EF200mm F2.8L II USMレビュー|765gで楽しむ200mm F2.8望遠単焦点
Canon EF200mm F2.8L II USMは、200mmという本格的な望遠域とF2.8の明るさを、765gの比較的軽量な鏡筒にまとめたEFマウントのL単焦点レンズです。ズーム機構も手ブレ補正も持たないシンプルな設計ですが、その代わりに200mm F2.8という役割が明確で、背景を大きくぼかしたポートレート、スポーツ、動物、舞台撮影などで独特の描写を楽しめます。
発売は1996年3月。現在の基準では古いレンズですが、7群9枚という比較的シンプルな光学系にUDレンズを2枚採用し、リングUSM、フルタイムマニュアルフォーカス、フォーカスリミッターまで備えています。電子制御のEFレンズなので、EOS一眼レフだけでなく、マウントアダプターを介してEOS Rシリーズでも利用できます。
そして、このレンズを現在あえて選ぶ大きな理由が「200mm F2.8単焦点」という存在そのものです。70-200mm F2.8のような万能性はありませんが、焦点距離を200mmへ固定することで、撮影者は被写体との距離、背景との位置関係、圧縮感、ボケ量を意識して構図を作ることになります。ズームでは簡単に変えられる画角を自分の足と撮影位置で整えるため、200mmという焦点距離の性格がはっきり見えてきます。
- EF200mm F2.8L II USMの基本スペック
- EF200mm F2.8L II USMの魅力
- EF200mm F2.8L II USMとボケ
- AF性能と操作性
- フルサイズとAPS-Cで画角が大きく変わる
- EOS Rシリーズでも使える
- エクステンダーで280mm F4、400mm F5.6として使える
- 200mm単焦点と70-200mmズームの違い
- どんな撮影に向いているか
- 最短撮影距離1.5mと最大撮影倍率0.16倍
- 初代EF200mm F2.8L USMとの違い
- 中古で購入するときの確認ポイント
- EF200mm F2.8L II USMの注意点
- EF200mm F2.8L II USMは現在でも面白いレンズか
- まとめ
EF200mm F2.8L II USMの基本スペック
| 項目 | EF200mm F2.8L II USM |
|---|---|
| 発売 | 1996年3月 |
| マウント | キヤノンEFマウント |
| 焦点距離 | 200mm |
| 開放F値 | F2.8 |
| 最小絞り | F32 |
| レンズ構成 | 7群9枚 |
| 特殊レンズ | UDレンズ2枚 |
| 絞り羽根 | 8枚 |
| 最短撮影距離 | 1.5m |
| 最大撮影倍率 | 0.16倍 |
| AF駆動 | リングUSM |
| フォーカスリミッター | 1.5m~∞/3.5m~∞ |
| 手ブレ補正 | なし |
| フィルター径 | 72mm |
| 最大径×長さ | 83.2×136.2mm |
| 質量 | 765g |
| 対応フード | ET-83B II |
| 三脚座 | リング式三脚座A II系を別売で装着可能 |
EF200mm F2.8L II USMの魅力
200mm F2.8で765gという軽さが大きな武器
200mm F2.8という数字だけを見ると大型レンズを想像しやすいですが、EF200mm F2.8L II USMの質量は765gです。最大径83.2mm、長さ136.2mmで、200mm F2.8の単焦点としては比較的持ち歩きやすいサイズに収まっています。
200mmまで使えるF2.8ズームでは複数の焦点距離をカバーするため光学系も機構も大きくなります。EF200mm F2.8L II USMは焦点距離を200mmだけに絞り、ズーム機構もISも搭載しないことで、望遠F2.8としては軽量な構成になっています。
200mmを頻繁に使う撮影者にとって、この違いは重要です。70mmや100mmを使わず、結局いつも望遠端付近で撮っているのであれば、単焦点へ置き換えることで機材構成そのものを簡潔にできます。
7群9枚とUDレンズ2枚によるシンプルな光学構成
EF200mm F2.8L II USMは7群9枚構成で、UDレンズを2枚使用しています。望遠レンズで問題になりやすい色収差を抑えながら、無限遠から最短撮影距離まで安定した描写を狙った設計です。
現在の高性能レンズには十数枚から二十数枚という多くのレンズを使用した製品もあります。それに比べると7群9枚は非常にシンプルです。レンズ枚数が少なければ自動的に高画質になるわけではありませんが、200mm単焦点という一つの焦点距離に光学設計を集中できることは大きな特徴です。
特に200mmでは、ピント面の解像感だけでなく、ピント面から背景へ移っていく部分の描写も写真全体の印象を左右します。単純に細部が鋭いかだけで判断するより、人物の輪郭、髪、背景の枝葉や光点がどのようにつながって見えるかまで確認したいレンズです。
EF200mm F2.8L II USMとボケ
200mmとF2.8の組み合わせで背景を大きく整理できる
EF200mm F2.8L II USMの大きな魅力は、200mmとF2.8を組み合わせた背景処理です。背景を大きくぼかすにはF値だけが重要なのではありません。焦点距離、撮影距離、被写体と背景の距離も大きく影響します。
200mmは画角が狭いため、背景の広い範囲を画面へ入れずに済みます。さらにF2.8で被写界深度を浅くすると、被写体の後方に十分な距離がある場所では背景を大きくぼかせます。
公園、屋外ポートレート、スポーツ会場などで背景に人、看板、建物、枝などが多い場合でも、撮影位置を工夫すれば背景を単純化しやすくなります。単に「ボケが大きい」というだけでなく、背景から不要な情報を減らせることが200mm F2.8の強みです。
ポートレートでは背景圧縮と距離感が独特
200mmで人物を撮影すると、50mmや85mmよりかなり離れた位置から撮影することになります。この距離が、200mmポートレート特有の写真を作ります。
背景は狭い範囲だけが切り取られ、遠くにあるものも画面内では比較的大きく見えます。被写体と背景が近づいて見える、いわゆる圧縮感を利用することで、木々、街灯、建物、花などを背景として大きく配置できます。
一方、室内や狭い場所では撮影距離を確保できないことがあります。200mmは万能なポートレートレンズではありません。撮影場所に十分な奥行きがあり、人物との距離を取れる環境でこそ本領を発揮します。
AF性能と操作性
リングUSMとフォーカスリミッターを搭載
EF200mm F2.8L II USMはリングUSMを搭載しています。EF時代のL単焦点らしく、AF駆動は静かで、合焦後にそのままフォーカスリングを操作できるフルタイムマニュアルフォーカスにも対応します。
さらに撮影距離範囲は1.5m~∞と3.5m~∞の2段階で切り替えられます。遠距離のスポーツや動物だけを撮る場合に3.5m~∞へ設定しておけば、AFが近距離側まで大きく移動する必要がなくなります。
現在のカメラでは被写体認識AFが注目されますが、レンズ側のフォーカス移動量を制限する機能は依然として実用的です。特に背景へ一度ピントが抜けた場合など、復帰までの移動距離を短くできます。
手ブレ補正がないことは撮影前に理解しておきたい
EF200mm F2.8L II USMにはISがありません。200mmという焦点距離では小さなカメラの動きも画面上で大きく現れるため、静止した被写体でもシャッタースピードには注意が必要です。
フルサイズで手持ちするなら1/200秒を最低ラインの目安として考えやすいですが、実際には画素数、構え方、被写体の動きによって必要な速度は変わります。確実性を高めるなら1/400秒、1/500秒以上へ上げる場面も多くなります。
人物、動物、スポーツなど被写体そのものが動く撮影では、ISの有無に関係なく高速シャッターが必要になります。そのため1/1000秒以上を使う撮影では、ISがないことよりF2.8でシャッタースピードを確保できることの方が重要になる場面があります。
焦点距離と被写体に合わせたシャッタースピードの決め方はこちら
フルサイズとAPS-Cで画角が大きく変わる
APS-Cでは約320mm相当の画角になる
EF200mm F2.8L II USMをフルサイズEOSで使えば、そのまま200mmの画角です。人物、スポーツ、舞台、動物などで使いやすい望遠域になります。
キヤノンAPS-C機へ装着すると、35mm判換算で約320mm相当の画角になります。焦点距離そのものが320mmへ変化するわけではありませんが、センサーが中央部分を切り取るため、画面に写る範囲が狭くなります。
EOS 7D系などAPS-C一眼レフと組み合わせれば、F2.8の明るさを維持したまま約320mm相当の画角を使えます。屋外スポーツや比較的大きな鳥など、もう少し望遠が欲しい場面では非常に特徴的な組み合わせになります。
EOS Rシリーズでも使える
マウントアダプターEF-EOS RでEF200mm F2.8を活用できる
EF200mm F2.8L II USMはEFマウントなので、EOS RシリーズではマウントアダプターEF-EOS Rを介して使用します。
EFレンズは絞りやAFを電子制御しているため、対応する純正アダプターを利用すれば、EOS RボディでもAFや絞り制御を利用できます。光学補正用のレンズを追加するアダプターではないため、基本的な焦点距離や開放F値も変わりません。
古いEFレンズをミラーレスで使う利点の一つは、ボディ側のAF機能を利用できることです。人物撮影なら顔・瞳検出、対応機種では動物や乗り物の検出などを使いながら、EF200mm F2.8L II USMの光学性能を生かせます。
EOS RでEFレンズを使うマウントアダプターの仕組みはこちら
エクステンダーで280mm F4、400mm F5.6として使える
EF1.4×とEF2×に対応する
EF200mm F2.8L II USMはキヤノンのEFエクステンダーに対応しています。1.4倍を装着すると280mm F4、2倍を装着すると400mm F5.6相当になります。
200mm単焦点一本を基本にしながら、必要なときだけ280mmや400mmへ延ばせることは大きな特徴です。ただしエクステンダーを装着すれば、開放F値が暗くなり、AF速度や画質にも影響が出ます。
常に400mmが必要なら400mmレンズを直接使用する方が合理的ですが、通常は200mm F2.8として使い、限られた場面だけ焦点距離を延ばしたい場合には便利です。
200mm単焦点と70-200mmズームの違い
便利さはズーム、軽さと単焦点らしさはEF200mm F2.8L II USM
200mm F2.8というスペックだけなら、70-200mm F2.8の望遠端でも得られます。したがってEF200mm F2.8L II USMを選ぶ意味を考える場合、単純に「200mm F2.8で撮れるか」だけでは足りません。
70-200mmは70mmから200mmまで自由に画角を変更でき、撮影位置を動かせない場面では圧倒的に便利です。イベント、スポーツ、結婚式など、一度の撮影で構図が頻繁に変わる場面ではズームの利便性があります。
一方、EF200mm F2.8L II USMは765gで、構造も操作もシンプルです。200mmしか使わない撮影では、ズーム域の大部分を持ち歩かずに済みます。焦点距離を固定して被写体との距離を自分で調整する撮影も、単焦点ならではの楽しさです。
キヤノンEFの大口径望遠ズームを知るならEF80-200mm F2.8Lの記事はこちら
どんな撮影に向いているか
スポーツや動物ではF2.8と高速AFを生かせる
スポーツ撮影では、200mmの画角、F2.8、リングUSMの組み合わせを生かせます。屋外だけでなく、体育館や夕方など光量が少ない場面ではF2.8の明るさがシャッタースピード確保に役立ちます。
動物撮影でも、被写体へ近づきすぎずに撮れる200mmは使いやすい焦点距離です。背景を大きくぼかしやすいため、檻、柵、枝、草など背景要素が多い場所でも構図を整理できます。
野鳥では200mmだけでは短い場面も多くなりますが、大型の鳥や比較的近距離へ来る鳥なら使用できます。APS-Cなら約320mm相当、エクステンダーを利用すればさらに画角を狭められます。
さらに長い望遠とF2.8を両立するEF300mm F2.8L USMはこちら
200mmだからこそ遠景を切り取る風景撮影にも使える
200mmは人物やスポーツ専用ではありません。風景撮影でも、遠くの山、建物、木、光が当たった一部分だけを切り取る用途に使えます。
広角レンズでは広い範囲を一枚へ収めますが、200mmでは視界の中から一部分を選び出します。遠くにある山並みを重ねたり、建物同士を近づいて見せたり、朝夕の光が当たった場所だけを抜き出したりと、広角とはまったく異なる風景写真になります。
手ブレ補正がないため、低照度でF8やF11まで絞る場合は三脚を使うと安定します。別売の三脚座を使用すれば、縦位置と横位置の切り替えも行いやすくなります。
最短撮影距離1.5mと最大撮影倍率0.16倍
マクロではないが望遠らしいクローズアップができる
最短撮影距離は1.5m、最大撮影倍率は0.16倍です。現在の近接性能を重視したレンズと比べれば特別高い倍率ではありませんが、200mmという焦点距離を利用して被写体との距離を保ちながら寄れます。
花、植物、動物の顔、細部などを背景から分離して撮る用途では使いやすく、マクロレンズとは異なる望遠らしいクローズアップ表現になります。
最短撮影距離付近でF2.8を使うと被写界深度はかなり浅くなります。ピントを合わせたい部分を明確にし、必要ならF4やF5.6へ絞ることで被写体の奥行きを残せます。
さらに高い撮影倍率を求めるならEF180mmマクロの特徴はこちら
初代EF200mm F2.8L USMとの違い
II型は基本光学系を継承しながら軽量化されている
初代EF200mm F2.8L USMは1991年に登場しました。初代も7群9枚、最短撮影距離1.5m、最大撮影倍率0.16倍、72mmフィルターという基本部分を共有しています。
初代の質量は790g、II型は765gです。II型では25g軽くなり、専用の着脱式フードET-83B IIを使用する構成になっています。
中古で探す場合は、単に「EF200mm F2.8L」とだけ書かれている商品では初代かII型かを確認した方が確実です。鏡筒表記、外観、フードなどを確認して判断します。
中古で購入するときの確認ポイント
レンズ内部だけでなくAF・絞り・距離切替も確認する
EF200mm F2.8L II USMは発売から長い年月が経過しているため、中古では個体差が大きくなります。外観のスレだけで判断せず、レンズ内部、AF、絞り、フォーカスリング、スイッチ類まで確認したいところです。
光学系ではカビ、曇り、大きな傷、バルサム切れなどを確認します。小さなチリだけなら写りへほとんど影響しないことも多いですが、白っぽい曇りはコントラスト低下につながる可能性があります。
AFでは近距離と遠距離を行き来させ、異音や極端な迷いがないか確認します。1.5m~∞と3.5m~∞のフォーカスリミッター、AF/MF切替、絞り制御も実写で確認すると確実です。ET-83B IIフードや前後キャップの有無も中古価格に影響します。
現在でも楽しめるキヤノンEFレンズをまとめて確認するならこちら
EF200mm F2.8L II USMの注意点
防塵防滴を前提に扱わない方が安全
EF200mm F2.8L II USMはLレンズですが、現在のLレンズすべてと同じ防塵防滴仕様だと考えない方が安全です。古いLレンズには、現在一般的になったシーリング構造を持たない製品があります。
雨天、砂埃、水しぶきのある環境では、Lレンズという名称だけを理由に無防備に使用しない方が安心です。特に中古個体ではゴム部品や外装の経年変化もあります。
屋外で長く使う場合は、簡易レインカバーなどを使い、マウント部やスイッチ周辺へ水が入りにくい状態を作る方が安全です。
キヤノンのカメラ・EFレンズ・RFレンズをまとめたキヤノン大全はこちら
EF200mm F2.8L II USMは現在でも面白いレンズか
便利さより200mm F2.8単焦点そのものを楽しむレンズ
EF200mm F2.8L II USMを現在選ぶ理由は、最新レンズより高性能だからという単純な話ではありません。ISがなく、ズームもできず、最短撮影距離も1.5mです。万能性だけを求めれば、もっと便利なレンズは多数あります。
それでも、200mm F2.8を765gで持ち歩けること、リングUSMを備えること、エクステンダーを利用できること、EOS Rでもアダプター経由で使用できることは現在でも特徴になります。
さらに、黒い鏡筒なのでキヤノンの大型白レンズほど目立ちません。人の多い場所や街中で200mm F2.8を使いたい場合にも、この外観は一つの利点になります。
焦点距離を変えられないからこそ、200mmの画角へ自分を合わせる。F2.8のボケだけでなく、被写体との距離や背景の選び方まで含めて撮影を楽しむ。そのような使い方にEF200mm F2.8L II USMの魅力があります。
まとめ
Canon EF200mm F2.8L II USMは、200mm F2.8という明確な役割を持ったEFマウントのL望遠単焦点レンズです。7群9枚の光学系にUDレンズ2枚を使用し、リングUSM、フルタイムマニュアルフォーカス、フォーカスリミッターを搭載しています。
最短撮影距離は1.5m、最大撮影倍率0.16倍、フィルター径72mm、質量765g。200mm F2.8としては比較的軽量で、人物、スポーツ、動物、遠景など幅広い被写体に使えます。
最大の魅力は、200mmの狭い画角とF2.8による背景処理です。被写体から距離を取りながら背景を大きく整理し、遠くの背景を引き寄せたような構図を作れます。ポートレートでは85mmや135mmとは異なる距離感と圧縮感を楽しめます。
一方でISはありません。200mmでは手ブレが目立ちやすいため、手持ちではシャッタースピードを十分に確保する必要があります。また、古いLレンズなので現在のLレンズと同様の防塵防滴性能を前提に扱わない方が安全です。
APS-Cでは約320mm相当の画角となり、エクステンダーEF1.4×では280mm F4、EF2×では400mm F5.6として使用できます。マウントアダプターEF-EOS Rを利用すればEOS Rシリーズでも活用できます。
70-200mm F2.8のようなズームの利便性はありません。しかし、200mmしか使わないという割り切りが765gという軽さとシンプルな操作につながっています。ズームで画角を合わせるのではなく、自分が動いて200mmへ構図を合わせること自体が、このレンズを使う楽しさです。
EF200mm F2.8L II USMは、最新機能を求めるレンズではありません。200mm F2.8という一つの焦点距離をじっくり使い、背景ボケ、圧縮感、撮影距離の違いを楽しみたい人にとって、現在でも存在感のあるEF単焦点です。



