Sigma 85mm F1.2 DG | Artは85mm F1.2の常識を変えるか|905gの大口径中望遠を徹底解説
Sigma 85mm F1.2 DG | Artは、フルサイズミラーレス向けに設計された大口径中望遠単焦点レンズです。85mmというポートレートで定番の焦点距離にF1.2という非常に明るい開放F値を組み合わせながら、質量を905gに抑えています。
85mm F1.2というと、大きな前玉と重い鏡筒を持つ大型レンズを想像しやすいところです。Sigma 85mm F1.2 DG | Artは、そのF1.2ならではの大きなボケと浅い被写界深度を維持しながら、長時間の人物撮影や移動を伴う撮影でも扱いやすいサイズを目指しています。
対応マウントはLマウントとソニーEマウントです。レンズ構成は12群17枚、絞り羽根は13枚、最短撮影距離は84cm、最大撮影倍率は1:8.9、フィルター径は82mmです。AFにはデュアルHLAを採用し、静止画だけでなく動画での使用も意識されています。
この記事では、Sigma 85mm F1.2 DG | Artの特徴、F1.2で得られる表現、905gという重量の意味、85mm F1.4との違い、ポートレート、夜景、動画での使い方まで詳しく解説します。
- Sigma 85mm F1.2 DG | Artの主なスペック
- 85mm F1.2が作る大きな背景ボケ
- 13枚羽根の円形絞りでボケの形を整える
- 85mm F1.2で905gという重量が大きな特徴
- デュアルHLAでF1.2の浅いピントを追う
- F1.2でも開放から解像力を重視した光学設計
- 逆光を使ったポートレートにも向く
- Sigma 85mm F1.4 DG DN | Artとの違い
- 50mm F1.2とは撮影距離と背景の入り方が違う
- 35mm・50mm・85mmでF1.2 Artシリーズがそろう
- ポートレートでは撮影距離を確保する必要がある
- 最短撮影距離84cmで接写用レンズではない
- 動画ではフォーカスブリージングを抑えた設計が生きる
- 手ブレ補正は搭載していない
- 夜景や室内ではF1.2の明るさを生かせる
- 屋外撮影を考えた防塵防滴構造
- 82mmフィルターを使用する
- Sigma 85mm F1.2 DG | Artが向く撮影
- Sigma 85mm F1.2 DG | ArtはF1.2を持ち歩ける85mm
Sigma 85mm F1.2 DG | Artの主なスペック
| 項目 | Sigma 85mm F1.2 DG | Art |
|---|---|
| 焦点距離 | 85mm |
| 開放F値 | F1.2 |
| 最小絞り | F16 |
| レンズ構成 | 12群17枚 |
| SLDガラス | 2枚 |
| 非球面レンズ | 3枚 |
| 絞り羽根 | 13枚・円形絞り |
| 最短撮影距離 | 84cm |
| 最大撮影倍率 | 1:8.9 |
| フィルター径 | 82mm |
| 最大径 | 87.2mm |
| 全長 | Lマウント119.7mm/ソニーEマウント121.7mm |
| 質量 | 905g |
| AF | デュアルHLA |
| 手ブレ補正 | 非搭載 |
| 対応マウント | Lマウント/ソニーEマウント |
数字を見て特に目立つのが、F1.2、13枚羽根、905gという組み合わせです。85mm F1.2という大口径レンズでありながら1kgを下回り、F1.2を特別な撮影だけでなく日常的に使うことを意識した設計になっています。
85mm F1.2が作る大きな背景ボケ
Sigma 85mm F1.2 DG | Artの中心となる特徴は、85mmという中望遠の焦点距離とF1.2の組み合わせです。85mmは人物撮影で使いやすい焦点距離として知られていますが、F1.2まで開けることで背景の処理方法が大きく変わります。
85mmは人物と背景を分離しやすい焦点距離
85mmは50mmより画角が狭く、人物を同じ大きさで撮影する場合には撮影者が少し後ろへ下がります。その結果、背景へ写り込む範囲を整理しやすくなります。
公園で人物を撮る場合、50mmでは背景に看板、ベンチ、通行人などが入りやすくても、85mmなら画角を狭くして人物の後ろに必要な背景だけを配置できます。背景そのものを整理したうえでF1.2を使えば、さらに人物を大きく浮かび上がらせることができます。
85mmそのものの使い方については、85mm単焦点の使い道|何を撮るための焦点距離なのかでも詳しく紹介しています。
F1.2では被写界深度が非常に浅くなる
F1.2を使う最大の目的は、単純に写真を明るくすることだけではありません。被写界深度を非常に浅くできることが大きな特徴です。
人物の瞳へピントを合わせた場合、顔の向きや撮影距離によってはもう片方の目や耳が大きくぼけるほどピント面が薄くなります。F1.2は何となく開放で使う設定ではなく、「どこだけを鮮明に残すか」を明確に決めて使うF値です。
顔のアップでは瞳やまつ毛へ視線を集中させ、背景をほとんど形のない色として処理できます。上半身や全身では、人物の輪郭を残しながら背景を柔らかくぼかし、奥行きを感じさせる表現ができます。
中望遠と背景ボケの関係については、中望遠レンズとは?85mm・100mm・135mmの使い方と背景ボケ・圧縮効果も参考になります。
13枚羽根の円形絞りでボケの形を整える
Sigma 85mm F1.2 DG | Artは13枚羽根の円形絞りを採用しています。F1.2では絞りそのものが大きく開いているため、点光源は大きなボケとして写ります。少し絞った場合でも、13枚という多い絞り羽根によって円形に近いボケを維持しやすくなっています。
イルミネーションや木漏れ日を背景に使いやすい
夜景ポートレートでは、街灯、イルミネーション、車のライトなどを人物の後方へ配置すると、大きな玉ボケとして利用できます。85mmの狭い画角を使えば背景の光を選びやすく、F1.2なら光源を大きくぼかせます。
昼間でも木漏れ日や葉の反射を背景に入れることで、人物の後ろへ柔らかな光のボケを作ることができます。背景そのものを写すのではなく、色と光だけを残すような構図に向いています。
F1.2だけでなくF1.4やF2も使い分ける
F1.2を搭載しているからといって、すべての写真をF1.2で撮る必要はありません。人物の顔全体をある程度鮮明に見せたい場合はF1.4やF2へ絞ることで被写界深度を広げられます。
全身ポートレートでは撮影距離が長くなるため、同じF1.2でも顔のアップほど被写界深度は薄く感じません。撮影距離、人物の向き、見せたい範囲に応じてF値を変えることが重要です。
85mm F1.2で905gという重量が大きな特徴
大口径レンズは前玉が大きくなり、多数の光学系を必要とするため重量が増えやすくなります。その中でSigma 85mm F1.2 DG | Artは905gに抑えられています。
1kgを切ることで手持ち撮影の負担を減らせる
905gという数字だけを見れば軽量単焦点とは言えません。しかし85mm F1.2という仕様を考えると、1kgを下回ったことには大きな意味があります。
ポートレート撮影では一枚撮って終わるのではなく、人物と会話しながら立ち位置や構図を変え、縦位置と横位置を繰り返しながら何十枚、何百枚と撮影することがあります。撮影時間が長くなるほどレンズ重量の差が腕や肩へ蓄積します。
スタジオだけでなく、公園、街中、結婚式、イベントなど移動を伴う撮影では、レンズを装着したまま歩く時間も長くなります。F1.2レンズを持ち出すこと自体が負担になりにくい重量へ抑えたことは、実際の使用頻度へ直接影響します。
小型化してもF1.2の性能を省略していない
軽量化だけを優先するならF1.4やF1.8へ開放F値を抑える方法があります。しかしSigma 85mm F1.2 DG | ArtはF1.2を維持し、フローティング機構まで採用しています。
フォーカス群に非球面レンズを配置し、フォーカスユニットを構成するレンズ枚数を減らすことで、AF駆動部分の軽量化とレンズ全体の小型化を図っています。
「F1.2だから大きく重いのは仕方ない」という従来の85mm大口径レンズの考え方へ、別の方向からアプローチしたレンズです。
デュアルHLAでF1.2の浅いピントを追う
F1.2では被写界深度が非常に浅いため、レンズの光学性能が高くてもAFが狙った位置へ正確に合わなければ意味がありません。Sigma 85mm F1.2 DG | ArtではHLAを2基使用するデュアルHLAを採用しています。
人物の動きへ対応しやすいAF
ポートレートでは人物が完全に静止しているとは限りません。撮影者へ近づく、身体をひねる、顔の向きを変える、髪が動くなど、わずかな動きが続きます。
F4やF5.6なら多少前後しても被写界深度の中に収まりやすい場面がありますが、F1.2ではわずかな距離変化で瞳からピントが外れる可能性があります。
ミラーレスカメラの人物認識や瞳AFと高速AFを組み合わせることで、85mm F1.2でも動きのある人物を追いやすくなります。
静かなAFは動画にも使いやすい
デュアルHLAは高速性だけでなく静粛性も重視されています。動画撮影ではAF駆動音がマイクへ入る可能性があるため、静かなフォーカシングは重要です。
インタビュー、人物動画、結婚式、ファッション映像などで85mm F1.2の浅い被写界深度を使いながら、AFで人物を追う撮影にも対応できます。
F1.2でも開放から解像力を重視した光学設計
大口径レンズでは開放時に球面収差、軸上色収差、サジタルコマフレアなどが目立ちやすくなります。Sigma 85mm F1.2 DG | Artは、F1.2を単なる特殊効果として使うのではなく、開放から積極的に撮影できることを狙った光学設計です。
SLDガラス2枚と異常分散性の高いガラスを使用
人物撮影では、黒い髪と明るい背景の境界や、白い衣装、金属アクセサリーなどに色にじみが出ることがあります。特に大口径レンズを開放で使用すると軸上色収差が目立ちやすくなります。
Sigma 85mm F1.2 DG | ArtではSLDガラス2枚を使用し、さらに異常分散性の高いガラスを組み合わせることで、F1.2で発生しやすい色収差を抑える設計になっています。
目やまつ毛、髪、衣装の質感を細かく描写しながら、背景側では大きなボケへつなげることを狙っています。
非球面レンズで球面収差やコマフレアを補正
非球面レンズは3枚採用されています。大口径F1.2では画面周辺の点光源や細かな輪郭が崩れやすいため、球面収差やサジタルコマフレアを抑えることが重要です。
夜景ポートレートで画面周辺へ街灯やイルミネーションを配置した場合にも、点光源の形を大きく崩さず残すことが期待できます。
逆光を使ったポートレートにも向く
人物撮影では太陽を背にした逆光や半逆光を利用することがあります。髪の輪郭へ光を入れ、人物と背景を分離する撮影方法です。
大口径レンズは内部へ入る光量も多く、フレアやゴーストが発生すると人物のコントラストが大きく低下することがあります。Sigma 85mm F1.2 DG | Artでは光線シミュレーションを利用してフレアやゴーストを抑える設計が行われています。
逆光で髪や輪郭を光らせる
夕方の人物撮影では、太陽を人物の後ろへ配置すると髪や肩の輪郭へ光を入れられます。85mmは画角が狭いため太陽そのものを画面外へ逃がしながら、逆光だけを利用する構図も作りやすくなります。
F1.2まで開けば背景の光を大きくぼかし、人物の輪郭と背景の明るい部分を分離できます。
Sigma 85mm F1.4 DG DN | Artとの違い
Sigmaにはすでに85mm F1.4 DG DN | Artがあります。焦点距離は同じ85mmですが、F1.2とF1.4ではレンズの性格が大きく異なります。
| 項目 | 85mm F1.2 DG | Art | 85mm F1.4 DG DN | Art |
|---|---|---|
| 焦点距離 | 85mm | 85mm |
| 開放F値 | F1.2 | F1.4 |
| レンズ構成 | 12群17枚 | 11群15枚 |
| 絞り羽根 | 13枚 | 11枚 |
| 最短撮影距離 | 84cm | 85cm |
| 最大撮影倍率 | 1:8.9 | 1:8.4 |
| フィルター径 | 82mm | 77mm |
| 質量 | 905g | 630g |
F1.2はボケと浅い被写界深度を最優先する
F1.2を選ぶ最大の理由は、F1.4よりさらに浅い被写界深度と大きなボケを使えることです。数字ではF1.2とF1.4の差は0.2しかありませんが、レンズ設計としては前玉、光学系、AF機構まで大きく変わります。
人物の瞳だけを浮かび上がらせる、背景の光をさらに大きくぼかす、F1.2特有のピント面からボケへの変化を積極的に使うなら85mm F1.2 DG | Artが候補になります。
F1.4は275g軽い
85mm F1.4 DG DN | Artは630gなので、F1.2より275g軽くなります。長時間の手持ち撮影、旅行、街歩き、複数レンズを持ち歩く撮影では、この差は小さくありません。
F1.4でも85mmとして十分に大きな背景ボケを作れます。F1.2を明確に使いたい理由がない場合には、F1.4の携帯性が大きな魅力になります。
さらに旧世代のSigma 85mm F1.4 DG HSM Artもあり、85mm Artシリーズの変化を比較すると、大口径化と小型化が同時に進んでいることが分かります。
50mm F1.2とは撮影距離と背景の入り方が違う
85mm F1.2を検討する場合、50mm F1.2との違いも重要です。どちらもF1.2ですが、焦点距離が変われば同じ人物を撮っても写真の印象が変わります。
50mmは人物と周囲の状況を写しやすい
50mmでは85mmより画角が広いため、人物だけでなく周囲の環境も写真へ入れやすくなります。室内、街中、カフェ、旅行先など、撮影者が大きく後ろへ下がれない場所でも使いやすい焦点距離です。
人物と背景を組み合わせたストーリー性のある写真では50mmが使いやすくなります。
85mmは人物そのものへ視線を集中させやすい
85mmでは画角が狭くなるため、背景の不要な情報を画面外へ出しやすくなります。人物の顔、表情、衣装などへ視線を集中させたい撮影に向いています。
さらに同じF1.2なら、85mmの長い焦点距離を利用して背景をより大きく整理しやすくなります。
35mm・50mm・85mmでF1.2 Artシリーズがそろう
SigmaのF1.2 Artシリーズでは、35mm F1.2 DG II | Art、50mm F1.2 DG DN | Art、85mm F1.2 DG | Artという焦点距離を選べます。
| 焦点距離 | 主な使い方 |
|---|---|
| 35mm F1.2 | 人物+環境、スナップ、室内、動画 |
| 50mm F1.2 | 標準画角、人物、日常、夜景 |
| 85mm F1.2 | ポートレート、人物動画、背景分離 |
同じF1.2でも焦点距離によって写真の役割が変わります。35mmでは背景を含めた人物写真、50mmでは自然な距離感、85mmでは人物を大きく切り取り背景を整理する撮影に向いています。
ポートレートでは撮影距離を確保する必要がある
85mmは人物撮影に向いていますが、狭い室内では使いにくい場合があります。
顔のアップと上半身は撮りやすい
85mmで顔や上半身を撮る場合は、人物から適度な距離を確保できます。広角レンズのように顔へ近づく必要がなく、撮影距離を取ることで顔の形を自然に見せやすくなります。
人物との会話を続けられる程度の距離を保ちながら撮影できるため、ポートレートで定番となっている焦点距離です。
全身撮影では後ろへ下がる場所が必要
全身を画面へ入れる場合は、顔のアップより大きく後ろへ下がる必要があります。屋外、公園、河川敷、スタジオなど広い場所では使いやすい一方、小さな部屋では壁まで下がっても全身が入らない場合があります。
85mmを購入する前には、どのような場所で人物を撮るのかを考えておくことが重要です。
最短撮影距離84cmで接写用レンズではない
Sigma 85mm F1.2 DG | Artの最短撮影距離は84cm、最大撮影倍率は1:8.9です。人物の顔や手元、料理、少し大きめの小物などは撮影できますが、花やアクセサリーを画面いっぱいに拡大するマクロレンズではありません。
人物のディテール撮影には使いやすい
結婚式では指輪を持つ手、衣装、ブーケ、アクセサリーなどを人物撮影の流れの中で切り取ることができます。85mmの狭い画角とF1.2のボケを利用すれば、小物そのものを大きく拡大しなくても印象的に見せられます。
さらに接近して細部を大きく写す必要がある場合はマクロレンズを使います。ポートレート用大口径単焦点とマクロの違いは、マクロレンズで人物撮影はできる?ポートレートで使うメリット・デメリットと焦点距離の選び方でも解説しています。
動画ではフォーカスブリージングを抑えた設計が生きる
Sigma 85mm F1.2 DG | Artは静止画専用ではなく、動画での使用も意識されています。
ピント移動で画角が変わりにくい
動画撮影で手前から奥へピントを送るとき、レンズによってはピント位置の変化とともに画角まで変わり、ズームしたように見えることがあります。これがフォーカスブリージングです。
Sigma 85mm F1.2 DG | Artはフォーカス群の配置や非球面レンズの形状を最適化し、フォーカシングによる画角変化を抑える設計になっています。
人物の顔から手元へピントを移す、人物から背景の光へ送るといった動画表現で、自然なフォーカス移動を作りやすくなります。
絞りリングのクリックを解除できる
レンズには絞りリングがあり、クリックのON・OFFを切り替えられます。静止画ではクリック感を利用してF値を確認しながら操作でき、動画ではクリックをOFFにして滑らかに絞りを変更できます。
さらに絞りリングロックスイッチを備えているため、意図せずA位置とマニュアル絞りの範囲を行き来することを防げます。
AFLボタンを2か所に装備
鏡筒にはAFLボタンが2か所配置されています。対応カメラではAFロック以外の機能を割り当てることもでき、横位置と縦位置の両方から操作しやすくなっています。
85mmはポートレートで縦位置撮影を多用するため、レンズの向きが変わっても操作しやすい配置には実用的な意味があります。
手ブレ補正は搭載していない
Sigma 85mm F1.2 DG | Artにはレンズ内手ブレ補正は搭載されていません。
ソニーEマウントやLマウントにはボディー内手ブレ補正を搭載したカメラが多く、静止している人物や夜景ではカメラ側の補正を利用できます。
人物が動くなら手ブレ補正よりシャッタースピードが重要
ポートレートではレンズやカメラの揺れだけでなく、人物そのものが動きます。人物が歩く、笑う、髪が揺れるといった動きを止めるにはシャッタースピードが必要です。
F1.2なら光量を多く取り込めるため、暗い場所でもシャッタースピードを確保しやすくなります。手ブレ補正がないことをF1.2の明るさだけで完全に補うものではありませんが、人物撮影では高速シャッターを使いやすいことが大きな利点です。
夜景や室内ではF1.2の明るさを生かせる
F1.2は背景をぼかすためだけでなく、光量を確保するためにも使えます。
ISO感度を抑えながらシャッタースピードを確保する
暗い室内や夜景でF2.8のレンズを使う場合と比べると、F1.2では大幅に多くの光を取り込めます。人物が動く撮影では、ISO感度を下げるよりシャッタースピードを速くするためにその明るさを使う方法もあります。
夜の街中で人物を撮影する場合、背景の街灯やネオンを大きくぼかしながら、人物の顔へ十分なシャッタースピードを確保するというF1.2ならではの使い方ができます。
屋外撮影を考えた防塵防滴構造
Sigma 85mm F1.2 DG | Artは防塵防滴に配慮した構造を採用し、レンズ最前面には撥水防汚コートが施されています。
屋外ポートレート、結婚式、イベントなどでは、完全に天候を選べないことがあります。砂埃や小雨などを考えた構造は、スタジオだけでなく屋外へ持ち出すレンズとして重要です。
最前面の撥水防汚コートは、水滴や指紋などが付いたときに拭き取りやすくする役割があります。
82mmフィルターを使用する
フィルター径は82mmです。F1.2の大口径85mmとして前玉は大きいものの、一般的な大型レンズで使われる82mmフィルターを装着できます。
保護フィルター、PLフィルター、NDフィルターなどを利用できます。特に動画でF1.2を使う場合、日中はシャッタースピードを固定すると露出が明るくなりすぎるため、NDフィルターが必要になる場面があります。
Sigma 85mm F1.2 DG | Artが向く撮影
| 撮影用途 | 相性 | 理由 |
|---|---|---|
| ポートレート | 非常に高い | 85mm F1.2の大きなボケ |
| 夜景人物 | 非常に高い | F1.2の明るさと玉ボケ |
| 結婚式 | 高い | 人物分離と暗所性能 |
| ファッション | 高い | 解像力と立体感 |
| 人物動画 | 高い | 静かなAFとブリージング抑制 |
| 室内スナップ | 撮影距離次第 | 85mmでは画角が狭い |
| 旅行 | 用途次第 | 905gあり85mm固定 |
| マクロ | 低い | 最大撮影倍率1:8.9 |
Sigma 85mm F1.2 DG | ArtはF1.2を持ち歩ける85mm
Sigma 85mm F1.2 DG | Artは、85mmというポートレート向けの中望遠焦点距離にF1.2を組み合わせた大口径単焦点です。
F1.2による非常に浅い被写界深度、大きな背景ボケ、暗所での明るさに加え、13枚羽根の円形絞り、デュアルHLA、フォーカスブリージングを抑えた設計、クリック解除可能な絞りリング、2か所のAFLボタンなど、静止画と動画の両方を意識した機能が盛り込まれています。
一方で905gという重量があるため、85mm F1.8や小型F1.4のような軽快なレンズではありません。85mm F1.4 DG DN | Artなら630gなので、携帯性だけを重視するならF1.4の方が明確に軽くなります。
このレンズを選ぶ理由は、85mmでF1.2を積極的に使うことです。人物の瞳だけを鮮明に残し、背景を大きくぼかす。夜景の光を巨大な玉ボケへ変える。人物を背景から強く分離し、写真へ立体感を作る。そうしたF1.2ならではの表現を求める場合に、このレンズの存在意義が明確になります。
従来の85mm F1.2は高い描写力と引き換えに大型化しやすいカテゴリーでした。Sigma 85mm F1.2 DG | Artは、その前提を905gという重量まで縮め、F1.2をスタジオ専用ではなく持ち歩いて使えるレンズへ近づけています。
85mmで何を撮れるのかをさらに確認したい場合は、85mm単焦点の使い道もあわせてご覧ください。



