EFマウントを使用している方の中には、マクロ撮影に興味がありながらも、どのような特長を持つレンズがあるのか把握できていない方も多いかもしれません。EFマクロレンズは、被写体に近づいて撮影できるだけでなく、細部まで鮮明に描き出す高精細な表現が可能です。本記事では、EFマクロレンズ全体の特長や活用シーンを分かりやすく紹介し、撮影の幅を広げたい方に向けてその魅力を解説します。
EFマクロレンズで見つける撮影の新たな世界 接写で広がる細密描写の魅力
EFマクロレンズは、単に拡大して撮影するだけのレンズではありません。ポートレートや商品撮影、自然観察など、さまざまなジャンルに対応できる高い表現力を持ち、背景の美しいボケや被写体の細密な描写が可能です。この記事では、EFマウントのマクロレンズがどのような撮影で活躍し、どのようなユーザーに適しているのかを明確にしながら、マクロ撮影の楽しさを伝えます。
EFマクロレンズ
- 等倍撮影の魔法：EFマクロレンズが見せる小宇宙
- 背景を溶かす魅力：マクロレンズとボケ表現の世界
- 実用性と表現力の融合：マクロレンズが広げる写真の幅
等倍撮影の魔法：EFマクロレンズが見せる小宇宙
EFマクロレンズは、通常のレンズでは捉えることが難しい被写体の細部まで鮮明に写し出すことができる特別なレンズです。等倍撮影に対応しているモデルが多く、被写体を実物大でセンサー上に再現することができます。これにより、花の花弁にある細かな毛羽立ちや昆虫の複雑な構造など、肉眼では気づきにくい世界を写真として可視化できる点が魅力です。特にEF100mm F2.8Lマクロ IS USMのような高性能なレンズでは、ハイブリッドIS機構によって手ブレを大幅に軽減できるため、三脚を使わずに手持ちでのマクロ撮影も現実的です。背景を大きくぼかすことも可能で、主題となる被写体がくっきりと浮き立つ印象的な写真が得られます。日常生活で見落としがちな身近なものを被写体にすることができ、たとえば水滴の中に映る景色や、紙の繊維一本一本まで捉えられる表現力は、マクロレンズならではの魅力です。また、EFマクロレンズはポートレートや風景にも応用できる柔軟性を持っており、絞り値を調整することで意図的な被写界深度コントロールも可能です。等倍撮影という特性は撮影スタイルを大きく変えるものであり、撮影者の視点やアプローチにも変化をもたらします。こうした特性を理解し活用することで、EFマクロレンズは日常の中にある小さな世界を劇的に描写するための強力なツールとなります。
背景を溶かす魅力：マクロレンズとボケ表現の世界
EFマクロレンズは、接写性能だけでなくボケの描写にも優れている点が評価されています。特に焦点距離が長めの100mmクラスのマクロレンズでは、被写体から背景までの距離を大きく取ることができ、その結果として非常に滑らかで柔らかなボケが生まれます。このボケ表現は被写体を引き立てるだけでなく、背景の雑然とした要素を美しく処理する役割も果たします。EF100mm F2.8Lマクロ IS USMでは、円形絞りの採用により点光源のボケも円形に近い形を保ち、特に背景に光が差し込む状況では幻想的な描写が期待できます。ボケの質が高いことで、マクロ撮影だけでなくポートレート撮影にも活用されることが多く、背景を気にせず被写体に集中できる環境を作り出せるのが特徴です。さらに、近接撮影時の浅い被写界深度を活かすことで、主題の一部だけにフォーカスを合わせて印象的な構図を作り出すことができ、芸術的な写真にも発展させることが可能です。ボケの柔らかさと主題のシャープさの対比によって、見る人の視線を意図的に誘導できるため、表現意図の強い写真を撮りたい場合にもEFマクロレンズは有効な選択肢となります。背景をぼかす技術とその活用方法を理解することで、マクロレンズの本当の価値が見えてくるのです。
実用性と表現力の融合：マクロレンズが広げる写真の幅
EFマクロレンズは、単なる接写用の道具にとどまらず、幅広いジャンルで活躍する万能な存在です。たとえば料理写真や商品撮影では、被写体の質感や色彩を忠実に捉える能力が重要ですが、マクロレンズはその精細な描写力によって被写体の魅力を余すところなく伝えることができます。また、自然撮影においても昆虫や植物の観察記録としてマクロ撮影が活用されるだけでなく、作品としての完成度を高めるための表現手段としても有効です。被写体に極端に近づく必要があるため、構図やライティングの工夫も必要となり、結果として撮影技術の向上にもつながります。加えて、EF100mm F2.8Lマクロ IS USMのように中望遠レンズとしても使えるモデルであれば、スナップやポートレートなどの撮影にも応用が利きます。つまり、マクロレンズ一本でさまざまな撮影に対応できるため、荷物を減らしたい撮影時にも最適な選択肢となります。このように、実用性と表現力を兼ね備えたEFマクロレンズは、写真における自由度を大きく広げてくれる存在であり、一度その魅力に触れると手放せないレンズの一つとなります。
EFマクロレンズで見つける小さな世界の大きな魅力
- 身近な被写体を劇的に変える接写の力
- マクロレンズが描く立体的なボケ表現
- 日常からアートへ：表現の幅を広げる一本
身近な被写体を劇的に変える接写の力
EFマクロレンズは小さな世界を劇的に切り取るための特別なレンズです。等倍撮影が可能な設計により、被写体を実物大で撮影できることから、肉眼では見えないディテールを鮮明に記録することができます。たとえば小さな昆虫の複雑な構造や、花の中心にある細かな花粉の粒子まで写し出せるため、普段見慣れているはずの被写体がまったく新しい存在として感じられます。EFマクロレンズはその解像力と描写力に優れており、絞り開放でも高いシャープネスを保ちつつ背景を自然にぼかすことができます。これは被写体を際立たせるために非常に有効で、構図の自由度が高まるとともに表現の幅も広がります。さらに中望遠の焦点距離を持つモデルであれば、撮影距離に余裕を持たせることができ、被写体に影を落とさず撮ることも可能です。たとえばEF100mm F2.8Lマクロ IS USMは、ハイブリッドISによる手ブレ補正機構を搭載しており、手持ち撮影でもブレの少ないシャープなマクロ写真を実現します。このようにEFマクロレンズは、特殊な撮影機材と思われがちですが、実際には日常の中で見過ごしがちな対象を再発見するきっかけを与えてくれる非常に実用的なツールです。身近なものを被写体として選び、接写によって新たな魅力を引き出すことで、写真に対する視点が根本から変わる体験を味わうことができます。
マクロレンズが描く立体的なボケ表現
EFマクロレンズは近接撮影に強いだけでなく、美しいボケを生み出す描写力にも定評があります。特に中望遠マクロレンズにおいては、被写体と背景との距離がしっかりと確保できるため、背景が滑らかに溶けるようにボケてくれる点が魅力です。F2.8の明るさを持つレンズでは、被写界深度が非常に浅くなり、フォーカスの合った部分だけが際立ち、その他の部分は滑らかに背景へと溶け込むように描かれます。この特性を活かすことで、被写体に視線を集中させながら写真に立体感を持たせることができます。また、EF100mm F2.8Lマクロ IS USMに搭載された円形絞りにより、点光源などが美しい円形ボケとして表現され、背景に幻想的な雰囲気を演出することも可能です。これは単に被写体を引き立てるだけでなく、写真全体に柔らかく上質な印象を与える効果を持っています。ボケ味にこだわる撮影者にとって、マクロレンズが持つこのような特性は表現力を大きく広げる手段となり、花や雑貨、ポートレートといったジャンルにおいても非常に有効です。ピント面のシャープさと背景のなだらかなボケとのコントラストが、視覚的に印象的な構成を生み出すため、被写体がどんなに小さくてもその存在感を強く印象付けることができます。マクロ撮影においてボケの質を重視することで、ただの接写写真にとどまらず、芸術性を持った作品へと昇華させることができるのです。
日常からアートへ：表現の幅を広げる一本
EFマクロレンズは、ただ被写体を大きく写すだけでなく、写真表現そのものを根底から変える力を持っています。たとえば日常の中にあるコーヒーカップの縁や水滴、テーブルの木目など、普段意識しないような対象を接写することで、思いがけない美しさやパターンを発見することができます。こうした視点の転換は、写真を記録から表現へと変える大きなきっかけとなり、マクロレンズを手にした人の多くが被写体の探し方や構図への意識を見直すようになります。さらにEFマクロレンズは、背景の整理がしやすいという利点も持っており、被写体と背景を明確に分離することで視覚的なストレスのない写真を作ることができます。この特性は、ブログ用の物撮りやアクセサリー撮影などにも応用できるため、趣味の撮影から商用の写真まで幅広く活用されています。また、マクロレンズは絞り込むことでパンフォーカス的な描写も可能になるため、被写体全体にピントを合わせた精密な記録写真としても活用できます。このようにマクロレンズ一本で多様な撮影スタイルに対応できるという柔軟性は、写真の表現力を格段に高める要素となります。小さな世界を大きく見せるという単純な技術的価値を超え、見る人に驚きや感動を与える表現としての価値を生み出せるのが、EFマクロレンズが支持され続ける最大の理由です。
EFマクロレンズで変わる撮影の視点と表現力
- 等倍の世界が教えてくれる細部の美しさ
- 被写体と背景の関係性を制御する楽しさ
- 一本でこなす撮影スタイルの多様化
等倍の世界が教えてくれる細部の美しさ
EFマクロレンズの最大の特徴は、等倍撮影が可能な点にあります。等倍とは、被写体がセンサー上に実寸大で写る倍率のことであり、たとえば1cmの被写体はそのまま1cmの大きさで記録されます。これにより人の肉眼では見落としてしまうような繊細なディテールを余すところなく描写することができ、花の花弁の繊維、昆虫の体表の微細な毛、さらには水滴に映り込んだ反射像までもが写し出されるのです。EF100mm F2.8Lマクロ IS USMのようなレンズであれば、この等倍性能に加えて高い解像力とシャープネスがあり、開放F値での撮影でも被写体のディテールをしっかりと捉えられます。さらに、このモデルにはハイブリッドIS機構が搭載されており、前後左右のブレだけでなく、回転や上下方向のブレにも対応しているため、手持ちでの撮影時にも非常に安定した写真が得られます。等倍での世界に慣れてくると、これまで見過ごしていた小さなものに対する感受性が高まり、撮影者自身の観察力や視点にも変化が現れるようになります。マクロ撮影は機材の性能に頼るだけでなく、光の扱いやピントの位置に対する細心の注意が求められるため、撮影技術の向上にもつながります。等倍撮影を経験することは、写真表現の可能性を広げるとともに、写真そのものへの向き合い方を深く見つめ直す貴重な機会となります。
被写体と背景の関係性を制御する楽しさ
EFマクロレンズを使った撮影では、被写体と背景との距離感やボケの具合を繊細にコントロールできる点が魅力のひとつです。特に100mmクラスの中望遠マクロでは、被写体からある程度距離を取りながらも大きく写すことができるため、背景の整理がしやすく、被写体だけをくっきりと浮き上がらせる構図が可能になります。背景が煩雑であると被写体の魅力が損なわれやすいですが、EFマクロレンズの浅い被写界深度を活かすことで、背景をなめらかにぼかし、主題を明確に際立たせることができます。F2.8の開放値を活かした撮影では、前ボケや後ろボケが美しく表現され、柔らかな描写が加わることで写真全体に空気感や奥行きが生まれます。特に屋外で自然光を利用する場合は、背景に木漏れ日や草むらを取り込むことで、幻想的なボケ玉が広がり、作品としての完成度が高まります。また、背景の距離や色味、明暗のバランスを意識することで、より芸術性の高い写真に仕上げることができ、見る人の印象にも強く残る一枚を作ることができます。被写体との距離だけでなく、背景の要素をどう配置するかを考えることで、撮影における構成力や想像力が鍛えられ、写真に対するアプローチそのものが豊かになっていきます。マクロレンズは単なる接写ツールではなく、背景処理という視点からも撮影者のスキルを磨く最高の教材となります。
一本でこなす撮影スタイルの多様化
EFマクロレンズは、マクロ撮影だけに特化したレンズという印象を持たれがちですが、実際には非常に汎用性の高い一本として多くの撮影シーンで活用されています。特に焦点距離100mmクラスのモデルは、ポートレートレンズとしても非常に優秀で、顔の輪郭を自然に描きながらも背景を大きくぼかすことができるため、被写体の表情を印象的に引き出すことができます。F2.8という明るさは室内撮影や夕方の光量が落ちる時間帯にも強く、ISO感度を過度に上げずに美しい画を保つことができるのも利点です。また、商品撮影やテーブルフォトにも威力を発揮し、小物や料理を大きく魅力的に写す際にも活躍します。EFマクロレンズの正確なピントと繊細な描写力は、ウェブショップの商品紹介写真やブログ用の写真においても高く評価されており、プロからアマチュアまで幅広く支持されています。さらに、被写体に寄れるという特性を活かして風景の中のワンポイントにフォーカスを当てたり、街中で見つけた面白いテクスチャーを抽出したりするなど、スナップ撮影にも応用可能です。このように、EFマクロレンズは一本持っているだけで撮影のバリエーションが一気に広がるレンズであり、撮影旅行や軽装備での外出時にも最適な選択肢となります。用途を限定することなく、状況に応じてフレキシブルに対応できる点こそが、このレンズの最大の魅力であり、写真をもっと自由に楽しみたい人にとって頼れる相棒となる存在です。
EFマクロレンズ一覧
- EF50mm F2.5 コンパクトマクロ
- ライフサイズコンバーターEF（EF50mm F2.5コンパクトマクロ専用）
- MP-E65mm F2.8 1-5X マクロフォト
- EF100mm F2.8 マクロ
- EF100mm F2.8 マクロ USM
- EF100mm F2.8L マクロ IS USM
- EF180mm F3.5L マクロ USM
EF50mm F2.5 コンパクトマクロ
EF50mm F2.5 コンパクトマクロは、コンパクトかつ軽量な設計でありながら高い描写力を持つマクロレンズで、最大撮影倍率は0.5倍に対応しています。等倍撮影にはライフサイズコンバーターEFの併用が必要ですが、それがなくても一般的な接写用途には十分対応できる性能を備えています。このレンズは開放F2.5という比較的明るい設計により、マクロだけでなくスナップや物撮り、さらには簡易的なポートレート撮影にも応用することができます。解像力の高さに加え、コントラストの再現性にも優れており、色の再現も自然で忠実な印象を受けます。背景ボケはやや硬めではあるものの、被写体との距離が近くなるマクロ撮影では主題を引き立てる十分な分離が得られます。特に絞り込んだ際の解像性能が高く、精密な描写を求める製品撮影や資料写真などにも活用しやすいです。フォーカスはオートフォーカスに対応していますが、駆動音が少し大きめで速度もそれほど速くないため、静音性や速写性を求める場面には不向きです。とはいえ価格が手頃であり、EFマウントの入門用マクロとして根強い人気を保っている一本です。フルサイズ・APS-Cどちらでも使用可能で、APS-C機に装着した場合は焦点距離が約80mm相当になり、ポートレート寄りの画角としても利用できます。手持ちで気軽にマクロ撮影を始めたいユーザーにとって、コストパフォーマンスの高い魅力的な選択肢といえるでしょう。
ライフサイズコンバーターEF（EF50mm F2.5コンパクトマクロ専用）
ライフサイズコンバーターEFは、EF50mm F2.5 コンパクトマクロ専用に設計されたアクセサリーで、最大撮影倍率を0.5倍から1.0倍、すなわち等倍撮影まで拡張するために使用されます。このコンバーターを装着することで、被写体を実物大でセンサーに投影する撮影が可能となり、細部の描写や微小な対象の記録精度が大幅に向上します。ただし装着時には全体の光学系が変化するため、開放F値は実質的にF3.5程度となり、若干の光量低下が生じます。オートフォーカスの挙動も制限される場合があり、基本的にはマニュアルフォーカスでの使用が前提となりますが、そのぶん撮影に集中できる環境が整うとも言えます。描写は非常にシャープで、解像力の高さはそのままに等倍マクロ撮影の世界へと踏み込める拡張性の高さが特徴です。接写リングやクローズアップレンズと異なり、光学系全体のバランスを前提に設計されているため、画質の劣化が少なく、中心から周辺まで安定した描写を保てます。価格や入手性の点ではややマニア向けの製品ではありますが、EF50mm F2.5 コンパクトマクロを所有しているユーザーにとっては、このアクセサリーによってレンズの性能が倍増するとも言えるため、非常に価値のある追加アイテムです。マクロ撮影の表現力を広げるためのステップとして、ライフサイズコンバーターEFは独自の存在感を持つユニークなオプションとなっています。
MP-E65mm F2.8 1-5X マクロフォト
MP-E65mm F2.8 1-5X マクロフォトは、他に類を見ない特殊なマクロレンズであり、等倍から最大5倍までの超拡大撮影を実現することが可能です。これは一般的なマクロレンズが対応する等倍を大きく超える倍率であり、肉眼では見えない世界を写真として表現するための特化型機材です。たとえば昆虫の眼の構造や花粉の粒子、電子部品の表面構造など、ミクロな対象を拡大して記録することができるため、学術用途や観察記録、あるいは芸術的な表現手段としても非常に強力なツールです。このレンズはマニュアルフォーカス専用で、ピント合わせは被写体とカメラの距離を移動させて行う形式となっており、三脚やフォーカスレールがほぼ必須となります。加えて被写界深度が極端に浅くなるため、撮影には高度なライティング技術や精密なピント合わせが求められます。絞りF2.8というスペックを持っていますが、実使用では絞り込むことで被写界深度を確保する場面がほとんどです。ボケは滑らかというよりも独特な描写となり、背景処理というより主題そのものに集中する構図が好まれます。拡大倍率の調整はレンズの繰り出し量によって行い、倍率に応じてワーキングディスタンスも変化します。一般的な撮影には不向きですが、極めて高倍率な撮影を行いたいユーザーにとっては、唯一無二の存在であり、創作意欲を大いに刺激する専門性の高い一本です。
EF100mm F2.8 マクロ
EF100mm F2.8 マクロは、キヤノンの中でも古くから親しまれているクラシックなマクロレンズで、等倍撮影に対応した本格的な接写性能を持ちながらも、比較的手頃な価格で手に入る点が大きな魅力です。中望遠の焦点距離である100mmは、被写体との適度な距離を確保しつつ撮影できるため、被写体に影を落としにくく、昆虫や小動物など逃げやすい被写体に対しても安心してアプローチできます。このレンズはUSMを搭載していないため、フォーカス駆動はやや遅めで駆動音も目立ちますが、マクロ撮影では基本的にマニュアルフォーカスを多用するため、使用上はそれほど大きな支障にはなりません。描写性能は非常に優秀で、絞り開放でも中心部の解像度が高く、絞り込むことで画面全体のシャープネスがさらに増します。背景のボケは自然で滑らかというよりもやや硬めの印象を受けるものの、被写体をしっかりと引き立てる役割を果たします。最短撮影距離は約31cmで、等倍撮影時にもワーキングディスタンスがしっかり確保されており、撮影の自由度が高いのも特徴です。EF100mm F2.8L マクロ IS USMが登場した現在でも、この無印モデルはコストパフォーマンスに優れており、初めての本格マクロ撮影にチャレンジしたいユーザーにとって最適な入門レンズとして位置づけられています。軽量で携行性にも優れており、接写だけでなくスナップや簡易的なポートレート撮影にも柔軟に対応できる汎用性の高い一本です。
EF100mm F2.8 マクロ USM
EF100mm F2.8 マクロ USMは、従来モデルに比べてオートフォーカス性能が大幅に向上したモデルで、USM（超音波モーター）を搭載することにより、静音かつ高速なフォーカス駆動を実現しています。この改良によってマクロ撮影に加えてポートレートや日常撮影にも活用しやすくなり、幅広い用途での使用が可能になりました。等倍撮影に対応している点は旧モデルと共通ですが、フォーカスリミッターの搭載により、通常撮影とマクロ撮影の切り替えを効率よく行うことができ、フォーカスハンティングを防ぐ設計になっています。描写性能については、中心から周辺まで安定した解像感を保っており、細部の再現性も高く、特に絞り込んだ際の解像力は非常に優秀です。背景のボケはやや硬さを感じる場面もありますが、被写体との距離感や構図の工夫次第で柔らかく美しい描写も可能です。また、非Lレンズながらも高い完成度を持ち、価格帯もLレンズより抑えられているため、コストパフォーマンスの面でも優れた選択肢となっています。ワーキングディスタンスが十分に確保されていることでライティングや構図の自由度も高く、特に屋外での昆虫撮影や室内での商品撮影においてその実力を発揮します。オートフォーカスとマニュアルフォーカスの切り替えもスムーズで、被写体に応じた柔軟な対応が可能です。EFマクロシリーズの中でも、信頼性の高いスタンダードとして多くのユーザーに支持されている一本です。
EF100mm F2.8L マクロ IS USM
EF100mm F2.8L マクロ IS USMは、キヤノンのLレンズとして設計された高性能なマクロレンズであり、マクロ撮影における描写力、機能性、信頼性のすべてを兼ね備えたフラッグシップ的な存在です。等倍撮影はもちろん可能であり、ハイブリッドIS（イメージスタビライザー）を搭載している点が大きな特徴です。このハイブリッドISは、通常の手ブレ補正に加え、マクロ撮影で発生しやすい角度ブレとシフトブレの両方に対応しており、特に手持ち撮影での歩留まり向上に大きく貢献します。Lレンズならではの高い解像力とコントラスト性能を備え、開放F値からシャープな描写が得られ、被写体の細部まで鮮明に捉えることができます。色収差や歪曲収差も非常に少なく、絞り込んでも画質の安定性が保たれるため、商品撮影や学術用途にも適しています。また、背景のボケ味も非常に美しく、柔らかく自然なグラデーションが得られることから、マクロ撮影だけでなくポートレート撮影にも適しています。USMによる高速かつ静音のオートフォーカス性能に加え、フォーカスリミッター機能を備えていることで、通常撮影とマクロ撮影を効率よく切り替えることが可能です。さらに防塵防滴仕様の堅牢な筐体設計となっており、屋外での使用や長時間の撮影にも安心して対応できます。このように、EF100mm F2.8L マクロ IS USMはプロフェッショナルからハイアマチュアまで幅広いユーザーに支持されており、マクロ撮影の標準機とも言える完成度を誇っています。一本で接写から中望遠まで多用途に使えることから、初めてのLレンズやメインのマクロレンズとして選ばれることが多く、キヤノンユーザーにとって極めて信頼性の高いレンズです。
EF180mm F3.5L マクロ USM
EF180mm F3.5L マクロ USMは、キヤノンのマクロレンズラインナップの中で最も長い焦点距離を持つモデルであり、遠くからでも高倍率でのマクロ撮影が可能な専門性の高い一本です。Lレンズとしての描写力は極めて高く、特に解像力に優れ、被写体の微細なディテールを忠実に再現する能力を持っています。F3.5というやや控えめな開放F値ながら、ボケ味は柔らかく滑らかで、被写体との分離が美しく、背景処理の自由度も高いです。このレンズの最大の特長は、ワーキングディスタンスが非常に長いことであり、等倍撮影時でも約48cmの距離を確保できるため、警戒心の強い昆虫や動物などの撮影において威力を発揮します。USMによる静かで正確なフォーカス駆動を搭載しており、マクロ撮影だけでなく中望遠のレンズとしてポートレートや風景にも応用できます。ただし重量とサイズはやや大きめで、手持ち撮影にはやや不向きな側面があり、三脚や一脚との併用が推奨されます。また、手ブレ補正機構が搭載されていないため、シャッター速度には十分注意が必要です。光学性能はまさにプロフェッショナル向けの水準で、色収差や歪曲収差の少なさ、コントラストの高さなど、Lレンズならではの信頼性が随所に見られます。極めてニッチなニーズに応えるレンズではありますが、必要とする被写体に対しては最高の結果をもたらしてくれる一本です。
まとめ
EFマクロレンズは、等倍から高倍率まで対応したさまざまなモデルが揃っており、被写体に近づいてその細部を高精度に描写する撮影が可能です。背景のボケを美しく表現できるため、被写体を引き立たせる効果も高く、昆虫や花などの自然撮影だけでなく、商品撮影やポートレートにも幅広く対応できます。焦点距離の違いによって撮影距離やボケの雰囲気も変化するため、撮影目的に合わせたレンズ選びが重要です。EFマウントのマクロレンズは、光学性能の高さと使いやすさが両立されており、マニュアル撮影にも向いた精密なピント操作が可能です。また、手ブレ補正やUSMなどの機構を搭載したモデルもあり、初心者から上級者まで幅広い層に支持されています。EFマクロレンズは、撮影対象の魅力を最大限に引き出し、写真に新たな表現の可能性を与えてくれる貴重な選択肢であり、EFユーザーにとって一度は手にしておきたい存在と言えるでしょう。
