超高画素カメラは本当に必要?α7R VI・GFX・ライカ・ハッセルブラッドで考える6000万画素・1億画素の現在
デジタルカメラの高画素化は、いったいどこまで進むのでしょうか。
かつて2000万画素を超えれば十分な高画素機と呼ばれ、3000万画素を超えると風景や広告撮影などを意識したハイエンド機という印象がありました。しかし現在は、フルサイズで6000万画素を超えるカメラが登場し、中判では1億画素が特別ではなくなっています。
ソニーα7R VIは約6680万画素でありながら高速連写まで実現しています。富士フイルムGFX100シリーズやハッセルブラッドX2D II 100Cは1億画素級です。ライカSL3やQシリーズも6000万画素級となり、ソニーRX1R IIIのように、レンズ一体型の小型カメラへ6100万画素のフルサイズセンサーを搭載するモデルまで存在します。
ここまで来ると、「高画素なら高性能」という単純な話ではありません。
6000万画素や1億画素を実際に使い切れるのでしょうか。センサーだけ高画素でも、それに見合ったレンズがなければ意味がないのではないでしょうか。高画素になるほどブレが目立つのに、静止画用の手ブレ補正を持たないカメラは何を目指しているのでしょうか。そして、非常に高価な高画素機を購入するより、3000万画素台のバランス型カメラと良いレンズを組み合わせた方が満足できる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、国産のフルサイズミラーレスだけではなく、富士フイルムGFX、ライカ、ハッセルブラッド、高級レンズ一体型カメラまで含め、「超高画素」という性能が本当に必要なのかを考えます。
超高画素カメラはどこまで進んだのか
| 機種 | センサー | 有効画素数 | 手ブレ補正 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ソニー α7R VI | フルサイズ | 約6680万画素 | 5軸ボディ内補正 | 高画素と高速連写を両立 |
| キヤノン EOS R5 Mark II | フルサイズ | 約4500万画素 | 5軸ボディ内補正 | 画素数より総合性能を重視 |
| ニコン Z8 | フルサイズ | 約4571万画素 | 5軸ボディ内補正 | 高画素・高速・動画性能を両立 |
| 富士フイルム GFX100S II | ラージフォーマット | 約1億200万画素 | 5軸・最大8段 | 1億画素を比較的小型のボディで運用 |
| ハッセルブラッド X2D II 100C | 中判 | 1億画素 | 5軸・中央最大10段 | 高画素と強力な手ブレ補正を両立 |
| ライカ SL3 | フルサイズ | 約6030万画素 | ボディ内補正 | Lマウントの高級高画素機 |
| ライカ Q3シリーズ | フルサイズ | 約6030万画素 | 光学式 | 高画素のレンズ一体型カメラ |
| ソニー RX1R III | フルサイズ | 約6100万画素 | 静止画用補正なし | 35mm F2固定の高画素コンパクト |
| ライカ M11 | フルサイズ | 約6030万画素 | ボディ内補正なし | レンジファインダーで6000万画素級 |
こうして並べてみると、「高画素機」という言葉そのものが変わってきたことが分かります。
4000万画素台は依然として高画素ですが、その上に6000万画素級があり、さらに1億画素級があります。
問題は数字の大きさではありません。その画素数を実際の撮影で生かせるカメラになっているかどうかです。
α7R VIは高画素機と高速機の境界を曖昧にした
超高画素フルサイズを考えるうえで象徴的なのがソニーα7R VIです。
有効約6680万画素というだけでも十分に高画素ですが、このカメラの特徴は画素数だけではありません。
積層型CMOSセンサーを採用し、電子シャッターでは最高約30コマ/秒の連続撮影に対応しています。
かつて高画素機は、風景、建築、商品、スタジオなど、比較的静止した被写体をじっくり撮るカメラという位置づけでした。
一方、スポーツや野鳥では画素数を抑え、読み出し速度や連写性能を優先する高速機が使われてきました。
α7R VIは、この二つを一台へ近づけています。
6000万画素を超える解像度を持ちながら高速連写ができれば、野鳥や航空機を撮影して大きくトリミングする使い方もできます。風景では細部を残し、ポートレートでは撮影後の構図変更にも余裕を持たせられます。
高画素を選ぶために高速性能を大きく諦める必要がなくなってきたことは、高画素カメラの大きな変化です。
高速読み出しを可能にするセンサー構造については、裏面照射型と積層型センサーの違いでも詳しく解説しています。
1億画素は特殊なスタジオ専用機ではなくなった
6000万画素のさらに上には、富士フイルムGFXシリーズとハッセルブラッドXシステムがあります。
GFX100S IIは約1億200万画素、X2D II 100Cは1億画素です。
1億画素と聞けば、大型三脚へ据え付けて商品や美術品を撮影する特殊なカメラを想像するかもしれません。
しかし、現在の1億画素機は手持ち撮影を強く意識しています。
GFX100S IIは最大8段のボディ内手ブレ補正を搭載し、X2D II 100Cは中央最大10段という非常に強力な手ブレ補正を搭載しています。
1億画素という大きな数字だけを競うのではなく、その解像力を実際の手持ち撮影で引き出すためのカメラになっています。
これは非常に重要です。
センサーだけ1億画素にしても、撮影時にわずかなブレが発生すれば、本来得られるはずの細部は失われます。
高画素化が進むほど、センサー、手ブレ補正、AF、レンズを一つのシステムとして考える必要があります。
画素数とセンサーサイズの関係については、カメラのセンサーサイズと解像度の違いも参考になります。
ライカの6000万画素はソニーと同じ尺度では測れない
ライカSL3も6000万画素級のフルサイズセンサーを搭載しています。
ここで当然出てくるのが、「同程度の画素数なら、なぜこれほど高いのか」という疑問です。
画素数、連写速度、AF性能と価格だけを並べれば、ソニーの方が費用対効果に優れると感じる人は多いでしょう。
ライカの場合、価値の中心はセンサーの数字だけではありません。
ボディの作り、操作系、Lマウントレンズ、色作り、デザイン、ブランドそのものを含めて一つの商品になっています。
そこへ価値を感じなければ、ライカは非常に高価な6000万画素機に見えます。
逆に、その撮影体験まで求める人にとっては、「同じ画素数なら安い方を買えばよい」という比較では決まりません。
カメラの画質が画素数だけでは決まらない理由については、解像力とシャープネスの違いでも詳しく紹介しています。
EOS R5 Mark IIの4500万画素はもう少ないのか
高画素を期待した人には物足りなさが残る
EOS R5 Mark IIは約4500万画素です。
初代EOS R5も約4500万画素だったため、世代交代しても画素数そのものは大きく増えませんでした。
もちろんEOS R5 Mark IIは、高画素だけを目的にしたカメラではありません。
積層型センサー、高速連写、高性能AF、動画機能など、多くの部分が進化しています。
総合性能を考えれば非常に高性能なカメラです。
それでも静止画の解像度を最優先する人から見れば、「これだけ新しい技術を投入するのであれば、5000万画素や6000万画素へ進んでもよかったのではないか」と感じる余地があります。
特に6000万画素を超えるα7R VIが高速連写まで実現すると、「高速化のために4500万画素へ抑えた」という説明だけでは納得しにくくなります。
キヤノンは単純な画素数競争より、4500万画素を維持しながらカメラ全体の性能を高める方向を選んだと考える方が分かりやすいでしょう。
EOS R5 Mark IIの位置づけについては、EOS R5 Mark IIを買ってはいけない人と向いている人でも詳しく解説しています。
4500万画素でも一般用途では十分すぎる
6000万画素や1億画素を基準にすると、4500万画素が少なく見えてしまいます。
しかし、実際の用途を考えれば4500万画素は非常に大きな画像です。
Web掲載、写真集、一般的な大型プリント、ポートレート、旅行、風景など、多くの用途で画素数不足を感じることはほとんどありません。
トリミング耐性も十分にあります。
さらに6000万画素や1億画素よりRAWデータを抑えやすく、PCでの現像、保存、バックアップも軽くなります。
超高画素を使う明確な目的がなければ、4500万画素前後はむしろ高画質と扱いやすさを両立しやすい位置です。
4500万画素の実用性については、EOS R5は今でも買う価値があるのかでも詳しく紹介しています。
高画素なのに手ブレ補正がなければ意味がないのか
RX1R IIIの6100万画素と静止画用手ブレ補正なしという組み合わせ
高画素化で気になるのは、センサーの数字だけではありません。
むしろ高画素になるほど重要になるのがブレです。
ソニーRX1R IIIは約6100万画素のフルサイズセンサーと35mm F2レンズを一体化した非常に特徴的なカメラです。
ところが静止画については、センサーシフト式やレンズシフト式の手ブレ補正を搭載していません。電子式手ブレ補正は動画用です。
6100万画素まで解像度を高めると、わずかなカメラブレも等倍表示では分かりやすくなります。
35mmという比較的短い焦点距離で、F2という明るいレンズでもあるため、十分なシャッタースピードを確保すれば撮影できます。
それでも室内、夕方、夜景などで6100万画素の解像力をできるだけ生かしたい場合、ボディ内手ブレ補正があれば有利なのは確かです。
「6100万画素まで搭載するなら、その解像度を安定して引き出す手ブレ補正も欲しい」という疑問が出るのは当然でしょう。
手ブレと解像感の関係については、手ブレ補正でシャープな写真を撮る方法でも詳しく解説しています。
ライカM11は高画素性能とは別の価値を優先している
ライカM11も6000万画素級でありながら、ボディ内手ブレ補正を持ちません。
数字だけで考えれば、「高画素なのに手ブレ補正がない」という同じ疑問が出ます。
しかしM型ライカは、一般的な高性能ミラーレスとは目的が異なります。
レンジファインダー、小型のMレンズ、薄いボディ、伝統的な操作方法を維持すること自体が商品の中心にあります。
IBISを追加してボディ構造を大きく変えることより、M型としての形を残すことを優先していると考えれば理解しやすくなります。
単純に6000万画素を手持ちで安定して使いたいのであれば、ほかにも合理的な選択肢があります。
M11を選ぶ理由は、6000万画素だからという一つの数字ではありません。
高画素とカメラの個性については、高画素と解像力の違いを解説した記事も参考になります。
1億画素機に強力なIBISを搭載する方向は合理的
その反対に位置するのがGFX100S IIやX2D II 100Cです。
GFX100S IIは最大8段、X2D II 100Cは中央最大10段の手ブレ補正を搭載しています。
1億画素を搭載するなら、その解像力を実際の撮影で失わないための仕組みも強化する。
これは非常に分かりやすい考え方です。
α7R VIも約6680万画素に中央最大8.5段の補正を組み合わせています。
超高画素時代では、「何万画素あるか」だけではなく、「その何万画素を手持ちでどの程度引き出せるか」が重要になります。
高画素センサーと手ブレ補正の関係については、手ブレ補正の仕組みと実際の効果も参考になります。
高級コンデジに6000万画素は必要なのか
ライカQシリーズは固定レンズだから高画素を生かしやすい
ライカQシリーズは6000万画素級のフルサイズセンサーを搭載しながら、レンズ交換ができません。
一般的な感覚では、「レンズ交換できないコンパクトカメラに、そこまでの金額を出す人がいるのか」と考えたくなります。
しかしQシリーズは、一般的なコンパクトカメラを高級化した製品というより、フルサイズセンサーと専用単焦点レンズを一つにまとめた完成型のカメラです。
そして固定焦点レンズと高画素には相性のよい部分があります。
6000万画素あれば、撮影後のクロップによって画角を変える余裕があります。
物理的には単焦点でも、高画素を利用して複数の画角として使いやすくなります。
レンズを交換しない代わりに、高画素によって撮影後の自由度を持たせる考え方です。
トリミングと画角の関係については、センサーサイズとクロップ撮影の違いも参考になります。
RX1R IIIは高画素コンパクトの長所と疑問を両方持つ
RX1R IIIも約6100万画素のフルサイズセンサーと35mm F2レンズを一体化しています。
35mmという焦点距離を基本にしながら、必要に応じてトリミングする使い方は高画素センサーと相性がよいでしょう。
レンズ交換をせず、小さなカメラ一台で歩きながら撮影する。そして後から必要な部分を切り出す。
これは高画素コンパクトならではの使い方です。
一方で、レンズ交換ができず、静止画用の手ブレ補正もなく、価格も高いとなれば、「そこまでして6100万画素が必要なのか」という疑問も残ります。
高画素を徹底的に使う人には魅力的でも、一般的なスナップ撮影だけなら、より低価格のレンズ交換式カメラと小型単焦点レンズの方が自由度は高くなります。
高画素によるトリミングの価値については、高画素EOS R5の実用性を検証した記事も参考になります。
1億画素でもレンズが追いつかなければ意味がないのか
高画素になるほどレンズの性能差が見えやすくなる
センサーだけを1億画素にしても、レンズが十分な情報を結像できなければ、その能力を完全には引き出せません。
高画素になるほど、レンズの解像力、色収差、像面湾曲、周辺画質などの違いが見えやすくなります。
ただし、「1億画素には1億画素対応と書かれた特別なレンズしか使えない」という意味ではありません。
画素数を増やせば、古いレンズでも従来より多くの情報を記録できる場合があります。
一方、画面全体で1億画素の能力をできるだけ引き出したいのであれば、高性能なレンズが必要になります。
さらに高画素になるほど、ピントのわずかなズレ、回折、ブレなども見えやすくなります。
超高画素化とは、センサーだけの問題ではありません。
レンズ、AF、手ブレ補正、撮影方法まで含めてシステム全体の精度が要求されます。
レンズの解像性能については、レンズ解像度と画質の関係でも詳しく紹介しています。
ハッセルブラッドは高画素だけでなくレンズシステムを見る必要がある
ハッセルブラッドXシステムを考えるとき、「1億画素は魅力的でも、欲しいレンズが揃うのか」という点は重要です。
XCDレンズは広角、標準、中望遠を中心にラインアップが拡大し、単焦点だけでなくズームも増えています。
風景、建築、商品、ポートレート、日常的な撮影なら、以前よりシステムを組みやすくなっています。
一方で、ソニーE、キヤノンRF、ニコンZのようなフルサイズシステムと比べれば、超望遠、低価格レンズ、サードパーティーなどの選択肢には大きな差があります。
1億画素というセンサー性能だけで購入を決めるのではなく、自分が必要とする焦点距離まで揃えられるかを見る必要があります。
高画素機ほど、ボディ単体ではなくシステム全体で選ぶことが重要です。
カメラとレンズをシステムとして考える方法については、EOS RシリーズとRFレンズをまとめた記事も参考になります。
超高画素には撮影後のコストもある
RAWファイルが大きくなれば保存環境まで変わる
超高画素カメラを購入すると、出費はボディだけでは終わりません。
6000万画素や1億画素のRAWを大量に撮影すれば、メモリーカード、SSD、HDD、バックアップの容量を大きく消費します。
一枚では小さな差でも、数万枚保存すれば大きな違いになります。
さらに高画素と高速連写を組み合わせると、短時間で大量のデータが作られます。
撮れることと、快適に保存・整理・現像できることは別です。
RAW現像ではCPU、GPU、メモリー、SSDの性能も影響します。
高画素カメラの費用は、購入価格だけで計算するものではありません。
長期間使うなら、保存容量やPC環境まで含めた総コストを見る必要があります。
高画素機の運用については、EOS R5 Mark IIのメリットと負担を検証した記事も参考になります。
最終用途がWeb中心なら画素数を使い切れない場合も多い
ブログ、SNS、スマートフォン、一般的なPCモニターで写真を見ることが中心なら、1億画素をそのまま表示する場面はほとんどありません。
高画素の価値は、最終的な表示画素数より撮影後の余裕にあります。
大きくトリミングできる。
水平やパースを補正しても画素が残る。
一枚から複数の構図を作れる。
大判プリントへ対応できる。
細部を大量に記録できる。
こうした使い方をしないのであれば、高画素は保存容量と処理時間を増やすだけになる場合があります。
画素数と実際の用途については、センサーと画素数の違いを比較した記事も参考になります。
α7 VやEOS R6 Mark IIIの方が満足できる人は多い
3000万画素台は非常にバランスがよい
α7 Vは約3300万画素、EOS R6 Mark IIIは最大約3250万画素です。
6000万画素や1億画素を見た後では、数字が小さく感じられるかもしれません。
しかし、一般的な写真用途では3000万画素台は非常に使いやすい位置にあります。
十分なトリミング耐性があり、大型プリントにも対応できます。それでいて6000万画素級よりファイルを軽くしやすく、転送、現像、保存も扱いやすくなります。
旅行、ポートレート、家族、ペット、イベント、風景、ブログ、YouTube用素材など、一台で幅広く撮影する人にとって、このバランスは大きな利点です。
超高画素機には、「最高クラスの機材を所有する」という満足感もあります。
しかし、実際の写真に必要な性能だけを考えれば、3000万画素台で不足しない撮影者は多いでしょう。
EOS Rシリーズの位置づけについては、EOS Rシリーズをまとめた記事も参考になります。
高画素ボディとの差額をレンズへ回す方法もある
写真の画質はセンサーの画素数だけで決まりません。
同じ予算なら、超高画素ボディと妥協したレンズを組み合わせるより、3000万画素級のボディに高性能なレンズを組み合わせた方が、写真そのものへの満足度が高くなる場合があります。
ポートレートなら大口径85mmや135mmによる描写の差は大きく、野鳥なら望遠レンズの焦点距離やAF性能が結果を左右します。
風景なら三脚、フィルター、広角レンズなどにも予算が必要です。
超高画素ボディを買ったことで、本当に必要なレンズを買えなくなるのであれば、それが画質向上への最適な投資なのかは考える必要があります。
ボディとレンズの予算配分については、高画素EOS R5の現在の価値を検証した記事も参考になります。
それでも超高画素が必要な撮影はある
風景・建築・商品撮影では高画素が直接的な武器になる
超高画素が無駄という話ではありません。
風景、建築、商品、美術品、広告など、細部を可能な限り残したい撮影では、画素数には明確な意味があります。
大判プリントでは細部の情報量が生きます。
商品撮影では一枚から複数の構図を作ることもできます。
建築写真ではパース補正によって画像の周囲を切り取るため、元画像に余裕があるほど有利です。
このような用途なら、6000万画素や1億画素は単なる数字ではありません。
撮影結果そのものに使える性能です。
高解像度が写真へ与える効果については、解像力と写真表現の関係でも詳しく解説しています。
野鳥では高画素をデジタル望遠として使える
野鳥や野生動物では、どれだけ長いレンズを使っても被写体へ十分に近づけないことがあります。
その場合、高画素によるトリミング耐性は大きな武器になります。
6000万画素以上あれば、被写体を画面の一部から切り出しても多くの画素を残せます。
高画素と高速連写を両立したカメラなら、従来の高画素機より動体撮影へ使いやすくなります。
一方で、野鳥そのものが動いていればボディ内手ブレ補正だけでは止まりません。
高速シャッター、高性能AF、解像力の高い望遠レンズまで揃って初めて、高画素の能力が生きます。
野鳥撮影で高画素を使う考え方については、EOS R5の高画素性能を検証した記事も参考になります。
ポートレートでは一枚から複数の用途へ展開できる
ポートレートで高画素が役立つのは、肌の毛穴まで写すためではありません。
髪、瞳、衣服、アクセサリーなどの情報を残しながら、撮影後に構図を変えられることが大きな利点です。
一枚の写真から、縦位置、横位置、正方形など複数の構図を作る場合、高画素ほど余裕があります。
広告、雑誌、Web、SNSなど、同じ写真を異なる媒体へ使う仕事では特に便利です。
肌は必要に応じて仕上げることができます。
最初に十分な情報量を記録し、必要な部分だけ調整するという考え方です。
人物撮影と高解像度の関係については、ニコンはポートレートに不向きなのかを検証した記事も参考になります。
高画素は多ければ多いほど良いのか
画素数が増えること自体が悪いわけではない
高画素について、「画素が増えるほど必ず高感度に弱くなる」と単純に考えるのも正確ではありません。
同じセンサーサイズで画素数を増やせば、一画素あたりが受ける光は少なくなります。
そのため100%表示では高画素機のノイズが細かく見える場合があります。
しかし最終的に同じ大きさへ縮小して比較すれば、高画素画像の細かなノイズは平均化されます。
実際の画質には、センサー構造、読み出し回路、画像処理、世代差など多くの要素が影響します。
高画素そのものが問題なのではありません。
読み出し速度、ブレ、レンズ、データ量、価格まで含め、高画素をカメラ全体として成立させられるかが重要です。
センサー構造による違いについては、裏面照射型と積層型センサーを比較した記事も参考になります。
高画素になるほど撮影者側にも精度を要求する
6000万画素や1億画素の画像を等倍表示すると、これまで気にならなかった小さなブレやピントのズレが見えてきます。
レンズの性能だけではありません。
シャッタースピード、AF位置、手持ち姿勢、絞り、三脚の安定性、被写体ブレなど、撮影そのものの精度が結果へ反映されます。
1億画素のカメラを買えば、自動的に1億画素分の細部が手に入るわけではありません。
その情報量を記録できる条件を作る必要があります。
超高画素機は誰でも使えるカメラですが、その性能を完全に引き出そうとすれば、従来以上に撮影条件が重要になります。
ブレと解像感の関係については、手ブレを抑えてシャープな写真を撮る方法も参考になります。
超高画素カメラはどんな人に向いているのか
高画素も速度も必要ならα7R VI
風景だけではなく、ポートレート、野鳥、動体まで幅広く撮影し、そのうえで高いトリミング耐性も欲しい場合、α7R VIのような高画素高速機は非常に強力です。
約6680万画素、積層型センサー、高速連写、強力なボディ内手ブレ補正、豊富なEマウントレンズという組み合わせにより、「高画素専用機」ではなく万能型へ近づいています。
高画素機にも速度を求める時代になったことを象徴するカメラです。
積層型センサーの利点については、積層型センサーの高速性能を解説した記事も参考になります。
解像度を最優先するならGFXやハッセルブラッド
風景、商品、建築、ポートレートなどで、速度よりも情報量そのものを重視するなら、GFX100シリーズやX2D II 100Cの1億画素は魅力的です。
センサーサイズもフルサイズより大きく、画素数だけではない中判ならではの特徴があります。
富士フイルムは比較的豊富なGFレンズとシステム全体の実用性、ハッセルブラッドは色再現、操作感、デザイン、XCDレンズを含めた独自性が大きな魅力になります。
センサーサイズの違いについては、フルサイズと中判を含むセンサーサイズの違いも参考になります。
所有することまで含めて楽しむならライカ
ライカSL、Q、Mシリーズは、画素数だけで費用対効果を比較するカメラではありません。
純粋なスペックだけを求めれば、より安価で高速なカメラがあります。
それでもボディの質感、操作方法、レンズ、デザイン、ブランドの歴史まで含めて価値を感じる人には、ライカにしかない魅力があります。
逆に、その部分へ価値を感じないのであれば、6000万画素を得るためだけにライカを選ぶ必要性は低くなります。
画素数だけでカメラを判断できない理由については、解像力と画質の関係を解説した記事も参考になります。
多くの人には3000万画素台のバランス型が合理的
超高画素機を見た後では、3000万画素台のカメラは地味に見えるかもしれません。
しかし撮影、保存、現像、価格、レンズ購入まで含めると、α7 VやEOS R6 Mark IIIのようなバランス型が最適な人は多いでしょう。
3000万画素台でも通常の写真用途では十分な解像度があります。
極端なトリミングや超大型プリントを行わない限り、不足を感じる場面は限られます。
高画素機との差額を良いレンズ、旅行、照明、PC、ストレージへ使えることまで考えれば、写真そのものを楽しむための選択肢は広がります。
高性能と実用性のバランスについては、EOS Rシリーズ各機種の選び方も参考になります。
まとめ 超高画素は必要な人には強力だが全員の正解ではない
超高画素カメラは、単純な画素数競争だけでは語れない段階に入っています。
α7R VIは6000万画素を超える高解像度と高速連写を組み合わせ、高画素機と高速機の境界を小さくしました。
GFX100シリーズやX2D II 100Cは、1億画素へ強力なボディ内手ブレ補正を組み合わせ、超高画素を手持ち撮影へ持ち出せるカメラにしています。
ライカは6000万画素を、SL、Q、Mというまったく異なる撮影スタイルの中へ組み込んでいます。
RX1R IIIは小型ボディに6100万画素を搭載する一方、静止画用の手ブレ補正を持たないことで、高画素をどのように実用化するのかという疑問も投げかけます。
EOS R5 Mark IIの4500万画素は、数字だけなら突出した超高画素ではありません。しかしAF、連写、動画、操作性を含めた総合機として考えれば、画素数とは別の方向で非常に高性能です。
そして、多くの撮影者にとっては、α7 VやEOS R6 Mark IIIの3000万画素台でも十分な可能性があります。
高画素には、トリミング、大判プリント、風景、建築、商品、野鳥などで明確な利点があります。
その一方で、レンズへの要求、手ブレへの厳しさ、巨大なデータ、PC負荷、保存容量、価格という負担も増えます。
重要なのは、「6000万画素だから上」「1億画素だから最高」という数字の比較ではありません。
自分の撮影で、その画素数を使う場面があるのか。
その解像度を引き出せるレンズを使うのか。
巨大なデータを保存し続けるのか。
そして、そのために支払う価格に満足できるのか。
そこまで使うのであれば、超高画素は非常に強力な武器になります。
そこまで必要としないのであれば、3000万画素から4500万画素程度のバランス型を選び、良いレンズへ予算を回す方が、費用対効果だけでなく撮影全体の満足度まで高くなる可能性があります。
高画素化がどこまで進んでも、最後に決めるべきなのは画素数ではありません。そのカメラで何を撮るのかです。



