カメラそのもののデザインに魅力を感じたから、欲しくなったミラーレスは?8機種を紹介
カメラを欲しくなる理由は、必ずしも画質や性能だけではありません。スペックを比較する前に、カメラの姿を見た瞬間、「このカメラが欲しい」と感じることがあります。金属製のダイヤル、クラシカルなボディ、ファインダーの形、レンズとの組み合わせなど、カメラそのもののデザインが購入のきっかけになることは珍しくありません。
デジタルカメラが進化するにつれて、AF性能、高速連写、動画性能などは大幅に向上しました。その一方で、各メーカーのカメラは機能面で共通する部分も増えています。だからこそ、カメラを見た瞬間にメーカーやシリーズが分かる独自のデザインには、スペック表に表れない魅力があります。
特に注目したいのが、かつてのフィルムカメラを思わせるクラシカルなデザインと、現代の技術を利用して生まれた新しいデザインです。昔ながらのシャッターダイヤルや金属外装を採用するカメラがある一方、操作ボタンを極限まで減らし、従来のカメラとは異なる造形を追求する製品も登場しています。
例えばNikon Zfは、1980年代のフィルム一眼レフを思わせる外観が特徴です。Leica M11は、長年受け継がれてきたM型ライカの姿を維持しています。FUJIFILM X100VIやX-E5は、レンジファインダースタイルの美しさとデジタルカメラの機能を両立しています。
一方、SIGMA BFはアルミニウムを削り出した独創的なボディを採用し、LUMIX S9はフラットな外観と豊富なカラーバリエーションが特徴です。OM SYSTEM PENやOM-3も、オリンパス時代から受け継がれてきたカメラデザインを現代のミラーレスへ発展させています。
この記事では、「カメラそのもののデザインに魅力を感じたから、欲しくなったミラーレスは?」という視点から、8機種を紹介します。FUJIFILM X100VIはレンズ交換式ではなくレンズ一体型のデジタルカメラですが、カメラデザインの魅力を語るうえで外せない存在として取り上げます。
それぞれの機種について、外観の特徴、デザインが生まれた背景、実際の操作性、組み合わせたいレンズ、購入前に知っておきたい注意点を掘り下げます。画質や性能の優劣だけでカメラを選ぶのとは異なる、デザインから始まるカメラ選びの魅力を考えていきます。
クラシカルなデザインに惹かれるミラーレス3機種
OM SYSTEM PEN|日常に持ち歩きたくなる小さなクラシックカメラ
OM SYSTEM PENの魅力は、カメラとしての存在感を持ちながら、日常的に持ち歩きやすいデザインにあります。PENという名前の歴史は1959年に登場したOLYMPUS PENまでさかのぼります。当時のPENは、写真をより身近なものにする小型カメラとして誕生しました。その思想はデジタルのPENシリーズにも受け継がれています。
2026年9月に発表された新しいOM SYSTEM PENは、レンジファインダーを思わせる横長のボディと、上面を比較的フラットにまとめた外観が特徴です。大きなペンタ部を持つ一眼レフスタイルとは異なり、シンプルな直線と曲面によって構成されています。シルバーとブラックでは印象が変わり、シルバーは昔のフィルムカメラを思わせる雰囲気、ブラックは落ち着いた精悍な外観となっています。
PENのデザインで魅力的なのは、カメラ本体だけでなく、レンズを装着した姿にも統一感があることです。マイクロフォーサーズには小型の単焦点レンズが多く、17mm F1.8や25mm F1.8などを装着すると、クラシカルなボディの魅力を活かしやすくなります。
特に17mmは35mm判換算で34mm相当となり、街歩きや旅行、日常のスナップに使いやすい画角です。小型の単焦点レンズを付けたPENなら、大きなカメラバッグを用意せずに持ち出せる場面が増えます。撮影する予定がなくても持ち歩きたくなるという感覚は、PENのデザインに求められる魅力の一つです。
新しいPENでは、従来のPEN E-P7にはなかった電子ビューファインダーが搭載されています。背面モニターだけでなく、ファインダーを覗いて撮影できるようになったことは、デザインと実用性の両面で重要な変化です。クラシカルな外観を維持しながら、明るい屋外での撮影や安定した構え方にも対応できるようになりました。
さらに、約2037万画素のマイクロフォーサーズセンサー、121点像面位相差AF、5軸ボディ内手振れ補正など、現代的な撮影性能を搭載しています。見た目は昔のカメラを思わせますが、内部はデジタルミラーレスとして進化しています。
ただし、マイクロフォーサーズはフルサイズと比較してセンサーが小さく、同じ画角と構図で大きな背景ボケを得たい場合には条件が異なります。また、約2037万画素なので、6000万画素級の高画素機ほど大幅なトリミングには向いていません。
しかし、PENをデザインから選ぶ場合、単純な画素数やセンサーサイズだけで評価する必要はありません。小さなカメラを持って街を歩き、気になった風景を撮影する。そのような使い方では、カメラを手に取りたくなる外観と軽さが大きな価値になります。
新しいOM SYSTEM PENは2026年10月30日の発売が予定されているため、実際の使用感については発売後の確認が必要です。それでも、小型のクラシカルなボディと電子ビューファインダーを組み合わせたデザインは、従来のPENシリーズを知る人にも、新しくカメラを始める人にも注目される存在です。

Nikon Zf|フィルム一眼レフの美しさを現代に復活させたカメラ
Nikon Zfは、デザインを理由にカメラを欲しくなるというテーマを象徴する存在です。1982年に発売されたフィルム一眼レフNikon FM2を思わせる外観を採用し、現代のフルサイズミラーレスとして高い撮影性能を備えています。
外観で最も目を引くのが、中央に配置された角張ったペンタ部です。フィルム一眼レフのファインダー部分を思わせる形状で、直線的なボディと組み合わさることで、クラシカルなニコンらしい姿を作り出しています。
また、上面にはシャッタースピード、ISO感度、露出補正の独立したダイヤルが配置されています。ダイヤルに刻まれた数字や、金属部品の質感も特徴的です。液晶画面だけで設定するカメラとは異なり、カメラ上面を見れば撮影設定を把握できる部分にも魅力があります。
Nikon Zfのデザインが魅力的なのは、昔のフィルムカメラを単純に再現しただけではないことです。約2450万画素のフルサイズセンサー、EXPEED 7、被写体検出AF、最大8段のボディ内手振れ補正など、内部には現代的な技術が搭載されています。
つまり、昔ながらのカメラの姿を楽しみながら、現代のミラーレスとして写真を撮影できます。外観だけでなく、ダイヤルを操作する撮影体験そのものに魅力を感じる人に適したカメラです。
2025年にはシルバーモデルも登場しました。ブラックは落ち着いた精悍な印象があり、シルバーは昔のニコンのフィルム一眼レフをより強く思わせる外観です。同じZfでも、ボディカラーによって受ける印象は大きく異なります。
レンズ選びもデザインを楽しむうえで重要です。NIKKOR Z 40mm f/2(SE)やNIKKOR Z 28mm f/2.8(SE)は、クラシカルな外観を採用した単焦点レンズです。Zfと組み合わせると、ボディとレンズのデザインに統一感が生まれます。
一方、Zfは見た目ほど軽いカメラではありません。バッテリーと記録媒体を含む重量は約710gで、グリップも現代的な大型ミラーレスと比較すると浅い形状です。大きな望遠ズームや大口径レンズを装着した場合、保持のしやすさに注意が必要です。
また、AFポイントを直接操作する専用ジョイスティックがないことや、記録媒体がSDカードとmicroSDカードの組み合わせであることなど、一般的なニコンZシリーズと異なる部分もあります。
それでもNikon Zfには、デザインを理由に選びたくなる強い個性があります。特にフィルム一眼レフを使用してきた人なら、昔のカメラを思い出させる外観に魅力を感じるかもしれません。機械式カメラの雰囲気を持ちながら、最新のAFや手振れ補正を使えるという組み合わせが特徴です。
現代的な機能を備えたカメラでありながら、あえて昔ながらのダイヤルを回して写真を撮る。その操作を楽しめることが、Nikon Zfの大きな魅力です。

FUJIFILM X100VI|レンズまで含めて完成されたクラシカルなデザイン
FUJIFILM X100VIは、レンジファインダーカメラを思わせるクラシカルな外観が特徴の高級コンパクトデジタルカメラです。2024年3月に発売されたX100シリーズの6代目で、約4020万画素のAPS-Cセンサーと23mm F2の固定レンズを搭載しています。
X100VIの最大の魅力は、ボディとレンズが一つの製品としてデザインされていることです。レンズ交換式カメラでは、装着するレンズによって外観が大きく変わります。一方、X100VIは専用レンズを組み込んだ構造なので、カメラ全体の寸法と形状に統一感があります。
前面には小型のフジノンレンズが配置され、上面にはシャッタースピードダイヤルと露出補正ダイヤルが並びます。レンズ側には絞りリングがあり、撮影者がカメラを操作するための部品そのものがデザインの一部となっています。
また、X100VIには光学式と電子式を切り替えられるハイブリッドビューファインダーが搭載されています。これも外観だけでは分からない独自の魅力です。光学ファインダーでは電子表示とは異なる感覚で被写体を確認でき、電子ビューファインダーでは露出や色調を確認しながら撮影できます。
特に光学ファインダーを利用する撮影方法は、一般的なミラーレスとは異なる体験になります。ファインダー越しに被写体を見て、構図を考え、シャッターを切る。その一連の操作に、フィルムカメラを思わせる魅力があります。
X100VIのレンズは23mm F2で、35mm判換算では約35mm相当です。街歩きや旅行、人物を含めたスナップなど、幅広い撮影に使いやすい画角です。レンズ交換ができないことは制約ですが、一つの画角を使い続けることで、撮影者が距離感や構図を覚えやすくなるという側面もあります。
また、X100VIでは約4020万画素の高解像度センサーを採用しているため、撮影後のトリミングにも一定の余裕があります。固定レンズの画角を基本としながら、必要に応じて写真の一部分を切り取る使い方ができます。
一方、望遠レンズへ交換したり、超広角レンズを使用したりすることはできません。鳥や遠くの鉄道、スポーツなどを大きく撮影したい場合には、レンズ交換式カメラのほうが適しています。
さらに、X100VIには人気による供給不足や中古価格の高さという問題もあります。デザインを理由に欲しくなっても、購入できるかどうかや価格とのバランスは別に考える必要があります。
しかし、X100VIの価値は、単に高性能なAPS-Cカメラであることだけでは説明できません。レンズ、ダイヤル、ファインダー、ボディのすべてが一つのデザインとしてまとまっていることに魅力があります。
レンズ交換ができないという制約を受け入れても、このカメラの姿で写真を撮りたいと思わせる。FUJIFILM X100VIは、そのようなデザインの魅力を持つカメラです。

歴史と造形へのこだわりが際立つミラーレス3機種
Leica M11|変わらないM型ライカの姿に価値がある
Leica M11は、カメラのデザインが持つ価値を考えるうえで、特別な存在です。M型ライカの歴史は1954年のLeica M3にさかのぼり、M11にも当時から続くレンジファインダーカメラの基本的な外観が受け継がれています。
横長のボディ、上面のシャッタースピードダイヤル、前面のファインダー窓、左寄りに配置された光学式レンジファインダー。これらの要素は、M型ライカの姿を特徴づけるものです。
デジタルカメラが進化するなかで、各メーカーは新しい機能に合わせてボディデザインを変化させてきました。一方、M型ライカでは基本的な外観を大きく変えず、内部の撮像センサーや画像処理などを進化させています。
Leica M11には約6030万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーが搭載されています。高画素のデジタルカメラでありながら、撮影方法は昔ながらのレンジファインダーを中心としています。
ピント合わせはマニュアルフォーカスです。ファインダー中央の二重像を一致させることで距離を合わせ、レンズの絞りリングとボディのシャッタースピードダイヤルを操作して撮影します。
つまり、一般的なミラーレスのように被写体認識AFへピント合わせを任せる方法とは異なります。撮影者が自分でピントを合わせることが、写真を撮る行為の中心にあります。
Leica M11の魅力は、この撮影方法とカメラのデザインが一体となっていることです。外観だけをクラシカルに仕上げた製品と異なり、レンジファインダーという撮影方式そのものが伝統的なデザインを必要としています。
また、ブラックとシルバーでは外装に使用される素材が異なり、重量にも違いがあります。ブラックは約530g、シルバーは約640gで、手に持ったときの重量感も変わります。レンズを装着した姿だけでなく、素材や触感まで含めて選ぶ楽しさがあります。
ライカMマウントには小型の単焦点レンズが多く、35mmや50mmのズミクロンなどを組み合わせると、コンパクトなフルサイズシステムを構成できます。レンズの外観もカメラのデザインと調和しやすく、ボディとレンズが一体となった姿に魅力があります。
ただし、M11にはオートフォーカスもボディ内手振れ補正もありません。動画撮影にも対応しておらず、動体撮影や暗所での手持ち撮影では制約があります。さらに、ボディもMマウントレンズも高価です。
それでもLeica M11を選ぶ理由は、単純に高画素センサーを手に入れることだけではありません。長年受け継がれてきたM型ライカのデザインと操作方法を、デジタル時代でも楽しめることに価値があります。
新しいカメラを購入したのに、どこか昔から知っている道具のように感じられる。変わらない造形を守り続けることが、Leica M11の大きな魅力です。

FUJIFILM X-E5|アルミ削り出しの軍艦部が生む上質なデザイン
FUJIFILM X-E5は、レンジファインダースタイルのデザインを現代的に発展させたミラーレスカメラです。2025年8月に発売され、約4020万画素のAPS-Cセンサーと5軸ボディ内手振れ補正を搭載しています。
外観の大きな特徴は、アルミニウムを削り出した軍艦部です。ボディ上面から前面へつながる形状を丁寧に仕上げ、従来のX-Eシリーズとは異なる質感を持たせています。
シャッタースピードダイヤルやフィルムシミュレーションダイヤルも、単なる操作部ではなく、デザインの一部として配置されています。上面を見たときに操作ダイヤルが並ぶ姿は、フィルムカメラを思わせます。
特に新しいフィルムシミュレーションダイヤルは、X-E5のデザインと撮影体験を結びつける特徴的な要素です。全20種類のフィルムシミュレーションを利用でき、FS1、FS2、FS3には好みの設定を登録できます。
例えば、クラシッククロームで落ち着いた街角の写真を撮影したり、Velviaで鮮やかな風景を記録したり、ACROSでモノクロ写真を楽しんだりできます。ダイヤルを回すという物理的な操作によって、写真の仕上がりを変更できることが魅力です。
また、X-E5には電子ビューファインダーを利用したクラシックビューモードがあります。表示情報を整理することで、昔のカメラのように構図や被写体へ集中しやすい撮影体験を目指しています。
外観だけでなく、ファインダー表示や色調の選択まで含めて、クラシカルな写真撮影を楽しめる設計です。
レンズとの組み合わせでは、XF23mmF2.8 R WRが特徴的です。薄型の単焦点レンズで、35mm判換算約35mm相当の画角を利用できます。X-E5の小型ボディと組み合わせると、比較的コンパクトな撮影システムを構成できます。
さらに、X-E5はレンズ交換式なので、35mmや56mmの大口径単焦点、広角レンズ、望遠ズームなども使用できます。X100VIと似たレンジファインダースタイルを持ちながら、レンズ交換による自由度があることは大きな違いです。
一方、X-E5の重量は約445gで、先代X-E4より増加しています。外装の質感やボディ内手振れ補正などが強化された反面、軽さだけを求める場合には注意が必要です。また、大型ズームを装着すると、クラシカルでコンパクトなボディとの重量バランスが変わります。
それでもX-E5は、金属の質感、ダイヤルの操作、ファインダー表示、フィルムシミュレーションなど、カメラに触れる部分までデザインを追求した機種です。
レンズ交換式の利便性を維持しながら、カメラそのものの美しさを楽しみたい。FUJIFILM X-E5は、そのような人に適したカメラです。

OM SYSTEM OM-3|フィルム一眼レフの造形と現代の撮影性能を融合
OM SYSTEM OM-3は、2025年3月に発売されたマイクロフォーサーズのミラーレスカメラです。1972年に登場したフィルム一眼レフOLYMPUS OM-1の設計思想を受け継ぎ、クラシカルな外観に現代的な撮影性能を組み合わせています。
OM-3のデザインで最も特徴的なのが、中央のペンタ部と直線的なボディです。昔のOMシリーズを思わせる姿を持ち、上面のダイヤルやボディ両側の形状にも、フィルム一眼レフから続くデザインの要素が取り入れられています。
特にシルバーを基調とした金属感のある外観は、ブラック一色の高性能ミラーレスとは異なる印象を与えます。クラシカルなカメラのように見えますが、内部には約2037万画素の裏面照射積層型Live MOSセンサーとTruePic Xが搭載されています。
さらに、被写体認識AF、高速連写、高性能な手振れ補正、コンピュテーショナルフォトグラフィなど、上位機種の技術を取り入れています。外観と撮影性能の方向性が異なることも、OM-3の魅力です。
OM-3にはクリエイティブダイヤルが搭載されています。COLOR、MONO、ART、CRTを切り替え、色調やモノクロ表現、アートフィルターなどを利用できます。
このダイヤルは、単に便利な機能を割り当てた操作部というだけではありません。フィルムカメラのような外観でありながら、デジタルならではの色表現を積極的に利用するための仕組みです。昔のカメラの姿と現代の写真表現を、一つの操作で結びつけています。
また、CPボタンによって、ハイレゾショット、ライブND、ライブGND、深度合成などの機能へアクセスできます。クラシカルな外観を持ちながら、デジタル技術による新しい撮影方法を楽しめることも特徴です。
OM-3は前面の大きなグリップを持たない、比較的フラットなボディです。マイクロフォーサーズの小型単焦点レンズと組み合わせると、クラシカルなデザインとの一体感があります。
例えば、17mm F1.8や25mm F1.8などのレンズを使用すれば、街歩きや旅行で扱いやすい構成となります。小型レンズを装着した姿は、かつての小型フィルム一眼レフを思わせます。
一方、OM-3には高度な被写体認識AFや高速連写も搭載されているため、望遠レンズを使用した動体撮影にも対応できます。ただし、大型望遠レンズを装着すると、グリップが浅いボディとの保持バランスに注意が必要です。
OM SYSTEM PENと比較すると、OM-3は中央にペンタ部を持つ一眼レフスタイルです。PENがレンジファインダー風の小型デザインを重視しているのに対し、OM-3はフィルム一眼レフの姿を引き継いでいます。
両機ともクラシカルな魅力を持ちますが、デザインの方向性は異なります。昔のOMシリーズの姿を好む人にとって、OM-3は特に魅力的な存在です。
OM-3は、デザインを楽しむために高性能を諦める必要がないカメラです。フィルム一眼レフの美しさと現代の高度な撮影機能を組み合わせたことが、最大の魅力といえます。

新しいカメラの美しさを追求したミラーレス2機種
SIGMA BF|アルミニウムの塊から生まれた独創的なデザイン
SIGMA BFは、ほかの7機種とは大きく異なる方向からカメラのデザインを追求した製品です。2025年4月に発売された約2460万画素のフルサイズミラーレスで、アルミニウムの塊から削り出したユニボディ構造を採用しています。
メーカーによると、ボディの削り出し加工には約7時間を要します。複数の外装部品を組み合わせる一般的なカメラとは異なり、一つのアルミニウムインゴットから外装を作り上げるという製造方法です。
この構造によって、SIGMA BFは継ぎ目のない独特の外観を持っています。直線と曲面を組み合わせたボディには余分な装飾が少なく、機械としての美しさと工業製品としての造形を強く感じさせます。
特に前面のローレット加工や、ボディ上面から側面へ続く滑らかな形状は特徴的です。昔のフィルムカメラを再現したデザインとは異なり、現代の技術を利用して新しいカメラの姿を追求しています。
操作部も非常に少なく、基本的な操作は3つのボタンと一つのダイヤルを中心に構成されています。さらに、感圧式のハプティックボタンを採用し、一般的な機械式ボタンとは異なる触覚的な操作感を実現しています。
これは外観をシンプルにするためだけの設計ではありません。撮影に必要な情報や操作を集約し、カメラの設定より被写体へ集中しやすい環境を目指しています。
一方、SIGMA BFには電子ビューファインダー、SDカードスロット、メカシャッター、ボディ内手振れ補正がありません。撮影した写真は約230GBの内蔵メモリーへ記録し、構図は背面モニターで確認します。
この仕様は、一般的なフルサイズミラーレスと比較すると大きな制約になります。特に高速で動く被写体や望遠撮影、ストロボを使う撮影では、ほかのカメラのほうが適している場合があります。
しかし、SIGMA BFをデザインから選ぶ場合、機能の多さだけで評価することは難しくなります。不要と考えた要素を省略し、カメラの外観と操作を一つの思想でまとめていることが魅力だからです。
レンズとの組み合わせでは、シグマのIシリーズが候補になります。35mm F2や45mm F2.8などの金属製単焦点レンズは、SIGMA BFの外観との相性が良く、小型のシステムを構成できます。
また、SIGMA BFはブラックとシルバーを展開しています。同じボディでも、ブラックは落ち着いた工業製品のような印象があり、シルバーはアルミニウムの質感をより強く感じさせる外観です。
SIGMA BFは、昔のカメラを懐かしむためのデザインではありません。デジタルカメラが成熟した時代に、カメラの姿を最初から考え直した製品です。
この独創的な造形に魅力を感じた人にとっては、EVFやSDカードスロットがないという制約を理解したうえでも、手に入れたいと思わせるカメラになるでしょう。

LUMIX S9|フルサイズを気軽に持ち歩くためのカラフルなデザイン
LUMIX S9は、2024年6月に発売された、約2420万画素のフルサイズミラーレスカメラです。最大の特徴は、中央のファインダー部分が突出しないフラットなボディと、豊富なカラーバリエーションです。
従来のLUMIX Sシリーズでは、中央に電子ビューファインダーを配置した一眼レフスタイルのボディが中心でした。一方、LUMIX S9はファインダー部分の張り出しをなくし、横長でコンパクトなデザインを採用しています。
ボディサイズは約126.0×73.9×46.7mmで、バッテリーとSDカードを含む重量は約486gです。フルサイズセンサーを搭載しながら、日常的に持ち歩きやすい大きさを実現しています。
また、LUMIX S9はカラーバリエーションも特徴的です。ブラックやダークシルバーのような落ち着いた色に加え、クリムゾンレッド、ダークオリーブ、ナイトブルーなど、個性的なカラーも用意されています。
カメラの色を選ぶ楽しさは、従来のフルサイズミラーレスではそれほど一般的ではありませんでした。LUMIX S9では、外観の好みに合わせてボディカラーを選べることも購入動機の一つになります。
デザインの方向性は、昔のフィルムカメラを忠実に再現するというより、フルサイズカメラを日常的な道具として持ち歩きやすくするものです。ファッションや持ち物との組み合わせを考えながら選べることも、S9ならではの魅力です。
また、LUMIX S9にはリアルタイムLUT機能が搭載されています。写真や動画へ好みの色調を適用し、撮影時に仕上がりを確認できる機能です。
例えば、暖かみのある色調、彩度を抑えた落ち着いた色、映画のようなコントラストなどを選択できます。LUMIX Labアプリを利用すれば、スマホでLUTを編集し、カメラへ登録することも可能です。
つまり、LUMIX S9は外観の色を選ぶだけでなく、撮影する写真や動画の色にもこだわれるカメラです。カメラ本体のデザインと写真の仕上がりの両方を楽しめることが特徴です。
一方、LUMIX S9には電子ビューファインダーがありません。撮影時は背面モニターで構図を確認する必要があります。また、メカシャッターや外部ストロボへの対応も省略されています。
そのため、ファインダーを覗いて撮影することを重視する人や、ストロボを使ったポートレート、動体撮影を中心とする人には制約があります。
さらに、Lマウントの大型レンズを装着すると、コンパクトなボディとの重量バランスが変わります。小型軽量の魅力を活かすなら、18-40mm F4.5-6.3などの軽量ズームや、コンパクトな単焦点レンズが候補になります。
SIGMA BFと比較すると、両機ともフラットなデザインとフルサイズセンサーを採用していますが、方向性は異なります。SIGMA BFはアルミニウム削り出しの造形と最小限の操作部を重視し、LUMIX S9はカラーバリエーション、スマホ連携、写真と動画の色表現を重視しています。
LUMIX S9の魅力は、フルサイズカメラを特別な撮影機材として構えることなく、日常の中へ持ち込みやすいことです。外観が気に入ったから持ち歩きたくなる。その気持ちを大切にしたい人に適したカメラといえます。

まとめ
「カメラそのもののデザインに魅力を感じたから、欲しくなったミラーレスは?」という視点から、OM SYSTEM PEN、Nikon Zf、FUJIFILM X100VI、Leica M11、FUJIFILM X-E5、OM SYSTEM OM-3、SIGMA BF、LUMIX S9の8機種を紹介しました。
今回紹介したカメラには、クラシカルなデザインを受け継ぐ機種と、現代的な造形を追求する機種があります。どちらにも共通するのは、写真を撮るための道具としての性能に加え、外観そのものが購入理由になり得ることです。
OM SYSTEM PENは、1959年から続くPENの思想を受け継ぎ、小型で持ち歩きやすいクラシカルなデザインを採用しています。小さな単焦点レンズを装着して街を歩くような撮影に魅力があります。
Nikon Zfは、フィルム一眼レフNikon FM2を思わせる外観と、金属製ダイヤルによる操作感が特徴です。現代のフルサイズミラーレスとしての性能を備えながら、昔のカメラのように操作する楽しさがあります。
FUJIFILM X100VIは、ボディと23mm F2レンズが一体となった完成度の高いデザインを採用しています。レンズ交換ができないという制約もありますが、一つの画角を使い続けることに魅力を感じる人に適しています。
Leica M11は、長年受け継がれてきたM型ライカの姿を守り続けています。光学式レンジファインダーとマニュアルフォーカスによる撮影方式そのものが、カメラのデザインと結びついていることが特徴です。
FUJIFILM X-E5は、アルミニウム削り出しの軍艦部やフィルムシミュレーションダイヤルによって、クラシカルな外観と現代的な操作性を組み合わせています。レンズ交換式であることも魅力です。
OM SYSTEM OM-3は、昔のOLYMPUS OMシリーズを思わせる一眼レフスタイルを採用しています。クラシカルな外観に、高速連写や高度な被写体認識AF、コンピュテーショナルフォトグラフィなどを搭載していることが特徴です。
SIGMA BFは、アルミニウムの塊から削り出した独創的なユニボディ構造によって、従来のカメラとは異なるデザインを追求しています。余分な要素を省略したシンプルな外観は、ほかの機種にはない魅力を持っています。
LUMIX S9は、フルサイズカメラを日常的に持ち歩くためのコンパクトなデザインと、豊富なカラーバリエーションが特徴です。リアルタイムLUTによって写真や動画の色調まで楽しめることも魅力です。
もちろん、カメラを購入する際には、デザインだけで判断できない部分もあります。電子ビューファインダーの有無、メカシャッター、ボディ内手振れ補正、レンズ交換の可否、センサーサイズ、重量などによって、撮影できる被写体や使いやすさは変わります。
例えば、野鳥やスポーツを中心に撮影する場合には、デザインだけでなくAF性能やファインダー、望遠レンズとの組み合わせが重要です。ストロボを使用するポートレートでは、外部フラッシュへの対応も確認する必要があります。
一方、街歩きや旅行、日常のスナップなどでは、カメラを持ち歩く機会そのものが写真の枚数に影響します。高性能なカメラでも自宅に置いたままでは写真を撮れません。気に入ったデザインのカメラなら、特別な撮影予定がなくても持ち歩きたくなることがあります。
また、カメラのデザインは見た目だけで完結するものではありません。ダイヤルの感触、シャッターボタンの位置、ファインダーを覗く姿勢、レンズを装着したときのバランスなど、実際に操作する部分にも表れます。
スペック表では似た性能を持つカメラでも、手に取ったときの印象は大きく異なります。昔のフィルムカメラを思わせるダイヤルに魅力を感じる人もいれば、SIGMA BFのような現代的な造形を好む人もいるでしょう。LUMIX S9のように、ボディカラーを選ぶ楽しさを重視する人もいます。
カメラのデザインに正解はありません。高級感を重視するか、小型軽量を重視するか、昔ながらの操作を楽しむか、現代的なシンプルさを求めるかによって、魅力を感じる機種は変わります。
そして、カメラのデザインに魅力を感じることは、写真を撮る目的と矛盾しません。お気に入りのカメラを持ち歩くことで、これまで見過ごしていた風景に目が向くこともあります。カメラを使いたいという気持ちが、新しい写真を生み出すきっかけになるからです。
カメラは写真を記録するための道具ですが、同時に、所有することや操作することを楽しめる道具でもあります。画質や性能だけで選ぶのも一つの方法ですが、見た瞬間に欲しくなったという感覚も、カメラ選びの大切な理由です。
今回紹介した8機種は、それぞれ異なるデザインの魅力を持っています。性能だけを比較すれば別の選択肢もありますが、カメラそのものの姿に惹かれたのであれば、その魅力も含めて選ぶ価値があります。



