやすいことが、実用上の利点です。
開放F1.2ではピント位置が重要ですが、顔全体を残したい場合はF1.8からF2.8へ少し絞るだけで扱いやすくなります。背景を最大限ぼかす場面と、人物の顔全体を明確に写す場面で絞り値を変えると、一本のレンズでも写真の印象を大きく変えられます。
F値と背景ボケ、被写界深度の関係はF値を知れば広がるカメラの世界で詳しく整理しています。F1.2を常用するか、少し絞るかは被写体との距離や構図によって変わります。
90mm相当の画角は人物を自然に切り取りやすい
実焦点距離は45mmですが、マイクロフォーサーズでは35mm判換算90mm相当の画角です。85mm前後の中望遠に近く、人物の顔や上半身を自然な距離から撮影しやすくなります。
50mm相当前後の標準レンズでは、上半身を大きく写すために人物へ近づく必要があります。90mm相当では少し離れられるため、顔の立体感を自然に保ちやすく、背景に写る範囲も狭くなります。街中や公園でも不要な看板や人を画角の外へ外しやすくなります。
一方、室内では撮影距離を確保しにくい場合があります。全身を写すにはある程度後ろへ下がる必要があるため、狭い部屋では25mmや17mmの方が扱いやすくなります。45mm F1.2 PROは万能な標準単焦点ではなく、中望遠の距離感を積極的に使うレンズです。
画角と焦点距離の基本は画角とは?焦点距離との関係と広角・標準・望遠の違いで詳しく解説しています。45mmという実焦点距離だけを見るのではなく、90mm相当の画角として構図を考えると使い方が明確になります。
45mm F1.2 PRO最大の魅力はボケの質にある
このレンズを特徴づける要素として、メーカー自身も「美しくにじむボケ」を強く打ち出しています。単に背景を大きくぼかすだけでなく、ピント面からアウトフォーカスへ移る過程を滑らかにし、背景の二線ボケやざわつきを抑える方向で光学設計されています。
高解像レンズはピント面が鋭くなる一方で、背景の輪郭まで硬く見える場合があります。45mm F1.2 PROは、高い解像力と滑らかなボケを同時に成立させることを狙ったレンズです。
ピント面から背景へ急に崩れず滑らかにつながる
人物撮影で重要なのは、背景がどれだけ大きくぼけるかだけではありません。ピントが合った目元から耳、髪、肩、背景へ移るにつれて、輪郭がどのように消えていくかによって写真の印象が変わります。
45mm F1.2 PROでは、ピント位置の直後から急激に形が崩れるというより、徐々に柔らかくなりながら背景へつながる見え方を作りやすくなっています。人物の輪郭を不自然に切り抜いたように見せず、背景と被写体の間に奥行きを感じさせやすい描写です。
髪の毛や木の枝のような細い線が背景に多数ある場面では、ボケの質が分かりやすくなります。二線状の輪郭が強いレンズでは背景が騒がしく見えますが、このレンズでは線が滑らかに溶けやすく、人物へ視線を集めやすくなります。
ボケの質そのものを詳しく見る場合は描写力とボケ表現の秘密で、ボケ量とボケの質の違いを整理しています。F値だけでレンズを比較すると見落としやすい部分です。
9枚羽根の円形絞りが点光源を自然に見せる
絞り羽根は9枚で、円形絞りが採用されています。夜景やイルミネーション、木漏れ日を背景へ入れたとき、点光源が角張りにくく、自然な円形を保ちやすくなります。
F1.2開放では絞り羽根そのものの形状より光学系の口径食の影響が大きく、画面周辺ではボケ玉が猫目形に変形する場合があります。少し絞ることで形が整いやすくなり、F1.8やF2付近ではボケ量と形状のバランスを取りやすくなります。
夜の人物撮影では、背景に街灯や看板を入れると90mm相当の画角で点光源を大きく配置できます。人物と背景を十分に離し、F1.2からF2付近を使うと、背景を単なる暗部にせず光の模様として構成できます。
別システムのF1.2中望遠とボケを比較する場合はFujifilm XF56mmF1.2 Rの実力も参考になります。同じF1.2でもセンサーサイズ、焦点距離、光学設計によってボケの見え方は変わります。
背景を大きくぼかすにはF1.2だけでなく距離が重要になる
F1.2という数字だけで常に大きなボケが得られるわけではありません。人物と背景の距離が近ければ、開放でも背景の形は残ります。反対に人物と背景を大きく離し、撮影者が人物へ近づけば、背景は大きくぼけます。
公園で人物を撮る場合、木の幹のすぐ前へ立たせるより、木々から数メートル前へ出てもらう方が背景は滑らかになります。街中でも壁際に立つより、奥行きのある道路や広場を背景にした方が中望遠の特徴を生かせます。
全身撮影ではカメラから人物までの距離が長くなるため、顔のアップほど大きなボケは出ません。このとき背景との距離をさらに長く取ると、全身でも人物を自然に浮かび上がらせやすくなります。
撮影距離と背景の見え方は被写体との距離で写真はどう変わる?で詳しく解説しています。ボケを作るにはレンズのスペックだけでなく、撮影位置を変えることが重要です。
ポートレートで45mm F1.2 PROを生かす撮影方法
90mm相当の画角とF1.2を持つこのレンズは、人物撮影が中心となる設計です。顔のアップ、バストアップ、全身でそれぞれ適した距離が異なり、同じF1.2でも仕上がりは大きく変わります。
特に人物の目へ正確にピントを合わせられると、開放から高い解像と滑らかな背景の差が明確になります。そのためAF設定や撮影距離まで含めて使うことが重要です。
顔やバストアップでは90mm相当の自然な距離感を使える
顔や肩から上を中心に写す場合、90mm相当は使いやすい画角です。広角のように極端に近づかなくて済むため、鼻や顔の中央が不自然に大きく見えることを避けやすくなります。
撮影者が少し離れることで、被写体側もカメラを意識しすぎずに済むことがあります。会話を続けながら目線を外した瞬間や、表情が変わる瞬間を狙うポートレートにも向いています。
F1.2では片方の目にピントが合っても、顔の角度によってもう片方の目や耳がぼけることがあります。正面に近い顔ならF1.2、斜め向きで両目を残したい場合はF1.8からF2.8というように、顔の角度に合わせて絞りを変えると安定します。
人物撮影全体の設定や焦点距離はポートレート撮影完全ガイドで詳しく紹介しています。90mm相当は人物を自然に切り取りやすい一方、構図に応じて撮影距離を変える必要があります。
全身では背景との距離を使って立体感を作る
全身ポートレートでは、バストアップより撮影者が後ろへ下がります。撮影距離が長くなることで被写界深度も深くなり、F1.2でも背景が完全に溶けない場合があります。
その場合は人物と背景の距離を大きく取り、背景へ遠い建物、木、光源を配置します。画角が狭いので背景の不要物を外しやすく、道路の奥や公園の木々などを整理して使えます。
90mm相当では遠くの背景が大きく見えやすく、人物の後ろにある街灯や木の葉をボケとして利用できます。写真の背景を消すのではなく、色や明るさの配置として扱うと中望遠らしい構図になります。
人物との距離による構図の変化は撮影距離・焦点距離・構図の基本でも詳しく整理しています。全身撮影ではF値以上に背景距離の影響が大きくなります。
室内ではF1.2の明るさが有効だが撮影距離を確保する
室内では光量が少ないため、F1.2の明るさが大きな利点になります。窓際や室内照明だけでもシャッタースピードを確保しやすく、ISO感度を必要以上に上げずに撮影できます。
一方、90mm相当は狭い部屋では長く感じることがあります。全身を撮ろうとすると壁際まで下がる必要があり、構図を作れない場合があります。室内では顔、上半身、手元などを切り取る使い方の方が45mm F1.2 PROの画角に合います。
またF1.2ではピント範囲が狭いため、複数人を横並びで撮る場合には絞る必要があります。一人ならF1.2からF2、二人以上なら位置関係を揃えてF2.8以上など、人数に応じて変えると失敗を減らせます。
室内人物撮影のF値は室内ポートレートのF値は?で詳しく解説しています。大口径だから常に開放という使い方に固定しないことが重要です。
AF・MF・操作性はPROレンズらしく実戦的
45mm F1.2 PROは光学性能だけでなく、撮影中の操作性も重視されています。MSC機構によるAF、マニュアルフォーカスクラッチ、L-Fnボタン、防塵・防滴設計など、撮影テンポを落としにくい機能が揃っています。
特にF1.2ではピント位置が写真へ大きく影響するため、AFからMFへ素早く切り替えられる構造は実用性があります。
MSC機構は大口径ながら高速で静かなAFを狙っている
AFにはMSC機構が採用され、ステッピングモーターとスクリュードライブによってフォーカス群を駆動します。大口径レンズですが、フォーカシングユニットを軽量化することで静止画と動画の両方で滑らかなAFを使える構成です。
人物撮影ではボディ側の顔認識や瞳優先AFと組み合わせることで、F1.2でも目元へピントを置きやすくなります。構図を変えるたびにAFポイントを細かく移動するより、人物認識へ任せられる場面が増えます。
動く人物を撮る場合は、レンズのAF速度だけでなくボディ側の追従性能も影響します。新しいOM SYSTEMボディと古いOM-Dでは被写体認識や追従性能が異なるため、レンズ性能だけでAFを評価しない方が実態に近くなります。
AFとMFの使い分けはAFとMFの違いとは?で詳しく解説しています。人物ではAFを基本にしながら、静物や細かなピント位置ではMFを使うと扱いやすくなります。
マニュアルフォーカスクラッチで瞬時にMFへ切り替えられる
フォーカスリングを手前へ引くと、距離目盛が現れてMFへ切り替わるマニュアルフォーカスクラッチが搭載されています。メニューやボディ側スイッチを操作せず、レンズだけでAFとMFを切り替えられます。
ポートレートでは通常AFが便利ですが、花や小物をF1.2で撮る場合にはピント位置を数ミリ単位で決めたいことがあります。そのような場面でMFクラッチを使えば、拡大表示やピーキングと組み合わせて狙った位置へ合わせやすくなります。
また、前景に枝やガラスがある場面ではAFが手前へ引かれることがあります。MFへ瞬時に切り替えられると、構図を崩さずにピントだけを調整できます。
ピントを自分で細かく決める場面はマクロレンズとは?特徴・選び方・使い方でも解説しています。45mm F1.2 PROはマクロレンズではありませんが、近距離では同じように細かなピント操作が重要になります。
L-FnボタンとPROシリーズの操作性が撮影テンポを支える
鏡筒にはL-Fnボタンがあり、対応ボディで機能を割り当てられます。AF停止などをレンズ側から操作できるため、ファインダーを覗いたまま右手と左手へ操作を分散できます。
フォーカスリングも幅があり、MFクラッチと合わせて操作しやすい形状です。F1.2クラスではピント操作が重要になるため、単純なAF専用レンズより撮影者が介入しやすくなっています。
約410gという重量は、M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8の116gに比べるとかなり重いものの、フルサイズ用の大口径中望遠と比べればシステム全体は小さくまとめやすくなります。グリップの大きなOM-1系やE-M1系では特にバランスを取りやすいサイズです。
レンズの重量と取り回しの関係はレンズ設計と重量バランスで詳しく紹介しています。単純に軽ければ扱いやすいとは限らず、ボディとの重量配分も重要です。
近接撮影・逆光・防塵防滴まで実用性能を確認する
M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROは人物用の中望遠として目立つレンズですが、近接撮影、逆光、屋外撮影にも対応できる設計です。最短撮影距離0.5m、Z Coating Nano、防塵・防滴・耐低温構造によって、スタジオだけに限定されない使い方ができます。
特に人物撮影の合間に花や小物を撮る場合や、雨上がりの屋外で撮影する場合には、スペック表の解像力とは別の実用性能が効いてきます。
最短0.5m・最大0.1倍で花や小物も撮れる
最短撮影距離は0.5m、最大撮影倍率は0.1倍で、35mm判換算では0.2倍相当の範囲を写せます。専用マクロほど大きく写せませんが、花、小物、料理の一部分、人物の手元などを切り取るには使いやすい性能です。
90mm相当の画角なので、被写体へ極端に近づかずに背景を整理できます。花を一輪撮る場合も、広角レンズのように周囲が大量に写り込まず、背景を色の面として処理しやすくなります。
F1.2で近距離を撮ると被写界深度が浅くなるため、花びら全体を残したい場合はF2.8やF4へ絞る方が扱いやすくなります。開放では雄しべだけにピントを置くような表現も可能です。
近接撮影の最短距離とワーキングディスタンスについてはマクロレンズの基礎で詳しく解説しています。45mm F1.2 PROはマクロ専用ではありませんが、0.5mまで寄れることは日常撮影で役立ちます。
Z Coating Nanoで逆光時のフレアとゴーストを抑える
レンズ表面にはZ Coating Nanoが採用されています。ナノサイズの構造を利用して表面反射を抑え、逆光時のゴーストやフレアを低減することを狙ったコーティングです。
ポートレートでは、夕方の太陽を人物の背後へ入れる逆光撮影を行うことがあります。逆光では髪の輪郭が光り、背景も柔らかく見せられる一方、レンズ内部反射によって画面全体のコントラストが下がる場合があります。45mm F1.2 PROは、そのような場面でも主役のコントラストを残しやすい設計です。
ただし、どの角度でもゴーストが完全に消えるわけではありません。太陽や強い照明の位置を数センチずらすだけでゴーストの位置は変わるため、ファインダーで確認しながら構図を調整することが重要です。
コーティングが画質へ与える影響はレンズコーティングの秘密で詳しく解説しています。逆光性能はレンズ構成とコーティングの両方で決まります。
防塵・防滴・耐低温設計で屋外ポートレートにも使いやすい
PROシリーズらしく、防塵・防滴構造と耐低温性能を備えています。防滴対応ボディと組み合わせることで、屋外で天候が変わりやすい撮影でも使いやすくなります。
ポートレートは晴天だけで行うとは限りません。雨上がり、霧、雪、海辺などでは湿気や水滴が機材へ付着しやすくなります。防塵・防滴構造があることで、一般的な非防滴レンズより撮影環境の制約を減らせます。
もちろん防塵・防滴は完全防水を意味しません。水中撮影や強い水流を受ける状況を想定した構造ではなく、ボディ側も対応していることが前提です。レンズ交換時にはマウント部が露出するため、悪天候では交換回数を減らす方が機材を守りやすくなります。
防塵・防滴の考え方は防塵・防滴構造の魅力で詳しく解説しています。表記があるだけで無制限に濡らせるという意味ではない点が重要です。
45mm F1.8・75mm F1.8・25mm F1.2 PROとの違い
45mm F1.2 PROを検討するとき、同じ90mm相当のM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8、さらに長い150mm相当の75mm F1.8、同じF1.2 PROシリーズの25mm F1.2 PROなどが比較対象になります。
どれも単焦点ですが、重量、画角、F値、操作性、防塵防滴、撮影距離が大きく異なります。単純に上位・下位だけで分けるより、何を撮るかで役割を考える方が選びやすくなります。
45mm F1.8は116gの軽さが最大の違いになる
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8は同じ45mm、90mm相当の画角を持ちながら、質量は約116gです。45mm F1.2 PROの約410gに対して約3分の1以下で、カメラへ付けたまま持ち歩く用途では大きな差があります。
開放F値はF1.8なので、45mm F1.2 PROより約1段以上暗く、背景ボケや暗所でのシャッタースピードには差が出ます。またPROシリーズの防塵防滴、MFクラッチ、L-Fnボタンなどもありません。
一方、90mm相当の人物撮影を軽量に楽しむだけなら45mm F1.8は非常に扱いやすく、ボディも小型モデルを選べます。45mm F1.2 PROは、画質、F1.2、操作性、耐候性まで含めて人物撮影を追い込みたい場合に向く性格です。
小型レンズと重量バランスの考え方は小型軽量設計からレンズ重量までで詳しく紹介しています。焦点距離が同じでも持ち出し頻度は重量によって大きく変わります。
75mm F1.8は150mm相当で背景をさらに整理しやすい
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は、35mm判換算150mm相当となる中望遠から望遠寄りの単焦点です。45mm F1.2 PROより画角が狭く、撮影者はさらに人物から離れることになります。
その分、背景に入る範囲を強く限定でき、遠くの背景を大きく引き寄せたように見せやすくなります。屋外で十分な撮影距離がある場合は、全身でも背景を整理したポートレートを作りやすくなります。
反対に室内や狭い場所では150mm相当は長く、全身や上半身でも距離が必要です。45mm F1.2 PROの90mm相当は、人物用中望遠として屋外と室内の両方へ対応しやすく、75mm F1.8はより限定的な望遠表現へ向きます。
中望遠と撮影距離の関係は撮影距離と焦点距離の基本で詳しく確認できます。焦点距離が長くなるほど、撮影場所の広さも重要になります。
25mm F1.2 PROとは画角の違いで用途が大きく分かれる
M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROは35mm判換算50mm相当で、開放F1.2という点は45mm F1.2 PROと共通しています。両方ともPROシリーズで、ボケと高解像の両立を重視した大口径単焦点です。
25mmでは人物と背景を一緒に写しやすく、室内、日常、スナップ、全身撮影まで幅広く使えます。45mmでは背景を狭く切り取り、顔や上半身を大きく見せやすくなります。同じF1.2でも、50mm相当と90mm相当では写真の性格が大きく変わります。
人物だけを主役として整理したい場合は45mm、人物がいる空間まで見せたい場合は25mmという使い分けが分かりやすくなります。二本を併用すれば、標準と中望遠をどちらもF1.2で揃えられます。
焦点距離ごとの人物表現はポートレート撮影完全ガイドで詳しく解説しています。F値が同じでも、画角が変わると人物と背景の関係は大きく変化します。
中古でM.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROを選ぶ確認点
45mm F1.2 PROは長く販売されているレンズなので、中古市場でも見つけやすくなっています。PROシリーズは堅牢ですが、使用期間が長い個体では外観だけでなくAF、MFクラッチ、電子接点、光学系まで確認する必要があります。
特に人物撮影では開放F1.2を使うため、わずかな不具合や偏芯も実写で分かりやすくなります。中古では価格差だけで判断せず、レンズの機能を一つずつ見る方が安心です。
前玉・後玉・内部のカビやクモリを確認する
中古レンズでは、前玉の細かな傷、後玉の傷、内部のカビ、クモリ、大きなゴミを確認します。前玉のわずかな拭き傷は通常の写真へほとんど影響しないこともありますが、後玉の大きな傷や内部クモリはコントラスト低下へつながる場合があります。
強い光を斜めから当てると内部状態を確認しやすくなります。多少のホコリは一般的な中古レンズにも入りますが、蜘蛛の巣状のカビや全面的な白いクモリは避けた方が状態を判断しやすくなります。
逆光でコントラストが低下していないか試写できれば、外観だけでは分からない状態も確認できます。
レンズ内部の状態と画質の関係を見る場合はレンズコーティングと反射の仕組みも参考になります。光学面の汚れや劣化は逆光時に影響が出やすくなります。
AF・MFクラッチ・L-Fnボタンの動作を見る
電気的な機能では、AFが近距離から遠距離まで正常に動くか、異音がないかを確認します。F1.2ではピント位置が分かりやすいため、実際に人物や文字へ合わせてAF精度を見ると判断しやすくなります。
フォーカスリングを手前へ引いたときにMFへ正しく切り替わるか、戻したときにAFへ復帰するかも確認点です。MFクラッチはこのレンズの特徴なので、動きが引っかかったり切り替えが不安定だったりする個体は慎重に見た方が安全です。
L-Fnボタンも対応ボディで動作を確認できれば理想的です。電子接点に強い腐食や汚れがないかも見ておくと、通信不良の可能性を減らせます。
AFとMFの基本動作はAFとMFの違いと使い分けで詳しく解説しています。中古確認でも両方のモードを試すことが重要です。
F1.2で左右の解像差や偏芯を試写する
大口径単焦点では、光学系の偏芯があると左右や上下で解像感が異なることがあります。遠くの建物や平面的な壁を正面から撮り、画面中央だけでなく左右端の細部を比較すると状態を確認しやすくなります。
開放F1.2とF2.8の両方で試すと、単なる被写界深度の浅さなのか、片側だけ不自然に甘いのかを判断しやすくなります。人物だけを試写すると被写体の角度や距離で差が出るため、平面的な被写体も使う方が状態確認には向いています。
また、最短撮影距離付近でもAFが正常に合うかを見ると、近距離側の動作まで確認できます。高価なPROレンズだから個体差が存在しないとは限らず、中古では実写確認が重要です。
レンズの解像力を実写で確認する方法はレンズ解像度と画質を引き出す撮影方法で詳しく紹介しています。中古の片ボケ確認でも同じ考え方を利用できます。
まとめ
M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROは、マイクロフォーサーズで35mm判換算90mm相当となる、大口径F1.2の中望遠単焦点です。10群14枚の光学系にEDレンズ、HRレンズ、非球面レンズを組み合わせ、開放から高い解像力を確保しながら、ピント面から背景へ滑らかにつながるボケを重視しています。
人物撮影では、90mm相当の画角によって顔や上半身を自然な距離から切り取りやすく、背景に入る範囲も整理しやすくなります。F1.2では背景を大きくぼかせるだけでなく、室内や夕方でもシャッタースピードを確保しやすくなります。マイクロフォーサーズではフルサイズより被写界深度を確保しやすいため、F1.2を人物撮影で実用しやすい点も特徴です。
ボケは単純な大きさだけでなく質が重視され、細かな枝や点光源がある背景でもざわつきを抑えやすくなっています。9枚羽根の円形絞りや、収差を抑えながらピント面からアウトフォーカスへ滑らかにつなぐ光学設計によって、人物を背景から自然に浮かび上がらせる描写を作れます。
AFにはMSC機構を採用し、対応ボディの顔認識や瞳優先AFと組み合わせられます。マニュアルフォーカスクラッチ、L-Fnボタン、防塵・防滴、耐低温設計も備え、PROシリーズらしく屋外や作品撮影まで対応できる操作性があります。レンズ内手ブレ補正はありませんが、OM-DやOM SYSTEMのボディ側手ぶれ補正を利用できます。
最短撮影距離0.5m、最大撮影倍率0.1倍なので、人物だけでなく花、小物、料理なども撮影できます。Z Coating Nanoによって逆光時の反射を抑える設計も採用されており、夕方の逆光ポートレートや屋外撮影でも使いやすくなっています。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8と比べると大幅に重くなりますが、F1.2、PROシリーズの耐候性、MFクラッチ、操作性、高い開放描写が加わります。75mm F1.8と比べると画角が広く、室内や一般的なポートレートで扱いやすく、25mm F1.2 PROと比べると人物を背景から分離しやすい中望遠の性格が強くなります。
45mm F1.2 PROは、小型軽量だけを目的としたマイクロフォーサーズ用レンズではありません。90mm相当という人物向けの画角に、F1.2の明るさ、高解像、滑らかなボケ、AF、耐候性、操作性をまとめた本格的なポートレートレンズです。背景をただ大きくぼかすだけでなく、人物の細部とボケのつながりまで重視した写真を狙うと、このレンズの特徴を最も生かせます。



