Canon EOS 60Daは天体撮影専用の特別な一眼レフ|Hα輝線約3倍・1800万画素の実力
メタディスクリプション:Canon EOS 60Daを徹底解説。約1800万画素CMOS、Hα輝線の透過率約3倍、バリアングル液晶、フルHD動画など60Dとの違い、天体撮影での強み、現在使う魅力、中古選び、20Daから続く天体撮影EOSの系譜まで詳しく紹介します。
Canon EOS 60Daは、2012年4月に登場した天体写真撮影専用のAPS-Cデジタル一眼レフです。ベースとなったEOS 60Dの約1800万画素CMOSセンサー、DIGIC 4、3.0型バリアングル液晶、フルHD動画、SDカードといった基本性能を受け継ぎながら、撮像素子前面のローパスフィルター特性を変更し、赤い星雲が放つHα輝線を通常のEOS 60Dより約3倍通しやすくしたことが最大の特徴です。
一般的なデジタルカメラは、人間の目で見た色に近い自然な写真を得るため、赤外域に近い光を撮像素子前面のフィルターで大きく抑えています。しかし天体写真では、その影響によってバラ星雲や馬頭星雲をはじめとする赤い散光星雲のHα輝線まで弱くなってしまいます。EOS 60Daはこの問題をメーカー純正状態で解決するために作られ、通常の60Dでは記録しにくい赤い星雲を、カメラを改造することなく撮影できるようにしました。
D00シリーズの歴史では、EOS 60DaはEOS 20Daに続く2代目の天体撮影専用モデルという位置づけになります。20Daが2005年に天体撮影用EOSという新しい分野を開拓し、その約7年後に60Dをベースとして高画素化、バリアングル液晶、フルHD動画などを加えた60Daが登場しました。通常モデルとは別の方向へ進化した特別なD00シリーズとして、現在でも非常に興味深い一台です。
EOS 60DaはEOS 60Dを天体写真向けに作り変えた専用モデル
EOS 60Daの基本設計はEOS 60Dと共通しており、約1800万画素のAPS-C CMOSセンサー、DIGIC 4、最高約5.3コマ/秒の連写、9点全クロスAF、最高1/8000秒のシャッター、3.0型約104万ドットのバリアングル液晶、SDカード、フルHD動画などを備えています。
つまり通常の60Dから画素数や連写速度を変更して天体撮影性能を高めたモデルではありません。最大の違いは撮像素子前面にある光学ローパスフィルターの透過特性であり、通常の写真では色再現のために抑えられるHα輝線を、天体撮影では積極的に記録できるようにしています。
この考え方が重要で、EOS 60Daは「高感度な60D」でも「赤色を強調する60D」でもありません。センサーへ届く光そのものを変えることで、通常モデルでは失われやすい天体の情報を撮影段階から残すためのカメラです。
EOS 60Dとの最大の違いはHα輝線の透過率
EOS 60Daでは、Hα輝線の透過率が通常のEOS 60Dと比較して約3倍に高められています。Hα輝線は波長約656.3nmの赤い光で、水素を多く含む散光星雲を撮影するときに非常に重要です。
一般的なデジタルカメラでも星雲そのものを撮影することはできますが、撮像素子前面のフィルターによってHα付近の光が大きく抑えられるため、実際には存在している赤い構造を十分に記録できない場合があります。60Daではその光をより多くセンサーへ届けることで、赤い星雲の淡い部分まで写しやすくしています。
撮影後に画像編集ソフトで赤色の彩度を上げる方法とは根本的に異なり、元画像に記録される光そのものを増やしていることが、天体撮影専用機としての大きな価値です。
一般撮影では通常の60Dと同じ色にならない
Hα輝線への感度を高めたことは天体写真には大きな利点ですが、通常の人物、風景、商品などを撮影した場合には、一般的なカメラより赤みが強く出たり、自然なカラーバランスを得にくくなったりすることがあります。
EOS 60Daは外観も操作方法も60Dに近く、一般撮影そのものが不可能なカメラではありませんが、通常撮影を主目的として設計されたモデルではありません。日中の写真を中心に使うのであれば60D、赤い星雲を本格的に撮るのであれば60Daというように、用途そのものが異なります。
中古市場で60Daを見つけたときも、「希少な60D」として選ぶより、天体撮影用に色特性が変更された専用機であることを理解して選ぶ必要があります。
EOS 60Daの基本スペック
| 発売時期 | 2012年4月 |
|---|---|
| 撮像素子 | APS-Cサイズ CMOS |
| 撮像面サイズ | 22.3×14.9mm |
| 有効画素数 | 約1800万画素 |
| 最大記録画素数 | 5184×3456 |
| 画像処理エンジン | DIGIC 4 |
| Hα輝線 | EOS 60D比 約3倍の透過率 |
| 対応レンズ | EFレンズ・EF-Sレンズ |
| 画角 | 35mm判換算約1.6倍相当 |
| AF | 9点全クロスAF |
| 連写速度 | 最高約5.3コマ/秒 |
| ISO感度 | ISO100~6400、拡張ISO12800 |
| 最高シャッター速度 | 1/8000秒 |
| RAW | 14bit RAW、M-RAW、S-RAW |
| 液晶モニター | 3.0型バリアングル 約104万ドット |
| ライブビュー | 対応、5倍・10倍拡大可能 |
| 動画 | フルHD 1920×1080対応 |
| 記録媒体 | SD・SDHC・SDXCカード |
スペック表だけを見るとEOS 60Dとの差はほとんどありません。約1800万画素、DIGIC 4、約5.3コマ/秒、9点全クロスAF、バリアングル液晶、フルHD動画など、カメラとしての基本性能は60Dを受け継いでいるからです。
そのため60Daの価値を理解するには、画素数や連写速度ではなく、Hα輝線への感度と、それを天体撮影でどのように利用できるかを見る必要があります。
約1800万画素APS-C CMOSは天体撮影でも扱いやすい
EOS 60Daは有効約1800万画素のAPS-C CMOSセンサーを搭載し、最大5184×3456ピクセルの画像を記録できます。現在ではさらに高画素のAPS-Cカメラがありますが、天体撮影では画素数だけで結果が決まるわけではありません。
星雲や星団を撮影する場合には、望遠鏡やレンズの焦点距離、追尾精度、ピント、空の暗さ、露光時間、ISO感度、複数画像の合成処理などが最終画質へ大きく影響します。約1800万画素はこれらとのバランスが取りやすく、現在のPCでRAWファイルを処理する場合にも比較的軽いデータ量です。
APS-Cの約1.6倍相当の画角を天体撮影へ利用できる
EOS 60DaはAPS-Cセンサーなので、EFレンズを使用した場合には35mm判換算で表記焦点距離のおよそ1.6倍相当の画角になります。200mmなら約320mm相当、300mmなら約480mm相当となり、小さな天体を画面内で大きく捉えたい場合には扱いやすい構成です。
一方、天の川や広い星野を撮影する場合には広角域が重要になるため、EF-Sの超広角レンズや短焦点のEFレンズを利用できます。EFとEF-Sの両方へ対応していることから、星景写真から望遠による星雲撮影まで幅広いレンズ構成を作れます。
望遠鏡へ接続する場合には通常のカメラレンズとは別の考え方になりますが、APS-Cの撮像範囲を理解しておくことで、写る範囲を想定しやすくなります。
1800万画素は現在のRAW現像環境では扱いやすい
天体写真では一枚だけ撮影して完成させるより、同じ構図を何枚も撮影し、それらを重ねてノイズを減らしながら星雲の淡い構造を引き出す方法が多く利用されます。その場合、一枚ごとのデータ量が大きすぎると処理時間や保存容量も増えていきます。
EOS 60Daの約1800万画素RAWは、現在の3000万画素や4000万画素を超えるカメラと比較すると軽く、数十枚単位の画像を扱う場合にも現在のPC環境では処理しやすいサイズです。
高画素であることだけが天体撮影の利点ではなく、必要な解像度を確保しながら複数枚を効率よく処理できることも、古いデジタル一眼レフを現在利用する場合の一つの魅力になります。
バリアングル液晶は天体撮影との相性が非常によい
EOS 60Daは3.0型約104万ドットのバリアングル液晶を搭載しています。これはベースとなった60Dから受け継いだ機能ですが、三脚や赤道儀へカメラを固定して撮影する天体写真では特に便利です。
天体撮影では、カメラが上空へ向くため背面液晶が低い位置や見づらい角度になることがあり、固定式液晶では撮影者が無理な姿勢を取らなければならない場合があります。バリアングル液晶なら画面を横へ開いて撮影者の方向へ向けられるため、カメラの向きに関係なくライブビューや設定画面を確認できます。
ライブビューを拡大して星へ正確にピントを合わせられる
星は非常に小さく、光学ファインダーだけで厳密なピント位置を確認するのは簡単ではありません。EOS 60Daではライブビューを5倍、10倍へ拡大できるため、明るい星を画面上で拡大し、マニュアルフォーカスで最も小さくシャープに見える位置へ追い込むことができます。
天体望遠鏡を使う場合にも、フォーカサーを少しずつ動かしながら星像を液晶で確認できるため、20Daの時代より高精細な液晶とバリアングル機構を利用したピント合わせが可能になっています。
現在のミラーレスでも一般的な方法ですが、60Daの世代ですでに天体撮影に必要な基本的なライブビュー操作が揃っていました。
天体撮影用ライブビューを先行搭載したEOS 20Daはこちら
赤道儀に載せた状態でも液晶を見やすい
赤道儀を使って星を追尾すると、撮影方向によってカメラ本体の姿勢が大きく変わります。固定液晶では、撮影開始時には見えていた画面が赤道儀の動きによって見づらくなることもあります。
バリアングル液晶なら撮影者側へ画面を向け直せるため、構図確認、ピント確認、露出設定、撮影画像のチェックを行いやすく、暗い屋外でカメラの周囲を何度も移動する必要を減らせます。
60Dでは日常撮影や動画で便利だったバリアングル液晶が、60Daでは天体撮影専用機として非常に合理的な機能になっています。
長時間露光で赤い星雲の淡い構造を引き出す
EOS 60DaのHα感度を生かす代表的な撮影方法が、赤道儀を使用した長時間露光です。星雲の光は非常に弱いため、数秒程度の露光だけでは明るい星しか写らず、淡いガスの広がりまで記録するには露光時間を延ばす必要があります。
しかし地球は常に自転しているため、三脚へ固定したまま長く露光すると星が点ではなく線として写ります。赤道儀で地球の自転に合わせてカメラや望遠鏡を動かすことで、星を点のまま維持しながら露光時間を延ばせます。
一枚を長く撮るだけでなく複数枚を重ねる
天体写真では一枚を極端に長時間露光する方法だけでなく、数十秒から数分程度の画像を複数枚撮影し、後から重ね合わせる方法が広く使われています。この方法なら一枚の撮影に問題が起きても全体を失いにくく、複数画像を平均化することでランダムノイズを減らすこともできます。
EOS 60DaはRAW記録に対応しているため、複数枚の元データを残し、後からホワイトバランス、明るさ、ノイズ、色などを調整しながら仕上げられます。Hα輝線を撮影段階で多く取り込める60Daでは、元データに赤い星雲の信号を残しやすいことが、後処理でも大きな利点になります。
ISO感度は高ければ高いほどよいわけではない
EOS 60Daは常用ISO100~6400、拡張でISO12800に対応していますが、暗い天体を撮るからといって最高感度を選べばよいわけではありません。ISOを上げるほど画像は明るく見える一方、ノイズも増え、明るい星が飽和しやすくなるため、空の明るさ、レンズのF値、追尾精度、露光時間を合わせて考える必要があります。
赤道儀で十分な露光時間を確保できるなら、感度を抑えて一枚あたりの画質を優先する方法もあり、短時間露光を多く重ねるなら感度を上げる方法もあります。天体撮影ではISO感度だけを独立して決めるのではなく、撮影システム全体で最適な条件を探すことが重要です。
20Daから60Daで天体撮影EOSは大きく使いやすくなった
キヤノンの天体撮影専用EOSは、60Daが最初ではありません。2005年にはEOS 20DをベースとしたEOS 20Daが登場し、Hα輝線への感度を通常モデルより高めるとともに、天体撮影時のピント合わせを目的としたライブビューを先行して搭載していました。
60Daはその考え方を受け継ぎながら、約820万画素から約1800万画素へ高画素化し、液晶も1.8型から3.0型約104万ドットのバリアングルへ進化しています。記録媒体もCFカードからSDカードへ変わり、フルHD動画など60D世代の機能も利用できます。
20Daは天体撮影EOSの原点、60Daは完成度を高めた第二世代
EOS 20Daの登場時には、デジタル一眼レフへ天体専用の光学特性を与え、ライブビューまで搭載すること自体が非常に先進的でした。一方、60Daの時代にはライブビューや高精細液晶が一般的になり、その技術をさらに天体撮影へ適した形で利用できるようになっています。
20Daでは通常の20Dに対してHα輝線の透過率がおよそ2.5倍でしたが、60Daでは通常の60Dに対して約3倍となり、赤い星雲を撮影するというシリーズの目的がさらに明確になっています。
D00シリーズの通常モデルだけを追っていると20Daと60Daは脇道に見えますが、キヤノンが二度にわたってメーカー純正の天体専用一眼レフを作ったことを考えると、非常に特徴的な系譜です。
60Daのバリアングル液晶は20Daからの大きな進歩
20Daでもライブビューを使ったピント合わせは可能でしたが、液晶は小さく固定式でした。60Daでは3.0型約104万ドットの高精細バリアングル液晶を使えるため、星を拡大したときの確認のしやすさも、撮影姿勢の自由度も大きく向上しています。
天体撮影ではカメラが斜め上や真上を向く場面が多いため、液晶を撮影者側へ回せることは一般撮影以上に効果があります。単純な画素数の増加だけでなく、実際の天体撮影現場で使いやすくなったことが20Daから60Daへの大きな進化です。
フルHD動画も60Dと同様に撮影できる
EOS 60Daは天体撮影専用機ですが、ベースとなった60Dと同様に1920×1080のフルHD動画撮影にも対応しています。静止画だけに機能を限定した特殊カメラではなく、60Dが持つ動画機能をほぼそのまま利用できます。
ただしHα輝線へ感度を高めた光学特性は動画でも変わらないため、一般的な人物や風景動画では通常の60Dとは異なる色が出る可能性があります。天体動画や夜空の記録という用途では特殊な色特性を生かせますが、日常動画用カメラとして選ぶ機種ではありません。
動画より静止画の長時間露光で個性が出るカメラ
60DaがフルHD動画に対応していることは機能として便利ですが、このカメラを選ぶ最大の理由は静止画の天体撮影にあります。Hα輝線の淡い星雲を長時間露光し、RAWで記録し、複数枚を重ねながら仕上げる撮影こそ、通常の60Dとの差を最も感じやすい使い方です。
動画性能だけを求めるなら通常の60Dやさらに後の70D以降のほうが扱いやすく、60Daは特殊な光学特性を生かせる天体写真で本領を発揮します。
現在EOS 60Daを使う意味
現在では高感度性能に優れたミラーレス、高画素フルサイズ機、天体撮影用に改造されたカメラ、さらに冷却CMOSカメラなど、天体写真を撮る機材の選択肢は大きく広がっています。そのため純粋な性能だけを求めれば、EOS 60Daより新しい選択肢はいくつもあります。
それでもEOS 60Daには、キヤノン自身が天体撮影専用モデルとして設計し、通常のEOSとは異なるローパスフィルターを純正状態で搭載したという独自の価値があります。改造カメラではなくメーカー純正の天体撮影EOSであることは、現在このカメラを見るうえでも大きな特徴です。
純正の天体撮影専用EOSという希少性がある
一般的なデジタル一眼レフを天体写真向けにする場合、撮像素子前面のフィルターを交換する改造が行われることがありますが、60Daは最初からメーカー純正状態でHα輝線へ対応しています。
通常モデルを改造した個体では、どのような部品が使われ、どの程度調整されているのか個体ごとに違う場合がありますが、60Daは製品として一つの仕様にまとめられているため、D00シリーズを歴史的に集める場合にも特別な存在です。
20Daと60Daを並べれば、キヤノンが二つの時代で天体撮影へどのように対応したのかを実機で比較できます。
SDカードとLP-E6系で古い専用機としては扱いやすい
20DaではCFカードや旧世代バッテリーを使いますが、60DaではSD、SDHC、SDXCカードとLP-E6系バッテリーを使用するため、現在でも周辺機器を揃えやすいことが利点です。
約1800万画素RAWも現在のPCではそれほど大きなデータではなく、高精細バリアングル液晶も利用できるため、古い天体撮影専用機でありながら実際に撮影へ持ち出しやすい世代です。
中古EOS 60Daで確認したいポイント
EOS 60Daは2012年発売で、通常の60Dより流通量も少ない特殊モデルです。中古で見つけた場合には、希少性だけで判断せず、センサー、バリアングル液晶、ライブビュー、長時間露光、SDカード記録、バッテリー、シャッターなどを実際に確認したいところです。
天体撮影では一般撮影より長い時間カメラを動作させることが多いため、数枚の通常撮影だけでなく、実際の用途へ近い条件で確認することが重要になります。
長時間露光でセンサーの状態を確認する
日中に短いシャッター速度で撮影しただけでは問題が見えなくても、数十秒の長時間露光ではホットピクセルや固定的なノイズが目立つ場合があります。天体撮影で使うなら、暗い状態で長時間露光を行い、特定位置へ極端に明るい点や異常な線が出ないか確認すると状態を把握しやすくなります。
長時間露光では正常なセンサーでも一定量のノイズが発生するため、点が一つ見つかっただけで異常という意味ではありません。重要なのは、画像全体に大きな異常がないか、天体写真を仕上げる際に支障となるほどの症状が出ていないかを見ることです。
バリアングル液晶は開閉しながら表示を確認する
60Daのバリアングル液晶は天体撮影で頻繁に使用する部分なので、液晶を閉じた状態、横へ開いた状態、上下へ回転させた状態で表示が安定しているか確認します。
可動させたときだけ画面が消える、表示が乱れる、色が変化するといった症状がある場合には、天体撮影中のライブビュー確認に影響します。高精細液晶とバリアングル機構は60Daの大きな利点なので、中古では優先して見たい部分です。
ライブビューの5倍・10倍拡大を試す
天体撮影ではライブビュー拡大によるマニュアルフォーカスを多用するため、ライブビューが表示されるだけでなく、5倍、10倍の拡大表示を正常に使用できることも確認します。
星の代わりに遠くの細かな被写体を使って拡大し、ピントリングを動かしたときに細部をきちんと確認できれば、実際の天体撮影に近い操作を試せます。
天体撮影でライブビューが重要になったEOS 20Daはこちら
SDカードへRAWと動画を正常に記録できるか確認する
EOS 60DaではSDカードを使用するため、カードをフォーマットし、JPEG、RAW、連写、長時間露光、動画をそれぞれ記録して正常に再生できるか確認します。
天体撮影ではRAWを多く記録するため、通常のJPEG一枚だけで判断せず、複数枚を連続して保存し、カードへの書き込みが安定していることまで確認すると実際の運用に近くなります。
60DaはD00シリーズの中でも独立した価値を持つ
D30から90Dまで続くD00シリーズは、基本的には一般撮影向けのAPS-C一眼レフとして進化してきました。その中で20Daと60Daだけは、通常モデルを基礎にしながら天体写真という特定分野へ大きく特化しています。
そのため60Daを通常の60Dより高性能か低性能かという基準で比較することにはあまり意味がありません。通常撮影なら60D、赤い星雲を撮影するなら60Daというように、目的が違うカメラだからです。
D00シリーズを歴代で追うなら60Daも外せない
D30、D60、10D、20D、20Da、30D、40D、50D、60D、60Daと順番に追っていくと、通常モデルが高画素化、高速化、動画対応へ進化する一方で、20Daと60Daでは天体撮影という別の方向へ技術が使われたことがわかります。
特に20Daと60Daの間には約7年の差があり、その間に液晶、画素数、記録媒体、動画、操作性などデジタル一眼レフそのものが大きく進化しています。二台の天体撮影EOSを比較することで、通常モデルとは別の視点からキヤノンのデジタル一眼レフ史を見ることができます。
D00シリーズを含むキヤノン歴代カメラを一覧で見るならキヤノン大全はこちら
次の70Dでは通常シリーズがAF技術を大きく進化させる
60Daは60Dから派生した特殊モデルですが、通常のD00シリーズはその後EOS 70Dへ進みます。70Dでは約2020万画素へ高画素化し、19点全クロスAF、最高約7コマ/秒へ性能が向上するとともに、デュアルピクセルCMOS AFが採用され、ライブビューや動画時のAFが大きく進化しました。
60D世代でバリアングル液晶とフルHD動画が本格的に導入され、70Dで撮像面AFが高速化するという流れを見ると、60Dと60Daは光学ファインダー中心だった一眼レフから、液晶撮影や動画も重視する時代へ移る途中に位置しています。
次世代EOS 70Dの特徴とデュアルピクセルCMOS AFはこちら
まとめ|EOS 60Daは赤い星雲を写すために生まれた純正天体撮影EOS
Canon EOS 60Daは、2012年に登場した天体撮影専用のAPS-Cデジタル一眼レフです。ベースとなったEOS 60Dの約1800万画素CMOS、DIGIC 4、最高約5.3コマ/秒、9点全クロスAF、3.0型約104万ドットのバリアングル液晶、フルHD動画、SDカードといった基本性能を受け継ぎながら、撮像素子前面のローパスフィルター特性を天体撮影向けに変更しています。
最大の特徴は、赤い散光星雲が発するHα輝線の透過率を通常のEOS 60Dより約3倍へ高めたことで、バラ星雲や馬頭星雲などをメーカー純正状態で撮影しやすくしたことです。撮影後に赤色を強調する画像処理とは異なり、撮影時点でセンサーへ届くHα輝線そのものを増やしているため、元画像へより多くの天体情報を残せます。
また、60D譲りのバリアングル液晶とライブビュー拡大表示は、赤道儀や天体望遠鏡へカメラを取り付けた状態でのピント合わせや構図確認に適しており、固定式の小型液晶だった20Daから使い勝手が大きく進化しました。
一般撮影では通常の60Dと異なる色傾向が現れるため、万能な一眼レフとして選ぶカメラではありません。その代わり、赤い星雲を本格的に撮影するという目的に対しては、通常モデルとは明確に異なる性能を持っています。
現在では天体改造カメラや冷却CMOSカメラなど多くの選択肢がありますが、キヤノン自身がHα輝線へ最適化して製品化した純正EOSという60Daの価値は変わりません。EOS 20Daから始まった天体撮影専用EOSの考え方を約1800万画素、バリアングル液晶、SDカードという世代へ進めたEOS 60Daは、D00シリーズの中でも特別な存在です。



