EF-EOS RでEF-Sレンズを使うと画質は落ちる?クロップ・画素数・解像度を徹底解説
キヤノンのマウントアダプター「EF-EOS R」を使えば、EOS KissやEOS 7DシリーズなどのAPS-C一眼レフで使用していたEF-Sレンズを、EOS Rシリーズのミラーレスカメラでも使用できます。しかし、EF-EOS Rを介してEF-Sレンズを装着すると画質が落ちるのか、フルサイズカメラでは記録画素数が減るのか、疑問に感じる人もいるでしょう。
結論からいうと、キヤノン純正の標準マウントアダプターEF-EOS Rには撮影光を通過させる補正レンズが入っていないため、アダプター自体が光学的な画質低下を引き起こす仕組みにはなっていません。EF-Sレンズ本来の焦点距離や開放F値を維持したまま、EOS Rシリーズのカメラへ装着できます。
ただし、ここで重要なのがカメラのセンサーサイズです。フルサイズのEOS RにEF-Sレンズを装着すると、撮影範囲が自動的にAPS-C相当へクロップされ、記録画素数が減少します。例えば、約3030万画素の初代EOS Rではクロップ時に約1160万画素となり、約4500万画素のEOS R5 Mark IIでも約1730万画素での記録となります。
これはアダプターによってレンズの解像力が落ちることとは異なる現象です。フルサイズセンサーの中央部分だけを使用するため、画像全体に使える画素数が少なくなるのです。記録画素数が減れば、大きなプリントや強いトリミングで不利になる場合がありますが、画素数が少ないことと、レンズの光学性能そのものが悪くなることは区別する必要があります。
一方、EOS R7やEOS R10、EOS R50などAPS-Cセンサーを搭載するEOS Rシリーズであれば、EF-Sレンズを装着しても、フルサイズ機のようにAPS-C相当へ追加でクロップされる問題はありません。カメラが持つAPS-Cセンサーの撮影範囲を利用できるため、一眼レフ時代のEF-Sレンズを引き継ぐ方法として適しています。
この記事では、マウントアダプターEF-EOS RでEF-Sレンズを使ったときの画質を中心に、クロップの仕組み、画素数の減少、解像度、AF、手振れ補正、フルサイズ機とAPS-C機の違いを詳しく解説します。さらに、EOS R、EOS RP、EOS R6、EOS R5 Mark IIなどの記録画素数を比較し、古いEF-SレンズをEOS Rシリーズで使い続ける価値があるのかを検証します。
EF-EOS RでEF-Sレンズを使うと画質は落ちるのか
標準マウントアダプターには光学レンズが入っていない
EF-EOS Rは、キヤノンEFマウントのレンズをRFマウントのEOS Rシリーズへ装着するための純正マウントアダプターです。EFレンズだけでなく、APS-C一眼レフ用のEF-Sレンズにも対応しています。
EOS RシリーズとEF一眼レフでは、レンズマウントから撮像面までの距離であるフランジバックが異なります。EFマウントは44.0mm、RFマウントは20.0mmです。EF-EOS Rはこの24.0mmの差を補い、EFレンズが本来の撮像面位置で結像するように取り付ける役割を持っています。
標準タイプのEF-EOS Rは、光学レンズによって焦点距離を変更するコンバーターではありません。カメラとレンズの間に必要な距離を確保し、電子接点を通じてレンズの情報や制御信号をやり取りする構造です。
そのため、EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMを装着しても18-55mmのままであり、開放F値もF3.5-5.6から変わりません。EF-S55-250mm F4-5.6 IS STMであれば、焦点距離は55-250mm、開放F値もF4-5.6のままです。
一般的に、光学系を追加するエクステンダーなどでは、追加されたレンズ群の光学特性が画質へ影響することがあります。しかし、標準EF-EOS Rにはそのような補正レンズがないため、追加光学系による解像力やコントラストの低下を考える必要はありません。
ただし、アダプターを使用しても、レンズ自体の光学性能が向上するわけではありません。もともと周辺解像度が低いレンズや、逆光でフレアが発生しやすいレンズは、その性質を基本的に引き継ぎます。また、アダプターやレンズの装着状態、接点の不具合などがあれば、正常な動作に影響する場合があります。
EF-Sレンズそのものの構造や光学的な特徴については、Canon EF-Sレンズ完全ガイド|EFとの違い・代表レンズ・EOS Rでの使い方で詳しく解説しています。
画質低下と記録画素数の減少は別の問題
EF-EOS RとEF-Sレンズの組み合わせで最も混同されやすいのが、画質低下と画素数減少の違いです。どちらも写真の見え方に関係しますが、発生する仕組みは異なります。
レンズの光学的な画質を評価する際には、解像力、コントラスト、色収差、歪曲収差、周辺減光、フレア、ボケの描写などを確認します。これらはレンズの光学設計や撮影条件によって決まる要素です。
一方、記録画素数は、撮影した画像を何個の画素で記録するかという数字です。フルサイズEOS RでEF-Sレンズを使用すると、センサー中央のAPS-C相当の範囲だけが使われるため、フルサイズ全域を利用した場合より記録画素数が少なくなります。
例えば、同じEF-SレンズをEOS R7とEOS R6で使用した場合、EOS R7ではAPS-Cセンサーの画素を使用しますが、フルサイズのEOS R6ではセンサー中央部分だけを使います。その結果、記録画素数に大きな差が生じます。
しかし、画素数が多い写真が必ず高画質になるわけではありません。レンズの解像力、センサーの特性、ノイズ、画像処理、ピント精度なども影響します。高画素でもピントが外れていれば細部は不鮮明になりますし、低画素でも正確にピントが合い、レンズの描写が優れていれば良好な写真になります。
画素数の減少が問題になりやすいのは、大判プリント、細部の拡大、追加のトリミングなどを行う場合です。一方、Webサイトへの掲載や一般的な画面表示では、クロップ後の画素数でも十分な場合があります。
つまり、EF-EOS Rによる画質の問題を考える際には、アダプターが光学性能を低下させるのか、カメラ側のクロップによって記録画素数が減少するのかを分けることが重要です。
アダプターの役割やEFレンズ全般の互換性については、EOS RでEFレンズを使う方法|マウントアダプター・互換性・デメリットを解説も参考になります。
EF-Sレンズの性能はEOS Rでも引き継がれる
EF-SレンズはAPS-C一眼レフ向けに開発された製品ですが、安価なキットズームだけで構成されているわけではありません。高性能な標準ズーム、超広角ズーム、望遠ズーム、単焦点レンズ、マクロレンズなど、さまざまな製品があります。
例えば、EF-S17-55mm F2.8 IS USMはズーム全域でF2.8を利用できる標準ズームです。EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STMは小型軽量な超広角ズーム、EF-S55-250mm F4-5.6 IS STMは軽量な望遠ズームとして使えます。
これらをEF-EOS Rで装着した場合、レンズの焦点距離や開放F値、光学設計が変化するわけではありません。したがって、EF-Sレンズが持つ基本的な描写特性をEOS Rシリーズでも活用できます。
ただし、カメラが変われば実際に記録される写真の印象は変化する場合があります。センサーの解像度、画像処理エンジン、ローパスフィルターの特性、高感度ノイズ、レンズ補正、オートホワイトバランスなどが異なるからです。
AFについても同様です。EOS Rシリーズでは撮像面を利用したAFを使用するため、一眼レフ時代とはピント合わせの仕組みが異なります。対応する被写体検出AFを利用できる組み合わせでは、人物や動物などへのピント合わせが便利になる場合があります。
一方、レンズのAFモーター自体が新しい方式に変わるわけではありません。古いEF-Sレンズでは、AFの動作音や駆動速度が新しいRFレンズと異なる場合があります。
画質を評価するときには、アダプターの存在だけに注目せず、使用するレンズとカメラ本体の組み合わせを考える必要があります。EF-Sレンズの代表的な製品や画質の特徴は、Canon EF-Sレンズ完全ガイドで詳しく紹介しています。
フルサイズEOS RでEF-Sレンズを使うと自動クロップされる
フルサイズセンサーの中央部分だけを使う仕組み
EF-Sレンズは、キヤノンのAPS-Cセンサーに対応するように設計されています。フルサイズ用のEFレンズとは異なり、フルサイズセンサー全体を覆うイメージサークルを必要としません。
イメージサークルとは、レンズが撮像面へ投影する円形の像の範囲です。フルサイズ対応レンズは36×24mm程度のセンサー全体を覆う必要がありますが、EF-Sレンズはそれより小さなAPS-Cセンサーを覆えるように設計されています。
もしAPS-C専用レンズの像をフルサイズセンサー全体で記録しようとすると、画面の周辺まで十分に光が届かず、大きなケラレが発生する場合があります。この問題を避けるため、キヤノンのフルサイズEOS RではEF-Sレンズを装着すると、撮影範囲が自動的にAPS-C相当へ切り替わります。
キヤノンのAPS-Cは、35mm判換算で約1.6倍の画角になります。フルサイズのEOS RでEF-Sレンズを使用した場合も、画角は約1.6倍相当の範囲となります。
例えば、EF-S18-55mmを装着すると約29-88mm相当、EF-S10-18mmなら約16-29mm相当、EF-S55-250mmなら約88-400mm相当の画角です。
ここで注意したいのは、レンズの焦点距離そのものは変わっていないことです。250mmが光学的に400mmへ変化するわけではありません。センサー中央の狭い範囲を記録するため、フルサイズの400mmレンズに近い画角になるという意味です。
この違いを理解すると、EF-SレンズをフルサイズEOS Rへ装着した場合に画角が狭くなる理由と、画素数が減少する理由がつながります。マウントアダプターで画角は変わる?EFレンズをEOS Rシリーズで使うときの焦点距離とクロップでも、画角の仕組みを詳しく解説しています。
1.6倍クロップでは画素数が約39%になる
フルサイズEOS RでEF-Sレンズを使用すると、センサーの中央部分だけを使って写真を記録します。このとき、画素数がどの程度減少するかは、クロップ倍率から概算できます。
キヤノンのAPS-C相当のクロップ倍率は約1.6倍です。横方向と縦方向の撮影範囲がそれぞれ約1/1.6になるため、画像の面積は約1/2.56となります。
つまり、使用できるセンサー面積はフルサイズの約39.1%です。均等な画素配置を前提にすると、使用する画素数も全画素数の約39%となります。
| フルサイズ時の画素数 | 1.6倍クロップ後の概算 |
|---|---|
| 約2000万画素 | 約780万画素 |
| 約2400万画素 | 約940万画素 |
| 約2600万画素 | 約1020万画素 |
| 約3000万画素 | 約1170万画素 |
| 約4500万画素 | 約1760万画素 |
この表は1.6倍という倍率から計算した概算値であり、各カメラの実際の記録画素数とは多少異なります。メーカーが公表している記録画素数は、各機種の仕様を優先する必要があります。
例えば、約2000万画素のフルサイズカメラでクロップすると、約800万画素前後になります。これは通常のWeb掲載などでは使える場合がありますが、撮影後にさらに大きくトリミングする場合には余裕が少なくなります。
一方、約4500万画素の高画素機なら、クロップ後も1700万画素程度を残せます。APS-C専用レンズを使用する場合でも、元のセンサーが高画素であれば記録できる情報量を多く残せることになります。
ただし、高画素機を使用すればレンズの解像性能が無条件に向上するわけではありません。細部を鮮明に写すには、レンズの性能、正確なピント合わせ、手振れへの対策なども必要です。
EOS Rシリーズにおけるクロップと焦点距離の関係は、マウントアダプターで画角は変わる?でも詳しく紹介しています。
クロップしてもレンズの焦点距離やF値は変わらない
クロップ撮影を理解するうえで重要なのは、焦点距離、F値、画角を区別することです。EF-SレンズをフルサイズEOS Rで使用しても、レンズの焦点距離や開放F値は変わりません。
EF-S24mm F2.8 STMは24mm F2.8のままで、EF-S17-55mm F2.8 IS USMは17-55mm F2.8のままです。EF-EOS Rは焦点距離を延長する光学コンバーターではないため、開放F値が暗くなることもありません。
ただし、撮影範囲は約1.6倍相当の画角になります。例えば、EF-S24mm F2.8 STMを装着した場合、フルサイズの約38mmレンズに近い画角となります。
また、ボケの量を比較するときには条件をそろえる必要があります。同じ焦点距離、同じF値、同じ撮影距離であれば、レンズが作る光学像そのものは基本的に変わりません。しかし、フルサイズ全域で記録した写真とAPS-C相当にクロップした写真を同じ大きさで表示すると、構図と拡大率が異なります。
さらに、同じ画角と被写体の大きさをそろえるために撮影距離や焦点距離を変えると、被写界深度や背景のボケの見え方も変化します。このため、APS-CだからF値が変わるという説明は正確ではありません。
露出を決めるF値はF2.8のままです。一方、フルサイズとAPS-Cで同じ構図を作った場合の被写界深度を比較する際には、センサーサイズの違いを考慮する必要があります。
EF-Sレンズの画角とセンサーサイズの基本については、Canon EF-Sレンズ完全ガイドでも説明しています。
EOS R・EOS RP・EOS R6・EOS R5 Mark IIの記録画素数を比較
初代EOS RとEOS RPではクロップ後に約1000万画素前後
フルサイズEOS RシリーズでEF-Sレンズを使用する場合、どのカメラを選ぶかによって記録画素数が異なります。まず、初代EOS RとEOS RPを比較します。
初代EOS Rの有効画素数は約3030万画素です。EF-Sレンズを装着して1.6倍クロップすると、約1160万画素で記録されます。一方、EOS RPの有効画素数は約2620万画素で、クロップ時の記録画素数は約1010万画素です。
| 機種 | 通常撮影 | APS-Cクロップ時 |
|---|---|---|
| EOS R | 約3030万画素 | 約1160万画素 |
| EOS RP | 約2620万画素 | 約1010万画素 |
初代EOS Rでは、クロップ後も1000万画素を超える画像を記録できます。EOS RPでも約1010万画素が残ります。この画素数なら、Webサイトへの掲載、SNS投稿、一般的な写真プリントなど、さまざまな用途で使用できます。
ただし、フルサイズ全域の画素数に比べると、記録できる細部の情報量は減っています。例えば、クロップ後の写真からさらに中央部分だけを切り取ると、最終的な画素数はさらに少なくなります。
野鳥や航空機など、撮影後の大幅なトリミングを前提とする場合には、1000万画素前後では不足を感じることがあります。一方、被写体を撮影時に十分大きく写せていれば、画素数の少なさが大きな問題にならない場合もあります。
初代EOS RやEOS RPでEF-Sレンズを使う場合には、フルサイズセンサー全体を使用できないという点を理解したうえで、撮影用途に合うか判断する必要があります。
EOS RシリーズでEFレンズとEF-Sレンズを使用する基本については、EOS RでEFレンズを使う方法で詳しく紹介しています。
EOS R6では約770万画素まで減少する
初代EOS R6は、有効約2010万画素のフルサイズセンサーを搭載しています。高感度撮影や高速連写などを重視したカメラですが、EF-Sレンズ使用時にはAPS-C相当へクロップされます。
キヤノンが公表している初代EOS R6の1.6倍クロップ時の記録画素数は、約770万画素です。通常撮影時の約2000万画素と比較すると、記録画素数は大幅に減少します。
約770万画素でも、一般的な画面表示や小さなプリントには使用できます。しかし、大判プリントや大幅なトリミングを行う場合には、元の画素数が少ないことによる制約が大きくなります。
ここで興味深いのは、古いAPS-C一眼レフの中には、初代EOS R6でクロップした場合より高い画素数で撮影できる機種があることです。例えば、EOS 80Dは約2420万画素、EOS 90Dは約3250万画素のAPS-Cセンサーを搭載しています。
EF-SレンズをEOS 90Dから初代EOS R6へ移して使用すると、フルサイズ機へ買い替えたにもかかわらず、EF-Sレンズで撮影した画像の記録画素数は大幅に減少することになります。
もちろん、画素数以外にもAF、高感度画質、連写、手振れ補正などの違いがあるため、EOS R6へ移行すること自体に価値がないという意味ではありません。しかし、EF-Sレンズの解像力を高い画素数で記録したい場合には、フルサイズ機のクロップが必ずしも有利になるわけではないのです。
フルサイズ機だからAPS-C機より必ず細部を高解像度で記録できるという考え方は、EF-Sレンズとの組み合わせでは成り立ちません。使用するセンサーの範囲と画素密度が重要になります。
APS-CレンズをフルサイズEOS Rで使用した場合の画角と記録範囲については、マウントアダプターで画角は変わる?でも詳しく解説しています。
EOS R5 Mark IIならクロップ後も約1730万画素が残る
高画素のフルサイズEOS Rでは、EF-Sレンズを使用しても比較的多くの画素数を残せます。その代表例がEOS R5 Mark IIです。
EOS R5 Mark IIは有効約4500万画素のフルサイズセンサーを搭載し、1.6倍クロップ時には約1730万画素で記録します。これは、初代EOS Rの約1160万画素やEOS RPの約1010万画素、初代EOS R6の約770万画素より多い数字です。
| カメラ | 通常撮影時 | 1.6倍クロップ時 |
|---|---|---|
| EOS R | 約3030万画素 | 約1160万画素 |
| EOS RP | 約2620万画素 | 約1010万画素 |
| EOS R6 | 約2010万画素 | 約770万画素 |
| EOS R5 Mark II | 約4500万画素 | 約1730万画素 |
EOS R5 Mark IIなら、EF-Sレンズを装着しても約1730万画素の写真を撮影できます。この画素数があれば、一般的な写真プリントやWeb掲載に加え、ある程度のトリミングにも対応しやすくなります。
ただし、EOS R5 Mark IIの約4500万画素をEF-Sレンズで全面的に利用できるわけではありません。クロップ後の画素数は、約4500万画素の4割弱です。
例えば、EF-S55-250mm F4-5.6 IS STMを装着した場合、画角は約88-400mm相当になります。しかし、250mmレンズが400mmの光学的な解像力を得るわけではありません。250mmで作られた像の中央部分を約1730万画素で記録するという仕組みです。
高画素機では画素密度が高くなるため、レンズの解像性能や撮影時のブレが画像の細部に影響しやすくなります。古いEF-Sレンズを使う場合には、絞り値、シャッタースピード、ピント精度などにも注意が必要です。
したがって、高画素フルサイズ機はEF-Sレンズを活用しやすい選択肢ですが、APS-C専用の高画素カメラと同じ条件になるわけではありません。
EF-Sレンズの光学性能や代表製品については、Canon EF-Sレンズ完全ガイドで詳しく紹介しています。
APS-CのEOS R7・R10・R50では画質と画素数はどうなるか
EOS R7では約3250万画素を使って撮影できる
EF-SレンズをEOS Rシリーズへ引き継ぐ場合、画素数を重視するならAPS-C機も有力です。特にEOS R7は有効約3250万画素のAPS-Cセンサーを搭載しています。
EOS R7はAPS-Cセンサーを採用しているため、EF-SレンズをEF-EOS R経由で装着した場合でも、フルサイズ機のようにAPS-C相当へ追加でクロップする必要がありません。対応する撮影モードでは、約3250万画素のセンサーを利用して写真を記録できます。
これは、高画素フルサイズ機のEOS R5 Mark IIを1.6倍クロップした約1730万画素より多い数字です。同じEF-Sレンズを使用してAPS-C相当の画角で撮影する場合、記録画素数ではEOS R7のほうが多くなります。
ただし、画素数だけで実際の解像度が決まるわけではありません。EOS R7の高い画素密度を活かすには、レンズの解像性能や撮影条件も重要です。
例えば、EF-S55-250mm F4-5.6 IS STMを使用する場合、EOS R7なら約3250万画素のAPS-C画像を記録できます。野鳥や鉄道など遠くの被写体を撮影し、後からトリミングする用途では、この記録画素数の多さが役立ちます。
一方、古いEF-Sレンズや解像力に制約のあるレンズでは、高画素センサーの性能を十分に引き出せない場合があります。また、高画素ほど手振れやピントのわずかなズレを拡大表示時に確認しやすくなります。
EOS R7にはボディ内手振れ補正も搭載されているため、対応するレンズとの組み合わせで手持ち撮影を補助できます。EF-Sレンズの資産を使いながら高い記録画素数を求める場合、有力な組み合わせです。
EF-SレンズのAPS-Cでの使い方については、Canon EF-Sレンズ完全ガイドでも詳しく説明しています。
EOS R10・R50ではセンサーの画素数をそのまま活用できる
EOS R10とEOS R50は、いずれも有効約2420万画素のAPS-Cセンサーを搭載しています。EF-EOS Rを使用すれば、EF-Sレンズを装着して撮影できます。
これらのカメラでは、フルサイズ機のようにセンサー中央部分だけを使用して画素数が減少することはありません。APS-Cセンサーを使って、約2420万画素の写真を撮影できます。
例えば、EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMをEOS R50に装着した場合、画角は約29-88mm相当になります。これは従来のAPS-C一眼レフで同じEF-Sレンズを使用した場合と近い画角です。
また、EOS R10やR50はミラーレスのAFシステムを備えているため、対応するEF-Sレンズとの組み合わせでは、人物や動物への被写体検出AFを活用できます。
ただし、レンズのAFモーターの性能は変わりません。古いEF-SレンズではAFの駆動音や合焦速度が、新しいRF-Sレンズとは異なる場合があります。
また、EOS R10やEOS R50にはボディ内手振れ補正が搭載されていません。そのため、手振れ補正を利用する場合には、IS搭載のEF-Sレンズを使用するなど、組み合わせを考える必要があります。
すでにEF-Sレンズを複数所有している人がEOS Rシリーズへ移行する場合、R10やR50ならレンズの画角を大きく変えずに使い続けられます。さらに、フルサイズ機で発生する大幅な記録画素数の減少も避けられます。
EOS RシリーズでEFレンズやEF-Sレンズを使う基本については、EOS RでEFレンズを使う方法|マウントアダプター・互換性・デメリットを解説が参考になります。
フルサイズ機とAPS-C機のどちらがEF-Sレンズに適しているか
EF-SレンズをEOS Rシリーズで使う場合、フルサイズ機とAPS-C機では撮影結果に違いがあります。主な違いは、撮影に使用するセンサー範囲と記録画素数です。
APS-C機では、EF-Sレンズが想定する撮影範囲をそのまま利用できます。EOS R7なら約3250万画素、EOS R10やEOS R50なら約2420万画素で撮影できるため、EF-Sレンズの画角を維持しながら、比較的多くの画素数を確保できます。
一方、フルサイズ機では自動クロップによって記録画素数が減ります。初代EOS R6のような約2000万画素クラスの機種では、クロップ後の記録画素数は約770万画素となります。
では、EF-Sレンズの画質を最大限に活用するには、APS-C機を選んだほうがよいのでしょうか。記録画素数を重視する場合には、APS-C機が有利になる組み合わせがあります。ただし、すべての撮影条件でAPS-C機の画質が優れるという意味ではありません。
高感度ノイズ、階調、色再現、センサーの世代、画像処理などは、使用するカメラによって異なります。APS-C機とフルサイズ機のクロップ画像を比較する場合には、単にセンサーサイズだけでなく、実際に使用する撮像面積と画素数を考慮する必要があります。
また、将来フルサイズ対応のRFレンズやEFレンズを使用する予定があるなら、フルサイズEOS Rを選ぶ意味があります。EF-Sレンズ使用時にはクロップされても、フルサイズ対応レンズへ交換すればセンサー全域を利用できるからです。
つまり、現在所有しているEF-Sレンズを中心に使い続けるならAPS-CのEOS Rシリーズが合理的です。一方、EF-Sレンズを一時的に活用し、その後フルサイズ対応レンズへ移行するなら、フルサイズEOS Rを選ぶ考え方もあります。
両者の画角とセンサーサイズの違いについては、マウントアダプターで画角は変わる?で詳しく解説しています。
EF-EOS Rで使うEF-SレンズのAFと手振れ補正
EF-SレンズでもAFを利用できるが駆動方式によって差がある
キヤノン純正のマウントアダプターEF-EOS Rでは、対応するEFレンズやEF-Sレンズの電子制御機能を引き継げます。したがって、AF対応のEF-Sレンズであれば、EOS Rシリーズでもオートフォーカスを利用できます。
ただし、AFの実際の動作はレンズによって異なります。EF-Sレンズには、リングUSM、マイクロUSM、STM、ナノUSMなど、さまざまなAF駆動方式を採用した製品があります。
例えば、EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMやEF-S55-250mm F4-5.6 IS STMは、STMを使用するレンズです。STMは静音性や滑らかな駆動を考慮した方式で、ライブビューや動画撮影に適した製品が多くあります。
EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USMではナノUSMが採用され、高速なピント合わせと滑らかな駆動を目指した設計になっています。一方、古いEF-SレンズではAF動作音が大きかったり、合焦までの動きが新しいレンズと異なったりする場合があります。
EOS Rシリーズでは、カメラ側の被写体検出AFや瞳検出AFを利用できる機種があります。ただし、カメラ側の認識性能が高くても、レンズ側の駆動速度が追いつかなければ、動く被写体への追従に影響する場合があります。
また、すべてのEF-Sレンズで、すべてのEOS RシリーズのAF機能を同じ条件で利用できるわけではありません。組み合わせによって機能や性能に制約がある場合には、カメラやレンズの対応情報を確認する必要があります。
EF-Sレンズの代表製品とAF駆動方式については、Canon EF-Sレンズ完全ガイドで詳しく紹介しています。
レンズ内ISとボディ内手振れ補正の関係
EF-EOS Rを使用する場合、対応するEF-Sレンズの光学式手振れ補正ISも利用できます。例えば、EF-S18-55mm IS STM、EF-S10-18mm IS STM、EF-S55-250mm IS STMなどにはレンズ内ISが搭載されています。
一方、EF-S24mm F2.8 STMのようにレンズ内ISを持たない製品もあります。この場合、EOS Rシリーズのボディ内手振れ補正の有無が重要になります。
EOS R7やEOS R6、EOS R5シリーズなど、ボディ内手振れ補正を搭載する機種では、対応するレンズとの組み合わせでカメラ側の補正を利用できます。
ただし、ボディ内手振れ補正を持つカメラへIS搭載レンズを装着すれば、必ず最高の協調補正性能が得られるという意味ではありません。レンズの種類や電子通信、カメラ側の対応によって、利用できる補正方式や補正効果は変わります。
また、EOS R、EOS RP、EOS R10、EOS R50などは、センサーを動かすボディ内手振れ補正を搭載していません。これらの機種では、静止画撮影時の手振れ対策としてレンズ内ISの有無が重要になります。
手振れ補正はカメラの揺れによるブレを軽減する機能ですが、被写体自体の動きを止めることはできません。人物やペット、野鳥などを撮影する場合には、被写体の動きに応じてシャッタースピードを設定する必要があります。
EF-EOS Rを使うことでレンズ内ISが失われるわけではありませんが、補正性能を判断する際には、使用するレンズとカメラ本体の組み合わせを確認することが大切です。
EOS RシリーズでEFレンズの電子機能を使う仕組みは、EOS RでEFレンズを使う方法でも解説しています。
マウントアダプターの装着精度と電子接点にも注意
EF-EOS Rは光学レンズを持たないアダプターですが、使用時にはマウントの装着状態や電子接点が重要になります。正常なアダプターを適切に装着すれば、レンズ本来の位置関係を保ちながらEOS Rシリーズで使用できます。
一方、アダプターが正しく装着されていなかったり、マウント部分に異常があったりすると、レンズの動作に影響する場合があります。
例えば、電子接点の接触に問題がある場合、AFや絞り制御、レンズ情報の通信などが正常に行われないことがあります。また、極端に精度の低いアダプターでは、レンズの光軸や撮像面との位置関係に問題が生じる可能性があります。
キヤノン純正EF-EOS Rは、EFレンズやEF-SレンズをEOS Rシリーズで使用することを目的に設計された製品です。約110gの標準タイプで、金属マウントと電子接点を備えています。
また、EF-EOS Rにはコントロールリング付きのタイプや、ドロップインフィルターに対応したタイプもあります。通常の撮影でEF-Sレンズを装着する目的なら、標準タイプが基本的な選択肢になります。
中古のアダプターを購入する場合には、マウントの変形、過度なガタ、電子接点の傷や汚れなどがないかを確認することが重要です。レンズを装着してAFや絞り、ISが正常に動作するかを確かめられれば、購入後の不具合を避けやすくなります。
また、マウントアダプターEF-EOS RはEOS Rシリーズ用です。EOS MシリーズにはEF-EOS Mという別のアダプターが必要であり、両者を取り違えないようにする必要があります。
EF-EOS Rの構造や種類、EFレンズとの互換性については、EOS RでEFレンズを使う方法|マウントアダプター・互換性・デメリットを解説で詳しく紹介しています。
EF-SレンズをEOS Rで使い続ける価値はあるのか
すでにEF-Sレンズを持っているなら再利用に意味がある
EOS KissやEOS 7D、EOS 80D、EOS 90DなどのAPS-C一眼レフを使用していた人は、EF-Sレンズを複数所有している場合があります。EOS Rシリーズへ移行する際、これらをすべて買い替える必要があるかどうかは重要な問題です。
EF-EOS Rを利用すれば、EF-SレンズをEOS Rシリーズへ引き継げます。特にAPS-CのEOS R7、R10、R50などへ移行する場合、従来の画角を維持しながらレンズを活用できます。
例えば、EF-S10-18mm、EF-S18-55mm、EF-S55-250mmの3本を所有している場合、超広角から望遠までの撮影範囲を引き続き利用できます。これらをすべてRF-Sレンズへ買い替えるには、それなりの費用が必要です。
一方、EF-EOS Rを購入すれば、対応する複数のEF-Sレンズを1つのアダプターで使い回せます。すでにレンズが手元にある場合には、購入費用を抑えながらEOS Rシリーズへ移行できることが利点です。
ただし、アダプターを使用することでレンズ全体の長さと重量は増えます。EOS R50のような小型ボディでは、古いEF-Sレンズとアダプターの組み合わせが大きく感じられる場合があります。
また、最新のRF-SレンズはEOS Rシリーズに合わせて設計されており、小型軽量化やAF、操作性などで利点を持つ製品もあります。したがって、EF-Sレンズを使えるからといって、新しいRF-Sレンズへ買い替える意味がなくなるわけではありません。
手元のEF-Sレンズが十分な画質を持ち、撮影用途を満たしているなら、まずアダプターで活用する方法が合理的です。EF-Sレンズの種類や特徴については、Canon EF-Sレンズ完全ガイドも参考になります。
フルサイズEOS RではEF-SとEFレンズの使い分けが重要
フルサイズEOS Rを購入する場合には、EF-Sレンズとフルサイズ対応EFレンズを区別して使うことが重要です。
EF-Sレンズを装着するとAPS-C相当へ自動クロップされますが、フルサイズ対応のEFレンズなら、通常はフルサイズセンサー全域を利用できます。
例えば、EOS R5 Mark IIにEF-S55-250mmを装着すると、APS-C相当の画角で約1730万画素の撮影となります。一方、フルサイズ対応のEF70-200mmやEF100-400mmを装着すれば、約4500万画素のセンサー全域を利用できます。
もちろん、EF-S55-250mmとEF100-400mmでは重量、価格、焦点距離、光学性能などに違いがあります。高性能なフルサイズ対応望遠レンズのほうが大きく重い場合もあるため、常にEFレンズへ買い替えることが最善とは限りません。
また、EF-Sレンズを使用する場合には、フルサイズセンサーの周辺部分を使わないという特徴があります。これは、APS-C専用レンズが本来想定している撮影範囲を使用することでもあります。
一方、フルサイズ対応EFレンズでは、広いイメージサークルを利用してセンサー全域で記録します。高画素フルサイズ機の性能を十分に活用したい場合には、フルサイズ対応レンズが必要です。
そのため、フルサイズEOS Rへの移行直後は手元のEF-Sレンズをアダプター経由で使い、必要な焦点距離から少しずつフルサイズ対応RFレンズやEFレンズへ移行する方法も考えられます。
EFレンズとEF-Sレンズの互換性や使い分けについては、EOS RでEFレンズを使う方法で詳しく解説しています。
中古EF-Sレンズを新たに購入する場合の注意点
EOS Rシリーズで使用するために、中古EF-Sレンズを新たに購入する方法もあります。EF-Sレンズは長年にわたって大量に販売されてきたため、中古市場にはさまざまな製品が流通しています。
特に、EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM、EF-S17-55mm F2.8 IS USM、EF-S24mm F2.8 STM、EF-S55-250mm F4-5.6 IS STMなどは、用途が明確なレンズです。
ただし、古いEF-Sレンズを中古で購入する場合には、光学系と電子機能の状態を確認する必要があります。レンズ内部のカビやクモリ、ズームリングの動作、AFモーター、IS機構、電子接点などが確認項目です。
特にIS搭載レンズでは、手振れ補正機構が正常に動作するかが重要です。AFについても、近距離から遠距離へ繰り返しピントを合わせ、動作に異常がないかを確認する必要があります。
また、EOS Rシリーズで使用する場合には、レンズ本体の価格に加えてEF-EOS Rの購入費用が必要です。すでにアダプターを所有しているなら追加費用は小さくなりますが、新規購入の場合には総額で比較する必要があります。
フルサイズEOS Rで使用するためにEF-Sレンズを新たに買う場合には、クロップによる記録画素数の減少も考慮する必要があります。例えば、初代EOS R6で約770万画素になることを理解したうえで、それでも軽量なEF-Sレンズを使いたいかを判断することになります。
一方、EOS R7やEOS R10などAPS-C機では、EF-Sレンズ本来の撮影範囲を活用できます。中古EF-Sレンズを新たに購入する場合には、使用するカメラのセンサーサイズが重要な判断材料になります。
EF-Sレンズの中古購入や代表的な製品の特徴については、Canon EF-Sレンズ完全ガイド|EFとの違い・代表レンズ・EOS Rでの使い方で詳しく紹介しています。
まとめ
キヤノン純正のマウントアダプターEF-EOS Rを使えば、EOS RシリーズでEF-Sレンズを使用できます。標準EF-EOS Rには光学レンズが入っていないため、アダプターそのものによって焦点距離や開放F値が変わったり、追加光学系による画質低下が発生したりする仕組みではありません。
しかし、フルサイズEOS RでEF-Sレンズを使用すると、撮影範囲が自動的にAPS-C相当へクロップされます。これにより、センサー全域を使用した場合より記録画素数が減少します。
例えば、初代EOS Rでは約3030万画素から約1160万画素、EOS RPでは約2620万画素から約1010万画素、初代EOS R6では約2010万画素から約770万画素となります。高画素のEOS R5 Mark IIでは、約4500万画素から約1730万画素となります。
この現象はレンズの解像力がアダプターによって低下することとは異なります。フルサイズセンサーの中央部分だけを使用するため、画像全体に記録できる画素数が少なくなるという仕組みです。
一方、EOS R7、EOS R10、EOS R50などAPS-CのEOS Rシリーズでは、フルサイズ機のような追加クロップは発生しません。EOS R7なら約3250万画素、EOS R10やR50なら約2420万画素のAPS-Cセンサーを利用してEF-Sレンズで撮影できます。
また、EF-EOS Rを使用しても、対応するEF-SレンズのAFや絞り制御、レンズ内手振れ補正などを利用できます。ただし、AF速度や動作音、手振れ補正性能はレンズの世代やカメラとの組み合わせによって異なります。
すでにEF-Sレンズを所有している場合には、EF-EOS Rを利用してEOS Rシリーズへ引き継ぐことに意味があります。特にAPS-CのEOS Rへ移行するなら、従来のAPS-C一眼レフに近い画角を維持しながらレンズを活用できます。
一方、フルサイズEOS RでEF-Sレンズを使う場合には、記録画素数の減少を理解する必要があります。高画素機ならクロップ後も多くの画素を残せますが、約2000万画素クラスのフルサイズ機では1000万画素未満になる場合があります。
結論として、EF-EOS RでEF-Sレンズを使った場合に問題となるのは、アダプター自体による光学的な画質低下よりも、フルサイズEOS Rでのクロップによる記録画素数の減少です。EOS Rシリーズへの移行では、使用するカメラのセンサーサイズとクロップ後の画素数を確認することが重要です。
EF-Sレンズを中心に使い続けるならAPS-CのEOS Rシリーズ、フルサイズ対応レンズへ徐々に移行するならフルサイズEOS Rという考え方ができます。どちらを選ぶ場合でも、手元のEF-Sレンズをすぐに処分する必要はありません。レンズの画質と撮影用途、必要な記録画素数を考えることで、一眼レフ時代のレンズ資産をEOS Rシリーズでも有効に活用できます。






