EOS RPの1.6倍クロップ設定を徹底解説|画素数・画角・RAW・EF-S/RF-Sレンズ
EOS RPには、フルサイズセンサーの中央部分だけを使って撮影する「1.6倍クロップ」が用意されています。50mmレンズなら約80mm相当、100mmなら約160mm相当の画角になり、レンズを交換せずに被写体を大きく見せられる機能です。
ただし、ここで最初に理解しておきたい点があります。クロップ設定を使っても、レンズそのものの焦点距離が1.6倍になるわけではありません。50mmレンズは50mmのままです。フルサイズセンサーの中央部だけを記録することで、50mmで撮影した画像を後から中央だけ切り取ったのと同じような約80mm相当の画角になります。
EOS RPは通常約2620万画素で撮影しますが、1.6倍クロップでは約1010万画素になります。そのため、望遠レンズそのものの代わりになる機能ではありません。一方、撮影時からファインダーいっぱいに被写体を表示して構図を決められることや、EF-S・RF-SレンズをEOS RPで使えることには明確なメリットがあります。
この記事では、EOS RPの1.6倍クロップ設定の方法、記録画素数、焦点距離との関係、画質、RAW撮影、ボケ、EF-S・RF-Sレンズ使用時の挙動、野鳥・スポーツ・ポートレート・旅行での使い方まで詳しく解説します。
- EOS RPのクロップ設定とは
- EOS RPで1.6倍クロップを設定する方法
- クロップ設定では約2620万画素から約1010万画素になる
- フルサイズ撮影して後からトリミングする方法との違い
- RAWでクロップ撮影するとどうなるか
- クロップするとボケや被写界深度は変わるのか
- 野鳥やスポーツでEOS RPのクロップは使えるか
- ポートレートでは50mmを約80mm相当として使える
- マクロ撮影でクロップを使う意味
- 旅行では50mm一本を標準と中望遠のように使い分けられる
- EOS RPのクロップ設定が向いている場面
- EOS RPのクロップ設定で間違えやすいポイント
- まとめ|EOS RPの1.6倍クロップは「望遠化」ではなく撮影時トリミング
EOS RPのクロップ設定とは
フルサイズセンサー中央部だけを使って約1.6倍相当の画角にする
EOS RPの撮像素子は約35.9×24.0mmのフルサイズCMOSセンサーです。通常撮影では、このフルサイズ領域を使って約2620万画素の画像を記録します。
1.6倍クロップを選ぶと、センサー中央部のAPS-Cサイズ相当の範囲だけを使用します。その結果、写る範囲が狭くなり、同じ位置から同じレンズで撮影しても被写体が画面内で大きく見えるようになります。
例えば50mmレンズなら約80mm相当、100mmなら約160mm相当、200mmなら約320mm相当の画角になります。
| 実際の焦点距離 | 1.6倍クロップ時の画角 |
|---|---|
| 24mm | 約38mm相当 |
| 35mm | 約56mm相当 |
| 50mm | 約80mm相当 |
| 85mm | 約136mm相当 |
| 100mm | 約160mm相当 |
| 200mm | 約320mm相当 |
| 400mm | 約640mm相当 |
EOS RPそのものの特徴や基本設定については、Canon EOS RPの使いこなし術でも詳しく解説しています。
「焦点距離が1.6倍になる」と考えると仕組みを誤解しやすい
クロップ設定を説明するときに「50mmが80mmになる」「100mmが160mmになる」と表現されることがあります。しかし、これは画角を分かりやすく説明するための換算です。
クロップ設定によってレンズの光学特性が変化するわけではありません。50mmレンズの焦点距離は50mmのままで、開放F値も変わりません。レンズが突然80mmレンズになるわけでも、被写体を光学的に1.6倍拡大しているわけでもありません。
EOS RPが行っているのは、フルサイズ画像の外側を使わず、中央部分だけを記録する処理です。
そのため、同じ撮影位置、同じレンズ、同じF値でフルサイズ撮影した画像をパソコン上で同じ範囲までトリミングすれば、基本的には同じ構図になります。
クロップ撮影は「望遠レンズを追加する機能」ではなく、「撮影時点で中央部だけを記録する機能」と理解すると分かりやすくなります。
焦点距離と画角の関係を含めてレンズを探す場合は、キヤノン大全からEOS・RF・EFレンズの記事を確認できます。
EOS RPで1.6倍クロップを設定する方法
メニューの「静止画クロップ/アスペクト」から設定する
EOS RPで静止画を1.6倍クロップに切り替える場合は、撮影メニューにある「静止画クロップ/アスペクト」を使用します。
操作の流れは次のようになります。
- MENUボタンを押す
- 撮影メニューを開く
- 「静止画クロップ/アスペクト」を選ぶ
- 「1.6倍(クロップ)」を選択する
設定すると、EVFや背面モニターにもクロップ後の撮影範囲が表示されます。フルサイズ撮影したあとで頭の中だけでトリミングを想像する必要がなく、その場で完成する構図を確認しながら撮影できます。
フルサイズに戻したい場合は、同じ項目から「フルサイズ」を選択します。
EOS RPには1.6倍クロップ以外にも、1:1、4:3、16:9のアスペクト比設定があります。1.6倍クロップは画面中央をAPS-C相当に切り取る機能であり、単純な縦横比変更とは役割が異なります。
EOS RPのメニュー設定をさらに使い込む場合は、EOS RPでMFへ切り替える方法と設定も参考になります。
EF-S・RF-Sレンズでは1.6倍相当の範囲で撮影する
EOS RPはRFマウントのフルサイズカメラですが、APS-C用レンズを使用することもできます。
EF-SレンズはマウントアダプターEF-EOS Rを介して装着できます。RF-SレンズはRFマウントなので直接装着できます。
これらAPS-C用レンズをEOS RPへ装着した場合は、フルサイズセンサー全体ではなく中央部を使用し、約1.6倍相当の画角で撮影します。
例えばEF-S 18-55mmを装着した場合、画角は約29-88mm相当になります。EF-S 55-250mmなら約88-400mm相当です。
これはAPS-C用レンズのイメージサークルがフルサイズ全体を覆うようには設計されていないためです。フルサイズ領域をそのまま使うと画面周辺まで正常な像を作れないため、APS-C相当部分だけを利用します。
EOS RPへEFレンズやEF-Sレンズを装着する方法については、EFレンズをEOS Rシリーズで使う方法で詳しく解説しています。
クロップ設定では約2620万画素から約1010万画素になる
1.6倍クロップでは記録画素数が大きく減る
EOS RPの通常撮影では、Lサイズで6240×4160ピクセル、約2600万画素の画像を記録できます。
1.6倍クロップを使用すると、L、RAW、C-RAWでは3888×2592ピクセル、約1010万画素になります。
| 撮影方式 | 記録サイズ | 記録画素数 |
|---|---|---|
| フルサイズ | 6240×4160 | 約2600万画素 |
| 1.6倍クロップ | 3888×2592 | 約1010万画素 |
画素数は半分程度ではなく、約39%まで減ります。これは縦と横をそれぞれ約1.6分の1にするため、面積として使う部分が大幅に小さくなるためです。
約1010万画素あればWeb掲載、SNS、一般的なプリントなどには十分使える場面があります。しかし、大幅な追加トリミングや大型プリントでは約2600万画素との差が出やすくなります。
EOS RPの画質や暗所でのノイズについては、EOS RPの暗所性能と高感度画質も参考になります。
クロップしたから被写体のディテールが増えるわけではない
1.6倍クロップにすると、EVF上では被写体が大きく表示されます。そのため、望遠性能そのものが上がったように感じることがあります。
しかし、同じ位置、同じレンズで撮影した場合、クロップ設定によってレンズが新しい細部を解像するわけではありません。
フルサイズで撮影した約2600万画素画像の中央部分を約1010万画素まで切り取ったものと、考え方としては同じです。
本当に遠くの鳥をより多くの画素で記録したい場合は、焦点距離の長いレンズを使って被写体そのものをセンサー上へ大きく投影する必要があります。
例えば100mmを1.6倍クロップして約160mm相当の画角にする方法と、実際に160mm前後のレンズを使ってフルサイズ約2600万画素で撮る方法では、記録できる画素数が大きく違います。
望遠レンズを選ぶ場合は、キヤノン大全からRF・EF望遠レンズを焦点距離別に確認できます。
フルサイズ撮影して後からトリミングする方法との違い
画質の自由度を優先するならフルサイズ撮影が有利
EOS RPの1.6倍クロップと、フルサイズで撮影したあとにLightroomなどで中央を切り取る方法は、最終的に同じ範囲を使うのであれば非常に近い結果になります。
後からトリミングする方法の大きな利点は、撮影時には約2600万画素のフルサイズ画像を残せることです。
撮影後に「もう少し左を残したい」「鳥が思ったより画面端へ動いた」「縦位置にしたい」と感じても、周囲に記録された画像が残っています。
一方、1.6倍クロップで撮影した画像には、その外側は記録されません。撮影後にフルサイズ範囲へ戻すことはできません。
特に動く被写体では、フルサイズで少し余裕を持って撮影し、後から構図を決めた方が安全な場合があります。
RAW現像を前提とした写真の仕上げについては、キヤノン大全からEOSシリーズの画質・撮影設定関連記事も確認できます。
クロップ撮影の強みは撮影時に完成構図を見られること
後からトリミングできるのであれば、クロップ設定は不要に見えるかもしれません。しかし、撮影時クロップには別の利点があります。
最大の違いはEVFで被写体が大きく見えることです。
例えば小さな鳥を撮影するとき、フルサイズ画面の中央に小さく鳥が見えている状態より、1.6倍クロップで鳥が大きく表示された方が、頭の向き、目の位置、枝との重なりなどを確認しやすくなります。
人物撮影でも、50mmを約80mm相当の画角として表示すれば、撮影時点で顔や上半身をどこまで入れるか判断できます。
また、不要な周辺部分を記録しないためファイルサイズも抑えられます。最初から最終構図が決まっている撮影では、撮影後のトリミング作業も減らせます。
構図を撮影時点で詰める方法については、ポートレート撮影完全ガイドでも詳しく紹介しています。
RAWでクロップ撮影するとどうなるか
RAWでもクロップ撮影時は約1010万画素になる
EOS RPではJPEGだけでなくRAWやC-RAWでも1.6倍クロップ撮影ができます。
ここで注意したいのは、「RAWならフルサイズ約2600万画素が隠れて保存されていて後から戻せる」と考えないことです。
EOS RPの1.6倍クロップでは、RAWやC-RAWでも約1010万画素として記録されます。クロップ外の領域を後から復元する用途には使えません。
RAWを選ぶメリットは、ホワイトバランス、露出、ハイライト、シャドウ、ノイズ低減、シャープネスなどを現像時に調整しやすい点です。クロップによって失った外側の画角を復活させる機能ではありません。
撮影後に構図まで自由に変更したい場合は、フルサイズRAWで撮影して後からトリミングする方が柔軟です。
EOS RPを暗所でRAW撮影する場合は、EOS RPで夜景を撮る方法も参考になります。
クロップするとボケや被写界深度は変わるのか
同じ位置・同じレンズ・同じF値なら元の光学像は変わらない
クロップ設定について「APS-Cになるからボケが減る」と説明されることがありますが、条件を整理する必要があります。
同じ撮影位置で50mm F1.8を使い、フルサイズ撮影と1.6倍クロップ撮影を切り替えただけなら、レンズが作っている像そのものは変わりません。
焦点距離は50mmのまま、絞りもF1.8のまま、被写体までの距離も同じです。EOS RPはその像の中央部だけを切り取っています。
したがって、クロップボタンを押した瞬間にレンズのボケ量や被写界深度そのものが突然変化するわけではありません。
ただし、フルサイズ撮影と同じ人物サイズになるようにクロップ時だけ撮影者が後ろへ下がれば、撮影距離が変わるためボケ方も変わります。異なるセンサーサイズを比較するときにボケ量の差が語られるのは、このように同じ構図へ揃える条件が関係します。
人物撮影で焦点距離、撮影距離、背景ボケの関係を確認する場合は、ポートレート撮影完全ガイドが参考になります。
野鳥やスポーツでEOS RPのクロップは使えるか
被写体をファインダー内で大きく確認したいときに役立つ
野鳥やスポーツでは、被写体まで近づけない場面が多くあります。このような場合、1.6倍クロップを利用するとファインダー内で被写体を大きく表示できます。
例えば200mmなら約320mm相当、400mmなら約640mm相当の画角になります。
鳥の向き、目、羽の位置、枝との重なりなどを撮影中に確認しやすくなるため、構図を最初からクロップ前提で決めている場合には使いやすい機能です。
一方で、約1010万画素まで記録画素数が減るため、そこからさらに大きくトリミングする余裕は少なくなります。
鳥が画面内を激しく移動する場合には、フルサイズで広めに捉えて約2600万画素で記録し、撮影後に必要な部分を切り取る方法の方が失敗を減らせる場合もあります。
クロップ撮影とフルサイズ撮影のどちらを使うかは、「被写体を追いやすいこと」と「撮影後のトリミング余裕」のどちらを優先するかで決めると分かりやすくなります。
動体撮影のシャッタースピードやAFについては、スポーツ撮影の設定とテクニックも参考になります。
ポートレートでは50mmを約80mm相当として使える
標準50mm一本で中望遠に近い画角を作れる
EOS RPへ50mm単焦点を装着した場合、通常は標準レンズらしい画角になります。1.6倍クロップへ切り替えると約80mm相当となり、ポートレートで定番の85mmに近い画角になります。
同じ場所から撮影すれば、フルサイズでは人物と背景を広めに入れ、クロップでは人物を大きく切り取るという撮り分けができます。
35mmなら約56mm相当、85mmなら約136mm相当になるため、一本の単焦点レンズでも撮影時の構図を切り替えやすくなります。
ただし、クロップによって50mmレンズ特有の遠近感が85mmレンズへ変化するわけではありません。遠近感を決める大きな要素は撮影位置です。
50mmでクロップして人物を大きく写す方法と、実際に85mmへ交換して同じ位置から撮る方法では画角は近づきますが、実際の85mmならフルサイズ約2600万画素をそのまま利用できます。
人物撮影で35mm、50mm、85mmを使い分ける方法は、ポートレート撮影完全ガイドで詳しく解説しています。
マクロ撮影でクロップを使う意味
最大撮影倍率は変わらないが被写体を画面いっぱいに見せやすい
マクロ撮影でも1.6倍クロップは利用できます。
例えば等倍撮影が可能な100mmマクロレンズでクロップを使用すると、画角は約160mm相当に狭くなります。花の中心や昆虫などを画面いっぱいに配置しやすくなります。
ただし、クロップ設定によってレンズそのものの最大撮影倍率が1.6倍になるわけではありません。等倍マクロレンズは光学的には等倍のままです。
センサー中央部だけを使用するため、最終画像の中で被写体が占める割合が大きく見えます。
この特徴は、小さな被写体の構図を撮影時に完成させたい場合に便利です。一方、後から位置を微調整したい場合にはフルサイズ撮影の方が余白を残せます。
特に昆虫のように被写体が突然動く場合は、最初から画面いっぱいに詰めすぎるとフレームアウトしやすくなるため、フルサイズ撮影との使い分けが重要です。
マクロレンズの倍率や最短撮影距離については、マクロレンズとは?特徴・選び方・使い方で詳しく解説しています。
旅行では50mm一本を標準と中望遠のように使い分けられる
レンズ交換を減らしながら画角を切り替えられる
旅行では、カメラ機材を何本も持ち歩きたくない場面があります。
例えばEOS RPに50mm F1.8のような小型単焦点一本だけを装着した場合、通常撮影では50mm、1.6倍クロップでは約80mm相当の画角として使えます。
街並みや食事、人物と周囲を一緒に入れたい場合はフルサイズ、少し離れた建物や人物を大きく切り取りたい場合はクロップという切り替えができます。
24-105mmのようなズームレンズを使う場合でも、105mm端をクロップすれば約168mm相当の画角になります。
ただし、クロップは光学ズームを追加するものではありません。旅先で遠くの被写体を高解像度で撮りたいことが分かっている場合は、最初から必要な望遠レンズを用意する方が画質面では有利です。
クロップ機能は「望遠レンズを持たなくて済む万能機能」ではなく、限られた機材で画角を少し広げる補助機能として使うと実用的です。
旅行時のレンズ構成については、旅行で使うカメラとレンズの選び方も参考になります。
EOS RPのクロップ設定が向いている場面
最初から中央部分だけ使うことが決まっている撮影に向く
EOS RPの1.6倍クロップが使いやすいのは、撮影前から周辺部分が不要だと分かっている場面です。
遠くの鳥を中央で捉える、ステージ上の人物を大きく撮る、50mmで人物の上半身を撮る、マクロ撮影で花の中心だけを切り取るなど、完成構図が最初から狭い場合にはクロップ撮影が使いやすくなります。
EVF上で完成画像に近い大きさを確認できるため、被写体の表情や細部も確認しやすくなります。
ファイルサイズもフルサイズ約2600万画素より小さくなるため、大量撮影で保存容量を抑えたい場合にも意味があります。
特にJPEG中心で、撮影後にほとんどトリミングを行わない場合は、撮影時点で構図を完成させるクロップ設定との相性があります。
EOS RPの各種設定をさらに確認する場合は、EOS RPの使いこなし術も参考になります。
後から構図を変える可能性があるならフルサイズ撮影を残す
人物、動物、スポーツなど、被写体が動いて構図が頻繁に変わる場面では、フルサイズ撮影の余裕が有利です。
1.6倍クロップでは撮影時点で外側の領域を捨てるため、被写体が少し画面端へ動いただけでも切れてしまう可能性があります。
フルサイズ約2600万画素で撮っておけば、後から横位置、縦位置、中央構図、三分割構図などへ変更できます。
EOS RPは約2620万画素なので、1.6倍相当まで後からクロップすれば約1000万画素程度になります。撮影時クロップと近い画素数まで切り取れるため、構図の自由度を残したい場合はフルサイズRAWを選ぶ方法があります。
クロップ設定を常時ONにするのではなく、完成構図が明確なときだけ使い、迷う場面ではフルサイズを残す使い分けが現実的です。
RAW撮影を含めたEOS RPの画質設定については、EOS RPの高感度・画質・撮影設定も参考になります。
EOS RPのクロップ設定で間違えやすいポイント
望遠レンズそのものの代わりにはならない
1.6倍クロップは便利ですが、200mmレンズを320mmレンズへ変える機能ではありません。
200mmでフルサイズ撮影した画像の中央部分だけを使用し、320mm相当の画角として記録します。
実際の320mm前後のレンズを使えば、被写体をより大きくセンサーへ投影した状態でフルサイズ領域を利用できます。EOS RPなら約2600万画素を使えるため、細部の記録では本物の望遠レンズが有利になります。
一方、クロップ設定には追加レンズが不要で、撮影中にボタン操作だけで画角を切り替えられる利便性があります。
つまり両者は競合するものではなく、目的が異なります。
クロップは構図を狭くする機能、本物の望遠レンズは被写体を光学的に大きくセンサーへ写すための機材です。
キヤノンの望遠レンズを比較する場合は、キヤノン大全からRF・EF望遠レンズの記事を確認できます。
クロップだから画質そのものが悪化するわけではない
クロップ撮影では約1010万画素になるため、「画質が悪くなる」と表現されることがあります。しかし、正確には使用する画素数が減ると考えた方が分かりやすくなります。
センサー中央部の一画素一画素がクロップ設定によって劣化するわけではありません。
約1010万画素で足りる用途なら、十分な画質で利用できます。Webサイト、SNS、一般的な画面表示、小~中サイズのプリントなら問題を感じにくい場合もあります。
差が出やすいのは、大型プリント、4K以上の高精細モニターで大きく拡大する場合、さらに追加トリミングする場合です。
また、高ISOで撮影した約1010万画素画像を大きく拡大すれば、ノイズも目立ちやすくなります。遠距離撮影だからクロップを使う場合でも、可能なら十分な光量と適切なシャッタースピードを確保することが重要です。
EOS RPのノイズとISO感度については、EOS RPの暗所性能を徹底解説で詳しく紹介しています。
まとめ|EOS RPの1.6倍クロップは「望遠化」ではなく撮影時トリミング
EOS RPの1.6倍クロップは、フルサイズセンサー中央部のAPS-C相当範囲だけを使って撮影する機能です。
50mmなら約80mm相当、100mmなら約160mm相当、200mmなら約320mm相当の画角になりますが、実際の焦点距離が変化するわけではありません。
通常の約2600万画素から、1.6倍クロップでは約1010万画素になります。そのため、本物の望遠レンズを使った場合と同じ解像度が得られる機能ではありません。
一方、撮影時からEVF上で被写体を大きく確認でき、最終構図を作りやすいことは大きなメリットです。RAWやC-RAWでもクロップ撮影できますが、約1010万画素として記録されるため、後からフルサイズ範囲へ戻すことはできません。
EF-S・RF-SレンズをEOS RPで使用するときにもAPS-C相当の撮影範囲が使われます。EF一眼レフ時代のEF-Sレンズを所有している場合には、マウントアダプターを利用してEOS RPで再活用できます。
野鳥やスポーツのように被写体をファインダー上で大きく確認したい場合、50mm一本で標準と約80mm相当の画角を使い分けたい場合、マクロや商品撮影で最初から中央部分だけを使いたい場合には1.6倍クロップが便利です。
一方、撮影後に構図を変更する可能性がある場合や、できるだけ多くの画素を残したい場合は、フルサイズで撮影して後からトリミングする方法が有利です。
EOS RPのクロップ設定は「焦点距離を伸ばす魔法」ではありません。フルサイズ撮影と1.6倍クロップの違いを理解し、完成構図を撮影時に決めたいのか、撮影後の自由度を残したいのかによって使い分けることで、EOS RPをより柔軟に活用できます。
EOS RPを含むEOS Rシリーズ、RFレンズ、EFレンズを体系的に探す場合は、キヤノン大全から各機種・レンズの記事を確認できます。



