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小さなイメージサークル(Small image circle)とは

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小さなイメージサークル(Small image circle)とは カメラ豆知識
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小さなイメージサークル(Small image circle)とは

レンズは撮像素子(フィルムやCMOS)上に被写体の像を円形に結像します。この結像円をイメージサークルと呼び、レンズはセンサーサイズの対角線以上の大きさの円を投影するよう設計されます。例えばAPS-Cセンサーでは22.3×14.9mm(対角約26.8mm)なので、その円を覆うイメージサークルが必要です。この円より大きい部分はレンズの周辺部に当たり、一般に像の鮮度が落ちるか結像しません。逆に言えば、小さなイメージサークルのレンズは、大きなセンサーを完全にはカバーできず、周辺部が暗くなるケラレ(周辺光量落ち)を起こします。本記事では主にセンサーサイズが小さいカメラ向けに設計されたレンズのイメージサークルについて解説します。

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センサーサイズとイメージサークルの関係

デジタルカメラのセンサーサイズは多種多様で、代表的なものにフルサイズ(35mm判相当/36×24mm)、APS-C(約23.6×15.7mm)、マイクロフォーサーズ(約17.3×13.0mm)、1インチ(約13.2×8.8mm)、中判(44×33mmや53.7×40.2mm)などがあります。これらのセンサーごとに必要なイメージサークルの直径は異なり、フルサイズなら約43mm以上、APS-Cなら約28mm以上、マイクロフォーサーズなら約22mm以上などが目安です。

フルサイズ

対角約43mmです。一般的に「フルサイズ」用レンズはこの大きさのセンサー全域を均一にカバーするよう大きな円を描くよう設計されます。

APS-C

対角約28mmです。APS-C専用レンズはそれより小さい円を投影します。そのため、APS-C専用レンズをフルサイズ機で使用すると周辺部がケラレて真円に切り抜かれたようになります。

マイクロフォーサーズ

対角約21.6mmです。APS-Cより更に小さい円でよいため、同じ画角のレンズでもさらにレンズサイズを小さくでき、小型・軽量化が可能になります。

1インチ以下

コンパクトカメラや産業用カメラでは対角が10mm前後のセンサーもあります。これらではさらに小さいイメージサークル設計が可能です。実際、1インチセンサー用のカメラはレンズが小型化されており、同焦点距離で比較すると一眼カメラ用レンズより格段に小型です。

中判センサー

対角60mm以上に達するものもあり、専用の大きなイメージサークルが必要です。中判用レンズは大口径・重厚な構造となる傾向があります。

センサーが小さいほど起きる基本傾向

一般に、センサーが小さいほど必要なイメージサークルも小さくなるため、レンズ設計上の自由度が増し、小型化しやすくなります。反面、大センサーをカバーするためには大きなレンズ群が必要になり、重量やコストが増します。

レンズ設計への影響

イメージサークルの大きさはレンズの構造に直接影響します。小さいセンサー向けにイメージサークルを小型化すると、レンズの口径や後群(後玉)のサイズを小さくでき、レンズ全体も軽量・小型化しやすくなります。例えばキヤノンのEF-SレンズはAPS-C専用で、イメージサークルを縮小し、さらにフルサイズ用よりバックフォーカスを短縮する設計としており、その結果、軽量・コンパクトなレンズになっています。スチルカメラ向けレンズでは、一般に画面中心~四隅まで一定の画質を出す必要がありますが、センサーが小さければその範囲(イメージサークル内)だけを最適化すればよく、周辺部の収差補正もAPS-C内だけに集中できます。

同じ画角をより短い焦点距離で実現できる

イメージサークルが大きいほど後群に大きなレンズが必要になるため、フルサイズ用や中判用のレンズは大口径かつ重くなりがちです。一方で、小さなセンサー用レンズでは同じ画角でも焦点距離が相対的に短くなる(クロップ効果)ため、光学的に見かけの望遠効果を得られたり、小型のレンズで同等の画角が実現できます。例えばマイクロフォーサーズでは25mmが50mm相当(フルサイズ換算)となり、同じ画角を約半分のサイズで実現できるため、標準ズームや望遠レンズでも同等品よりはるかにコンパクトになります。

小型化設計が抱える範囲の余裕

イメージサークルを必要最小限に抑えた設計は制限も伴います。たとえばセンサーシフト式の手ブレ補正を使う場合、レンズのイメージサークルが小さいと補正時にセンサーが動いたぶん像が欠けてしまう恐れがあります。実際、APS-C専用レンズの中には手ブレ補正内蔵機で使用するとイメージサークルが不足するものもあると指摘されています。また、大判カメラのアオリ撮影(レンズとフィルム面の角度や位置を変える撮影)では広いイメージサークルが不可欠で、スイングやシフト動作を大きくできる大判レンズが重用されます。

マウント設計と小イメージサークル専用のマウント

各メーカーはセンサーサイズに応じて専用マウントや互換性に配慮した設計を行っています。例えばキヤノンEF-SマウントはAPS-C専用で、EF(フルサイズ)レンズよりもバックフォーカス(フランジバック)を短くできる設計です。EF-Sレンズは物理的にフルサイズEOSには取り付けられない機構になっており、後端にゴムリングを付けて誤装着によるカメラ傷害を防ぐ工夫も施されています。同様に、キヤノンのミラーレス用EF-MマウントやRFマウント(フルサイズ)もそれぞれAPS-C用・フルサイズ用に最適化されています。

同一マウント内にAPS-Cとフルサイズが混在する例

ソニーEマウントはボディ内にAPS-Cとフルサイズの両方があるため、EマウントのレンズにはAPS-C専用(俗にE)とフルサイズ対応(FE)が存在します。APS-C専用レンズは小型軽量に設計されていますが、FEレンズと同じマウントを共有します。

APS-C専用として完結させる例

富士フイルムXマウントはもともとAPS-C専用マウントで、Xシリーズカメラは全機種APS-Cセンサーを搭載します。フルサイズへは同社のGマウント(Fujifilm GFX)で中判対応レンズが用意されています。

マイクロフォーサーズの共通規格

マイクロフォーサーズ(M4/3)マウントはオリンパス(OMデジタル)とパナソニックが共用する規格で、約17.3×13.0mmセンサー専用です。M4/3システムではセンサー面積に対しマウント口径が大きめに設定され、これにより周辺像面性能を高める設計となっています。

専用マウントが実現する最適化

これら専用マウントでは、対応センサーの範囲でイメージサークルを最適化し、レンズの小型化・軽量化を実現しています。反面、別規格のカメラに装着するにはマウントアダプターが必要で、カメラ本体やレンズには対応可否が明示されています。最近のミラーレス機では、例えばキヤノンRFマウント機にEF-Sレンズ用アダプターを付けると撮影画面はAPS-Cサイズ相当(約1.6倍クロップ)となる制限があります。

小イメージサークルの利点

イメージサークルを小さくする最大のメリットは小型軽量化です。センサーサイズに合わせてイメージサークルを縮小すれば、同じ画角・開放F値でもレンズ全体を小型に設計でき、携行性が飛躍的に向上します。たとえばマイクロフォーサーズ用25mm(50mm相当)レンズはフルサイズと比べ約半分のサイズにできます。実際、オリンパスのM.ZUIKO 75-300mm(マイクロフォーサーズ用・35mm判換算150-600mm相当)は、重量約400gで実現しており、フルサイズ用の類似焦点距離(600mm相当)レンズが2000gを超えるのと対照的です。このように小型レンズは遠望撮影でも極めて軽量・安価に作れるため、野鳥や野生動物などの望遠用途や長時間の手持ち撮影で有利です。

コスト削減

同クラスの焦点距離ならフルサイズ用レンズよりもAPS-C/M4/3用レンズのほうが価格が安い傾向があります。使用レンズ素材・枚数が減り、レンズエレメントのサイズも小さくて済むため、素材費や製造コストを抑えられます。さらに、小型化によりカメラボディやアクセサリー(バッグ、三脚など)も小さくでき、システム全体の携帯性が高まります。近年ではミラーレス機での動画撮影やドローン撮影など、装備の軽量化が求められる用途で、APS-CやM4/3センサーを選ぶケースが増えています。

目的特化の設計最適化

小さなイメージサークルは目的特化の設計最適化にもつながります。たとえば動画用レンズや携帯性重視のレンズ、業務用のCCTV・マシンビジョンレンズなどでは、必要以上の広いイメージサークルを持たせず、使途に合わせて画質や機構を割り切った設計が可能です。小型センサー用に設計されたレンズ群では、そのセンサーサイズ内で最大限の光学性能を追求でき、同じ焦点距離・開放値での解像度やコントラストを高めることができます。また、APS-CやM4/3はクロップ(トリミング)効果により実質的な望遠効果が生まれるため、同じ焦点距離でより被写体を大きく写すことができ、特定シーンでは好都合なメリットもあります。

小イメージサークルの制約

小さなイメージサークル設計には制約も伴います。最大の制限はフルサイズ非対応である点です。APS-CやM4/3専用レンズは、その小さな投影円以外は像面性能を想定しておらず、フルサイズ機では周辺が暗くなるケラレが起こります。さらに、一部の専用マウントは物理的にもフルサイズカメラに装着できないようになっています。つまりAPS-Cレンズは原則APS-Cカメラでしか真価を発揮せず、別規格のボディでは中心部分のみの画質となります。

周辺画質と互換性の限界

イメージサークルが限定的なため周辺画質にも限界があります。設計がセンサー内に最適化されているぶん、画面端の収差や光量落ちにはやや余裕が少なく、フルサイズレンズと同等の周辺性能は得にくい場合があります。アダプター装着時にも注意が必要です。例えばキヤノンのミラーレスRFカメラでEF-Sレンズを使うと、アダプター装着下でセンサー中央APS-C相当領域しか記録できません。これはイメージサークルの制約によるものです。さらに、異なるセンサーサイズのカメラに小型センサー用レンズを無理に装着すると、画角が意図しない形で変化したり、コントラストが低下する場合があります。つまり小イメージサークルレンズは用途と装着可能機種が限定されるため、購入・使用時には互換性に留意する必要があります。

周辺光量・収差・ケラレの問題と補正手法

小型センサー用レンズでは、画面周辺まで均一な照度・解像度を維持することが設計上の課題です。イメージサークルの端に近い像面では、光量落ち(周辺減光)や軸外収差(コマ収差、非点収差など)が目立ちやすく、画質低下が生じます。これらを補正するため、光学的には非球面レンズやEDレンズなど特殊ガラスを採用したり、レンズ構成を工夫して周辺光量落ちを抑える設計が取られます。設計上残る周辺減光や歪みについては、撮影後のソフトウェア補正もよく使われます。多くのミラーレスカメラやRAW現像ソフトにはレンズプロファイルが組み込まれており、周辺光量補正や歪曲収差補正を自動で適用できます。現像ソフトウェアにも各種レンズの補正プロファイルが用意されており、撮影後にソフト上で補正が行えます。これらのデジタル補正により、周辺減光や歪みをかなり軽減できます。ケラレ(像が完全に写らない領域)には補正できないため、イメージサークル自体が足りない場合は避けて撮影する必要があります。

大イメージサークルとの比較

近年の大口径・大判化の動向では、キヤノンRFやニコンZのように大きなマウント径を採用し、大きなイメージサークルで高性能を狙う設計が進んでいます。ニコンZマウントは内径55mmで世界最大(フルサイズ対応)であり、キヤノンRFも54mmと大型です。これら大径マウントでは、超広角レンズや超大口径レンズ、ティルト・シフトレンズの設計自由度が高まり、画面周辺部まで高い描写性能を実現できます。反面、大イメージサークル設計はレンズ素子が大きく・重く・高価になるというトレードオフがあります。例えばフルサイズの広角ズームや大口径単焦点レンズは小型のAPS-C用と比べて2倍以上の重量・サイズになることも珍しくありません。

画質と携帯性・コストのバランス

小さなイメージサークルと大きなイメージサークルの使い分けは画質と携帯性・コストのバランスと言えます。大イメージサークル(フルサイズ以上)ではボケ量や高感度性能、周辺光質のよさなどで有利ですが、装備は重厚・高価になります。一方、小イメージサークルでは必要十分な画質を小型軽量・低価格で手に入れられ、特に旅行や野外撮影では取り回しの良さが魅力です。将来センサーが更に高画素化するとレンズに求められる性能も増しますが、小センサー向けレンズは当面、携帯性とコスト重視のニーズに応える設計として有効です。

小さなイメージサークルを活かした設計事例

実際に各社から多数の小イメージサークル用レンズが発売されています。以下は一例であり、ほかにも多くの機種があります。ここでは挙げた名称と特徴の範囲で、小イメージサークル設計がどう効いているかを整理します。

キヤノン(APS-C・EF-S/EF-M用)

EF-S 18-55mm F3.5-5.6はAPS-C標準ズームの定番で、サイズ・重量ともフルサイズ用18-55mmより大幅に小型軽量化されています。EF-S 10-18mm F4.5-5.6はAPS-C用超広角ズームで、小型で沈胴式、日常使いに向く構成です。EF-M 15-45mm F3.5-6.3はEOS M用標準ズームで沈胴式、軽量(約130g)で、APS-C相当サイズのコンパクトさが特徴です。

ニコン(APS-C・DX用)

NIKKOR Z DX 16-50mm F3.5-6.3 VRはZマウントAPS-C用小型標準ズームで、沈胴時で長さ約32mm、重さ約135gと極めて小型軽量です。NIKKOR DX 35mm f/1.8GはAPS-C用の明るい単焦点で、フルサイズ換算約52mm相当ながら全長60mm、185gと小型です。NIKKOR DX 55-200mm f/4-5.6はAPS-C用望遠ズームで、重さ約335gと軽量で、フルサイズ換算でより望遠寄りの運用がしやすい構成です。

ソニー(Eマウント APS-C用)

E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSはパワーズーム機構付き標準ズームで非常にコンパクト(重さ約116g)です。E 55-210mm F4.5-6.3 OSSはAPS-C用望遠ズームで重さ約345g、フルサイズ換算約82-315mm相当を手軽にこなします。E 35mm F1.8 OSSはAPS-C用単焦点で全長45mm、約154gで携帯性に優れます。

富士フイルム(Xマウント APS-C用)

XF 18-55mm F2.8-4 R LM OISは富士Xシステムの標準ズームで、APS-C相当でありながらF2.8-4と明るめの設計です。XC 15-45mm F3.5-5.6は廉価版沈胴式標準ズームで重さ約135gと軽量で、街撮りや旅行に便利です。XF 35mm F2はフルサイズ換算約53mm相当の単焦点で、重さ170gで明るめ、ポートレートやスナップで扱いやすい構成です。

オリンパス/OMシステム・パナソニック(マイクロフォーサーズ)

M.ZUIKO 14-42mm F3.5-5.6は標準ズームで重さ133gと非常に軽量です。M.ZUIKO 40-150mm F4-5.6は望遠ズームで重さ190gと軽量で、換算画角を活かしやすい構成です。M.ZUIKO 75-300mm F4.8-6.7 IIは600mm相当を実現する望遠ズームで、重さ400gで超望遠を軽装で実現する代表例です。

その他システム

ニコン1(CXマウント・1型センサー用)では10-30mm F3.5-5.6 VR(重さ約96g)、10mm f/2.8(パンケーキ)など、1インチセンサー相当の小型機用レンズが代表例です。業務用/マシンビジョン領域ではCマウント/CSマウントレンズ(1インチ未満センサー用)や、用途特化で小イメージサークル設計を突き詰めたレンズが豊富です。

事例の共通点

これらのレンズはいずれも、対応センサー内を高品位にカバーするよう最適化され、同等画角のフルサイズレンズよりも小型軽量化・低価格化を実現しています。

将来の展望

今後の技術動向として、センサーは高感度化や高画素化が進む一方で、機器の小型化要求も強まっています。小型センサー向けレンズのニーズは依然として存在し、特にミラーレスカメラのAPS-C機やM4/3機、市場では一定の支持を得ています。また、スマートフォン向けなど更に小さいイメージサークルを利用した光学系の進化や、計算撮影技術の台頭が見込まれます。計算撮影技術が進めば、レンズによる光学補正だけでなく、ソフトウェアでの画質向上がさらに重要になります。

大センサー市場との並走

フルサイズ以上の大センサー市場も拡大傾向にあり、新設計の大径マウント(RFやZなど)により大口径・高性能レンズが継続して投入されています。マウントアダプターの発展により、異なるイメージサークル間での共用性も高まる可能性があります。たとえば、フルサイズ機でAPS-Cレンズをクロップ撮影したり、逆にフルサイズレンズを使ってAPS-C領域を切り取る運用が一般化しています。アダプターとセンサー読み込み技術の進化で、適切に使い分ければ、小センサー・大センサー両方の利点を活かせる運用が広がる余地があります。

まとめ

小さなイメージサークルはセンサーサイズとの適合と目的最適化によって生まれた設計思想です。ユーザーは用途や予算、携帯性を考慮して、フルサイズやAPS-C、M4/3など適切なシステムを選ぶことになります。それぞれのセンサーサイズ・マウントに合わせてレンズを使いこなせば、全画素を有効活用した高画質や、小型システムの機動性を最大限に引き出せるでしょう。

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