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LAOWA Aksen 1-5X・5-10X比較|RFマウント対応の最大10倍マクロレンズと撮影方法

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LAOWA Aksen 1-5X・5-10X比較|RFマウント対応の最大10倍マクロレンズと撮影方法 LAOWA

LAOWA Aksen 1-5X・5-10X比較|RFマウント対応の最大10倍マクロレンズと撮影方法

RFマウントでマクロ撮影を楽しんでいると、等倍マクロでは写しきれないほど小さな世界に興味が向くことがあります。昆虫の複眼に並ぶ細かな構造、花粉の粒、蝶の翅にある鱗粉、キノコの表面など、肉眼では確認しにくい部分を大きく撮影するには、一般的なマクロレンズを超える高倍率撮影が必要になります。

LAOWA Aksenシリーズは、そうした高倍率マクロ撮影を目的とした特殊レンズです。ラインアップには「LAOWA Aksen 45mm F2.8 1-5X Ultra Macro APO」と「LAOWA Aksen 17.5mm F1.7 5-10X Ultra Macro APO」があり、1倍から最大10倍までの拡大撮影をカバーします。通常の単焦点マクロレンズとは異なり、撮影倍率を連続的に変更できる点が大きな特徴です。

最大の特徴は、倍率を変更してもピント位置を維持するパーフォーカル設計です。従来の高倍率マクロでは、倍率を変えるたびにカメラの位置や照明を調整し直すことがありました。Aksenシリーズでは内部ズーム機構によって鏡筒の長さを変えずに倍率を変更できるため、微細な被写体を撮影する際の操作性が考慮されています。

ただし、最大10倍という数字だけを見て、一般的なマクロレンズの延長線上で考えると、撮影方法の違いに戸惑うかもしれません。高倍率マクロでは被写界深度が極端に浅くなり、カメラや被写体のわずかな振動が画像へ影響します。さらに、レンズ先端と被写体との距離が短いため、光の当て方やカメラの固定方法も重要になります。

この記事では、LAOWA Aksen 45mm F2.8 1-5Xと17.5mm F1.7 5-10Xの違いを整理し、Canon RFマウントでの高倍率マクロ撮影に必要な知識を解説します。撮影倍率、ワーキングディスタンス、パーフォーカル機構、被写界深度、照明、フォーカススタッキング、昆虫や植物の撮影方法、一般的なマクロレンズとの使い分けまで取り上げます。

LAOWA Aksenとは?最大10倍の高倍率マクロレンズ

45mm F2.8 1-5Xと17.5mm F1.7 5-10Xの違い

LAOWA Aksenシリーズには、撮影倍率の異なる2本が用意されています。45mm F2.8モデルは1倍から5倍、17.5mm F1.7モデルは5倍から10倍の撮影に対応します。両モデルを組み合わせれば、等倍から10倍までの連続した倍率範囲をカバーできます。

項目 Aksen 45mm F2.8 Aksen 17.5mm F1.7
撮影倍率 1〜5倍 5〜10倍
焦点距離 45mm 17.5mm
開放F値 F2.8 F1.7
ピント調整 マニュアルフォーカス マニュアルフォーカス
倍率変更 内部ズーム方式 内部ズーム方式
パーフォーカル設計 採用 採用
ワーキングディスタンス 約40.35mm 約22.48mm
光学設計 APO APO

45mmモデルは、通常の等倍マクロから5倍までを一台でカバーします。花の一部分を1倍で撮影したあと、倍率を上げて花粉や表面の細かな構造を観察するといった使い方が考えられます。最初から5倍という極端な拡大率を使用する必要がなく、比較的広い範囲から徐々に被写体を拡大できる点が特徴です。

17.5mmモデルは、さらに倍率を高めた5倍から10倍の領域を担当します。5倍でも肉眼で見る印象とは大きく異なりますが、10倍になると撮像センサー上で被写体が実物の10倍の大きさに投影されます。昆虫の複眼の一部分や翅の鱗粉など、極めて小さな構造を画面いっぱいに記録する用途に対応します。

両レンズの焦点距離は45mmと17.5mmですが、一般的な広角レンズや標準レンズのように、風景を写す際の画角だけで比較する製品ではありません。撮影できる倍率範囲と、被写体に近づいたときの取り回しを中心に判断する必要があります。

通常のマクロレンズも含めた選択肢については、EF100mm F2.8マクロレンズの特徴と撮影表現も参考になります。

撮影倍率1倍・5倍・10倍では写る範囲がどう変わる?

高倍率マクロを理解するうえで重要なのが、撮影倍率という数字の意味です。撮影倍率1倍とは、実物の大きさと撮像センサー上に投影される像の大きさが等しくなる状態を指します。例えば、長さ10mmの被写体は、1倍撮影ではセンサー上にも10mmの大きさで写ります。

撮影倍率5倍では、同じ10mmの被写体がセンサー上で50mmの大きさになります。フルサイズセンサーの横幅は約36mmなので、被写体全体は一枚の画面に収まりません。さらに10倍では、10mmの被写体がセンサー上で100mm相当の大きさとなり、その一部分だけを大きく記録することになります。

フルサイズセンサーを使用した場合、撮影範囲の目安は次の通りです。

撮影倍率 横方向の撮影範囲 縦方向の撮影範囲
1倍 約36mm 約24mm
2倍 約18mm 約12mm
3倍 約12mm 約8mm
5倍 約7.2mm 約4.8mm
10倍 約3.6mm 約2.4mm

この表からも分かるように、10倍撮影では横幅わずか3.6mmほどの範囲が画面いっぱいに広がります。小さな昆虫の頭部全体を撮ることさえ難しい場合があり、実際には複眼の一部分や体表の模様などを切り取る撮影が中心になります。

また、撮影倍率とモニター上での表示倍率は別の概念です。センサー上で10倍に投影された画像をパソコンの大きな画面で表示すると、実物に対する見かけの拡大率はさらに大きくなります。スマートフォンで表示する場合と大型モニターで表示する場合でも、見かけの大きさは変わります。

高倍率マクロの価値は、単に大きく表示できることだけではありません。通常の撮影では画素数が不足しやすい微細な部分を、センサー上に大きく投影して記録できることにあります。後から画像をトリミングする方法と比較した場合、十分な光学解像力と撮影精度を確保できれば、より細かな情報を残せる可能性があります。

マクロ撮影と通常撮影の違いについては、EF100mmマクロの撮影倍率と使い方でも解説しています。

パーフォーカル設計と内部ズームが撮影を変える

LAOWA Aksenシリーズの特徴として注目したいのが、パーフォーカル設計です。パーフォーカルとは、倍率を変更してもピント位置を維持する設計を指します。一般的なズームレンズでも採用されることがありますが、Aksenでは高倍率マクロ撮影での使いやすさにつながっています。

従来の高倍率マクロでは、撮影倍率を変更するためにカメラを前後へ動かしたり、レンズの繰り出し量を大きく変えたりすることがあります。しかし、5倍や10倍の撮影では被写界深度が非常に浅く、カメラをわずかに動かすだけでピントが大きく変化します。そのたびに合焦位置を調整すると、撮影準備に時間がかかります。

Aksenシリーズは内部ズームを採用しており、倍率を変更しても鏡筒全体の長さが変わりません。レンズ先端と被写体との位置関係を保ちやすいため、固定した照明や三脚を大きく動かさずに構図を調整できます。

例えば45mmモデルで小さな花を1倍撮影し、その後5倍まで拡大する場面を考えます。被写体の位置を固定したまま倍率を変更できれば、花全体の構造を確認してから細部へ近づくような撮影が可能になります。最初から5倍で小さな部分だけを見ていると、どこを撮影しているのか分からなくなる場合がありますが、低倍率から段階的に拡大すれば目的の部分を探しやすくなります。

ただし、パーフォーカル設計だからといって、倍率変更後にピント確認が不要になるわけではありません。高倍率ではわずかな振動や被写体の変形でも合焦位置がずれます。撮影倍率を変更したあとには、ライブビューの拡大表示などを利用してピントを確認する必要があります。

撮影距離による写り方の変化については、撮影距離と写真表現の関係も参考になります。

LAOWA Aksen 1-5Xと5-10Xはどちらを選ぶ?

1〜5倍の45mmモデルは撮影できる被写体が広い

高倍率マクロを初めて導入する場合、撮影対象の広さという点では45mm F2.8 1-5Xが有力です。等倍から撮影できるため、通常のマクロレンズに近い範囲から始めて、必要に応じて2倍、3倍、5倍へと拡大できます。

例えば、昆虫の頭部を撮影するとき、等倍では頭部全体と周囲の体が写る場合があります。倍率を2倍や3倍へ上げれば、複眼や触角などの構造をより大きく描写できます。5倍まで拡大すると、複眼の個眼や体表の微細な毛など、通常の等倍マクロでは目立ちにくい部分に注目できます。

植物の撮影でも、花の中心部、雄しべ、雌しべ、花粉、葉の表面、種子の模様など、さまざまな題材があります。対象の大きさが一定ではないため、撮影倍率を連続的に変えられることが実用上の利点になります。

一方で、等倍から5倍まで対応していても、一般的なマクロレンズと同じ使い勝手とは限りません。Aksenは高倍率の近接撮影を目的とするレンズであり、遠景や人物などを日常的に撮影するためのレンズではありません。また、MF専用であるため、被写体へ素早くAFを合わせる撮影にも向いていません。

ワーキングディスタンスは約40.35mmとされており、レンズ先端と被写体との距離はかなり短くなります。動き回る昆虫を自然な距離から撮影したい場合には、焦点距離の長いマクロレンズの方が使いやすいことがあります。45mmモデルは、特に被写体の位置を管理しやすい撮影環境で力を発揮するタイプです。

一般的なマクロレンズの使いやすさについては、EF100mm F2.8マクロの特徴と活用方法でも紹介しています。

5〜10倍の17.5mmモデルは微細な構造の撮影に特化

17.5mm F1.7 5-10Xは、さらに特殊な撮影領域を担当します。最低倍率が5倍であるため、ある程度の大きさを持つ昆虫や花を全体として写すことは難しく、最初から微細な部分の撮影を目的とするレンズです。

最大10倍では、フルサイズセンサーで写る範囲が横約3.6mm、縦約2.4mmになります。この範囲なら、昆虫の複眼の一部分、蝶の翅にある鱗粉、小さな種子の表面、微細な結晶などを拡大して記録できます。対象物の選び方によっては、肉眼で観察しているときとはまったく異なる模様や構造が見えてきます。

ただし、10倍になると被写界深度は極めて浅くなります。複眼のように曲面を持つ被写体では、合焦する範囲がごく一部に限られます。全体を鮮明に記録したい場合、フォーカススタッキングによって複数の合焦位置を合成する必要が出てきます。

ワーキングディスタンスは約22.48mmで、45mmモデルよりさらに短くなります。レンズ先端と被写体との間に照明を入れる余裕が少ないため、拡散板や小型ライトの配置が重要です。被写体が動くと構図が変わりやすく、わずかな風や振動によって撮影が難しくなることもあります。

また、最大10倍では被写体を探してフレーミングする作業そのものが難しくなります。肉眼では簡単に見つけられる部分でも、カメラのライブビューでは視野が極端に狭いため、撮影位置をわずかに変えるだけで対象を見失う可能性があります。

17.5mmモデルは、通常のマクロ撮影をさらに拡大するという用途に加え、微細な構造を観察・記録するための特殊な撮影機材として考えると特徴が明確になります。

マクロレンズの撮影倍率と撮影対象の関係については、EF100mmマクロの撮影表現も参考になります。

RF100mm F2.8 L MACROなどとの使い分け

Canon RFマウントには、RF100mm F2.8 L MACRO IS USMのように、一般的なマクロ撮影に適した純正レンズがあります。RF100mmは最大撮影倍率1.4倍に対応し、AFやレンズ内手ブレ補正を備えています。昆虫、花、アクセサリー、料理などを撮影する際には、こうした通常のマクロレンズの方が扱いやすい場面が多くあります。

RF100mmの焦点距離は100mmで、Aksenシリーズよりも被写体から距離を取りやすい構成です。昆虫に近づきすぎると逃げられてしまう場合や、被写体の周囲に照明を配置したい場合には、ワーキングディスタンスの長さが重要になります。

さらにRF100mmは、マクロ撮影以外にも中望遠レンズとして活用できます。ポートレートや一般的な近接撮影にも使用できるため、一台で幅広い用途に対応できる点が特徴です。

一方、Aksenシリーズは1倍以上の高倍率領域に特化しています。45mmモデルなら最大5倍、17.5mmモデルなら最大10倍に対応するため、一般的な等倍マクロや1.4倍マクロでは十分に大きく記録できない微細な被写体を撮影できます。

つまり、RF100mmとAksenは、最大撮影倍率だけで優劣を付ける製品ではありません。RF100mmは被写体との距離やAFを生かした通常のマクロ撮影、Aksenは固定した被写体を極端な高倍率で撮影する用途という違いがあります。

また、EFマウントのMP-E65mm F2.8 1-5Xマクロフォトのような高倍率専用レンズも比較対象になります。MP-E65mmは1倍から5倍までに対応する特殊なマクロレンズであり、Aksen 45mmと撮影倍率の範囲が重なります。違いを考える際には、最大倍率だけでなく、倍率変更時の操作、鏡筒の伸縮、作動距離、照明の配置を比較することが重要です。

従来のEFマウントのマクロレンズについては、EF100mm F2.8マクロの特徴でも紹介しています。

LAOWA Aksenで高倍率マクロを撮影する方法

三脚・微動レール・ライブビューでピントを追い込む

高倍率マクロ撮影では、カメラを安定させることが重要です。1倍のマクロ撮影でもピント合わせには慎重さが求められますが、5倍や10倍になると、カメラのわずかな前後移動によって合焦位置が大きく変わります。

基本的には、十分な剛性を持つ三脚や撮影台を利用し、カメラと被写体の位置関係を固定します。軽量な三脚では、シャッター操作や周囲の振動によってカメラが動くことがあります。高倍率で撮影する場合には、雲台や脚部の安定性だけでなく、カメラを取り付けた状態での揺れにも注意が必要です。

微動レールも有効な機材です。微動レールはカメラを前後方向へ細かく移動させるための装置で、レンズのピントリングだけでは追い込みにくい場面で役立ちます。フォーカススタッキングを行う場合には、一定の間隔で合焦位置を移動させるためにも利用できます。

実際のピント合わせでは、まず低倍率側で被写体の位置を確認し、撮影したい部分を画面中央付近へ配置します。その後、必要な倍率まで拡大し、ライブビューの拡大表示でピントを追い込みます。高倍率側から撮影を始めると対象を見失いやすいため、倍率を段階的に変更できるAksenの特徴が役立ちます。

また、シャッターボタンを押した瞬間の振動を減らすために、セルフタイマーやリモート撮影を利用する方法があります。カメラによっては電子シャッターも利用できますが、照明方式や被写体の動きによっては別の問題が生じる場合があります。撮影環境に合わせてシャッター方式を選ぶ必要があります。

マクロ撮影でのピント合わせの考え方については、EF100mmマクロを使った近接撮影も参考になります。

F値・シャッタースピード・ISO感度の決め方

高倍率マクロでは、一般的な撮影より露出の確保が難しくなります。撮影倍率が上がると、レンズの公称F値とは別に、有効F値を考える必要があるためです。これは高倍率撮影における光学的な性質であり、レンズの明るさを単純に通常撮影時のF値だけで判断できない理由です。

例えば、同じ照明条件でも、撮影倍率を大きくすると露出が不足しやすくなります。高倍率では被写界深度も非常に浅いため、絞りを大きく絞りたい場面が出てきますが、絞るほどシャッタースピードやISO感度の面で制約が強くなります。

そこで重要になるのが外部照明です。連続光のLEDライトやフラッシュなどを利用して十分な光量を確保できれば、低いISO感度で細部を記録しやすくなります。特に静止した被写体を撮影する場合には、照明の位置と出力を固定して、露出の再現性を高めることができます。

一方、フラッシュを使用する場合には、発光時間を利用して被写体やカメラの動きによるブレを抑えられることがあります。ただし、フラッシュの発光時間は出力設定や機種によって異なります。十分に短い発光時間を確保したい場合には、使用するストロボの特性を確認する必要があります。

絞りについては、被写界深度を増やそうとして極端に絞ると、回折による解像感の低下が問題になります。高倍率マクロでは特に影響が大きくなりやすいため、絞るだけですべてを鮮明にする方法には限界があります。必要な範囲を鮮明にするには、適切な絞りとフォーカススタッキングを組み合わせる方法が有効です。

撮影時には、露出を確保するための照明、被写界深度を確保するための絞り、振動を抑えるための固定方法を一体として考える必要があります。一般的な風景写真のように、F8に設定すれば広い範囲にピントが合うという感覚は、高倍率マクロにはそのまま当てはまりません。

通常の近接撮影における露出とピントの関係については、マクロレンズの撮影方法と表現でも解説しています。

フォーカススタッキングで微細な構造を鮮明に写す

5倍や10倍の高倍率撮影で重要になる技術が、フォーカススタッキングです。これはピント位置を少しずつ変えながら複数枚の写真を撮影し、それぞれの鮮明な部分を合成して、広い範囲にピントが合った画像を作る方法です。

例えば昆虫の複眼を10倍で撮影する場合、複眼の曲面全体を一枚の写真で鮮明に写すことは困難です。手前の部分にピントを合わせると奥がぼけ、奥にピントを合わせると手前がぼけます。絞りを大きく絞っても、回折による画質低下との兼ね合いから、十分な被写界深度を確保できない場合があります。

フォーカススタッキングでは、最も手前の部分から最も奥の部分まで、合焦位置をわずかずつ移動させて撮影します。撮影枚数は被写体の立体的な形状、倍率、絞り、合焦位置の移動量によって変わります。必要な枚数をあらかじめ一律に決めることは難しく、被写体ごとに調整する必要があります。

撮影した画像は、対応する画像処理ソフトで合成します。各画像からピントの合った領域を抽出して一枚にまとめることで、通常の単写では得られない広い合焦範囲を持つ画像を作れます。

ただし、撮影中に被写体が動くと合成が難しくなります。昆虫の触角が動いたり、花が風で揺れたりすると、画像ごとに形や位置が変わります。その結果、合成後に不自然な輪郭や二重像が生じることがあります。フォーカススタッキングには、被写体とカメラを安定させる撮影環境が重要です。

また、高倍率マクロでは画像ごとの倍率変化や画角の変化が合成結果へ影響します。レンズのピントリングを回す場合と、微動レールでカメラ全体を移動させる場合では、画像の変化の仕方が異なります。使用するソフトの位置合わせ能力も考慮して撮影方法を決める必要があります。

高倍率のAksenシリーズでは、パーフォーカル設計による倍率変更の容易さと、合焦位置を細かく移動させるスタッキング撮影を組み合わせることで、被写体の探索から細部の記録まで効率的に進められる可能性があります。

マクロ撮影の基本的な特徴については、EF100mmマクロレンズによる近接撮影でも紹介しています。

LAOWA Aksenで撮影したい被写体と作例の考え方

昆虫の複眼・触角・翅の鱗粉を拡大する

高倍率マクロで代表的な撮影対象となるのが、昆虫の微細な構造です。昆虫の複眼は、多数の個眼が集まって形成されています。通常の等倍マクロでも複眼全体を撮影できますが、倍率を5倍や10倍に上げると、その表面にある細かな規則性や個眼の並びを大きく記録できる可能性があります。

蝶や蛾の翅にある鱗粉も、高倍率撮影に適した題材です。肉眼では一枚の模様として見える翅も、拡大すると多数の細かな鱗粉によって色や模様が形成されていることが分かります。撮影倍率を高めれば、鱗粉そのものの形状や重なり方に注目できます。

ただし、生きた昆虫を高倍率で撮影するのは簡単ではありません。昆虫がわずかに動くだけで構図が大きく変わり、ピントが外れます。複眼の表面にピントを合わせている間に頭部が動けば、撮影範囲から被写体が外れてしまうこともあります。

特に10倍では撮影範囲が極端に狭いため、自由に動き回る昆虫の撮影には制約があります。静止している昆虫や動きの少ない部分を撮影対象として選び、カメラと照明の位置を安定させる必要があります。

また、昆虫の表面には反射しやすい部分や光を吸収しやすい部分があります。複眼の表面に強い点光源が映り込むと、細かな構造が見えにくくなる場合があります。拡散した光を使用することで、反射を抑えながら表面の形状を描写しやすくなります。

一方、昆虫の頭部全体や翅全体の形を記録する場合には、通常のマクロレンズの方が適しています。Aksenの高倍率撮影は、昆虫全体の記録というより、昆虫の一部分を詳しく観察する用途に向いています。

昆虫を撮影する際の焦点距離と撮影距離については、100mmマクロレンズによる近接撮影も参考になります。

花粉・種子・キノコの表面を撮影する

植物や菌類も、高倍率マクロで撮影したい被写体です。花の中心部には雄しべや雌しべがあり、その周囲には花粉などの細かな構造があります。通常のマクロレンズでは花の形や色を主題にすることが多くなりますが、高倍率では花を構成する微細な部分そのものが主題になります。

例えば、花の雄しべに付着した花粉を撮影する場合、等倍では雄しべ全体の形を確認できます。倍率を2倍や3倍へ上げると花粉の分布や表面の質感を捉えやすくなり、5倍以上ではさらに小さな部分に注目できます。ただし、花粉の大きさは植物の種類によって大きく異なるため、個々の粒を十分に記録するには倍率だけでなく、レンズの解像力と撮影条件も重要です。

種子の表面も撮影対象になります。小さな種子には規則的な模様や細かな凹凸が存在する場合があり、光の方向を変えることで形状を強調できます。正面から均一な光を当てると色を記録しやすくなりますが、横から光を当てると凹凸による陰影が生まれ、立体感を表現しやすくなります。

キノコでは、傘の表面、ひだ、柄の質感などが題材になります。肉眼では滑らかに見える部分でも、拡大すると微細な繊維や凹凸が見える場合があります。湿った表面には光が反射しやすいため、照明の角度によって仕上がりが大きく変わります。

植物を屋外で高倍率撮影する場合には、風の影響が大きな問題になります。弱い風でも花や葉が動くため、5倍や10倍ではピントを維持することが難しくなります。撮影条件を安定させたい場合には、風の少ない環境や、被写体を安定して固定できる撮影場所が適しています。

また、高倍率では被写体の表面に付着したホコリや水滴も大きく写ります。撮影前には被写体の状態を観察し、必要に応じて照明や撮影方向を調整する必要があります。肉眼では目立たない要素が写真の主題を妨げることもあれば、水滴や繊維そのものが興味深い撮影対象になることもあります。

植物をマクロレンズで撮影する際の基本については、EF100mm F2.8マクロの近接撮影でも紹介しています。

時計・電子部品・鉱物などの微細な質感を記録する

Aksenシリーズは、生物以外の撮影にも利用できます。時計の小さな歯車、電子基板の部品、金属表面の加工跡、鉱物の結晶など、微細な構造を持つ被写体は高倍率マクロに適しています。

特に固定できる被写体では、撮影環境を安定させやすい利点があります。昆虫や花のように自発的に動いたり、風で揺れたりすることが少ないため、時間をかけてピントや照明を調整できます。フォーカススタッキングにも取り組みやすく、複数枚の画像を正確に重ねられる可能性が高まります。

金属表面を撮影する場合には、反射の制御が重要です。強い直接光を当てると一部分が白飛びし、細かな傷や加工の模様が見えにくくなる場合があります。拡散光で全体を照らす方法と、斜め方向からの光で表面の凹凸を強調する方法を使い分けると、被写体の質感を表現しやすくなります。

鉱物の結晶では、光の当て方によって透明感や色の見え方が変わります。小さな結晶に光を当てる場合、光源の位置がわずかに変わるだけで反射が大きく変化することがあります。高倍率マクロでは画面内の情報が限られるため、どの部分を鮮明に見せたいのかを明確にする必要があります。

電子部品を撮影する場合には、基板の配線や小さな部品の印字などを記録できます。ただし、10倍で写る範囲は数mm程度しかないため、電子基板全体を撮影することには向きません。特定の部品や接点など、対象を限定した撮影に適しています。

商品撮影や資料写真では、倍率の高さだけでなく、寸法感をどのように伝えるかも重要です。極端な拡大画像だけでは実際の大きさが伝わりにくいため、等倍付近で全体を記録した写真と、高倍率で細部を撮影した写真を組み合わせる方法が考えられます。

通常のマクロレンズとの違いについては、EF100mmマクロレンズの撮影表現も参考になります。

RFマウントでLAOWA Aksenを使う際の注意点

ワーキングディスタンスが短く照明の配置が難しい

LAOWA Aksenシリーズを使用する際に注意したいのが、ワーキングディスタンスです。これはレンズ先端から被写体までの距離を表すもので、撮影倍率を示す数字とは別に、実際の撮影のしやすさを左右します。

45mmモデルでは約40.35mm、17.5mmモデルでは約22.48mmという短いワーキングディスタンスが示されています。特に17.5mmモデルでは、レンズ先端から被写体までの空間が非常に狭いため、照明を配置する方法に工夫が必要です。

例えば、一般的な大きなLEDライトを被写体の正面に置こうとしても、レンズが光を遮ってしまう場合があります。ライトを横へ移動させると、今度は被写体の一部分に強い影が生じることがあります。高倍率マクロでは、レンズと被写体の間に限られた空間しかないため、照明の形状や光の方向を考える必要があります。

撮影方法としては、小型のLEDライトやストロボを斜め方向から照射し、拡散材を利用して柔らかい光を作る方法があります。反射しやすい被写体では光源が直接映り込まないように配置し、凹凸を強調したい場合には斜めからの光を利用します。

また、レンズ先端が被写体に近いため、接触にも注意が必要です。撮影台や微動レールを操作するときに大きく前進させると、被写体やレンズ先端を傷付ける可能性があります。高倍率での位置調整では、被写体との距離を確認しながら慎重に操作する必要があります。

一般的なマクロレンズのワーキングディスタンスについては、EF100mm F2.8マクロの使い方も参考になります。

高倍率では振動・回折・被写体ブレの影響が大きい

高倍率マクロでは、カメラや被写体のわずかな動きが画像へ大きく影響します。通常の風景写真では問題にならないような微小な振動でも、5倍や10倍ではブレとして目立つ場合があります。

例えば、カメラを机の上に置いて撮影している場合、人が机に触れたり、近くを歩いたりするだけで微小な振動が伝わることがあります。三脚を使用していても、床や撮影台が振動すれば同じ問題が生じます。高倍率では、カメラを固定するだけでなく、撮影環境全体の安定性が重要になります。

また、被写界深度が非常に浅いため、絞りを大きく絞りたくなる場面があります。しかし、絞りを小さくすると回折の影響が強くなり、微細な構造の解像感が低下する場合があります。撮影倍率が高いほど、有効F値も大きくなりやすいため、一般的な撮影より慎重に絞りを選ぶ必要があります。

この問題への対応として、開放付近から適度に絞った状態で複数枚を撮影し、フォーカススタッキングで合焦範囲を広げる方法があります。これにより、極端な小絞りを使用せずに広い範囲を鮮明に記録できる可能性があります。

ただし、フォーカススタッキングでは撮影中の被写体の変化が問題になります。昆虫が動いたり、植物が揺れたりすると、複数画像を合成するときに位置が一致しなくなります。そのため、動く被写体では単写を優先し、固定できる被写体では複数枚合成を利用するといった使い分けが考えられます。

さらに、撮影倍率を高めるほどピントの許容範囲が狭くなるため、カメラ背面の小さな画面だけでピントを判断するのは難しくなります。拡大表示やパソコンへのテザー撮影などを利用すると、細部を確認しやすくなります。

マクロ撮影の被写界深度については、EF100mmマクロを使った近接撮影でも取り上げています。

EOS Rシリーズのボディ選びと実際の撮影環境

LAOWA AksenシリーズをCanon RFマウントで使用する場合、カメラボディの選択も撮影環境に影響します。高倍率マクロではMFによるピント合わせが中心になるため、AF性能だけでなく、ライブビューの拡大表示や撮影時の操作性が重要になります。

高画素のフルサイズカメラでは、微細な部分をより多くの画素で記録できる可能性があります。ただし、画素数が高ければ必ず解像力の高い写真になるわけではありません。レンズの光学性能、ピント精度、振動、照明、回折などが最終的な画質を左右します。

また、APS-Cセンサーを搭載したEOS Rシリーズを使用する場合には、同じ撮影倍率でも画面内に写る被写体の実寸範囲が狭くなります。例えば、横幅約22.3mmのAPS-Cセンサーで5倍撮影を行うと、横方向の撮影範囲は約4.46mmとなります。フルサイズで5倍撮影した場合の約7.2mmより狭い範囲が写ります。

この違いは、同じ光学倍率でも被写体が画面いっぱいに写りやすくなるという特徴につながります。ただし、センサーサイズによってレンズの光学倍率そのものが変わるわけではありません。撮影倍率と画角の違いを区別して考える必要があります。

撮影環境としては、カメラの固定方法、被写体を置く台、照明、微動レール、背景などを整えることが重要です。高倍率マクロでは、レンズだけを購入しても、その性能を十分に引き出せない場合があります。撮影したい被写体に合わせて周辺機材を組み合わせることが、実際の写真の完成度につながります。

また、RFマウント用として販売されているモデルでも、使用するカメラとの装着や操作上の互換性、絞り制御の方式などは購入時に確認する必要があります。MF専用レンズでは、純正AFレンズと同じ操作ができるとは限りません。カメラ側のレンズなしレリーズ設定などが必要になる場合もあります。

EOS RシリーズとEFマウントレンズの運用については、EF100mmマクロレンズの特徴と撮影方法も参考になります。

まとめ

LAOWA Aksenシリーズは、一般的なマクロレンズを大きく超える高倍率撮影を目的とした特殊レンズです。45mm F2.8 1-5Xは等倍から5倍まで、17.5mm F1.7 5-10Xは5倍から最大10倍までの撮影に対応し、二つを組み合わせれば1倍から10倍の領域をカバーできます。

撮影倍率1倍ではフルサイズセンサーの横幅約36mmに相当する範囲が写りますが、5倍では約7.2mm、10倍では約3.6mmまで狭くなります。これにより、昆虫の複眼や翅の鱗粉、花粉、種子の表面など、通常のマクロ撮影では十分に大きく記録できない微細な構造を撮影できる可能性があります。

また、Aksenシリーズの特徴であるパーフォーカル設計と内部ズームは、倍率変更時の操作を考慮したものです。鏡筒の長さを変えず、ピント位置を維持しながら倍率を変更できるため、低倍率で被写体を探してから必要な部分を高倍率で撮影する方法に適しています。

一方、高倍率マクロでは被写界深度が非常に浅く、カメラや被写体のわずかな振動も画質へ影響します。適切な三脚や撮影台、微動レール、照明を組み合わせ、必要に応じてフォーカススタッキングを利用することが重要になります。特に10倍撮影では、被写体の位置を固定し、照明とピントを慎重に調整できる環境が求められます。

RF100mm F2.8 L MACRO IS USMのような一般的なマクロレンズは、昆虫や花、商品などを幅広く撮影できる点が魅力です。これに対してAksenシリーズは、通常のマクロレンズでは拡大しきれない部分を撮影するための機材です。高倍率で撮れることと、幅広い場面で使いやすいことは別の特徴であり、撮影対象によって適したレンズは変わります。

LAOWA Aksenシリーズの魅力は、最大10倍という倍率の高さだけにあるわけではありません。撮影倍率を連続的に変更できること、倍率変更時にピント位置を維持できること、極めて小さな被写体の細部を光学的に拡大して記録できることにあります。RFマウントで昆虫や植物、鉱物、微細な工業製品などを詳しく撮影したい場合には、通常のマクロレンズとは異なる撮影表現を実現する選択肢になります。

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