EOS R6 Mark IIIのポートレート撮影設定|人物・瞳AF・絞り・シャッター速度を実践解説
EOS R6 Mark IIIは、人物を撮るときにAF性能と高速処理を生かしやすいフルサイズミラーレスです。人物検出と瞳AFを中心に設定を組み立てることで、構図や表情に集中しながら撮影できます。
ポートレートでは、背景をどこまでぼかすか、人物の動きをどの程度止めるか、瞳をどのように追うかによって適した設定が変わります。すべてを同じ設定で撮るのではなく、静止した人物、歩いている人物、室内、逆光など、場面ごとに少しずつ調整すると撮影しやすくなります。
EOS R6 Mark IIIそのものの特徴や基本性能については「EOS R6 Mark III」、カメラ全体の初期設定については「EOS R6 Mark IIIのおすすめ設定」で詳しく紹介しています。
この記事ではポートレートにテーマを絞り、人物撮影で実際に使いやすい設定を場面別に整理します。
EOS R6 Mark IIIでポートレートを撮る基本設定
- 人物検出と瞳AFを中心にAFを組み立てる
- サーボAFを基本にすると人物の小さな動きにも対応しやすい
- MモードとISOオートを組み合わせると露出を管理しやすい
人物検出と瞳AFを最初に設定する
EOS R6 Mark IIIで人物を撮る場合は、被写体検出を人物に設定し、瞳AFを使える状態から始めると撮影しやすくなります。
ポートレートで最も気を配りたい場所は目元です。特にF1.2、F1.4、F1.8といった明るいレンズを開放付近で使うと被写界深度が浅くなり、顔にはピントが合っているように見えても、拡大すると瞳からわずかに外れていることがあります。
人物検出と瞳AFを使えば、撮影者がAFフレームを目の位置へ細かく動かす操作を減らせます。人物を画面中央から外した構図や縦位置撮影でも、瞳を認識してくれれば構図を保ったまま撮影できます。
一人を撮る場面では、まず人物検出、瞳AF、全域AFという組み合わせから始めると分かりやすいでしょう。
人物が小さく写る全身撮影から、上半身、顔のアップへ撮影距離を変える場合にも、そのまま人物を追いやすい組み合わせです。
瞳AFそのものの特徴や使い方については「瞳AFはポートレートでどこまで使える?性能と信頼性」も参考になります。
サーボAFを基本にすると人物の小さな動きに対応しやすい
ポートレートというと人物が静止している撮影を想像しやすいですが、実際には完全に止まっている時間は長くありません。
顔の向きを変える、少し前へ体を傾ける、髪を直す、笑う、撮影者と会話するといった小さな動きでも、顔とカメラの距離は変化します。
被写界深度が深ければ大きな問題になりませんが、85mm F1.2や50mm F1.2などを開放付近で使うと数センチの前後移動でもピント位置が変わります。
そのため人物撮影ではサーボAFを基本にすると扱いやすくなります。
人物検出と瞳AFを組み合わせておけば、モデルが少し前後しても瞳を追い続けながら撮影できます。
三脚を使い、人物にも完全に静止してもらい、一枚ずつ慎重に構図を作る撮影ならワンショットAFも使えます。
屋外で会話しながら撮る、歩いてもらう、自然な表情を連続して狙うといった撮影ではサーボAFの方が設定変更を減らせます。
最初からサーボAFにしておけば、静止したポーズから突然歩いてもらう場合にもそのまま対応できます。
Mモード+ISOオートは人物撮影との相性がいい
ポートレートでは、絞りとシャッター速度を撮影者が決め、明るさの変化をISO感度で吸収する方法が使いやすくなります。
例えば屋外で一人を撮るなら、F2、1/500秒、ISOオートと設定します。
F2によって背景のぼけ方を決め、1/500秒によって人物の動きを止める条件を決めます。日なたから木陰へ移動して光量が変化しても、ISO感度が自動で変化するため、絞りとシャッター速度を維持できます。
背景の明るさが頻繁に変わる場所では特に便利です。
Avモードでもポートレートは撮れますが、暗い場所へ移動したときにシャッター速度が想定以上に遅くなることがあります。
人物撮影では手ブレの有無に加え、人物自身の動きも考える必要があります。
Mモードで必要なシャッター速度を先に確保しておけば、ISO感度が多少上がっても人物ブレを防ぎやすくなります。
EOS R6 Mark III全体の設定を一度整理しておきたい場合は「EOS R6 Mark IIIのおすすめ設定」と組み合わせると、カメラの基本設定とポートレート専用設定を分けて考えられます。
絞り・シャッター速度・ISO感度の決め方
- 絞りは背景のぼけと人物の前後差で決める
- シャッター速度は人物の動きに合わせて上げる
- ISO感度を無理に下げず必要なシャッター速度を確保する
一人ならF1.8~F2.8付近から始める
一人のポートレートではF1.8~F2.8付近から始めると、背景を整理しながら人物を浮かび上がらせやすくなります。
50mmや85mmの明るい単焦点レンズでは、開放付近まで絞りを開けることで大きな背景ぼけを作れます。
背景との距離が十分に取れる場所なら、F2.8でも人物と背景をきれいに分離できます。
一方、絞りを開ければ開けるほど良いわけではありません。
斜めを向いた顔をF1.2やF1.4で近距離から撮ると、手前の瞳にピントが合っていても奥側の目が大きくぼける場合があります。
両目をある程度鮮明に見せたい場合はF2.8~F4程度まで絞ると扱いやすくなります。
二人以上を撮る場合は人物の前後差も考えます。横一列ならF4程度でも対応しやすい場面がありますが、前後に並んでいる場合はF5.6やF8まで絞った方が全員を鮮明に写しやすくなります。
ポートレートの絞りは数字を固定して覚えるより、顔のどこまで鮮明に残したいか、背景をどこまでぼかしたいかで決めると撮影意図を反映できます。
静止人物は1/250秒、動きがあれば1/500秒以上を目安にする
人物が静かに立っている撮影なら、1/250秒前後を一つの出発点にできます。
完全に静止してもらえる場面では1/125秒程度でも撮影できますが、自然な表情を狙って会話をしながら撮影すると、顔や肩、髪などは意外に動いています。
そのため少し余裕を持って1/250秒程度を確保すると安定します。
人物に歩いてもらう場合は1/500~1/1000秒程度まで上げます。
走る、ジャンプする、回転する、髪を大きく振るといった動きを止めるなら1/1000~1/2000秒程度も使います。
EOS R6 Mark IIIの高速撮影性能を人物撮影へ使う場合、カメラの連写速度だけに注目するのではなく、まず被写体を止められるシャッター速度を確保することが重要です。
高速撮影については「EOS R6 Mark IIIの高速撮影性能」でも詳しく紹介しています。
人物撮影では一枚ごとの構図を作る撮り方と、一瞬の表情を連写で拾う撮り方の両方が使えます。場面によってシャッター速度と連写を組み合わせると、EOS R6 Mark IIIの性能を生かせます。
ISO感度は画質と人物ブレのバランスで考える
ポートレートではISO100に固定することへこだわりすぎると、シャッター速度が不足することがあります。
屋外の日中ならISO100付近で十分なシャッター速度を確保しやすいですが、木陰、曇天、室内、夕方になると光量は急に減ります。
例えばF2、1/500秒を維持するためにISO800やISO1600になる場合でも、人物が鮮明に止まっている写真の方が使いやすくなります。
ISO感度を低くするために1/60秒までシャッター速度を落とし、目元や髪がわずかにぶれてしまえば、あとから修正できる範囲は限られます。
そのためMモード+ISOオートはポートレートとの相性が良い設定です。
撮影者は絞りでぼけ方を決め、シャッター速度で人物の動きを止めます。ISO感度はその二つを成立させるためにカメラへ任せます。
明るさが一定のスタジオや室内ならISO感度まで固定する方法も使えます。
自然光を使って屋外を移動しながら撮るならISOオートの便利さが大きくなります。
静止・歩き・動きのある人物を場面別に設定する
- 静止ポートレートでは表情と背景ぼけを重視する
- 歩く人物ではサーボAFと1/500秒以上を使う
- 走る人物や子どもでは高速シャッターと連写を組み合わせる
静止ポートレートはF2・1/250秒から始める
人物に立ち位置を決めてもらい、一枚ずつ撮るポートレートなら、Mモード、F2、1/250秒、ISOオートから始めると設定を組み立てやすくなります。
AFはサーボAF、人物検出、瞳AF、全域AFを基本にします。
背景を大きくぼかしたい場合はF1.4やF1.8へ開けます。顔全体を鮮明にしたい場合はF2.8やF4へ絞ります。
人物が動かない場面では高速連写を使い続ける必要はありません。
一枚撮って表情を確認し、少し姿勢を変えてもらい、再び撮るという方法なら単写でも十分です。
一方、笑顔へ変わる瞬間や視線を動かした瞬間を拾いたい場合は、低速から中程度の連写を使うと選択肢を増やせます。
静止ポートレートでは連写枚数を増やすこと自体が目的ではありません。
目線、口元、肩の角度、髪の位置、背景の形を見ながら、一枚ごとの完成度を高める方が重要です。
EOS R6 Mark IIIのAFには瞳を任せ、撮影者は人物の表情と構図を見るという役割分担がしやすい撮り方です。
歩く人物はF2.8・1/800秒前後を基本にする
人物にこちらへ向かって歩いてもらう撮影では、撮影距離が連続して変化します。
この場面ではサーボAFの効果が大きくなります。
基本設定として、Mモード、F2.8、1/800秒、ISOオート、サーボAF、人物検出、瞳AF、全域AFから始めると扱いやすくなります。
背景を強くぼかしたい場合はF2やF1.8も使えますが、被写界深度が浅くなるためAF精度への要求も高まります。
最初はF2.8程度にしておくと、人物が前後してもある程度余裕を持たせられます。
歩く人物では一枚だけ狙うより、良い表情や歩幅になった瞬間に短く連写する方法が向いています。
一歩ごとに手足の位置や髪の形が変化するため、数枚の中から最も自然な一枚を選べます。
連写を長時間続ける必要はありません。
人物が良い位置へ入った瞬間に数枚撮影し、いったん指を離して次のタイミングを待つ方が写真整理もしやすくなります。
野鳥撮影ではさらに動体追従を重視した設定を使います。「EOS R6 Mark IIIの野鳥撮影設定」と比べると、同じサーボAFでも人物撮影で何を優先すべきかが分かりやすくなります。
走る人物や子どもは1/1000秒以上と連写を使う
子どもが走る、ジャンプする、遊具で遊ぶといった場面では、ポートレート撮影でも設定は動体撮影に近くなります。
シャッター速度は1/1000秒程度から始め、動きが速ければ1/1600秒や1/2000秒まで上げます。
絞りはF2.8~F4程度にすると、背景をぼかしながら被写界深度にも少し余裕を持たせられます。
AFはサーボAF、人物検出、瞳AF、全域AFを使い、高速連写を組み合わせます。
走っている人物では表情だけでなく、腕や脚の形も写真の印象を左右します。
顔が良くても足の位置が中途半端な瞬間があります。連写を使えば、フォームが整った一枚を選びやすくなります。
ジャンプ撮影でも同じです。頂点付近、上昇中、着地直前では写真の印象が大きく変わります。
EOS R6 Mark IIIの高速性能はスポーツ専用の機能として考える必要はありません。
人物撮影でも一瞬の表情や姿勢を選ぶために使えます。
室内・逆光・夕方のポートレート設定
- 室内ではISO感度を上げてもシャッター速度を確保する
- 逆光では人物の顔を基準に露出を決める
- 夕方は背景の光を残しながら人物ブレを防ぐ
室内ではF1.8~F2.8と1/250秒を基準にする
室内では屋外より光量が少なく、シャッター速度が不足しやすくなります。
50mm F1.8や85mm F1.8などの明るいレンズなら、F1.8~F2.8程度まで開けることで光量を確保しながら背景もぼかせます。
シャッター速度は1/250秒前後から始めます。
人物が完全に静止しているなら1/125秒程度でも撮影できますが、会話をしながら撮る場合は表情や頭が動きます。
ISO感度が800、1600、3200まで上がっても、必要なシャッター速度を確保した方が人物を鮮明に残しやすくなります。
窓から自然光が入る部屋なら、人物を窓の真正面へ向けるだけでなく、斜め方向から光が当たる位置へ移動してもらうと顔に立体感を作れます。
レンズ選びによって室内で撮れる距離も変化します。
キヤノンの人物撮影用レンズをまとめて確認する場合は「キヤノンのポートレート向けレンズ」も参考になります。
逆光では顔の明るさを見ながら露出を調整する
逆光はポートレートで使いやすい光です。
人物の後ろから光が当たることで髪や肩の輪郭が明るくなり、背景から人物を浮かび上がらせられます。
一方、背景が非常に明るいと人物の顔が暗く写りやすくなります。
Avモードなら露出補正を使い、Mモード+ISOオートなら顔の明るさを確認しながら露出を調整します。
背景の明るい部分をすべて残そうとすると、顔が暗くなりすぎる場合があります。
人物が主役の写真なら、まず肌と目元の見え方を確認します。
撮影後は背面モニターで全体を見るだけでなく、顔を拡大して瞳のピントと肌の明るさを確認すると失敗を見つけやすくなります。
逆光では背景が大きくぼける構図も作りやすくなります。
木漏れ日や夕日の反射を背景へ入れ、大口径レンズを開放付近で使えば、光の点を大きなぼけとして配置できます。
背景をどの程度見せるかによって、絞りをF1.8からF4程度まで調整します。
夕方はISOオートを使って明るさの変化へ対応する
夕方は短い時間で周囲の明るさが変化します。
撮影開始時にISO200だった設定が、しばらくするとISO800やISO1600を必要とすることがあります。
こうした場面ではMモード+ISOオートが便利です。
静止人物ならF1.8~F2.8、1/250秒、ISOオート。
歩く人物ならF2~F2.8、1/500~1/800秒、ISOオートを基本にします。
日没後に街灯や店舗の照明を背景へ入れる場合も、シャッター速度を極端に落とさないようにします。
背景の光をきれいに残そうとして1/30秒まで下げると、人物がわずかに動いただけでも目元がぶれる可能性があります。
背景を明るく見せたい場合はISO感度を上げる方法もあります。
夕方や夜はホワイトバランスによって写真の雰囲気も大きく変わります。
暖色の街灯をそのまま生かすのか、肌を自然な色に近づけるのかを考えて調整すると、同じ場所でも印象を変えられます。
焦点距離に合わせてポートレート設定を変える
- 35mmは人物と周囲の環境を一緒に見せやすい
- 50mmから85mmは人物を主役にした撮影へ使いやすい
- 70-200mmは背景整理と圧縮感を生かしやすい
35mmでは人物へ近づきすぎないようにする
35mmは人物と背景を一緒に写したいポートレートに向いています。
街中、室内、旅行先など、その場所の雰囲気も写真へ残したい場合に使いやすい焦点距離です。
全身や膝上程度の構図なら、人物だけを切り取る写真とは違った物語性を作れます。
一方、顔のアップを35mmで撮るためにカメラを近づけすぎると、顔の遠近感が強く見える場合があります。
鼻が大きく見える、顔の端が広がって見えるといった変化が気になる場合は、少し撮影距離を取って構図を広げます。
35mmポートレートの距離感については「35mmポートレートで顔が歪んで見える理由」でも詳しく紹介しています。
35mmでは背景が広く入るため、絞りだけで背景を整理するのが難しい場面もあります。
背景の看板、電柱、人、明るい物体などの位置を確認し、人物の背後ができるだけ整理された場所を選ぶことが重要です。
設定はF1.8~F2.8、1/250秒以上、ISOオートから始めると扱いやすくなります。
50mmと85mmは背景ぼけを作りやすい
50mmと85mmは人物を主役にしたポートレートで使いやすい焦点距離です。
50mmは全身から上半身まで幅広く対応し、撮影者と人物の距離も極端に離れません。
85mmはもう少し距離を取って撮れるため、背景を整理しやすく、上半身や顔を中心としたポートレートに向いています。
明るい50mmレンズなら、F1.2やF1.8を生かして大きなぼけを作れます。
「RF50mm F1.2 L USMでポートレートを撮る」では、大口径50mmを人物撮影へ使う考え方も紹介しています。
85mmでは被写界深度がさらに浅く感じやすいため、顔の角度によってF値を調整します。
真正面なら開放付近も使いやすく、斜め顔で両目を残したい場合は少し絞ると安定します。
EFレンズを使う構成なら「EF85mm F1.8 USMのポートレート表現」のように、比較的軽い85mmも選択肢になります。
70-200mmは撮影距離を取って背景を整理できる
70-200mmは屋外ポートレートで使いやすいズーム域です。
人物から距離を取りながら上半身や顔を切り取れるため、背景に余計なものが多い場所でも画角を整理しやすくなります。
135mmや200mm側を使うと背景が大きく写り、遠くにある木や建物を背景として利用しやすくなります。
人物と背景の距離が十分にあれば、F2.8やF4でも大きな背景ぼけを作れます。
70-200mm F2.8を人物撮影へ使う場合は「RF70-200mm F2.8 L IS USMのポートレート撮影」も参考になります。
望遠側では手ブレにも注意します。
人物が静止していても、撮影者自身の揺れを考えて1/250秒以上を確保すると扱いやすくなります。
歩いている人物なら1/500~1/1000秒程度まで上げます。
EOS R6 Mark IIIのAFと望遠ズームを組み合わせれば、少し離れた場所から自然な表情を狙う撮影もしやすくなります。
ポートレートで失敗しやすい設定を見直す
- 瞳AFを使っていても撮影後のピント確認は行う
- 手ブレ補正を過信せず人物の動きに合ったシャッター速度を使う
- 背景ぼけだけを優先せず顔全体の見え方を確認する
瞳AFを使っていても目元を拡大して確認する
瞳AFがあるからすべての写真で確認が不要になるわけではありません。
大口径レンズを開放付近で使うと被写界深度が非常に浅くなるため、撮影距離、顔の角度、人物の動きによって結果が変わります。
撮影開始直後に数枚撮ったら、背面モニターで目元まで拡大して確認すると安心です。
ピントが安定していれば、そのまま撮影を続けられます。
奥側の目がぼけすぎている場合は少し絞ります。
歩く人物でピントが安定しない場合は、F1.4からF2.8へ絞ることで被写界深度に余裕を持たせる方法もあります。
AF設定だけを変更して解決しようとせず、絞りと撮影距離も含めて考えることが大切です。
特に顔のアップではピント位置が写真の印象を強く左右します。
全身撮影では気にならなかった小さなズレも、顔を大きく写すと目立ちます。
撮影距離が近くなるほど、撮影後の確認を丁寧に行います。
手ブレ補正があっても人物ブレは止まらない
手ブレ補正が強力なカメラでは低速シャッターを使いやすくなりますが、人物自身の動きまで止めることはできません。
1/30秒でカメラがぶれずに撮れたとしても、人物が笑ったり顔を動かしたりすれば目元が流れることがあります。
ポートレートでシャッター速度を決めるときは、カメラを手持ちできる速度だけを基準にしないことが重要です。
静止人物なら1/250秒前後、歩く人物なら1/500秒以上、走る人物なら1/1000秒以上というように、人物側の動きを基準に考えます。
光量が足りなくなったらISO感度を上げます。
明るいレンズを使えるなら絞りを開けます。
それでも足りない場合に初めてシャッター速度を少し下げるという順序にすると、人物ブレを防ぎやすくなります。
撮影後に「ピントは合っているはずなのに何となく甘い」と感じる写真は、AFではなく被写体ブレが原因になっている場合があります。
背景ぼけを優先しすぎると顔の見え方が崩れることがある
ポートレートでは背景ぼけが注目されやすいため、明るいレンズを買うと常に開放で使いたくなることがあります。
F1.2やF1.4には独特の大きなぼけがありますが、人物の顔の角度によっては被写界深度が浅すぎる場合があります。
片目だけにピントが合い、反対側の目や耳が大きくぼける表現が狙いなら問題ありません。
顔全体を自然に見せたい写真では、F2やF2.8へ少し絞った方がまとまりやすくなります。
背景ぼけはF値だけで決まりません。
焦点距離、人物までの距離、人物と背景の距離も影響します。
人物を背景から離し、85mmや135mmなど少し長い焦点距離を使えば、F2.8やF4でも十分なぼけを作れることがあります。
レンズの開放F値を必ず使い切る必要はありません。
人物の顔をどのように見せたいかを先に決め、その結果として絞りを選ぶ方がポートレートの設定として合理的です。
EOS R6 Mark IIIのポートレート設定をカスタム登録する
- 静止人物用の設定を一つ作る
- 歩く人物用の設定を別に作る
- 撮影内容に応じてカスタム撮影モードを切り替える
静止人物用はF2・1/250秒を基準に登録する
人物撮影を頻繁に行うなら、よく使う設定をカスタム撮影モードへ登録しておくと撮影開始が速くなります。
静止人物用なら、Mモード、F2、1/250秒、ISOオート、サーボAF、人物検出、瞳AF、全域AFを基準にできます。
撮影場所へ着いたらカスタム撮影モードを呼び出し、光量や使用レンズに応じて絞りだけ変更します。
85mm F1.2ならF1.4へ開ける、複数人物ならF4やF5.6へ絞るといった調整です。
基本設定が毎回同じ状態から始まるため、AF設定を確認し忘れる可能性も減らせます。
特に複数の撮影ジャンルを同じカメラで行う場合に便利です。
前日に野鳥を撮っていて、サーボAFや連写、シャッター速度が動体向けの状態になっていても、人物用カスタム設定を呼び出せばポートレートの出発点へ戻せます。
EOS R6 Mark IIIを幅広く使う場合ほど、用途ごとに設定を分ける意味が大きくなります。
歩く人物用はF2.8・1/800秒を基準にする
歩く人物用には、静止人物と別の設定を作っておくと切り替えが速くなります。
Mモード、F2.8、1/800秒、ISOオート、サーボAF、人物検出、瞳AF、全域AF、高速連写を一つの基準にできます。
人物へ「次は歩いてください」と伝えたあと、絞り、シャッター速度、連写を個別に変更していると撮影の流れが止まります。
カスタム設定を切り替えれば、主要な設定をまとめて変更できます。
その場で光量が少なければ1/500秒へ変更し、動きが速ければ1/1000秒へ上げます。
設定値を絶対的な数字として固定するのではなく、撮影開始時の基準として使う方法です。
モデルとの撮影ではテンポも重要です。
撮影者が毎回カメラのメニューを操作している時間が長くなると、人物の表情や撮影の流れが途切れます。
あらかじめ用途別設定を作っておくことで、撮影中は人物とのやり取りへ集中できます。
EOS R6 Mark IIIを用途別に設定すると操作が分かりやすくなる
EOS R6 Mark IIIには多くのAF機能や撮影設定がありますが、すべてを一度に使う必要はありません。
ポートレートなら人物検出と瞳AFを中心にする。
野鳥なら動物検出や高速連写を中心にする。
風景ならAF速度より絞りやISO感度を重視する。
このように撮影対象ごとに設定の中心を変えると、機能の多さに振り回されにくくなります。
EOS R6 Mark IIIの機種全体について確認するときは「EOS R6 Mark III」、用途を横断した基本設定は「EOS R6 Mark IIIのおすすめ設定」、野鳥撮影は「EOS R6 Mark IIIの野鳥撮影設定」という形で使い分けられます。
また、キヤノンの各機種やレンズをまとめて確認する場合は「キヤノン大全」から関連する機材へたどれます。
ポートレート記事では人物撮影に必要な設定へ集中し、機種紹介や他ジャンルの設定記事と役割を分けることで、必要な情報を探しやすい構成になります。
まとめ
EOS R6 Mark IIIでポートレートを撮る場合は、人物検出、瞳AF、サーボAFを中心に設定を組み立てると扱いやすくなります。
一人の静止人物なら、Mモード、F2前後、1/250秒、ISOオート、サーボAF、人物検出、瞳AF、全域AFから始められます。
人物に歩いてもらう場合は1/500~1/1000秒程度へシャッター速度を上げ、短い連写を組み合わせます。
走る人物や子どもなら1/1000~1/2000秒程度まで上げることで、表情だけでなく髪や手足の動きも止めやすくなります。
室内や夕方ではISO感度を無理に低くせず、人物を止められるシャッター速度を優先します。
絞りは一人ならF1.8~F2.8程度から始め、両目や複数人物を鮮明に写したい場合はF4~F8程度まで調整します。
35mmでは人物と背景を一緒に見せやすく、50mmや85mmでは人物を主役にした構図を作りやすくなります。70-200mmでは撮影距離を取りながら背景を整理できます。
EOS R6 Mark IIIのAF性能を生かすポイントは、カメラに任せられる部分を任せ、撮影者が表情、光、構図、背景を見る時間を増やすことです。
静止人物用と動く人物用の設定をあらかじめ作っておけば、撮影中の設定変更も少なくできます。
人物の動き、撮影距離、レンズ、光量に合わせて絞りとシャッター速度を調整すれば、EOS R6 Mark IIIをポートレート撮影で使いやすくできます。



