コシナ COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 100周年記念モデル|通常版との違い・価格・描写・VMマウント対応
コシナは2026年10月15日、フォクトレンダーブランドの交換レンズ「COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 -SKOPAR 100th model-」を発表しました。スコパーの名を持つレンズが誕生して100周年を迎えたことを記念するモデルで、2026年11月の発売を予定しています。希望小売価格は税別75,000円、税込82,500円で、対応するマウントはライカMマウント互換のVMマウントです。全長23mm、質量134gという薄型・軽量の35mm単焦点を、シルバー仕上げの鏡筒と専用アクセサリーでまとめたことが特徴です。
このレンズは、光学系を一から開発した全く新しい35mmではありません。ロングセラーの「COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 P II」をベースに、100周年にふさわしい外装と付属品を与えた特別モデルです。したがって、購入を考える際には記念モデル特有の外観や金属製フードを評価する一方、画角、最短撮影距離、F2.5の明るさなどは通常モデルと共通することを理解しておく必要があります。この記事では公式に公表された仕様を基に、通常版との具体的な差、ライカM型カメラでの使用、ミラーレスへの装着方法、35mm F2.5という光学的な選択の意味を掘り下げます。
COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 100周年記念モデルの発売情報
2026年10月15日発表、発売は11月を予定
コシナによる正式発表は2026年10月15日で、発売予定は同年11月です。10月15日という日付は発売日そのものではなく、新製品を発表した日付として区別する必要があります。メーカーが示しているのは11月という月単位の予定であり、具体的な日付まで確定した情報として扱うことはできません。商品名にある「100th model」は、スコパーの名称が1926年に登場してから100年となることに由来しています。
スコパー100周年という節目は、コシナ自体の創業100周年やフォクトレンダーブランドの創業100周年を意味するものではありません。また、記念モデルという名称だけで限定生産数や予約締め切りが設定されているとは判断できず、確認できる発売情報と販売数量の情報は分けて扱う必要があります。過去のレンジファインダー用レンズの系譜と組み合わせて考えると、昔ながらの撮影操作を現代でも楽しめるレンズとして位置付けられます。レンジファインダーカメラの基本構造についてはLeica M11の特徴と使い方で解説しています。
希望小売価格82,500円と通常版の価格差
100周年記念モデルのメーカー希望小売価格は税別75,000円、消費税10%を含む税込価格は82,500円です。比較対象となる通常版「COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 P II」の公式掲載価格は税別45,000円で、表示上の差は税別30,000円、税込換算では33,000円になります。税別のメーカー希望小売価格で比較すると記念モデルは通常版の約1.67倍に当たります。ただし、この比較はメーカーの掲載価格を用いたものであり、両製品の現在の店頭実売価格が同じ割合で違うことを意味しません。
価格差を考える場合は、鏡筒をシルバー仕上げにしたことに加え、金属製の専用フードと特別なリアキャップが付属する点が重要です。通常版ではフードが別売りで、記念モデルでは付属品として用意されています。さらにリアキャップはアルミニウムの3ピース構造という特別仕様で、一般的な樹脂製キャップと同じ位置付けではありません。これらは撮影結果の画素数や解像力を直接高める機能ではなく、製品の使い心地と所有時の満足度に結び付く要素です。価格と描写上の利点を別々に評価する考え方はフォクトレンダーNOKTON 40mm F1.2の特徴にも通じます。
主な仕様は35mm F2.5、5群7枚、134g
レンズの基本仕様は焦点距離35mm、開放F値F2.5、最小絞りF22、5群7枚構成、画角63度です。絞り羽根は10枚で、最短撮影距離は0.7m、距離計連動範囲は無限遠から0.7mまでとされています。最大径は55mm、全長は23mm、重量は134g、フィルター径は39mmです。35mm判フルサイズをカバーするイメージサークルを持ち、総金属製の鏡筒でありながら携帯しやすい設計を採っています。
この数値から分かるのは、35mm F2.5という実用的な明るさへ設計をまとめることで、レンズの全長と重量を抑えていることです。開放F値をF1.4などへ拡大した大口径35mmとは異なり、暗所性能や背景の大きなボケを最優先するレンズではありません。一方、レンズ交換式カメラを日常の外出へ持ち出すときには、カメラバッグや上着のポケットに収まりやすい小ささが価値になります。35mmが旅行や街角に向く理由については35mm単焦点の使い道で詳しく紹介しています。
通常版P IIとの違いと100周年記念デザインの意味
基本的な光学仕様は通常版P IIと共通する
コシナは今回の製品を、長く販売されているCOLOR-SKOPAR 35mm F2.5 P IIをベースにしたモデルと明示しています。両製品の公表仕様を照合すると、焦点距離、開放F値、5群7枚のレンズ構成、最短撮影距離、フィルター径、寸法、質量はいずれも同じです。したがって、100周年モデルの購入を考える際に、高画素カメラ向けへ新設計された光学系や、通常版を超える解像性能が追加されたと解釈する根拠はありません。描写の基本的な方向性を考える場合は、通常版P IIについて蓄積された情報を手掛かりにできます。
ただし、仕様表が同じということだけで、すべての個体が完全に同じ測定値を示すと断定することも適切ではありません。レンズの実際の描写は製造公差、撮影距離、絞り値、使用するセンサーとの組み合わせによって変わることがあります。購入目的が解像力や周辺画質の改善である場合は、記念モデルという名称だけを性能向上の根拠にしない方がよいでしょう。F2.5の小型レンズとF1.2の大口径レンズが目指す方向は異なるため、比較の考え方はNOKTON 40mm F1.2の描写とMF操作でも整理できます。
シルバー鏡筒とクラシカルな文字が外観を変える
100周年モデルの分かりやすい変更点は、金属製鏡筒のシルバー仕上げです。通常版P IIの控えめな黒い外観とは印象が変わり、シルバーボディのレンジファインダーカメラと組み合わせたときに統一感を得やすくなります。鏡筒に刻まれた距離や絞りの数値には、コシナのヴィンテージラインで用いられるクラシカルな書体が採用されています。単に色を変えるだけでなく、目盛りを読む操作まで含めて伝統的なレンズの雰囲気を演出した製品です。
レンズの見た目が変わっても、撮影時の画角が広くなることや、ボディとの電気的な連携が増えることはありません。そうした機能面の違いがないからこそ、金属の質感、ダイヤルの操作感、装着した状態でのまとまりに価値を感じるかどうかが価格差の判断に関わります。フィルムカメラを思わせる外観を楽しみたい撮影者にとっては、レンズもカメラのデザインの一部になります。デザインと機能の関係についてはLeica M11とレンジファインダーカメラの魅力も参考になります。
スリット入り金属フードと3ピースのリアキャップが付属
付属するフードは鏡筒と同じシルバーで仕上げた専用の金属製品です。側面にスリットを設けた形状は、光学式レンジファインダーのファインダー視界を大きく遮りにくいよう考えられています。大きな花形フードや筒型フードでは、ファインダーの右下などへフードの一部が入り込む場合がありますが、スリット入りの小型フードはその影響を抑えるための設計です。もちろん、フードそのものは斜めから入る不要な光を遮る役割も持ち、カメラへ装着したときの外観を整える効果もあります。
リアキャップはアルミニウムを削り出して作られた3ピース構造で、100周年モデルの付属品として目立つ存在です。通常はレンズをカメラへ装着するとリアキャップを外すため、撮影中の画質を変えるアクセサリーではありません。それでも交換レンズを保管し、外して持ち歩くときに触れる道具であり、記念モデルの特別感を構成しています。金属製のアクセサリーには質感の利点がある一方、硬い部品同士を雑に接触させない扱いも必要になります。レンズの着脱とマウントの扱いはレンズマウントの構造と互換性で詳しく解説しています。
35mm F2.5の画角と描写をどう考えるか
35mmは街並みと人物の関係を一緒に写せる
35mmの焦点距離は、フルサイズで風景を広く写しながら、被写体を画面の中心に据えやすい準広角域です。24mmほど遠近感を強調せず、50mmほど背景を狭く切り取らないため、街を歩きながら目に入った光景をまとめる用途に向きます。人物を撮る場合は表情だけを大きく写す方法より、店先や街路、室内の空間と人物を同時に残す構図が使いやすくなります。固定焦点距離なので、画面から不要なものを外すためには撮影者自身が位置を変える必要があります。
全長23mmのレンズなら大きな前玉が目立ちにくく、携帯時にも荷物を小さくまとめやすい利点があります。ただしレンズが小さいことと、撮影対象へ近づいてよいことは同じではありません。スナップでは周囲の人への配慮や撮影可能な場所を守り、相手の表情や状況を自然な距離から切り取ることが重要です。35mmの画角で背景を整理する方法は35mm単焦点が難しい理由と使いこなしでも扱っています。
F2.5は軽さと明るさのバランスを取った設定
F2.5は日中のスナップや旅行では十分に扱いやすい開放F値ですが、極端に暗い室内で高速シャッターを使いたい場合は明るさが足りないことがあります。例えば同じシャッタースピードならF1.4のレンズはF2.5より約3.2倍多くの光を取り込めるため、暗い場所ではISO感度や被写体ブレの面で差が生じます。一方、F1.4のレンズは大きく重くなりやすく、35mm F2.5の薄さを維持することは難しくなります。撮影機会の多くが街歩きや日中の風景なら、開放F値の大きさより持ち運びやすさを重視する考え方があります。
このレンズは10枚の絞り羽根を備えており、絞ったときの絞り開口部の形を作る要素になります。ただし、羽根の枚数だけで背景ボケが必ず円形になるとは限らず、レンズの収差や口径食、被写体との距離も影響します。35mm F2.5で背景をぼかしたい場合は、被写体へ比較的近づき、背景を十分に離して撮ることが基本です。F1.2などの大口径レンズと比較して背景を完全に溶かす表現が得意な製品ではありません。絞り羽根とボケの関係は絞り羽根の枚数でボケと光芒はどう変わるかで詳しく説明しています。
最短0.7mはテーブルフォトと小物撮影で制約になる
100周年モデルの最短撮影距離は0.7mで、通常版P IIと同じです。料理を大きく写したり、机の上の小さな製品へ近づいたりする撮影では、この距離を長く感じる場面があります。最近のミラーレス用35mmレンズには20cm台まで接近できる製品もありますが、本製品は距離計連動式カメラで使うための構造を優先しています。テーブル上の小物へ思い切って近づくマクロ的な撮影より、少し距離を取って周囲の空間を一緒に写す撮り方が適しています。
最短撮影距離を短縮できる可動式マウントアダプターも存在しますが、対応するカメラとアダプターの組み合わせ次第であり、レンズ単体の仕様が変わるわけではありません。通常の機械式アダプターでは0.7mの制限が残ると考える必要があります。花や小物へ近づいて撮りたいなら、購入前に実際に必要な撮影距離を測ると判断しやすくなります。マウントアダプターの働きと焦点距離の関係はレンズマウントとは何かでも解説しています。
ライカMマウント互換のVMレンズとして使う
ライカMシリーズでは距離計に連動してピントを合わせる
このレンズのマウントはコシナのVMで、ライカMマウントとの互換性を持つバヨネット方式です。距離計連動機構を備えているため、対応するライカM型カメラではファインダー内の二重像を一致させる方法でピントを合わせられます。電子式AFモーターを利用する方式ではなく、レンズのフォーカシングレバーを指で動かして距離を調整する仕組みです。レンズ側の光学設計だけでなく、カメラ側の距離計の精度と調整状態もピント精度に影響します。
例えばLeica M11のようなデジタルM型カメラでは、距離計を使った撮影とライブビューによる拡大確認を使い分けられます。距離計では目をファインダーへ当てたまま操作できますが、近距離で厳密に合わせたい場合はライブビューの拡大確認が役立つことがあります。古いM型フィルムカメラではカメラ側の距離計がずれていないかも重要で、レンズを装着できたことだけで正確な合焦が保証されるわけではありません。カメラ側の構成はLeica M11のレンジファインダーと画質で確認できます。
35mm用のブライトフレームとフードの視界を確認する
レンジファインダーカメラはレンズを通った画像を直接ファインダーに表示する一眼レフとは異なり、独立した光学系で構図を確認します。35mmレンズを使用するときには、対応するブライトフレームが表示される機種か、ファインダーの見え方を事前に確認する必要があります。フードやレンズ鏡筒がファインダーの視野へ入る場合もあるため、記念モデルに付属するスリット入りフードには操作上の意味があります。視野の一部がレンズで隠れる現象と、撮影画像そのものの四隅が暗くなる周辺減光は異なる現象です。
実際のファインダー像とレンズが写し取る範囲には撮影距離に応じた視差があるため、近距離で構図を厳密に決めるときは注意が必要です。画面の端へ重要な被写体を置きたい場合は、試し撮りやライブビューで写り方を確認する方法もあります。薄型鏡筒はファインダーを大きく塞ぎにくいという点でも、レンジファインダーとの組み合わせを考えた設計です。こうした光学式ファインダーの使い方はLeica M11のファインダー操作でも扱っています。
機械式MFレンズなので電子連携の有無を区別する
COLOR-SKOPAR 35mm F2.5は、ピントと絞りをレンズ側で機械的に操作する製品です。コシナの製品説明では、距離計連動、総金属ヘリコイド、クリック感のある絞りリングなどが重視されています。一方、AF駆動やボディへ撮影距離情報を電子的に送る機能を備えたレンズとしては案内されていません。使用するボディによってはExifへレンズ名を自動記録できないことがあるため、写真を整理するときにレンズ情報を後から入力する方法も考えられます。
ライカM型カメラでは、絞りリングを操作すること自体が撮影の手順になります。絞り値を決め、ピントを合わせ、シャッタースピードや感度を見ながら写真を撮る流れは、AFレンズを使う撮影と異なる楽しさがあります。ただし、走る子どもやスポーツのような不規則な動体では、自動追尾するAFレンズの方が成功率を高めやすい場面があります。機械式レンズと電子式レンズの位置付けはフォクトレンダーNOKTON 50mm F1のMF操作でも確認できます。
ソニーE・ニコンZ・EOS Rなどミラーレスで使う場合
マウントアダプターを介して装着する仕組み
VMマウントのレンズは、対応するマウントアダプターを使うことで別規格のミラーレスカメラにも装着できます。例えばソニーEマウント、ニコンZマウント、キヤノンRFマウントなどには、ライカMマウント系レンズを取り付けるためのアダプターが販売されています。ただし、VMマウントはソニーEやニコンZへ直接取り付けられる形状ではありません。マウントの寸法とフランジバックを合わせることが必要で、製品名にMマウント対応と記載されているか確認することが出発点です。
一般的な機械式アダプターはレンズの取り付け位置を合わせる仕組みなので、AF機能を新たに備えるわけではありません。レンズのフォーカシングレバーでピントを合わせ、絞りリングでF値を選択する操作は変わらず、カメラ側では拡大表示やフォーカスピーキングを利用できます。アダプターが加わる分、カメラに装着したときの全長と重量はレンズ単体の23mm、134gを上回ります。適合を確認する際はマウント規格とフランジバックの解説も参考になります。
ミラーレスでは拡大表示とピーキングがピント確認に役立つ
EVFや背面モニターを備えたミラーレスで使用する場合、撮影画像を拡大してピント位置を確認できます。35mm F2.5は極端に浅い被写界深度を狙うレンズではありませんが、人物の瞳や看板の文字へ厳密に合わせたいときには拡大表示が有効です。フォーカスピーキングを利用すればピントが合った輪郭の位置を把握しやすくなりますが、ピーキングの表示だけで合焦精度を完全に判定できるわけではありません。拡大表示で合わせてから全体の構図へ戻す操作を組み合わせると、MFの撮影手順を整えやすくなります。
ボディによっては電子接点のないレンズを使うときに「レンズなしレリーズ」などの設定が必要になります。ボディ内手振れ補正を利用するカメラでは、レンズの焦点距離を手動入力する仕組みが用意されている場合もあります。35mmという焦点距離を正しく設定すれば、手振れ補正の動作を適切に制御するための情報になります。電子接点を持つRFマウント専用フォクトレンダーレンズとは扱いが異なるため、その違いはNOKTON 40mm F1.2 RFの電子連携と比較すると分かりやすくなります。
広角VMレンズでは周辺の色づきや画質の相性も確認する
距離計用の広角レンズをデジタルミラーレスへ装着した場合、センサーの手前にあるカバーガラスやマイクロレンズとの組み合わせによって画面周辺の描写が変わることがあります。周辺部に色づきが現れたり、端の解像が低下したりする例が知られていますが、その程度はレンズの光学設計と使用するカメラによって異なります。今回の記念モデルがすべてのソニーE、ニコンZ、EOS Rで同じ結果になるという試写データは確認できません。使用予定のボディが決まっている場合は、その組み合わせによる実写例を確認することが重要です。
画面周辺が暗い現象と、周辺だけが赤紫色に寄る現象は異なるため、補正方法も同じとは限りません。均一な白壁や空を撮影して確認すると周辺の色づきに気付きやすく、細かな建物の線を撮れば画面端の解像を比較できます。こうしたテストはレンズを購入した後の不具合判断だけでなく、日常の撮影でどの程度絞れば使いやすいかを知る材料にもなります。電子接点のあるRF専用レンズでも周辺描写の相性が問題になる例はあり、NOKTON 40mm F1.2 RFの周辺色づきでも取り上げています。
撮影で生かせる使い方と使いにくい場面
街歩きではF5.6からF8と距離目盛りを活用する
昼間のスナップ撮影ならF5.6からF8前後に絞り、被写体までの距離をあらかじめ決めておく方法があります。35mmは広角寄りなので、絞ることで前後の一定範囲が比較的鮮明に写り、動きのある街角でもMF操作の負担を減らせます。例えば歩く前に数メートル先へピントを合わせておき、想定した距離へ被写体が入る瞬間にシャッターを切る撮影です。正確な被写界深度は絞り値、撮影距離、許容錯乱円などの条件で変わるため、距離目盛りを利用しても近距離の被写体ではピント確認が必要になります。
この方法ではAFの認識速度を競う必要がなく、カメラの画面と被写体の位置関係に集中できます。反面、室内でシャッタースピードを確保するためF2.5へ開くと、同じ距離設定でも鮮明に写る範囲が狭くなります。撮影環境の明るさによってISO感度を調整しながら、シャッタースピードと絞りを選ぶことが重要です。画角の固定されたレンズで街を撮る考え方は35mm単焦点のスナップ撮影術にも共通しています。
旅行や風景では薄型設計と35mmの自然な遠近感が役立つ
旅行でカメラを持ち歩く場合は、撮影時の解像力だけでなく機材を長時間持ち運べるかが重要です。全長23mm、134gのレンズなら、カメラバッグへ収めた状態でもレンズの出っ張りを小さくできます。35mmは山や海の全景を極端に広く写す用途より、道、建物、樹木、人を一つの場面としてまとめる撮影に向いています。遠近感を誇張しすぎず、そこに立って見た風景の印象を残したい場合に選びやすい焦点距離です。
一方、広い室内や大きな建築物では35mmでも画角が足りないことがあります。建物全体を無理に収めようと後方へ下がれない場面では、より広い焦点距離が必要になります。撮影したい対象に合わせて単焦点レンズの限界を理解しておけば、一本だけで歩く日と別のレンズを持つ日を使い分けられます。35mmで奥行きを作る構図の考え方は35mm単焦点で風景を撮る方法で詳しく解説しています。
動体・接写・夜間の手持ち撮影は不得意になりやすい
COLOR-SKOPAR 35mm F2.5にはAFがないため、不規則に動く動物やスポーツの撮影で毎回ピントを合わせ直すのは難しくなります。最短撮影距離は0.7mで、花や小物へ大きく近づく撮影も得意ではありません。またF2.5の明るさは日常のスナップには使えても、夜間の人物を速いシャッタースピードで止めたい場面ではISO感度を高くする必要があります。100周年記念モデルの外装や付属品を理由に、こうした仕様上の制約まで解消されると考えることはできません。
夜の街の建物や静物なら、ボディ内手振れ補正や三脚を利用して撮影する方法があります。ただし、手振れを抑える仕組みは歩く人物の動きまで止めるわけではありません。暗所での人物撮影が中心なら、より大口径の35mmや40mmと比較する価値があります。単焦点の焦点距離と開放F値を整理する際は35mm単焦点の難しさと撮影設定も参考になります。
購入前に確認したい価格差と向いている人
記念モデルを選ぶ理由は外観と付属品にある
100周年記念モデルを通常版P IIと比較した場合、コシナが公表している焦点距離や基本的な光学仕様に大きな差はありません。したがって、新しいレンズへ替えることで画角や最短撮影距離を改善したいという目的なら、この記念モデルは解決策になりません。魅力の中心はシルバー外装、ヴィンテージ調の文字、専用金属フード、アルミ製の特別なリアキャップです。普段からレンジファインダーを愛用し、カメラへ装着して歩く時間そのものを大切にしたい撮影者にとっては、実用的なレンズと記念品の性格を併せ持ちます。
通常版P IIを既に所有している場合も、買い替えによる写りの変化を大きく期待するより、二つの外観や付属品を比較する方が判断しやすくなります。シルバーボディと色をそろえたい場合や、金属製リアキャップを含めた完成形を楽しみたい場合には、同じ基本仕様でも購入理由が生まれます。一方、主に写真の完成画像だけを重視する場合は、通常版の方が費用面で合理的になる可能性があります。マニュアル操作へ価値を見いだす考え方はNOKTON 50mm F1の操作性と描写にも表れています。
通常版や明るい35mmとの比較で優先順位を決める
35mm単焦点にはF2.5の小型タイプだけでなく、F2、F1.5、F1.4などの明るい製品があります。暗所でのシャッタースピードや大きな背景ボケを優先するなら、開放F値の小さいレンズが有利です。一方、使わない時間も含めてカメラを軽く持ち歩きたいなら、134gという小ささには別の価値があります。レンズ選びでは開放F値だけを比較するより、重量、全長、最短撮影距離、マウント、AFの有無、付属品の違いを整理することが重要です。
本製品はライカMマウント互換のVMとして発売されるため、RF、E、Zマウント専用レンズとは取り付けの条件も異なります。例えば同じフォクトレンダーでも、RF専用NOKTON 40mm F1.2には電子接点を使う機能があり、VMレンズを機械式アダプターで装着する方法とは操作性が変わります。どのボディで使用するかを先に決めることで、画角や明るさだけでは比較できない違いが明確になります。RFマウント向けの選択肢についてはRFマウントのサードパーティ製フルサイズレンズの選び方でも確認できます。
中古や長期保有では付属品と機械部分の状態が重要
記念モデルを長く使用する場合は、光学系だけでなく外装と付属品の状態も価値に関わります。特別なスリット入り金属フードとアルミ製リアキャップはこのモデル固有の特徴であり、後から同じものを入手できるかは販売状況によって変わります。中古品を選ぶ機会がある場合は、レンズ本体だけでなくフード、前キャップ、金属製リアキャップがそろっているか確認することが重要です。限定生産数や将来の中古価格上昇については公式に確認できる情報がなく、値上がりを前提にした購入は根拠を欠きます。
機械式MFレンズでは、フォーカシングレバーの動き、ヘリコイドの重さ、絞りリングのクリック感も確認すべき部分です。レンズ内部のカビやクモリ、絞り羽根の状態、マウントの傷などは、長く使ううえで撮影と保守の両面に関わります。中古のライカM型カメラと組み合わせる場合は、レンズ単体の状態だけでなく距離計連動が適切に働くかを確認する必要があります。中古カメラとレンズのチェックポイントはLeica M11の中古購入とレンズ選びにも関連しています。
まとめ
コシナの「COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 -SKOPAR 100th model-」は、2026年10月15日に発表されたスコパー誕生100周年記念のVMマウントレンズです。発売は2026年11月を予定し、希望小売価格は税込82,500円です。焦点距離35mm、開放F2.5、5群7枚、最短撮影距離0.7m、全長23mm、重量134gという仕様は、ベースとなる通常版COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 P IIと共通しています。今回の独自性はシルバー仕上げの鏡筒、クラシカルな文字、スリット入り金属フード、アルミ製3ピースリアキャップにあります。
ライカMマウント互換のVMレンズなので、対応するレンジファインダーカメラでは距離計を使ってピントを合わせられ、別規格のミラーレスでは適合するアダプターを介して使用できます。AFや電子連携を前提にしたレンズではなく、指先でピントと絞りを決めて35mmの画角を楽しむ製品です。日中のスナップや旅行で小さなレンズを持ち歩く用途に向く一方、最短0.7mという撮影距離とF2.5の明るさには制約があります。通常版より高い価格を支払う意味は主として100周年モデルの外装と付属品にあり、画質の大幅な向上を期待して選ぶ商品ではありません。自分が使うカメラのマウントと撮影方法を確認したうえで、その特別な仕立てに価値を見いだせるかが選択の中心になります。



