EF40mm F2.8 STM徹底解説|パンケーキレンズの画質・ボケ・使い勝手
EF40mm F2.8 STMは、Canon EFレンズの中でも非常に薄い「パンケーキレンズ」として知られる単焦点レンズです。全長約22.8mm、質量約130gという小型軽量設計で、フルサイズ一眼レフへ装着しても大きく前へ張り出しません。EOS 5DシリーズやEOS 6Dシリーズのような一眼レフを、できるだけ軽快な構成で持ち歩きたい場合に特徴が際立つ一本です。
焦点距離は40mmです。50mmより少し広く、35mmほど周囲を大きく取り込まないため、街歩き、旅行、日常記録、料理、テーブルフォト、人物と背景を一緒に見せる撮影などに使いやすい画角です。開放F2.8は50mm F1.8クラスほど明るくありませんが、パンケーキレンズとしての薄さを保ちながら、単焦点らしい画質とある程度の背景ボケを両立しています。
さらに、EF40mm F2.8 STMは小型化だけを目的にしたレンズではありません。実写では開放F2.8から中央部の解像力が高く、F4からF5.6へ絞るとフルサイズの周辺部まで整いやすい描写を持っています。色収差や歪曲収差も比較的少なく、薄く安価なレンズだから画質もそれなり、という先入観とは異なる性格があります。
一方、手ブレ補正は搭載されておらず、STMだから完全に無音というわけでもありません。動画撮影時には内蔵マイクがAF駆動音を拾う可能性があります。また、最短撮影距離0.3m、最大撮影倍率0.18倍なので、小物へある程度近づけるもののマクロレンズの代わりになるほどの拡大能力はありません。この記事では、EF40mm F2.8 STMの実際の画質、40mmという焦点距離、F2.8のボケ、STMの使い勝手、一眼レフとEOS Rシリーズでの使用感、中古で選ぶ際の注意点まで詳しく見ていきます。
EF40mm F2.8 STMの基本スペックと特徴
EF40mm F2.8 STMは、フルサイズ対応のEFマウント単焦点レンズです。焦点距離40mm、開放F2.8、レンズ構成4群6枚、最短撮影距離0.3m、最大撮影倍率0.18倍、フィルター径52mmという構成で、7枚羽根の円形絞りを採用しています。最大径は約68.2mm、全長約22.8mm、質量約130gです。
数字の中で特に目立つのが22.8mmという短さです。一眼レフ用EFレンズには多数の単焦点がありますが、EF40mm F2.8 STMはレンズを付けた状態でカメラ全体をできるだけ薄くしたい場合に強い個性を持っています。
22.8mm・130gのパンケーキ設計が最大の特徴
EF40mm F2.8 STMを横から見ると、通常の単焦点レンズとは大きく形が異なります。マウント部分から前玉までの突出量が少なく、ボディキャップを少し厚くしたような外観です。大型のEOS 5Dシリーズへ装着すると、ボディに対してレンズだけが極端に薄く見えるほどです。
この薄さは収納時にも効果があります。通常の標準ズームを付けた一眼レフでは奥行きのあるカメラバッグが必要になりますが、EF40mm F2.8 STMならレンズ部分の突出が小さく、バッグやケースへ収めやすくなります。約130gなので、交換レンズとして追加しても重量増加が小さく、ズームレンズと一緒に持って行く場合にも負担になりにくいレンズです。
特にフルサイズ一眼レフはボディだけでもある程度の大きさがあります。そこへ24-70mm F2.8や24-105mm F4などを装着すると、日常的に持ち歩くにはかなり大きな機材になります。EF40mm F2.8 STMなら、一眼レフそのものの大きさは変わらなくても前方への張り出しと総重量をかなり抑えられます。CanonのEF単焦点レンズ全体の位置付けはCanon EFレンズ一覧|焦点距離・種類別に選び方とおすすめを解説で確認できます。
40mmは35mmと50mmの間にある独特の標準画角
40mmという焦点距離は、35mmと50mmの中間です。フルサイズで35mmを使用すると人物だけでなく周囲の街並みや室内まで入りやすく、50mmになると画面へ入る範囲が少し狭くなって主役を整理しやすくなります。40mmはその間にあり、周囲を残しながら50mmほど窮屈になりにくい画角です。
スナップではこの差が使いやすさにつながります。50mmで街を歩くと、店の外観や狭い路地、テーブル越しの人物などで「あと少し広ければ」と感じることがあります。35mmでは逆に周囲が多く入り、主題を整理する必要があります。40mmでは撮影者が一歩前後することで多くの場面へ対応しやすく、単焦点一本で歩く用途と相性があります。
焦点距離は遠近感そのものを直接変えるものではなく、同じ大きさで被写体を写すために撮影位置を変えることで、背景との見え方が変化します。40mmは50mmより同じ場所から広い範囲を写せるため、人物を画面いっぱいに切り取るより、人物と環境を一緒に記録する撮影へ向いています。画角と焦点距離の関係は画角とは?焦点距離との関係と広角・標準・望遠の違いで詳しく解説しています。
APS-Cでは約64mm相当になり性格が変わる
CanonのAPS-C一眼レフへEF40mm F2.8 STMを装着すると、フルサイズ換算では約64mm相当の画角になります。レンズそのものの焦点距離が40mmから64mmへ変化するわけではありません。APS-Cセンサーではフルサイズより狭い範囲を記録するため、64mmレンズをフルサイズで使ったときに近い画角になります。
フルサイズでは日常スナップ向けの標準域ですが、APS-Cでは少し望遠寄りになります。人物の上半身、料理、小物、花などを切り取りやすくなる一方、室内や狭い場所では画角が窮屈に感じる場合があります。街全体を広く写す用途より、対象を少し限定する撮影へ向きます。
EF40mm F2.8 STMはEFレンズなので、フルサイズ一眼レフとAPS-C一眼レフの両方へ直接装着できます。一台のレンズをセンサーサイズの異なる複数ボディで使うと、同じ40mmでも用途が大きく変化することを実感できます。EFとEF-Sを含めたCanonボディとの組み合わせはCanonレンズ対応表|RF・RF-S・EF・EF-S・EF-Mはどのカメラで使える?で確認できます。
EF40mm F2.8 STMの画質は小型レンズとは思えないほど良好
EF40mm F2.8 STMで注目したいのは、パンケーキ型という外観だけではありません。4群6枚という比較的シンプルな光学系ながら非球面レンズを使用し、画面中央の解像力、色収差、歪曲、逆光耐性を小さな鏡筒へまとめています。実写レビューでも、このレンズは価格や大きさから想像する以上に画質が良いという評価が多く、特にF4からF5.6で画面全体が整いやすいことが特徴です。
開放F2.8から中央はシャープでF5.6では周辺まで整う
開放F2.8では中央部から広い範囲で十分な解像感があり、フルサイズの最周辺へ行くにつれて少し柔らかくなります。F4へ1段絞ると周辺部までシャープさが増し、F5.6付近では四隅もかなり整います。この性格は、普段のスナップならF2.8から使い、風景や建築など画面全体の均一性を重視するときはF5.6前後へ絞るという使い分けに向いています。
小型レンズでは、鏡筒を短くする代わりに周辺描写を大きく妥協する製品もありますが、EF40mm F2.8 STMは中央だけが極端に鋭く四隅が大きく崩れるタイプではありません。薄型設計と画質のバランスが、このレンズが長く支持されてきた理由の一つです。
高画素ボディで等倍表示すれば開放時の周辺差は確認できますが、通常の写真として見る場合には中央の解像力は十分に高く、絞ることで周辺まで改善できます。レンズの解像力は中央だけで判断せず、絞り値と画面位置を分けて見る必要があります。EFレンズの画質と高画素機の関係はEFレンズの画質限界とは?高画素機・EOS Rで見える弱点とRFレンズとの違いでも詳しく扱っています。
歪曲収差と色収差が少なくスナップや建築にも使いやすい
EF40mm F2.8 STMは歪曲収差が比較的小さく、建物の壁、窓枠、道路など直線が多い被写体でも使いやすいレンズです。広角レンズほど画面周辺で線が大きく曲がる傾向がなく、40mmという焦点距離自体も極端な遠近感が出にくいため、街並みを自然に記録できます。
倍率色収差もよく抑えられており、画面周辺の細い枝や建物の輪郭に赤や青の色ずれが大量に現れるタイプではありません。RAW現像時に倍率色収差補正を使える環境なら、さらに整えやすくなります。
歪みが少ないことは人物撮影でも有利です。近距離で顔を画面いっぱいにすると遠近感による変形は発生するため、40mmを真正面の顔だけを大きく撮る用途へ使う必要はありません。少し距離を取り、上半身や全身と背景を含めれば自然なバランスを作りやすくなります。レンズ固有の歪曲と撮影距離による遠近感の違いはレンズの歪曲収差とは?樽型・糸巻き型・パースの違いと補正方法で整理しています。
逆光耐性も良好だがフードを使える構造
レンズ構成が4群6枚と比較的少ないこともあり、EF40mm F2.8 STMは逆光でもフレアやゴーストを抑えやすい特性があります。太陽を画面内へ入れたときでも、複雑なズームレンズと比べて内部反射の影響が目立ちにくい場面があります。
もちろん、どの角度でもゴーストが完全に発生しないわけではありません。強い点光源が特定の位置へ入れば反射像が現れる場合があり、レンズ表面の汚れや保護フィルターによって逆光時のコントラストが低下することもあります。夕日や夜間の街灯を直接画面へ入れる場合は、撮影後に拡大して確認する方が確実です。
専用フードとしてES-52が用意されており、斜め方向から入る不要な光を遮ることができます。パンケーキ形状を最大限薄く使いたい場合はフードなしという選択もありますが、逆光が多い撮影ではフードを装着する意味があります。コーティングとフレア、ゴーストの関係はレンズコーティングとは?フレア・ゴーストを抑える仕組みで詳しく解説しています。
F2.8の明るさとボケをどう考えるか
EF40mm F2.8 STMは単焦点ですが、開放F値はF2.8です。EF50mm F1.8 STMやEF50mm F1.4 USMと比較すると暗く、単焦点だから大きくぼけるレンズと考えると期待との違いが出ます。一方、標準ズームのF4クラスより1段明るく、F3.5-5.6クラスのズームと比較すれば望遠側より光量を確保できます。
F2.8は十分明るいがF1.8との差は明確
F2.8とF1.8では取り込める光量に明確な差があります。同じISO感度で撮影する場合、EF50mm F1.8 STMの方が暗い室内で速いシャッタースピードを確保しやすく、背景も大きくぼかしやすくなります。暗所性能や大きなボケを最優先するなら、EF40mm F2.8 STMの薄さとの交換条件になります。
EF40mmのF2.8は、何でも暗所で手持ち撮影できるほどの明るさではありません。手ブレ補正も搭載していないため、暗い室内で静止した被写体を撮る場合にはISO感度を上げるか、シャッタースピードを下げる必要があります。被写体が動いている場合はシャッタースピードを確保するためISO感度を上げる場面もあります。
一方、晴天や日中の屋外ではF2.8の明るさで困る場面は少なく、レンズの薄さを生かしたスナップ用途では扱いやすい設定です。50mm F1.8との違いは、単にどちらが高性能かではなく、明るさを取るか、40mmの画角とパンケーキ形状を取るかという性格の違いです。40mmと50mmを含むEF標準単焦点の比較はCanon EF標準単焦点レンズ一覧|40mm・50mmとF1.2・F1.4・F1.8の違いで確認できます。
40mm F2.8でも近づけば背景はしっかりぼかせる
40mm F2.8は85mm F1.8や50mm F1.4のような大きな背景ボケを作るレンズではありません。それでも、被写体へ近づき、被写体と背景の距離を離せば十分に背景をぼかせます。料理、花、小物、人物の上半身などではF2.8を使うことで、主題と背景を分離した写真を作れます。
背景ボケの大きさはF値だけで決まりません。焦点距離、被写体までの距離、背景までの距離、センサーサイズが関係します。EF40mm F2.8 STMでは最短撮影距離0.3mまで近づけるため、近距離では被写界深度が浅くなり、遠距離を撮影した場合より背景をぼかしやすくなります。
人物撮影では背景を完全に溶かすレンズではなく、場所の情報を少し残しながら人物を浮き立たせる使い方に向いています。旅行先の人物、店内での人物、街角のスナップなど、背景も写真の一部として見せたい場合には40mm F2.8のボケ量が扱いやすいことがあります。F値と被写界深度の関係はF値とは?絞りで変わる明るさ・ボケ・被写界深度と設定の目安で詳しく解説しています。
最短撮影距離0.3mと最大撮影倍率0.18倍の実用性
EF40mm F2.8 STMの最短撮影距離は0.3mです。撮影距離はレンズ先端から被写体までの距離ではなく、カメラの撮像面から被写体までを測ります。レンズ自体が非常に薄いため、0.3mまで寄った場合でもレンズ先端と被写体の間にはある程度の空間があります。
料理や小物には寄れるがマクロレンズではない
最大撮影倍率は0.18倍です。一般的な標準単焦点としては使いやすい範囲ですが、0.5倍のハーフマクロや1.0倍の等倍マクロと比べると拡大率は大きくありません。小さな昆虫の目や時計の文字盤を画面いっぱいにするような撮影には向きません。
一方、料理、コーヒーカップ、カメラ、レンズ、花、雑貨などをテーブル上で撮影する用途なら十分に近づけます。40mmなので中望遠マクロほど被写体だけを狭く切り取らず、周囲の皿やテーブル、背景を少し含めて見せる構図を作りやすくなります。
小型のパンケーキレンズでありながら0.3mまで寄れるため、街歩きの途中で看板や料理、店頭の商品などへ近づいて撮る用途にも適しています。一本だけ付けて歩く場合、遠景から近距離まで対応しやすい点が40mmの使いやすさにつながります。撮影距離とワーキングディスタンスの違いは被写体との距離で写真はどう変わる?撮影距離・焦点距離・構図の基本で詳しく整理しています。
STMのAFは滑らかだが完全な無音ではない
EF40mm F2.8 STMは、Canonが一眼レフ用交換レンズへSTMを採用した初期の製品の一つです。STMはステッピングモーターのことで、細かなステップでフォーカス機構を制御します。EF40mm F2.8 STMでは薄い鏡筒へ収めるため、ギアタイプのSTMが使われています。
静止画AFは十分実用的だがリングUSMとは性格が違う
実写ではAF速度は十分実用的で、日常のスナップ、風景、人物、旅行写真などで大きな不満が出にくい性能です。特にピント精度については良好な評価が多く、一眼レフでも通常の静止画撮影に使いやすいレンズです。
一方、大型のリングUSMを採用する上位レンズのような瞬間的な駆動速度を狙ったAFではありません。小型化を優先した構造なので、スポーツや野鳥など被写体が高速で接近してくる場面を主用途とするレンズではありません。40mmという焦点距離から考えても、日常撮影や人物、街中での使用が中心になります。
フォーカスリングは機械的にレンズ内部へ直結しておらず、電子制御でピント位置を動かす方式です。カメラから電力が供給されていない状態では通常の機械式MFレンズと同じ感覚では操作できません。この点は古いEF50mm F1.8 IIなどとは使い勝手が異なります。STMとUSMの性格の違いはSTMとUSMとVCMの違いとは?AF速度・静音性・動画で比較で確認できます。
動画では滑らかに動くが内蔵マイクが作動音を拾う場合がある
STMは動画撮影時の滑らかなフォーカス移動を意識して採用された方式です。対応するEOSボディでは、動画中の被写体へ連続的にピントを合わせる動作を行いやすく、急激にフォーカスが飛ぶのを抑えながら移動できます。
ここで注意したいのは、「STM=無音」と考えないことです。EF40mm F2.8 STMは従来の一部EFレンズより静かですが、ギアタイプSTMの駆動音は発生します。実写レビューでも一眼レフの内蔵マイクへAF音が記録されることが確認されており、音声まで重要な動画では外部マイクの位置やMF運用を考える必要があります。
映像だけを記録する用途や、後からBGMを重ねる動画なら問題になりにくい一方、静かな室内でカメラ内蔵マイクを使って会話や環境音を録る場合にはAF音が入る可能性があります。「動画向けSTM」と「完全無音」は別の話として考える方が実際の使用感に近くなります。EFレンズを動画やEOS Rで使う場合の世代差についてはEFレンズは今後も使える?ミラーレス時代の活用法とRFレンズとの使い分けでも解説しています。
一眼レフでEF40mm F2.8 STMを使う魅力
EF40mm F2.8 STMのパンケーキ形状を最も素直に生かせるのはEFマウント一眼レフです。レンズをボディへ直接取り付けられるため、22.8mmという薄さがそのままシステム全体の小型化につながります。EOS 5D Mark II、5D Mark III、6Dなどへ装着すると、大型ズームとはまったく異なる持ち歩き方ができます。
5Dシリーズでもレンズが邪魔になりにくい
EOS 5Dシリーズはフルサイズ一眼レフなのでボディ自体は小型ではありません。それでもEF40mm F2.8 STMを付けると、レンズの長さがほとんど増えないため、机の上へ置いたときやバッグへ入れたときの扱いやすさが大きく変わります。
大型一眼レフは「レンズまで大きいから持ち出すのが面倒」という状況になりやすい機材です。40mmパンケーキを付けておけば、標準ズームを装着した状態より軽く、撮影を目的にしていない外出でも持ち出しやすくなります。一眼レフの光学ファインダーを使いながら、小さな単焦点一本で撮るという組み合わせは、このレンズ独自の魅力です。
特にEOS 5D Mark IIのような一世代前のフルサイズ一眼レフと組み合わせれば、古いカメラと古いレンズだから画質が低いという組み合わせにはなりません。EF40mm F2.8 STMは開放から十分な解像力を持つため、2000万画素前後のフルサイズ機でも細部をしっかり記録できます。Canon一眼レフとEFレンズの関係はキヤノン大全から各機種・レンズの記事を確認できます。
EOS Rシリーズでも使えるがパンケーキの薄さは変化する
EF40mm F2.8 STMはEFマウントレンズなので、EOS Rシリーズへ直接装着することはできません。使用する場合はマウントアダプター EF-EOS Rをカメラとレンズの間へ装着します。AFや電子絞り制御は利用でき、フルサイズEOS Rでは40mmの画角をそのまま使えます。
アダプターを使っても画質や焦点距離は変わらない
標準タイプのマウントアダプター EF-EOS Rには焦点距離を変更する光学系が入っていません。そのため、EF40mm F2.8 STMをフルサイズEOS Rへ装着しても40mm F2.8のままです。アダプターを装着したことで解像力が低下したり、40mmが別の焦点距離へ変わったりする構造ではありません。
EOS Rシリーズでは像面でピントを検出するため、一眼レフで問題になりやすかったボディとレンズ間のAF微調整を意識する必要が少なくなります。人物や被写体認識を持つEOS Rボディでは、その認識結果を使ってEF40mm F2.8 STMを駆動することもできます。
一方、アダプターを追加するため、EF40mm本来の22.8mmという薄さはシステム全体では失われます。レンズ自体は小さくてもボディとレンズの間にアダプター分の長さと重量が加わるため、「とにかく薄いカメラ」という魅力は一眼レフへ直接装着したときの方が強くなります。EOS RでEFレンズを使用する基本はEOS RでEFレンズを使う方法|マウントアダプター・互換性・デメリットを解説で詳しく紹介しています。
APS-CのEOS Rでは約64mm相当の画角になる
EOS R7、EOS R10、EOS R50などCanon APS-Cセンサー搭載のEOS Rシリーズへ装着した場合も、EF40mm F2.8 STMはマウントアダプター経由で使用できます。画角はフルサイズ換算約64mm相当となり、一眼レフのAPS-Cで使用した場合と同じ考え方です。
約64mm相当になると、フルサイズ40mmのような街全体を含めたスナップより、人物、小物、花、料理などを少し大きく切り取る撮影に向きます。R50やR10のような小型ボディに対してEF40mm自体は軽いものの、アダプターが入るのでRF28mm F2.8 STMのようなRF専用パンケーキレンズほど短いシステムにはなりません。
センサーサイズが変わってもレンズそのものの焦点距離は40mmのままです。約64mmという数字は、フルサイズで64mmを使用した場合と同程度の写る範囲になることを示します。アダプターと画角の関係はマウントアダプターで画角は変わる?EFレンズをEOS Rシリーズで使うときの焦点距離とクロップで詳しく解説しています。
EF40mm F2.8 STMとEF50mm F1.8 STMの違い
中古EF単焦点を探すと、EF40mm F2.8 STMとEF50mm F1.8 STMは比較されやすい組み合わせです。どちらも小型軽量でSTMを採用していますが、実際の使い方はかなり異なります。40mmは薄さと少し広い画角、50mmはF1.8の明るさと大きなボケが中心です。
携帯性なら40mm、明るさとボケなら50mmが分かりやすい
EF40mm F2.8 STMは全長約22.8mm、質量約130gです。EF50mm F1.8 STMも十分小型軽量ですが、パンケーキ型ではないため40mmほど薄くはありません。一眼レフへ装着した状態でバッグへの収まりやすさを重視する場合、40mmの形状には明確な意味があります。
一方、EF50mm F1.8 STMは開放F1.8なので、40mm F2.8より多くの光を取り込めます。室内や夕方の撮影でシャッタースピードを上げやすく、人物や小物では背景も大きくぼかせます。人物を中心に撮るなら50mm F1.8 STM、街や旅行で周囲を少し広く入れながら小型化したいなら40mm F2.8 STMという違いが分かりやすくなります。
40mmと50mmの10mm差は数字だけを見ると小さく見えますが、単焦点で撮り歩くと画面へ入る背景量が変わります。50mmでは一歩下がりたくなる場所でも40mmならそのまま撮れる場合があり、逆に人物だけを大きく見せる場合は50mmの方が整理しやすくなります。EF標準単焦点の焦点距離とF値をまとめて比較する場合はCanon EF標準単焦点レンズ一覧|40mm・50mmとF1.2・F1.4・F1.8の違いが参考になります。
EF40mm F2.8 STMの弱点
EF40mm F2.8 STMは小型、軽量、画質という点で完成度の高いレンズですが、万能ではありません。パンケーキ形状を成立させるため、明るさ、手ブレ補正、AF機構、操作性などには割り切った部分があります。
手ブレ補正がなく暗所ではF2.8だけに頼れない
EF40mm F2.8 STMにはレンズ内手ブレ補正がありません。明るい屋外では問題になりにくいものの、夜景や暗い室内で静止した被写体を撮影する場合、シャッタースピードが遅くなると手ブレの影響が出ます。
EOS 5D Mark IIなどボディ内手振れ補正を持たない一眼レフでは、ISO感度を上げる、壁や机でカメラを支える、三脚を使用するといった方法が必要になります。EOS R5などボディ内手振れ補正を搭載するEOS Rシリーズへアダプター経由で装着した場合は、ボディ側の補正を利用できます。
また、F2.8はズームレンズと比べれば明るい部類ですが、F1.8単焦点と比べれば暗所での余裕は小さくなります。夜間撮影を中心に考える場合は、薄さを優先するEF40mmと、明るさを優先する別の単焦点を分けて考える必要があります。EFレンズを現在のカメラで使う際の特徴はCanon EFレンズの特徴とメリット|豊富な種類・画質・EOS Rで使う価値を解説で確認できます。
電子式MFは電源OFFでは通常の機械式レンズの感覚で使えない
EF40mm F2.8 STMのフォーカスリングは電子式です。リングを回した動きをカメラが検出し、モーターを動かしてフォーカス位置を変えます。そのため、機械式のマニュアルフォーカスレンズのように、電源が切れている状態でリングを回せば直接レンズが動く構造ではありません。
普段AFだけを使う場合は大きな問題になりませんが、MFを頻繁に使う撮影では操作感が異なります。フォーカスリング自体も鏡筒が薄いため幅が狭く、大きな単焦点レンズのような操作面積はありません。
一方、EOS Rシリーズで使用すると拡大表示やフォーカスピーキングを利用できるため、電子式MFとの相性は悪くありません。静物や風景で細かく合わせる場合には、モニターを拡大して調整できます。AF駆動方式による操作感の違いはSTMとUSMとVCMの違いとは?AF速度・静音性・動画で比較で詳しく確認できます。
中古EF40mm F2.8 STMを選ぶときの確認点
EF40mm F2.8 STMは新品販売の中心から外れた現在、中古で探す機会が多いレンズです。構造が比較的シンプルで小型なので中古でも選びやすい一方、STM特有の電子式フォーカスや薄い鏡筒の状態は確認したい部分です。
AF・MF・前後レンズ・マウントを確認する
まず確認したいのはAF動作です。近距離と遠距離の両方へピントを移動させ、途中で引っ掛かったり異常な音が出たりしないか確認します。STMは作動音が完全にゼロではありませんが、明らかに大きな異音や不規則な動作がある個体は避けたいところです。
MFへ切り替えた場合は、カメラの電源を入れた状態でフォーカスリングが正常に反応するか確認します。フォーカスリングの空転感は電子式なので機械式レンズとは異なりますが、回してもピントが移動しない場合は正常な操作条件になっているかを含めて確認が必要です。
光学系では前玉、後玉の傷、内部のカビやクモリを見ます。多少のホコリだけなら実写へ影響しない場合もありますが、クモリが広範囲にある個体では逆光時のコントラストへ影響する可能性があります。薄いレンズなので外観に大きな打痕がある場合は、マウントや鏡筒へ強い衝撃を受けていないかも確認します。中古EFレンズ全体を比較する場合はCanon EFレンズ一覧|焦点距離・種類別に選び方とおすすめを解説から各モデルを確認できます。
EF40mm F2.8 STMは一眼レフを軽快に使うための個性的な標準単焦点
EF40mm F2.8 STMの魅力は、単に小さいことだけではありません。全長約22.8mm、約130gというパンケーキ設計に、開放F2.8から実用できる解像力、少ない歪曲収差と色収差、0.3mの最短撮影距離、STMによるAFをまとめています。F4からF5.6へ絞ればフルサイズの周辺まで整いやすく、日常用の小型レンズとして十分な画質を持っています。
40mmという焦点距離も独特です。35mmより画面を整理しやすく、50mmより少し広いため、街歩きや旅行では撮影者が大きく移動しなくても構図を作りやすくなります。人物だけを大きくぼかして撮るなら50mm F1.8などが有利ですが、人と場所、物と周囲の雰囲気を一緒に記録する場合には40mmの画角が生きます。
弱点としては、手ブレ補正がないこと、F1.8クラスほど明るくないこと、STMが完全な無音ではないこと、電子式MFの操作感が機械式レンズと異なることがあります。EOS Rシリーズでも使用できますが、マウントアダプターを追加するとパンケーキレンズ本来の薄さはシステム全体では小さくなります。
そのため、EF40mm F2.8 STMの個性を最も強く感じられるのは、EFマウント一眼レフへ直接装着したときです。大きなフルサイズ一眼レフでもレンズ部分をほとんど突出させず、ズームレンズとは大きく異なる感覚で持ち歩けます。EOS 5DシリーズやEOS 6Dシリーズを現在も使う場合、小型化のためだけに画質を大きく犠牲にする必要がない点は大きな魅力です。
EFレンズには大口径L単焦点、超望遠、マクロなど多くの個性的な製品があります。その中でEF40mm F2.8 STMは、性能を誇示する大型レンズとは反対の方向からEFシステムの使い方を広げた一本です。薄く、軽く、40mmらしい自然な画角で、必要なときにはしっかり解像する。この単純な構成が、一眼レフを日常へ持ち出すレンズとして現在も通用する理由です。



