EOS-1D Xレビュー|連写・AF・高感度性能と中古で選ぶポイントを徹底解説
EOS-1D Xは、キヤノンがプロフェッショナル向け一眼レフとして開発したフルサイズ機です。約1810万画素のCMOSセンサー、最高約12コマ/秒の高速連写、61点AF、常用ISO100~51200という性能を備え、スポーツ、野鳥、報道、モータースポーツなど、一瞬を確実に撮影することを重視した設計になっています。
現在のミラーレスカメラと比較すると、人物や動物の瞳を自動検出するAF、画面全域に広がる測距点、ボディ内手振れ補正、高画素センサーといった機能はありません。それでもEOS-1D Xには、光学ファインダーを見ながら高速で動く被写体を追い、シャッターを切り続ける一眼レフならではの撮影感覚があります。
中古価格が大きく下がったことで、かつてプロ向けフラッグシップだったカメラを現実的な価格で使えるようになった点も見逃せません。ただし、約1530gという重量、大型ボディ、古い世代の動画機能、使用履歴が大きく異なる中古個体など、購入前に確認したい部分もあります。
この記事ではEOS-1D Xの連写、AF、高感度、画質、操作性、スポーツや野鳥での実用性、EOS-1D X Mark IIやEOS 5D系との違い、中古で購入するときの確認点まで詳しく解説します。
- EOS-1D Xは1D系と1Ds系を統合したフラッグシップ
- 最大約12コマ/秒の連写が最大の武器
- 61点AFは光学ファインダー撮影で今でも実用的
- 高感度性能はEOS-1D Xの大きな特徴
- 約1810万画素でも写真用途では十分な場面が多い
- 光学ファインダーで動体を追う楽しさがある
- 大型ボディは重いが縦位置撮影では使いやすい
- 堅牢性と耐久性を重視したプロ仕様ボディ
- スポーツ撮影では今でも分かりやすい強みがある
- 野鳥撮影ではAFと高感度が生きるが画素数には注意
- ポートレートではAFより色と操作感を楽しめる
- 動画性能は現在では大きく見劣りする
- EOS-1D X Mark IIとの違い
- EOS 5D系との違いは撮影目的にある
- 中古EOS-1D Xで最も重要なのは使用履歴
- 現在EOS-1D Xを選ぶ意味
- EOS-1D Xは高速一眼レフを味わうための本格機
EOS-1D Xは1D系と1Ds系を統合したフラッグシップ
EOS-1D Xは、それ以前に存在した高速連写を重視するEOS-1D系と、高画素フルサイズを重視するEOS-1Ds系を統合する形で登場しました。APS-Hセンサーを採用していた高速系1Dと、フルサイズセンサーを採用していた1Dsを一本化し、フルサイズで高速連写を実現したことが大きな特徴です。
有効画素数は約1810万画素で、当時存在したEOS 5D Mark IIIやEOS-1Ds Mark IIIより極端に高画素ではありません。その代わり、センサーからの高速読み出し、連写、高感度、AF、耐久性を含めた総合性能を優先しています。
約1810万画素は高速連写と高感度を重視した構成
EOS-1D Xの約1810万画素という数字は、現在の高画素ミラーレスと比べると控えめです。しかし、このカメラが狙ったのは風景を最大解像度で記録することではなく、スポーツや報道の現場で大量の画像を高速に処理しながら撮り続けることでした。
画素数を必要以上に増やさないことで、一枚あたりのデータ量を抑えながら高速連写を実現し、高感度性能とのバランスも取っています。新聞、雑誌、Web、一般的なプリントサイズなら約1810万画素でも十分な用途が多く、トリミングを極端に行わない撮影では現在でも実用的です。
高画素を重視したEOS-1Ds系とは設計思想が異なります。1D X以前の高画素フラッグシップについてはEOS-1Ds Mark III フルサイズで撮る本気の一枚で詳しく紹介しています。
デュアルDIGIC 5+で高速処理を支える
EOS-1D Xでは画像処理用に2基のDIGIC 5+を搭載し、高速連写で発生する大量の画像データを処理します。さらに測光系にも専用のDIGIC 4を使用しており、単純にセンサーとシャッターだけで高速化したカメラではありません。
高速連写では、一枚撮影するたびにセンサーからデータを読み出し、画像処理を行い、メモリーカードへ記録する必要があります。これを短時間に繰り返しながらAFと測光も動かすため、画像処理能力は連写性能と密接に関係します。
キヤノンの歴代フルサイズ一眼レフを含めた位置付けは、キヤノン大全から確認できます。
最大約12コマ/秒の連写が最大の武器
EOS-1D Xの通常連写は最高約12コマ/秒です。さらに条件を限定した超高速連続撮影では約14コマ/秒に対応します。スポーツや野鳥などでは一瞬の姿勢や表情がコマごとに変化するため、連写速度は撮影成功率へ直結します。
現在では20コマ/秒以上を実現するミラーレスもありますが、光学ファインダーを使いながらメカニカルシャッターで約12コマ/秒を連続して切る感覚はEOS-1D X独特のものです。
約12コマ/秒はスポーツの決定的瞬間を細かく追える
サッカーのシュート、野球のインパクト、陸上競技のゴール、モータースポーツのコーナリングなどでは、ほんのわずかな時間差で写真の印象が変わります。約12コマ/秒なら、1秒間の動きを12枚へ分割して記録できます。
連写速度が高いほど必ず良い写真になるわけではありませんが、動作のピークを撮れる確率は上がります。撮影者がシャッターを押すタイミングを決め、その前後を連写で押さえる使い方がEOS-1D Xの基本です。
後継機では連写性能がさらに向上しました。初代との世代差を見る場合はEOS-1D X Mark II 信頼と画質を両立する動体撮影のための本格一眼レフが比較材料になります。
連写性能はAFとバッファを含めて考える必要がある
高速連写では秒間コマ数だけでなく、ピントを追従できるか、何枚連続して記録できるか、カードへの書き込みがどれだけ速いかも重要です。EOS-1D Xはプロのスポーツ撮影を想定しており、AIサーボAFと高速連写を組み合わせて使うことを前提にしています。
短時間の決定的瞬間を狙うなら連写を長時間続ける必要はありません。被写体の動きを予測し、必要な瞬間に数秒だけ連写することで、大量の不要カットを減らしながら撮影できます。
キヤノンの高速連写機を世代横断で見る場合はキヤノン大全から1D系とEOS R系を比較できます。
61点AFは光学ファインダー撮影で今でも実用的
EOS-1D Xは61点の高密度レティクルAFを搭載し、そのうち最大41点がクロス測距に対応します。現在のミラーレスのように画面のほぼ全面へAFポイントを配置する方式ではありませんが、光学ファインダーを使う一眼レフとして高度なAFシステムです。
スポーツや野鳥では、単にAFポイント数が多いだけでは足りません。被写体が測距点を移動したときに隣接ポイントへ受け渡し、距離の変化を予測しながら追い続ける性能が重要です。
AIサーボAFで前後に動く被写体を追従する
AIサーボAFでは、カメラへ近づいたり遠ざかったりする被写体に合わせてピント位置を連続的に変更します。サッカー選手がこちらへ走ってくる場面、鳥が接近してくる場面、車がコーナーから立ち上がる場面などで使われます。
EOS-1D XではAFの追従特性を複数のケースから選択でき、被写体の動きや障害物への反応などを調整できます。現在の被写体認識AFほど自動化されていないため、撮影者が競技や被写体に合わせてAF設定を決める必要があります。
後継機でも61点AFを基礎に改良が続けられました。AF性能の世代差はEOS-1D X Mark IIと比較すると分かりやすくなります。
現在の瞳AFとは撮影方法そのものが異なる
EOS Rシリーズでは人物や動物をカメラが認識し、目へAFを合わせ続ける機種が増えています。EOS-1D Xにはそのような被写体検出機能はなく、撮影者がAFポイントや測距エリアを選び、被写体へ合わせ続けます。
そのためミラーレスからEOS-1D Xへ移ると、最初はAF操作を面倒に感じる可能性があります。一方、測距点を自分で置き、ファインダーの中で被写体を追う撮影では、カメラ任せにしない操作感があります。
新旧のキヤノン機を含むシステム全体の違いは、キヤノン大全からEOS RシリーズとEF一眼レフを比較できます。
高感度性能はEOS-1D Xの大きな特徴
EOS-1D Xの常用ISO感度はISO100~51200で、拡張によってISO50相当からISO204800相当まで設定できます。スポーツ会場、夕方、夜間、林の中など、光量が少ない場所で高速シャッターを使いたい撮影を想定した性能です。
約1810万画素のフルサイズセンサーと当時のフラッグシップ向け画像処理を組み合わせることで、高ISO感度でも実用的な画像を狙えます。
暗い場所でもシャッタースピードを優先できる
スポーツや野鳥では、被写体ブレを防ぐために1/1000秒や1/2000秒といった高速シャッターが必要になることがあります。夕方や室内では光量が足りなくなるため、ISO感度を上げる必要があります。
EOS-1D Xは低照度での撮影を重視したカメラなので、多少ISO感度を上げてもシャッタースピードを確保する使い方に向いています。高感度ノイズを恐れてシャッタースピードを下げ、被写体そのものがブレてしまうより、必要な感度を使って動きを止めるという考え方です。
歴代EOSの高感度性能を比較した記事は、キヤノン高感度耐性ランキングTOP10|歴代EOSを常用ISO感度で比較で確認できます。
最大ISOの数字だけで画質を判断しない
ISO204800相当まで設定できても、その感度で常に高画質が得られるという意味ではありません。非常に高いISO感度ではノイズが増え、細部や色再現も低下します。
実用上は、必要なシャッタースピード、最終的な使用サイズ、RAW現像の有無を考えながら感度を決めます。Web掲載なら許容できるノイズでも、大きなプリントでは気になる場合があります。
低画素フルサイズと高画素フルサイズの性格を比べる場合には、約2110万画素のEOS 5D Mark IIを今あえて使う理由も比較材料になります。
約1810万画素でも写真用途では十分な場面が多い
現在のフルサイズカメラには4000万画素を超える機種もあるため、約1810万画素は少なく見えます。しかし画素数が少ないことと画質が悪いことは同じではありません。
高画素機は大きなプリントや大胆なトリミングで有利ですが、EOS-1D Xの目的はスポーツや報道で高速に撮影し、短時間で大量の画像を処理することです。その用途では約1810万画素というデータ量が扱いやすさにもつながります。
トリミングを多用しなければ実用性は高い
フルサイズで約1810万画素あれば、一般的なプリント、Web、SNS、ブログなどでは十分な解像度があります。撮影時に構図を大きく外さず、完成写真で極端に切り取らなければ画素数不足を感じる場面は限定されます。
野鳥撮影では被写体が小さく写り、大幅にトリミングしたい場面があるため、高画素機の方が有利です。一方、スポーツや人物で被写体へ十分な焦点距離を確保できるなら、約1810万画素でも問題になりにくくなります。
より高い画素数を持つ一眼レフとの違いを見る場合は、EOS-1Ds Mark III フルサイズで撮る本気の一枚と比較すると1D系の設計思想が分かります。
ファイルサイズを抑えられる利点もある
連写を多用すると一回の撮影で数百枚、スポーツイベントでは数千枚の画像を記録することがあります。高画素機では保存容量、コピー時間、RAW現像時の負荷も大きくなります。
EOS-1D Xの約1810万画素は、現在の基準では比較的軽いデータです。古いPCでもRAWを扱いやすく、大量撮影後の選別も比較的軽快に行えます。
キヤノンの歴代フルサイズ一眼レフの画素数を含めた一覧は、キヤノン大全から確認できます。
光学ファインダーで動体を追う楽しさがある
EOS-1D Xは一眼レフなので、撮影時にはミラーを通して光学ファインダーへ実像を導きます。電子ビューファインダーのようにセンサーで読み取った映像を表示する方式ではありません。
被写体の動きを遅延のない光学像で確認でき、連写中も一眼レフ特有のシャッターとミラーの動作を感じながら撮影します。この撮影感覚を理由に、現在でも1D系を使う撮影者がいます。
被写体を直接見ながら追える
光学ファインダーでは、レンズを通った光そのものを見ます。電子映像ではないため表示解像度やリフレッシュレートを意識する必要がなく、電源を入れていない状態でもファインダー像を見ることができます。
スポーツや鳥を追う場合、被写体の動きを連続して見ながらカメラを振る感覚は一眼レフならではです。一方、撮影結果の露出や色をファインダーで事前確認できるミラーレスとは性格が異なります。
古いフルサイズ一眼レフを現在使う魅力については、EOS 5D Mark IIを今あえて使う理由|最新ミラーレスにはない撮影の楽しさでも紹介しています。
シャッター音とミラー動作は1D Xらしさの一部
EOS-1D Xで高速連写すると、大型ミラーとシャッターが高速で動きます。静かなミラーレスの電子シャッターとはまったく異なり、撮影していることが明確に分かるカメラです。
この音は静かな式典や舞台では不利ですが、スポーツや屋外撮影では撮影リズムをつかみやすい面があります。1D系は単にスペックだけでなく、シャッターを切ったときの反応や操作感まで含めて独特です。
一眼レフフラッグシップの流れを確認する場合は、EOS-1Ds Mark IIIからEOS-1D Xへの変化を見ると分かりやすくなります。
大型ボディは重いが縦位置撮影では使いやすい
EOS-1D Xはバッテリーとカードを含む重量が約1530gあり、現在のミラーレス機と比べれば非常に重いカメラです。さらに70-200mm F2.8や300mm F2.8と組み合わせると、システム全体は数kgになります。
一方、縦位置グリップ一体型のボディによって、横位置と縦位置を切り替えても握り方や操作系が大きく変わりません。人物撮影やスポーツでは縦位置を頻繁に使うため、この形状には実用的な意味があります。
大型レンズとの重量バランスを取りやすい
小型ボディへ300mm F2.8や400mm F2.8のような大型レンズを装着すると、レンズ側へ重量が大きく偏ります。EOS-1D Xはボディ自体が重く、グリップも大きいため、大型EFレンズとのバランスを取りやすくなっています。
野鳥やスポーツで超望遠レンズを使う場合、単純なボディ重量だけでなく、レンズを含めた全体の重量配分が操作性に影響します。大きなボディが常に欠点になるわけではありません。
キヤノンEFレンズを含めたシステム全体はキヤノン大全から確認できます。
縦位置でも主要操作を維持できる
縦位置グリップにはシャッターボタンや主要な操作系が配置されており、カメラを縦に構えても右手を不自然に持ち上げる必要がありません。
ポートレート、陸上競技、バスケットボール、サッカーなどでは縦構図を多用するため、長時間の撮影では一体型グリップの使いやすさが分かります。後付けバッテリーグリップとは異なり、最初からボディ全体として設計されていることも1D系の特徴です。
1D X Mark IIでもこの基本形状は継承されています。後継機との操作系の違いはEOS-1D X Mark IIの記事で確認できます。
堅牢性と耐久性を重視したプロ仕様ボディ
EOS-1D Xは報道、スポーツ、野生動物など、撮影条件を選べない現場を前提に作られています。マグネシウム合金外装やシーリングを採用し、一般向けEOSより耐久性を重視した構造です。
シャッターユニットも高耐久仕様で、約40万回の作動試験をクリアする設計となっています。大量の連写を日常的に行うプロ機では、シャッター寿命は重要な要素です。
約40万回のシャッター耐久を想定
一般的なカメラでは、一日に数十枚から数百枚程度しか撮影しないこともあります。しかしスポーツカメラマンは一試合だけで数千枚撮る場合があり、年間のシャッター回数は急速に増えます。
EOS-1D Xは大量撮影を前提にしているため、シャッター耐久も高く設定されています。ただし、中古個体の場合はすでに大量の撮影が行われている可能性があるため、「プロ機だから壊れない」と考えることはできません。
後継フラッグシップの耐久性と比較する場合は、EOS-1D X Mark II 信頼と画質を両立する動体撮影のための本格一眼レフも参考になります。
防塵・防滴は無条件で水に強いという意味ではない
EOS-1D Xは各部へシーリングを施し、屋外撮影での信頼性を高めています。しかし、完全防水のカメラではありません。雨天で使う場合には、装着するレンズ側の構造や端子部分も含めて考える必要があります。
プロ機の耐候性は、撮影を途中で中断しにくい現場で意味があります。多少の雨や砂ぼこりがある環境でも撮影を続ける必要があるスポーツや報道では、この設計思想が生きます。
歴代プロ向けEOSの構造を含めて確認する場合は、キヤノン大全から1Dシリーズをたどれます。
スポーツ撮影では今でも分かりやすい強みがある
EOS-1D Xが最も得意とする撮影ジャンルの一つがスポーツです。約12コマ/秒の連写、61点AF、AIサーボAF、高感度性能、大型バッテリー、縦位置グリップという構成は、長時間にわたって動く被写体を撮り続けるために作られています。
屋外スポーツでは光学ファインダーと連写を生かせる
サッカー、野球、陸上、モータースポーツなどでは、被写体の動きをファインダーで追い続け、動きのピークで連写を開始します。EOS-1D Xはシャッター操作への反応が速く、撮影者がタイミングを決める撮り方に向いています。
被写体認識AFがないため、現代のミラーレスより撮影者側の操作量は増えます。AFポイントをどこに置くか、どのタイミングで追従を開始するかといった判断が必要です。
初代から改良されたスポーツAFを見る場合は、EOS-1D X Mark IIとの比較が参考になります。
野鳥撮影ではAFと高感度が生きるが画素数には注意
野鳥撮影でもEOS-1D Xの高速連写とAIサーボAFは活用できます。木陰や朝夕でシャッタースピードを確保するために高ISOを使いやすいことも利点です。
一方、フルサイズ約1810万画素なので、遠くの小鳥を大幅にトリミングする用途では現在の高画素機が有利です。焦点距離の長いレンズを使い、撮影時点で被写体をある程度大きく写すことが重要になります。
超望遠EFレンズとの組み合わせで本領を発揮する
EF300mm F2.8、EF400mm F2.8、EF500mm F4、EF600mm F4など、大口径の超望遠EFレンズと組み合わせることはEOS-1D Xが想定していた代表的な使い方です。
大型レンズとのバランス、AIサーボAF、高速連写、高感度を組み合わせることで、鳥の飛翔や動物の動きを狙えます。現在中古でEF超望遠レンズが安くなっていることも、EOS-1D Xを使う理由の一つになり得ます。
キヤノンのEF望遠・超望遠レンズはキヤノン大全から焦点距離別に確認できます。
ポートレートではAFより色と操作感を楽しめる
EOS-1D Xはスポーツ機という印象が強いものの、フルサイズセンサーなのでポートレートにも使えます。EF85mm F1.2L、EF135mm F2L、EF200mm F2Lなどの大口径EFレンズを組み合わせれば、浅い被写界深度を生かした人物撮影ができます。
現在の瞳AFほど簡単ではありませんが、ワンショットAFで測距点を目へ合わせて撮る基本的な人物撮影なら問題ありません。
縦位置グリップ一体型は人物撮影でも便利
人物撮影では縦構図を多用するため、EOS-1D Xの縦位置グリップは使いやすい装備です。横位置から縦位置へ変えてもシャッターボタンや主要操作系が同じ位置関係に近く、構えを大きく崩さず撮影できます。
重量が大きいため散歩ポートレートでは負担になりますが、大型単焦点を使った本格的な撮影ではボディとのバランスを取りやすくなります。
フルサイズ一眼レフで人物を撮る感覚を比べるなら、より軽量なEOS 5D Mark IIを今あえて使う理由も参考になります。
動画性能は現在では大きく見劣りする
EOS-1D XはフルHD動画へ対応していますが、現在の4K・6K・高フレームレート動画を重視したカメラとは大きな差があります。動画撮影を目的に中古ボディを選ぶなら、EOS-1D Xを積極的に選ぶ理由は少なくなります。
EOS-1D Xの価値は光学ファインダーによる静止画撮影、高速連写、AF、堅牢なボディにあります。動画は補助的な機能として考えた方が、このカメラの特徴を理解しやすくなります。
Mark II以降では動画性能が大きく進化した
EOS-1D X Mark IIでは4K動画やデュアルピクセルCMOS AFなどが加わり、動画性能が大きく進歩しました。Mark IIIではさらに動画機能が強化され、初代との世代差は静止画以上に大きくなっています。
動画も同じボディで本格的に撮りたい場合には後継機の方が使いやすく、静止画専用に近い使い方なら初代1D Xでも十分という分け方ができます。
Mark IIの進化についてはEOS-1D X Mark IIの記事で詳しく確認できます。
EOS-1D X Mark IIとの違い
後継のEOS-1D X Mark IIは約2020万画素となり、連写、AF、センサー、動画など多くの部分が改良されています。通常連写は最高約14コマ/秒へ向上し、ライブビューではさらに高速な撮影が可能になりました。
初代1D Xの中古価格が大きく低い場合、静止画中心なら初代の価格性能比が魅力になります。一方、動体AF、画質、動画まで求めるならMark IIの世代差を考える必要があります。
高画素化よりAF・連写・動画の進化が大きい
約1810万画素から約2020万画素への差だけを見ると小さく感じますが、Mark IIではセンサー性能、AF、ライブビュー、動画、記録性能などカメラ全体が更新されています。
特に4K動画やデュアルピクセルCMOS AFは、初代1D Xにはない大きな違いです。静止画しか撮らない場合と動画も使う場合で、両機の価値差は大きく変わります。
詳しい後継機の特徴はEOS-1D X Mark II 信頼と画質を両立する動体撮影のための本格一眼レフで確認できます。
EOS 5D系との違いは撮影目的にある
EOS-1D XとEOS 5D系はどちらもフルサイズ一眼レフですが、設計目的が違います。1D Xは高速連写、AF、耐久性、縦位置操作を優先し、5D系は比較的小型のボディで高画質を得ることを重視しています。
風景、人物、スナップなどで高速連写をほとんど使わない場合、1D Xの大きさと重量は必要以上になることがあります。反対にスポーツや野鳥で大量に連写する場合、1D Xの操作性と耐久性が生きます。
静物中心なら5D系の軽さが使いやすい
EOS 5D Mark IIのような5D系ボディは、1D Xより小型軽量です。風景、ポートレート、物撮りなど、被写体が高速で動かない撮影では、1D Xの高速連写を使う機会が少なくなります。
一方、1D Xはカメラを構えたまま長時間動体を追い続ける操作系や、縦位置撮影、耐久性を優先しています。同じフルサイズでも求める撮影体験が異なります。
5D系の代表例として、EOS 5D Mark IIを今あえて使う理由と比べると違いが分かりやすくなります。
中古EOS-1D Xで最も重要なのは使用履歴
EOS-1D Xを現在購入する場合は中古が中心になります。プロ向けボディなので頑丈ですが、その分、実際にプロの現場で大量に使用された個体も存在します。
外観がきれいだから使用回数が少ないとは限らず、逆に傷が多くても機能面は正常な個体もあります。価格だけを見るのではなく、シャッター回数、カードスロット、ボタン、ダイヤル、バッテリーなどを総合的に確認することが重要です。
シャッター回数は最初に確認したい
EOS-1D Xのシャッターは高耐久ですが、無限に使えるわけではありません。スポーツ用途で使用された個体では数十万回単位の撮影が行われている可能性があります。
シャッター回数だけで残り寿命を正確に判断することはできませんが、同じ価格と状態なら使用回数の少ない個体を選ぶ材料になります。シャッター交換歴が分かる場合は、その情報も個体状態を判断する材料になります。
1D X Mark IIでも中古では同様に使用履歴が重要です。世代を変えて探す場合はEOS-1D X Mark IIも比較できます。
CFカードスロットと端子類も確認する
EOS-1D XはCFカードを使用します。SDカード中心の現在とは記録媒体が異なるため、カードやカードリーダーも含めて準備する必要があります。
中古ではカードスロット内部のピンに異常がないか、LAN端子やUSB端子、シンクロ端子などが正常かも確認したい部分です。プロ機は有線LANを含む多くの端子を備えていますが、古い個体では端子カバーの劣化や接触状態にも差があります。
EFシステム全体を現在から組み直す場合は、キヤノン大全で対応レンズとボディを確認できます。
LP-E4N系バッテリーの状態も中古価格に影響する
1D系の大型バッテリーは一回の充電で大量に撮影できることが特徴ですが、中古バッテリーは経年劣化しています。ボディが安くても、バッテリーが劣化していれば追加費用が必要になります。
付属バッテリーの劣化度、充電器の有無、予備バッテリーを確保できるかまで含めて考えると、中古購入後の費用を把握しやすくなります。
他の歴代EOS一眼レフと比較する場合はキヤノン大全からフルサイズ機一覧を確認できます。
現在EOS-1D Xを選ぶ意味
EOS-1D Xは最新カメラではありません。画素数、被写体認識AF、動画性能、ライブビュー、重量、通信機能など、多くの部分で現在のミラーレス機が上回ります。
それでも、フルサイズセンサー、約12コマ/秒連写、61点AF、強力な高感度性能、縦位置グリップ一体型ボディ、光学ファインダー、大型EFレンズとの重量バランスという組み合わせは現在でも独特です。
安くなったEFレンズと組み合わせられる
EOS Rシステムへの移行が進んだことで、中古EFレンズの価格が下がっているものがあります。かつて非常に高価だった大口径望遠、Lズーム、単焦点などを中古で組み合わせれば、プロ向け一眼レフシステムを以前より低い費用で構築できます。
EF70-200mm F2.8、EF300mm F2.8、EF400mm F5.6など、動体撮影に使えるレンズは多く、EOS-1D XのAFと連写を生かせます。
EFレンズを含めたキヤノン一眼レフシステムはキヤノン大全で一覧できます。
静止画専用機として割り切ると特徴が明確になる
動画、軽さ、瞳AF、スマートフォン連携などを求めるとEOS-1D Xは古さが目立ちます。一方、光学ファインダーで被写体を追い、高速連写で静止画を撮ることだけに集中すると、このカメラが何のために作られたかが明確になります。
撮影時にカメラが被写体を自動判断する範囲は現在のミラーレスより少なく、撮影者自身がAFポイント、露出、連写のタイミングを決めます。そこに一眼レフを操作する楽しさを感じる撮影者には、現在でも魅力のある機種です。
古いフルサイズ一眼レフを現在使う価値については、EOS 5D Mark IIを今あえて使う理由も共通する部分があります。
EOS-1D Xは高速一眼レフを味わうための本格機
EOS-1D Xは約1810万画素フルサイズCMOSセンサー、最高約12コマ/秒の通常連写、61点AF、常用ISO100~51200、デュアルDIGIC 5+、縦位置グリップ一体型ボディを備えたプロ向け一眼レフです。
現在のEOS Rシリーズと比較すれば、被写体認識AF、ボディ内手振れ補正、高画素、動画、電子シャッターなど多くの部分で世代差があります。約1530gという重量も、気軽に持ち歩くカメラを探している場合には大きな負担です。
一方、スポーツや野鳥を光学ファインダーで追いながら高速連写する撮影では、現在でも明確な役割があります。大型EF望遠レンズとのバランスも取りやすく、縦位置撮影や長時間連写を前提とした操作系は、一般向け一眼レフとは大きく異なります。
中古で選ぶ場合に重要なのは、プロ機という肩書きだけで判断しないことです。シャッター回数、AF、カードスロット、ボタン、ダイヤル、バッテリー、端子、外装など個体ごとの状態を確認する必要があります。
状態の良い個体を確保し、静止画中心に使うのであれば、EOS-1D Xはかつてのキヤノン最高峰一眼レフの連写、AF、シャッター感、光学ファインダーを現在の中古価格で体験できるカメラです。高速で動く被写体を自分で追い、自分で測距点を置き、自分のタイミングで連写するという一眼レフ撮影を楽しみたい場合には、今でも非常に個性の強い一台です。






