EF20-35mm F3.5-4.5 USMレビュー|340gの軽量広角ズームを中古で楽しむ
EF20-35mm F3.5-4.5 USMは、フィルムEOS時代に登場したキヤノンEFマウントの広角ズームレンズです。20mmの本格的な広角から35mmまでをカバーしながら、質量は約340g。フルサイズ対応の広角ズームとしては軽く、現在でも小型軽量なEFレンズを楽しみたい人には特徴のある一本です。
発売は1993年3月。現在のRF広角ズームのような手ブレ補正やデジタル補正を前提としたレンズではありませんが、USMによるAF、20-35mmという使いやすい広角域、77mmフィルター径、340gという軽さを備えています。
現在はEF17-40mm F4L USMや、さらに広い画角を持つRFレンズが存在します。そのため性能だけを並べれば新しいレンズが有利です。しかし、EF20-35mm F3.5-4.5 USMには「20mmから始まるフルサイズ用広角ズームを軽く持ち歩ける」という明確な特徴があります。
この記事では、EF20-35mm F3.5-4.5 USMの基本仕様、20mmと35mmの画角、描写、USM、風景、建築、スナップ、人物撮影、APS-Cでの画角、EOS Rシリーズでの使用、EF17-40mm F4L USMとの違い、中古購入時の確認ポイントまで詳しく解説します。
EF20-35mm F3.5-4.5 USMとは
1993年登場の小型広角ズーム
EF20-35mm F3.5-4.5 USMは1993年3月に発売されたEFマウントの広角ズームです。
現在では20mmという焦点距離は珍しくありませんが、フィルム一眼レフ時代には20mmから始まるズームは十分に本格的な超広角域でした。
しかも最大径83.5mm、全長68.9mm、質量340gと比較的コンパクトにまとめられています。
大口径F2.8や手ブレ補正を搭載せず、20-35mmという比較的短いズーム域へ絞ることで、小型軽量化を実現したレンズと考えられます。
EF20-35mm F2.8Lとは別のレンズ
中古市場では「EF20-35mm」という焦点距離だけを見ると、EF20-35mm F2.8Lと混同する可能性があります。
EF20-35mm F2.8Lは大口径F2.8のLレンズです。一方、EF20-35mm F3.5-4.5 USMはF3.5-4.5の変動絞りを採用した小型軽量モデルです。
焦点距離は同じでも、開放F値、重量、価格帯、設計思想が異なります。
中古品を探す場合には「20-35mm」という数字だけで判断せず、F2.8LなのかF3.5-4.5 USMなのかを確認する必要があります。
EF20-35mm F3.5-4.5 USMの基本スペック
| 項目 | EF20-35mm F3.5-4.5 USM |
|---|---|
| 発売 | 1993年3月 |
| マウント | キヤノンEFマウント |
| 対応フォーマット | 35mmフルサイズ |
| 焦点距離 | 20-35mm |
| 開放F値 | F3.5-4.5 |
| 最小絞り | F22-27 |
| レンズ構成 | 11群12枚 |
| 絞り羽根 | 5枚 |
| 最短撮影距離 | 0.34m |
| 最大撮影倍率 | 0.13倍 |
| AF駆動 | USM |
| 手ブレ補正 | なし |
| フィルター径 | 77mm |
| 最大径×全長 | 83.5×68.9mm |
| 質量 | 340g |
レンズ構成は11群12枚
EF20-35mm F3.5-4.5 USMの光学系は11群12枚です。
古い広角ズームは、現在のデジタルカメラ用レンズとは設計思想が異なります。高画素センサー、カメラ内デジタル補正、動画撮影などを前提としていない時代の製品です。
そのため現在のレンズと解像力だけを比較するより、20mmから35mmを340gでカバーするというシステム全体の特徴を見る方が、このレンズの位置づけを理解しやすくなります。
340gという軽さは現在でも魅力になる
EF20-35mm F3.5-4.5 USMの質量は340gです。
フルサイズ対応で20mmから始まる広角ズームとして考えると、持ち歩きやすい重量です。
旅行や街歩きでは、数時間カメラを持ち続けることがあります。レンズ単体では100g程度の差でも、ボディや予備レンズを含めると機材全体の重量へ影響します。
最新性能より携帯性を優先する場合、この軽さがレンズを選ぶ理由になります。
20-35mmという焦点距離の特徴
20mmはフルサイズで本格的な広角になる
フルサイズ機で20mmを使用すると、標準ズームの24mmより明確に広い画角を得られます。
風景、建築、狭い室内、大きな構造物など、後ろへ下がれない場面で20mmの広さが生きます。
16mmや17mmほど極端な超広角ではありませんが、その分だけ画面周辺へ不要なものが入りにくく、広角初心者にも扱いやすい画角です。
前景へ被写体を置けば遠近感を強調でき、広角らしい奥行きのある構図も作れます。
35mmはスナップへ使いやすい焦点距離
望遠端は35mmです。
20mmでは背景を大きく取り込みやすい一方、35mmまでズームすると画角が自然になり、街角、旅行、人物と周囲の環境を一緒に写す用途へ使いやすくなります。
広角ズームでありながら、35mm側では一本のスナップレンズに近い感覚で使えます。
旅行中に20mmで建物全体を撮り、その直後に35mmで看板や人物を切り取るといった使い方ができます。
APS-Cでは約32-56mm相当になる
キヤノンAPS-C一眼レフでは、20-35mmは35mm判換算約32-56mm相当の画角になります。
フルサイズでは広角ズームですが、APS-Cでは広角から標準域をカバーするレンズへ性格が変わります。
20mm側でも約32mm相当なので、本格的な超広角にはなりません。
EOS 7Dシリーズ、EOS 50D、EOS 60Dなどで使う場合には、超広角レンズとしてではなく、小型標準ズームに近い感覚で使うことになります。
広角ズームとしての描写
20mm側では画面周辺まで確認したい
古い広角ズームを現在の高画素デジタルカメラで使うと、画面中央と周辺で描写差が見えやすくなることがあります。
特に20mm側の開放付近では、中央は十分でも周辺部の解像感やコントラストに差を感じる場合があります。
風景や建築で画面全体を均一に見せたい場合には、F5.6からF8程度まで絞る使い方が適しています。
反対にスナップでは周辺まで完全に均一である必要はなく、中央付近の被写体を中心に構図を作れば古いレンズでも十分楽しめます。
色収差や周辺光量も古い広角レンズの確認ポイント
広角レンズでは、高コントラスト部分の色にじみや画面周辺の光量低下が見える場合があります。
白い建物と青空の境界、木の枝と明るい空の境界などでは、色収差が確認しやすくなります。
また20mm開放では、画面四隅が中央より暗く見えることがあります。
現在はRAW現像で補正できる要素も多いため、古いレンズの弱点をすべて撮影時だけで解決する必要はありません。
USM搭載でAFを利用できる
古いEFレンズでもAFを使えることが大きい
EF20-35mm F3.5-4.5 USMはUSMを搭載しています。
EFマウントは電子制御を前提として設計されているため、古いレンズでも対応するEOSボディでAFや絞り制御を利用できます。
完全なMFオールドレンズとは異なり、通常のAFレンズとして使えることが大きな違いです。
スナップや旅行では素早く構えて撮る場面が多いため、AFが利用できるメリットは現在でも小さくありません。
中古ではUSMの状態を確認する
発売から長期間経過しているため、中古購入時にはAF動作を確認する必要があります。
近距離から遠距離まで何度かAFを動かし、途中で停止しないか、極端に遅くないか、不自然な異音が出ないかを確認します。
外観がきれいでも内部のAF機構が同じ状態とは限りません。
古い電子レンズでは、レンズの傷よりAFや絞りの正常動作を優先して確認した方が実用上重要です。
手ブレ補正は搭載していない
広角では望遠ほど手ブレが目立ちにくい
EF20-35mm F3.5-4.5 USMにはISがありません。
現在のレンズから見ると弱点ですが、20-35mmは望遠レンズほど手ブレが拡大されません。
静止した風景や建物なら、撮影姿勢を安定させ、必要に応じてISO感度を上げることで対応できます。
暗い室内や夜景で低速シャッターを使う場合には、三脚や手すりを利用してカメラを固定する方法も有効です。
最短撮影距離0.34m
マクロではないが広角接写を楽しめる
最短撮影距離は0.34m、最大撮影倍率は0.13倍です。
マクロレンズのように小さな被写体を大きく写す用途には向きません。
しかし20mm側で被写体へ近づくと、手前の物を大きく、背景を小さく見せる広角独特の遠近感を利用できます。
花、食べ物、小物、看板などを手前へ置き、背景の街並みや風景まで一緒に写す撮影には向いています。
風景撮影でEF20-35mmを使う
20mm側では前景を入れると奥行きが出る
広角で風景を撮る場合、遠くの山や海だけを画面へ入れると、被写体が小さくなりすぎることがあります。
20mm側では手前へ岩、草、花、道などを置き、そこから中景、遠景へ視線をつなぐ構図が使いやすくなります。
広い空を入れる場合も、雲や光の流れを利用して画面を構成すると広角の特徴が出ます。
F8前後まで絞る風景撮影なら、開放F3.5-4.5という明るさも大きな問題にはなりません。
建築撮影でEF20-35mmを使う
20mmなら大きな建物を近距離から収めやすい
建物全体を撮りたい場合、24mmでは後ろへ下がれず画面へ入り切らないことがあります。
20mmならさらに広い範囲を写せるため、都市部の建築物、寺社、室内などで有利です。
ただしカメラを上へ向けると、建物の垂直線が上へ向かって収束して見えます。
これはレンズの歪曲だけではなく、撮影者がカメラを傾けたことによる遠近感も影響します。
35mm側はスナップと人物に使いやすい
背景を残した人物写真を撮れる
35mm側では、人物だけを切り取るより、人物と周囲の環境を一緒に残す撮影に向いています。
旅行先、街中、室内などで「どこにいる人物なのか」を写真へ残せます。
20mmで顔へ近づきすぎると鼻や手足が大きく見えやすいため、人物撮影では35mm側を中心に使う方が自然です。
全身なら20mmから35mmまで使えますが、顔を大きく写すほど撮影距離を意識する必要があります。
旅行レンズとして使う
340gなので標準ズームと一緒に持ち歩きやすい
旅行で広角ズームを追加するとき、レンズ重量は重要です。
EF20-35mm F3.5-4.5 USMは340gなので、標準ズームや望遠レンズと一緒にバッグへ入れても重量増加を抑えやすくなります。
20mmで風景や大きな建物を撮り、35mmで街中をスナップする使い方ができます。
広角撮影が中心なら、このレンズ一本だけで街を歩く使い方も可能です。
EOS Rシリーズでも使える
マウントアダプターを介してEFレンズとして活用できる
EF20-35mm F3.5-4.5 USMはEFマウントなので、EOS Rシリーズへ直接装着することはできません。
EF-EOS R系マウントアダプターを介することで、EOS Rシリーズでも使用できます。
フルサイズEOS Rへ装着すれば20-35mm本来の画角を利用できます。
レンズ本体が340gと軽いため、アダプターを追加しても大型のF2.8広角ズームより軽量な構成を作りやすくなります。
RFレンズと比べるとサイズ面の優位は小さくなる場合もある
EFレンズをEOS Rへ装着すると、マウントアダプターの長さと重量が追加されます。
そのためレンズ単体では小型でも、システム全体ではRFレンズとの差が縮まります。
すでにEF20-35mmを所有しているならEOS Rでも活用できますが、新たに購入する場合にはRF広角レンズとの総重量や価格も比較したいところです。
古いEFレンズの魅力は、スペックだけではなく、中古価格や操作感まで含めて考える必要があります。
EF17-40mm F4L USMとの違い
| 項目 | EF20-35mm F3.5-4.5 USM | EF17-40mm F4L USM |
|---|---|---|
| 焦点距離 | 20-35mm | 17-40mm |
| 開放F値 | F3.5-4.5 | F4 |
| 最短撮影距離 | 0.34m | 0.28m |
| 最大撮影倍率 | 0.13倍 | 0.24倍 |
| フィルター径 | 77mm | 77mm |
| 質量 | 340g | 475g |
| Lレンズ | いいえ | あり |
17-40mm F4Lはズーム域と近接性能で有利
EF17-40mm F4L USMは17mmから40mmまでをカバーします。
EF20-35mmより広角側は3mm広く、望遠側は5mm長くなっています。
最短撮影距離も0.28mまで短く、最大撮影倍率は0.24倍なので、近接撮影でも有利です。
一本で広角域を幅広く使いたい場合には17-40mm F4Lの方が対応範囲は広くなります。
EF20-35mmは135g軽い
EF17-40mm F4L USMの質量は475gで、EF20-35mm F3.5-4.5 USMは340gです。
差は135gあります。
絶対的な性能では17-40mm F4Lが有利な部分が多い一方、広角ズームをできるだけ軽くしたい場合には20-35mmの特徴が残ります。
20mmまであれば十分で、40mmまで必要としない人なら、軽量性を優先する選択肢になります。
中古購入で確認したいポイント
カビ・クモリ・強い傷を確認する
発売から長い年月が経過したレンズなので、中古では個体差が大きくなります。
前玉や後玉の傷だけでなく、内部のカビ、クモリ、強いチリなどを確認します。
細かなチリは撮影結果へ大きく影響しない場合がありますが、クモリが強い個体ではコントラスト低下や逆光時のフレアにつながります。
外装がきれいでも光学系が同じ状態とは限りません。
AF・ズームリング・絞り動作を見る
USMによるAFが正常に動くか、ズームリングが20mmから35mmまで滑らかに動くかを確認します。
フォーカス操作に引っかかりがないか、絞りが正常に動作するかも重要です。
電子接点に強い腐食や汚れがないかも確認したいところです。
古いEFレンズでは、光学系だけでなく電子機構まで含めて状態を判断する必要があります。
77mmフィルター枠の変形にも注意する
フィルター径は77mmです。
中古品では前枠に強い打痕がないか、フィルターが正常に取り付けられるかを確認します。
前枠が大きく変形している個体は、過去に落下や強い衝撃を受けた可能性があります。
レンズ内部が正常でも、フィルターやレンズキャップを取り付けにくいと実用上不便になります。
EF20-35mm F3.5-4.5 USMが向いている人
軽いフルサイズ用EF広角ズームを使いたい人
このレンズが向いているのは、最新の光学性能より小型軽量性を重視する人です。
フルサイズで20mmを使用でき、35mmまでズームでき、それでいて340gです。
風景、建築、旅行、街歩き、環境ポートレートなど、広角を中心とした撮影に幅広く利用できます。
フィルムEOS時代のEFレンズを現在のデジタルカメラで楽しみたい人にも合います。
EF20-35mm F3.5-4.5 USMが向かない人
17mm以下の超広角や最新機能を求める人には物足りない
現在は16mm、15mm、14mmなど、20mmより広い画角を持つレンズがあります。
非常に狭い室内、大規模建築、ダイナミックな超広角表現などを求める場合、20mmでは不足することがあります。
手ブレ補正、防塵防滴、最新AF、動画向け設計、最新の光学補正を重視する場合にも、新しいRFレンズの方が扱いやすくなります。
EF20-35mm F3.5-4.5 USMは最新レンズと機能で競うものではなく、小型軽量な旧EF広角ズームとして選ぶレンズです。
まとめ
EF20-35mm F3.5-4.5 USMは、1993年に登場したキヤノンEFマウントの広角ズームです。
焦点距離は20-35mm、開放F値はF3.5-4.5。レンズ構成は11群12枚、最短撮影距離0.34m、最大撮影倍率0.13倍、フィルター径77mm、質量340gです。
フルサイズでは20mmの本格的な広角から35mmのスナップ向け画角まで使えます。APS-Cでは約32-56mm相当となり、広角から標準域をカバーするレンズへ性格が変わります。
AFにはUSMを採用し、対応するEOS一眼レフで通常のAFレンズとして使用できます。マウントアダプターを介せばEOS RシリーズでもEFレンズとして活用できます。
弱点は、手ブレ補正がないこと、現在の広角ズームほど広くないこと、高画素デジタルカメラでは周辺描写などに設計年代を感じる場合があることです。
後発のEF17-40mm F4L USMと比較すると、ズーム域、近接性能、Lレンズとしての作りでは不利です。しかしEF20-35mm F3.5-4.5 USMは135g軽く、340gという携帯性があります。
最新レンズの代替として見るより、「フルサイズで20mmを使える小型軽量なEF広角ズーム」として見ることで、このレンズの立ち位置が明確になります。
古いEFレンズを現在のEOSで楽しみたい人、旅行用の軽い広角ズームを探している人、フィルムEOS時代のレンズをEOS Rでも活用したい人にとって、EF20-35mm F3.5-4.5 USMは現在でも検討する意味のある一本です。



