Canon EF-S24mm F2.8 STMレビュー|約38mm相当の画角・ボケ・描写を解説
Canon EF-S24mm F2.8 STMは、APS-C一眼レフ用として設計された薄型の単焦点レンズです。焦点距離は24mmですが、キヤノンAPS-C機では35mm判換算約38mm相当となり、35mmと50mmの中間に近い自然な画角で撮影できます。風景を大きく取り込む超広角レンズとは性格が異なり、街歩き、旅行、料理、人物を含む日常スナップなどで扱いやすい一本です。
最大の特徴は、長さ約22.8mm、質量約125gという小型軽量設計です。EOS KissシリーズやEOS 80D、90Dなどへ装着してもレンズがほとんど前へ張り出さず、一眼レフを気軽に持ち歩ける構成を作れます。ズームレンズからEF-S24mm F2.8 STMへ交換すると、カメラ全体の印象が大きく変わるほど薄くなります。
開放F値はF2.8で、キットズームより明るく使える場面が多く、最短撮影距離は0.16m、最大撮影倍率は0.27倍です。小さなレンズですがかなり近くまで寄れるため、料理、小物、花、カメラ用品などを撮る用途にも向いています。一方で手ブレ補正は搭載されず、F1.4やF1.8の大口径単焦点ほど大きなボケを作るレンズでもありません。
EF-S24mm F2.8 STMを理解するには、「薄い単焦点」「F2.8」というスペックだけを見るより、約38mm相当という画角、16cmまで寄れる近接性能、STMのAF、開放での描写、APS-C専用という制約まで含めて考える必要があります。ここでは実写での使いやすさや弱点、中古で選ぶ際の確認点、EOS Rシリーズで使用する場合まで詳しく解説します。
- EF-S24mm F2.8 STMとはどのようなレンズか
- EF-S24mm F2.8 STMの基本スペック
- 実写で見るEF-S24mm F2.8 STMの画質
- EF-S24mm F2.8 STMのボケはどの程度か
- スナップ撮影で使うEF-S24mm F2.8 STM
- 料理や小物の撮影で使う
- 人物撮影ではどう使えるか
- 夜景や室内撮影での使いやすさ
- STMのAF性能と動画撮影
- 標準ズームとの違い
- EF-S24mm F2.8 STMをEOS Rシリーズで使う場合
- フルサイズ一眼レフには装着できない
- EF-S24mm F2.8 STMの弱点
- 中古でEF-S24mm F2.8 STMを選ぶ場合
- EF-S24mm F2.8 STMが向いている人
- まとめ
EF-S24mm F2.8 STMとはどのようなレンズか
EF-S24mm F2.8 STMは、APS-C一眼レフ用EF-Sレンズとして小型化を徹底したパンケーキ型単焦点です。フルサイズ用のEF24mmとは用途が異なり、APS-C機へ装着したときに日常撮影で使いやすい画角になるよう考えられています。
APS-Cで約38mm相当になる自然な画角
焦点距離そのものは24mmですが、キヤノンAPS-Cでは35mm判換算約38.4mm相当の画角になります。一般的な35mm単焦点よりわずかに狭く、50mmより明確に広いため、広角と標準の中間に近い感覚で撮影できます。
38mm相当は、街中で建物と人物を一緒に撮ったり、食卓全体を写したり、室内で家族を撮ったりする場面で扱いやすい画角です。50mm相当では少し狭いと感じる場面でも、38mm相当なら一歩下がらずに構図を作れることがあります。反対に、18mmの標準ズーム広角端ほど広くないため、広角特有の強い遠近感は出にくくなります。
人物を撮る場合も、顔だけを大きく狙うより、上半身や全身と周囲の空間を一緒に見せる撮り方に向いています。旅行先の街並み、カフェ、室内、駅、商店街など、背景にも意味がある場面で使いやすい焦点距離です。
EF-Sレンズ全体の焦点距離や特徴については、Canon EF-Sレンズ完全ガイドで各レンズを比較できます。
厚さ約22.8mm、約125gのパンケーキ設計
EF-S24mm F2.8 STMの最大径は約68.2mm、長さは約22.8mm、重量は約125gです。レンズ単体で見ると非常に薄く、一眼レフへ装着してもグリップより少し前へ出る程度のサイズに収まります。
一眼レフはミラーレスよりボディに厚みがありますが、このレンズを装着すると標準ズーム使用時より全体をかなり短くできます。カメラバッグの奥行きを減らしやすく、肩から下げて歩く場合にもレンズが前方へ大きく張り出しません。
重量125gという軽さも実用面で大きな意味があります。例えば600g前後のズームから交換すると、カメラを持ったときの重心が一気にボディ側へ移ります。長時間の街歩きや旅行では、この差が疲労感に直結します。
EF-Sが小型軽量なレンズを作りやすい理由は、EF-Sによって可能になった小型軽量設計で詳しく解説しています。
EF-S24mm F2.8 STMの基本スペック
光学系は5群6枚というシンプルな構成で、非球面レンズを採用しています。開放F値はF2.8、最小絞りはF22、最短撮影距離は0.16mです。最大撮影倍率は0.27倍で、通常の広角寄り単焦点としてはかなり近くまで被写体を大きく写せます。
| 焦点距離 | 24mm |
|---|---|
| 35mm判換算 | 約38mm相当 |
| 開放F値 | F2.8 |
| 最小絞り | F22 |
| レンズ構成 | 5群6枚 |
| 最短撮影距離 | 0.16m |
| 最大撮影倍率 | 0.27倍 |
| フィルター径 | 52mm |
| 最大径×長さ | 約68.2×22.8mm |
| 重量 | 約125g |
| AF | STM |
| 手ブレ補正 | なし |
| マウント | Canon EF-S |
F2.8はキットズームより明るく使える場面が多い
EF-S24mm F2.8 STMの開放F値はF2.8です。APS-C用の標準ズームでは24mm付近でF4前後になることが多いため、単焦点へ交換すると一段近く明るく使える場面があります。
一段明るくなれば、同じISO感度でシャッタースピードを速くできます。例えばズームでF4・1/60秒となる場面なら、F2.8では同じ条件で約1/125秒を使えます。人物や室内スナップではこの差が被写体ブレを減らす方向に働きます。
一方、F1.8やF1.4の単焦点と比べればF2.8は特別に明るい数字ではありません。夜間や非常に暗い室内で大きくISO感度を下げたい場合には、さらに明るい単焦点の方が有利です。EF-S24mm F2.8 STMは、明るさだけを追求するより、薄さと軽さを維持しながらF2.8を使えるところに意味があります。
F値とシャッタースピード、被写界深度の関係は、F値とボケ・明るさの関係で詳しく解説しています。
最短撮影距離16cmは実際に使うとかなり近い
最短撮影距離は0.16mです。この数字はレンズ先端から16cmという意味ではなく、カメラの撮像面から被写体までの距離です。レンズ自体が非常に薄いため、実際には前玉のかなり近くまで被写体へ寄れます。
最大撮影倍率は0.27倍で、本格的なマクロレンズには及ばないものの、料理、アクセサリー、文房具、時計、花などを大きめに写せます。旅行先で料理を撮り、そのまま街へ出てスナップするような使い方では、レンズ交換を減らせます。
広角寄りの画角で近づくため、被写体そのものを大きく写しながら背景もある程度残せる点が特徴です。マクロレンズのように背景を大幅に切り取る撮り方とは異なり、「被写体と周囲の状況を一緒に見せる」近接撮影ができます。
さらに接写性能を重視するAPS-C用レンズとの違いは、EFマウントAPS-Cで使いたいレンズでEF-S35mm F2.8 マクロ IS STMなどと比較できます。
実写で見るEF-S24mm F2.8 STMの画質
EF-S24mm F2.8 STMは小型軽量な低価格帯レンズですが、画面中央の解像力は高く、絞ることで周辺まで安定した描写を得やすいレンズです。サイズを考えると実用画質は高い一方、開放では周辺光量低下や歪曲などの弱点も見られます。
中央部はF2.8からシャープに写しやすい
開放F2.8でも画面中央は細部を十分に描写できます。街中の看板、建物の細部、人物の髪、料理の質感なども確認しやすく、開放だから大きく甘くなるタイプのレンズではありません。
F4からF5.6へ絞ると中央部だけでなく周辺も安定しやすくなり、風景や建築など画面全体を使う撮影に向きます。F8前後まで絞れば、晴天の風景や街並みで前景から背景まで見せる構図にも使いやすくなります。
高画素APS-C機ではレンズの弱点も見えやすくなりますが、EF-S24mm F2.8 STMはサイズ優先のレンズとしては解像感を得やすい一本です。単焦点らしく焦点距離を24mmへ固定できるため、ズーム機構を持つレンズより構成を単純化しやすいことも特徴です。
EF-SとEFレンズの設計上の違いについては、EF-Sショートバックフォーカス設計の概要で詳しく確認できます。
開放では周辺光量低下が見えやすい
F2.8では画面四隅が中央より暗くなる周辺光量低下が見られます。青空、白い壁、明るい室内など均一な背景では比較的分かりやすくなります。
一方、スナップや料理、人物撮影では四隅が多少暗くても大きな問題にならない場合があります。むしろ中央付近の被写体へ視線を集める効果として感じられることもあります。
F4、F5.6と絞るにつれて周辺光量は改善します。RAW現像を行う場合には後処理でも調整できるため、開放を避けなければならないほどの問題ではありません。
小型EF-S単焦点と他のEFレンズを比較する場合は、Canon EFレンズ一覧から単焦点とズームをまとめて確認できます。
歪曲は建築や直線の多い場面で分かりやすい
24mmという焦点距離では、ある程度の樽型歪曲が見られます。街中のビル、室内の壁、ドア、水平線など、直線が画面端を通る構図では確認しやすくなります。
一般的なスナップでは大きな問題になりにくく、人物や料理では歪曲そのものを意識する場面は少なくなります。建築物を正面から厳密に撮る場合には、現像時の補正を利用すると整えやすくなります。
24mmという実焦点距離だけを見ると広角レンズですが、APS-Cでの画角は約38mm相当なので、超広角レンズのような強烈な歪みや遠近感が常に出るわけではありません。日常撮影では自然な見え方を維持しやすい画角です。
EFとEF-Sの画角や対応ボディの違いについては、EFレンズとEF-Sレンズの違いで整理しています。
EF-S24mm F2.8 STMのボケはどの程度か
記事名から「大きな背景ボケ」を期待する人もいますが、EF-S24mm F2.8 STMはボケ量だけを目的に選ぶレンズではありません。APS-Cで約38mm相当、F2.8という条件なので、50mm F1.8や85mm F1.8のような大きなボケを作るレンズとは性格が異なります。
被写体へ近づけばF2.8でも背景をぼかせる
EF-S24mm F2.8 STMで背景をぼかすには、絞り値だけでなく撮影距離が重要です。最短撮影距離が16cmと短いため、料理や小物へ近づくと背景をしっかりぼかせます。
例えばテーブル上の料理へ20cm前後まで近づき、背景を1m以上離せば、F2.8でも被写体と背景を明確に分離できます。花や小物でも同様で、近距離撮影では被写界深度が浅くなるため、薄型レンズとは思えないほど背景が整理されることがあります。
人物撮影では撮影距離が長くなるため、同じF2.8でもボケは小さくなります。人物の全身を撮る場合は背景を完全に溶かすより、周囲の雰囲気を適度に残した写真になります。この性格はスナップポートレートでは使いやすい特徴です。
ボケ量を決めるF値、焦点距離、撮影距離の関係は、F値と背景ボケの仕組みで確認できます。
大きなボケより自然な立体感を作るレンズ
38mm相当の画角では、被写体だけを切り抜くより、背景を少し残しながら立体感を作る使い方が向いています。街中なら看板や道路、カフェならテーブルや照明、旅行先なら建物や景色をある程度認識できる状態でぼかすと、場所の情報を残せます。
背景を完全に消したい場合は長い焦点距離やF1.8以下の大口径レンズが有利ですが、背景まで写真の内容として使いたい場合には24mm F2.8の方が構図を作りやすい場面があります。
特に日常スナップでは、強いボケより「被写体が少し浮き、背景も読める」程度の描写が自然です。EF-S24mm F2.8 STMは、ボケ量を競うレンズというより、小型軽量な38mm相当レンズとして自然な奥行きを作る方向に向いています。
APS-Cで単焦点を選ぶ場合の焦点距離比較は、EFマウントAPS-C神レンズおすすめでも確認できます。
スナップ撮影で使うEF-S24mm F2.8 STM
このレンズが最も使いやすいジャンルの一つが街歩きのスナップです。軽さ、薄さ、38mm相当の画角、F2.8の明るさが組み合わさり、一眼レフを大げさな機材として意識せず持ち歩けます。
38mm相当は街中で構図を作りやすい
50mm相当では建物や人物を一緒に写すときに少し後ろへ下がる必要がありますが、38mm相当なら一歩近い位置から撮れます。一方、28mm相当のように画面端へ不要なものが大量に入りやすいほど広くありません。
そのため、目の前の被写体を見つけてカメラを構えたときに、余計な調整をせず構図をまとめやすい画角です。路地、店頭、電車、看板、人物、植木など、日常の断片を撮る用途に向いています。
単焦点なのでズームリングはありません。構図を変えるには撮影者自身が前後へ動く必要があります。この制約によって、焦点距離を変えることより立ち位置で写真が変化する感覚をつかみやすくなります。
EF-Sレンズを日常用途でどう選ぶかは、Canon EF-Sレンズ完全ガイドで焦点距離別に確認できます。
小さなレンズなのでカメラを持ち出しやすい
一眼レフの弱点としてよく挙げられるのが、ボディとレンズを合わせた大きさです。EOS Kiss系でも標準ズームを装着すると前方へ数cm張り出しますが、EF-S24mm F2.8 STMならレンズ部分を約22.8mmに抑えられます。
カメラを持ち出すか迷う場面では、画質差よりサイズの方が重要になることがあります。撮影へ出掛ける予定がない日でも、小さなバッグへ入れておけば、偶然見つけた被写体を撮れる機会が増えます。
125gなので予備レンズとしても負担が小さく、標準ズームや望遠ズームを持つ場合でも追加しやすい重量です。ズームをメインに使いながら、夕方や街歩きだけ24mmへ交換する使い方もできます。
小型軽量なEF-Sシステムの考え方については、EF-Sが実現した小型軽量設計も関連します。
料理や小物の撮影で使う
最短撮影距離16cmという特徴は、日常用途で特に大きな意味があります。カフェ、レストラン、自宅の食卓、小さな商品撮影などで、レンズ交換を行わずそのまま被写体へ近づけます。
近接撮影では背景ボケも作りやすい
料理へ近づくと被写界深度が浅くなるため、F2.8でも前後をぼかした写真を作れます。皿全体を見せたい場合はF4やF5.6、料理の一部だけを強調する場合はF2.8というように絞りを使い分けられます。
38mm相当の画角なので、テーブル全体を撮るにも狭すぎず、料理一皿へ寄るにも広すぎません。スマートフォンの広角カメラより自然な遠近感で撮りやすく、皿の形が大きく伸びにくいことも特徴です。
最短撮影距離ではレンズと被写体の距離がかなり近くなるため、カメラや自分の影が被写体へ落ちないよう注意が必要です。窓際から斜めに自然光を入れると、料理の立体感を出しやすくなります。
APS-Cで本格的な近接撮影を行いたい場合は、EFマウントAPS-C向けレンズでEF-S35mm F2.8 マクロ IS STMなども比較できます。
人物撮影ではどう使えるか
EF-S24mm F2.8 STMは典型的なポートレートレンズではありませんが、人物を周囲の景色と一緒に写す用途には使いやすい画角です。大きな背景ボケより、人物と場所の関係を見せる写真に向いています。
全身や環境ポートレートで使いやすい
約38mm相当なら、人物の全身を写しても大きく離れる必要がありません。街中、公園、室内など、撮影場所の背景を残しながら人物を配置できます。
顔だけを大きく撮るために近づきすぎると、遠近感によって顔の中央が強調されやすくなるため、アップより上半身から全身の方が自然です。人物を画面端へ置く場合も、極端な超広角ほど形が伸びにくく、構図を作りやすくなります。
F2.8では背景を完全に消すほどのボケは得にくい一方、人物を背景から離し、撮影者がある程度近づけば適度に背景をぼかせます。旅行先で人物と街並みを両方残すような写真では、むしろこの程度のボケが使いやすくなります。
焦点距離と人物撮影の関係を詳しく見る場合は、ポートレート撮影完全ガイドも参考になります。
夜景や室内撮影での使いやすさ
手ブレ補正を搭載しないため、暗所性能だけを見るとIS付きレンズに劣る場面があります。一方、F2.8の明るさと24mmという短い焦点距離を生かせば、手持ちでも使いやすい条件があります。
F2.8と短い焦点距離でシャッタースピードを確保しやすい
約38mm相当の画角では、望遠レンズほど高速なシャッタースピードを必要としません。静止した風景なら1/40秒前後でも安定させやすく、カメラをしっかり構えればさらに低速を使える場合があります。
人物を含む室内撮影では被写体ブレを避ける必要があるため、1/125秒以上を確保した方が安定します。F2.8まで開け、必要に応じてISO感度を上げることで対応できます。
夜景を画面全体までシャープに撮るなら、F5.6からF8へ絞って三脚を使う方が適しています。EF-S24mm F2.8 STMは手持ち夜景だけでなく、薄く軽い風景用レンズとして持ち歩く方法もあります。
シャッタースピードとISO感度の関係は、シャッタースピード設定の基本で詳しく解説しています。
STMのAF性能と動画撮影
EF-S24mm F2.8 STMはステッピングモーターを採用しています。AF速度だけを追求したリングUSMとは性格が異なり、動画撮影で滑らかにピントを移動しやすいことも特徴です。
静止画では日常撮影に十分なAF速度
街中のスナップ、人物、料理、風景などではAF速度に大きな不満を感じにくく、ライブビュー撮影にも対応しやすいレンズです。STM搭載ボディとの組み合わせでは、コントラストAFだけだった古いレンズより自然なフォーカス移動を得やすくなります。
一方、高速で接近するスポーツや野鳥などでは、リングUSMやナノUSM搭載の望遠レンズほど高速な追従を期待するレンズではありません。24mmという焦点距離自体も高速動体専用ではないため、日常撮影を中心に考える方が用途に合っています。
マニュアルフォーカスは電子式です。フォーカスリングを動かすと、その操作を検出してモーターでレンズを駆動します。機械的に直接フォーカス群を動かす方式とは感触が異なります。
STMとUSMの違いは、STMとUSMとVCMの違いでAF速度や動画用途まで比較しています。
動画では滑らかなピント移動を使いやすい
STMは動画撮影時のフォーカス移動を考慮した駆動方式で、対応するEOS一眼レフのライブビューAFと組み合わせると、被写体を追いながら比較的滑らかにピントを動かせます。
24mmはAPS-Cで約38mm相当なので、歩きながら撮る街中の映像、室内、テーブル上の被写体などに使いやすい画角です。超広角ほど映像が大きく歪まず、50mmほど狭くもないため、日常動画にも向いています。
手ブレ補正がない点は動画では弱点です。手持ちで歩きながら撮る場合は揺れが出やすいため、三脚やジンバル、固定撮影の方が安定します。三脚に載せた商品紹介や室内動画では、薄く軽いレンズなのでカメラ全体を小さくできます。
動画を含むAPS-Cレンズ選びについては、Canon EF-Sレンズ完全ガイドからSTM搭載レンズを確認できます。
標準ズームとの違い
EF-S24mm F2.8 STMを検討する人の多くは、すでに18-55mmなどの標準ズームを持っています。焦点距離だけを見ると標準ズームの範囲内なので、「24mm単焦点を追加する意味があるのか」と感じるかもしれません。
ズームできない代わりに薄さと軽さが大きく違う
標準ズームなら18mmから55mmまで一本でカバーでき、構図をその場で変えられます。利便性だけならズームの方が高く、旅行でレンズ一本だけを選ぶ場合には便利です。
一方、EF-S24mm F2.8 STMは焦点距離を24mmへ固定する代わりに、厚さ約22.8mm、125gというサイズを実現しています。標準ズームから交換すると、一眼レフを持ったときの感覚そのものが変わります。
開放F2.8も利点です。標準ズームの24mm付近より明るく使える場合が多く、室内や夕方でシャッタースピードを確保しやすくなります。ズームできない不便さと引き換えに、軽さ、明るさ、近接性能を得るレンズです。
EF-Sのズームと単焦点をまとめて見る場合は、Canon EF-Sレンズ完全ガイドで各モデルを比較できます。
EF-S24mm F2.8 STMをEOS Rシリーズで使う場合
EF-S24mm F2.8 STMは一眼レフ用レンズですが、マウントアダプター EF-EOS Rを使用すればEOS Rシリーズでも利用できます。APS-C EOS Rではセンサーサイズが同じなので、約38mm相当の画角として使えます。
EOS R50やR10では約38mm相当のまま使える
EOS R50、R10、R7などAPS-C EOS Rシリーズへ装着した場合、24mmは約38mm相当の画角になります。AFや電子絞りも利用できるため、古い完全マニュアルレンズのような操作にはなりません。
ただし、アダプターを追加するとレンズ単体の薄さという最大の利点がかなり減ります。EF-S24mm F2.8 STM自体は22.8mmしかありませんが、EF-EOS Rの厚みが加わるため、システム全体ではパンケーキレンズらしい薄さが残りません。
そのため、EOS Rでこのレンズを使う意味は「最小構成を作る」ことより、すでに所有しているEF-S24mmを活用することにあります。一眼レフとEOS Rを併用してレンズを共有する用途には使いやすい組み合わせです。
各マウントの対応関係は、Canonレンズ対応表でRF、RF-S、EF、EF-S、EF-Mをまとめて確認できます。
フルサイズEOS Rではクロップ撮影になる
フルサイズEOS Rシリーズでもマウントアダプターを使えばEF-S24mm F2.8 STMを装着できますが、EF-Sレンズを認識するとAPS-Cクロップで記録されます。センサー全体を使ったフルサイズ24mmの画角にはなりません。
そのため、EOS R5やR6、RPなどへ装着しても、24mm超広角レンズとして使うことはできません。写る範囲はAPS-C相当となり、約38mm相当の画角になります。画素数もクロップ分だけ減少します。
EF-S24mm F2.8 STMはAPS-C用に設計されたレンズなので、この使い方自体は正常です。フルサイズ機で24mm本来の画角を使いたい場合はEF24mmやRF24mmなどフルサイズ対応レンズが必要になります。
EFとEF-Sの互換性については、EFレンズとEF-Sレンズの違いで詳しく整理しています。
フルサイズ一眼レフには装着できない
EF-S24mm F2.8 STMはAPS-C一眼レフ専用です。EOS 5D、6D、1D XシリーズなどのフルサイズEFマウント一眼レフへは装着できません。
EF-SはAPS-C一眼レフ専用設計
EF-SはEFマウントを基礎にしながら、APS-C一眼レフ用として後玉配置やイメージサークルを最適化しています。レンズ側とボディ側にはEF-S専用の装着位置が設けられ、フルサイズ一眼レフへ誤って装着しにくい構造になっています。
EFレンズはAPS-C一眼レフでも使用できますが、EF-Sレンズをフルサイズ一眼レフへ装着する方向の互換性はありません。この点は中古購入時にも確認しておく必要があります。
商品名に「EF-S」と付いていればAPS-C一眼レフ用です。EF24mm F2.8やEF24mm F1.4Lなど「EF」で始まる24mmレンズとは別物です。
EF-Sの構造的な違いは、EF-Sショートバックフォーカス設計の概要で詳しく解説しています。
EF-S24mm F2.8 STMの弱点
小型軽量で使いやすい一方、このレンズにも明確な弱点があります。性能だけを見て万能な単焦点と考えるより、どこを優先して設計されたレンズなのか理解した方が使いやすくなります。
手ブレ補正を搭載していない
EF-S24mm F2.8 STMにはISがありません。暗所で静止した被写体を撮る場合は、IS付き標準ズームの方が低速シャッターを使いやすい場合があります。
一方、人物や動物など被写体自体が動く場合には、手ブレ補正があっても被写体ブレは止まりません。そのような場面ではF2.8の明るさを使ってシャッタースピードを上げる方が効果的です。
風景や夜景で低ISOを維持したい場合は三脚を利用すると、手ブレ補正がないことは問題になりにくくなります。日常スナップではISOオートを利用し、最低シャッタースピードを意識する方が扱いやすいレンズです。
APS-C用レンズの機能差は、Canon EF-Sレンズ完全ガイドからIS搭載モデルと比較できます。
F2.8なので大口径単焦点ほど暗所やボケに強くない
パンケーキ単焦点という言葉から、50mm F1.8のような大きな背景ボケを想像すると差があります。F2.8は標準ズームより明るい場面が多いものの、F1.8より約1段と1/3、F1.4より2段暗くなります。
暗い室内で高速シャッターを使う場合や、人物を大きくぼかしたい場合には大口径単焦点の方が有利です。EF-S24mm F2.8 STMは、絶対的な明るさではなく、F2.8を125gの薄型レンズで使えるところが特徴です。
一方、F1.4やF1.8レンズは大きく重くなる傾向があり、持ち歩きやすさでは24mm F2.8が有利です。どの性能を優先するかで評価が変わります。
単焦点レンズを明るさや焦点距離で比較する場合は、Canon EFレンズ一覧も参考になります。
ズームできないことは使いやすさにも制約にもなる
単焦点なので、目の前の被写体に合わせて18mm、35mm、55mmへ画角を変えることはできません。狭い室内で後ろへ下がれない場合や、遠くの被写体を大きく撮りたい場合は標準ズームの方が便利です。
一方、焦点距離が固定されているため、「この位置から38mm相当ならどこまで写るか」という感覚を覚えやすくなります。カメラを構える前に画角を予測できるようになると、スナップでは撮影が速くなります。
ズームできないことを不便と見るか、構図を考えるための制約と見るかで印象が変わります。EF-S24mm F2.8 STMは、一眼レフを軽くして単焦点撮影を楽しみたい場合に特徴が出やすいレンズです。
EF-Sのズームと単焦点を用途別に見る場合は、Canon EF-Sレンズ完全ガイドで比較できます。
中古でEF-S24mm F2.8 STMを選ぶ場合
EF-S24mm F2.8 STMは構造が比較的シンプルで、中古でも探しやすいレンズです。ただし小型レンズだから故障しないわけではなく、AF、絞り、レンズ内部、マウントなどを確認した方が安心です。
STMと電子式フォーカスリングの動作を確認する
AFを近距離から遠距離まで何度か動かし、途中で停止したり、不自然な引っ掛かりが出たりしないかを確認します。STMは電子制御なので、フォーカスリングの反応もカメラへ装着して電源を入れた状態で確認します。
ピントが合ったあとにフォーカス位置が大きくずれる、フォーカスリングを回しても反応しないといった個体は避けたいところです。
レンズ内部ではカビやクモリを見ます。小さなホコリは写真へ影響しにくい場合が多いものの、広いクモリは逆光時のコントラストを下げる可能性があります。
STMを含むAF方式の違いは、STM・USM・VCMの違いで確認できます。
薄型レンズなのでマウントや鏡筒の変形も見たい
レンズが薄いため、カメラへ装着したままバッグへ入れて使われてきた個体も多くあります。強い圧力や落下を受けた個体では、鏡筒やマウントにわずかな変形が出ている可能性があります。
カメラへ装着したときに極端なガタがないか、レンズが傾いていないか、マウント接点に大きな腐食がないかを確認すると状態を判断しやすくなります。
フィルター径は52mmなので、中古個体にフィルターが強く締め込まれたままになっている場合は、フィルターネジの変形も確認します。前玉に傷がなくてもネジ山が傷んでいると、フィルターを装着しにくくなる場合があります。
EF-Sレンズ全般の中古選びは、Canon EF-Sレンズ完全ガイドから他モデルと比較できます。
EF-S24mm F2.8 STMが向いている人
このレンズの価値は、最高解像度、最大の背景ボケ、最強の暗所性能といった一つの性能で決まるものではありません。小型軽量なAPS-C一眼レフを作れることが最大の特徴です。
EOS Kissや二桁Dを気軽に持ち歩きたい人に合う
EOS Kissシリーズへ装着すれば、一眼レフとしてかなり小さな構成になります。標準ズームを外すだけでも奥行きが減り、カメラをバッグへ入れやすくなります。
EOS 80Dや90Dのような少し大きなAPS-Cボディでも、レンズが125gなので前方の重量をほとんど感じません。グリップの大きさを生かしながら、レンズ側だけ軽くする構成としても使えます。
普段はスマートフォンを使い、写真を撮りたい日だけ一眼レフを持ち出す人にも向いています。ズームの便利さはありませんが、一眼レフを持ち出すハードルを下げるという意味では非常に特徴の分かりやすいレンズです。
APS-C機へどのEF・EF-Sレンズを組み合わせるかは、EFマウントAPS-C神レンズおすすめで用途別に比較できます。
単焦点の撮影を低負担で試したい人にも使いやすい
ズームレンズしか使ったことがない場合、24mmへ焦点距離を固定すると最初は不便に感じるかもしれません。しかし、自分が動いて構図を決めることで、被写体との距離と写真の見え方の関係を理解しやすくなります。
38mm相当は極端に広くも狭くもないため、単焦点を初めて使う焦点距離として扱いやすい範囲です。人物、風景、料理、室内、街中を一本で試せるため、撮影ジャンルを限定しません。
最短撮影距離16cmによって近接撮影もできるため、ズームできない不便さを補う場面もあります。近づく、離れる、低い位置から撮る、高い位置から撮るといった立ち位置の変化を試すと、24mm固定でも構図の幅は広がります。
EF-Sレンズの選び方全体は、Canon EF-Sレンズ完全ガイドで整理しています。
まとめ
Canon EF-S24mm F2.8 STMは、APS-C一眼レフで約38mm相当の画角になる薄型単焦点レンズです。最大径約68.2mm、長さ約22.8mm、重量約125gという小型軽量設計によって、EOS KissシリーズやEOS 80D、90Dなどを非常に軽快な撮影システムにできます。
開放F値はF2.8で、標準ズームより明るく使える場面が多く、室内や夕方ではシャッタースピードを確保しやすくなります。中央部はF2.8からシャープに写しやすく、F4からF5.6へ絞れば周辺も安定します。一方、開放では周辺光量低下があり、直線の多い場面では歪曲も確認できます。
最短撮影距離0.16m、最大撮影倍率0.27倍という近接性能は、このレンズの大きな特徴です。料理、小物、花などへ近づけばF2.8でも背景をぼかしやすく、38mm相当の画角によって被写体だけでなく周囲の雰囲気も適度に残せます。
背景ボケだけを目的にするならF1.8やF1.4の単焦点、暗所で静止被写体を撮るなら手ブレ補正付きレンズ、高い利便性を求めるなら標準ズームの方が向く場面があります。EF-S24mm F2.8 STMは、それらすべてを置き換えるレンズではありません。
このレンズの特徴は、APS-C一眼レフを小さく、軽くしながら、38mm相当の自然な画角とF2.8、16cmの近接性能を使えることです。街歩き、旅行、料理、日常スナップ、環境ポートレートなど、一台のカメラを気軽に持ち出したい撮影で特に使いやすくなります。
EOS Rシリーズでもマウントアダプターを介して利用できますが、アダプターを付けるとパンケーキレンズとしての薄さは失われます。そのため、このレンズ本来の魅力を最も生かせるのはAPS-C一眼レフとの組み合わせです。小型軽量なEOSと一本の単焦点だけを持って出掛ける使い方に、EF-S24mm F2.8 STMの性格がよく表れています。



